古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ 作:バックベアード
毎日投稿はある程度ストックを積み上げられたらまた再開したいと考えておりますので、しばらくは1日おきの投稿とさせて下さい。
その頃、ディナーショーの会場に入り込んだエースは、テーブルに置かれた豚の丸焼きに食らいついていた。
それに続いて他のチビ恐竜達も駆けつけると、ガブ・イナズマ・パラパラ・アメジストは4匹でフルーツケーキを囲んで食べ始め、アインはエースに合流する。
そこへようやく追いついたDキッズ達は、彼らのパートナー恐竜達の振る舞いを目の当たりにした。
「こら!エース!」
「アメジスト!それはここのお客さん達の食べ物だから食べちゃダメだよ!」
すると、客席を見ていたマルムが何かに気付いたように大声を出した。その視線の先にはウサラパ達がいる。
「あーっ!オバさん達!」
「…だぁ~れぇ〜がぁ〜…オバさんじゃーっ!」
マルムのオバさん呼びに、すぐさまウサラパは反応した。その口にはいっぱいになるまでパスタが詰め込まれている。意地汚いにも程がないだろうか。
「あんた達恐竜を捕まえに来たのね!」
思わぬ形で遭遇することになったDキッズとアクト団工作員。両者が睨み合っていたその時…。
「バーリー!バーリバリ!バーリバリ!バーリバリ!バーリバリ!」
再び先住民達による儀式が始まった。するとそれに気付いたガブ達4匹の草食恐竜達が、そちらへと向かっていくではないか。
「パラパラ!」
「おい、ガブ!イナズマ!」
「どうしたんだ!アメジスト!」
彼らは途中でウサラパを代わる代わる踏みつけながら踊り手の隣に立つと、音楽に合わせて鳴きながら踊り始めたのだ。
突然の乱入者に踊り手も困惑している様子である。
しかし、4匹はとても楽しそうに歌い踊っていた。
「パラパラ!やっぱり音感バッチリじゃない!」
「アメジスト、いきなりどうしたんだろう?
でも、何だか楽しそうだな」
その声を聞きつけたアインも顔を上げると、テーブルから駆け下りてガブ達と合流しに向かう。
それに続いてエースも顔を上げ、何も言わずに周囲の光景を見つめた。何か感じるところがあったのだろうか。
やがてエースはテーブルから飛び降り、ガブ達の元へ急いでいく。
「アイン!エース!」
そしてエースとアインもガブ達に並び、足踏みをしながら歌い始めた。
困惑していた踊り手も気を取り直し、踊りへと戻る。
普段の神秘的な雰囲気とは違う可愛らしい光景に、観客達も大喜びのようで彼らへ拍手喝采を送った。
「すっげぇ!結構合ってるじゃん!」
「うん…。原始のリズムか…。
やっぱりエースも、ストレスが溜まってたんだな…」
「みんな楽しそうに歌ったり踊ったりしてるね。
…ねぇレクシィ。君はどうする?」
『…私があんなことをすると思うか?』
「…だよね」
というわけでレクシィはその中にまざらず、オウガ達Dキッズと共にガブ達が加わったディナーショーを観覧していると…彼らに声をかけてくる者がいた。
「おチビ達、踊りが上手いのう!」
「え?」
「あら?」
「あっ!原宿にいたお爺さん!」
「どうしてこんなところに?」
「お爺さん、オレ達前にも会ったでしょ?恐竜カードくれたじゃん!」
そこに現れたのは、Dキッズが原宿でも会った例の老人だった。
今はここでツアーバスの運転手をしているのは、皆さんご存知の通りである。
しかしレクシィは訝しげな表情を浮かべながらオウガに問いかけた。
『…オウガ。私はこの老人に見覚えがないのだが、オマエ達は何か知っているのか?』
「え?あっ、そうか。あの時レクシィはカードから出てなかったんだったね。
このお爺さん、原宿のバザーで恐竜カードや技カードが沢山入ったカードホルダーを売ってたんだよ」
『なに…?』
オウガの言葉を耳にしたレクシィは、ますます老人への疑念を強めたようだ。
しかし老人はレクシィの突き刺すような視線を気にする様子はない。
