古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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 前回の恐竜キング!

 クイズ番組「クイズパックンパックン」の小学生恐竜クイズ大会に出ることにしたDキッズ。
 しかしそこへ現れた対戦相手は、まさかの小学生のふりをしたアクト団工作員の3人組だった。更にはユタラプトルやピロラプトルが局内に出現し、大混乱になってしまう。
 一度はアクト団にユタラプトルを奪われてしまったものの、ガブやエース、レクシィの奮戦もあってユタラプトルとピロラプトルのカードを回収することに成功した。
 しかしその間にクイズは負けてしまっていたが、アクト団が最終問題前に逃走したことでDキッズがチャレンジ問題という形で敗者復活戦に挑戦。見事全問正解したことで、Dキッズは逆転優勝を飾ったのだった…。




第8話:ガブとスティラコサウルス!雷の友情!
前編


アクト団の基地 アジ島

 

 この日、Dr.ソーノイダはこの前録画したクイズパックンパックンをもう一度見直していた。いや、見直していた…とは言っても、ボーッとしていたため流し見に近いものだったのだが…。

 とにかく、ソーノイダは録画映像を流しながらずっとこの前の商談について考え事をしていた。

 

(あやつ…カロリディー・ドジスンとか言ったか。

あやつが提示してきた、技カード4枚の開発と引き換えに10万ドル支払うというもの…あれはあまりに大きいぞい。あれだけあれば、ウサラパ達の失態を取り返せるだけではなく、マシンの修理を大幅に早めることができるぞい。その上更に奴らがより多くのカード開発を依頼してくるようなことがあれば、余った金でワシらのQOLを改善することだってできる…。

まさにいいことずくめぞい…。

しかし…あんな得体の知れない連中、しかも若造共と手を組むなど、我が泣く子も黙るアクト団の名が廃るというものじゃぞい…。

実利と面子、どちらを取るのがワシが恐竜キングになるために有益なのか…うーむ…)

 

 そこで、ふと意識を画面へと向ける。そこには、優勝賞品や賞金を手に満面の笑みを浮かべるDキッズ達の姿があった。

 横目で後ろを見れば、アクト団工作員の3人は呑気にオセロなどに興じている。それが情けないやら腹立たしいやら、更にはDキッズに対する苛立ちの感情が入り混じり、ソーノイダの気持ちがグチャグチャになってしまう。

 そのグチャグチャな感情のままに、ソーノイダは叫び出した。

 

「ぬおぁぁぁぁぁぁぁぁあ!! 怒髪天を衝くぞい!

何故こんなガキ共に泣く子も黙るワシの恐竜達が奪われ続けなければならんのだぞぉぉぉぉい!

許せん! 許せん! 許せん!!

絶ーっ対に許せんぞーーいっ!!」

 

 黙ってテレビを見ていたかと思えば、突然怒り出したソーノイダに困惑しつつも、刺激しないようにこっそり部屋から逃げ出そうとする工作員3人組。

 しかしソーノイダの怒りの源は彼らの失態にもあるので、当然逃がしてもらえるはずもなかった。

 

「こらあっ! お前達! どこに行くつもりぞいっ!」

 

「「「ヒイッ!?」」」

 

「元はと言えばお前達が不甲斐ないから、恐竜カードも技カードも、あまつさえ100万円すらも奪われておるのじゃぞい!

少しくらい自覚はないのかぞい!」

 

「でもドクター、100万円は解決したじゃないですか」

 

「ドクターが向こうの要望通りのカードを4枚作って納品すればそれで1500万ッスよ?

それでいいじゃないッスか」

 

「ワシはまだあの商談を受けると言った訳ではないぞい!」

 

「何でザンスか? 商談を受けても頑張るのはソーノイダ様だけでいいんザンしょ?

それで1500万ならこれ以上いい話はないザンス!」

 

「ぐぬぬぬぬ…ワシはこんなに実利と面子を天秤にかけて悩んでおるのに…どうしてお前達はそんなに気楽なんじゃあーっ!

