【コミカライズ化決定】引き抜いた聖剣が独占欲剥き出しなヤンデレ彼女面してくる件 作:アスピラント
「冒険者が集う街クロスフォード!! なんてワクワクする名前だ!」
「アレックス、目が決まってて怖いよ」
「ごめんレイナ……」
馬車の小窓から身を乗り出すようにして外を眺めるアレックスの目は、確かに少し据わっていた。だが無理もない。石畳の通りに沿って武器屋と酒場が交互に並び、鎧姿の冒険者たちが闊歩し、どこかで誰かが口論しているような声が遠くから聞こえてくる。田舎育ちのアレックスからすれば、クロスフォードの街並みはまさに絵に描いたような冒険譚の舞台だった。
「すごいな……本当に冒険者の街って感じがする」
「まぁ……そうっすね」
ローズは相槌を打ちながら、欠伸を噛み殺した。
「アタシは結構来てるんで、あんまり新鮮味はないっすけど」
「ボクも同じ、何度か立ち寄ったことあるから」
「えー……めっちゃ盛り下がること言うな……」
リリアも窓の外をちらりと見てから、すぐに視線を手元の爪に戻した。特に感慨もなさそうだ。アレックスは3人の温度差に少し拍子抜けしながらも、興奮を抑えきれずに再び窓の外へ視線を向けた。
その時、腰の剣がカタカタと鳴った。
『……愛おしすぎてつらい』
「……」
『こんなにキラキラした目をするんだもの。担い手がこんなに可愛かったら、私どうしたらいいのよ』
「……」
『ねぇアレックス、聞いてる? つらいって言ってるんだけど』
「聞こえてるよ」
アレックスは窓から目を離さないまま、淡々と答えた。最近こういうやり取りには大分慣れてきた。慣れてしまったという方が正確かもしれないが、とにかく今は街の観察を優先したい。
「マルティアナ、クロスフォードって寄ったことある?」
話題を変えると、マルティアナは少し考えるような間を置いた。
『うーん……昔は別の名前というか、そもそもここには何もなかった気がするわ。ただの原野だったんじゃないかな』
「何もなかった、か」
「実はここ、歴史が浅いんだよ」
レイナが静かに口を開いた。
「へえ、そうなの?」
「うん。複数の国の国境が交わる中立地帯にあるから、特定の国の管轄じゃないんだ。自治都市という立ち位置にすることで、どの国も首を突っ込めないようにして対立が起きないように調整されてる。だから歴史が積み重なるより先に、機能で先行した街なんだよね」
アレックスは感心して頷いた。
なんか勉強してる気分になった。
「おお……なるほど。頭いい仕組みだな」
「冒険者にとっても都合がいいしね。どの国の法律も直接は及ばないから、自由に動ける」
「確かに……色んな国から人が集まりやすいわけだ」
そこまで言ってから、アレックスはふとレイナの方を見た。
「レイナ、詳しいね。博識だなあ」
「……影薄くない?」
するとレイナがぽつりと言った。
「え?」
「さっきから私が話してるのに、誰も特に反応しないから……もしかして影薄い?」
アレックスは一瞬固まった。ローズとリリアを見ると、2人ともさりげなく視線を逸らした。それがある意味で答えだった。
レイナはがくっと前のめりになるようなリアクションをして、馬車の座席に項垂れた。
「そ、そうだよね、あんまり話さないもんね。でも、お、落ち着きがあるぐらいは言って欲しいかなー……」
額に汗を流しながら、レイナは絞り出すように言った。
「ただの影薄いじゃなくて、その……物静かで落ち着きがあるってことで……!」
「うん、落ち着きがあるよ」
「ありがとう……」
アレックスが素直に言うと、レイナは少しだけ立ち直った。ローズが「まぁ確かに落ち着いてはいるっすよね」と追加したのが良かったのか悪かったのか、レイナの表情は微妙なままだった。
「だって本性バレたら困るからって、あまり話さ――」
「はい?」
「何も、ないよ」
するとリリアが地雷を踏み抜こうとした瞬間、その足首を掴む勢いでレイナが目だけ笑ってない笑顔を向けた。背後には異教の神っぽいいっぱい顔のある神様みたいなオーラが立ち込めていた。