「おらぁ、探検ツアーのガイドだ。踊りも踊る。
バーリ、バーリ、バーリ、バーリ…」
そして老人は、バリバリ言いながらどこかへと歩み去っていってしまった。
「お爺さん、どうしたのかしら…」
「会話が成立してなかったね…」
そう言ってオウガが苦笑した時、彼の持つディノラウザーから通知音が響いてきた。
オウガ達4人が液晶画面を覗き込むと、自分達の近くにオレンジ色の反応が出ているではないか。
「オレンジ…ってことは!」
「オーウェンさんのとこの恐竜が出たのね!」
「間違いなさそうだね。近くにいるみたいだけど、この密林じゃどこに潜んでるか分からないな…」
一方、ウサラパとエドは踊って歌い続けるガブ達を見ていた。
「変な恐竜達…」
「ウサラパ様ーッ!た、た、た…大変ザンスーッ!」
と、そこへノラッティ〜が慌てた様子で駆け寄ってくる。先程までジェットバスに入っていたため、当然身に纏っているのは腰に巻いたタオルのみである。
そんな彼へ、ウサラパは冷静にワインボトルを投げつけた。
「服着てこんかーい!」
「ギャーッ!?」
ワインボトルが直撃したノラッティ〜はひっくり返るものの、あっという間に服を着てその場へ戻ってきた。
しかしまだ興奮冷めやらぬ様子で、不明瞭な言葉を喋ろうとしているだけである。
「だっ、だっ、ダスプレ、だっ…」
その時、辺りに衝撃震動が響く。
それを聞きつけた人々がステージの方を見ると、そこにダスプレトサウルスが出現しているではないか。
それに気付いた踊り手は悲鳴を上げながら逃げ出し、観客達もそれに続いていく。
しかし目の前にダスプレトサウルスがいるというのに、バリバリと祈りを捧げる祈り手達は全く動じていなかった。
どうやら儀式の最中は目を瞑っているため、ダスプレトサウルスの出現に気がついてないようである。
「あぁぁぁ…大丈夫落ち着いて!心配要りませーん!」
騒ぎを聞きつけた総支配人もその場へ駆けつけ、落ち着かせようと呼びかけるものの、観客は既に逃げ出した後であった。
そして、Dキッズも今回出現した恐竜を確認していた。
「すごい!ダスプレトサウルスだ!
ティラノサウルスとかなり近縁な肉食恐竜だよ!」
オウガが瞳を煌めかせながらそう言う。
彼がティラノサウルスが大好きなことは既に周知の事実だが、勿論ティラノサウルスの仲間の恐竜も好きなのである。
「大変だ!ガブ達が…えっ?」
ダスプレトサウルスが踊り続けるガブ達を見つめているのを見てリュウタが危機意識を持つものの、事態は思わぬ方向へ動いた。
なんとダスプレトサウルスは、6匹のチビ恐竜達と一緒に踊り始めたのである。
「アハハ!あいつも踊るのが好きなんだな!」
「恐竜も音楽を理解して、かつそれに合わせて踊るっていう発想があるのかな?」
Dキッズが見守る中で、ダスプレトサウルスはガブ達と共に儀式の言葉に合わせ、足を踏み鳴らしながら器用に踊っていた。
しかし、このままでは困るのがホテルの総支配人である。すぐさま彼はウサラパ達に詰め寄った。
「ちょっとアンタ達!恐竜退治の専門家なんでしょ!どーにかしなさいよ!」
「はぁーっ、もう少しセレブ気分を味わっていたかったのに…」
ウサラパがそうぼやきながら、着ていた服を脱ぎ捨てる。すると彼女はいつの間にかいつもの服装に戻っていた。
続いてアクトホルダーを取り出し、そこへカードを通した。
「出ておいで!サイカちゃん!」
紫色の光に包まれてサイカが成体化して地面へと降り立つ。すると地面に衝撃が走り、祈り手達の体が一瞬宙に浮く。
そこでようやく異変に気付いた彼らはすぐ近くに立ちはだかるサイカの姿を目にすると、我先に逃げ出していってしまった。
そしてサイカはガブ達チビ恐竜を追い散らしながら、ステージのダスプレトサウルスへ向かっていく。
突然の乱入者にダスプレトサウルスは一瞬当惑するものの、すぐさまサイカへと咆哮を浴びせた。
するとダスプレトサウルスの体が赤い光と炎に包まれていく…技を発動しようとしているのだ!
