古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ 作:バックベアード
今回も原作からの変更点は少なめですが、どうかご容赦いただきたいです。
一方 アジ島 地上外周部
タルボーンヌから逃げ出したリュウタ達とロトロア兄妹は、エレベーターで地上へと出ていっていた。
「あー、面白かった!」
「ね! あんなこともやってみると楽しいわね〜!」
無邪気に会話をするロトとロアの後ろで、リュウタはタルボーンヌからカードを盗めなかったことを愚痴っていた。
「チェッ…。あともう少しだったのに…」
「何が?」
「カードさ。タルボリンコめ…」
「普通じゃないよね…あの人…」
レックスが苦笑いしながらそう呟くと、ロアが心底楽しそうな様子で言葉を返した。
「そうなのよ! でもあのタルボーンヌさんがあんなことに引っかかるなんて! ウフフ!」
「それにしても…君達、いつもあんなことしてるのか?」
「ええ。リュウタは、ね! ここへ来る前にもトイレを水浸しにしてたしぃー!」
「へーぇ、トイレで水遊びするのが好きなのか?」
「違わいっ! それにいつもじゃないしーぃ!
そんなことより、お前ら何者なんだ?」
「ボクはロト!」
「わたしはロアよ!
古代リュウタ君にレックス・オーエン君、そして竜野マルムさんに…もう1人、覇轟オウガ君の4人でDキッズをやってるのよね?」
一言も名乗っていなかったのに、自分達の名前、そしてこの場にいないオウガの名前を言い当てたことにリュウタ達は驚いた。
「…僕達のことを調べ上げたのか?」
「君達、テレビのクイズ番組に参加してただろ?」
「そういうことか…」
「あなた達もアクト団なの?」
「まあ、一応ね。お爺ちゃんがやってる組織だし…」
「お爺ちゃんって…あのゾイじじいか?」
「そう。Dr.ソーノイダ! おじい様は恐竜キングになる夢があって…それで世界中に散らばっている恐竜カードを集めているの!」
「恐竜キング…?」
「あぁ!恐竜王国を作って恐竜キングになるんだってさ!」
「…じゃあ、「ワシの恐竜」ってのは嘘じゃなかったのか…」
「その点に関しては異論もあるけどね〜。
カードを作ったのはお爺ちゃんじゃないし…」
「「「えっ!?」」」
これにはリュウタ達も驚いた。恐竜カードが元々ソーノイダの所有物であると言い出したかと思いきや、作ったのは彼ではないという。
「じゃあ誰が…」
「それは…」
「ヒ・ミ・ツ! ウフフ!」
「どうしてよ!? そこまで話したんなら全部話してよ!」
「だってぇ…ねぇ?」
「うん!」
そう言い合うと、ロトとロアは互いに微笑みあった。リュウタ達は彼らとは対照的に不満げな様子でため息を漏らす。
と、そこでロトが立ち止まり、リュウタ達を振り返った。
「ってな訳で…お爺ちゃんが恐竜を集めてる理由を教えたんだから、君達はもう邪魔しないでくれるかなぁ?」
「おじい様の楽しみだから〜…」
「ち、ちょっと待ってくれよ! 恐竜はオレ達に『助けてくれ』って言ったんだぞ!?」
「君達のお爺さんの楽しみは、恐竜をいじめることとしか思えないんだよ」
「それに、いつものオバさ…」
またしてもウサラパを呼ぶ魔法の言葉をマルムが口走りそうになり、リュウタとレックスが2人がかりでマルムの口を塞ぐ。それで一旦言葉を切ってからマルムは言い直した。
「…たち3人組のいつものやり口見てると、とても恐竜達のこと考えてるなんて思えないわ!」
「まあ、正直それは同感だね」
「ウサラパ達ってバカだからね〜。ああいうやり方しかできないのよ〜」
「それに、世界に出現してるのはそういう恐竜だけじゃないんだ!
