古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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第6話後編になります。
アンケートで1番になったあの恐竜も少しばかりではありますが話に絡んでくることになるので、是非最後までお楽しみ下さい。


後編

スイス アルプス山麓

 

 老人やアクト団工作員の3人組が乗り捨てた飛行機は、マイアサウラの真上を通過して背後の岩壁に激突・炎上した。マイアサウラの周囲にいたヤギ達が爆発に驚き、蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていく。

 そこへ一足先に現地に到着したリュウタとレックスは、目の前で雄叫びを上げるマイアサウラに驚かされた。

 

「「うわぁぁぁぁ!?」」

 

 と、驚きはしたもののここまである程度の場数を踏んできた2人。

 すぐに臨戦態勢に入り、リュウタはガブをカードに戻してディノホルダーにスキャンした。

 

「いくぞガブ! ディノスラーッシュ! 轟け! トリケラトプス!」

 

ゴオォォォォォォ!!!

 

 ガブが成体の姿で召喚され、マイアサウラと向かい合う。マイアサウラは先程の温厚さはどこへやら、荒々しい様子でガブに向かい合うのであった。

 

 一方その頃アクト団は…たまたま着地点が木だったお陰で、何とか命だけは助かることができたようだった。

 本当に悪運の強い連中である。

 

「ここ…どこぉ…?」

 

「わ、分からないッスけど…何とかスイスには着いたみたいッスよ…」

 

「ハァ…今度こそダメかと思ったザンス…。

あーっ! ウサラパ様ウサラパ様! すぐそこにトリケラトプスとマイアサウラがいるザンス!」

 

 ノラッティ〜が指差す先を見ると、確かにそこではガブとマイアサウラが頭を突き合わせて戦っている真っ最中だった。

 

「あらぁ、もう始めちゃってるのねぇ…。

でもこれはチャンスよ! 今のうちにティラノちゃんで2匹諸共倒して回収しちゃいましょ!」

 

 途端に元気になったウサラパがそう言うと、アクトホルダーにティラノのカードをスキャンした。

 

「アクトスラーッシュ! 燃え上がれ! ティラノサウルス!」

 

ガァァァァァ!!!

 

 煮え滾る溶岩と赤い光に包まれ、ティラノが成体の姿で召喚される。

 

「さぁーティラノちゃん! やぁーっておしまい!」

 

 ティラノは一旦目の前のガブとマイアサウラを見据えるが、すぐ横にあるものに釘付けになる。それは、マイアサウラの卵だった。

 

「あーっ! あそこにあるのは卵ッス!」

 

「卵ぉ? まさかあのマイアサウラのものなのかしら?」

 

「何でティラノが卵を見てるザンスかねぇ…?

…あっ、そういえば今朝はご飯をあげてなかった気がしてきたザンス…」

 

「じゃあティラノちゃんが卵を見てるのは…」

 

 そう、ティラノは空腹だったのだ。そんな中に手軽に栄養素を補充できる卵を目にすれば、食べたくなるのは当然…なのだろう。

 …どうせ恐竜は倒されればカードに変わるので、餌にするためにガブかマイアサウラを倒したところでどうしようもないということもあるのだろうが。

 とにかく、卵に狙いを定めたティラノがまっすぐそちらへ走り出していく。

 

 と、そこへ今度はオウガとマルムがテレポートしてきた。卵のすぐ傍にである。

 

「…あれ? これは卵かな?」

 

 ガブとマイアサウラが戦っているところを見た上で、オウガの言葉を聞いたマルムは青褪めた。状況を瞬時に理解したのである。

 

「たいへん! リュウター! 卵よ! その恐竜はー! お母さん恐竜なのよー!」

 

「…卵?」

 

「そうか! あのマイアサウラは、卵を守ろうとしてただけなんだ!」

 

「な、何だって!? 待ってくれガブ! 敵はあっちだ! ティラノだ!」

 

 マイアサウラが攻撃的になった理由に気がついた2人だったが、もう彼らの位置からティラノの妨害をするのは物理的に不可能だった。その間にもティラノはもう卵に接近し、一口で食べようと舌なめずりをしているではないか。

 

「させるか!」

 

「危ない!」

 

 卵をティラノから守るため、オウガとマルムはカードを素早く取り出して各々のディノラウザーとディノホルダーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ! 揺るがせ! ステゴサウルス!」

 

「ディノスラーッシュ! 芽生えよ! パラサウロロフス!」

 

ケェェェェェ…!!!

