古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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今回は中編になります。
また長くなってしまい、本当に申し訳ないです。
もしもっと短くしてほしい等のご意見がありましたら、自分の方でもより推敲を重ね、皆様に読みやすい文章で投稿したいと考えております。


中編

ハワイ州 オアフ島

 

 ハワイにテレポートで降り立ったDキッズとオーウェンは、そこが草原であることに気づいた。

 

「ほう…ここは見たところオアフ島みたいだな。

ワイキキビーチってのは君達も聞いたことがあるだろ? それがあるのがここなんだ」

 

「そうなんですね。俺、ハワイに来たのは初めてなせいか、周りの景色も、何もかもが新鮮に感じられて仕方ないんです…!」

 

「やったーっ! 憧れのハワイーッ!」

 

「だから遊びに来たんじゃないだろ…?

アクト団が来る前に早く恐竜を保護しないと…」

 

「おっ! みんな見ろよ! 虹だぜ!」

 

「本当だわ! 素敵…! ハワイは虹も綺麗なのね…」

 

「虹はいつもと変わらないと思うけどな…」

 

 そのようにして和気あいあいと会話をしていると、俯きがちだったガブがふと顔を上げた。

 

「ん? どうしたんだガブ?」

 

 リュウタがガブに話しかけると、ガブはまっすぐ前の方を見つめていた。

 

「ガブどうした? まだ薬が効かないのか?…え…?」

 

 その時、リュウタは遥か向こうから土煙がこちらへ近づいてきているのに気がついた。その尋常ならざる状況に、他のDキッズも気づく。

 

「何よ、あれ…」

 

「あれは…牛かな? それもかなりの数だ…」

 

「こっちに向かってくる! 君達! 早くここから離れるぞ!」

 

 オーウェンの声で、Dキッズ達は各々のパートナー恐竜達と共に近くの高台へと避難した。彼らのすぐ下を、牛たちが轟音を立てて走り抜けていく…。

 

「とにかく、ここで牛が過ぎ去るのを待とう」

 

「でもびっくりしたわー…。ハワイにも牛はいるのね」 

 

「そりゃハワイにも牛くらいいるよ…」

 

「!あっ! みんな! あれっ!」

 

 マルムの言葉に呆れ顔でレックスが返していたその時、またリュウタが先程と同じ方向を指さして大声を上げた。

 そこには、牛たちを追い立てているスティラコサウルスの姿があったのだ!

 

「あれはスティラコサウルス! あんな派手なフリルを持ってるのはあいつしかいない!」

 

 オウガのその声に反応したのか、スティラコサウルスが牛を追い立てるのをやめて急ブレーキをかけ、Dキッズ達に視線を向ける。そして先程牛たちを追い立てていたのと同じ勢いでこちらへ駆けつけてくるではないか!

 

「まずい! 見つかった!」

 

「こっちに来るぞ! 早く逃げるんだ!」

 

 オーウェンの掛け声で5人は一斉に逃げ出した…ところでリュウタが躓き、地面に転がってしまう。

 

「うわっ!?」

 

「あぁっ! リュウタ!」

 

 無防備な彼のもとへ、スティラコサウルスが猛然と突進してくる!

 

「うわぁぁぁぁ! 来るなぁぁぁぁ!」

 

 絶体絶命の状況の中、リュウタはガブを強く抱き込み、せめてガブだけでも助けようとしていた。

 

 依然としてスティラコサウルスは猛烈な勢いで転んだリュウタに向かって突進していく。このまま踏み潰されるか、もしくは突き飛ばされるのかとリュウタが怯えていると…唐突にその足音は止んだ。

 恐々としながらも目を開けてみると、なんとスティラコサウルスはガブの顔を丁寧に舐めているではないか。舐められているガブもどこか嬉しそうな表情を浮かべているように見える。

 スティラコサウルスが落ち着いたのを見て、オウガ達もリュウタの方へ駆け寄っていく。

 

「全く、ビックリさせてくれるよ…」

 

「リュウタ! 大丈夫か?」

 

「あ、あぁ、一応無事だよ…。今度こそもうダメだと思っちゃったけど…。

でも、ガブの奴どこか元気になったようにも見えるな」

 

「それはそうよ! だって同じ角竜仲間だもの!」

 

 ふと追われていた牛たちの方を見ると、すっかり落ち着いて草を食んでいるのが見える。

 

「もしかしてこいつ、牛を仲間だと思って追いかけてたんじゃないか?」

 

「大分シルエットは違うと思うけど…恐竜の考えることまでは予測できないから何とも言えないね…」

 

 するとガブは右前足の足裏を舐めてから、それをスティラコサウルスに向けた。するとスティラコサウルスは何かに気付いた様子で、上嘴でガブの足裏を掻いてやっている。

 

「あいつら何やってんだ?」

 

 そう言ってリュウタが近づくと、ガブはスティラコサウルスにしていたように右前足の足裏を見せてくる。そこを注意深く見たリュウタが、何かに気づいたようだ。

 

「あっ! ここにトゲが刺さってる!