僕達の協力者の世界…つまり異次元から迷い込んだ恐竜達も紛れ込んでて…」
「それも知ってるよ。ボク達が見覚えのない恐竜…シノケラトプスやピロラプトル、あと君達の仲間のオウガ君が連れてるティラノサウルスもそうだよね」
「あとはわたしたちも『Sin-D』の人達の恐竜は嫌と言うほど見てるからね〜。
どれも見たことのない恐竜ばっかりだし」
「…とにかく! 恐竜を所有物みたいに扱う連中なんて許せる訳ないだろ!」
リュウタがそう断言すると、ロトとロアは少し悲しそうな顔をした。
「…そっか。残念だね」
「本当にね、お兄さま」
「「「えっ…?」」」
明らかに空気が変わったことに気づき、リュウタ達が反応に遅れたその時だった。
「今オバさんって言いかけたでしょ!?」
聞き覚えのあるその声に振り向くと、そこにはウサラパ達3人組とアクト恐竜3体に大量のアクトロイド、そしてジェイソンとイシドーラも立っていた。
ここでようやくリュウタ達は気づいたのだ。ロトロア兄妹に嵌められたのだと。
「いつの間に!?」
「悪いな。連絡しちゃったんだ」
「楽しかったわ!」
そう言ってロトがアクトホルダーを取り出す。どのタイミングだったのかは分からないが、それを起動してソーノイダと連絡を取っていたらしい。
画面の向こうのソーノイダが高笑いと共に話し始める。
『よくやったぞい! ロト、ロア!』
「もう逃さないザンスよ!」
「観念するッス!」
「泣かせてあげるから…」
「悪いがこれも仕事なんでな。観念しな」
「私の手当のための犠牲となってもらいましょう…」
そう口々に言いながらウサラパ達がジリジリと迫ってくる。
いよいよもうダメかと思われた…その時だった。突然空の彼方からプロペラ飛行機が現れたかと思うと、彼らの頭上をかすめていったのだ。そしてその窓には…古代博士の姿がある!
「リュウター!」
「父さん!」
「…父さん?」
「リュウター! 待ってろ! 今助けに行くぞー!」
プロペラ飛行機はよく見ると水上用の飛行艇で、後部座席には古代博士、助手席にはオーウェン、そして運転席に座っていたのは意外にもリアスだった。
「水上飛行機じゃ着陸できません」
「分かってる! だからこうして…ほれ! パラシュートだ!」
「あっ、パラシュート…」
「大丈夫! 使い方は知っている!
オーウェンさん! リアス君を頼むぞ! とうっ!」
「待ってくれ古代博士! そのパラシュートだと…」
リアスとオーウェンの止める言葉も聞かずに、古代博士は飛行艇から飛び降りていってしまった。
「パラシュート逆さまだったのに…」
「リアスさん、本当に大丈夫なのか? パラシュートは付け方を間違えれば最悪死ぬことだってあるんだぞ?」
「大丈夫ですよ。博士はけっこう頑丈なんです」
「…頑丈で何とかなるのか?」
一方、空中に放り出された古代博士は、パラシュートを起動しようとするも、起動に必要な紐が見つからないために焦り始めた。無理もない。リアスが言っていたように古代博士はパラシュートを上下逆さまに装着していたのだ。
「あれっ? ないっ! ないぞ!?」
それでも何とか紐を見つけてパラシュートを起動できたものの、逆さ吊りになってしまった上に高度が低すぎたため、ほぼ勢いを殺せず真っ逆さまに森林の中へ落ちていってしまった。
「父さぁーん!」
慌ててリュウタ達が落下地点へと駆けつけると、古代博士は逆さまで宙吊りになっていた。どうやら木の密集地帯に落ちたためにパラシュートが引っかかり、直接地面に叩きつけられることは免れたようだ。
リュウタも安心したのか大きく息を吐き出す。
「り、リュウタ! 助けに来たぞ!…でも、その前に助けて〜…」
「あのさぁ…」
助けに来た姿にしてはあまりに情けない古代博士の姿に、リュウタが呆れの声をあげる。
