タウイタウイの美少女? 提督とアレな仲間達   作:ゆっくりいんⅡ

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年末年始の後始末(曙編よ!)

 どうも、提督です。皆さんは年始というと何を思い浮かべますか? 

 お参り、お年玉、新年会、もち、年始番組……色々あるでしょう。だがその中で敢えて俺はそういういいものじゃなくて嫌なものを挙げたい。それは、

『酔っ払いどもが汚した場所の後片付け』だ。

 ……何でそんなものを挙げたかって? ただいま絶賛片付け中だからです、三箇日が終われば現実に戻るんだよ。

 ぽいっ

 はあ、ようやく廊下が終わった。さて次は……

 ぽいっ

 大広間か、多分ここより酷くなってるんだろうな。

 ぽいっ

 その後は食堂と演習場と……今日中に終わるか微妙なところだ。

 ぽいっ

「……ねえちょっと、提督」

 声を掛けられたので振り返ると、そこには別の場所を掃除していた特型駆逐艦、曙が立っていた。服装はいつもの制服ではなく紫を基調とした艶やかな晴れ着姿で、手には箒とちりとり、腰には白の前掛けエプロン。年末の大掃除でも見掛けた姿だ。

「ああ曙、どうかしたか? 駆逐寮の掃除は?」

 ぽいっ

 すると曙は何故か呆れた顔で、

「いやどうかしたかじゃなくて……何を当然のように艦娘を投げ捨ててるのよ? あと、頼まれた場所は全部終わったわ」

「助かる、流石に早いな。じゃあ次は」

「投げ捨てをスルーすんな」

 ペシリと額を叩かれた。別に説明する必要もないと思うが。

「掃除の邪魔だから」

「……その気持ちは分かる、すっごい分かるわ、あたしもそう思ったし。でもさ、声くらい掛けてもいいんじゃない?」

「最初はそうしてたけど、どいつもこいつもあーとかうーとかしか言わんから面倒くさくなった」

 ちなみに今現在、俺達がいる廊下には艦娘達が死屍累々と、映画の戦闘シーンみたいに転がっている。漂っている匂いは血じゃなくて酒だがな。

「要するに無駄なく合理的に動いた結果だ」

「そこは無駄でも声掛けなさいよ」

 そう言いつつ、曙は倒れている皐月に「ほら、掃除の邪魔だから部屋戻んなさい。綺麗にしといたから」と声を掛けている。しかし返事は「うう、もう飲めないよう……」だった。酔っ払って更に飲んでる夢見てるのか。

「ああもう、起きろっての!」

「それくらいじゃ動かないぞ」

 ぽいっ

 とりあえず、手近な部屋に放り込んだ。

「……優しくしなさいよ」

「今日中に掃除が終わるならそうするが」

「……」

 何か言いたげだが黙ってしまった。一々声掛けしてたらそれだけで日が沈んじまうからな。

 くいくい

 不意に後ろから袖を引っ張られたので振り返ると、

「提督さん、夕立を呼んだっぽい~……?」

 二日酔いで辛そうな夕立が立っていた。着ている晴れ着は微妙に乱れているので、簡単に直してやる。

「呼んでない。呼んでないから部屋戻ってろ。じゃないと適当に投げておくぞ」

「ぽいされるのは嫌だからお部屋に戻るっぽい~……」

 ぽいぽい言いつつ千鳥足で去っていった。倒れなきゃいいが、放り込むのも正直面倒だからな。

「……何で呼ばれたと思ったのかしら」

「知らん」

 擬音に反応したのかもしれんが、もしそうだったら超人というより芸人の域だぞ。

 

 

