古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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今回は中編と分割した後編をお届けします。
ユタラプトルとピロラプトル、2体のラプトル達のバトルの行方とは…。
そして恐竜クイズ大会の勝者とは…。
どうぞ最後までお楽しみ下さい。


後編

その頃 クイズパックンパックン収録スタジオ

 

「さぁ、随分と回答者は少なくなってしまった気がしますが…いよいよ次がラストの問題です!

では改めて得点を見てみましょう!

Dキッズチームが230ポイント、アクト小学校チームが210ポイントです!

そしてラスト問題のポイントは30! つまりこの問題に答えられた方が優勝となります。それでは…問題をどうぞ!」

 

『北アメリカで発見された、ラテン語で『ユタの略奪者』という名前の恐竜は?』

 

ポーン!

 

 問題文が読み上げられるが早いか、エドが素早く回答ボタンを押した。

 

「ッ! またか!」

 

「あぁっ!」

 

「おーっと、これで勝負が決まってしまうのかー!?

ではアクト小学校のエド君…答えを!」

 

 エドは、答えなかった。否、正確には、「答えられなかった」。答えの恐竜が全く分からなかったのである。それでも何とか答えを絞り出そうと、顔中を汗塗れにして考え続けていた。

 しかし、回答時間は残りわずかだ。このままではDキッズに回答権が渡ってしまう。それでも考え続けていた…その時。

 

ズドォォォン!

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

 彼の背後の壁がぶち破られ、ユタラプトルとピロラプトルが乱入してきたのである。MC玉木もこれには黙っていられず、慌ててその場を逃げ出していく。

 潰れかけたパックンから逃げ出すエドと、思わずパックンから降りたオウガとマルム。そこへ彼らを追ってリュウタ達やガブ、それにウサラパとノラッティ〜も集まってきた。

 

「どっちもなんてすばしっこい奴なんだ!」

 

 ユタラプトルとピロラプトルの激しい戦いを見て、リュウタが思わず声を漏らす。そこへオウガとマルムも駆けつけてきた。

 

「リュウタ! どうなってるの? あれが出現した恐竜?」

 

「そうだ! 青い方がユタラプトル!それで…」

 

「赤い方は…化石よりかなりサイズは大きいけどピロラプトルかな?

あれがオーウェンさんのところの恐竜なのかもね」

 

 そこでピロラプトルの体に灰色の光が宿り、風が渦巻き始めた…技を使う気なのだ!

 ピロラプトルは素早く小さな竜巻を起こすとユタラプトルにぶつけ、空中に浮かべて身動きが取れないようにする。そこへ飛び上がり、相手を超高速で蹴りまくる超技『暴風乱打(ハリケーンビート)』を浴びせたではないか。トドメにサマーソルトキックをお見舞いしようとしたピロラプトルだが、ユタラプトルが寸でのところで反撃に転じたため、技は中断されてしまった。

 そんな様を見ていたウサラパが、背中を抑えつつユタラプトルに指示を出す。

 

「痛っ…さっさとケリをつけてあげなさい! ユタラプトルちゃん!」

 

 ウサラパがそう指示を出すと、先程のようにアクトボールが現れ、ユタラプトルの周りを旋回しだす。するとユタラプトルは突然苦しみ始めた。

 

「え…? 何なのあの変なボール…」

 

「さっき僕達は見ていたけど、きっとあの変なボールでユタラプトルを操っているんだ! 早く倒して、止めないと!」

 

「…状況は大体分かった。俺も手を貸すよ!」

 

 その言葉と共にレックスがエースのカードを、オウガはレクシィのカードを構え、それぞれのディノホルダーやディノラウザーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ! 吹き抜けろ! カルノタウルス!」

 

グォォォォォン!!

 

「ディノスラーッシュ!

燃え上がれ! ティラノサウルス・レックス!」

 

ゴガァァァァァァッ!!