と、そこでマルムが後ろを振り返って叫んだ。
「いけない! 追ってきたわ!」
「早く!」
手先が器用なレックスが古代博士の体からパラシュートを取り外すと、古代博士はそのまま地面に頭から落下してしまった。頭を押さえて痛がる古代博士だが、こんなことをしている余裕はない。
事実として、ウサラパ達3人組とアクトロイド達、そしてジェイソン&イシドーラがすぐ後ろまで迫りつつあった。
「待ちなさ〜い!」
「お前達! アクト団だな!? 私の大事な息子達をどうするつもりだ!?」
『何者ぞい! お前は!』
「私は恐竜博士! 古代剣竜! 悪を憎み、恐竜を守る正義の使徒だ!」
「カッコ悪く落ちてきたクセに…」
「偉そうザンスねぇ…」
「死ぬ気だったんスかぁ?」
「お前の言う正義ってのは無謀の間違いじゃねぇのかぁ?」
「正義など金にならないものに興味はありませんね」
カッコつけて自己紹介をした割に、ウサラパ達からの反応は微妙であった。
しかし、古代博士はこのくらいではへこたれない。
「バカモノーッ!お前達悪党には分からないだろうが、父親たるもの! 命を懸けて息子の危機を守ろうとするものだ!」
「父さん…!」
「カッコいい…!」
「「……」」
父親としての矜持を見せつける古代博士の姿に、リュウタとマルムは感嘆の声を上げる。
一方で、ロトロア兄妹はどこか思うところがあるのか黙りこくってしまった。
「悪党ども! この正義の鞭を…受けるがいいーっ!」
そう言うと古代博士は手に持ったカメレオン鞭を勢いよく振るい…自分の背後の枝に結びつけてしまった。大分前に投げ縄の特訓をしていたのに、相変わらずノーコンなようである。
「あっ…あれっ?」
あまりに情けない姿に、リュウタ達とアクト団達の間に気まずい沈黙が流れる。せっかくカッコいいことを言っていたのに、これでは台無しである。
そんな中、アクトホルダーの向こうのソーノイダが口を開いた。
『やい! 小僧! お前が盗んだカードを渡さんと、お前の親父をティラノ共のエサにしてやるぞい!』
「なぬっ?」
『やれぞい!』
ソーノイダの声に応じ、ウサラパ達3人組が一斉にカードをアクトホルダーにスキャンした。
「「「アクトスラーッシュ!!!」」」
ガアァァァァ!!!
グァギュオォォォォッ!!!
ウオォォォォッ!!!
その声と共に、アクト恐竜達3体が一気に召喚された。
そして、これだけではない。ここにはジェイソンとイシドーラもいるのだ。
「さあ、仕事だ! インドミナス・レックス!」
ギュアァァァァア!!!
「残業手当のためです。行きなさい、インドラプトル」
グルァァァァァ!!!
こうして、リュウタ達と古代博士の目の前には計5体の恐竜が立ちはだかったのである。
「いかん! 逃げるぞ!」
「こっちだ!」
古代博士の一声で、4人はその場から逃げ出した。
「おい! どこへ行く!?」
「来る時に入った、あの通気口の中だよ! ガブ達とカードを取り返さないと!」
「えぇっ!? さっきお前がカードを持ってるって…」
「あのじいさん、勘違いしてんだよ!」
そして先程の穴の辺りへたどり着いたリュウタ達だが…肝心の穴が見当たらない。いつの間にか通気口の上についていたパイプもなくなっていた。
「どうしたんだリュウタ! どこにもないじゃないか!」
「おかしいな…。確かこの辺りだったんだけど…」
その時、足元近くからくぐもった声が聞こえてきた。
『…っち…だ…』
「あら? 何かしら?」
『み…な…こっちだ…』
「これって、オウガの声じゃないか?」
「ホントだ!…ここか!」
その声に従い、足元の葉っぱを跳ね除けると、そこに通気口があった。そこへ4人は次々に飛び込んでいく。そして彼らが再び基地の中へ戻ると、目の前にはオウガとチビ形態のアメジストがいた。
