一通り銀時と紫苑の過去を話し終え、2人が落ち着いたころ。一度休憩を入れた方がいいというお登勢の提案で、思い思いの事をしていた。土方は屯所に紫苑は無事である事を連絡している。神楽と新八は紫苑と色々な事を話していた。
そして銀時は…ただ真っ直ぐ、窓越しに空を見つめている。
「どうしたんですかィ、旦那?」
その横に並び沖田が問えば、視線はそのままに銀時が口を開く。
「んー…考え事だよ、考え事。やりてぇことが色々あるからな…」
「紫苑と旦那が言ってた、“約束”ってやつですかィ?」
「まぁ、それもだけどな…」
「……?」
沖田が銀時に視線を向けると、銀時も同じように沖田に視線を向けていた。そして…どこか少し困ったように笑っている。
「ガキの頃とは違って、マジの
銀時の言わんとする事の意味が分からず、沖田は首を傾げる。一体彼は、何の話をしているのだろうか?
「なー、沖田君はさ…喧嘩した時の仲直りの方法って知ってる?」
「喧嘩…?」
「そ。オメェ、いつも土方君と喧嘩してんだろ?何か無いか?」
「旦那…ありゃ喧嘩じゃありやせんぜィ?俺ァ本気で土方ぶっ殺す勢いでさァ」
「…真顔でおっかない事いうなよ…」
ああ、そうだ…
銀時は苦笑しながらその頭をポンポンと撫でる。
「旦那?」
「いやー、オメェ等らしいなーと思ってな」
互いに互いを嫌いながらも、互いに互いを認めている。だからこそ、どんなに酷い喧嘩になっても、次の瞬間には喧嘩など無かったかのように背中を合わせて戦う。
土方と沖田はそういう仲だ。
「お前ら揃って何の話してんだ?」
そこに、連絡を終えたらしい土方がやってくる。土方の声に、沖田は小さく舌打ちをするが、土方は無視して銀時へと視線を向けた。
「んー?…土方君はさー…喧嘩した時の仲直りの方法って知ってる?」
「は?なんで、んなこと聞くんだよ?」
土方が訝しげに問えば、銀時はただ…困ったように笑うだけ。それを見た土方と沖田は、その表情の意味が分らず…結局、双方視線を交わして首を傾げるだけだった。
「あー、男だけで集まって何の話?」
そこに今度は紫苑が加わる。興味津々と言わんばかりに、土方と沖田の間からひょっこりと顔を覗かせて無邪気に笑っていた。
「おー、紫苑…。ガキ共からは開放されたか?」
「フフッ、私の知らない銀時のいろーんなこと聞けた」
「はぁ?何だよそれ…」
一体あの2人は何を話したのやら。
銀時は頭をガシガシと掻きながら小さく溜息を吐く。
「それで…3人は何の話をしてたの?」
私に秘密事は無しよ?
そう付け足す紫苑に、沖田が笑いながら口を開く。
「別に隠すような事は何も話してないぜィ?ただ旦那が…」
「銀時が?」
「仲直りの方法とか聞いてきやがってな。」
万事屋は何を考えているのやら、と言いながら再び視線を銀時に向ける。すると…銀時は今まで真っ直ぐ紫苑に向けていた視線をあらぬ方向へと向けていた。
「…仲直り…?」
「そうでィ。紫苑は知ってるかィ?」
「んー…子供の頃はよく喧嘩してたよね…。兄さんもコタローも銀時も。あと、攘夷戦争の時は辰馬が可愛そうなくらい殴られてた…銀時と兄さんに。」
「うっ…何でそんなこと覚えてるんだよ、お前は…」
言われて反論しないのは、それが事実だからだ。銀時の目は更に泳ぐ。
「けど、いつも自然に仲直りしてたじゃない。何、どうしたの今更…?」
一体銀時は誰と喧嘩し、誰と仲直りしようとしているのだろうか?
