sideアクア
俺は星野愛久愛海…既に亡くなったけど、母親であるアイやほとんどの人達からは縮めて『アクア』と呼ばれている。そんな俺は今日もいつもと変わらない日常を過ごしていた…学校が終われば妹のルビー(瑠美衣)達のアイドルグループであるB小町(2代目)のお手伝いをするのが俺の日常。俺も一応芸能人ではあるが仕事はそんなに多くはない…だからこそマネージャー的役割もできるわけだ。
「星野、今日こそは一緒に帰ろうぜ?」
「悪い、今日も妹達の仕事を手伝わないといけないから…ごめんな。」
「そうか。まあ、頑張れよ!」
「ああ…」
俺はクラスメイトを見送ってから事務所へと向かおうとしたその時、俺の携帯の着信音が鳴り出す。こんな学校終わりに誰なのだろうか?正直迷惑しながらも俺は通話に応じる。
「はい、星野です。」
『星野さんの携帯ですね?私、トーエーの田中ですが…』
「トーエー…もしかしてこの前受けたプ〇キュアのオーディションについてでしょうか?」
『そうですね。星野さんは察しが早くて助かりますよ!』
俺がトーエーの人に用件を尋ねるとまさにその通りの答えが返ってきた。実はつい先週の土曜日にトーエーで今年のプ〇キュア作品の声優オーディションを受けてきたのだが、どうやらその結果がここで発表されるらしい…
「それで僕はオーディションに受かりましたか?」
『はい、もちろん満場一致の合格です!貴方のオーディションでの熱演、胸に響きましたよ。プロデューサーの鷲谷も高く評価していました!』
「それは良かったです。それで、僕はどんなプ〇キュアの役をすれば良いのでしょうか?元気なやつでもクールなやつでも何でもやりますけど…」
『そうですね、星野さんにはこの作品の悪役をやってもらいたいのですが…』
「えっ?」
トーエーの人から言われた役を聞き俺は一瞬フリーズする。俺が受けたのはプ〇キュアのオーディションだよな?それで何故に悪役…話がぶっ飛びすぎて何が何なのかよく分からなかった。
「あの…すみません、僕ってプ〇キュアのオーディションを受けたんですよね?」
『ええ、受けましたよ。プ〇キュアの悪役のオーディションをね…』
俺は受けたオーディションがどんなのかを知って絶望してしまう。俺は最近流行りの男の子プ〇キュアの役が手に入ると思って事務所から斡旋されたトーエーのオーディションを受けたつもりだったのだが…どうやらはめられたらしい。
「そうなんですか。とりあえず、そのお仕事はお引き受けするので打ち合わせの日時が決まったらまたご連絡をよろしくお願いいたします。」
「ありがとうございます。それでは、失礼いたします…」
そう言ってからトーエーの人は通話を切った。悪役の仕事に関してはとりあえず引き受けることに…芸能人としての仕事もしなくちゃ芸能界にいる意味がないし、プ〇キュアの声優ってのは大きな仕事だ。何しろ、俺が雨宮吾郎だった時からやってる女児向けアニメシリーズだからな…入院していた女の子と一緒に観たり、転生した後も家族三人で観てたことが懐かしい。
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(…とは言うもののどうしよう?)
とりあえず、俺はルビー達がライブに向けての練習をしている事務所へと向かっているのだが…今回決まった仕事についてどのように報告すれば良いのだろうか?単にプ〇キュアの声優になったと言えば小さい頃からプ〇キュアが好きだったルビーは褒めてくれるだろう…特にアイがプ〇キュア声優をしていた時の作品が特に好きだったぐらいだし飛び跳ねて喜ぶこと間違いなしなのだが、俺はあくまでも悪役。こんなのを知られたら有馬とかに言いふらされて有馬やMEMからいじられる。俺はアイのように自分を偽らないといけないのか!?
(まあ、とにかく勇気を出してしまえば怖くない…男は当たって砕けろだ!)
「あっ、お兄ちゃん…遅い!どこで何をしてたの?」
俺が事務所のダンスレッスン部屋に入ると真っ先にルビーが出迎えに来た。彼女は頬を膨らませてプンプンと怒っている…妹補正があるにしても怖いというかむしろ可愛い。
「どうせ女たらしのあんたのことだから学校中の女子でもナンパしてたんでしょ?色男は羨ましいわねぇ…」
「アクたんってあかねがいるのにそんなことをしてるの?流石に引くかも…」
「してないから!とにかく、さっきまでトーエーの人と仕事の話をしてたんだよ…」
「トーエーってもしかしてプ〇キュアを作ってるトーエーさん?」
「そうだけど…」
「もしかして、お兄ちゃん…プ〇キュアになるの?今、流行ってる男の子プ〇キュア!」
「えっ!?ああっ…」
ルビーは俺の予想通りに訊かれるであろう質問を投げかけてくる。どうやらプ〇キュアになるのではと思っていたようだ…そりゃあ最近のプ〇キュア声優は若くなっていて高校生がなってもおかしくない時代だからな。プ〇キュアと聞けばこうなるのも無理なしだ…俺はこの圧力に何も言えなくなってしまう。
「へぇ…いつもは陰キャで趣味も少なそうなあんたがプ〇キュア声優なんて意外ね。」
「有馬、お前そこまで言うか?」
「もう、先輩の私達に報告しないなんて水臭いんだから…アクたんって冷たいなぁ〜。」
「先輩?ルビー、どういうことだ…俺はこいつらの後輩になった覚えはないぞ?」
「「いや、まず学年的に後輩でしょ!?」」
MEMが変なことを言い出したことに対してルビーに訊ねようとすると二人は声を揃えてツッコミを入れる。まあ、学年的には先輩だろうけども俺は二人のことを先輩と思ったことはないんだよな…何が『先輩』なのだろうか?