 

キュオオオン!!!

 

 アメジストとパラパラが成体化して召喚される。2体はすぐさま目の前のティラノに突撃し、押し倒した。更にパラパラがその上にのしかかり、雄叫びを上げる。

 すると…。

 

ブォォォォォ…ン…

 

 どこか遠くから、何かの声が聞こえてくる。すると、何故かパラパラはパッと顔を上げ、また雄叫びを上げる。そして、それに呼応してかまた何かの声が聞こえてきた…。

 

「パラパラったらどうしたのかしら…。

それにどこかから聞こえてくるあの声は何なの…?」

 

「俺にも分からない。でもあのパラパラの様子、どこか嬉しそうなんだよな…。

…あれ? マルム、卵は?」

 

「えっ…ああっ! ない! ないわ!?」

 

 いつの間にか目の前から消えてしまった卵に焦るオウガとマルム。ふと坂道を見ると、卵がコロコロと転がっていこうとしているところだった。

 

「あぁ! 大変だわ!」

 

 そのまま卵は岩に激突し…ヒビが入ってしまった。更にタイミングの悪いことにウサラパ達がその近くにいるではないか。

 

「あー! 卵があんなところに!」

 

「にしてもデカい卵ッスねぇ…。あんだけデカけりゃ、さぞ食いごたえのある目玉焼きになるッスよねぇ…」

 

「…そういえばミー達…朝から何も食べてなかったザンス…」

 

「あんな飛行機で機内食なんて出る訳もないし…」

 

「お腹減ったわね…」

 

「腹減ったッス…」

 

「お腹ペコペコザンス…」

 

 利害が完全一致したアクト団の3人組は互いの顔を見合わせ、大きく頷いた。

 

「取りに行くのよ!」

 

「了解ッス!」

 

「了解ザンス! 向こうから回っていくザンス!」

 

 腹ペコの3人は、卵を盗って食べることにしたようだった。

 

 

その頃 坂の上の草原では…

 

「ガブ! マイアサウラとの戦いはやめだ! 戻ってこい!」

 

「アメジスト! 君も戻ってきてくれ! これ以上マイアサウラを誤解させたくない!」

 

 リュウタがガブを、オウガがアメジストをカードに戻して戦闘を中止させる。

 敵対者がいなくなり、マイアサウラが巣へと駆けつける。しかし当然ながらそこに卵はない。ショックを受けたマイアサウラは涙を浮かべながら周囲を見渡した。

 そんなマイアサウラの視界にティラノが映る…。

 その瞬間マイアサウラの周囲を緑色の光が包みこんだ…技を繰り出すつもりなのだ!

 マイアサウラがティラノに向けて地面を蹴り、砂埃を浴びせる。目に砂が入ったティラノが怯んだ隙を見逃さず、マイアサウラは素早く突進して首へ食らいつき、地面へ叩き埋めた。『ダイビングプレス』だ!最後にしっかりと首を捻ってトドメを刺しておくことも忘れていない。

 その光景を、卵を取ろうと坂を駆け下りていたアクト団達も見ていた。

 

「あぁっ! ティラノがダイビングプレス食らっちゃったッスよぉ!」

 

 エドが坂の上を見上げながらそう実況する。

 それがまずかった。

 

「どわぁっ!?」

 

 なんと彼は転んで、そのまま坂を転げ落ち始めたのである。

 