「レイナも積極的になったと言えば……まぁいい意味で変わってきたかもっすね……」
「あはは……」
乾いた笑みを浮かべながらアレックスは、ここに向かう前にナフタから言われたことを思い出す。
(何もトラブルとかないといいなぁ)
それはつい昨日のことだった。
◇◆◇
クロスフォードへの出発前日、アレックスはナフタに呼び止められた。
「少し、よろしいですか」
穏やかな声だったが、その目がいつもより真剣な色をしていたので、アレックスは思わず背筋を伸ばした。
「何でしょうか」
「貴方は今回の件で、良くも悪くも……その名をちょっと轟かせましたよ」
「……ちょっとなんだ」
アレックスはぽつりと呟いた。ユピテルスを救って、大魔法使いと渡り合って、それでちょっとか、とは思ったが口には出さなかった。出したところで話が脱線するだけだとわかっていたからだ。
「しかしですね」
ナフタは続けた。
「急に名前が知れ渡ったことに加えて、聖剣というのは世間一般的には……超強力な付与術がくっついているようなものだと思われているんです」
「付与術……」
「ええ。剣を持つだけで強くなれる、そういうイメージを持つ冒険者は少なくありません。つまり聖剣の担い手というのは、実力ではなく道具で強くなっている人間だ、と見る向きもあるということで」
アレックスは眉をひそめた。
「う……」
否定しにくい部分があるから余計につらい。実際、マルティアナなしのアレックスはそこらの冒険者より強いとは言い切れない。それはアレックス自身が一番よくわかっていた。
「ですから」
ナフタはさらりと言った。
「クロスフォードでは、よくわからない冒険者に絡まれることがあるかもしれません」
「……ですよね」
アレックスは溜息混じりに頷いた。以前、ギルドの集会所でエリーナに絡まれたことを思い出す。あの時は啖呵を切る形で乗り越えたが、今度はそう上手くいくとも限らない。しかも向こうはプロの冒険者が集まるクロスフォードだ。エリーナより厄介な相手が来る可能性は十分にある。
「じゃあ……どうすれば良いですか」
アレックスが素直に聞くとナフタは一拍置いてから言った。
「わからせです」
声のトーンも表情も、まったくいつも通りで真顔で言ってのけた。アレックスはむしろその落ち着きが逆に怖くて仕方なかった。
「……わからせって、何ですか」
「実力でわからせて、文句を言わせないようにする。それが一番手っ取り早いです」
ナフタはそう言いながら、アレックスをまっすぐ見た。柔和な顔のまま、しかし目だけはどこか圧がある。説教でも忠告でもなく、ただの合理的な結論として述べているのだが、それがかえってとんでもなくやばい人にしか見えなかった。
「なんか……思ったより物騒なこと言いますね、ナフタさん」
「現実的なことを言っているだけですよ」
ナフタはにこりと笑った。
「言葉で説得できる相手なら言葉で十分です。でも冒険者の中には、実力を見せないと話を聞かない人間が一定数います。特にクロスフォードのような場所では」
「……確かに」
「貴方はここ最近、確実に強くなっています。自信を持ってください。聖剣だけではなく、アレックス殿自身の力で立っているところを見せられれば、余計な絡みは自然と減っていくはずです」
言葉は優しかったが、内容はやはり「わからせろ」の一点張りである。
「……要するに、喧嘩したらちゃんと勝ってこいってことですか」
「品のない言い方をするとそうなりますね」
ナフタは微笑んだまま答えた。
「一応、不必要な争いは避けてください。ただ避けられない時は……全力でどうぞ」
「全力で、か」
アレックスは苦笑いを浮かべながら頷いた。ナフタにこれだけはっきり言われるということは、それだけ現実的なリスクだということだ。
「わかりました。気をつけます」
「ええ、お願いしますね」
そうしてナフタはいつも通りの穏やかな笑顔に戻った。しかし去り際に一言だけ付け加えた。
