古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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今回は後編になります。
次話の関係上アクロカントサウルスをアクト団に奪われることは既定路線のため、今回のストーリーは原作から大筋が殆ど変えられておりません。
読者の皆様には少し退屈な話になってしまうかもしれないことは、あらかじめご了承下さい。


後編

翌朝 デボン温泉街 ホテル

 

 古代博士が目を覚ますと、オウガ達の姿は影も形もなかった。もしやと思った彼は女性部屋の方へ赴き、ドアをノックする。

 

「リアス君! ミサ君! 起きてるか! 開けてくれ!」

 

 しばらく扉を叩いていると、ミサが顔を出した。

 

「おはようございます。古代博士。

実はわたし達もそちらへ伺おうと思っていたんです」

 

「何っ!? ということは…マルムちゃんも…?」

 

「えっ…ということは…オウガ君達も…?」

 

 ここで古代博士の嫌な予感が的中した。間違いなく、Dキッズはデボン島に向かったのだと確信したのである。

 

「…とにかく! これは一大事だ! 私はデボン島へ渡る手段を探してくる!

ミサ君はリアス君を起こして外出の準備を進めておいてくれ!」

 

 そう言って再び男性部屋へ向かった古代博士を見送り、ミサは小さくため息をついた。何故ならリアスはまだ爆睡しているからである。しかも髪の毛はライオンのように広がっていた。

 

「もう…リアスさん。起きてくださーい…。マルムちゃん達がいないんです。もしかしたらデボン島へ向かったのかも…」

 

 しかしいくらミサが呼びかけてもリアスはなかなか目を覚まさず、結局戻ってきた古代博士と一緒に叩き起こすことになったのだった…。

 

 

その頃 デボン島

 

 古代博士達がDキッズがいないことに気付いた時、もう既に彼ら4人は手漕ぎボートでデボン島へ上陸していた。

 

「一刻も早くアクロカントサウルスのやつを探し出そうぜ!」

 

「火山が噴火する前にね…」

 

「とは言えデボン島はけっこう広いらしいし、あてもなく探す訳にはいかないね…。どうやって探せばいいんだろう…」

 

 オウガがそう言うと、突然パラパラが前へと出て、高く鳴いた。

 

『コォーーン!!』

 

「どうしたの? パラパラ…」

 

グォォォォ…

 

 すると、どこからともなくアクロカントサウルスの咆哮が聞こえてきた。どうやら火山部分にいるらしい。

 

「ヤツだ!」

 

「この上にいるみたいだ! 行こう!」

 

 そしてDキッズが4人で頷き合い、火山へ向かって駆け出そうとした時だった。彼らの頭上から聞き覚えのある高笑いが聞こえてきたのである。

 その方向を仰ぎ見ると…。

 

「今頃来たのかい? ガキンチョ!」

 

「「ワーッハッハッハ!」」

 

 そこにいたのは案の定ウサラパ達アクト団工作員の3人組だった。

 

「あっ! オバさん!」

 

「オバッ…オバさん言うなーっ! やっぱ露天でオバさん言ったのお前だなーっ!?」ポンッ

 

 ウサラパの怒声に続けてエドが手元の太鼓を叩く。どうやら余程気に入ったらしい。

 と、そこへ小型飛行機が飛んでくる。その機体にはアクト団のマークが描かれていた。

 

「あっ…?」

 

「何だあれ?」

 

「アクト団のマークみたいなのが見えるけど…何しに来たんだ?」

 

 Dキッズが疑問の声を上げていると、飛行機のハッチが開き、何やら丸いものが大量に投下されていくではないか。

 

「「「「うわぁぁぁあ!?」」」」

 

 Dキッズとパートナー恐竜達は悲鳴を上げて丸いものから逃げ惑った。そして丸いものは着陸するとその形態を変化させ、これまた見覚えのある姿に変化していった。

 

「トロイ…ッド!トロイド、トロイド…」

 

 そう。この前アジ島でも見たアクトロイド達である。球状から変化した彼らはDキッズ達の周りにゾロゾロと集まり、あっという間に取り囲んでしまった。。

 

