古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ 作:バックベアード
ある日マルムがリュウタ宅を訪れると、家の中は酷く散らかっていた。リュウタの母亜紀が3日家を空けただけでこの惨状になってしまったことに怒ったマルムはリュウタ達に掃除をさせるが、途中で逃げ出されてしまう。
その後スイスのアルプス山麓に現れたマイアサウラを保護するべく向かったDキッズだったが、卵を見失ったマイアサウラからパラパラがひどく攻撃されてしまう。
しかし卵から孵った幼体マイアサウラのお陰で、マイアサウラは落ち着きを取り戻した。そしてパラパラの声で助太刀に来たパラサウロロフス・ワルケリやアルプスのヤギ達の協力もあり、卵を狙うアクト団を退けることができたのだった。
前編
三畳市 リュウタ宅
ある日のこと。
オウガ達Dキッズは、今日も今日とてリュウタ宅に集まっていた。
オウガやリュウタ、レックスが彼らの恐竜達を庭で遊ばせてる間、マルムは1人室内でテレビにかじりついている。彼女が見ているのは、「クイズパックンパックン」というクイズ番組だ。
この番組では毎週異なるお題のクイズが出題され、それを一般参加者が解答する形式なのである。
そして今週のテーマは、「サッカー」のようだった。
『…ということで、今回のサッカークイズ優勝者は、千葉県からお越しのロベルトさんでーす!』
テレビ画面にはガッツポーズをする男性と、彼に拍手を送る他の参加者達が映し出されている。
そこでカメラが切り替わり、若い男性MCがアップになった。
『クイズパックンパックンでは、出場希望者を募集しております! 可愛い子はどんどんカモーン!』
「タマッキー!かっこいー!」
MCの男…タマッキーこと玉木を見たマルムが黄色い声を上げる。どうやらクイズではなく、こちらが視聴目的のようだ。
その様を他の3人は呆れ顔で見ていた。
『そして次回はなんと…! 小学生恐竜クイズ大会ーっ!
優勝者にはなんと賞金100万円! そして更に、番組特製トリケラトプスゴールデンフィギュアをプレゼント!』
「欲しいーっ!」
その瞬間今度はリュウタが画面に張り付く。「トリケラトプスのフィギュア」という言葉を聞き逃さずにはいられなかったようだ。
「よぉし! Dキッズで出ようぜ!」
決心したからには行動が早いリュウタ。早速次のクイズパックンパックンに応募することに決めたようだ。
レックスとオウガも概ね好意的な反応を示す。
「なるほど…。いいんじゃないか? 面白そうだ」
「俺も皆と一緒に出れるなら出てみたいな。
…まあ、リュウタはトリケラトプスのフィギュア目的みたいだけどね」
「タマッキーに会いたーい!」
マルムは玉木のことしか頭にないようだった。
と、そこへまるでタイミングを見計らっていたかのように古代博士が現れる。その手には大量の応募ハガキを抱えていた。
「まっかせなさーい! 私が応募ハガキを用意しておいたぞ!」
「さすが父さん! 判断が早い!」
「いやぁ〜、ハッハッハ!」
豪快に笑う古代博士だが、彼にとっては全て計算ずくのことであった。Dキッズにクイズ大会で優勝してもらい、その賞金でDラボを改築しようと考えていたのである。
当然ながら100万円ぽっちで研究所の改築をしてもできることはたかが知れているのだが、そこまで気づけるほど古代博士は冷静ではなかった。
だが、そこでレックスがテレビ画面を指さした。
「パパさん。申し込みはホームページから、というように案内されていますよ?」
まさかの事実を知り、古代博士は思わずずっこけてしまった。
「じゃあ、レックス! 申し込み頼んだ!」
「うん、任された」
「いよぉーし! じゃあ大会当日までひたすら特訓だ!
父さんの恐竜知識を、徹底的に叩き込んでやる!」
「「オーッ!」」
「こんな形で有名人に会えるなんて〜!」
「フィッギュア! フィッギュア!」
「リュウタもマルムもえらいやる気だな…。
とは言え俺もDキッズの一員。みんなの足を引っ張らないよう頑張らないとな」
「どうしたんだオウガ君!トリケラトプスのフィギュアはそこまででもないのかもしれないが、賞金は100万円だぞ!
みんなで平等に分けても20万!かなりの大金だ!
