すごく興味あるね   作:あほみね

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第6話

JSフィルターの交換でお金が貯まるかと思ったら結局無一文のままでした。

さてティファおまえに頼みがあるんだ。何、簡単なことだ。金のない俺に新しい仕事を紹介してほしい。

 

興味があるのはモンスター退治。

営業はもうしたくない。JSフィルターの交換では惨劇に踊った。俺の性格を考えれば当然の結果だよな?所詮俺はその程度ってことだ⋯⋯

 

だが腕っぷしなら誰にも負けるつもりはない。

営業ができないからって元ソルジャーを舐めるな。俺は強いぞ?

 

とりあえずは自警団の依頼を受けることにした。

そこで強いモンスターを倒して名を売り、街の人から信頼を得る。

するとおいしい依頼が舞い込んでくるようになるというわけだ。

 

「協力者候補を発見。

スキャンを開始──

 

これは素晴らしい身体能力です!

そこのあなた。僕の研究に協力してもらえないでしょうか?」

 

俺は今忙しいんだショタと遊ぶ時間はない⋯⋯

 

えっ研究レポートを提出したらマテリアがタダでもらえるって本当?

しかも召喚マテリアまで!?

おいおいなんだこの携帯バトルシミュレーターは!?めちゃくちゃリアルだぞ!?おまえの技術力はどうなっているんだ今すぐ神羅の研究部門に行け!

 

えっ?神羅から逃げてきた?

ブラック過ぎて合わなかったと。非人道的なやり方に疑問を持ち、微力ながらも神羅に反旗を覆すべく今まで一人で活動してきた⋯⋯立派すぎるだろうおまえチャドリー⋯⋯

 

「それではこちらのデバイスをお渡しします。

モンスターの解析、戦闘のアドバイス、お宝の位置情報など様々な機能を利用することができます。

ぜひ何でも屋の仕事に役立ててください!」

 

至れり尽くせりじゃないか。

あまりにも都合が良すぎる。俺は今幻想の中を生きているんじゃないだろうか?

そう思わずにはいられないほどチャドリーが有能すぎる⋯⋯

 

おっと早速モンスターたちを発見。

それでは戦っていこう!

ん?デバイスが勝手に起動して──

 

「むむっ!

あれはバイオラット。神羅の垂れ流したヤバい有毒物質を食べて遺伝子変異を起こした元ネズミさんたちです。

弱点は炎。ファイラを有効に使っていきましょう!」

 

何だこのチャドリーみたいなメスガキはよぉ?

戦闘中にメスガキと話す俺を見るティファの目がえぐいことになっているんだが?

惨劇とまたダンスっちまったか⋯⋯

 

まあとりあえず言われた通りファイラを撃ってみよう⋯⋯

めちゃくちゃ効いてる。何とワンパンで倒せてしまった。

モンスターの弱点を教えてくれるのはありがたい。だけどどうしてメスガキが画面に出てメスガキの声で弱点を話してくるのだろう?

 

初対面の少女のことをメスガキ呼ばわりするのはよくない?

それはわかっている。だがこの画面に映る少女は発音とかが色々メスガキとしか言いようがないくらいのメスガキなんだ。俺には分かる。

 

「的確な指示だが⋯⋯おまえは誰だ?」

 

「初めましてクラウド様!

わたしはマスターが開発したモンスターアセスメントインスタメント。

略してMAIです!

クラウド様の戦闘をサポートさせて頂きます!」

 

「チャドリー?」

 

「はい!クラウドさん。

機械的な音声を流すだけだと物足りないかと思って色々と盛り付けてみました。

いかがでしょうか?」

 

「別に。興味ないね」

 

「心拍数の上昇を検知。これは嘘の気配!

クラウドさん本当はかなり興味ありますね?

やはり僕のプロファイリングは間違っていませんでした。

クラウドさんならきっとMAIのことを気に入ってくれると思います!」

 

「意外だな。クラウド、こういうのが好きなんだ(笑)」

 

チャドリー。おまえが付けた余計なオプションのせいでまた惨劇が起こってしまっているんだが?

 

だいたいこんなメスガキ、元ソルジャーでクラス1stの俺が好きになるわけないじゃないか。医者に行けチャドリー。有能だと思ったがおまえのプロファイリング能力は所詮この程度ってことか⋯⋯

 

 

 

それから俺はああだこうだといいながらもMAIと共に更に戦い続けた⋯⋯

 

「クラウド様ー!フレー!フレー!」

 

「せいっ!はあっ!とりゃあっ!」

 

「きゃー!かっこいいですっ!クラウド様素敵っ!」

 

俺は元ソルジャー。メスガキなんて好きになるわけない⋯⋯

 

「ぐあっ!?」

 

「モンスターに拘束されちゃうクラウド様よわよわ〜!