そしてダスプレトサウルスは口内に炎を溜め込んで高く跳躍すると、頭部を下にし、サイカへ向けて落下していく。このまま噛みついて大爆発させる『
しかしこれを黙ってみているウサラパではない。
すぐさま技カードを1枚取り出してアクトホルダーに通した。
「そっちが『
今度はサイカの体が紫色の光に包まれた。そしてサイカが地面を踏みつけて土塊を巻き上げると、それを紫結晶の防護壁とする『
そしてそこへダスプレトサウルスが落下してくるが、防護壁にあっさりと弾かれてしまった。
「どうだい?『
ウサラパの指示に従い、サイカはダスプレトサウルスへ走り寄ると、大きく尻尾のハンマーを振りかぶって叩きつけた。
あまりの痛みに意識が飛びそうになるダスプレトサウルスだったが、何とか踏みとどまるとサイカの尻尾に食らいついた。そして大きく振り回し、ウサラパ達の方へと投げ捨てる。
投げ捨てられたサイカは、仰向けになって地面へ転がってしまった。
下は舗装されているため、自力で元の体勢に戻ることはできなさそうだ。
「あっらぁ〜!逆さまになっちゃったッス!」
「何やってんだい!早く戻すんだよぉ!」
「「ヘイヘイホー!」」
ウサラパの指示を受けたノラッティ〜とエドがサイカのもとへ向かい、元に戻そうと必死に押し続けるものの、ビクともしない。
その間にもダスプレトサウルスは怒り狂った様子で辺りに炎を吐き散らしていた。
そして、その怒りの視線をDキッズとチビ恐竜達にも向けると、口から炎を吹き出しながらそちらへ迫っていくではないか。
「…まずい!エース行けっ!」
「こうなったらもうやるしかない!頼んだぞレクシィ!」
すぐにレックスとオウガがエースとレクシィをカードに戻し、それぞれのディノホルダーやディノラウザーにスキャンした。
「ディノスラーッシュ!吹き抜けろ!カルノタウルス!」
「ディノスラーッシュ!
燃え上がれ!ティラノサウルス・レックス!」
グォォォォォォン!!!
ゴガアァァァァァッ!!!
灰色の光と共にエースが、赤い光と共にレクシィが成体化して地面に降り立つと、まずはエースがダスプレトサウルスに向かっていった。
そしてダスプレトサウルスの腹に突進したもののあまり効いていないらしく、逆に跳ね除けられてしまう。
そして転がったエースに素早くダスプレトサウルスが駆け寄ると足を振り上げ、踏みつけようとした。
しかしそこでレクシィがダスプレトサウルスの尻尾に食らいついて引き倒し、エースの窮地を救った。
「いいぞレクシィ!」
「エースじゃパワー負けしてるのか?…それならアインも参加させた方が…」
『ギャッス!ギャアス!』
「?どうしたんだ、アイン…?」
そう言いかけながらディノホルダーを構えるレックスだが、そんな彼にアインが何かを訴えるかのように喋りかけてきた。
リュウタ達の方を見ると、そちらでもガブやイナズマ、パラパラにアメジストもそれぞれ何かを訴えかけているではないか。
そして彼らは連れ立ってレクシィやエースとダスプレトサウルスが睨み合っているところへと向かっていった。
そして彼らの前で、先程舞台でしていたように歌い踊り始めたのだ。
するとどうだろうか。ダスプレトサウルスが口に蓄えた炎が勢いを失い、消えていく。
まるでダスプレトサウルスの怒りが収まっていくのを表しているかのようだった。
そしてダスプレトサウルスはチビ恐竜達についてレクシィ達から背を向け、舞台へ上がるとまた踊り始めた。
そこへエースも加わっていき、舞台は更に賑やかになる。
「そうか…踊りを途中で止められたから怒っていたのか!」
「あのダスプレトサウルス、そこまで踊りが好きなんだね…」
「変な恐竜…」
「きっとパラパラの歌が気に入ったのよ!」
「よーし!それならガブとイナズマも大きくなって踊ろうぜ!」
「いいね。じゃあ僕はアインも大きくして…」
「パラパラも!」
「それなら俺もアメジストを大きくしようかな?」
Dキッズ達はにこやかに微笑み合うと、それぞれのチビ恐竜達をカードに戻し、ディノホルダーやディノラウザーにスキャンした。
「ディノスラッシュ!轟け!トリケラトプス!スティラコサウルス!」
「ディノスラッシュ!吹き抜けろ!アロサウルス!」
「ディノスラッシュ!芽生えよ!パラサウロロフス!」
「ディノスラッシュ!揺るがせ!ステゴサウルス!」
ゴオォォォォォ!!!