それがあれば、君が今まで手が届かなかったものも買えるのではないかな…?」
そんな古代博士の言葉に、オウガも一度考えてみる。
言われてみれば、確かにそうだ。
今まで自分が買おうとしたが高すぎて断念したもの…例えば、激重ゲームのA◯kを滑らかにプレイできて、かつModをいくらでも詰め込めるほどのハイスペックなゲーミングPC。
例えば、スピノバーグ監督が手掛けたとある作品に出てくる、レクシィそっくりなティラノサウルスの高クオリティ彫像。
例えば、海外の最新の恐竜研究について記された学術書…。
小学生が買うには身分不相応で、両親にも頼みにくい高価なものを、この賞金で買えるとしたら…。
そう考えると、思わず彼の口に笑みが浮かぶ。
「博士。お願いがあります」
「ん?どうしたんだ?」
「俺…やっぱり賞金が欲しいです! 懸命に頑張りますから、番組当日までご教授の程よろしくお願いいたします!」
「よく言った! それでこそだ!
私の特訓は厳しいぞ! しっかりついてきなさい!」
「はい!」
途端にやる気に満ちてきたオウガと、それを喜ぶ古代博士。
彼らとリュウタやマルムも見たレックスは、思わずため息をつくのであった。
その頃 アクト団の基地 アジ島
「「「んぎぎぎぎ…」」」
とある一室では、アクト団工作員の3人がゴムひもに繋がれ、踏ん張って先に進みながら目の前のボタンを押そうと四苦八苦していた。
「遅ーい!」
Dr.ソーノイダがそう怒鳴り、手元のスイッチを押すと3人の体に電流が流れ、黒焦げになってしまう。更に踏ん張りもできなくなったことにより、ゴムひもの作用でスタート地点に戻されてしまった。
「バッカモーン! そんな有り様で早押しができるかぞい!」
「す、すみませんドクター…」
「では、次の問題ぞい!
トリケラトプスの分類は、何目何科ぞい?」
「ふんっ! ぐぬぬぬぬ…はあーっ!」ピンポーン!
ソーノイダが問題文を読み上げると、すぐさまウサラパが駆け出し、今度は見事ボタンを押した。
「答えはっ!?」
「…分かりません」
疲れ切った顔でウサラパがそう答える。取り敢えず解答ボタンまでたどり着いただけだったようだ。
「ウスラバカ!」
ソーノイダの怒声と共に再びウサラパに電撃が浴びせられ、またしてもゴムひもでスタート地点へと戻されてしまう。
「ホギャスカ…」
「なっさけない! この程度の問題すら答えられんで、それでも泣く子も黙るアクト団の一員かぞい!?」
「い、一応一員です…」
「よいか! お前らはあのクイズパックンパックンとやらに出て優勝し、100万円を手に入れなければならんのだぞい!
その100万円でマシンの部品を買うんじゃぞい!」
なんと、ソーノイダはクイズ大会の懸賞金をマシンの修理代に充てるつもりだったようだ。古代博士にしろソーノイダにしろ、物の値段というものを甘く見積もりすぎではないだろうか。
そもそもクイズ大会は小学生限定だったはずなのに、どうするつもりなのだろう…。
そしてソーノイダのスパルタクイズ特訓を乗り越えたアクト団工作員の3人組は、ヘリコプターで会場入りすることになったようだ。
不安定に揺れる機内で、ウサラパが心配そうに呟く。
「ねぇ…。このヘリ本当に大丈夫なんだろうね?」
「まあいつもミー達は乗り物で酷い目に遭ってるザンスからねぇ…。でも、今のところ問題はなさそうザンスよ?」
その時、エドの正面のモニターが赤く光った。
「あっ、電池切れ?みたいッス」
「ででででで電池ぃ!? まさかこのヘリ、電池で動いてんの!?」
「ありえないザンスぅぅぅ!」
なんとアクト団製のこのヘリコプターは、乾電池で動く機構になっていたようだ。乾電池でここまでの馬力を生み出せる技術力は凄まじいものだが、所詮は乾電池。ヘリコプターの動力の供給源とするにはあまりにも少なすぎる。
電池切れを起こして高度を下げ始めたヘリコプターは、そのまま太平洋に落下したのであった。
そして、来る日…クイズパックンパックン「小学生恐竜クイズ大会」の日が到来した。
古代博士に連れられてテレビ局にやって来たDキッズ達は、既に大興奮といった状態だ。
「さぁ、着いたぞ! ここが会場のテレビ局だ!