「ところでク、提督、その格好はなんなのよ?」

 移動中、曙はつっかえながら質問してきた。多分クソ提督と言いかけて慌てて直したのだろう。

 他所での曙は俺達(提督)のことを『クソ提督』と呼び、それに苦笑したり一部喜ぶ変態もいるらしいが、ウチの曙は普通に提督と呼ぶ。時々今のように呼び掛けるが。

 あれだろうか、初対面の際に比叡をアイアンクローで吊り上げていたのが原因だろうか。他人が作ったカレーを隠し味という兵器で台無しにしてくれたからお仕置きしていただけなのだが。以前「別にクソ提督でもいいぞ」って言ったら青い顔になって、全力で首を横に振っていたし。普段は平然としているが内心怖がられているのだろうか。

 閑話休題。さて曙がいう俺の服装だが、彼女と同じく晴れ着で色は鮮やかな藍色だ。流石に足を見せる気はないので裾は長めにしているが。

「動きやすいから」

「……そんなんだから『男の娘提督』とか『我らのロマン』とか言われるんじゃないの」

「子って年齢じゃないんだが」

「違う、そうじゃない。というか前から疑問なんだけど、あんたって幾つよ?」

「数えてないから正確に覚えてない。というかこの晴れ着は大本営経由で注文したら何故か届いたのがこれだったんだが」

「……上層部はアンタの性別間違えてるんじゃないの?」

「流石にそれはない……と思う。注文を五十鈴に頼んだのがまずかったか」

「絶対それでしょ」

 名取型軽巡洋艦、五十鈴。我が鎮守府において水雷戦隊の長を務めており、秘書官も兼任する有能な人材。……なのだが、事ある毎に女物の衣装を着せようとする妙な性癖を持っているのだ。

 この前なんか『童貞を殺す服』とかいう怖気の走るネーミングの衣装を渡されたし。「あ、あなたに似合うと思って……悪い!?」とかツンデレ気味に言われてもどう反応すればいいんだよ、あとどうやってサイズ知った。

 それ以外の面では面倒見が良く仕事にもきちんと取り組むため性質が悪い。ド変態の鈴谷と違って〆める理由が少ないし、他に水雷戦隊の隊長格は夜戦馬鹿とだらし姉(アレな奴等)だし。

 ちなみに話題の本人は自分の部屋で横になっていた。普段は周囲のストッパー役だが、年末年始というこの時期だけは騒ぎたくなるようだ。

 閑話休題。目的の大広間に辿り着くと、廊下よりも酷いことになっている。あちこちに落ちている皿(食べ残しは無い、この辺は艦娘のいいところか)、空き瓶、あと言いたくないが口から撒き散らしたもの、そして死屍累々と転がっている我が鎮守府の戦力たち。もう呑んでいるものはおらず、部屋は色々なものが混ざった異臭と唸り声に包まれている。

 まあ、四日ぶっ続けで騒いでいればこうなるだろう。こういう時に頼りになる間宮や鳳翔、秋津洲辺りの面子はほぼ不眠不休で料理等の準備をしていたため、別の意味でダウンしているし。お陰で動けるのは俺と曙を含めた数名程度だ。

「……酷いわね」

「酷いな。とりあえず曙は皿とか酒瓶を片付けてくれ。俺は落ちてるものの処理をするから」

「ああうん、お気遣いどうも……とりあえず、朧達だけでも起こしていい?」

「別に構わん」

 というわけで、作業開始。布を使って床や壁に飛び散ったのを拭き取ったり、もはや障害物と化している部下達を一箇所に集めてごみの山みたいに積み上げたり、寒空の中窓を全開にして換気をしたり。

 なお、曙を除く第七駆逐隊の面々は朧が比較的軽症で、ぶっ倒れている潮と漣を二人で背負い部屋に運んでいた。二人とも普段はあまり呑まないのだが、これが正月パワーか。じゃなければ重巡か戦艦連中辺りに無理矢理呑まされたか。もう一々犯人を特定してしばき上げるのも面倒なので、勘弁して欲しい。

