コズミック変態と哀れな最悪の精霊さん。   作:冬月雪乃

34 / 34
やぁ。


第34話

目が醒めると、黄金があった。

 

「ここは……」

「私の城だよお嬢さん(フロイライン)

 

男性の声。

落ち着いた声だ。

声の出た先、そこには気だるげに玉座と言うべき椅子に腰掛け、肘をついてこちらを見る『獅子』がいた。

いや、獅子ではない。人間だ。

頭を振って今しがた見た幻覚を打ち消し、礼を失しない程度に注意深く観察する。

周囲は城というように、確かに豪奢で美しいが、瓦礫だらけだ。

そして、城主であろう黄金もどこか、疲れ、ボロボロであるように見える。

 

「あぁ、すまない。我が城はもはや崩れる寸前でな」

 

いわば魂の残滓というべきか。

そう皮肉げに笑う彼はそれでも美しさを損なわない。

人体の黄金比。あの人に出会っていなければ心を塗りつぶされてしまっただろう程の色香。

そしてこの滅びかけた城ですら、この男が背景にしているというそれだけで一枚の絵画にしてしまえるほど美しく見える。

彼が口を開く。

それは似つかわしくないほど人間臭い表情で、

 

「ーーカールを頼む」

 

答えは言えず、急速に覚醒した。

 

 

 

 

#

 

 

 

ーーふむ。懐かしの波動がしたからつい女神の部屋にニュルリニュルリと侵入したが……。なるほど。貴方はどこまでも愛に殉じ、私を友として呼んでくれるのだな。

いつの間にか女神の眠る傍にある獣殿のぬいぐるみを見ながら感慨に耽る。

 

「……カリオストロさん? なんで私の部屋にいますの? 殺しますわよ?」

 

ちなみに女神は寝るときは裸族だ! ふははは! これは! わが世の春であるぞ!!!

 

ーーカール。

 

全身に均一に広がる衝撃を味わいながら諌めるような声を聞いた気がする。

 

「カリオストロさんの!!! ばかぁぁぁあ!!!」

 

ーー卿は相変わらずなのだな。

 

「えぇーー偽りであれ、積み重ね生きた時に嘘はつけない。私はいつしか『私』と胸を張って主張出来るようになったし、私だけの女神も見つけた。我が友や息子には悪いと思っているが……これは『どうしようもないもの』なのだ」

 

ーーふ、どうしようもないナマモノ筆頭が口にするとは、実に説得力がある言葉だとは思うが……。これだけは伝えておこう。我が城の牢獄はいつでも卿の帰還を待ちわびているぞ。

 

「……カリオストロさん? なんで全弾全身で受け止めてわけのわからない事を笑顔で演説しつつ悶絶してますの? ちょっと? 演出みたいな光を窓から入れないでくださいまし!?」

「あぁ、いや、やはり女神は至高だなと、そう再確認していただけだよ」

 

返事は赤面怒り照れ顔ローリングソバットだった。

とても可愛らしい。実に良い。エンジンがかかってくるようだ。

とめどなく溢れる女神への思いを口から迸らせようと口を開いた瞬間。

流れるように続くコークスクリュードライバーで意識は刈り取られた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

魔法少女と黄金の獣(作者:クリフォト・バチカル)(原作:魔法少女リリカルなのは)

7人の転生者が与えられた特典で殺し合う戦争――『ラグナロク』。▼その参加者の1人が生き残るために最強最悪の特典を選択した。▼「俺の望む特典は『dies iraeのラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒの能力、才能、容姿、魂』だ。」▼「Pardon?」▼一般人の魂が黄金の獣の魂に勝てるわけもなく、出来上がったのは少しだけマイルド獣殿。▼バランスブレイカ…


総合評価:11614/評価:6.3/完結:80話/更新日時:2014年07月24日(木) 00:00 小説情報

ありふれた日常へ永劫破壊(作者:シオウ)(原作:ありふれた職業で世界最強)

とある「ありふれた世界」の神座の女神により、人生を翻弄されることになった主人公、藤澤蓮弥。▼Diesiraeの聖遺物とエイヴィヒカイトを女神に押し付けられ、転生させられたのは二十一世紀の平和な日本。▼殺人鬼になる運命に抗いつつも、残り少ないありふれた日常を謳歌していた蓮弥はある日、クラスメイトと共に異世界に飛ばされることになる。▼蓮弥は無事、彼のありふれた日…


総合評価:8945/評価:7.81/連載:212話/更新日時:2026年09月07日(月) 00:00 小説情報

転生したらアーサー王だった男がモルガンに王位を譲る話(作者:飴玉鉛)(原作:Fate/)

タイトルが全て。転生プーサーがモルガンと協力してブリテンを救ったよ!▼本編完結▼気ままに番外zero編を進めてみてます。▼zero編完結しました。▼ステイナイトzero編進行中。


総合評価:41751/評価:8.88/完結:53話/更新日時:2022年08月12日(金) 19:31 小説情報

タイムスリップしたら幼馴染の距離感がバグった件(作者:大麦)(原作:名探偵プリキュア!)

Q.小さい頃からずっと一緒でスパダリムーブしがちな年上の幼馴染と一緒にタイムスリップしました。どうすればいいですか?▼A.落としましょう。そうすればお互いに(精神的にも)離れられなくなります。


総合評価:1425/評価:8.34/連載:5話/更新日時:2026年07月05日(日) 17:00 小説情報

これもきっと妖怪のせいに違いない(願望)(作者:R1zA)(原作:妖怪ウォッチ)

▼リハビリ作。▼最近事故で死にかけた時に見た走馬灯で妖怪ウォッチがやりたくなったので久々にやった結果、『妖怪ウォッチって改めて見るとめっちゃヤンデレ適性高いな?』と思って書いた怪文書です。▼以下あらすじ▼妖怪ウォッチ世界でケータ君に転生した人が無印から3までを死に物狂いで駆け抜けた結果、繋いだ縁でがんじがらめにされる話。▼※匿名解除しました(2025/1/1…


総合評価:10892/評価:8.93/連載:5話/更新日時:2026年09月19日(土) 04:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>