みんな! 頑張るんだぞ!」
「「「「おーっ!!」」」」
早速勇んでテレビ局へ入り、スタジオ入りしようとした4人だったのだが…。
「あのー、お客様…。局内へのペットの連れ込みは禁止されております」
「ペットじゃありません! オレ達の友達です!」
「ペットでも友達でも、動物の連れ込みを許可することはできません!」
当然ながら警備員に呼び止められ、ガブ達の持ち込みは断られてしまった。
「ちぇっ…」
「仕方ない。ガブ達にはここで待ってもらおう」
「そうするしかなさそうね…」
ということでガブ達を倉庫で待機させることとなり、そちらへと移動するDキッズ。
しかしその時、警備員の前に別の3人組がやって来る。
「こんにちはー! 小学生恐竜クイズ大会に出場する人はどこに行けばいいんですかー?」
「…小学…生…?」
そこにいたのは、よりにもよって小学1年生のような格好をしたアクト団工作員の3人組だった。どうやらヘリコプターが落下したというのに何とか日本へ辿りつけたようだ。
そして今は、頑張って裏声を出して小学生のように振る舞っている。ここまで来ればもういっそ哀れと呼ぶ他ない。
そんな彼らを見た警備員は、唖然としてしまっていた。
一方、倉庫に来たDキッズは、それぞれのパートナー恐竜に話しかけていた。
「ガブ、ここで待ってるんだぞ?」
「エースも大人しくしててくれよ?」
「ここから動いちゃダメよ? パラパラ。
…あら? オウガはレクシィちゃんとアメジストちゃんをカードに戻しちゃうの?」
ディノラウザーを操作してレクシィとアメジストをカードに戻しているオウガを見て、マルムがそう声をかけた。
「考えすぎかもしれないけど、もしものことを考えておくと、俺が肌身離さず持ち歩いていた方がいいと思ってね。
ここにアクト団が来る可能性も0じゃないだろ?」
「流石に考えすぎだと思うけどなぁ…」
そう話しながらスタジオに出ていくDキッズを見届けたところで、パラパラは大欠伸をしてその場へ横になった。
一方ガブとエースは、早速どこかへと駆け出していったのであった。
「すっげぇ〜! こんな風になってるんだぁ〜!」
早速スタジオ入りしたDキッズ達は、初めて見る光景に興味津々といった具合である。
そんな時、マルムが一際目を輝かせた。目的の人物…イケメンMCの玉木を見つけたのである。
「あっ! 玉木さん発見! タマッキーさーん!」
そう言ってマルムが駆け寄ろうとしたその時だった。
「あ~っらイケメ〜ン!」
彼女の前を何者かが横切り、玉木と話をしていた男を押しのけ割って入っていった。
アクト団のウサラパ(小学生コス)である。
「どうも! はじめまちて〜!」
「あぁー! 何でこんなところにアクト団のオバさんがいるのよー!?」
「はいぃぃぃぃ!? 何ですってぇぇぇ!?」
気色悪さすら感じる子供口調で玉木にすり寄るウサラパだったが、マルムにオバさん呼びされたことで瞬時に化けの皮が剥がれてしまう。
そんな彼女を、ノラッティ〜とエドが止めに入った。勿論、彼らも子供口調である。
「ウサラパちゃーん!」
「どうちちゃったのー? 大人みたいッスよぉー?」
その言葉を聞いてか、ウサラパも多少は冷静になり、役に戻る。
「あっ…アクト団って何のことぉ〜? あたち達ー、南太平洋から来た小学生だからよく分かんなーい!」
あまりに痛々しい子供口調に、思わずエドとノラッティ〜もウサラパから距離を取る。大人のプライドをかなぐり捨てたアクト団の醜態を目にし、思わずDキッズ達も囁やき合った。
「いくら何でもその格好はないよなぁ…」
「小学生バカにし過ぎだよ…」
「オバさんが無理しちゃって…」
「これもうババア無理すんな案件だよ…」
「あぁっ!? オバさん呼びだけじゃ飽き足らず今度はババアだって!?
あんた言ったね!? 言っちゃったね!? 踏み越えてはいけないラインを踏み越えてついにその言葉言っちゃったねぇ!?
もー怒ったわ! 絶対に許さないわよぉ!!!」
手足をジタバタさせて激怒するウサラパを何とか羽交い締めにして抑え込むエドとノラッティ〜。
それはそれとして、不正参加しようとするアクト団の3人を放っておくことはできない。すぐにDキッズはMCの玉木に抗議した。
「そいつら悪い奴らなんです!」
「変装して、きっと何か企んでるんだ!」
「あんた達どう見たって小学生に見えるわけないわよ!」
「玉木さん! スタッフさん! お願いします!