「くっ…またお前らかよ…!」

 

「これはこれは…いいところで来てくれたじゃないか!」ポンッ

 

「流石はドクターだヨー! 痒いところに手が届くネー!」ポンポンッ

 

「獲物はミー達がいただくザンスよ! お前達がそのアクトロイドちゃん達と遊んでいる間にネー!」ポンポンポンッ

 

「なにいっ…?」

 

 どういうことなのかDキッズが問いかけようとすると、周囲を取り巻いていたアクトロイド達が一斉に4人を拘束しようと掴みかかってくる。

 

「離してっ!」

 

「こいつら…」

 

「くそっ…やられた…」

 

 Dキッズ達がアクトロイドの拘束から逃れようとしているところを眺め、ウサラパ達3人は高笑いをしていた。

 と、そこで彼らのアクトホルダーに着信が入ってくる。相手は勿論、ソーノイダであった。

 

「あっ! どっ、ドクター!」

 

「「ひいいっ!?」」

 

『バッカモーン!グズグズしてる場合じゃないぞーい!

今度の獲物アクロカントサウルスは、今ワシが完成させようとしている研究には絶好のターゲットぞい。

だから! 何としても手に入れるのだぞい! よいか! 分かったな!?』

 

「「「りょ、了解〜!」」」

 

 ソーノイダとの通話が終わり、3人は大きくため息をついた。恐竜の名前まで指定されたということは、失敗は勿論、以前のスティラコサウルスの時のような誤魔化しも効かないということだからである。

 

「はぁ…」ポンッ

 

「必ず持って帰るネー!」ポンポンポン

 

「いつまでやってるんだい!? ほら、行くよー!」

 

「「ヘイヘイホー!」」

 

 こうして、ウサラパ達はDキッズをアクトロイドに任せてデボン山へと登っていったのだった。

 

 一方Dキッズの4人は何とかアクトロイドから逃れようとしていたが多勢に無勢。

 リュウタは四肢を掴まれ持ち上げられてしまった。

 

「あっ!待て!くっそ〜…あっ!」

 

 レックスは四肢を抑え込まれ、砂浜に押し付けられている。

 また、オウガは四肢を引っ張られ、車裂きの刑のような体勢にされていた。

 ガブやイナズマ、エースやアメジストもそれぞれのパートナーを助けようとアクトロイドと戦っているが、この体格では無理があった。

 

「痛い痛いっ! 何で俺だけこんなことになってるんだっ!?」

 

「早くしないと先を越されるぞ!」

 

「分かってるけど、こいつらが…くそっ、離せよ!」

 

 しかし、皆が皆アクトロイドに苦戦している訳ではなかった。

 

『コンコンコンコンコーン!』

 

 なんと、パラパラの突進によりアクトロイドが退けられていたのである。

 そして…。

 

『グルル…ゴガアッ!』

 

 レクシィはアクトロイドの接続部に噛みつき、次々にアクトロイドの四肢を噛みちぎっていく。彼ら2匹の頑張りもあって、マルムとオウガは拘束から抜け出すことができたようだ。

 

「助かった…。ありがとう、レクシィ…」

 

「ありがとう! パラパラ! よし、行くわよ!

ディノスラーッシュ! 芽生えよ! パラサウロロフス!」

 

キュオォォォン!!

 

 マルムはすぐさまディノホルダーを手に取ると、パラパラをカードに戻してスキャンした。パラパラが成体の姿になって降り立ち、周囲のアクトロイド達を薙ぎ払う。

 そして、マルムも落ちていた棒きれを持ってアクトロイドに殴りかかっていた。

 

「トロイド〜ッ!?」

 

「トロイドッ」ポコン!