ふと、紫苑はそう考えたが…紫苑自身も銀時の事を言えた立場ではないと苦笑した。
「ホント…あの頃は喧嘩も仲直りも当たり前だったのに…」
時の流れとは酷く残酷で。時には…修復が不可能なほどに、人の感情を根本から変えてしまう。
「……お前らもやっぱり喧嘩はしたのか?」
そんな2人を見ながら、ふと…土方は思ったままの事を口にする。土方に問われ、銀時と紫苑は互いに見つめあった。
「俺と…紫苑?」
「そういえば…喧嘩したことあったっけ?」
「いや、俺ァ覚えてない」
「……、あれ?私も覚えてない…。」
んん?と紫苑が首を傾げる。紫苑の記憶力は、銀時達幼馴染+辰馬と、真選組の面々が認めるほどの凄さだ。その紫苑が覚えていないということは、つまり結論は1つ。
「…喧嘩したことがないんで?」
「マジでか」
「そういう…ことだよな…?」
「んー、多分そうなんでしょうね…」
本人達が首を捻っているのだ。恐らくは、それが真実なのだろう。離ればなれになっていた時期が長かったとはいえ、ともに同じ学び舎で過ごし、攘夷戦争を切り抜けてきた2人が喧嘩のひとつもせずに互いに想い合うなど…はたから見れば本当に信じられない話だ。
「それだけ旦那が紫苑を大事にしてるってことでさァ」
ヘラッと笑った沖田に、紫苑も恥ずかしそうに笑う。
本当に…穏やかな時間だった。
だが…また銀時は窓の外を…空を眺め始めて小さく息を吐く。
「で、万事屋はさっきから何やってんだよ」
窓の外を眺めていたかと思えば、仲直りの方法を聞いてくる。いつもの銀時ならば…前者はあったとしても、後者はあまり考えられない。
「……時間が解決してくれるなんて……あるわけがねぇし、それじゃ駄目なんだよなァ……」
ポツリとつぶやく銀時の言葉の意味がよくわからず、真選組の3人は互いに顔を見合わせた。
「銀時…?」
なんだかその姿が儚く見えて…紫苑は不安になる。
もう離れないと約束した。
なのに…その背中はとても悲しげで、とても小さく見える。
「……は~~、考えるのもめんどくせェ…」
暫くの沈黙の後、何を思ったのか銀時は携帯を取り出す。
「旦那、いったい誰に…?」
慣れた手つきで携帯を操作する銀時に沖田が聞けば、ヘラリといつものだらしない顔で笑う。
「ん?まずは……戦友で、一番馬鹿で、頭がスッカラカンの奴に掛けるんだよ」
余計に意味が分からないと沖田は首をかしげ、土方は深いため息を吐いていた。今に始まった事ではないが、銀時は人の名前を素直に呼ばないという悪い癖がある。もっとも、銀時自身は…土方・沖田両名が知らない名前だと判断したためあえて言わなかったのだが。
しかし…ともに戦線を潜り抜けてきた紫苑には、すぐに分かった。
「…あ…辰馬…?辰馬でしょ!!」
「おー、さすが紫苑。オメェが無事な事を伝えねぇとな。アイツはアイツで苦しんでたからよォ」
何気なく会い、酒を飲み交わし、酔って…いつもはバカ笑いをしている坂本が、ポロリとこぼす本音。
『ワシャ、もし紫苑が
それは、紫苑の身を案じる言葉であり、あの時紫苑を置いて戦争に戻るという判断をした自分を責める言葉だった。
そんなことはないと銀時は言ったが…決して、坂本が納得することはなかった。
あの時、紫苑を置いて進軍するというのは正しい判断だったと今でも思っている。
しかし、人として…紫苑の
坂本は悲しげに空を眺めながら、いつもそう言っていた。
「紫苑、オメェの声聞かせて…あの馬鹿を安心させてやれ。」
「…えぇ…!!フフッ、辰馬かぁ~…!!ね、辰馬は相変わらず元気なの?」
「あぁ、相変わらず頭スッカラカンで馬鹿笑いしてらァ」
「辰馬らしいなぁ…」
楽しそうに笑う紫苑を見て、土方と沖田は思う。屯所に居る時もよく笑うが…こんなに無邪気に笑う紫苑は見たことが無いと。
(…紫苑の幸せがそこにあるなら、俺達はただ見送るだけだ…)
(土方がゆるさねェでも、俺が絶対に真選組から抜ける手筈を進めてやるから安心しなせェ…)
両名とも、思っている事は違っても、紫苑を大事に思っている事は同じなのだ。
そんなことを2人が思っている間に、銀時は目当ての坂本へと電話を掛けた。コールが数回鳴った後、聞きなれた能天気な声が電話口から聞こえてくる。
「よー、辰馬か?」
『なんじゃ、金時かえ?おまんから電話とは珍しいぜよ。どうしたんじゃ?』
「馬鹿本!!何べんも言わせんな!!俺は銀時!!ぎ・ん・と・き!!金時だったらジャンプ回収騒ぎだっつってんだろうが!!」
『アッハッハッ!!けんど、アニメは終わったぜよ!!』
「俺のせいじゃね―――ッ!!」
はたからやり取りを見ていた土方は苦笑しながら、沖田はどこか楽しそうに銀時を見つめている。紫苑は、早く電話を変わりたくて仕方がないと言った感じだ。
「ったく…。いいか辰馬?落ち着いて聞けよ?大事な話だ」
『大事な話?……銀時、なんじゃ…その話っちゅーのは…?』
「……約束、覚えてるか?」
約束
その言葉に、思わず辰馬が息を呑む。それが電話越しでも分かった。
「夜桜の下で月見酒…。忘れたとは言わせねぇぞ?」
『もちろん、覚えちゅう。やけど…』
「…紫苑が居ない?ってか……」
『ッ…、ほ、
電話越しではあるが、辰馬がオロオロしている姿が目に浮かぶ。思わず銀時は苦笑した。そしてそっと携帯を窓の淵に置く。それを見ていた、紫苑・土方・沖田の3名は首をかしげる。しーっと指を立てて笑いながら、銀時は携帯のスピーカーボタンを押した。
「あぁ、違わねぇよ?俺とヅラは、高杉と
『……どういうことぜよ?おまん、
「いつもよりって何だ、いつもよりって!!」
『金時は
「テメェにだけは言われたくないわッ!!」
『じゃったら、ヅラやったら
「よくないわッ!!ふざけんなよ馬鹿!!」
『アッハッハッハッ!!』
電話越しに言い合う2人を見て、土方・沖田の両名はただただ頭にはてなマークが並ぶだけだった。相手が、攘夷戦争を銀時達と共に生き抜いてきた、あの有名な快援隊社長の坂本辰馬だということは分かる。それは分かるのだが……
(ぜんっぜん言葉が分からねェ…。土佐…か…?)