「……なんでこんな積み方してるの? 有り得ないと思うんだけど」

「外に放り出さないだけマシだと思うが」

「……ドS」

 戻ってきた曙が小さく何か言っているが、心外だ。年明けから面倒事を押し付けられた怒りと思って欲しい。

「そういえば、鈴谷さんや金剛さんは? 真っ先に見掛けそうな気がするんだけど」

「大本営から通達された新春任務に行かせた。二日酔いのままで」

「ドSというより鬼畜ねあんた……」

「第七駆逐隊に行ってもらってもいいが」

「尊い犠牲ね、感謝を忘れちゃいけないわ」

 誰だって自分の身は可愛いのだ。

 

 

「つ、疲れた……」

「お疲れ」

 結局、片付けが終わったのは夜の八時だった。正直日付が変わるのを覚悟していたので予想より随分早かったが、それでも手伝ってくれた数人はぐったりしている。

 とりあえず掃除用具の片付けも終わり、現在食堂に集合している。

「ほら、お茶とお汁粉」

「疲労に甘いものは必要よね……というかなんであんたが一番元気なのよ」

「慣れだな。トラブルの後始末なんて日常茶飯事だし、正直書類仕事より楽」

 艤装持ち出して喧嘩されれば、壁とか壊して修理するのも然程珍しくはないし。工廠を半壊させた時はガチギレしたが。

「……あんたも大変ね」

「部下のトラブル処理は上司の宿命だからな。ああそうだ曙、これ」

「? え、これって」

 懐から取り出したのは、正月でおなじみポチ袋。猫柄なのは個人的な趣味だ。

「まあ、大分遅いがお年玉ってことで」

「お、お年玉って……いいの?」

「今回手伝った子と調理組は特別にな。正月はあまり楽しめなかっただろうから、せめてと思って」

 ほとんどの連中が騒いでる中、裏方で頑張ってくれる面子と言うのは重要なのだ。

「……お礼は言わないわよ」

「いらん、働きに見合う正当な対価だ。遠慮せず受け取れ」

 さて、他の面子にも配らないとな。中身が足りてるか自信ないが。

「……ありがと」

 背を向けた際に曙が小さく呟いたのが聞こえたので、

「どーいたしまして」

 振り返らず手だけ上げて応える。「き、聞こえてたの!?」と叫ぶ声が聞こえ、多分真っ赤になってる曙が見られるだろうが、わざわざ振り返ったりはしない。

 

 

 




登場人物紹介
提督
 女性の晴れ着を着用させられた男の娘提督。本人は動きやすければいいのであまり気にしていない。髪型は巫女さんがやってるアレ。
 余談だが配り終えた後、過労で倒れている調理組の看護をしたりお年玉を上げていた。やっぱり働く面子には若干甘い。ちなみにお年玉の代金は自腹。
 
 

 皆大好きツンデレぼのたん。当鎮守府では提督が容赦ない上に真面目なため『クソ』を付けることは自重している。誰だって好き好んでアイアンクローを受けたくはない。
 後日お年玉の中身を確認したら、間宮券五枚+特別休暇四日分+現金が入っており、後日司令室に「多いわよ!?」と抗議(という名のツッコミ)を行ったそうな。
 他所様の鎮守府に比べると普通に提督と接している。これを見た別の鎮守府の艦娘が驚くこともしばしばあるとか何とか。
 
 
後書き
 三箇日が終わってから思い付いたお話。七日までにはうpするつもりがこんな遅くなってしまった……だ、大丈夫、まだ正月グラアプデされてないし(震え声)
 というわけでこちらではお久しぶりです、ゆっくりいんⅡです。更新は以前三日月のお話を上げて以来ですから……半年は経ってますね。アリアの作品にかまけてたらこんなに開いてしまって、しかも感想でリクエストの会った第六駆逐隊じゃねーし(汗)
 とはいえ、こちらの作品は気まぐれ更新になると思います。アリア終わらないとですしねえ……いつ終わるか作者自身分かりませんけど。
 あ、第六駆逐隊の話は既に思いついてはいます。いつになるかは分かりませんが、書き上げたら暇つぶし程度にご覧になってください。
 それでは今回はここまで。感想・質問・リクエスト、お待ちしています。
 
 
 
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