ガブ待ってろ、今抜いてやるからな?」

 

 すぐさまリュウタがトゲを引っこ抜いてやると、ガブの様子にすぐ変化が現れた。ガブがいつものように元気に跳ね回り出したのだ。いつもの調子でエースやパラパラ、アメジスト達と戯れ、感謝を伝えるかのようにスティラコサウルスの周りで大騒ぎしている。

 

「すっかり元気になったなー…」

 

「そのトゲが原因だったのね?」

 

「見ろよ、食欲まで戻ったみたいだ」

 

「本当だ。これまでの分を取り戻すかのように草を食べてるよ」

 

 更にはいつもの調子で足元の牧草を食べているガブを見て、Dキッズ達もすっかり安心した様子を見せた。

 

「なんだよ、現金なやつだなぁ…。それにしても、こんな小さいトゲ1本でそんなに変わるもんなのか?」

 

「いや、分からないぞ。もしかしたらそのトゲが食欲のツボみたいなところに刺さってたのかもしれないし…」

 

「えっ!? そんなツボあるの!? どこどこ!? 足の裏のどこかなの!?」

 

「知らないよそんなの…」

 

「いや、人間と恐竜じゃあツボの配置も違うだろうし、そもそもマルムは…」

 

 そのままで十分だよ、と言いかけた言葉をオウガは飲み込んだ。

 以前マルムが体格を気にしていた時にリュウタと一緒に似たニュアンスのことを言ったところ、「アタシは気にするのよ!」と言われ、まとめて張り倒されたことがあったからだった。

 口は災いの元である。

 

「あっ! 見ろよ!」

 

 その時、リュウタが何かに気づいたようで指さす。オウガ達もそちらを見ると、木立の向こうにいかにもハワイらしい風景が広がっていた。

 青く澄んだ海に、白い砂浜。しかも他の人間は殆どいない。パートナー恐竜やスティラコサウルスと共に滞在するには絶好の環境だった。更に波打ち際には特大のサーフボードも流れ着いている。ガブやパラパラ、アメジストも興味津々な様子でサーフボードに乗り、海を眺めていた。

 

「すごい…! イメージ通りの青い海に白い砂だ!」

 

「やったね!」

 

「流石ハワイの海ね!」

 

「これはすごいな…。こんなに見事なビーチなのに他の客が誰もいないなんて…こんなにいい場所はそうそう無いぞ…」

 

 Dキッズは目の前の絶景に歓喜の声を上げ、オーウェンは他に誰もいないところに困惑していた。

 

「…あ! ちょっと待てよ!」

 

「どうしたんだ、レックス?」

 

「アクト団は? あいつらはどうしたんだろう?」

 

「そういえば、いつもは俺達より先に来てるのに今日は姿が見えないな…」

 

「オバさーん! いたら返事してー!」

 

 マルムがいつものようにオバさん呼びをし、Dキッズ全員で聞き耳を立てる。だが、ウサラパ達アクト団はまだ機械の修理中でアジ島にいるため、オバさん呼びしたところで聞こえるはずもなかった。

 

 

アジ島

 

「キィーッ!オバさんですってぇー!?」

 

「またウサラパ様が幻聴で発狂してるザンス…」

 

「更年期なんスかねぇ…」

 

 同じ太平洋の島々とはいえ直線距離では相当離れているはずなのに、何故かウサラパの耳には聞こえていた。

 恐ろしいほどの地獄耳である。

 

 

場所は戻ってハワイ

 

 一方、ウサラパがアジ島で発狂したところでハワイにいるDキッズ達には聞こえようがない。

 Dキッズはアクト団がいないことを確信し、一安心した様子を見せた。

 

「…大丈夫だわ。近くにはいないみたいよ?」

 

「あいつら今日はお休みなのかもな! よーし、今日は遊びまくろうぜ!」

 

「「「「おーっ!」」」」

 

「彼らの手伝いをしようと思ってやって来たんだが、思わぬ形で休暇を過ごすことになるとはな…」

 

 そう呟き、オーウェンは苦笑いを浮かべたのだった。

 

 

Dラボ

 

「なぬーっ!? ハワイで遊んで帰るだとーっ!?」

 

 突然リュウタから通信が来たので何事かと思い、急いで応答した古代博士だったが、そこで聞かされたのはハワイで遊んでから帰るというものだった。

 いつの間にやらリュウタは海パン姿に着替えており、サーフボードまで借りてきている。

 

「うん! ガブとスティラコサウルスが友達になったから、少し遊ばせることにしたんだ!」

 

「そ、そうなのか…? ああいや、それだけじゃない!