(旦那と紫苑のダチのお国言葉ですかィ。さっぱりわからねぇや…)
坂本の言葉があまりにも訛りすぎていて分からない。しかし銀時にはしっかりと通じているらしく、そのやり取りはちゃんとしている。チラリと土方が紫苑に視線を向けると、紫苑もクスクスと笑っていた。どうやら、紫苑も話の内容は分かっているらしい。
「はー…話を戻すぜ?…単刀直入に言うが…辰馬よ…。オメェ、大至急休みを作れ。陸奥が駄目つっても絶対に作れ。」
『…理由は何じゃ?ワシにもわかるように話しとおせ。おまんの話は、肝心な部分がカラじゃ。さっぱり分からんぜよ…』
「……いいか、耳の穴かっぽじってよーく聞け?」
そういうと、銀時はちょいちょいと手招きをした。紫苑は自分?と自信を指さし首をかしげる。それに笑いながら銀時は首肯した。そして口ぱくで…
“辰馬を驚かせてやれ”
そう、言った。それがわかった紫苑は、楽しそうに笑いながら首を縦に振る。音を立てないようにそっと銀時に近づき、そして…
「んっと……辰馬…、久しぶり…ね?」
戸惑いながら…しかし、優しい声で話しかける。
一瞬…時間が止まった。
シンとした空間。しかし、その静寂は…
『紫苑……?おまん、紫苑
「うん、そうよ…辰馬。心配かけてごめんなさいね…」
『……ッ…!!し、紫苑…紫苑!!ワシャ…ワシャッ…!!』
「辰馬、大丈夫よ…分かってる。あの時の、辰馬とコタローの判断は正しかったと思ってるわ。だから絶対に謝らないで?」
『けんど…!!』
「“だが”じゃない!!……いいじゃない、こうしてお互い無事で…また話すことができるんだら…」
紫苑が花のような笑みを浮かべる。それを満足そうに銀時が見つめていて、真選組の2人も…言葉はよく理解が出来なかったが何となく…ニュアンスで理解していた。
「どーだ、辰馬ァ…。驚いただろォ…?」
してやったりと笑う銀時。
『おまん…!!銀時、 何で
「まー、落ち着け。実は……俺も今日、紫苑と再会したんだよ…」
「そうそう、本当にね…久々の再会だったのよ…?」
『そうか…そうかァ…!!…と、とにかく…無事でよかったぜよ…、ほんまに何よりなが……!!』
電話口の向こうから「
「あれ、銀さん、紫苑さん…何やってるんですか?」
「お前らも何やってるアルか?」
どうやら電話の声が聞こえたらしい。新八と神楽がひょっこりと顔を出す。
「ん?辰馬と電話してんだよ」
「黒モジャとアルか?」
「え、坂本さんと?」
2人の反応を見て土方は思う。恐らく、ここにいるメンバーで坂本と会ったことが無いのは自分達真選組だけだと。
(……こりゃ幕府の人間としては黙って見過ごしていいもんか……)
今は貿易会社の社長だが、その素性は元攘夷志士。しかも、その名は狂乱の貴公子・鬼兵隊総督・鬼兵隊副官・白夜叉同様…とても有名である。
だが…
『おー、その声は神楽ちゃんと新八君かえ?』
「よくわかったネ、そうアル!!」
「お久しぶりです、坂本さんもお元気そうですね」
「そりゃ違うな。辰馬はただ、馬鹿なだけだ」
「えー、それひどいよ…」
「いや、紫苑さん…顔笑ってますって…」
『アッハッハッ…泣いていい?』
できない…、できるはずがない。
こんなにも幸せそうに笑っている紫苑と
無事を知って、泣きそうな声で喜んでいた…顔も知らぬ電話の主のことを思うと。
鬼の副長と恐れられる男とて…そこまで非道にはなれない。
(私情は挟むな、俺は真選組の副長だろうが…!!)