 

 大型肉食恐竜が2体も現れ、スタジオは一気に狭くなった。

 傷の治療の為にも短期決着を狙いたいウサラパは、早くもここで技カードを使うことを選択したようだ。

 

「お遊びはここまでよ…! 『アトミックボム』!」

 

 技カードをスキャンした途端、ユタラプトルの体に灰色の光が宿ると、そのまま高く飛び上がって背中を下にし、ピロラプトル目掛けて急降下していく…。

 だが、こちらには3体も恐竜がいるのである。まずはレックスがディノホルダーに技カードをスキャンした。

 

「僕とエースに任せろ!『疾風無敵(サイクロン)』!」

 

 するとエースの体を風が包みこみ、そのまま落下してくるユタラプトルに向かって突撃していった。互いにぶつかり合い、相殺されて地面へと降り立つ。ぶつかり合いの衝撃でエースはフラフラになってしまうが、それは相手のユタラプトルも同じこと。

 しかし何を血迷ったのか、ピロラプトルは狙いをエースに変え、そちらへ飛びかかろうとしてきた。そこに立ち塞がったのが、オウガのレクシィである。

 

「なら、ピロラプトルの相手は俺とレクシィがやる!

爆炎大砲(ビッグファイアキャノン)』!」

 

 続けてオウガが『爆炎大砲(ビッグファイアキャノン)』の技カードをスキャンすると、レクシィの体が赤い光と炎で包まれる。そしてレクシィは口に炎を溜め込み始め…そして思い切り吐き出した。吐き出された炎の玉はこちらへ向かってきていたピロラプトルに当たると、大爆発し炎上した。その燃え盛る炎の中、ピロラプトルは2枚のカードへ戻っていく。

 

「よっし! オレも行くぜ! 『雷撃一閃(バスタードスピア)』!」

 

 最後にリュウタが技カードをスキャンすると、ガブの体が黄色の光と電撃に包まれた。そして頭部の3本の角のうち大きい2本に雷エネルギーが集約し、巨大な雷槍へと変化する。ガブはその角を高く掲げると、動きの鈍いユタラプトルに向かって突撃していった。そしてユタラプトルを貫いても尚勢いは止まず…そのままユタラプトルの後ろにいたアクト団の3人組にも突っ込んでいく。

 

「「「うわぁぁぁあ!…ビリビリビリビリ!」」」

 

 3人とも感電し、黒焦げになってしまう。そしてユタラプトルもまた、カードへと戻っていった。ウサラパとノラッティ〜はその場でダウンしてしまったが、唯一まだ立てているエドがフラフラと回答席の方へ近寄っていく。

 

「ゆ…ユタラプトルが…」

 

 そして彼は回答ボタンを押した。押してしまったのだ。これに反応したのが、MC玉木である。

 

「せ…正解ー! 優勝は、アクト小チーム!…です」

 

 その宣言と共にアクト団達に30ポイントが追加され、クイズはアクト団の勝ちが決まった。

 足元に落ちてきたユタラプトルとアトミックボムのカードをリュウタが、ピロラプトルと暴風乱打(ハリケーンビート)のカードをオウガが拾い上げた。

 

「へへっ。恐竜カード、いっただきー!」

 

「今回も、俺達の勝ちだな」

 

 その言葉を聞き、アクト団の3人がバッと起き上がる。

 

「恐竜カード…取られたザンス…」

 

「悔しいーっ! でもクイズは優勝したんだからね、これは貰っていくわよ!」

 

 そう言うとウサラパは100万円のボードを抱え、足早にその場を去っていった。ノラッティ〜とエドもその後に続く。

 

「それでは、アクト小の皆さんには100万円&豪華景品を賭けたチャレンジ問題に挑戦を…あれ? いない…」

 

 その場にもうアクト団達はいない上、おまけにオウガ達が召喚した恐竜達も出されたままだった。

 

「えっ…恐竜…?」

 

「CGかな?」

 

「いやいや、これはアニマトロニクスだろ」

 

「にしてもよく出来てるなぁ…」

 

 それを聞いて慌てたのはオウガ達である。

 

「やべっ!」

 

 それぞれディノホルダーやディノラウザーを弄り、レクシィ達をカードに戻すことには成功した。しかし、その中でも1番困惑していたのは、他でもないMC玉木本人であった。

 

「一体何がどうなってるの…?

と、取り敢えずこれからどうするかスタッフと協議しますので…一旦CMでーす…」

 

 

その後 アクト団基地 アジ島

 

「お前達! わざわざアクトコントローラーまで送ってやったというのに、恐竜を回収できずノコノコと帰ってくるとはなんたることぞい!」

 

 あの後帰る手段もなく命懸けでアジ島に帰ってきたアクト団工作員の3人組を待ち受けていたのは、激怒したソーノイダだった。ちなみに手当はしてもらったようで、ウサラパは体に包帯をグルグルと巻かれている。

 

「…まあ、とは言え今回の最大の目的は資金調達じゃったわけじゃからのう。

そっちさえ回収してきたのなら今回はそれでよしとしてやるぞい。さあ! 100万円を出すのじゃぞい!」

 