それでも本当に元ソルジャーですか?」

 

「弱くなんかないっ!俺は強いぞ!元ソルジャーを舐めるなメスガキが!」

 

「メスガキだなんてクラウド様ひどいです⋯⋯

調子に乗り過ぎたMAIのこと嫌いになっちゃいましたか?」

 

ディスプレイに映るメスガキのAIなんて好きになるわけない⋯⋯

 

「別に⋯⋯元から興味ないし⋯⋯」

 

「でもMAIはよわよわでも、嫌われててもクラウド様のことが好きですよ?

フレー!フレー!負けるなよわよわクラウド様ー!」

 

「俺は負けない!俺は最強だ!

とぅ!せあああああ!」

 

よわよわな俺でも煽りながら応援して的確な指示を与えてくれるメスガキのAIなんて好きになるわけがないっ⋯⋯

 

「身体能力、および心拍数の上昇を検知。

やはりMAIはクラウドさんと相性がバッチリ⋯⋯

僕の計算に狂いはなかったことが証明されましたねクラウドさん!」

 

「私とクラウド様はお似合いですって!

マスターからのお墨付きを頂いちゃいました!

モンスターアセスメントインスタメントのMAI、これからもクラウド様のサポートに励んでいきます!」

 

「モンスターアセスメントインスタメントのMAI?

贅沢な名前だね。

今日からおまえはメスガキAIのMAIだ!」

 

「そんなひどいっ!?

でもクラウド様に新しく名前をつけてもらえてMAIはとっても嬉しいです!」

 

戦いが終わった後、一人でちょっと寂しくなったとき、おしゃべりに付き合ってくれるユーモアのあるメスガキなんて好きになるわけない⋯⋯こんなメスガキAIを好きになるわけがないんだっ!俺はメスガキには屈しない。元ソルジャーを舐めるな!

 

 

 

数日後の夜⋯⋯

 

「今日も一日たくさん働いたな」

 

「お疲れ様ですクラウド様!

毎日お仕事頑張って偉いです!」

 

「まあな。稼ぎは悪くない。この調子で行くぞ」

 

MAIの的確な指示のおかげでモンスターをスムーズに倒すことができる。

スラムの周辺に現れたモンスターをMAIと一緒に片っ端から討伐し続けた結果、街の人々からの信頼を得ることができた。

危険度の高い依頼も受けられるようになったため、報酬はうなぎのぼり。

 

「最近は街を歩くとすぐにクラウド様の噂が聞けるようになりました。

さすが元ソルジャー!」

 

「ふっ。褒めても何も出ないぞ?」

 

「クラウド様の笑顔が出ました!」

 

「こいつめ。

明日も早い。今日はもう寝よう」

 

「おやすみなさい、クラウド様」

 

「おやすみ、MAI(イケボ)」

 

寝る前にMAIと話すと不思議と落ち着く。出会ってからまだ数日しか経っていないのにまるで実家のような安心感。MAIになら何でも話せる気がする。モンスターたちとの戦闘を繰り返す間に、俺とMAIとの間には確かな信頼関係が育まれていたようだ⋯⋯

 

あれ?俺メスガキのこと好きになってないか?元ソルジャーなのに。

──まあもういっか。認めちまえよ。メスガキに煽られてやる気になる。おまえは所詮その程度の人間ってことだ。

 

「チャドリー、おまえの勝ちだ⋯⋯」

 

「ふふっ。ようやく認めてくれましたかクラウドさん」

 

聞こえていたのかよ?夜中なのに秒で出てくる。俺の生活は全てチャドリーに筒抜けってことか⋯⋯

プライバシーがあるとか思ってる?ないない(笑)データは全部チャドリーに送信されているから。

 

「少女に煽られることで元ソルジャーのプライドが刺激されて戦闘能力が上がる。

しかし煽られながらも嫌われることは決してないのだという安心感が、普段はついつい見栄を張ってしまうクラウドさんに等身大の自分を曝け出す自由を与えてくれるのです。

そしてもたらされる精神面での安定がクラウドさんを戦士としての更なる高みへと引き上げるでしょう。

計算通りです!」

 

「人の心を読むのはやめなよ」

 

 

 