しかし、やはり紫苑と銀時の笑顔には…敵わなかった。
「おやまぁ、随分と賑やかだねぇ…」
「何だ、ちょっと部屋から出ていた間に随分と騒がしくなったな」
同じタイミングで部屋に戻ってきた近藤とお登勢は、何やら騒がしい事に気付き苦笑を洩らす。
先ほどまでの重い空気はどこへやら…。
しかし、お登勢は銀時が無邪気に笑う姿を見て思った。
「アタシは、銀時があんな風に笑った姿を久々に見たねェ…」
笑っていても、いつもどこかに憂いを帯びていた。
それが、紫苑との再会で変わったのだ。
確かに、その再会は手放しで喜べるものではない。
だが…
「アンタが幸せなら、アタシはそれで十分さ」
限られた時間でも、ずっと悲しみを背負い続けてきた男が心の底から笑えるのなら…自分はそれを見守ろう…。
お登勢は満足げに微笑みながら、銀時を中心に騒いでいる面々を見つめていた。
* * * * *
再び全員揃った部屋で、各々元座っていた場所へと戻る。テーブルの真ん中には、銀時の携帯電話。もちろん、通話の相手は先ほどと同じ…辰馬のままだ。
『けんど、なして紫苑は晋助のそばにおらんがか?アイツは、げにまっことおまんの事を心配しちょったぜよ…』
辰馬の問いに、紫苑の表情は曇る。
『真選組におるっちゅーがは、局長さんと副長さんの話で大体理解出来たけんど…何でそがぁなことになったが?ワシにも分るようにちゃんと話しとおせ』
辰馬はずっと宇宙に居た為、紫苑の事情は殆ど知らない。時々地球に来た時に、銀時や桂と会って、話して。その時に「ああ、まだ紫苑は誰の元にも戻っていないのか」と落胆していた。あるいは、2人が把握できていないだけで…本当は鬼兵隊にいるのではないかとすら思ったくらいだ。
辰馬の脳裏に、紫苑とはぐれてすぐに交わした晋助の言葉が過ぎる。
『晋助、鬼兵隊の副官はどうするつもりぜよ?このまま、空席というわけにもいかんきに…。』
『いや…誰にも副官の座を与えるつもりはねェ。鬼兵隊副官は、例え不在だろうと何だろうと…高杉 紫苑だけだ。それ以外は、俺が認めねェ…』
「……喧嘩したのよ……」
『喧嘩?』
辰馬の言葉を受けて、ポツリと紫苑が呟く。それは辰馬にもしっかりと聞こえていたらしく、紫苑の言葉をそのまま返す。事情を全て知っている真選組の面々と、銀時は何とも形容しがたい表情をしているが、紫苑は顔を俯かせたまま続けた。
「そう、喧嘩。もう…
あのニヒルに笑う晋助の瞳に、果たして自分という存在は映っているのかと…そう思うほど、紫苑から見る兄の姿は本当に変わってしまっていたのだ。シュンと項垂れている紫苑の頭をポンポンと撫でながら、電話口の辰馬に問う。
「辰馬…オメェ、今でもアイツと会うのか?」
『…おまん、それを真選組の局長さんと副長さんの前で言わすがか…?』
それもそうかとチラリと真選組の面々に視線を向けると、近藤はニカッといつもの人のよさそうな笑みで笑っている。土方はめんどくさそうに頭を掻きながら溜息を吐いていた。沖田に関してはいつものポーカーフェイスで、「お好きにどうぞ」と言わんばかりの表情だ。
「どうやら、今回の事は紫苑絡みだから…聞かなかった事にしてくれるみたいだぜ?」
『……、金時ィ…おまんはげにまっこと
「はぁ?何でそうなるんだよ。いいからさっさとさっきの質問に答えろ、馬鹿!!あと、俺は銀時だ!!何度も言わせんな!!」
『アッハッハッハッ!!』
あの鬼の副長と恐れられる男を黙らせる事ができる者など、そうそういないはず。しかし銀時はそれをやってのけたのだ。辰馬は思う。
(おまんは、今も昔も人を引き付ける天才ちや)
白夜叉として恐れられたこともあったが、それ以上に慕う人間も多かった。
それはどうやら、今も変わらないらしい。
サングラスに隠れた目元を細めながら穏やかに笑う。
夜叉と恐れられたあの時の銀時はもういない。今は、万事屋オーナー・坂田銀時なのだと。
「で、実際どうだ?」
銀時の言葉で我に返った坂本は、「そうじゃった」と前置きを置いて口を開く。
『ワシらは快援隊じゃ。取引の依頼ばあったら例え誰じゃろうと取引をするぜよ』
「つまり、高杉とも会ったと…?」
坂本の言葉に、紫苑の肩がかすかに揺れ、真選組の面々にもそれなりの緊張が走る。快諾したとはいえ、やはり過激派攘夷志士と名高い高杉 晋助は彼らにとっては言いようの無い緊張の走る単語なのだ。そんな
『いや、直接は
「ただ?」
『電話じゃと、晋助とよく話すきに』
「そうか…」
そこで銀時は小さく溜息を吐く。てっきり晋助は、もう誰とも…攘夷戦争を共に駆け抜けてきた
「辰馬、オメェから見て、聞いて……高杉は…晋助は…もう紫苑の事を忘れてると…そう思うか?」
一切を包み隠さないその言葉に、紫苑の肩が再び揺れた。そして小さく震えている。銀時はさっきと同じように頭を優しく撫でている。きつく握られた手は、子供達が自分のそれを重ねていた。
大丈夫、どんな言葉が返ってきても自分達がそばにいる。
そこに居る誰もが…そういう思いで、紫苑を見守っている。
暫く…何とも言えない沈黙が続く。
そして…
『あくまでワシの聞いて思った限りのことじゃが…それでもえいが?』
「あぁ、かまわねぇよ」
『…ワシャ…晋助は今でも紫苑の事をほりゃ大層大事に想っちょると思う。』
「……テメェの妹を殺そうとした兄貴がか?」
そこまで大人しく辰馬の話を聞いていた土方が話に割って入った。しかし辰馬は気にした様子も無く話を続ける。