…こうなれば、お前達にしっかり教え込まなければいかんようじゃな…!」

 

 そう言うとソーノイダは、両手にスタンロッドを握った。

 

 

その頃、アジ島外周部では…

 

「…あら?せっかく洗濯物をかけたのに…」

 

 洗濯物を干していたタルボーンヌがふと空を見上げると、にわかに黒い雲が広がり、そこから雨が降り注いできていた。タルボーンヌはため息をつき、かけたばかりの洗濯物を取り込み始める。

 

 

戻ってソーノイダの研究室

 

「よいかっ! 今度また恐竜をあのガキ共に奪われるようなことがあれば…」

 

「あれば…?な、何なんですかドクター…?」

 

「お前達にはとてつもない…!」

 

「「「と…とてつもない…?」」」

 

 あまりの迫力に、思わずウサラパ達3人はたじろぐ。

 

「この電流よりも凄まじいお仕置きをしてやるから覚悟しておくがいいぞーーい!!」

 

 ソーノイダがそう言って2本のスタンロッドを交差させた…その時だった。

 黒い雲から特大の雷が迸り、真っ直ぐにアジ島を襲ったのだ。

島中を雷の電撃が駆け巡り、あちこちで致命的なショートが発生する。当然、中にいる人間達も無事では済まなかった。

 

「「「ビリビリビリビリビリビリビリビリ!?」」」

 

 ウサラパ達が雷の電撃に打たれ…

 

「ビリビリビリビリビリビリ!?

…び…ビビ…何で…こうなるんじゃ…ぞい…」

 

 そしてソーノイダも雷の電撃に打たれてしまった。あまりの理不尽に涙を流しながら、その場にバッタリと倒れたのである。

 

 

 一方、アジ島外周部ではタルボーンヌが洗濯物の取り入れをしていた途中だった。きちんと対雷の装備を施してあるのか、ショートして動けなくなることもなく無事のようだった…。

 

 

その頃 三畳市 リュウタ宅

 

『ガブゥ…』

 

「ガブ、大丈夫か…?」

 

 この日、ガブはどこか体調が優れないようで、いつもはあっという間に平らげるフードに口も付けなかった。

 

「さっきまで森で木をかじるくらい元気だったはずなのにな…」

 

「あぁ、食欲がないなんてガブらしくないよ…。

うーん…このドッグフードが不味いから食べたくないのかなぁ…?」

 

「どれどれ…」

 

 そう言うと古代博士はガブの餌皿からフードを数粒手に取り、食べて確かめてみた。

 

「うーん…この前のより美味くなってると思うがなぁ…」

 

 何の抵抗もなくドッグフードを食べて味を確かめた父親を見て、リュウタは苦笑いを浮かべる他なかった。

 

「うーむ…これはやはり病気なのか…?」

 

「えっ! 病気!? 何の!?」

 

「そこまでは分からんな…。何せ父さんは恐竜の専門家だが、医者ではないから病気の特定までは…。

少なくともレクシィのようなリジン欠乏症ではないことは確かだ、としか言えないな…」

 

 うーん…とリュウタと古代博士が考え込んでいると、心当たりがあるのかレックスがリュウタにじっとりとした視線を向けていた。

 

「な、何だよレックス…」

 

「もしかしたら、リュウタが変なものを食べさせるからそれでお腹を壊したんじゃないのか?」

 

「何だと! オレがいつそんなものガブに食べさせたんだよ!」

 

「ほら、リュウタはいつも食事の時にはピーマンやニンジンが入ってたら、テーブルの下のガブにたべさせてるじゃないか」

 

「レックス、気づいてたのかよ…。

で、でもそんなの関係ねぇよ! ガブだっていつも喜んで食べてるんだからさ! な、ガブ!」

 

 そう言ってリュウタが撫でてあげても、ガブは弱々しい声を出すだけだった。

 

「とにかくリュウタ。このままは良くないぞ。

すぐにでも獣医さんに見せた方が良さそうだ。マルムのお父さんの病院へ連れて行ってあげなさい」

 

「う、うん。分かった。そうするよ」

 

 ということで、リュウタはガブを連れてマルムの両親が経営するペットショップへ向かうことにしたのだった。

 しかし…。

 

「何よ! うちのドッグフードが不味いっていうの!?」

 

「誰もそんなこと言ってないだろ!?」

 

「何とぼけてんのよ! さっき自分の口でそう言ったじゃない!