「あと……聖剣様には極力、相手を刺さないよう言い含めておいてください。殺人を隠蔽するのって大変ですからね」
「……ぜ、善処します」
アレックスは力なく答えた。何かまるで隠蔽したことありそうな言い方に戦慄を覚えたが、詳しいことは聞かない事にした。
◇◆◇
「――やっと着いた」
「いやー座りっぱなしは疲れるっすね、リリア」
「うん」
馬車を降りた瞬間、アレックスは思わず足を止めた。
「うおお……」
冒険者の街という言葉から想像していたのは、もっと雑然とした建物だった。しかし目の前に広がっていたのは、どこか宮殿を思わせる堂々たる建造物だ。石造りの外壁は丁寧に磨かれており、正面の大扉には金属細工の装飾が施されている。左右に伸びる回廊の柱には各国の紋章が掲げられていて、見上げるだけで気圧されるような威圧感がある。
「……すごい」
ぽけーっと口を半開きにしたまま、アレックスは仰ぎ見た。
「ほら行くっすよアレックス」
するとローズがアレックスの手を引いた。
ちょっとよそ見しすぎたらしい。
「あ、ごめん。でもなんかこう……冒険者ギルドってもっとこう、むさ苦しい感じを想像してた」
「総本部はさすがに格式があるっすからねー」
引っ張られながらも、アレックスは異国情緒溢れる街並みを横目に収めようと首を動かした。各国の文化が入り交じった建物が並ぶクロスフォードの通りは、どこを切り取っても見たことのない光景だ。
しかし宮殿の門の前で、衛兵が一歩前に出た。
「関係者以外は立入禁止です」
「ああ、私たち招待状があります」
レイナが静かに懐から紙を取り出した。アレックスたちそれぞれが事前にナフタ経由で受け取っていたもので、ギルドの公式印が押された正式な招待状だ。衛兵はそれを確認してから、無言で道を開けた。
「こないだのクエストでよ――」
「あはは! 傑作じゃない!」
中に入ると、すでにかなりの数の冒険者が集まっていた。広い広間の至る所に、思い思いの様子で立っている。鎧を着込んだ屈強な戦士、魔法使い風のローブを纏った者、軽装で気怠そうにしている者。年齢も性別も様々だったが、一人一人から漂う実力の気配は、アレックスが今まで見てきた冒険者たちとは明らかに違った。
(A級以上ばかりって、こんな感じか……)
思わず背筋が伸びる。
その時、腰の剣が静かに揺れた。
『……何か懐かしい空気ね』
マルティアナが、珍しく優しそうな声で言った。
「冒険者たちの雰囲気とか?」
『ええ。基本的には荒くれ者やはぐれものばかり……だけど人情もあって、優しい人も多かった。そういう空気が、昔とあまり変わってない気がして』
懐かしんでいる、というより、確かめているような感じと言った所か。1000年という時間を経て、それでも変わっていないものを見つけた時の、静かな安堵のようなものも感じた。
「今じゃどうかな」
『どうかしらね。変わったところもあるでしょうけど……根っこは同じかもしれない』
アレックスがそう呟きながら広間を見渡していると、視界の端で何人かの冒険者が小声でやり取りしているのが目に入った。
「おい見ろよ、あいつ剣と話してないか」
「本当だ……何だあれ、頭おかしいのか」
「いや待て、腰の剣……もしかして」
「噂の、聖剣の担い手か?」
ひそひそとした声だったが、広間の静けさのせいで思ったより届いてきた。アレックスは聞こえていないふりをしながら、内心でため息をつく。
(やっば……ついいつもの癖で……)
『――私の夫?? どうして急に話を切り上げたの?? 私の話つまらなかった?? あ、わかったこれが噂の蛙化ってやつね、お願い私頑張って直すから――』
ナフタの言っていたことが、早速現実になりつつあると危惧したアレックスは頑張って聞こえないふりをする。後がめちゃくちゃ怖いが、とにかく目立つ振る舞いはなるべくやめることにした。
しばらくしてから、広間の空気が変わった。
ざわついていた冒険者たちの声が、自然と低くなっていくと視線が一点に集まる。
(ん……何か雰囲気変わった?)