「待つザンスー!」

 

「余所見なんかしてるからだよ!」

 

 転がり始めたエドはあっという間に2人を追い抜き、坂をコロコロと転がっていく。

 

 崖上にいるDキッズ達もその様子を見て、アクト団が卵を狙っていることにようやく気がついた。

 

「このままじゃあいつらに卵を取られちゃうよ!」

 

「でも…いくら何でもここから降りるのは無理だ!」

 

「それなら俺達も迂回して…いや、それだとアクト団に追いつけないな…」

 

「もう、どうすればいいの!?」

 

 そう言っているうちに、マイアサウラが弱ったティラノに強烈な体当たりをお見舞いする。ティラノは空高く吹き飛ばされて地面に落ち…力尽きてカードへ戻っていった。だがマイアサウラはまだ気が収まらない様子で、今度はパラパラに狙いを定めた。

 

「まずい! みんな見てくれ! マイアサウラが!」

 

 状況に気付いたオウガが3人に知らせる。

 

「えっ!? 何で!?」

 

「おい! パラパラに向かってるぞ!」

 

「卵が見えなくなったから、混乱しているんだ!」

 

「これはまずい…みんな行こう!」

 

 Dキッズ達4人がパラパラを助けに向かう。

 しかしチビ恐竜状態のガブとエース、そしてアメジストは下の卵を見て示し合わせたかのように頷くと、躊躇うことなく崖下へと飛び降りていった。幸い下には茂みがあり、そのお陰で怪我もせずに降りることができたようだ。

 

 しかしパラパラは、マイアサウラから理不尽な暴力を受けていた。地面に突き倒されたかと思うと、掬い投げられて地面に落下したのである。

 パラパラを痛めつけられる光景に耐えられなくなったマルムが悲痛な叫びをあげる。

 

「パラパラ! ダメぇ! パラパラは敵じゃないの!」

 

 起き上がれないパラパラににじり寄っていたマイアサウラだが、その声に反応したのかDキッズ達の方へゆっくりと歩み寄っていく。

 その瞳は、怒りに満ちていた。

 

(流石にこうなってしまえば円満解決は無理そうだ。

ここはレクシィかアメジストで何とかするしかないか…?)

 

 そう考えたオウガがディノラウザーを手に取ろうとした時だった。

 何者かがマイアサウラの腹に突進し、突き転がしたのだ。そしてパラパラのすぐそばに立つと、マイアサウラを威嚇する。

 

「こ、この恐竜は…!」

 

 その恐竜は全長は10メートルほどで、トサカや胴体には青いラインが走っている。しかしその体つきやプレスリーみたいな派手な頭は、パラパラとほぼ同じシルエットだ。

 

ブォォォォォン!

 

 そう。それはまさしくパラサウロロフス・ワルケリ。

 オーウェンの世界から迷い込んだ恐竜にして、先程パラパラと会話していた相手だったのだ。

 敵が増えたことにマイアサウラは当惑しつつも、受けて立つかのようにパラサウロロフスに雄叫びを返した…その時だった。

 

『キューア!』

 

 どこからか甲高い声が聞こえてくる。

 その声を聞いたマイアサウラは落ち着きを取り戻しつつも、素早く周囲に目を配っていた。

 

「何…? 今の…」

 

「しっ! 静かに…」

 

 耳をすませると、またどこからか同じ鳴き声が聞こえてくる。その声を聞いている内にどんどんマイアサウラの瞳から怒りが消えていき、それを示すようにバトルフィールドも消えていくではないか。

 

「…あっ! もしかしたら!」

 

 マルムが何かに気づいたように走り出す。オウガ達もそれに続いて先程の崖から見下ろしてみると…そこにはマイアサウラの生まれて間もない幼体がいた! 無事に孵化したのだ!

