古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ 作:バックベアード
三畳市に落ちた謎の隕石を調査するため早朝から裏山へ向かったDキッズ一行。
その先でレックスとマルムは石版を、オウガは謎のカードを、リュウタはその両方を手に入れる。
石版を使いリュウタはトリケラトプスを召喚することに成功し、「ガブ」と名付けて一緒に生活することにする。
だがオウガのティラノサウルスのカードは、どうやっても召喚させることができず、彼は落ち込んでしまう。
翌日海浜公園にて集まっていたDキッズ達は突如として赤いティラノサウルスの襲撃を受ける。
リュウタは古代博士が持ってきた「ディノホルダー」でガブを成体にし、赤いティラノサウルスと戦うものの、力及ばず一方的に攻撃を受けてしまう。
状況を打開するためオウガはペンダントの琥珀…もとい「ジュラシック・アンバー」を契約を交わし、恐竜を呼び出す権限を得たのであった。
オウガが呼び出したティラノサウルス・レックスは圧倒的な戦闘力を以て赤いティラノをダウンに追い込むものの、何故かオウガ達にも攻撃を仕掛けてこようとする。
赤いティラノを操っていたアクト団を退け、オウガのティラノサウルスもカードに戻したところで、古代博士が持ってきた翻訳機を通し、Dキッズ達は石版とティラノサウルスの声を聞き始めるのだった…。
前編
『助けて…私たちを助けて…』
「助けて、って言ってるぞ…」
「教えて下さい。あなたは誰なんですか?」
『助けて…私たちを助けて…』
レックスが声の主へ問いかけてみるものの、返ってくるのは同じ言葉ばかりである。
「同じ言葉を言ってる…」
「この言葉しか記録されていないのかしら…?」
一方、オウガはティラノサウルス・レックスからとんでもない言葉を聞かされていた。
『ユルさない…! 私をミセモノにし…所有物のように扱ったニンゲン共を…私はユルさない…!』
「…君は、どうしてそこまで人間を憎んでいるの? 良ければ、君の過去について聞かせてもらえないかな?」
『…! オマエ、私のコトバが…ワかるのか…!?』
「俺は覇轟オウガ。このジュラシック・アンバーと契約し、君と共に歩む道を選んだ人間だ。
どうか、君のことを…せめて君の名前を教えてくれないかな…?」
オウガがそう問いかけると、しばらくの沈黙の後、再びカードから声が聞こえてきた。
『私に…オマエたちニンゲンのようなナマエなどない…。そもそも名付けるようなオヤもいなかった。
だから、オマエの好きなようにヨぶがいい』
「そ、そうなのか…。
うーん…。それなら…キング…いや、牙王っていうのはどうかな?
ほら、ティラノサウルスといえば恐竜の王って印象があるし…」
『…言いワスれていたが、私はメスだ』
「ご、ごめん! 性別を考慮してなかった!
じゃあ…どうしようかな…」
そうして考えていると、天啓のようにある単語が浮かんできた。考えれば考えるほど、何故かこれしかないと思ってしまう。
「それじゃあ…『レクシィ』っていうのはどうかな?