ねぇー! ママー! リュウタがねー、うちの…」

 

「だーかーらー! 違うってば!

そうも思ったけど、病気じゃないかと結論付けたから連れてきたって言ってんだろ?お前のとこのお父さんに診てもらおうと思って…」

 

 そう言うとリュウタはトリミング室のマルムの母親に会釈を送り、何とか誤魔化そうとした。それもこれもマルムがリュウタの訴えを話半分に聞いていたのが要因ではあるのだが…。

 

「ま、そういうことなんだ。けど、今日は動物病院休みにしてるのか? 閉まってて入れなかったんだけど…」

 

「パパは今往診に行ってるの。そろそろ帰ってくる頃だと思うんだけど…」

 

 その時、3人の背後の扉が開いた。マルムの父親にして動物病院院長の竜野中生が帰ってきたのだ。

 

「おやおや、これはリュウタ君にレックス君。それにガブちゃんとエースちゃんも一緒なんだね。

今日は、一体どうしたんだい?」

 

「急に来てごめんね、おじさん。実はガブの元気がなくて…心配で連れてきたんだ。診てもらえない?」

 

「それは大変だ。どれどれ…」

 

 早速中生はガブの頭に手を当ててみる。

 

「おお…これはいかんな…」

 

「えっ!? そんなに熱あるの!?」

 

「いやいや、そうじゃないよ。いつもならこうやればガブガブ噛んでくるのに、今日はちっともやらないじゃないか」

 

「それは…確かに…」

 

「とにかく、診察室に行こう。

そこで詳しく診てみようじゃないか」

 

 ということで、リュウタ達は中生に続いて診察室へ入っていったのだった。

 

 

 ちなみにこの時、Dキッズで唯一この場にいないオウガが何をしていたのかというと…。

 

「オーウェンさん、今までで集められた恐竜カードをお返ししますね」

 

「なるほど…シノケラトプスにパラサウロロフス・ワルケリ、そしてピロラプトルか…。

これでこの前渡してくれたカルノタウルスと合わせて4種類の恐竜を連れ帰ることができそうだ。

君達の頑張りには感謝しないとな…」

 

 手持ち無沙汰だったのでレクシィとアメジストを連れてDラボを訪れたところ、ちょうどオーウェンが来ていたので恐竜カードを引き渡していたのである。オーウェンは要回収恐竜リストにチェックを付け、受け取ったカードをしまう。

 

「あと…これはレックスからオーウェンさんに、と。

テレビ局で倒したピロラプトルが持っていたカードなんですが…」

 

「これは…『暴風乱打(ハリケーンビート)』か。

一応オレは『双乱気流(ツイスター)』の技カードを持ってるから最低限の攻撃手段はあるんだが…貰っても大丈夫なのか?」

 

「はい。俺達で話し合って決めたことですし、レックスも『身軽なブルーの方がこの技は使いこなせると思う』と言ってましたので」

 

「すまないな…。関係各所との連絡もしないといけないせいであまり駆けつけてやれないというのに…。

だが今日から数日は特に予定も入っていないし、もし恐竜が出たら今度こそオレも協力させてもらうよ」

 

「はい! その時はよろしくお願いします!」

 

そこまで話してから、ところで、とオーウェンが話題を変える。

 

「その…あれから君とレクシィは大丈夫かい?