それにそのサーフボードはどうしたんだ!?」

 

「あぁこれ? 近くからオーウェンさんが借りてきてくれたんだ!

とにかく夕飯までには帰るから心配しないでよ! それじゃ!」

 

そこまで言うと、リュウタはさっさと通信を切ってしまった。

 

「あっ、ちょっと…恐竜達じゃなくてお前達が遊びたいだけだろ! まったくもう…」

 

「夕ご飯までには帰ると言っていますし、別にいいじゃないですか」

 

「それはそうなんだが…ハワイ…ハワイかぁ…いいなぁ…」

 

結局のところ、ハワイを楽しんでくるリュウタ達が羨ましい古代博士なのであった。

 

 

ハワイ

 

「イヤッホーッ!」

 

 早速遊び始めたDキッズ達。

 リュウタやレックスは海に繰り出してサーフィンを楽しんでいた。オーウェンもちゃっかり交じってサーフィンに興じている。

 

『ガーブーッ!』

 

 ガブもスティラコサウルスと一緒に特大サーフボードでサーフィンを楽しんでいる。時折顔を見合わせて笑っており、とても仲が良さそうだ。

 

『キュッキュ〜♪』

 

『ギャ…ギャウッ!?』

 

 一方エースは波打ち際へ恐る恐ると近づくものの、アメジストが水しぶきを散らしながら通り過ぎる度に素早く飛び退いていた。

 マルムはそんな彼らをビーチパラソルの下から眺めながら、トロピカルジュースを楽しんでいる。パラパラもお皿にジュースを分けてもらっていた。

 

「やっぱハワイといえば牛よりコレよね〜!」

 

 すっかり上機嫌なマルムは、ふとすぐ隣に立つもう1つのビーチパラソルに目をやる。そこには1人分のビーチチェアと、そこで丸くなって眠るレクシィの姿があった。

 

「オウガったらどこまで行ったのかしら…?

何か買いに行くって言ってたけど…」

 

 と、そこへオウガが戻ってきた。その手にはドリンクと、何かが乗った皿を持っている。

 

「おかえり、オウガ。何買ってきたの?」

 

「ハワイに来たからには本場のガーリックシュリンプを食べてみたくて、売店を探して買ってきたんだよ。

ほら、レクシィ。少し食べるかい?」

 

 オウガが少し手に取って差し出すと、レクシィはじっくりと匂いを嗅いでから頬張り、また元通り体を丸めてしまった。

 

「レクシィちゃんったらあまり変わらないのね…」

 

「これでもまだ素直になってくれた方ではあるんだけどね」

 

 そう言ってオウガが苦笑いしていると、リュウタ達がサーフィンから戻ってきたようだった。

 

「いやー、サーフィン気持ちよかったー!」

 

「マルムやオウガはやらないのか? 特にマルムはあんなにハワイハワイ騒いでたのにさ」

 

「やーよ! 日焼けはお肌の天敵だもの! アタシはこれで十分!」

 

「俺はあんまり運動神経が良くないから、サーフボードに乗れないんだ。

ここでレクシィと大人しくしてるから、リュウタ達は気にしないで存分に楽しんできなよ」

 

「そうか? じゃあレックス! もう1回行ってこようぜ!」

 

「勿論さ、リュウタ!」

 

 そう言ってリュウタとレックスはまた海へと向かっていく。

 その姿を見送りながらガーリックシュリンプを頬張るオウガの隣にオーウェンが座った。

 

「まったく、子供ってのは元気で仕方ないな。

いくら遊んでも疲れ知らずで羨ましいよ」

 

「オーウェンさんも結構楽しんでたじゃないですか」

 

「まあ楽しかったのは間違いないが…体力的にも遊び続けることまではできないさ」

 

 そう言いながら特大サーフボードでサーフィンを楽しむガブとスティラコサウルスに視線を移し、声を小さくして呟いた。

 