アレックスはその異変の根源が扉の方から、1人の男が歩いてきた瞬間から変わったことに気づく。
「……」
長い髪を肩の後ろで揺らし、背中には巨大なバスターソードが背負わっていた。そんな大剣を平然と背負ってる時点で常人ではないことがわかる。顔立ちはクールで、周囲の視線を受け止めながらも表情一つ動かさない。
アレックスはイケメン大剣使いと勝手にあだ名をつけた。
「……エルドレインだ」
「本物か」
「こんなとこで見られるなんて」
広間のあちこちからひそひそ声が上がった。憧れの人物を目の当たりにした時の、あの独特の緊張感が漂っている。ベテランと思しき冒険者たちでさえ、少し姿勢を正している。
「あの人は?」
アレックスはレイナに小声で聞いた。
「エルドレインだよ。今現在、世界に10人しかいないS級冒険者のうちの1人だね」
「S級……!」
思わず声が大きくなりかけて、アレックスは慌てて口を押さえた。S級といえば、ローズたちから最初に聞いた時から、もはや別次元の存在として認識していた。
「まぁ、世界最強の冒険者の1人って認識しておけばいいよ」
「おー……」
アレックスは改めてエルドレインを見た。
世界最強の冒険者まで加わっているという事実が、今更ながら重くのしかかっていた。
(頑張らなきゃな……)
などと密かに決心していると、エルドレインは壇上に上がると皆に声をかけて、注目するよう促す。
「まずは集まってくれたことに感謝する」
すると一斉に皆は黙って彼を見る。
「今回、冒険者ギルドとハイベルズ王国の連携によって立ち上げられた魔獣対策チームには、総勢100名が参加する」
「100名……」
「かなり力を入れてるな……」
口々に声が上がる中、アレックスも思わず息を飲んだ。100名というのは、一つの作戦部隊としては相当な規模だ。それだけ事態が深刻だと、改めて実感させられる。
「……まずはっきりさせておく」
エルドレインは壇上でしばらく広間を見渡してから、静かに口を開いた。
「諸君は選ばれた冒険者だ」
それだけで、空気が変わった。
「魔獣という存在がこの世界に何をもたらしているか、諸君はよく知っているはずだ。村が消え、街が荒れ、普通の人間では太刀打ちできない脅威が各地で猛威を振るっている。それに立ち向かえる力を持つ者が、この場に集まっている」
淡々とした語り口ではあったが、言葉のひとつひとつがすっと胸の内に入ってくる。皆はエルドレインに釘付けになっていた。
「諸君は英雄だ。今日この場に立っているという事実が、それを証明している」
広間がしんと静まり返った。誰も声を上げなかったが、その静けさの中に確かな熱が生まれ始めているのをアレックスは感じた。隣のローズが少し背筋を伸ばしたのが、視界の端に映る。
「難しい任務になる。危険もある。しかし諸君が動かなければ、誰が動く」
エルドレインは一度だけ、広間を見渡してから言った。
「私たちで魔獣の脅威から世界を救おう」
どこかからくっと息を飲む音がすると、ぽつりぽつりと拍手が起きて、それが広間全体に広がっていった。アレックスも気づけば手を叩いていた。隣のローズが「かっこいいっすね……」と珍しく素直な声で言っていた。
「さて……もうひとつだけいいだろうか」
拍手が収まりかけたところで、エルドレインが続けた。
「知っている者が大半だろうが、今回のチームには特別な戦力に加わってもらっている」
この時点でアレックスは「まさか……」と嫌な予感を感じ取っていた。
「かつて世界を救った勇者が使っていたとされる、聖剣マルティアナ。その聖剣に選ばれた担い手が、このチームにいる」
誰か言ってないのに、皆の視線がアレックスに集まる。
もうすでにアレックスは萎縮しまくって、身長が小さくなりそうになっていた。
「アレックス・ブレイド、ぜひ前へ」
(やめろー!!!!)