「オウガ! 無事だったのね!」
「あぁ、何とかね。途中で潜伏場所の近くからアクトロイド達がいなくなったから、外へ出ることができたんだよ」
「あの2人、最初からウサラパ達を呼んでたんだな…」
「とにかく、早く行こう。
さっきソーノイダがどこかへ走っていくのを見たんだ。もしかすると、俺達が来る前にガブ達にあの変なボールを付けようとしてるのかも…」
「な、何だって!? それならすぐ行こうぜ! 『開けゴマ!』」
ということで、ついに集結したDキッズは古代博士と共に基地の中を進んでいくのであった。
一方、その頃ソーノイダは…
「へぇっ…へぇっ…今のうちに…こいつらを…」
オウガの予想通り、ソーノイダは自分の研究室へ戻り、ガブ達を洗脳しようとしていた。まずはその中から迷いなくガブのカードを手に取る。
「フッフフフ…。まずはトリケラトプスちゃんからボクちゃんの恐竜にしてあげまちゅぞいねぇ〜…」
先程カスモサウルスにしていたように、赤ちゃん言葉でガブのカードに話しかけながらアクトコントローラーに近づいていく。そしてカードをセットしたところで、ソーノイダのアクトホルダーに通信が入ってきた。
「もう、いいところなのに…何ぞい? ノーピス!」
『ドクター。動力の一部が稼働可能になりました。
今から試運転をしたいのですが…よろしいですか?』
「おおっ! そうぞいか! 今日初めていい知らせを聞いたぞい! いいぞい! すぐにやるがいいぞい!」
『了解しました。では早速…』
そこまで言ったところで、ノーピスは通信を切った。ようやくマシンが一部復旧したということで、ソーノイダは上機嫌な様子で再びアクトコントローラーに向かい合う。
「フッフフフ…いよいよ動力も動くぞいか〜…。よしよし…。では行くぞい!」
その一言と共に、ソーノイダがアクトコントローラーを起動する。アクトマークのスタンプがガブのカードへと迫り、いよいよ改造されてしまう…。
と思われたその時!ピンク色の鞭が勢いよく伸びてくると、ガブのカードを掠め取っていったのだ。そのまま鞭はそれを発射した人間のもとへ…カメレオン鞭を構えた古代博士の手元へと戻っていった。
「Dr.ゾイ! 悪事はそこまでだ!」
「何を言っとるぞい! ワシはDr.ソーノイダだぞい! 名前を間違えるんじゃないぞーいっ!…あっ! 何を…」
名前を間違えられたことに憤慨するソーノイダだが、その視線がDキッズに向けられる。何故なら彼らはソーノイダが机に置きっぱなしにしていたエースやパラパラ、イナズマ、アロサウルスのカードを回収していたからだ。
「僕達のカードを返してもらっただけだ!」
「アロサウルスはおまけだけど♪」
カードを手に取ったリュウタは、すぐさまカードをディノホルダーに通してガブとイナズマをチビ形態で召喚した。
『ガァブ!』
『ゴロロ!』
「ガブ! イナズマ! 何もされてないんだな? 良かったぁ〜…」
「エースも無事だった…」
『ギャウ! ギャウ!』
「良かった〜。よしよし…」
『クゥーン! コォーン!』
「何はともあれ、みんなパートナーを取り戻せて良かった…」
『キュッキュ〜♪』
それを見たレックスとマルムもそれぞれのパートナーであるエースとパラパラをチビ形態で召喚し、再会を喜んでいる。それを見ているオウガも一安心といった表情である。
あとはこのまま逃げればよいだけなのだが、ここはアクト団の本拠地。そうはいかないものである。
頭上から聞こえてきた靴音と金属音にDキッズ達が目を向けると、そこにはウサラパ達3人やアクト恐竜3体、そしてアクトロイドにジェイソン&イシドーラと戦力が結集していた。
「逃げ足の速いガキンチョ共ねぇ…!