ギュオォォォォォ!!!
グゥガァァァァァ!!!
キュオォォォン!!!
ケエェェェェ…!!!
そして成体化したガブ達はダスプレトサウルスと並ぶと、また一緒に踊り始めた。
計7体の恐竜達が舞台に並び、踊る様は圧巻という他ない。
一方でレクシィはオウガの横に座り込み、彼らの踊りを眺めているだけだった。
しかし、どこかソワソワしているようにも見える。
『…別に興味がある訳じゃない。勘違いするなよ』
「レクシィ…素直じゃないなぁ…」
念を押すように言ってくるレクシィに、思わずオウガは苦笑せざるを得なかったのだった。
一方、エドとノラッティ〜はようやくサイカをひっくり返せるところまで来ていた。
「「おいしょ…おいしょ…おいしょ…ふぃーっ…」」
「いつまでかかってるんだいこのスカポンタンーッ!」
「もうダメ…」
「ザンスぅ…」
すっかり疲れ切って倒れ伏すエドとノラッティ〜に、ウサラパは呆れつつもダスプレトサウルスの方を見ると、1枚の技カードを手に取った。
「サイカ!この隙にやっちまいな!『
その時だった。
ファキュン、キュウゥ、コロロロ…
聞き慣れない声を耳にしたウサラパがその声のもとへ素早く目を向けると、そこにはあの小柄な肉食恐竜がいた。
その恐竜は、まっすぐウサラパを見つめている。
「なんだチビコロじゃない…。もっと大きい恐竜かと思ったわ。
っていうか、あんた見たことのない顔ね。ドクターが連れてきた恐竜にはこんなのいなかったはずだけど…。
見た感じディロフォサウルスっぽいけど…首元にそんなヒダなんかあったかしら…?」
ウサラパがそんなことを言っている間も、その恐竜…ディロフォサウルスは全く視線を外そうとしない。
その視線に、ウサラパは薄ら寒いものを覚えた。以前もそんな冷たい視線をした恐竜…ピロラプトルに襲われたことがあるからだ。
何とかディロフォサウルスの視線を逸らそうと、ウサラパはその手に木の棒を握った。
「い、いい加減にしなさいよアンタ!
いつまでもそうやってたらアタシがビビるとでも思ってんの!?」
そしてウサラパは無我夢中で木の棒を振り回す。
その木の棒は、興味津々で首を伸ばしてきたディロフォサウルスの頭を打ち据えた。
ギャッと声を上げ、ディロフォサウルスが首を引っ込めながら後退する。それを見たウサラパは、引きつり気味に笑い出した。
「ハ…ハハハ…ザマァ見なさい!アタシを舐めた罰が当たったのよ!このバカカンガルー!
分かったらそこで黙って見てなさい。アンタの相手はダスプレトサウルスを倒してから…」
そこでウサラパは言葉を切った。いや、切らざるを得なかった。
ディロフォサウルスが怒っていることに気がついたのだ。
ディロフォサウルスは怒りの籠もった目でウサラパを見つめると…
ギュシャーッ!シャーッ!
首元のヒダを広げ、ヘビのような声を上げて威嚇してきたのである。
特に首周りのヒダは大きく広げられていて、まるでエリマキトカゲのようではないか。
そしてディロフォサウルスは、シャッと口から何かをウサラパへ吐きかけた。
何やらベットリとしたものが首元に付着し、ウサラパは思わずそれを手で拭い取ろうとする。
それはどす黒く、粘度も高い液体だった。しかもそれがついた首元と、それに触れた手がジリジリと痛みを訴えてきたではないか。
「な、何なのよアンタは…!