 

「ここはアタシ達に任せて、リュウタ達は早くアクロカントサウルスのところへ!」

 

「サンキュー! マルム!」

 

「行くぞガブ! イナズマ!」

 

「レクシィ! アメジスト! 俺達も行こう!」

 

 こうしてマルムをその場に残し、3人はアクロカントサウルスのもとへ出発したのだった。

 

その後 デボン島火山地帯

 

 オウガ達は森林地帯を抜け、いよいよデボン山を登っているところだった。

 

「くそっ、どこだ…?」

 

「ここまでの道にはアクロカントサウルスもアクト団もいなかったし、いるならこの先のはずなんだろうけど…」

 

 その時、またしても地鳴りが彼らを襲う。

 

「あっ! あそこ!」

 

 そう言い、レックスが山頂を指さす。山頂からは元々煙が立ち昇っていたが、その勢いが増しているように見えるではないか。

 

「噴火が始まった…!」

 

「…そうらしいね。何か噴煙の勢いも強くなってるみたいだ…」

 

「まずいじゃねぇかよ…! どこにいるんだ! アクロカントサウルスー!」

 

 リュウタが呼びかけるも、当然ながら返事は返ってこない。

 しかし、何かを感じ取ったのかパートナー恐竜達が走り出した。当然3人もその後を追いかけていき、そして彼らがが立ち止まったところで周囲の様子を伺うと、そこにアクロカントサウルスはいた。

 何やら岩壁を見つめ、哀しげな声を上げている。

 

「いたぞ!」

 

「まだ先を越されてなかったみたいだ。でも、それならウサラパ達はどこへ…?」

 

「…!あれは…」

 

「どうしたんだリュウタ! 危ないぞ!」

 

「待てリュウタ! 危険だ!」

 

 岩壁を見ていて何かに気づいたのか、リュウタが歩みを進める。そこには、アクロカントサウルスの化石が露出していたのだ。片方は全長12メートルほどの成体、もう片方は4、5メートルほどの幼体だ。

 

「アクロカントサウルスの化石みたいだ…。片方は子供だな…親子かな?」

 

 しかし、リュウタは前に出過ぎてしまったようだ。敵対心を露わにしたアクロカントサウルスが彼に近づいてくる。

 

「リュウタ! 後ろ!」

 

「えっ…? うわぁっ!?」

 

 急いでその場から逃げ出そうとする3人だが、そんな彼らに向けてアクロカントサウルスが尻尾で打ちすえようとしてくる。最早、戦う以外の選択肢はなさそうだと判断したリュウタがガブとイナズマをカードに戻し、ディノホルダーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ! 轟け! トリケラトプス! スティラコサウルス!」

 

ゴオォォォォォ!!

 

ギュオォォォォォ!!

 

 電撃を迸らせながらガブとイナズマが成体の姿となり、アクロカントサウルスと向かい合う。それと同時に、バトルフィールドが展開されていったのだった…。

 

 

 その頃、急遽調達した小型モーターボートで古代博士とリアスはデボン島へ向かっていた。ちなみにミサには万が一子供達が先に戻ってきたことを考えてホテルで待機してもらっている。

 そんな彼らも、バトルフィールドが展開されていく様子を目撃した。

 

「おおっ! バトルフィールド!」

 

「博士!」

 

 空を見ていた古代博士がリアスに言われて海を見ると、なんと海の水が全てなくなってしまっているではないか。これには彼らも驚きを隠せなかった。

 

「うおおっ!? こ…これは…!?」

 

「海が消えた…?」

 

 その時、彼らのところへ駆け寄ってくる人物がいる。マルムとチビ形態のパラパラだった。

 

「お姉ちゃん! 博士ーっ!」

 

「マルム!」

 

「おお! マルムちゃん! リュウタ達はどうした!? 私の計算ではもうすぐ大噴火が起こるぞ!」

 

 古代博士から語られたまさかの事実に、マルムは驚きの声をあげた直後、地面が激しく揺れ始める。いよいよデボン山の噴火が間近に迫ってきているのだろうか。

 

 

 一方、煮え滾るマグマが今にも溢れ出そうな火山を背景に、ガブ&イナズマとアクロカントサウルスは戦闘を始めていた。

 果敢にガブとイナズマは攻撃を加えようとするものの、アクロカントサウルスも負けてはいない。攻撃を躱すと噛みつき、更には尻尾でガブを薙ぎ払った。そして代わりに突撃していくイナズマも尻尾の回転打で退けた。