 ソーノイダの言葉を聞いて、一気に表情を綻ばせた3人組は、持ってきた100万円のボードを差し出した。

 

「…ん? これは番組で貰う演出をするためのボードじゃぞい。肝心の賞金はどうしたんじゃ。

ほれ、現金をそのまま渡すのはまずあり得んじゃろうし、金一封を貰っておるのじゃろう?」

 

「金…」

 

「一封…ザンスか?」

 

「何じゃ、現金ではないぞいか…。

!そうか! 小切手ぞいか! 交換の手間はかかるが持ち帰るならそれが1番手軽でいい!

さあ! 小切手を出すのじゃぞい!」

 

「小切手…ッスか…?」

 

 ソーノイダのどの言葉もいまいちピンときていない様子の3人組。

 これにはさしものソーノイダもイライラしてきたようだった。いつも何かしら怒っている気はするが。

 

「どういうことじゃぞい! お前らはクイズで勝ち! そして100万円を持って帰ってきたのではなかったぞいか!」

 

「だからこの100万円を…」

 

「それはただのボードぞい!」

 

 と、そこへロトとロアの兄妹がやってきた。2人が押してきたのは、テレビだ。

 

「お爺ちゃんとそこの3人じゃ埒が明かないみたいだし、実際の放送を確かめてみたら?」

 

「もしものことを考えて、私達が録画しておいたの!

もしかしたら、3人が負けたのに嘘を吐いてるだけかもしれないものねー?」

 

 ロトとロアのからかいに、ウサラパ達は鼻息を荒くした。

 

「そんなことないザンス!」

 

「ちゃんと得点で勝って優勝したんスよぉ!」

 

「ドクター! 信じて下さい!」

 

 黙って聞いていたソーノイダだったが、ゆっくりと口を開いた。

 

「まあひとまず…テレビで確かめてみるとするぞい」

 

「オーケー。それじゃあ…ユタラプトルが倒された辺りまで早送りするね」

 

 そうしてソーノイダと工作員3人組、そしてロトとロアを含めてのクイズパックンパックン上映会が始まったのである。

 

 

遡ること数日前…クイズパックンパックン収録スタジオ

 

「えー、今回のクイズの勝者であるアクト小学校の皆さんがいなくなってしまったので…スタッフとの協議の結果、Dキッズの皆さんによる敗者復活&100万円チャレンジクイズをやっていただくことになりました!

もし今から出題する問題に5問連続で正解することができれば、Dキッズの皆さんが逆転勝利&賞金の100万円と番組特製の恐竜フィギュアを獲得することができます!

しかし、この問題はどれもなかなかマニアックな難問ばかり…。まさに生き返るかそのままか、千載一遇のチャンスなのです!

…さあ、Dキッズの皆さん…挑戦しますか!?」

 

MC玉木からの問いかけに、Dキッズは少しも淀むことなく答える。

 

「「「「やりますっ!!」」」」

 

「了解です! それでは…チャレンジ突入! 第1問!」

 

『数年前にジャック・ホナラネ博士が、トリケラトプスとある恐竜が同種であるという仮説を立てました。

さて、その恐竜とは?』

 

ポーン!

 

「早速いい滑り出しです! Dキッズの古代リュウタ君!…答えを!」

 

「トロサウルス!」 ピンポーン!

 

「正解です! 続けて第2問!」

 

『1991年に発見されたとあるアロサウルスの化石は、全身の95%という極めて高い保存状態で発見されました。

そんなこのアロサウルスに付けられた愛称は?』

 

ポーン!

 

「次はレックス君が続くのか?…答えを!」

 

「ビッグ・アル!」 ピンポーン!

 

「正解! さあ折り返しだぞ3問目!」

 

『昔の恐竜図鑑にはよくその姿が描かれていたトラコドンという恐竜。この恐竜の化石はそれから現在に至るまで何度も名前が変わってきた経緯を持っています。では、トラコドンの今の名前は?』

 

ポーン!

 

「マルムちゃんも正解できるのか!?…答えを!」

 

「エドモントサウルス!」ピンポーン!

 

「正解です! ゴールまであと少しだ! 頑張れ4問目!」

 

『これまでティラノサウルスの種小名は『レックス』ただひとつだけでした。

しかし最近、7200万年前の地層からティラノサウルスの新種だとされる化石が見つかりました。

では、そのティラノサウルスに与えられた種小名は、なに?』

 

ポーン!