いきなさいサイカちゃん!あんなヤツ尻尾の1振りで仕留めてやりなさい!」
その言葉を受けたサイカは、自慢の尻尾を大きく振りかぶったが、ディロフォサウルスの動きは速かった。
再び口からあの液体を吐き出し、今度はサイカの右顔面に命中させたのである。
突然のことにサイカが体勢を崩し、転倒する。
そして、変化はすぐに現れた。
サイカがしきりに右の顔面を地面に擦り付け、苦しみ悶え出したのである。
これにはウサラパも慌てた。
「ど、どうしたのサイカちゃん!?
…このままじゃまずいわね…。エドとノラッティ〜はこんなんだし…そうとなれば、ここは逃げるが勝ちよ!
ほらエド!ノラッティ〜!さっさと退散するよ!」
逃げの一手を取ることに決めたウサラパは、サイカをカードに戻すと、エドとノラッティ〜の首根っこを引っ掴んで密林へと逃げ込んでいく。
その後を追い、ディロフォサウルスも密林の中へ姿を消す。
そして更に…。
「こらーっ!金払えーっ!」
リゾートホテルの総支配人が、請求書を片手に彼らの後を追いかけていったのだった…。
その後 リュウタ宅
ダスプレトサウルスと和解してカードに戻したDキッズは、リュウタ宅で今日の出来事について話し合っていた。
古代博士がダスプレトサウルスのカードを手に、ポツリと呟く。
「なるほど…。ダンスが好きな恐竜とはな…」
「ミサさんも笑ってましたよ。図鑑で見るような恐竜達がノリノリで踊ってたなんて変な光景ね、って。
…でも、博士。実際に恐竜って、音楽やダンスを楽しむことができるだけの能力を持ち合わせているんでしょうか?」
「うーむ、それは正直分からないな。恐竜の研究は昨今飛躍的に進んでいるとは言え、彼らの趣味趣向については判明していないところが多い。
だが、パラサウロロフスのように独特なコミュニケーションを取っていた恐竜もいることだし、音楽のような鳴き声で相互に楽しんでいた可能性も…」
「上手いわ〜…本当に上手よ!パラパラ!」
話の途中で聞こえてきたマルムの声に、2人は顔をそちらへ向ける。
そこではレクシィ以外のチビ恐竜達が踊って歌っており、それをマルムが褒めているのだ。
亜紀も感心している一方で、リュウタとレックスはうんざりした表情を浮かべている。
「ホントね。犬とは思えないわね」
「ふあぁぁぁ…。上手いのは分かってるけどさぁ…帰ってきてからずっと歌って踊って…。もう勘弁してくれよ〜…」
「あら、エースだって元気になったんだし良かったじゃない?ねぇレックス?」
「まあね…ハァ…」
「でしょでしょ?また元気がなくなれば、歌って踊れば大丈夫よ!」
「…そうだね」
「じゃあ最後にもういっかーい!」
「「「えええっ!?」」」
「はい!せーの!」
マルムの声と共に、またチビ恐竜達の合唱と踊りが始まった。
「もう勘弁してぇーーっ!」
「俺、いつになったら帰れるんだろう…」
『頼むから寝かせてくれ…』
もう限界に達したリュウタの絶叫が響き、オウガとレクシィもがっくりと肩を落としたのだった…。
その頃 アクト団基地 アジ島
急いでアジ島へと戻ってきたウサラパは、サイカの容態をソーノイダに診てもらっていた。
その間ウサラパは赤く腫れてきた首元と手に薬用クリームを塗り、エドやノラッティ〜と共にサイカの処置を待っていた。
ちなみに件のディロフォサウルスは彼らが乗ってきた飛行機まで追いかけてきたので、アクトカーゴに閉じ込めて拉致し、今はアジ島の檻の中に収容している。
「あのディロフォサウルス、なんか変ザンスよねぇ…」
「口から変な液体吐いたり、エリマキも付いてたり…やっぱり変よねぇ…」
「それにしても、ウサラパ様もサイカも災難ッスよね。あんな恐竜からターゲットにされるなんて…」
3人がそんなことを話していると、ソーノイダがサイカを抱えて現れた。
鎮静剤を打たれたのか、サイカは暴れず大人しくしている。
「ドクター!サイカは無事ですの!?」
「心配するでないぞい。何とか処置が間に合ったから失明は避けられたぞい。
まあ、しばらく安静にしておかねばならんがのう」
「…失明?そんな一大事だったんスか?」
「そうぞい。あのディロフォサウルス、どういう訳かコブラのように口から毒液を発射できるようなのじゃぞい」
「どっ、毒ザンスか!?」
「そうぞい。しかも有毒成分が複数種類含まれておるようぞい。全部分析してたんじゃ時間がかかりすぎるから困っておったら、毒を吐きかけてきたと言っていたのを思い出してコブラ毒の血清を試してみたら…これがビックリ!上手くいったのじゃぞい!