 

「卵が…孵ったんだ…!」

 

 可愛らしい幼体マイアサウラを見て、癒やされるDキッズ達。

 しかし、その時間は長くは続かなかった。

 

「! オバさん達が来る!」

 

 レックスの言葉に皆がそちらを見ると、3人がすぐ近くまでやって来ていた。

 

「目玉焼き…」

 

「オムレツ…」

 

「スクランブルエッグ…」

 

 卵をどう調理するかを楽しみにしながら来たのであろう、卵料理を口々に言っていた。

 流石にこの状況で、レックスのオバさん呼びを咎める余裕はないようだ。

 

「ん? 今オバさんっつったぁ?」

 

 いや、こんな状況でも聞き逃さなかったようだ。

 そして眼前の幼体マイアサウラと、2つに割れた卵の殻を見て愕然とする。

 

「ええ!? 恐竜の赤ん坊!?」

 

「オムレツがぁ〜…」

 

「ぬう…こうなったら、アイツを捕まえて母親を誘き寄せるザンス!」

 

「…よーし、捕まえるのよぉ!」

 

 そう言ったアクト団の3人組が、幼体マイアサウラに襲いかかろうとする。

 

「まずいぞ! あのままだと幼体が…!」

 

「どうにかしないと…!」

 

 マルムがそう叫ぶと、パラパラが横のパラサウロロフス・ワルケリに何かを伝える。パラサウロロフス・ワルケリはコクリと頷くと、全身に緑色の光を纏い始めた。どうやら技を出すつもりのようだ。そして高らかに雄叫びを上げると、アクト団の3人組の目の前に3頭のオヴィラプトルが現れた。

 

「何なのよこいつら。そんな小さいナリでアタシ達とやろうってのぉ?」

 

 ウサラパがオヴィラプトル達にガンを飛ばすと、オヴィラプトルは大きく息を吸い込み…口から無数の卵を吐き出し始めた。まるで、卵が欲しいならこれでも食っておけ、と言わんばかりである。

 これは、超技『朋卵弾丸(エッグスリボルバー)』。卵泥棒(冤罪)のオヴィラプトルが相手に卵をぶつけまくるユニークな技である。

 アクト団の3人に卵がぶち当たり続け、彼らの服や肌がみるみる卵の黄身と白身と殻まみれになっていく。そして一通り卵を撃ち終わると、ほぼ同時にアクト団の3人は地面へ仰向けに倒れた。

 それを見届けたオヴィラプトル達は緑色の光となってパラサウロロフス・ワルケリの体に戻っていった。

 

「何よこれぇ…マイアサウラの卵を食べられなかったアタシ達への当てつけなのぉ…?」

 

「許せないザンス…こうなったら意地でも恐竜カードだけは持ち帰るザンス…」

 

「…ん? 何の音ッスか…? これ…」

 

 どこからともなく、メェーメェーと声が聞こえてくる。

 そちらを振り向くと、ガブとエースとアメジストに誘導されたヤギの群れが、幼体マイアサウラを守るように立ちはだかったのである。

 

「な、何だいこのヒツジは…」

 

「ヤギっすよ?」

 

「どっちだっていいだろ!?…おいヤギ!邪魔だよ!」

 

 ウサラパが強い口調でヤギを恫喝するも、ガブやエース、アメジストは勿論、ヤギ達も怯む様子がない。

 

「ヤギの癖に挑戦的な目ザンスねぇ…。ナマイキザンス!」

 

「もぉーっ! ヤギ! 邪魔!」

 

 そう言ってウサラパが両腕を広げた時だった。

 ガブがウサラパに飛びかかり、腕に噛みつくとそのまま地面に倒したのだ。それを皮切りにエースもノラッティ〜に頭突きを食らわせ、アメジストは体当たりでエドを転ばせる。こうしてウサラパの上にノラッティ〜とエドが乗っかる形となった。

 そして最後に怒涛のヒツジ…ならぬ怒涛のヤギ達による渾身の突進攻撃でアクト団達は吹き飛ばされ、坂道をどこまでも転がり去っていったのであった…。

 