「…しかし、この世界の恐竜は温厚な連中が多いんだな。君のアメジストもブルーベリージャムで懐くくらいには人馴れしていたのもそうだが…」

 

「オーウェンさんの世界では違うんですか?」

 

「オレのとこでの恐竜は、脅威的な存在と認識している人間が殆どだな。まあここまでの経緯を考えればそう認識されてしまうのも無理はないかもしれないがね」

 

「脅威…ですか…」

 

「そうだ。それでもオレは人間の安全のために恐竜を駆逐できるほど心を捨てているつもりはない。

ある程度は保護区に送るつもりだが…できる範囲で共生していければいいと思っているよ。

君達と恐竜達の姿を見て、よりその決意を固められたかもしれないな。

…さて、オレはビールでも貰ってくるとするかな」

 

 そう言うとオーウェンは立ち上がり、ドリンクを買いに何処かへと歩いていった。

 

そして、それから数時間後…。

 

 遊び終えて元の格好に戻ったDキッズは、まだ海で遊んでいる恐竜達をビーチから眺めていた。ちなみにオーウェンは彼らが借りたサーフボードや水着を返しに行っているため、今ここにはいない。

 ガブとスティラコサウルスはまだ一緒にサーフィンを楽しんでいて、レクシィ以外のチビ恐竜達はビーチで追いかけっこをしている。

 度々互いに顔を見合わせては楽しそうに笑うガブとスティラコサウルスを見て、リュウタが呟いた。

 

「やっぱり、スティラコサウルスは仲間が欲しかったんだな」

 

「ガブも楽しそうじゃないか」

 

「アメジストやエース、パラパラと遊んでいる時も楽しそうだけど、俺から見たらガブはスティラコサウルスといる時が1番楽しそうに見えるよ。

やっぱり近い種族同士、安心できるところがあるのかもしれないね」

 

「オウガもそう思うよな…。なら尚の事、ガブのためにもスティラコサウルスをカードにして連れて帰ってやらないとな!」

 

「そうね! アメジストやマイアサウラも自分からカードに戻ってくれてたし、スティラコサウルスもそうしてくれるはずよ!」

 

 そんな会話を聞きながらレックスがエースの方を向くと、エースは波打ち際に近づこうとするものの、波が寄せてくる度に素早く飛び退っていた。

 

(…あれ? エースのやつ、もしかして…)

 

 若干の不安要素を残しつつも、仲良くなったスティラコサウルスを連れて帰ることに決めたDキッズ。

 あとは恐竜達が十分遊んだところで帰還すれば、この話はそこでおしまいなのだが…。

 

 そうは問屋が卸さない。

 

『グルル…』

 

 突然レクシィが唸りながら頭を上げ、遠い水平線の先へと視線を向ける。スティラコサウルスとガブの背後から巨大な影が近づいてきているのを、彼女は察知したのである。

 その影に、Dキッズもすぐに気がついた。

 

「あぁっ! あれは!」

 

 それはアクト団の巨大ヨットだった。右舷にはティラノ、左舷にはスピノ、そして中央にサイカが居座っており、真ん中から突き出た物見櫓にはいつものアクト団工作員3人組の姿が見える。

 

「キーッ! さっきオバさんって言ったのはあんた達ね! ようやく見つけたわよ…」

 

「風だけでここまで来るのは大変だったザンス…」

 

「あぁ…腹減ったッス…」

 

 風任せかつ長時間の航行ということで疲れ切ったノラッティ〜とエドが口々にぼやくと、ウサラパは2人を強い口調で叱りつけた。

 

「泣く子も黙るアクト団が泣き言なんか言うんじゃないよ! 今日こそ恐竜カードを持って帰らなきゃ…お仕置きでアタシ達が泣かされちゃうんだからね!」

 

「そ、そうだったザンス!」

 

「ティラノ! スピノ! サイカ! 今日こそは奴らを涙がちょちょぎれるまで泣かせてやんな! それ行けーッ!」

 

 3体が同時に咆哮を上げ、周囲の風景がバトルフィールドへと変貌していく…。そしてアクト団のヨットはみるみるうちにスティラコサウルスとガブのもとへ接近していっていた。ある程度近づいたところで、3体とも姿勢を低くして跳躍の体勢に入る。

 

「いいわよいいわよ! そのまま飛び移っちゃいな!」

 

「ま、待って欲しいッスウサラパ様! 下のボードは恐竜達でバランスを取ってるんスよぉ!?」

 

「えっ…?」

 