『おんしら真選組は晋助を過激派の攘夷志士としてしか見ちょらんきに、信じとおせっちゅーんが無理な話かもしれんが…晋助は確かに紫苑の事を想っちゅう。』
「やっぱ、オメェの目から見てもそう見えるか…」
『銀時ィ、考えてもみぃ。晋助はワシらが太鼓判を押すほどのシスコンじゃったぜよ!!アッハッハッ!!』
「ま、確かにな…」
笑いながらチラリと周りを見ると、攘夷志士としての晋助しか知らない銀時と紫苑以外の者達は驚きだったり、何とも形容しがたい表情をしている。
そして、紫苑は…
「そんなこと…絶対に無いわ。だって…私にとどめを刺そうとしたのは他の誰でもない兄さんだった…。……銀時、辰馬…。私はどうしても…」
悲しそうに、目を伏せていた。
「俺達の言葉が…信じられないか?」
「…えぇ…。ごめんなさい…。」
『まぁ、おんしがそう思うのも無理はないきに、気にするなが』
「そーそー、あのチビ助が不器用なのがいけねぇんだよ」
申し訳無さそうに謝る紫苑に、銀時は笑いながらそして辰馬もいつもの陽気な声で気にするなと言う。
「けど…旦那方が揃いも揃ってそう言うってこたァ…やっぱり高杉の野郎は紫苑のことを大切にしているこってことなんですかねィ…?」
「うむ、俺にはとてもそう思えんが…」
「まぁ、よく知る幼馴染が言うんだ。恐らくはそうなんだろうねェ…」
晋助が紫苑を今でも大切に想っているかどうか。沖田にも近藤にも、そしてお登勢にも…今までの経緯を聞く限りでは、到底大切にしているようには思えない。それは紫苑も例外ではないようだ。
しかし晋助と紫苑をよく知る戦友の坂本、そして幼馴染であり恋人である銀時は“今でも晋助は紫苑を大切に想っている”という。
「お二人がそう言いきれる根拠は何でしょうか?それをお話すれば、紫苑様もお分かりになるのではありませんか?」
たまの言葉に、銀時が頭を掻く。辰馬も「うーん」と唸るだけで黙ってしまった。何か自分は余計な事をいってしまったのだろうかと、たまは首を傾げたがそんなたまを見て銀時がヘラリと笑う。
「たまの言う通りだ。だがよォ…」
『ワシらも、今の晋助が何を思っちゅうかようわからんきに、これといった確証がないっちや』
「まぁ、あるとすりゃあ…」
『晋助の着ちょる着物ぜよ』
「やっぱそうだよなァ…」
その言葉に反応したのは、ほかの誰でもない…
「着物…」
紫苑だった。着物と聞き、思い浮かんだのは…紫苑のことを忘れたくなかったと言いながら大切そうに着物を撫でた、あの時の兄の姿。自分が買った2枚の着物の片割れを、それは大事そうに着ていた…あの時の晋助。
「兄さんは…まだあの着物を…?」
「ん?そっか…紫苑は暫くの間は鬼兵隊にいたから知ってるんだな」
『そうぜよ。あん時の着物をほりゃ大事に着ちゅう。ワシも最初は、ほりゃ驚いたぜよ!!』
ここにきてまた、晋助の着物の話。先ほど、紫苑抜きで話していた時にも銀時から聞いてはいたが…やはり、幼馴染と戦友が揃ってそういうのだ。
「……どうして?あんな派手な着物…嫌いはなずなのに…もう、私のことなんて……覚えていたくもないはずなのに…」
そして何より、紫苑自身が信じられないと言った口調で言うのだ。やはり、晋助が着ている着物は…彼を良く知る者にしてみれば、ありえないことなのだろうということがはっきりとわかった。
そして、こうも頑なに銀時と坂本が晋助のことを信じている理由も。
「ソレハ、高杉ッテ男ガ紫苑サンノ事ヲ大事ニ思ッテイルカラデスヨ」
「そうネ、キャサリンの言うとおりアル!!」
「高杉さんが着ていた着物にそんな理由があったんですね。きっと、紫苑さんのことを大事に想っているからこそですよ!!」
そう…キャサリンが言った通り、そして2人の男が断言した通り。
「晋助はお前を大事に想ってる」
『それは、ワシらが保証するぜよ』
晋助の中に、まだ紫苑という存在が生きているからなのだ。
鬼兵隊副官としてではなく、自分の大切な妹として…。
「……本当にアンタ達は不器用な
お登勢が笑いながら紫苑に言えば、少し困ったように…笑う。
「よく…言われます」
「ま、不器用もほどほどにな?」
くしゃりと銀時が紫苑の頭を撫でる。すると、恥ずかしいのだろう…。うつむきながら小さく頷いた。
「さて…話を元に戻すが…辰馬。大至急休みを作れ。花見…するぞ。」
『銀時、そりゃワシァ構わんが……なしてそがぁに急ぐぜよ?それに、今年の桜はもう散りよる。どうせ花見をするんじゃったら、満開の時にした方がええんじゃなか?』
「………」
坂本の言うことはもっともで、桜の季節と言っても…既に場所によっては桜の花は散りつつあった。花見をするには、一足出遅れたと言っても過言ではない。
本来であれば、坂本の言うとおり…翌年に花見をするのが得策だろう。
しかし…そんな時間は…ない。
「…坂本殿、実は大事な話がある…」
『大事な話…?局長さん、ほりゃどんな話じゃ…?』
若干声色の変わった近藤の言葉に、坂本はあまり良い予感がしなかった。
(まさか…紫苑が攘夷志士として捕まるが…?それとも銀時かえ…?…いんや、そがぁな単純な話でもなさそうぜよ…)
言いにくそうに表情を曇らせる近藤。それを察した土方が代わりに口を開く。
「……落ち着いて聞いてくれ。紫苑は……病に侵されている…」
土方の一言で、先ほどまで明るかった空気が…一気に現実に引き戻されたような…そんな重苦しいものへと変わる。
沈黙が続く。その沈黙を破ったのは…
「……宣告を受けたのは昨年の今頃で、その時の余命宣告は1年だった。つまりね、辰馬……私の命はもう……」
『……ッ、そ…そがぁな嘘を吐くな!!
