本編別ルートのSEEDDestiny短編。
夫婦となったアスラン、ミーア。ようやく二人の間に出来た子供に、思いを馳せてイチャイチャする物語。原作と異なり、色々捏造した部分もあったりしますがそれでも良ければお楽しみください。
冷やし中華さんより頂きました表紙イラストも良ければ
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本作はpixivにも掲載しております

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あたしの中にめいいっぱいの──愛の結晶(全年齢版)

 

 

 その日、あたしとアスランは二人で病院に来ていたの。

 ドキドキしながらお医者さまの診察を受けて……結果を待ってました。そして──

 

「おめでとうございます。御懐妊ですよ、ミーアさん」

 

 期待して待っていた知らせ。あたしは嬉しくなって隣にいるアスランに抱きついて……。

 

「やったっ! あたしたちの赤ちゃん、本当に妊娠しているなんて!」

 

「良かったな、ミーア。俺も嬉しい」

 

 アスランもあたしを抱きとめて、優しく言ってくれます。それから彼はお医者さまに尋ねました。

 

「ドクター。その、お腹の子は大丈夫でしょうか? 俺とミーアはコーディネーターで……だから」

 

 アスランの心配、あたしも分かるの。

 あたしたちは生まれる前から遺伝子設計されて生まれた人間──『コーディネーター』。そのせいかもしれないけど、コーディネーター同士で子どもが出来るのは難しくて、仮に出来たとしても……もしかすると。

 

「……アスラン」

 

 心配になって、彼の背中をぎゅっと握ってしまう。

 

「私もコーディネーターの方の診察、ましてや妊娠したケースは初めて取り扱うものでして。……それに妊娠六周目の段階ではなんとも言えず、今後の経過次第としか」

 

「そう……ですか」

 

「申し訳ありません。ただ、診察の方は今後も訪れていただければ、微力ながら私も力になります。

 お子さんの健康状態も二十週目頃には分かるはずですから、その時になれば……」

 

 眼鏡をかけた若くて真面目そうなお医者さま。彼だって本気であたしたちを気にかけているの、分かるから。

 

「ありがとうございます。あたしも心配ですけど……また、よろしくお願いしますね」

 

 

 

 ────

 

 アスランと結ばれて、それに妊娠まで出来たこと。

 とっても嬉しいことだって分かります。でも、無事に生まれて来るのかは……まだ気がかりで。

 

 

「──みなさんっ! 今日はミーアの歌、たっぷり楽しんでくださいね。

 あまり踊ったりは出来ないけれど、あたし、心を込めて歌いますから!」

 

 妊娠している中でも、あたしは歌姫ミーア・キャンベルとして活動を続けていたの。お腹の子もあって派手に動いたりは控えて、今はオーブの孤児院へ慰問に来てライブをしています。

 今はまだ平和だけど、少し前の戦争で親をなくした子どもに……それに戦いのために作られた強化人間の子も、ここで引き取って育てているんだって。

 

 

 今日はこの子たちのために、めいいっぱい歌うの。

 

「〜♪」

 

 あたしの歌に、みんな座って聞いてくれる。……いい子たち。

 

(歌を聞いて喜んでいるみたいだし、良かった。ステージに立つとあたしも幸せで……心配も忘れられるから)

 

 歌っている今の満足感も、間違いなく本物だから。充足した気分のままあたしはライブを歌いきりました。

 

 

 

「ミーアさんっ! 今日は来てくれてありがとう!」

 

「あなたのお歌……とっても綺麗だったわ」

 

 ライブの後は子ども達が集まって来て会いに来てくれるの。

 

「ごめんね、あまりミーアさんに近づき過ぎないように」

 

 あたしの護衛についていた私服姿のオーブ軍の中尉さんが、集まって来る子ども達に言って聞かせます。

 

「中尉さん、相手は子どもなんだからちょっとくらい……」

 

「駄目です! ミーアさんの夫でもある……私の上司より、何があってもお守りするようにと命じられていますので」

 

「もうっ」

 