この人達をつまみ出して下さい!」
「あたちー、何言ってるか分かんなーい!」
Dキッズの抗議にも子供口調ですっとぼけるウサラパ。
スタッフ達の注目も集まる中、MC玉木が下した決断とは…!
「まぁまぁ…きっと暖かい南の島でのびのび育ったんでしょうねぇ…」
これにはDキッズのみならず、アクト団側のノラッティ〜も呆気にとられた。とても一般常識を備えた大人とは思えない、能天気な態度だったからだ。
「タマッキーさーん、リハ始めまーす」
「はいはーい!」
スタッフに呼ばれて去っていくMC玉木を、Dキッズ達は複雑な表情で見送った。
「はぁ…?」
「あの人、天然ボケなのかしら…」
「いや、あれは天然ボケってレベルじゃないと思うよ…?」
「そうよね…。ヤバい…幻滅しちゃいそう…」
一方、アクト団はひとまず安堵している。
「なんとかお目溢ししてもらえたザンス〜…」
「MCがアホで助かったッスね…」
と、そこでウサラパが2人の拘束を振りほどき、Dキッズ達の方へつかつかと歩いていく。
「アタシ達は泣く子も黙るアクト団!
今日は絶対に負けないからね…!」
「何をー! 優勝するのはオレ達だ!」
リュウタとウサラパは睨み合い、熱く火花を散らすのであった。
その頃、ガブとエースは倉庫を抜け出し、別番組の収録準備を進めるスタジオに入り込んでいた。
「監督ー! 石ありましたー!」
「おう、そこらへんにばら撒いといてくれー」
「しっかし、よくこんなのがあったなぁ…」
「環境番組で使ったやつを借りてきたんだ。正真正銘、本物の古代の石だってさ」
そう話しながらスタッフが台車を押していくと、途中でいくつか石が転がり落ちる。その中には、あの卵カプセルもあった。
すぐさま押さえにかかるガブだが、ツルリと滑って前の方へ転がっていってしまう。
そんな時、スタッフがガブとエースの存在に気がついた。
「監督ー! これ、着ぐるみっすかー?」
「敵に捕まる子供恐竜のことか? 檻に入れとけ!」
こうして人形と勘違いされ、ガブとエースは檻に閉じ込められてしまったのであった。
場所は戻ってリュウタ達のスタジオ
こちらのスタジオではカメラにランプが灯り、いよいよ収録が始まるところだった。
『クイズー! パックンパックーン!』
(パックンパックンパックン!)
「クイズパックンパックン。どうも皆さんこんにちは。司会の玉木翼です。
今回はなんと!小学生恐竜クイズ大会ー!
それでは今回の参加者をご紹介致しましょう!
まずは三畳市からお越しの、Dキッズチーーム!」
MC玉木の紹介と共に右側のパックンが4つ開き、Dキッズ達が登場する。
「よっしゃあ! 優勝するのはオレ達だぁーっ!
みんなー! 頑張るぞー!」
「「「おーっ!」」」
「そして対するは…南太平洋のアジ島町立アクト小学校チーーム!」
今度は左のパックンが3つ開き、アクト団工作員の3人組が顔を出す。
「泣く子も黙るアクト小の名に賭けて! 絶対に負けないわよーっ!」
「オーッ!ザンス!」
「オーッ!ッス!」
「事前にお伝えしていた通り、このクイズの優勝チームには賞金100万円と、番組特製恐竜フィギュアを差し上げます!
それでは前置きもこのくらいにして、早速最初の問題に参りましょう。
第!1問!」
『白亜紀に存在したと言われる、『暴君トカゲ』…』
ポーン!
「おーっとまだ問題の途中ですが、よほどの自信があるのでしょうかDキッズの覇轟オウガ君!
…答えを!」
「ティラノサウルス!」 ピンポーン!
「やったねオウガ!」
「すげえ! やるな!」
「大正解! Dキッズに10ポイント加点です!
…しかし、これはもしかすると、彼には簡単すぎたかもしれませんね。
見てください彼の服やバッグ! 全身からティラノサウルス愛が伝わってきます!」
「はい。なんせ俺はティラノサウルスが1番大好きな恐竜なので! ティラノサウルスやそれに関連する問題は絶対に落としたくないという覚悟で望んでいます!」
「これは頼もしい!
Dキッズの皆さんもさぞかし心強いことでしょう!」
「流石にあそこまで早いと対応できないッス…」
「次こそはアタシ達が取るよ!」
「しかしまだまだクイズは始まったばかりです。では次の問題に参りましょう!