ドクター! 今お助けしますわよ! あそれ!」
そう言って3人がアクトホルダーを構えた時…。
「ドクター! お昼ご飯ですよ!」
食事の乗ったトレイを持ったタルボーンヌもそこへ現れた。これでここにいる人間は、ロトロア兄妹とノーピス、そしてカロリディー以外はここへ集結したと言っていいだろう。
その時、島全体がグラグラと揺れ始めたのである。これにはDキッズのみならず、アクト団やジェイソンとイシドーラも驚く。
「「「「「うわぁぁぁぁ…」」」」」
「「「アワワワワワワ…?」」」
「なっ、何だ!? どうなってやがる!?」
「地震速報は来ていないはずですが…」
タルボーンヌもこれには驚いたのかフリーズしてしまっているため、今のうちにカードを掠め取ろうとリュウタが走り出すが、あと少しというところで上から落ちてきたチビ形態のサイカに躓いてしまった。
しかしガブとイナズマはこんなものでは止まらない。すぐさまタルボーンヌの割烹着に食らいつき、ポケットを引きちぎったのである。
「あぁっ! うおっ…」
すぐさまカードを拾い集めようと駆け寄るソーノイダだが、そこへ古代博士がカメレオン鞭を発射し、風の技カードだけを器用に持ち去っていった。
「必要なカードは手に入れた! みんな脱出するぞ!」
古代博士の言葉にDキッズは頷き、すぐさま撤退にかかる。
だが、当然これを見逃すソーノイダではない。すぐさま指示を飛ばしたのだが…。
「逃がすんじゃないぞーい!…ん?」
何とも情けないことに、ウサラパ達3人とアクト恐竜達はアクトロイドと一緒に団子になって下へ落ちていた。
その横からはしごを伝ってジェイソンとイシドーラが降りてきている。
「なぁにをしとるぞい! さっさと奴らを追わんかぁ!
ジェイソンとイシドーラもまた頼むぞい!」
「「「ヘイヘイホーッ!」」」
「相応の手当さえ貰えるのであれば、私は最後までやりますよ…」
「ドジスンからソーノイダの指示には従えと言われてるんでな。了解したぜ。
…おおっと、あのクソガキを見つけたからにはドジスンに連絡を入れねぇと…」
ソーノイダに叱咤され、ウサラパ達3人は駆け足で、その後からカロリディーに連絡を入れながらジェイソンとイシドーラも向かっていった。そんな彼らの後をアクト恐竜達もついていく。
そうして去っていく彼らを見送ってから、ソーノイダはタルボーンヌに目を向けた。
「…それはそうと、何でお前がカードを持っとったぞい?」
「そんなことよりお昼ご飯だって言ってるでしょう!
…あら? またお裁縫仕事が…」
相変わらず融通の効かないタルボーンヌがソーノイダを叱りつけたものの、自分の破れたポケットに目をつけてため息をついたのだった。
その頃 アジ島 地上外周部
敵の配置が偏っていたこともあり、Dキッズと古代博士はスムーズに外へと出ることができていた。
「父さん、飛行機は?」
「本当にここでお姉ちゃんやオーウェンさんと約束したの?」
「あぁ、確かにここで待ち合わせを…」
その時、レックスとオウガが何かに気づいた様子で辺りを見渡す。
「潮の流れがおかしい…。これはもしかして…」
「どうしたんだレックス!?それにオウガ君も!」
「古代博士! もしかするとこの島、動いてるんじゃないですか?」
「な、何だって!?」
オウガの言葉に他の面々も海を見てみると、確かにレックスの言う通り潮の流れがおかしい。
「ホントだ!」
「ってことは…もしかしてさっきの地震は…!」
「あぁ、動き始めた時の震動だろう。それにしても…まさか島が動くとは…」
「アクト団って…」
そうレックスが言いかけた時だった。
後ろから咆哮と共に轟音が鳴り響いたのだ。それを聞いた5人が振り向くと、そこには成体化したアクト恐竜3体にインドミナス・レックス、インドラプトル達が並び立っていた。
「よぉ〜やく見つけたわよ! 今度こそティラノちゃん達に泣かされちまいな!」
「まったくガキ共のくせに手こずらせやがって…。
だがこれでもう逃げ場はねぇ! 覚悟するんだな…」
「まさかここまで長時間労働になるとは思いませんでしたよ…。ちゃんと手当が出るといいんですがね…」
口々にDキッズに啖呵を切る5人だったが、少しアクシデントもあったようだ。
「ってエド! ノラッティ〜! カスモサウルスはどうしたのさ! あいつらを捕まえるからにはフルメンバーじゃないとダメだろぉ!?」