 

「やはりここで来たのはティラノジャンキー覇轟オウガ! ティラノサウルスを語らせれば彼の右に出る者はいないのか?…答えを!」

 

「マクレイエンシス!」 ピンポーン!

 

「正解だぁーっ!

さあこれがいよいよ最終問題!

Dキッズは見事復活を果たし、100万円と恐竜フィギュアを持ち帰ることができるのか!?

泣いても笑ってもこれが最後の問題!いきます!」

 

ドドン!

 

『1992年に南フランスの山火事跡から発見され、ラテン語で『火の略奪者』という学名を付けられた恐竜は、なに?』

 

Dキッズ達は互いの顔を見つめ合い、一斉に回答ボタンを押した。

 

ポーン!

 

「おおっ! 全員でいきました! ではDキッズの皆さん…答えを!」

 

「「「「せーの、『ピロラプトル』!」」」」

 

ピンポンピンポンピンポーン!

 

「見事正解! チャレンジ達成ーっ!

今回のクイズパックンパックン「小学生恐竜クイズ大会」は〜…Dキッズの大逆転優勝だぁーっ!!」

 

 

「それでは、Dキッズを代表して古代リュウタ君に、賞金100万円と番組特製トリケラトプスゴールデンフィギュアを受け取ってもらいましょう!

おめでとうございます!

では、Dキッズの皆さん! マイクに一言ずつどうぞ!」

 

「ありがとう! くぅ~っ! やった! やったぜ父さん! 母さん! オレ、優勝したよーっ!

このトリケラトプスゴールデンフィギュア、一生大事にするからなーっ!」

 

「パパ…見ているかどうかは分からないけど、僕はDキッズの仲間と一緒に勝利を掴み取りました。

今度、このお金でパパにプレゼントを送りますね!」

 

「パパ! ママ! お姉ちゃん! 見てる? アタシ達やったわよ! 賞金で一緒に美味しいものでも食べに行こうね!」

 

「父さん…母さん…。俺…三畳市に引っ越してきて…Dキッズのみんなと会えて…こんな体験もできて…本当に良かったって心の底から思ってる!

Dキッズのみんな! ありがとう! そして、これからも一緒に色んなことを経験していこうな!」

 

「それでは、本日のクイズパックンパックンはここまでとなります!

最後までご視聴いただき、誠にありがとうございました!

次回のクイズパックンパックンのお題は…ズバリ!

『魚グランプリ』!次の優勝者には…」

 

 そこで映像は途切れた。ソーノイダがリモコンでテレビの電源を落としたのだ。その場にはこっそりと部屋から出ていくロトロア兄妹と、顔中真っ青の工作員3人組、そして顔を真っ赤に染めた噴火寸前のソーノイダがいた。

 

おーまーえーらーっ!!

 

「「「ヒエェェェェェェッ!!」」」

 

「なぁにが『勝って帰ってきた』じゃぞい!

100万円ゲットのチャレンジ問題前に帰ってきとるんじゃないぞい!」

 

「ほ…本当に申し訳ありませんドクター…」

 

「申し開きのしようもないッス…」

 

「気づかなかったザンス…」

 

 3人は平謝りだが、そんなものでソーノイダの怒りは鎮まらなかった。

 

「お前らのせいで! 我が泣く子も黙るアクト団のマシン修復はまた年単位で遅れることが確定したぞい!

あーあーあーあ! こーんな能無し共を重用したばっかりにワシらはいつになってもこの時代から抜け出せないぞい!」

 

 まだ怒りが治まらない様子でそう言い捨てるソーノイダ。地面に頭を擦り付けんばかりの勢いで謝り続ける工作員3人組。そんな空間に、聞き慣れない言葉が響いた。

 

「…お困りのようですね。Dr.ソーノイダ」

 

「誰ぞい!」

 

 ソーノイダが声の主へ目を向けると、そこには見慣れない男達が3人立っていた。

 丸眼鏡で、年の割に生え際が交代している男。

 軍服にベレー帽を被った太り気味の中年男。

 全身最高級ブランドのスーツで固めた、神経質そうな男。

 いずれもアクト団では見覚えのない連中である。

 

「な、何者ぞいおぬしら! 一体どこから入ってきたのだぞい!?」

 

「普通に表の扉から入らせていただきましたが…?

ここは随分とセキュリティが甘いようですね」

 

「それに何故ワシの名前を知っておる!?