「ガブ! やったな!」

 

「エース! すごいぞ!」

 

「アメジスト! 流石だぞ!」

 

 リュウタ、レックス、オウガがパートナーの恐竜を褒めながら呼びかける。それにガブ達も応え、周りのヤギ達も勝利を祝してか大騒ぎするのであった…。

 

 そして、ようやく幼体マイアサウラが母親のもとへ帰ることができた。幼体が母親に頬擦りをすると、母親は我が子を優しく舐め始めるではないか。

 実に心温まり癒やされる光景であった。

 そんな様子を4人で見ていると、突然リュウタ、レックス、マルムのディノホルダーが輝き始めた。まるで、1番最初に石版の声を聞いたときと同じように…。

 そして、やはりというべきか石版から声が聞こえてくる。

 

『私たちを…静かな…元の場所へ…静かな…元の場所へ…』

 

 これがマイアサウラ母子の伝えたかった言葉なのだろうか。

 光が収まったところで、唯一聞くことができなかったオウガが尋ねる。

 

「なぁ、3人とも。マイアサウラは何て言ってたんだ?」

 

「あぁ、静かな元の場所へ戻して欲しいって言ってたぜ」

 

「そうだな…。一緒にカードに戻してあげようか」

 

「…ええ! いつまでも、一緒にね!」

 

 そう言ってマルムがディノホルダーを弄ると、マイアサウラ母子はカードへと戻っていった。マルムはゆっくりと歩み寄り、マイアサウラのカードと『ダイビングプレス』を拾い上げる。

 マイアサウラのカードには、母子が幸せそうな表情で写っていた。

 

「それから、あなたもありがとうね!パラサウロロフスちゃん」

 

『クオォォッ!』

 

『ブルルル…』

 

 マルムとパラパラが感謝の言葉を伝えると、パラサウロロフス・ワルケリは満足そうに頷き…自らカードへと戻っていった。マルムはそのカードと『朋卵弾丸』もしっかりと拾い上げると、さっきのマイアサウラのカードと一緒に抱きしめる。

 そんな彼女を、オウガ達やガブ達チビ恐竜も微笑ましく見ていたが、今回戦闘に参加できなかったレクシィだけは面白くなさそうに目を逸らしていたのだった。

 

 

その後 三畳市 リュウタ宅

 

 恐竜の保護を終えて帰ってきたDキッズ達は、古代博士に今日の出来事を話して聞かせていた。

 

「へぇー…マイアサウラに赤ちゃん恐竜か…。いいなぁ…父さんも行きたかったなぁ…」

 

 マイアサウラ母子を直接見られなかったことを悔しがる古代博士を尻目に、リュウタがポツリと呟く。

 

「…オレさ、母親ってすげぇんだな、って思ったんだよ。な、レックス! オウガ!」

 

「そうだね。子供のためなら何だってできるって感じだったな…」

 

「俺もやってもらって当然、みたいな態度じゃなくこまめに感謝を伝えることが大事なんだと痛感したよ。

今度から母の日にはちゃんとプレゼント贈るようにしようかな…」

 

「その通りよ!」

 

 男連中の言葉を聞いていたマルムが突然声を張り上げた。

 

「女性は偉大だわ! それに比べてあなた達と来たら…逃げ出すなんて最低よ!」

 

 腕組みをしたマルムがリビングを見渡す。そこはマルムが今朝この家へやって来た時と何も変わっていなかった。

 まあリュウタ達が掃除から逃げ出したのだから散らかったままなのは当然である。

 

「さ、夕食の前に…みんなで大掃除よー!」

 

「「「えーっ!?」」」

 

 掃除再開を宣言するマルムに露骨に嫌そうな顔を浮かべるリュウタ達。

 

「せめて夕食は食べてからにしようぜ〜…?」

 

「ダーメ!」

 