だからウサラパも薬用クリームだけでは傷痕が残る可能性もあるぞい。しっかり洗浄してから塗り薬を使った方がいいかもしれんぞい」
「あっ…痕が…!?今すぐそうしてきますわ!」
女性として一生残るかもしれない傷は大問題である。
すぐさまウサラパは駆けていってしまった。
「にしても…毒を持った恐竜なんて驚きザンスねぇ…」
「ホントッス。ドクターもあんな恐竜がいること隠してたなんて危ないッスよ。ちゃんと言ってて欲しかったッス」
エドの言葉に、ソーノイダは首を傾げる。
「?何を言っとるぞい。ワシは毒を持つ恐竜は連れて来ておらんぞい?」
「「えっ…?」」
「ワシが見てきた中ではピアトニッキサウルスが毒を持っておったが、そいつは連れて帰ってきておらんぞい。それにディロフォサウルスも見たことはあるが、毒もなければあんなエリマキもなかったぞい」
「じゃ、じゃあ…あのディロフォサウルスは…何なんザンスか…?」
「そう言われてものう…ワシも分からんものは何とも言えんぞい…」
その頃、ディロフォサウルスが収監された檻の前にはノーピスが姿を見せていた。
ディロフォサウルスは突然現れたノーピスに威嚇するものの、彼に睨みつけられると途端に萎縮してしまった。
「お前が、猛毒を持つという恐竜・ディロフォサウルスか…。
恐らくお前は、「Sin-D」の恐竜と何か関係があるのだろうな。俺が見たことのない恐竜であるからにはそうだとしか思えない。その上凶暴性も段違いのようだ。
だが…その毒はなかなかに興味深い。精々、俺の研究に役立ってもらうぞ…」
そう言い、ノーピスは不敵に笑ったのであった…。
今回の恐竜解説!
「今回の担当は私!古代博士だ!
今回解説するのは、暴君の系譜『ダスプレトサウルス』!ティラノサウルスとは近縁な種類だな!
名前の意味は「恐るべきトカゲ」!名前としては恐竜たるに相応しいものだと言えるだろうな!
全長は9メートル程となかなかに大きく、体重も2トン前後になったと推測されているぞ。
化石は主にカナダのアルバータ州から見つかっていて、ここが主な生息域になっていたようだな。
体格はがっしりとしていてティラノサウルスにもよく似ていたが、目の上の突起が発達していたようだ。これは他種との差別点と言えるだろうな。
そして見つかっている化石を分析した結果、下顎にはワニのような大きめの鱗が付いていた可能性が示されているのだ。つまり少なくともダスプレトサウルスは、歯の鞘の役割を果たす唇を持っていなかったのではないか?と言われているな!更にこの鱗はワニの場合、極めて鋭敏な感覚器官であることから、本種も同じように下顎で色々なものを調べていたと推測されているぞ!
更に本種は同じティラノサウルス上科のゴルゴサウルスと共存関係にあったとも考えられている!どちらかというと華奢なゴルゴサウルスと、がっしりした体格のダスプレトサウルスで食い分けをすることで、無用な争いを避けることができたのだろうな!」
ということで、今回はここまでです。
今回の原作に当たる回では、バリバリ島の儀式だったり、恐竜達が揃ってダンスするといったスピリチュアルだったりシュールな絵面が多かったので、文章に著すのが大変でした。
そして、ディロフォサウルスが乱入したことでダスプレトサウルスは『大地激怒』を免れるように改変しました。
このディロフォサウルスの毒素が後々様々な影響を与えていくことになるので、是非ご期待下さい。
それでは次回『ニューヨーク追跡24時!ディノモンドを取り返せ!』琥珀が関わってくる話ですので、是非お楽しみにお待ち下さい!
※追記:レクシィが『大炎爆発』を使えるようになりました。