 アスランは心配性なんだから。でも握手くらいは大丈夫で、あたしは子ども達と握手して、お話したりして触れ合いました。

 それに孤児院では、あの人と出会ったりも。

 

「みんなのために歌ってくれて、ステラ、嬉しい。……みんなも」

 

「お久しぶりです、ステラさん! 元気そうで良かったです」

 

 あたしと年が近いくらいの可憐な女の子。彼女も、元は強化人間だったステラ・ルーシェさん。戦争の後、彼女もシンさんやルナマリアさん達と一緒にオーブに移住して、ここで先生をしているんだって。

 

「ステラも、ミーアの歌……すき。シンにも聞かせたかったな」

 

 そう話しながら頬を赤らめるステラさん。彼女はシンさんの事が好きで、同じく彼を好きでいるルナマリアさんと三角関係なの。

 ルナマリアさんもだけど、ステラさんもいい子だから、どっちの恋も応援しているんです。

 

 

 

 それからステラさんと少しの間しゃべりを楽しんだ後、そのまま護衛の人に家に送ってもらったの。

 今日アスランは休みで家にいて、早く会いたかったから。

 

 

「アスラン、ただいま!」

 

「おかえりミーア。その元気、ライブは満喫出来たんだな」

 

 ライブ衣装のまま帰ってきたあたしを、アスランは口付けして迎えてくれました。

 

「あたしもたくさん歌えて……みんな喜んでくれたから! それにステラさんにも会ったのよ?」

 

「ステラ・ルーシェか、彼女も元気そうだったか?」

 

「はい! あたしたちの赤ちゃんの事も話したら、産まれたらシンさんと一緒に会いに来たいって。

 ねっ? アスランもいいでしょ?」

 

「もちろん。産まれたらみんなに紹介出来れば、いいな」

 

 夫婦二人の会話って感じ。とっても満ち足りた一時。

 アスランはあたしのお腹を見つめて、気になるように言ったの。

 

「それにしても、見た所ミーアのお腹は変わらないな。妊娠してしばらく経っているとは思うけれど、膨らんでいたりとかまだ……」

 

「ふふっ♡ 妊娠した人妻だって、見ただけじゃ思わないでしょ?」

 

 あたしはアスランの前、ライブ衣装でちょっと誘惑するようなポーズをとってみせました。

 左腕を上げて右手を腰にあてたまま身体を突き出して、魅惑的な姿勢と表情を。たゆんと揺れるあたしのおっぱい、ふふっ、アスランの視線も独り占めかしら♡

ちゃんと彼もどきっとしてくれたみたいで。それをごまかすように咳払いを一つしてから、あたしに話しかけて。

 

「まぁ、確かにまだ妊娠しているとは思えない見た目だ。……けど」

 

「けど?」

 

「ただの気の所為とは思うが……胸とかは少しだけ、大きくなっているように見える」

 

 アスランに言われてあたしは、ぽよんと膨らむ二つの自慢のものを見下ろすの。

 

「そう……かしら? 最近食べ過ぎな気もするから、太ったとかじゃないわよね……」

 

 ちょっとだけ心配になるあたし。そんなあたしに彼は寄り添って、こう、愛おしく囁いてくれた。

 

「なら、後で寝室に行って、直接確かめてみようか。……ミーア」

 

 

 

 ────

 

 ──月日はあれから流れて。

 あたしがアスランとの赤ちゃんを妊娠してから、二十五週目になった頃。

 

「やぁん……♡ 大きくなったお腹で、この衣装。恥ずかしいです……♡」

 

 軍のお仕事から帰って来たアスランからの要望で、家であたしはライブの衣装に着替えていたの。

 いつもなら普通に着れる衣装……だけれどお腹の赤ちゃんが育って、信じられないくらい膨らんだせいで生地もパンパン。今にも破けちゃいそうだし……妊娠後半でのこの格好、あたしも恥ずかしくて。

 

「そんな事はない。とても……綺麗だと思うよ」

 