 申し出をマルムに宜なく断られて落ち込むリュウタ。

それを苦笑いで見ていたオウガは、背に何やら冷たいものが走るのを感じた。

 

「あれ? もしかしてこれ、俺も掃除やらされる感じなの…?」

 

「当たり前でしょ!」

 

「そんなぁ〜…」

 

 ここに来てオウガは、まさかの貧乏くじを引くことになってしまった。がっくりと肩を落とす彼を見て、レクシィはざまあみろとでも言わんばかりに鼻を鳴らしたのであった…。

 

 

一方その頃 スイスのアルプス山麓

 

 あの後怒涛の転がりからは解放されたものの、帰る手段もないためアクト団工作員の3人組は徒歩で山を降りていた。斜陽の光の中、3人がとぼとぼと山道を下っていく…。

 

「…あぁーん! 何でいつもこうなるのよぉーん!」

 

「あぁ…腹減って…声も出ないッス…」

 

「今回ばかりは、タルボーンヌの飯が恋しいザンス…」

 

 そんな風にボヤいていると、突然ウサラパがエドに振り向き、低い声でこんなことを言い始めた。

 

「…エド。なんかあんたが肉団子に見えてきたわ。齧っていい?」

 

「ええっ…!? やめてほしいッス!」

 

 自身を食べ物として見ていることに震え上がり、エドは逃げ出す。そしてそれを追いかけるウサラパを見送りながら、ノラッティ〜がボソリと呟いた。

 

「ミー達はいつになれば、帰れるザンスかねぇ…。

とぼとぼ…ザンス…」

 

 彼らのやろうとしたことは決して許されることではない。だが、それにしてもあまりにもみじめすぎる帰り道であった。

 

 

 




 今回の恐竜解説!

「今回の担当は、俺、覇轟オウガだ。
今回紹介するのは、母なる癒やし『マイアサウラ』!
名前の意味は「よい母親トカゲ」。なんでよい母親なのかは…後で説明するよ。
白亜紀後期の北アメリカに生息していた鳥脚類で、その全長は9メートルほど。
ここまで聞けば、特に特徴もない恐竜のように思えるよね?でもこの恐竜は、それまで形作られていた恐竜のイメージの1つを大きく変化させたんだ。
この恐竜が発見された、エッグマウンテンと呼ばれる場所では、本種の集団営巣の痕跡が発見されたんだ。
そこでマイアサウラは、卵を温めて子供達を孵化させ、その後甲斐甲斐しく子供達の世話を見ていたということが分かったんだ。
この発見によって、それまで恐竜は卵を産み落とすだけ産み落として後は放置していた、という考えから、自分の子供達の世話をしっかりと見る生物だ、という風にイメージが180°変わってしまったんだ!
まさしく、恐竜史に残る大発見だった訳だね!
とは言え、本当にマイアサウラが子育てをしていたのかは疑問が残るらしくて、曰く巣の塚の中から腐肉食生物のシデムシの化石が見つかったとか、給餌されていた証拠とされる幼体の摩耗した歯をまだ生まれていない卵の中の個体も持っていたとか…。
実際どうだったかは俺達じゃどうやっても知ることはできないけど、個人的には、恐竜の中でも進化的なグループは子育てをしていたとしても不思議はないと思うよ!
…ちなみに、このマイアサウラを発見、および命名したのは、古生物学者のジャック・ホーナー氏…俺達の世界なら、ジャック・ホナラネ氏か…で、彼は鳥脚類を専門に研究しているんだよね。
できればずっとそれだけやってもらって、特に深く知ってるわけでもない畑違いのティラノサウルスの研究に首を突っ込んでもらわないでほしいんだけどなぁ…」

ということで、第6話はここまでです。
次回はユタラプトルとクイズ回ですが…個人的に割と脚色を加えてみましたので、その方針で大丈夫かどうかは皆さんに判断していただきたいと思います。
では、また次回「Dキッズvsアクト団!恐竜クイズ対決!」でお会いしましょう。
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