 2VS1で数ではこちらが有利なのに、どう見てもアクロカントサウルスに戦いの主導権を握られていることは明らかだった。

 

「負けるな! ガブ! イナズマ!」

 

「2体相手に善戦してるなんて…。強いな、あいつ…」

 

「確かに。それにあのアクロカントサウルス、すごいやる気だ。何が彼をそこまで駆り立ててるんだろう…」

 

「きっとあの化石だよ! あの化石を守ろうと必死に戦ってるんだ!」

 

 そんな会話をしている間にもアクロカントサウルスの攻めの手は止まず、ついにはガブの尻尾に食らいついて振り回し、投げ飛ばしてしまう。ガブはイナズマを巻き込みながら地面を転がっていき、いくつもの岩を壊してからようやく止まった。

 

「「「うわぁっ!?」」」

 

 その時、一際大きな地鳴りがしたかと思うと、デボン山から勢いよくマグマが噴出した。遂に噴火が始まったのだ。

 

「噴火だ!」

 

 最早一刻の猶予もない。早くアクロカントサウルスをカードに戻して保護しなければ。

 

「もう時間がない…! リュウタ! 俺とレクシィも加勢するぞ!」

 

 そう言うとオウガはディノラウザーを手に取り、レクシィをカードに戻そうとした…その時。

 ディノラウザーを通してレクシィが語りかけてきたのだ。

 

『…待て。オウガ』

 

「え? どうしたの? レクシィ?」

 

『すまないが…私はここで戦いたくない…』

 

 そう言ったレクシィの声は、少し震えているように感じられた。

 

「…あっ! そうだった…。ごめん…」

 

 その時オウガはレクシィの記憶で見た光景を思い出した。そうだ。彼女は育ち故郷であるヌブラル島の活火山・シボ山の噴火によって身一つ以外全てを失ってしまったのではなかったか。

 そんな彼女が、火山をどれほど恐れているかを察してやれなかったことをオウガは恥じた。

 

「本当にごめん、レクシィ…君の恐れを察してあげられてなかった…。

…でも、ガブ達は助けないと! アメジスト! いけるか?」

 

 オウガが問いかけると、アメジストはコクリと頷いた。

 

「よし!じゃあここは君に任せた!

ディノスラーッシュ! 揺るがせ! ステゴサウルス!」

 

ケエェェェェ…!!!

 

 アメジストが成体化し、地面に降り立つ。その時アクロカントサウルスは、尻尾でノックバックさせたガブにのしかかろうと高く跳躍したところだった。

 

「危ない!」

 

「アメジスト! ガブを助けるんだ!」

 

 オウガの声に応じたアメジストは高く跳躍すると、空中でアクロカントサウルスに体当たりして地面に叩き落とし、ガブの窮地を救った。

 

「アメジストが隙を作ってくれたんだ! リュウタ! 早くアクロカントサウルスをカードに戻してやらないと!」

 

「おう! よぉぉし行くぜぇ! 『激力雷電(ギガライディーン)』!」

 

 レックスの言葉に後押しされたリュウタは技カードを取り出すと、ディノホルダーにスキャンした。

 するとガブの体を黄色い光と電撃が包み込み、2本の大角の間に電撃が収束していく。そしてガブはその電撃をアクロカントサウルスに向けて撃ち出した。見事に『激力雷電(ギガライディーン)』が命中し、アクロカントサウルスは痙攣しながら大きく吹き飛ばされ、力尽きたかのように見えた。

 

「やったあ!」

 

「いや、まだだ!」

 

「「えっ?…ええっ!?」」

 

 なんと、『激力雷電(ギガライディーン)』の直撃を食らっても尚アクロカントサウルスは起き上がろうとしていた。

 とんでもないタフネスと執念の持ち主である。

 

「あんなにフラフラなのに…まだやるってのか!?」

 