「嘘じゃねぇッ!!辰馬、聞け!!」
紫苑の言葉に嘘だと声を荒げる坂本、それ以上に声を荒げて坂本を制する銀時。
また…部屋が静かになる。
(……やっぱり痛ェ…。そんだけ、旦那達にとって紫苑は大事で…この事実は信じられねェし信じたくねェ事実ってことかィ。当然でさァ…俺だって信じたくもねェ…)
必死に歯を食いしばり、何とか自分を保とうとしている銀時を見ながら、沖田は思った。それほどまでに、この男達にとって…高杉 紫苑という存在は大きかったのだと。
沈黙は一時と続かず、今度は銀時が先に口を開いた。
「俺は今日、紫苑と再会したっつたろ…?そん時に…紫苑は血を吐いて倒れた。……俺の…目の前で…」
『………!!』
銀時の言葉に坂本が息を呑む。
『(銀時の前で倒れた…!?)紫苑、それに銀時…!!おまんら…大丈夫がか!?』
坂本が危惧したのは、もちろん紫苑の身体の事もあったが…銀時の精神状態もだった。銀時は表面上では大丈夫だと装う。決して人に弱みを見せない。だが、一度崩れてしまえば…周りが手をつけられないほど酷く荒れる。攘夷戦争中…特に紫苑とはぐれたあとにも、何度かそういうことがあった。その度に、坂本達が必死に止めたのだ。その心配がどういう内容かすぐに分かった土方は、あの時の銀時の状態を思い出しながら小さく息を吐く。
(なるほど…仲間内では万事屋の精神状態の脆さは把握済みってことか…)
チラリと土方が銀時の表情を伺えば、なんとも形容しがたい顔をしている。
「私は……まぁ、いつもの発作ってお医者様に言われたから、大丈夫よ…」
紫苑が苦笑しながらそう言えば、それに続くように銀時も口を開く。表面上は、誰にも悟られないよう平然を装っている。だからこそ土方には、彼が何を言おうとしているか…手に取るように分っていた。
「ったく…バカ言ってんじゃねぇよ、俺ァ「大丈夫じゃねぇな」……ッおい!!」
だからこそ…大丈夫だと言いかけた銀時の言葉を、土方は間髪いれずに遮った。余計な事を言うなとでも言いたげな銀時の視線を受けたが、土方はそれを綺麗に無視して話を続ける。
「万事屋は紫苑がぶっ倒れた時に動揺しまくった。処置室に入っていこうとする医者に掴みかかってぶっ殺すと言った。そして…目の覚めない紫苑を見つめながら…泣いた…」
「ちょ、ちょっと多串君…!!」
そんなにズバズバと恥ずかしい事を暴露されてはたまったものではないと、銀時は止めに入るが…それでも土方は続けた。“多串君”と呼ばれたことをも、きれいさっぱり無視して。
「殺気もダダ漏れでな、うちの血気盛んなドS隊士が…その殺気に負けて抜刀しそうになったし、俺も下手すりゃ抜刀してた。しかも俺達の目の前で、事もあろうに自分が“白夜叉”であることも暴露しやがったよ…」
『……はぁ、銀時ィ…おまん何しちゅうが……』
「うっ、だ、だってよォ…」
銀時の精神状態を考えれば無理もないだろうと坂本は苦笑をもらす。当然だ。愛した
『けんど…白夜叉を暴露したがは…いかんきに』
「………はい…」
しかし、かといって言っていい事と悪い事はある。あえて、殺気をダダ漏れにした事や、医者に対して殺すと言ったことは咎めなかった。坂本が指摘したのは…
『おまん、もう少し自覚しとおせ…。確かに今はヅラや晋助と違ごうて攘夷志士がやないにしても、元は伝説の白夜叉じゃったが。そがぁな事を……幕府御用達の真選組の前で
「…け、けどよぉ…」
『けんどがやない!!』
自分が白夜叉だと暴露したことだった。さすがの坂本も、土方の口からでた“白夜叉”の単語に肝が冷えた。仮にも…幕府御用達の真選組にそれがバレてしまっては、それこそ銀時の日常が壊れてしまうと。
そんな彼らのやり取りを見ながらあ、さっきとはまるで立場が逆転したと…新八は苦笑する。神楽も横で笑っていた。
明らかに怒っていると思われる坂本と、必死にいい訳を考えている銀時。そんな銀時に近藤達が…幕府の人間として、そして真実を知ってしまった者として…口を開く。
「ま、まぁ坂本殿…落ち着いてくれ…」
「俺達は今まで旦那に世話になりやした。その恩を仇で返すようなことはしやせんぜィ?」
「今回、
電話口から聞こえてきた言葉に驚いたのは…その事実を知らなかった坂本のみ。暫く呆けていた坂本だったがやがて、いつもの陽気な笑い声が聞こえてくる。
『アッハッハッハッ!!』
「……紫苑、どうする?辰馬のバカ、とうとう壊れちまったぞ?」
「い、いや…私に聞かれても…」
ただ馬鹿笑いする坂本に、銀時と紫苑は顔を見合わせる。
『銀時ィ~~!!やっぱおまんは、
「……もうコイツ、何考えてるのかわかんねェ…」
ガクリと項垂れる銀時を、その場に居た誰もが笑いながら見ている。紫苑もまた、そんな彼の姿を微笑ましく見ていた。
そして、坂本同様…自分が愛した