俺の友達にレックスって名前のやつがいるんだけど、レックスの女性形はレクシィだって教えてもらったんだ。
君はガブと違って種小名の「レックス」まで表記されていたから、この方がいいんじゃないかなって…」
『…オマエも、私をそのナマエでヨぶのか』
「え? お前…も…?」
『いや、何でもない。そうヨびたければヨぶがいい。
…だがハジめに言っておく。私はあのトリケラトプスのようにニンゲンとナれアうつもりも、ココロをユルすつもりもない。
それだけはオボえておけ』
ティラノサウルス…改めレクシィはそう言ったきり、いくら呼びかけても応じてくれなくなってしまった。
必要以上の会話を彼とするつもりはないということなのだろうか。
(…そういえば、結局何故人間を憎んでいるのかについて、詳しいところまで教えてくれなかったな。
「見世物にされた」と言っていたし、もしかしたらさっき出てきたアクト団とかいう連中と何かしら因縁があったりするのだろうか…)
オウガはレクシィの真意を図りかね、しばらく考え込んでいた。
「リ…リュウタ…それに3人とも…一体何があったんだ…?」
「石版が…助けてって喋ってたんだ…」
「…?」
古代博士はまるで理解できていない様子だ。
やはり石版やレクシィの声は、Dキッズにしか聞くことができないものだったようだ。
その後、Dラボへ戻ってきたオウガ達は、それぞれがさっき聞いたことを古代博士に詳しく説明することにした。
「…なるほど。助けて…か」
「それが石版の伝えたい恐竜の声なんでしょうか?」
「うむ。助けてというからには…あのアクト団とかいう連中から守ってくれ、ということなのかもしれんな…」
「そうだよ! あいつらいきなり出てきたけど何者だったんだ?」
「とにかく分かっていることとして、奴らは赤いティラノサウルスを召喚してガブを襲わせた。そしてそのティラノサウルスも力尽きるとカードに戻った。これだけは確かだ」
「うーん…なんか謎ばっかりね…」
「謎が謎を呼ぶとはまさに今の状況だな…」
加えて、と古代博士は言うとオウガの方へ向き直った。
「それで、オウガ君はそのティラノサウルスの…」
「レクシィです」
「そう。そのレクシィの声を聞いたのだったね。
その会話で分かったこととしては、レクシィは人間を強く憎んでいるらしいこと。
以前何者かによって見世物にされていたらしいこと。
そして…ガブとは違って人間と仲良くするつもりはないということ。
それで間違いないね?」
「はい。確かに彼女はそう言っていました」
「だからさっきアタシ達にも襲いかかろうとしてきてたのね…」
「うむ…。どうやらレクシィは重篤な人間不信に陥ってしまっているようだ。
もしかしたら、それにもあのアクト団が関わっているかもしれないというのが、オウガくんの見立てだったね?」
「…少なくとも今の状況ではそう考えるしかないのかな、と」
「それに関しては私も概ね同意するよ。
とにかく今起きている事象に対して判断材料が少なすぎる。こればかりは地道に集めていくしかないだろう」
「…そういえばあのアクト団、赤いティラノサウルスを召喚していたからにはオレ達のように石版を持っているってことだよな?」
「確かに、そうなるね…」
リュウタとレックスがそう考察していると、リアスが上の階から降りてきた。
「あら博士。こちらにいらしたんですか」
「お姉ちゃん!」
「あなたの携帯電話にオーエン博士からの着信がありましたよ」
「パパから?」
リアスの言葉に思わずレックスが声を上げる。
このオーエン博士という人物は世界的な古生物学の権威で、レックスの父親なのである。
(改めて考えてみても、この三畳市に引っ越してできた友達のうち2人が世界的権威の古生物学者の親族ってそうそう起こり得ないよな…)
オウガは心の中でそう考えつつ、苦笑いを浮かべた。
「あっ! また置き忘れてたか。ハハハ…すまないねリアスくん」
呆れた様子のリアスからケータイ電話を受け取り、古代博士はいそいそと地球儀型の装置へ接続した。
するとすぐさま画面が変わり、オーエン博士の姿が表れる。
「これはこれはDr.オーエン! お久しぶりです!」
『やあ古代君! …恐竜ー大好きーっ!』
「恐竜仲間ーっ!」
「『化石探してどこまでも〜! ボクらは仲良し恐竜博士〜!』」
「『イエーイ!』」
突然歌って踊りだす大人2人をDキッズ達は遠巻きに見つめる。
その視線は、この世のものとは思えぬほど冷たい視線だった。
「なぁ、リュウタ。古代博士とオーエン博士はいつもこんなやり取りを挟んでるのか?」
オウガがこっそり声を潜めて尋ねると、リュウタは躊躇いがちに頷いた。
「父さん達は顔を合わせるといつもあのやり取りしてるんだ。
こういう電話ならまだしも、発掘現場で直接会った時もやってるから恥ずかしくて仕方ないよ…」
「それで先生、本日はどの様なご用件で?」
『君が昨日話していた恐竜カードのことなんだが…見つかったんだよ』
「「「「ええっ!?」」」」
思わずその場にいる全員が驚きの声を上げる。
『ワシは今、カナダのアルバータ州立恐竜公園に来ておるんじゃが、ここでリュウタ君とオウガ君が見つけたカードと非常によく似た恐竜カードが見つかったのだ。それも…2枚だ!』
そう言い、オーエン博士が2枚の恐竜カードを見せる。
1枚には「カルノタウルス」、もう1枚には「パラサウロロフス」と名前が書かれていた。
「カルノタウルス!」
「パラサウロロフスだわ!」
「カルノタウルスには風の紋章が…」
「パラサウロロフスの方は草だわ…」
しかも何とも都合がよいことに、2枚の恐竜カードはそれぞれレックスとマルムが持つ石版の紋章とピッタリ合っていたのだ。
『ん? おぉレックス! いたのか!』
「さっきからいたよ!」
『どうだ日本の生活は? なかなかいいものだろう?