「ガブ! イナズマ! 急げ!」

 

「アメジストも頼む!」

 

 リュウタとオウガの言葉を受け、ガブ、イナズマ、アメジストの3体がアクロカントサウルスに向かって駆け出していく。

 しかしその彼らに横から突進を仕掛けてきた恐竜がいた。ティラノとスピノ、そしてインドミナス・レックスだ。

 

「ティラノだ!」

 

「スピノまでいるぞ!」

 

「それにインドミナス…ってことは…!」

 

「オーッホッホッホ!」

 

「ガーッハッハッハ!」

 

 聞き覚えのある笑い声を聞いた3人が振り向くと、そこにはアクト団工作員の3人と、ジェイソンが立っていた。

 

「お前ら! ずっとそこに隠れてたのか!?」

 

「おーっと、ここから先は手出し無用だよ?」

 

「ユー達が獲物を弱らせてくれるのを待ってたザンスよ?」

 

「まんまと引っかかったッスねぇ!」ポンッ

 

 作戦大成功、と言いたげな笑顔を浮かべるウサラパ達に、ジェイソンが嫌味を言った。

 

「よく言うぜ。あのアクロカントサウルスにサイカニアを瞬殺されたから、隠れてガキ共が弱らせてくれるまで待とうとか言ってたクセに」

 

「それは言わなくていいのよーっ!」

 

「まあおれはドジスンから受けた「オウガを邪魔してこい」って指令を遂行してるだけだからな。

こいつらと組んでるのは利害の一致ってやつだ」

 

「そんなのズルいぞ!」

 

「よくそれで大人を名乗れますね!」

 

「ズルくても何でも、獲物さえ手に入ればいいんだよーだ! さあちゃっちゃとやっておしまいティラノちゃん! スピノちゃーん!」

 

「インドミナス! お前はステゴサウルスが邪魔に入らないようブロッキングに専念しろ!」

 

 ウサラパの命令を受けてティラノとスピノが2体がかりでアクロカントサウルスに攻撃を仕掛けていく。

 アメジストは何とかアクロカントサウルスの手助けをしようとするものの、インドミナスが邪魔でそれ以上先へ進むことができなかった。

 そんな中ガブが猛然と駆け出し、ティラノに突撃していくものの、尻尾の一撃を受けてカードに戻されてしまった。

 更にイナズマを撃退するために、エドがアクトホルダーにカードを通す。

 

「やるッスよスピノ! 『龍河苦玉(トラジェディーオブザボール)』!」

 

 するとスピノの体を青い光と水流が包み込み、口内に水球を形成していく。そして形成した水球をイナズマに投げつけ、その中へ閉じ込めると、渾身の体当たりをお見舞いした。イナズマの体は大きく吹き飛ばされ、彼もまたカードへと戻ってしまった。

 

「あぁっ! ガブ! イナズマ!」

 

「さっきのバトルで消耗してたのか…!」

 

「もしかすると、これも向こうの作戦の内だったのかもね…」

 

「くそっ…全部奴らの思い通りかよ…」

 

 とにかくガブとイナズマのカードは回収しなければならない。リュウタはカードの回収のため急いで向かい、カードを拾い上げた。

 一方オウガは、ディノラウザーから技カードを取り出していた。

 

「ガブ達が倒れたとなれば…せめてインドミナスは片付けないと活路は開けない! 頼んだよアメジスト! 『結晶(クリスタル)』…」

 

 技カードをディノラウザーに通そうとした、その時だった。

 火山の山頂付近が爆発すると、そこから出てきた噴石や火山弾が雨のように降ってくるではないか。

 

「うわぁぁっ!?」

 

「くっ、反撃しようにも、もうここから離れるしかないか…! アメジスト! 君も一度退避するんだ!」

 

 ここに留まり続ければ自分達の命も危ない。そう考えたオウガはアメジストをカードに戻し、リュウタ達やパートナー恐竜達と共に岩の陰に避難するのだった。

 一方、ウサラパ達はまだその場に残り続けていた。

 