第!2問!」
『『卵泥棒』と呼ばれる恐竜の名前は?』
「オヴィラプトル!」
「正解! …ってダーッ!」
答えを聞き、正解の判断を下したところでMC玉木はずっこけた。
なんと今回答したのは出演者でない古代博士だったからだった。
「『オバさん太る』ッ!? 何のことよッ!」
「違うッスよウサラパ様!」
「『オヴィラプトル』ザンス! どこをどう聞いたらそう聞き間違えるザンスか!?」
一方オバさん呼びに敏感なウサラパは、オヴィラプトルが自分への悪口のように聞き間違えてしまっていた。いくら何でも被害妄想が過ぎないだろうか。
「応援の方は回答しないで下さい!」
「すみません…」
結局番組への妨害行為と判断され、古代博士はスタジオの外へつまみ出されてしまった。
「えー、ちょっとしたハプニングがありましたが、気を取り直して第!3問!」
第3問が始まるところで、ウサラパとエドが何やらこそこそと相談を始めた。
「ちょっとエド…例の作戦、始めるわよ」
「あ…あぁ、あれッスね…。了解ッス」
『北アメリカやカナダで発見された…』
ポーン!
どこからともなく伸びてきたマジックハンドがレックスのボタンを押した。
「おっとDキッズチーム、連続正解なるか!? レックス君! 答えを!」
「…え? 押してませんけど…」 ブッブー!
「残念! レックス君が間違えたのでDキッズチームはこの問題の回答権がなくなってしまいました!
では、問題をもう一度どうぞ」
『はい。北アメリカやカナダで発見された、背中が硬い鎧のようになっている『繋がったトカゲ』という意味の恐竜は?』
問題文をじっくり聞いてから、エドがゆっくりとボタンを押した。
ポーン!
「はい! アクト小学校のエド君!」
「答えはアンキロサウルス!ッス!」 ピンポーン!
「正解! 今度はアクト小学校チームに10ポイント!」
「何やってんだよレックス!せっかくオウガが先制点取ってくれたのに!」
「いや、だから僕は本当に押してないんだって…うわっ!?」
本当に解答ボタンを押していないレックスが弁明していると、回答席にパックンと飲み込まれてしまった。
「おっと、今回では初めて不正解者が出ましたので解説をば。
クイズパックンパックンでは、間違えた回答をした、もしくは回答ボタンを押したにも関わらず回答できなかった方は、回答席のパックンに飲み込まれてしまいます!
飲み込まれるとその後3問が経過するまでは回答権なし、つまり3回休みとなってしまいますので、回答ボタンは迅速かつ慎重に押しましょう!
…では、次の問題に参ります!」
(…あのレックスが押し間違いなんかするはずがない。
加えてあのアクト団達のしてやったりというような顔。
…詳しい所は分からないけど、これは何かされたな)
オウガがそう考えていると、手元のディノラウザーがブルブルと震えた。今回の番組収録の際邪魔にならないようリアスさんがディノラウザーやディノホルダーにマナーモードを実装してくれていたのである。
(こんな時に恐竜が出たのか…。
それで、肝心の出現場所は…ここ!?)
オウガが驚いて横のリュウタとマルムを見る。視線の先にいる2人もまた、驚きの表情を浮かべていたのだった…。
一方、別の収録スタジオ
ここではスーパー戦隊シリーズ『古代戦隊ディノレンジャーズ』の収録が行われている。今撮っているのは、敵役が風を起こして攻撃するシーンであった。その風の中、
全長5〜6メートルほどで、両脚には一際大きな1対の鉤爪が備わっている。ラプトル系の中でも最大級の1種、ユタラプトルだ!
突如現れたユタラプトルに驚き、演技中だったスーツアクター達は急いで逃げ出した。
「カットカット! ちょっと何やってんの! 恐竜出すタイミングはここじゃないでしょ! ねぇAD! ちょっとー!」
「あれ? まだ用意してないっすよ?」
「え? ってことは…?」
監督とADがほぼ同時にユタラプトルを見る。そんな彼らに、ユタラプトルは威嚇するかのように吼えた。
「「ギャーーーーッ!!」」
そしてユタラプトルが駆け出すのとほぼ同時に、監督らスタッフ達も我先に逃げ出した。
そんな彼らを天井のキャットウォークから見つめる、赤い羽毛を備えた何者かの姿があったのだった…。
今回はここまでです。
クイズ対決の行方はどうなるのか?
そしてキャットウォークからユタラプトル騒動を見つめる者の正体とは…?
次回、後半をお待ち下さい。