「辰馬、私…嬉しいわ。一緒に過ごせる時間は短いかもしれない…ううん、だからこそかな?凄く…嬉しいの。銀時に会えて。そして…その銀時が…あの時とは違って、心の底から笑っている姿を見ることが出来て…」
『ほうかァ…』
「うん、白夜叉なんて…本当にただの戯言よ。銀時は
『ワシも紫苑と同じ事を思っちょったぜよ、アッハッハッ!!』
坂本と紫苑だけではない。
「そうネ、銀ちゃんが鬼なんて似合わないアル!!」
「何と言っても、チャランポランとマダオの代名詞みたいな人ですからね!!」
万事屋の子供達も。
「がはははっ、いやまったくだ!!紫苑と坂本殿の言うとおりだなァ!!」
「まぁ、いけ好かねぇ野郎だがな」
「俺にとっちゃ、旦那は旦那でィ。いつか一緒に土方を殺してくれる良き相棒でさァ」
「おいこら総悟ォォ!!」
「うるせぇ土方死ねよ」
「テメェが死ねよ総悟!!」
真選組の面々も。
「たとえ何と呼ばれていようと、私にとっては今の銀時様が私の知る銀時様…。私、過去は振り返らない
「アホノ坂田サンデアル事ニハ変ワリアリマセンネ」
「そうさね、家賃もろくに払ってくれないただの邪魔な男さね」
スナック・お登勢の面々も。
「ただ…アタシは嬉しかったよ。銀時が、
誰もが…坂田 銀時という男を凄い男だと…そう思っている。
白夜叉
屍を喰らう鬼
そう呼ばれるには、本当に…
「う、うるせぇ!!好き放題言いやがって…!!」
「あれ、銀時…もしかして照れてる?」
『アッハッハッ!!』
「照れてねェし!!てか、笑うな馬鹿本!!」
優しすぎる男だった。
* * * * *
ひとしきり銀時をからかい終わった頃、看護師が部屋に訪れて紫苑に病室へ戻るよう促した。いつもの発作とはいえ、吐血して倒れた後だ。恐らくは投薬治療もあるのだろう。名残惜しそうにチラチラと見ていた為、また改めてあとで病室に行くと…銀時と真選組の面々は約束した。辰馬も、近いうちに必ず休みをとると…無理にでも作ると紫苑に約束をした。
そして…残された面々は相変わらず携帯を囲む形で座っている。携帯もまだ、坂本と繋がったままだ。
「そんじゃあ、花見はする方向でOKだな?」
確認の意味を込めて銀時が聞けば…
『もちろんじゃ。けんど…1つだけ、条件があるぜよ』
「はぁ?条件があるだァ?」
坂本が思いもしなかった事を口にした。ここにきて条件など…いったいなんだと、そこにいる全員が思った。胡乱気に銀時が聞けば、先ほどまで明るかった声が嘘のように真剣なそれへと変わる。
『銀時、そしてヅラ…。おまんらが晋助と仲直りをすることじゃ…』
「……、オメェそりゃあ…」
『無理とは言わせやぁせん』
晋助との仲直り。
それが…坂本の提言した条件だった。
苦い表情をする銀時に、なおも坂本は続ける。
『おまんとヅラが、晋助と
「……、それは……」
晋助と
言いようのない感情が…銀時を苦しめた。
『違うじゃろう?まっことは、ほがぁなこと望んじゃぁいなかったがじゃろう?』
そう…本当はそんなこと望んではいなかった。
ただあの時は、松陽の教えに背き世界をなきものにしようとしている晋助が許せず…売り言葉に買い言葉であんなことを言ってしまった。
だが本心は…裏腹だった。
言ってしまった後に1人後悔した。桂がどう思っているかは分からなかったが…少なくとも、銀時は…
「……憎いわけねぇだろ…。幼馴染で、そんでもって…背中を預け合って戦った
できることなら、あの時の言葉を撤回したいと…また馬鹿みたいに笑い合いたいと…
そう、思った。
共に笑い
ともに戦い
そして…
『紫苑ッ…』
『…すまねぇ…ッ…』
『…晋助ッ…』
『…銀時ィ…』
『『……すまねぇ……』』
背中合わせで共に涙を流した大事な仲間を憎むことなど…
出来るはずがない。
「できることなら………、けど…」
仲直り…など簡単な言葉では片付かないほどの壮絶な
『ワシァ喧嘩は好かんぜよ。
坂本の言葉に、その事実を知らなかった真選組の面々は驚いたように声を上げる。
「最後まで戦わなかったんで?」
代表するように、沖田がそう問えば銀時は頷く。
「こいつはな、戦争の途中で抜けたんだよ」
『ほうじゃ。ワシャ仲間がいたずらに死きいくのを見ちゅうことしかできんかった…。そがぁな自分が許せんかったぜよ。んで、何かワシにも出来ることはなかかと思うた…』
「そんで、辰馬は宇宙に行った。商いという名の
『地球は銀時達がおったきに、地球の事はまかせたんじゃ』
「そうだったのか…」
何故坂本が
『じゃから…銀時、おまんとヅラは、晋助と仲直りしとおせ』
「お前なァ、簡単に言うがよォ…」
『あと、紫苑と晋助もじゃ。紫苑の命が尽きかけちゅうなら、なおさらぜよ』
「まぁ…その2人に関しては俺ももろ手を挙げて賛成だが…」
しかし、本当に自分達と晋助は仲直りが出来るのだろうか?