「ケッ、まあおれはあのアクロカントサウルスに興味はねぇからどっちでもいいんだがな。

退避するなら早い方がいいんじゃねぇのか? 命あってのものだねだぜ?」

 

「痛っ! あたっ! これ危険ザンスよウサラパ様!」

 

「ジェイソンの言う通り、おれ達も早く逃げた方が…」

 

「何言ってんだい! 逃げるのは獲物を仕留めてからだよ!」

 

「「イヤーッ!」」

 

 相変わらず降り注いでくる噴石と火山弾に怯えるノラッティ〜とエドだが、このままここで時を過ごしていてもどうしようもない。

 やがて2人は各々1枚ずつカードを掴みだすと、アクトホルダーに通したのだった。

 

「『爆炎壁攻(ボルケーノバースト)』!ザンス!」

 

「『激流封印(ショックウェーブ)』ッス!」

 

 するとティラノの体が赤い光と炎に包まれ、口に炎を溜め込み始める。そしてその炎を吐き出すと炎は地面を伝ってアクロカントサウルスへ延びていき、その身を炎で包みこんだ。

 続けてスピノがアクロカントサウルスの足元に渦潮を発生させ、閉じ込めてしまう。

 火と水で二重の責め苦を受け、さしものアクロカントサウルスも力尽きてカードへ戻っていってしまった。バトルが終わったことで、周囲の風景も元に戻っていく。

 

「アクロカントサウルスが!」

 

「フン! カードはいただきザンス…うわちゃちゃちゃちゃ!?」

 

 すぐさまアクロカントサウルスのカードを回収しようと向かったノラッティ〜だったが、彼の行く手を間欠泉が塞いでしまった。

 

「へへっ! この隙に…うわっ!?」

 

 続けてリュウタもカードを回収しようとするものの、彼の行く手も間欠泉によって塞がれる。

 と、そこへ古代博士達が追いついてきた。

 

「リュウタ! レックス! オウガ君!」

 

「父さん!」

 

「すぐに引き上げるんだ! ここは危ない!」

 

「でも、カードが…!」

 

「リュウタ、ここはパパさんの言う通りにしよう。カードだっていずれ取り返すチャンスはある!」

 

「ここは引くしかないか…」

 

「早く! リュウタ!」

 

 他の面々がボートへと引き返していく中、リュウタはアクト団とジェイソンを睨みつけていたが…。

 

「…くそっ! 絶対このままじゃ済まさないぞ!」

 

 彼らしくない捨て台詞を吐いてその場を後にしたのだった。

 邪魔者もいなくなったところで、ウサラパは悠々と足元のカードを拾い上げる。

 

「いよーし、これで本日の任務終了〜!

久々にアタシ達の力でカードを手に入れられたよ! アタシ達の頭脳の勝利だねぇ!」

 

「「やったーっ!」」

 

「では勝利の踊りーっ!」ポンポンポンッ

 

「は?」

 

「「「あら嬉しいなったら嬉しいなっ♪ あら嬉しいなったら嬉しいなっ♪ あら嬉しいなったら嬉しいなっ♪」」」

 

「………」

 

「って何やらせんだいっ!」

 

「いや、お前もノリノリで踊ってただろうが…」

 

 と、その時。地鳴りがしたかと思うとウサラパ達3人の足元から高温の蒸気が吹き出した。当然ながらその熱さに喚きながら3人はどこかへと逃げていく。

 

「「「あちゃちゃちゃちゃあちゃーっ!」」」

 

「温泉が吹き出したザンス! あっちっち!」

 

「おいてめぇら! 帰りはどうするつもりなんだ…って行っちまったよ…。

本当に落ち着きのねえ連中だな…」

 

 ジェイソンはウサラパ達に呆れつつも、彼らは放っておいて、退却のためのジェットヘリを呼ぶことにしたのだった…。

 

 

 一方、Dキッズと古代博士とリアスはモーターボートで速やかにデボン島から離れようとしていた。

 

「船頭さん! 急いで下さい! いつまた大噴火が起こるか…!」

 