関係が悪化したのではないかと、気が気じゃなかったんだが…」

 

「俺はもう大丈夫です。もう起きてしまったことについてとやかく言ったり考えても仕方ないですし、それで怖がってなんていたらレクシィからの信頼なんか勝ち取れませんから。

今は彼女からの信頼を得るために毎日頑張っているところですよ」

 

「…そうだったのか。それなら良かった」

 

「…まあ、当の彼女がどう思っているのかは、俺には全く分からないですけどね」

 

 そう言って振り返るオウガの視線の先には、丸椅子の上で丸くなって眠りについているレクシィの姿があった。

 

 

その頃 ハワイ州 オアフ島

 

 常夏の島として誰もが知るところであるハワイ。そのとあるビーチではこの日、フラダンスショーが行われていた。

 その会場の片隅で、1匹の子犬がヤシの木の根本を掘り返している。やがて砂の中からいつもの卵型カプセルが現れ、砂浜の上に転がった。

 その時、にわかに空に黒い雲が広がり、雨が降り出し始めた。フラダンサーや観客たちは慌てて雨から逃げ惑う。しかし先程の子犬は掘り出したカプセルに執心しているようで、足で掻いたり乗っかったりしている。そして噛みついた時にカプセルが開き、中から2枚のカードが飛び出した。それに子犬は驚いたのかカプセルを飛び越えて走り去っていくが、その時2枚のうち技カードの方が波にさらわれてしまった。そこへ落ちてきた雷がそばの一際大きなサーフボードに命中し、すぐ隣のヤシの木にも電撃が流れる。

 その電撃に包まれてカードから具現化したのは…フリルを数多のホーンレットで飾り立てた1本角の角竜、スティラコサウルスだった。目覚めたスティラコサウルスは、まるで雷のような雄叫びをあげたのだった…。

 

 

一方その頃 アクト団基地 アジ島

 

 アジ島は冒頭の落雷のせいで島の全機能がストップしてしまっており、今は復旧作業の真っ最中だった。エドとノラッティ〜がハムスターホイールのような回し車を回して発電できた分を使い、ソーノイダやロトが中心となって設備の修理を行なっていた。

 

「ったく…なんちゅう雷ぞい…。機械という機械が全部故障してしまっておるぞい…」

 

 ソーノイダがぼやいていると、そばのアクトホルダーから甲高い通知音が響き始めた。先程のスティラコサウルスの出現を感知したのだ。

 

「ぬおっ! 合図ぞい! ワシの恐竜がまた姿を見せおったぞい!」

 

「でもお爺ちゃん。アクトホルダーが反応したからってそれだけじゃ出撃できないよ」

 

「そうよー。機械がこの有り様じゃどこに出たのかも分からないもの…」

 

 すぐさまロトとロアがダメ出しをする

 そうなのだ。アクトホルダーが知らせるのは恐竜の出現と大まかな場所だけで、具体的にどこなのかはここに備え付けられた設備でないと確認できないのだ。そしてその設備は、今落雷の影響で故障してしまっている。

 

「ザーンス! 場所が分からないんじゃ捕まえようがないザンス…」

 

「おまけに…この状況じゃ乗り物も動くか分からないッス…」

 

「そうだねー…。島全体に影響があったみたいだし…」

 

 ロトがそう言っていると、唐突に部屋の電気が落ちてしまう。エドとノラッティ〜が疲れて足を止めてしまったため、電力供給が途絶えたのだ。肩で大きく息をする2人にソーノイダが怒声を飛ばす。

 

「こらーっ! サボってるんじゃないぞい!」

 

「ねぇ、ドクター。この現状じゃあ恐竜集めどころじゃありませんわ。今日は復旧を優先して恐竜の回収はお休みにしません?」

 

「バッカモーン! 何を腑抜けたことを言っておるのだぞい!

そんなことだからいつもいつもいつも恐竜をあのガキ共に奪われておるんじゃぞい!