「そっか、お兄ちゃんは知らないよね…実は先輩とMEMちょはプ〇キュア声優の先輩なんだよ?まあ、その時のお兄ちゃんはいつも日曜日は朝の9時に起きてたもんね…」
「マジかよ、プ〇キュア声優の先輩…」
ルビーはこの二人がプ〇キュア声優の先輩であるということを俺に説明した。なるほど、身近なプ〇キュア声優はアイだけじゃなかったのか…この目の前にもいたということらしい。
「まあ、随分昔の話だけどね…一応プ〇キュア声優として1年間戦ってきたつもりよ?」
「いやぁ、こうやって言われると懐かしいしちょっぴり照れちゃうかも。アハハ…」
「ねえ、二人とも…折角の機会なんだしお兄ちゃんの前で演じていたプ〇キュアの名乗りをこの場でやってみてよ!きっとこれからプ〇キュアになるお兄ちゃんも何かを勉強できると思うから。」
「了解、有馬ちゃん…やるよ!」
「ふんっ、しょうがないわねぇ…可愛い後輩のために見せてやろうじゃないの!」
「爪弾くは女神の調べ、キュアミ〇ーズ!」
「天空に舞う蒼き風、キュアプリ〇セス!」
MEMと有馬はそれぞれ演じていたであろうプ〇キュアになりきって名乗りを俺とルビーに披露する。アイの時もそうだったけど、プ〇キュアを演じている時って楽しそうなんだよな…俺はプ〇キュアの声優をやってた人と前に対談したことがあるけど、その人がもう楽しそうに名乗りをやったり作中の演技を披露していたのを見て男の子プ〇キュアが出た背景もありプ〇キュア声優に憧れたものだ。(もちろん、アイがプ〇キュア声優をしてたのも少しはある…)
「うわぁ…生で観ると迫力が半端ないよ!お兄ちゃんがどんなプ〇キュアになるのか楽しみ♪」
「あ、あのさ…俺、プ〇キュアにはならないんだよね。」
「「「えっ?」」」
ルビーが楽しみを膨らませているのを見て罪悪感が芽生えた俺は悪役になったことをカミングアウトしようと話を切り出す。三人はこれに驚きを見せた…まあ、みんな考えてることは同じだろうな。
「どういうこと?もしかしてあんた…プ〇キュアに出ると強がって嘘をついたんじゃないでしょうね?」
「アクたんが人を騙すなんて思ってもいなかったよ…」
「お兄ちゃん、私は嘘つきが嫌いなのを知ってて騙すようなことをしてたの?本当に最低…」
「いや、今年度のプ〇キュアに出るのは本当なんだ…でも、悪役として出ることになってな。オーディションがどうやら悪役のオーディションでプ〇キュアのやつじゃなかったようだ…騙すような感じで申し訳ない。」
「なんだ、悪役か…さあ練習練習。ライブも近いしビシビシ行くわよ〜。」
「本当に拍子抜けしちゃったなぁ…」
「お兄ちゃん、今から曲を流して通しで練習するから音楽再生してくれる?」
「えっ、ああ…分かった。」
そんなこんなで俺がプ〇キュアに悪役として出ることを打ち明かすと三人から冷たくあしらわれてしまった。さっきまで食いついていたのにこんな風にされたら俺はもうショックでしかない…まさかプ〇キュア好きの妹からもこんな対応されるとはな。とりあえず、俺もプ〇キュアに倒されるまでは悪役として雑音も何もかもを振り払い役割を全うすることにした…
いかがでしたか?中の人ネタ満載で書いてみました!かなちゃんにキュアプリンセスの名乗りをさせたり、MEMちょにキュアミューズの名乗りをさせたり…声優がそれぞれ同じ潘めぐみさん、大久保瑠美さんだからこそできたことです。あと、アイちゃんはりえりー(高橋李依)なのでしれっとね…
それにしても『推しの子』ってプリキュア声優が何気に歴代のB小町に密集してますよ。アイちゃんのりえりーがキュアミラクルであと二人は上記の通り…それで今年のプリキュアであるわんぷりに関してはルビーちゃんの伊駒ゆりえちゃんやミヤコさんのLynnさんがプリキュアになってアクアの大塚くんがプリキュア声優に囲まれるなんて予言をしてましたけど、まさか大塚くんから出向くことになるとは…不思議なものですね。ただ、ゆりえちゃんはまだ新人だからプリキュア声優になれるチャンスは結構ありますね!ゆりえちゃんがなったらB小町はみんなプリキュアだった…なんてネタができます。とりあえず、ゆりえちゃんに期待ですね!
感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをよろしくお願いいたします。それでは、また他の作品でお会いしましょう!