「ハッハッハ…大噴火だあ? そんなもんはここ何百年も起きてねぇだよ」

 

「え? でもさっき…」

 

「あの程度の煙ならいつでも上がってんだあ。あんたら夢でも見てたんでねぇのかぁ?」

 

 どうも船頭さんと話が噛み合わない。何故なのかその場の全員が考えていると、リアスが何か思いついたように口を開いた。

 

「あの噴火…もしかするとバトルフィールドの中だけだったんじゃないのかしら?」

 

「「「「えーっ!?」」」」

 

「じゃあ慌てて逃げることなかったんじゃないの父さ〜ん!」

 

「いや〜、まあその可能性はだな…あるな…」

 

 どうやら噴火が近いというのは古代博士の早とちりだったようだ。それに呆れつつも、Dキッズ達はアクト団に奪われたアクロカントサウルスに思いを馳せていた。

 

「アクロカントサウルス…どうしてもあの化石を守りたかったんだな…」

 

「親子の化石みたいだったし、元々はあいつの家族だったのかもしれないね…」

 

「化石はあのままそっとしておこう…」

 

「アクロカントサウルス…必ずウサラパ達から取り返してやるぞーっ!」

 

 必ずアクロカントサウルスを救い出すことを心に決めながら、彼らはミサが待つホテルへ戻っていくのであった…。

 

 

その頃 アジ島 ソーノイダの研究室

 

 ウサラパ達からアクロカントサウルスを回収したとの知らせを受けたソーノイダは、いつにもなく上機嫌な様子だった。

 

「フハハハ…獲物は手に入れたぞい! そしていよいよ完成するぞい! 今までとは違う、もっと強力で扱いやすいワシの究極の発明品がなぁ…!」

 

 そう呟きながら、ソーノイダは巨大な装置の溶接を進め、高笑いを上げる。その装置は、以前ユタラプトルやカスモサウルスを洗脳したアクトコントローラーを更に大型化したようなものに見える。

 

「あちちっ!?」

 

 最後の最後で髭に溶接の火花が燃え移ってしまい、慌てふためくソーノイダなのであった…。

 

 




 今回の恐竜解説!

「今回の担当は、俺、覇轟オウガだよ。
今回紹介するのは、北米の畏怖『アクロカントサウルス』!ティラノサウルスやギガノトサウルスに並ぶ最大級の肉食恐竜だよ。
名前の意味は「高い隆起を持つトカゲ」。椎骨から伸びた長い神経棘がこの名前の由来になったんだよ。
生息していたのは白亜紀前期の北アメリカ。アクロカントサウルスはこの時代この地域の頂点捕食者だったと考えられているんだ。その後頂点捕食者の地位は中期になるとシアッツへ、そして後期にはティラノサウルス科の恐竜に渡っていったと考えられているよ。
名前の由来になった高い神経棘は、昔は背鰭のような形で復元されていたんだけど、今は筋肉を支えるために発達したと推測されているね。
その体格は、化石から推測すると全長11〜12メートル!間違いなく最大級の肉食恐竜だと言えるね。
そして、アクロカントサウルスはギガノトサウルスやカルカロドントサウルスと同じく、歯は薄くなっていたんだ。つまり彼らと同じように獲物の肉を切り裂いて失血死を狙う戦法を取っていたということだね。
また、アクロカントサウルスといえば竜脚類の群れを追いかけているかのような足跡化石が見つかっていることで有名なんだけど…本当に追跡したものなのかどうかははっきりしないみたいだね。残念…」


ということで、今回はここまでです。
当話で述べた通り、レクシィは過去の経験から火山や噴火にトラウマを抱えている…という設定にしてあるので、今後以降も、火山フィールドを嫌ったり、『灼熱火砕』を使わなかったりと弊害が出てくるかもしれません。
それをどう乗り越えていくのかを、これからの物語で描写していきたいと思っているので、ぜひご期待下さい。
では、次回『DキッズVS超アクト恐竜!炎の死闘!』を、お楽しみにお待ち下さい!
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