えーい! こうなったら今すぐお仕置きしてその根性を叩き直してやるぞい! ほれ! そこに並ぶぞい!」

 

 そう言うとソーノイダが両手にスタンロッドを握り、電流を迸らせながら工作員の3人を追いかけ始めた。当然痛いのは嫌なので、3人は逃げる。

 

「「「イヤーーッ!」」」

 

「待てーッ!お仕置きじゃぞーい!」

 

 追いかけられるうちについに発電機の前まで追い詰められた3人は、破れかぶれでその陰に隠れた。

 

「コラーーうおわっ!?」

 

 3人を追いかけていくソーノイダだが、足元を走る機械のコードに躓いて前へ跳躍し、両手のスタンロッドを発電機に押し当ててしまった。発電機が暴走して放電し、ソーノイダと工作員の3人が感電してしまう。

 と、その時頭上の照明が点灯した。今の衝撃で発電機が復活し、電力が供給されるようになったのだ。

 

「あれ? ついたわ?」

 

「ついたにはついたけど…お爺ちゃん…。折角修理した機械が高電圧でまたイカれちゃったよ…」

 

 ロトがそう文句を言ったものの、当のソーノイダにそれに反応できる余裕はなかった。工作員の3人組と一緒に真っ黒焦げに感電してしまっていたからである。

 こうして、電源は復活したもののまたしても機械が壊れ、出撃は先送りとなってしまったのであった…。

 

 

その頃 三畳市 竜野宅

 

 リュウタ達は診察室まで案内され、まさにガブの診察が始まっているところだった。

 

「うーむ…これは…」

 

「おじさん!何か分かったの?」

 

「ぜんぜん分からん!」

 

「パパぁ…」

 

「そうは言われても、私も恐竜の病気についてなんて勉強したことがないからなぁ…。

軽い風邪か? いや食あたりか? …うーん、恐竜は難しい…」

 

「先生…恐竜恐竜ってあまり大声で言うと…」

 

「大丈夫! 患者の秘密は守るから! リュウタ君のお父さんとも約束したからね!」

 

 窓の向こうの待合室にいる他のお客さんを見ながら中生がそう返した。

 そうなのである。

 現状Dキッズが恐竜と共に生活をしているということは、古代博士とリアス、オーエン博士だけではなく、マルムの父・中生やオウガの両親・帝牙と蘭々美とも共有しているのだ。

 ちなみにオウガは最初レクシィとアメジストをトカゲだと偽って飼育しようとしたが、オウガと恐竜の知識を何かと共有していた両親にはあっさり見破られ、古代博士同席のもと事の真相を明かすことになってしまった経緯がある。両親は、2人とも秘密は守ると約束してくれたので、それは安心だったのだが…。

 話を戻そう。

 取り敢えず、と一言置いてから中生は何やらゴソゴソと探り始めた。

 

「食欲がないのは心配だし、栄養剤を注射しておこうか」

 

『ガブゥ…ガッ!? ガブァ!?』

 

 そう言いながら中生が取り出してきたのは、某お注射天使にも引けを取らないサイズを誇る特大の注射器だった。当然これにはガブも血相を変えてリュウタにしがみつき、リュウタはガブに抱きつかれたことと初めて見る特大注射器で二重に驚かされる羽目になってしまった。

 

「おじさん! 流石にそれはやめてよ! ガブが怖がってるよ!」

 

「そんなに大きい必要あるんですか!?」

 

「馬用の注射器だからかな? でも恐竜相手にはこのくらいないと…」

 

「ねぇパパ。そんな注射されるんじゃガブも可哀想だし、飲み薬を処方してあげてよ…」

 

「そう? この注射器導入したのはいいものの使ったことないから使ってみたかったのに…」

 

 さらっと恐ろしいことを口走りながら中生が注射器を元の場所へしまい込む。それを見てようやくリュウタも一安心して息を吐き出した…その時だった。

 3人のディノホルダーがいつもの通知音を放ち始めた。恐竜が現れたのだ!その画面では、一面の海の真ん中で赤い点が点滅している。日本やアメリカ大陸が画面端に映っているあたり、今回の目的地は太平洋の島々のどこかなのだろう。

 

「来たぞ! 今回は…海!?」

 

「太平洋の真ん中だ!」

 

 そして、リュウタ達は急ぎDラボへと向かうのであった…。

 

 

Dラボ

 

「今回の出現場所は…ハワイね」

 

「やっぱり! 水着持ってきておいて良かった!」

 