 エドがそう叫んだが、あまりにも遅すぎた。3体が同時に踏み切って高く跳躍すると同時にヨットは転覆し、アクト団の3人組は海に叩き落されたのだ。

 

「うぎゃあぁぁぁぁ!」

 

「ミーたちいつもこうザンス〜!」

 

 一方、上空から迫ってくる3体を捕捉したスティラコサウルスは、せめてガブだけでも逃がそうとガブを咥え上げ、ビーチの方へ放り投げた。その直後に3体が同時に着水し、あっという間にサーフボードは沈んでしまう。

 

 投げ上げられたガブは大きく弧を描いて飛んでいくが、それをリュウタは見事に受け止めた。

 しかしその間にアクト恐竜3体はスティラコサウルスを取り囲み、袋叩きにしている。

 

「まずいぞ!スティラコサウルスが…」

 

「友達を助けるんだ! いくぞ! ガブ!

ディノスラーッシュ! 轟け! トリケラトプス!」

 

ゴオオォォォォォォ!!!!

 

スティラコサウルスのピンチを救おうと、リュウタがガブのカードをディノホルダーに通し、成体化させて召喚する。

ガブはいつにも増して、やる気に満ち溢れていた。

 

「俺達も続くぞ! ディノスラーッシュ!

燃え上がれ! ティラノサウルス・レックス!

揺るがせ! ステゴサウルス!」

 

ゴガァァァァァッ!!

 

ケェェェェェ…!!

 

 続けてオウガもディノラウザーにカードを通し、レクシィとアメジストを成体化させた。

 さらにレックスもこれに続く。

 

「エースお前もだ! ディノスラーッシュ! 吹き抜けろ! カルノタウルス!」

 

グォォォォォン!!!

 

 エースも成体化して降り立つ。

 そこでガブがスティラコサウルスを助けるべく猛然と突進していった。スティラコサウルスに尾先のハンマーで一撃を食らわせようとしたサイカを突進でティラノの方へ突き飛ばし、スティラコサウルスを守るように立ち塞がる。

 一方でレクシィも水の中へゆっくりと歩み出し、血も凍るような咆哮を響かせた。それを聞いたスピノがレクシィへ顔を向けた瞬間、凍りついたように動けなくなってしまった。以前大英博物館で殺されそうになったことを思い出し、恐怖で頭がいっぱいになっているようだ。その証拠に、両脚はブルブルと震えている。

 やがてスピノは1歩、2歩と後退ると…背を向けて逃げ出してしまった。

 

「ち、ちょっとスピノちゃん! どこに行くのよぉ!?」

 

 転覆したヨットにしがみつきながら、ウサラパが逃げるスピノに声を張り上げる。

 その一方で、エドとノラッティ〜は同情するような目線を送っていた。

 

「あぁ…あの時のことを思い出しちゃったんスね…」

 

「スピノちゃん…なんて可哀想なんザンしょ…」

 

 とは言え、背を向けて逃げる相手を追いかけるのは野生の本能である。当然、レクシィは逃げるスピノを追いかけ始めた。

 

「レクシィ! 君もどこへ行くんだ!

…仕方ない。みんな!俺はレクシィを追いかける!

スティラコサウルスはここにいる皆で守ってやってくれ!

それと、アメジスト! 君はみんなの手助けをしてあげるんだ! みんなの言うことをしっかり聞くんだぞ!」

 

 アメジストが深く頷き、スティラコサウルスの救援へ行くのを見送ってから、オウガはレクシィを追いかけていった。

 一方でレックスは、エースが波打ち際で二の足を踏んでいることに気づく。

 

「エース、お前…やっぱり水が嫌なのか…!?」

 

「大丈夫! こっちにはアタシのパラパラだっているんだから!

いくわよ! ディノスラーッシュ! 芽生えよ! パラサウロロフス!」

 

キュオォォォォォン!!

 

 マルムもパラパラを成体化させ、スティラコサウルスの救援に向かわせる。

 いつの間にやら数的有利はDキッズ側に傾いていたのだった…。

 

 

 




今回はここまでです。
遂に始まったDキッズvsアクト団の総力戦。
Dキッズ達は後が無いアクト団工作員達を撃破してスティラコサウルスを守りきり、運命を変えることができるのか…。
次回、後編をご期待下さい。

今は2万字以下を前後編、それより多い場合は前中後編としていますが、今後どのような形式の方がよいでしょうか。皆様のご意見をお聞かせ下さい。

  • 文字数に関わらず前後編にすべき
  • 現状路線でよい
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