話がしたいのならまずそっちから名乗らんか!」

 

「おっと、これは失敬しました。私は…」

 

 そう言いかけて、丸眼鏡の男は深々とお辞儀をしてから言葉を続けた。

 

「世界に「正しい」恐竜像の普及を目指す団体『Sin-D』最高責任者兼代表の、カロリディー・ドジスンと申します」

 

 そう言い、カロリディーは名刺を差し出した。ソーノイダはその名刺を受け取り、しばらくまじまじと見てから顔を上げる。

 

「フム…それで? そっちの2人は誰ぞい?」

 

「そうでした。彼らの紹介を忘れていましたよ。

こちらの恰幅がいい男は、我が『Sin-D』の兵器開発部門総責任者であるジェイソン・ホスキンスです。

そしてこちらの痩せ型の方は、『Sin-D』経理・資金調達部門総責任者のイシドーラ・ミルズといいます。

どうぞこれから、お見知り置きを…」

 

「よろしく頼むぜぇ?」

 

「…よろしく」

 

「それでワシに何の用じゃ。言っておくがワシは今とても機嫌が悪くてな、今相手をしている暇は…」

 

「貴方に、我々の抱える恐竜達のために技カードを作っていただきたいのです」

 

 その言葉に、思わずソーノイダは二の句を継げなかった。

 

(何じゃこいつら…何故ワシが技カードを作れることを知っておる…?

しかも、恐竜…恐竜じゃと…!?)

 

 そんなソーノイダの内心の困惑を見抜いたように、カロリディーは続ける。

 

「フフフ、驚いていらっしゃるようですね。

しかしそれも無理からぬこと。この情報は我々が独自のルートで手に入れたものですから。

…もし、貴方が技カードを作ってくださるのならば、私共もそれ相応の対価を支払いましょう。

そうですね…まずは技カード4枚で、10万ドルお支払します。どうです?」

 

 その言葉に、ソーノイダは絶句してしまう。その横で、ウサラパがこっそり声を潜めてノラッティ〜に聞いた。

 

「ねぇノラッティ〜。10万ドルっていくらよ?」

 

「えーっと…今の日本円相場に当てはめると…1500万円くらいザンスね」

 

「せっ…!?」

 

「そんな大金PONとくれるなんて…すげえッス…」

 

 その間も、ソーノイダは黙っていた。その様子を汲んでか、カロリディーはスッと身を引く。

 

「まあ…すぐに決断してほしいとは言いません。

技カードの材料も、こちらで指定させていただく形になりますし。

何よりいきなりやって来た人間を、そう簡単に信用などできないでしょう」

 

 そう言うと、カロリディーは足元のジュラルミンケースを持って姿勢を正した。

 

「今回は少しここを見て回ってから帰ることにします。詳しいお話はまた後日お伺いした時に…」

 

 そう言うと、カロリディー達は連れ立ってソーノイダの研究室を出ていった。

 その後もソーノイダは何も言わず、あの工作員3人組に対してもあれ以上怒ることはなかった。しかし、結局その日の残りは、ソーノイダは何をするにも上の空だったという…。

 

 

最下層研究室

 

 ここは、アクト団の科学者ノーピスの個人研究室になっていた。普段殆ど誰も近寄らないこの部屋だが、この日は何故かエレベーターが動き、そして開く。

 そこには、先程ソーノイダと別れたばかりのカロリディーの姿があった。カロリディーは真っ直ぐノーピスに向かっていくと、先程とは異なる口調で話しかける。

 

「貴方ほどの優秀な研究員が、こんな地下でくすぶっているだけとは実に残念なことですね」

 

「…誰だ?」

 

「おやおや、そんなに警戒しないで下さい。

実は貴方によい話があったので、それをお持ちしたんですよ…」

 

「…お帰り願おう。あんたと話すことはない」

 

「そんなことを言わなくてもいいじゃありませんか。

少なくとも技カードを作る才能に関しては、貴方の方があのDr.ソーノイダよりはるかに上であると、私は認識しているのですよ…?」

 

 カロリディーの言葉に、ノーピスがピクリと肩を震わせる。

 

「少し見せてもらいましたが…Dr.ソーノイダの作る技カードは、全て威力よりも見映えが重視されているように感じます。

あのご老人は派手な演出だとか、プロレスみたいな技がお好きなようですね…。

だが、それでは私は納得しきれません。

派手な演出や仰々しい動きなどなく…ただ相手を抹殺するだけの技を、私は求めているのですよ」

 