「いつの間に持ってきてたんだ…?」

 

「多分オレ達が薬を貰ってる間に急いで持ってきたんだよ」

 

 水着を入れてきたカバンを抱えてウキウキしているマルムに、呆れた様子でリアスが声をかける。

 

「マルム…遊びに行くんじゃないのよ?」

 

「だってハワイよ!? 水着持っていかないともったいないじゃない!」

 

「まったくもう…」

 

 リアスがかぶりをふりつつモニターに向き直ったのをレックスは見送り、今度はすぐ横のオウガとオーウェンに目を向けた。

 

「それにしても、もうオウガが来ているなんて驚いたよ」

 

「オーウェンさんにこれまでに集めた向こうの恐竜カードを渡していたんだ。

それから、レックスに言われた通り『暴風乱打(ハリケーンビート)』は渡しておいたよ」

 

「レックス君、技カードを譲ってくれて本当にありがとう。

今回の冒険はオレも同伴するつもりだ。君達の助けになれるよう、オレも微力ながら協力させてもらうよ」

 

「ありがとうございます。オーウェンさん!」

 

 出発前にそんな話をしている中、リュウタはガブに処方された薬を飲ませようと四苦八苦していた。

 

「ガブ。ほら、薬だぞ」

 

 しかしガブはなかなか飲んでくれない。リュウタが困っていると、そこへ古代博士が近寄ってきた。

 

「おおリュウタ。ガブの具合はどうだ?」

 

「あ、父さん! マルムのお父さんから貰ってきた薬をあげようとしてるんだけど、全然飲んでくれなくて…」

 

「ふむ…なるほどな…。

それなら私がいいものを見つけてきた!これを食べさせればきっと良くなるぞ!」

 

 自信満々にそう言うと、古代博士は手元の小袋から乾いた葉っぱのようなものを取り出した。

 

「…なにそれ?」

 

「ま、薬草のようなものだ。食欲不振にはそれが1番効くんだぞ?食べさせてみなさい」

 

「わ、分かったよ…」

 

リュウタが葉っぱを受け取り、ガブの口へと近づける。するとガブは鼻をひくつかせたかと思うと…パクリと食べた。

 

「た…食べた!」

 

「おお、流石だな! 本能で体が欲していたものだったに違いない!」

 

 そこでオウガがリュウタに声をかけた。

 

「なあリュウタ。レックスからガブの体調が悪いって聞いたけど、大丈夫かな? もしダメそうなら、今回は安静にしていた方が…」

 

「いや、行くさ! 父さんから薬草も貰ったし!

な? ガブ!」

 

「…ん?行くっていうと…また恐竜が出たのか?」

 

「ええ! ハワイに出たのよ!」

 

「なぬっ!? ハワイに!?」

 

 マルムから今回の目的地を告げられ、古代博士は驚きを隠せなかった。その間にDキッズ達とオーウェンは次々にテレポート台に上がっていく。

 

「「「「行ってきまーす!」」」」

 

「安心しててくれ。古代博士。

この子達はオレがちゃんと面倒見るよ。勿論、戦闘の時も微力ながら手伝いをさせてもらうさ」

 

 そう言うと、5人はハワイへとテレポートしていった。それを見送った古代博士も羨ましそうな顔をし、小袋の葉っぱを頬張る。

 

「いいなぁ〜ハワイかぁ〜…苦っ!」

 

「ガブちゃんにも食べさせてましたけど、何なんですかそれ?」

 

「ん? あぁこれか? センブリ茶だよ!」

 

「なるほど、センブリ茶…センブリ茶ぁ!?」

 

 謎の葉っぱの正体を知り、思わず大声を張り上げたリアスなのであった。

 

 

 




今回はここまでです。
本来の世界線ならば、エースが水嫌いということもあり後が無いアクト団3人組に敗北してしまったDキッズ。
しかしこの世界線では新メンバーのオウガもいれば、オーウェンという頼りになる男もいる。
ひょっとすると…ひょっとするかもしれませんね。
続きをお楽しみにお待ち下さい。
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