こんな事なら魔獣を前にした方がマシである。
アレックスは心臓が駄々をこねるガキンチョの如く、ジタバタと暴れ回っているのを感じていた。
「頑張れアレックス、僕が骨拾う」
「がんばるっすよアレックぶほぉ」
「面白いスピーチ期待してるからね」
しかも仲間達がしっかりトドメを刺してきた。
本当に仲間かよと怒鳴りたくなったが、アレックスはヤケクソ気味に壇上に上がろうとする。
(なんでマルティアナ静かなんだろ……)
向かう最中にマルティアナがダンマリしてることに、今世紀最大の恐怖を感じながら壇上に立つ。もうゲロ吐きそうだが、ここが見せ場だからしっかりしなきゃと切り替える。
(よし……)
壇上に立ったアレックスは、深呼吸を一つした。百人近い視線が刺さる中、何とか平静を保ちながら口を開こうとした。
「えっと……アレックス・ブレイドです。まだ経験は浅いですが、精一杯――」
その瞬間……身体が言う事聞かなくなった。
(え、待って――)
この感覚には覚えがある。
マルティアナに身体の主導権を奪われた時と同じ感覚だ。
(マルティアナ!! 何を!!)
『うるさい、少し黙ってなさい』
恐ろしいほど落ち着いた声だった。
これは本気のやつだとアレックスは瞬時に理解した。
『あれだけシカトしておいて、どういうつもりかしらね……いいわ、こうなったら私が直接やってやろうじゃない』
(お前!! 何する気だ!! うぉい!!)
答えはすぐにわかった。
「――聖剣マルティアナは、もはやただの剣ではない」
アレックスの口から、朗々とした声が出ると皆は固唾を飲んで見守ると、マルティアナは爆弾を投下した。
「私の愛する妻だ」
後に歴史家は語る。
この時の空気の凍りつき具合は、有史以来最悪だったと。
(お前今何つった!!!)
『既成事実の構築よ』
広間のあちこちで、冒険者たちが互いの顔を見合わせていた。今自分たちは何を聞いたのか、という顔だった。
「……」
ただエルドレインだけは何が生暖かい目で見ていた。
もはや任務失敗と言いたくなるぐらい、しょっぱなからやらかしてる。
「この世界に蔓延る魔獣の脅威、大魔法使いの野望――そのすべてを打ち砕くために、俺はここに立っている」
どこからどう見ても堂々たる宣言だった。
一部内容だけ除けば立派な戦士と言われていただろう。
「愛する女のために、世界を救う。それがアレックス・ブレイドという男だ!!」
(お前久々に何してくれとんじゃぁあああ!!!)
アレックスの意識だけが、身体の中で盛大に絶叫した。
これは聖剣を引き抜いた時の光景と同じだ。
アレックスは別に悪い事してないのに、各地で黒歴史だけ製造していった。
「剣が妻って……久々に活きのいい変態が現れたな」
「やっぱりネジが10個ぐらいないと担い手って言われないんだな……」
「すげぇぜ、なんてカルマを背負ってやがる……」
もはやアレックスはとんでもない変態と認知されていた。ドン引き通り越して尊敬の目を向けるやつがいるとは、流石冒険者だった。
「ふむ……」
エルドレインは一瞬だけ目を細めてから、口を開いた。
「まぁ愛の形は人それぞれだしな」
(エルドレインさん!!!)
シワ……っと効果音が出そうな笑みを浮かべて突き放した。
そしてアレックスのパーティメンバーは……。
「「「……」」」
皆別々の方へ視線を向けて知らない人のふりをしていた。
アレックスの味方は変態以外居なくなってしまった。
『これでもう……私の勝ちは確定……』
(また台に刺して封印してやる……)
かくしてアレックス・ブレイドは、クロスフォード冒険者ギルド総本部において「剣と結婚している担い手」として颯爽と印象を刻みつける羽目となった。