 カロリディーの言葉をノーピスは黙って聞いていたが、彼のおしゃべりが終わってからゆっくりと口を開いた。

 

「…いくら出せる?」

 

 そう問われたカロリディーは、彼の目の前にジュラルミンケースを置き、中身を確認させた。中には米ドル札の束がびっしりと詰められており、ノーピスが1つ1つ手にとって確かめる…。

 どれも間違いなく本物だった。

 

「まず前金でこの75万ドルを。そして私の要望通りのカードを仕上げて下されば、更に75万ドル支払いましょう」

 

「どんな技カードが欲しいかにもよるな。それを詳しく聞かせてもらおう」

 

「そうですね…」

 

 そう言ってカロリディーは考えたフリをした。正直なところ、どんな技カードを作ってほしいかについては、とうに決まっていたのである。

 

「私がこよなく愛する『最強の肉食恐竜』に相応しい技カード…つまり、『どんな状況・相手でも一撃で倒すことができる技カード』を、私は欲しているのですよ…」

 

 そう言うとカロリディーは歓喜と怨嗟が入り混じったような…そんな醜悪な笑みを浮かべた。それをあまり直視せず、ノーピスは淡々と答える。

 

「…残念だが、俺も『一撃必殺』の技を開発できるところまでは至れていない」

 

「そうですか。それは残念です」

 

「だが…」

 

 そこで一度言葉を切り、ノーピスは続けた。

 

「『弐撃必殺』…その技を当てさえすれば2発目はどんな攻撃でも相手を即座にダウンさせることができる…そんな技なら作れないこともない」

 

 それを聞いたカロリディーは、またあの醜悪な笑みを浮かべた。

 

「それはよいことを聞きました。

ではその効果のカードの開発をお願いします」

 

「了解した。技カードの属性は?」

 

「炎でお願いできますか?」

 

「構わない。むしろ炎ならばそういった効果の技は1番作りやすいな」

 

「それは良かったです。

では、長い付き合いになるかとは思いますが、どうぞこれからもよろしくお願い致しますよ…」

 

 そう言うとカロリディーはエレベーターでノーピスの研究室から退出していく。そのエレベーターの中で、彼は感情を抑えきれなくなったのか低く笑い出した。

 

「いよいよだ…。これで私のギガノトサウルスは攻撃力・防御力共に比類なき域へと達する。

これであの…頭でっかちの暴れるトカゲなど相手にもならないのだということが世界の常識となるのだ…!

ククク…待ち遠しくて仕方がない…」

 

 




 今回の恐竜解説!

「今回の担当は私!古代博士だ!
今回解説するのは、脅威の猛禽『ユタラプトル』!
名前の意味は、『ユタの略奪者』。この「ユタ」という文字は、この恐竜の化石が発見されたアメリカの州「ユタ州」から名付けられているためなのだ!
白亜紀前期のアメリカ大陸で生きていた小型肉食恐竜なんだが、その全長は5〜6メートルほどにもなる!
ラプトル系の恐竜では最大級のサイズだな!
そしてやはり1番の特徴は、その両後ろ脚に備わる1対の鉤爪、通称シックルクローだな!
その大きさは20センチにも達するぞ!
この爪は、相手を引き裂くことよりも突き刺すことに向いていたと考えられていて、それで大型の恐竜の背中にひっついて相手の手が届かないところから攻撃していたのではないか?と考えられていているのだ!
とは言えこの研究は、爪の上に被さるはずの角質の存在を無視しているという反論もあり、突きと裂き、どちらに向いた形態なのかはまだ議論の余地があるな!
ちなみにユタラプトルも、他のラプトル系同様羽毛が生えていたのではないか、という推測はあるのだが…いかんせん化石証拠にそれらしいものはないし、ラプトルの中では大型ということもあって、羽毛が必要だったのかどうかは分からないとも言われているな…」


ということで、今回はここまでです。
ピロラプトルのくだりはやり過ぎたような気もしますが…JP・JW恐竜の脅威を描写するために加えてみました。(ちなみに襲われてからの下りはJP3のユデスキーさんの最期を参考にしました)
このクイズ回は当時何かと分かりにくいところが多かったのと、100万円の行き先を明確にするために補完と改変を加えさせてもらいました。
さて、次回の恐竜キング!「ガブとスティラコサウルス!雷の友情」!後半の展開を大きく変えていくつもりなので是非ご期待下さい!
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