そのやり取りを見て、土方と沖田は悟った。
(あぁ、だから万事屋は…)
(仲直りのしかたなんて聞いてきたんですねィ)
紫苑と晋助の仲直り、そして銀時・桂と高杉の仲直り。
その方法を…銀時は考えていたのだと。
『えいが?紫苑と晋助に関しちゃ当日でも問題ないじゃろうとワシァ思うちゅう』
「まぁ、あの2人は当日でも大丈夫だろうな…」
『けんど、おまんら2人は…当日までに仲直りしとおせ。無理そうじゃったら、花見は無しじゃ』
「……まぁ、生き残った全員で花見ってぇのが約束だったからな…」
『ほうじゃ…。それに、花見の提案は紫苑で月見酒の提案は晋助じゃ』
「……そうだな…、そうだよなァ……」
他の誰でもない高杉
この2人がいなければ意味がない。
「やれるだけのことはやってみる」
『おー、それでこそ銀時じゃ!!』
果たして…今の晋助に自分の言葉が届くだろうか?
師を失い、戦争に出て、負けて…。
ふらりと晋助達の前から姿を消した銀時は、攘夷活動には一切手を染めず万事屋という仕事を始めた。
久々に晋助と再会したあの祭りでは…恐らくはお互い様だったのだろうが、その変わりように驚き、落胆した。
そして紅桜の件で…完全に
そう、思っていた。
『大丈夫ぜよ、おまんらなら』
「お前なァ、人ごとだと思って…」
けど…あの時から、ぽっかりと心に穴があいたような…そんな虚しさも感じたのだ。
決して、新八や神楽、そして桂の前では口にしなかったが…いつも思っていた。
もう、あの頃の…師を中心にして笑い合っていたあの頃の自分達には戻れないのかと。
それと同時に怖くもあった。
晋助と仲直りしたら…あの時晋助と敵対した新八と神楽が自分を軽蔑して、自分の元から去っていくのではないかと。家族をまた…失ってしまうのではないかと。
だが…
「全く…何で銀さんの周りの人達ってこんなに素直じゃない人が多いんですか…」
「類友ネ」
「あー、なるほどそうか…」
「けどね、銀ちゃん…」
「仲直り、ちゃんとした方がいいですよ?」
「じゃないと、私達みたいになっちゃうヨ。もちろん、しーちゃんも…。だから…」
「ちゃんと仲直りをして」
「銀ちゃんの友達を紹介するヨロシ!!」
銀時が思う以上に、この小さな家族は強かった。
呆けたように2人を見つめる銀時。
それを電話越しに聞いていた坂本。
『…銀時はげにまっこと幸せもんじゃ…。こがぁないい家族を持って…』
坂本の言葉に、お登勢も目元を和ませる。
(坂本さんの言うとおりさね。銀時…アンタ、私が拾った頃よりも…)
「うるせー、テメェに言われなくてもだなァ…」
「なるほど、自覚がおありなのですね」
「た、たま!?いや、その…だな…」
「万事屋、素直になれよ」
「いいじゃないですかィ、旦那」
「コレジャドッチガ子供カ分カリマセンネ」
「がははっ、全くだな!!」
「だーからっ、うるせーつってんだろォォ!!」
(いい顔で笑うようになったよ…)
いつの間にか騒がしくなった連中を眺めながら、静かに笑う。
それは…
(げにまっこと、おまんは天才ちや…)
坂本もまた同じだった。
あの、ですね……辰馬の土佐弁が、ですね…その……ごめんなさい、よくわかりませんでしたorz(苦笑)一応、土佐弁の翻訳サイトとかも使ったんですが…なんか、サイトによって翻訳が違っていたりして(苦笑)違っている部分などもあるかと思いますが、決して土佐弁をないがしろにしているわけでも馬鹿にしているわけでもありません!!ただ、私が馬鹿なだけなんです…orz
というわけで、辰馬と紫苑の仲直り…というか再会話でした!!次回、ついに高杉登場!!すっげぇ時間掛りましたね(=∀=;)銀時と高杉の電話シーンから…何話経った!?(笑)そしてそろそろ…この話も終わりそうです…!!
(2011年4月14日 にじファン初投稿)