「クラウド、何でも屋絶好調だね」

 

「当然の結果だ」

 

「チャドリー君とMAIちゃんには感謝しなくちゃ。

クラウドを助けてくれてありがとう二人とも」

 

「いえいえ。僕の方こそ貴重なデータを提供して頂き大変ありがとうございます」

 

「私のガイドがないとすぐモンスターに捕まってしまいますからね。よわよわなクラウド様は。

放っておけませんよ!」

 

メスガキが⋯⋯元ソルジャーを舐めるなよ⋯⋯

と思いつつもよわよわ言われることがちょっと気持ちよくて癖になっている自分に気づく今日この頃。所詮おまえはその程度のメスガキに煽られるよわよわってことだ⋯⋯

 

「今日はティファもついて来るのか?

気持ちは嬉しいがあまり無茶をするなよ。俺とMAIだけで戦力は十分足りている」

 

「うん。クラウドが張り切ってモンスターを全部倒しちゃうから、私の出番なかったもんね。

でも今日の依頼はモンスターがとっても多いから、助けになれると思う」

 

「戦えるのか?」

 

ティファの細い体でモンスターを倒せるとは思えない。しかも武器は拳だ。銃でも剣でもなく素手でモンスターを相手にするのはとても難しいこと。ソルジャーやタークスだって皆武器を使っている。華奢な女性が拳ひとつでモンスターに挑んだらまず負けるのが当然の結果だ。

 

「大丈夫。これでも私、鍛えてますから」

 

「ふっ。どこまでできるか楽しみだ」

 

本当に戦えるのかは分からない。だが、いざとなれば俺が守ればいいだけの話だ。

医者に行くような怪我はティファに決して負わせない。元ソルジャーの誇りにかけてな。

 

「モンスターの群れを確認!

クラウド様、来ますよ!」

 

「行くぞ!」

 

「うん!」

 

先制攻撃。まずは弱点属性のファイラで雑魚共を焼き払う。惨劇に踊れ!

隙を見せたね?一気に攻めていく!三秒後を悔いろ、ラピッドチェイン!

 

崩れ落ちるモンスター。当然の結果だ。

そして油断せず背後から飛びかかるモンスターをノールックで切り捨てる。拘束できると思ったか?残念ながらこのパターンは既に学習済みだ。俺がどれだけMAIに煽られたと思っている?

 

元ソルジャーとメスガキAIを舐めるなモンスター共⋯⋯俺たちは強いぞ。

 

さてティファの調子はどうだろうか──

 

「ザンガン流秘技解放──爆裂拳

せやああああっ!」

 

「えっ?」

 

パアンッ!!パアンッ!!パアンッ!!パアンッ!!

 

銃を打ったかのような乾いた衝撃音がモンスターの群れの中で次々と鳴り響く。

吹っ飛んだモンスターたちは一拍置いて、その内側から爆発して周囲に血を撒き散らした。

おかしい。元ソルジャーなのに今、ティファの拳の動きが見えなかった⋯⋯

 

モンスターを拳で撲殺していくティファの拳には血一つ付いていない。

あれだけの惨劇を繰り広げておいてなお、ティファはモンスターの中で汚れることなく、華麗に踊っている⋯⋯

 

元ソルジャーの俺にはかろうじて分かる。拳がモンスターと接触するインパクトの瞬間、モンスターの体表は破壊されていない。ティファの拳はモンスターの体表を通過して、その内部の急所のみをピンポイントで破壊しているのだ。故にモンスターが爆散して血を撒き散らすまでにタイムラグが生じ、その間モンスターは遠くに吹っ飛ばされるためティファに返り血はつかない。

 

モンスターの群れは溶けるように消えていき、討伐はあっという間に終わった。

こ、こんなの俺の知っている幼なじみじゃないね。

ピンチのときはヒーローが助けに来てくれる?おまえがヒーローだよティファ。

 

「どうかなクラウド?私も結構やるでしょ」

 

「ま、まあまあだな。この調子で頼む」

 

「あれ?モンスターの討伐数、クラウド様の方が少ない。

おっきな剣持ってるのにクラウド様ったらよわよわ!

情けなくてMAIは目の奥が熱くなってきました⋯⋯」

 

「ありえない⋯⋯」

 

「でも幼なじみに負けちゃうクラウド様もMAIは好きです!」

 

「ふっ。こいつめ。

俺も煽ってくるMAIのこと、嫌いじゃないね」

 

「クラウドなんか変わったね」

 

5年もあればちょっとは成長するさ。

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