 妊娠したお腹に置いている両手に、アスランも上から手を重ねて優しい笑顔と言葉を投げかけてくれる。

 あたしの旦那さんで、お腹にいるこの子『たち』のお父さん。

 

(この前病院に行って検査してもらって、お腹の赤ちゃんには異常なし、健康に育っているって分かったの)

 

 健康な赤ちゃんって分かって凄く安心したのは勿論なの。だけど、もっと驚くことも……病院のお医者さんから教えてもらった。

 

「まさか男の子と女の子、二人の子どもを妊娠していたなんて。

 普通一人ずつしか妊娠しないものと思っていたから……すごいな、ミーアは」

 

「ふふっ。アスランがあたしに……たっくさん出してくれたおかげですっ♡」

 

 そう言ってあたしが満面の笑顔を彼に向けると、照れたようにしてつぶやきました。

 

「そこまで笑顔で言われてしまうと……。俺も、普通に気持ちよかったせいと言うのもあるし」

 

「お互いさまよ、アスラン♡

 ……でも、コーディネーターのあたしたちに二人も子どもができちゃうなんて、凄いと思わない? もしかしたら神さまからの贈り物かもしれないわねっ!」

 

「……かも。しれないな」

 

 アスランは愛おしく呟いて、あたしの傍でこう言ってくれる。

 

「君とお腹の子は……必ず俺が幸せにする」

 

「ハイ……♡ アスラン……♡」

 

 二人でなんだか良い雰囲気。それからアスランは小型のカメラを取り出して言ったの。

 

「今の君、俺との子を妊娠した歌姫ミーア・キャンベルの姿。ちゃんと思い出に撮っておきたい。構わないか?」

 

「こんな姿で恥ずかしいけど……アスランがそうしたいなら。……可愛く、撮ってくださいね?」

 

 彼はもちろんと答えると、カメラのレンズをあたしたちの方に向けて……パシャって自撮り。

 撮った写真を一緒に確認すると、アスランってばクスクス笑ったの。

 

「くくくっ! 君が恥ずかしそうに笑っている顔、まるで幼い女の子みたいだ」

 

「──ああっ!? こんな顔の写真! だめっ! 撮り直してっ!」

 

 慌ててカメラを取り上げようとする。けれどアスランってば、ひょいとカメラを持ち上げてかわしたんです。

 

「でも俺はこんな顔のミーアも好きだ。没にするなんて勿体ない、大切にとっておこう」

 

「もーっ! アスランのいじわるっ!」

 

 ……でも、口ではそう言ってもあたし、アスランがそんなに言うのならって思っているの。だってどんな形でも二人での思い出、大切にしてくれるのは嬉しいから。

 

 

 

 ────

 

 赤ちゃんはすくすくと育って、大きくなったお腹ももっと大きくなって。

 妊娠期間の最後の頃には病院に入院。そして……ついにその時が。

 

「……ミーアっ!」

 

「いくら何でも遅すぎです、アスラン」

 

「すまないメイリン! 産まれたと聞いて駆け付けたけれど、君から連絡が来た時には演習の視察中で遠くにいて……遅れてしまった」

 

 アスランの知人で彼女さんだった、メイリン・ホークさん。彼女があたしの付き添いでずっと居てくれたの。……あたしのために、優しい人。

 

「謝るなら私より奥さんにでしょ? ──ほらっ! 早く会ってあげて!」

 

 後ろに回って、ぐいぐいとアスランの背中を押してくれるメイリンさん。

 あたしはベッドから上体を起こしていて、来てくれた彼に笑顔を向けます。アスランは遅れたのもあってバツが悪そうな様子で、あたしにこう言うの。

 

「ミーアもすまない。父親なのに出産に立ち会えなかったなんて、情けない」

 

 謝るなんて、もう……気にしてないのに。

 

「アスラン、あたしは気にしていないわ。産む時はすごく大変だったけど……ちゃんと元気に産まれてくれたから。

 そんなことよりも──ほらっ!」

 

 あたしは両手に抱きかかえている二つのちいさな、アスランとの愛の結晶を見せるの。

 

「俺とミーアとの……子供なんだな」

 