「ろ、ロトが借りていくって持っていったっきり返してくれてないんスよぉ!」
「借りパクされたザンス!」
「…ところでホスキンス。ボスはまだ来ないのか?」
「さっき連絡を入れたらすぐに来るって言ってたんだが…思った以上に時間がかかってるのかもしれねぇ。
もしあのクソガキをおれらが倒しちまったら、手当どころじゃなくなっちまうぞ! ここはおれ達であいつ以外のガキを潰す!」
そして相対するDキッズも、どうやって5体の恐竜を迎え撃つかを考えていた。
「前に僕達が戦った時は、相手の相性も悪かったのかもしれない。まずは情報交換をしよう」
「わ、分かった! まずあの白くておっきい奴は…ゴニョゴニョ…」
「…なるほど。それならエースとパラパラで対応できそうだ。じゃあ、あの黒い奴は…ゴニョゴニョ…」
「そうなのか! それならガブとイナズマで何とかできるかも…!」
「ちょっと待って! それならティラノ達はどうするの? まさかオウガ1人に任せるつもり?」
「…いや、俺がやってみるよ」
「本当に、できるのかい? オウガ君…」
「レクシィは少しでも回復させたいから召喚できないけど、オーウェンさんから貰ったこの技カードを使えば…恐らくは…」
そう言ってオウガが1枚のカードを取りだした。それを見て、リュウタ達もある程度納得したのか首を縦に振った。
「…分かった。でも僕の手元にはアロサウルスのカードもある。これで少しはアメジストの補佐ができると思うよ」
「レックス…! ありがとう!」
「よし! じゃあこれで行くぞ! みんな!」
「「「おう!」」」
Dキッズは一斉に頷くと、各々のパートナー恐竜を戻してディノホルダーやディノラウザーにスキャンした。
「ディノスラーッシュ! 轟け! トリケラトプス! スティラコサウルス!」
ゴオォォォォォ!!!
ギュオォォォォォ!!!
「ディノスラーッシュ! 吹き抜けろ! カルノタウルス! アロサウルス!」
グォォォォォン!!!
グゥガアァァァァァ!!!
「ディノスラーッシュ! 芽生えよ! パラサウロロフス!」
キュオォォォン!!!
「ディノスラーッシュ! 揺るがせ! ステゴサウルス!」
ケエェェェェェ…!!!
ガブ、イナズマ、エース、パラパラ、アメジストに加えてアロサウルスも成体で召喚され、大地に降り立つ。それと共に周囲の風景もバトルフィールドに変わっていった。
「ガブ! イナズマ! あの黒い奴を引き離すんだ!」
リュウタの声に応じ、ガブとイナズマがインドラプトルに突進していく。インドラプトルは素早く跳躍して突進を躱しつつも、他の4体から離れたところに着地した。
「エース! 君はあの白い肉食恐竜を倒すんだ!」
「パラパラも加勢してあげて!」
エースとパラパラがインドミナス・レックスを突き飛ばし、これまたアクト恐竜達から遠ざけた。
そして…。
「アクト団! お前達の相手は俺とアメジストだ!」
アメジストとアロサウルスがアクト恐竜3体の前に立ちはだかった。
「オーッホッホッホ!これは舐められたものねぇ!
まさかそのステゴサウルスにアロサウルスだけでアタシ達に勝とうだなんて!」
「いつまでもそう笑ってなんかいられないよ。
俺にはオーウェンさんが託してくれた…この技があるんだから!」
そう言うとオウガは1枚の技カードを取り出し、ディノラウザーにスキャンさせた。
「いくぞアメジスト! 『
技カードがスキャンされると、アメジストが紫色の光と紫水晶の欠片に包まれ、高らかに雄叫びを上げた。
するとアメジストの足元の地面にヒビが入ったかと思うと、何かとても巨大なものが地面の中からせり出してくる。それはアメジストを背に乗せると、どんどんその姿を露わにしていくではないか。
「あ…あわわわわわわ…」
「でっ、デカすぎるザンスぅ〜!」
技カードによって召喚されたのは、全長25メートル、体高は16メートルにも及ぶ巨大竜脚類…腕トカゲのブラキオサウルスであった。
今回はここまでです。
流石にカードを全て奪ってしまうのはアクト団が不憫すぎると考えたので、奪還するカードは、アロサウルスが持っていたカード『幻舞連爪』だけにしておきました。それ以外の水属性のカードは今後アクト団達が使っていきます。
また、本格的なバトル描写は当該話最終パートにあたる次回で描写していこうと考えております。
では、また次回をお楽しみにお待ち下さい。
追記:『大腕震撃』の説明を設定集に追記しました。