次の話で、主人公がキヴォトスに来る過程を書くつもりです。
泣き声が聞こえる。
うるさい泣き声が、銃弾と爆発音にかき消される泣き声が、耳にこびりつく泣き声が、夜闇で使えない視界の代わって現実を伝えるように聞こえる。
壁により掛かる五体満足な私は、一言も発さなかった。ただ、消えていく銃声とともに消えていく数多の泣き声を静かに聞いていた。
もう、何も望まなかった。
生きることも、何もかも。
ただ、この現実が嫌だった。
生きることが嫌になった始まりは、どれだったか。
攻め入ってくる兵士を、民間人だけで倒さなきゃいけなくなったときか
瞬きのあとに友達が、頭を落としたときか。
保護施設の先生が目の前で、喉から血を吹き出したことか
友達だったものを食わなきゃいけなくなったことか
眼の前に広がるのは、赤の水たまり。そこに映る私の顔は、銀髪の少女の顔は虚ろな目をしている。
銃口が向けられた。気づけば聞こえる音は私の呼吸音だけだった。
兵士が銃口を向ける。
引き金をおひこうと指に力が込めあられていくのを、無感情に見つめる。
11歳ぐらいの、私の体は銃弾一発で死ぬのだろうか?何発打ち込まれうのだろうか?
死が来るのにどれほど苦しまなければならないか、と、この頑丈な肉体を呪うとともに、その死がとても待ち遠しかった。
でも、兵士の指は急に止まる。まるで、ゼリーをすくったスプーンを口の前で下げる意地悪でもするかのように
白髪が少し混じった男は、私の瞳と同じように無感情な目で私を見る。
耳に手を当て、ヘッドセットの音声を聞きながら見る。
そして、口を開きこういうのだ。
「上からの命令だ。お前を少数精鋭部隊『ツールボックス』に加入させる」
男は、なぜどこぞの馬の骨かわからない少女がその部隊に入るのかはわからない。
だが、約2年「無線の指示が入るまで、敵国の学校の生徒を、保護施設の人を殺し続けろ」というわけのわからない仕事が終わるのだから良い事にした。
少女はただ、死ねないことに落胆した。
そして、気づくことはなかった。
自分や男、周りに転がる死体や肉片の影の黒の中に
『目』があったことを
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すずめの鳴く声がした。
白いベッドの上、未だに痛い肩と目ヤニがうっとおしい目をさすり起き上がる。
記憶の整理がぼやけてうまくできない、夢を見たような記憶だけがあるが何も思い出せない。
カーテンを開き、窓を開け清々しい風の匂いが鼻腔を満たし、風そのものに自身の銀の長髪がなびく。きれいな朝日と透き通る青空を見て、もやもやと曇る頭の奥を感じながら。
「いい日になるかな...」
これから自身が送るであろう青春に不安と期待を寄せる。
「いい日になるさ」
優しくそれを肯定する声があった。
部屋の扉が少し開き、コーヒー片手にその人が部屋に入ってくる。
「あ、先生...」
「あぁ、おはよう。『シオン』」
私の『ここでの名前』が読んだ人は
私が、これから生活するこの場所、キヴォトスのシャーレの先生。
「ご飯、食べようか」
彼は優しくほほ笑みながらそういった。
先生との共同生活と、入学する学校を決めるために学校を転々とするその一日が始まった。
高校2年性 白上シオンとしての一日が。
まだまだ未熟ですがよろしくお願いします。