「はいっ。よーく見て、とっても可愛いでしょ?」

 

 毛布にくるまった、それぞれ男の子と女の子の赤ちゃん。

 

「こっちの子は先に産まれたお姉ちゃん。青い髪に緑色の瞳、アスランと同じね。顔立ちもちょっとだけ面影があるって思わない?」

 

「本当だ。俺に似た女の子なのか」

 

「ふふっ。そしてもう片方の子はお姉ちゃんのすぐ後に産まれた、男の子。顔はお姉ちゃんに少し近いけど、髪の色は元のあたしみたいに濃い灰色、瞳も黒に近くて。

 ……どっちも大切で可愛い、あたしたちの赤ちゃん。アスランも抱いてみて」

 

 あたしはアスランに、赤ちゃんを両方とも受け渡しました。彼ってば戸惑ったみたいな表情ですごく緊張しながら両手に持ってるの。

 

「俺はどうすればいいんだ? こんな事にはなれてなくて……赤ちゃんもこんなに小さくて、持っているだけでも心臓がバクバクする感じだ。……えっ?」

 

 その小さい手で、二人は抱いていたアスランの手を握っていたの。

 

「あら? 産まれたばかりなのにお父さんって分かるのね」

 

「こんなアスランの姿、思ってもみなかった。でも本当に可愛い赤ちゃん……良かったですね、アスラン!」

 

 メイリンさんもこう話していて、彼は赤面しながらも赤ちゃん達を愛おしく眺めて優しく手を握り返してくれた。それから──。

 

「ミーア、この子達の名前はどうしようか。一緒に色々考えたが、いざ決めるとなると……悩むな」

 

「嬉しい悩みねっ、アスラン。だけどあたし、男の子が産まれたらこれしかないって決めていた名前があるの!」

 

 元々のあたしの髪色と瞳の色を遺伝した男の子。あたしは傍にいるアスランからその子を受け取って、優しく抱き上げながら言うの。

 

「この子の名前は、レオン。アスランの名前って他の国の言葉で『ライオン』って意味でしょう? だからアスランみたいに強くて勇敢な、優しい子に育ってほしくて、この名前がいいって思うの」

 

 あたしの大好きな人、アスラン。だから彼の事を想ってつけたいと考えていた名前。

 この子も気に入ってくれたようにニコッと笑って、アスラン本人も照れくさそうにしながら言ってくれたの。

 

「レオン……素敵な名前だ。育ってくれるなら俺よりも良い子になって欲しいな。

 ──ミーアが男の子の名前を決めたのなら、俺は女の子の名前を決めようか。……そうだな」

 

 アスラン似の女の子。彼が抱いたままのこの子を見つめて、考えるように少ししてから名前を決めたの。

 

「──ティア、なんてどうだろうか? ミーアと名前の響きが似ていて、君みたいにキラキラと輝いて欲しいイメージで決めた名前だ」

 

「とってもいい名前、さすがアスランねっ♪ 大きくなったらあたしみたいに歌姫になってくれるかしら? そうしたら……一緒にライブで歌いたいの。良いと思わない?」

 

 ふと思ったそんな夢想。アスランは口元を緩めてこう言ってくれる。

 

「ふふ、まだまだ先の未来かもしれないが、素敵だと思う。ミーアとティアとのライブ、その時には真っ先に観に行きたい」

 

「本当はこの子次第だけど、もしもそうなってくれたら嬉しいな……あたし」

 

 あたしは彼と一緒にたくさんの希望を胸に、二人のことをを見つめるの。

 

「ティアとレオン。あたし達の愛おしい子、会えて本当に幸せなのよ。

 ママとパパになったばかりだけど、これからよろしくね。……たくさん愛情を注いで、大切に育てるから」

 

 家族が……無事に自分とアスランとの子供が出来たって言う幸せ。

 思っていたよりもずっと、ずっと幸せで一杯で溢れそうなくらい。アスランも大好きだけど、産まれて来てくれたこの子たちも同じくらい──大好きだから。

 

 


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