それに日本食は美味いだろ? 特にワシは焼サンマの味が今でも忘れられなくてな…』
「パパ!そんな事より大至急そのカードを送って!」
『勿論そのつもりだ。
ワシもこれらを研究したいのはやまやまだが、いかんせんこっちには石版がないからな。
古代君、カードはそっちで役立ててくれたまえ!』
「師匠! ありがとうございます!」
オーエン博士の言葉を聞き、古代博士が深々と頭を下げる。
こうしてオーエン博士が見つけた恐竜カードは、すぐにDラボ宛てに送られる事となったのだった。
『レックス。せっかく日本に留学したんだ。よく勉強して、留学生活を楽しむんじゃぞ?』
「はい、パパ」
レックスがそう答えると、オーエン博士は満足げな様子で通信を切った。
「石版と同じ紋章のカードが来るって事は……」
「アタシ達のパートナーになる恐竜が来るって事ね!」
「そういう事だね」
「可愛い子だったら良いな〜♪」
自分達にもパートナーになる恐竜が出来る事に、レックスとマルムは喜ぶ。
そんな2人を見て、古代博士も我慢できずに叫び出した。
「うーん…羨ましいぞー! 私も恐竜のパートナーが欲しいのに!
何とかして出て来ないのかー!」
3人のディノホルダーを握っていろいろとやってみるも、何も反応はない。
そこへリアスが分厚い本を抱えて現れた。
「石版は最初に触れたリュウタ君達を選んだんです。博士はそうじゃないんですから諦めてください」
「それもそうか…。残念だ…」
リアスから血も涙もない一言をぶつけられ、古代博士はがっくりと肩を落とした。
そこでマルムはリアスが持ってきた分厚い本に気づいた。あの本にはどこか見覚えがある…。
「お姉ちゃん…それは?」
「これ? ディノホルダーのマニュアルよ」
「ディノホルダーって?」
「コレの事よ」
「いっ! いてててて!! ちょっと! 痛いよリアス君!?」
古代博士が持っているあの電子機器…ディノホルダーを博士の手を捻ってまでマルム達に見せ、リアスは説明を始めた。
「カードをスラッシュさせるだけじゃなくて石版とカードを納めるホルダーになってるでしょ? せっかく作ったんだから使い方をよーく読んでね」
「痛い痛い痛いっ! アーッ!!」
更に無理な体勢を取らされ、悲鳴を上げる古代博士を気にも留めずに澄ました表情で軽く説明すると、リアスはリュウタ達へマニュアルを投げ渡した。
「これ全部読むのー!?」
「当たり前でしょ」
分厚いマニュアルにマルムは露骨に嫌そうな表情を浮かべる。
だがその間にも早速レックスはマニュアルを手にとっていた。
「それから…オウガ君。君はその琥珀が石版の代わりになるようね。
あなたの分のディノホルダーも作りたいし、協力してもらっていいかしら?」
「あ、はい!…大丈夫ですか? 【
リアスに返事をしてから、それと同時にこっそり胸元のジュラシック・アンバーに話しかけてみる。
ややあってから、頭の中にあの声が響いてきた。
『もちろん、大丈夫じゃ。
どのみちこのままでは君も使いづらかろう。きちんとスキャン機構のついたデバイスを作ってもらえば、レクシィを…あそこでツンツン頭の子に噛みついているトリケラトプスのようにミニ化させて呼び出すこともできるからの。そうすれば彼女と触れ合い、多少は歩み寄ることもできるじゃろう』
「! そんなことも…ありがとうございます。
はい! リアスさん! お願いします!」
「決まりね。それじゃあこっちの研究室に来てちょうだい」
リアスとオウガが連れ立って研究室に向かうのを見送りながら、ようやくガブを引き離したリュウタが古代博士に話しかける。
「ところで父さん。
この間ガブ達や石版の事は誰にも内緒って言ってたけど、もしかしたら世界中の恐竜博士が知ってるんじゃ…」
「いや、そこは安心してくれ!
この事を知ってるのはここに居るみんなとオーエン博士だけだ。
博士は父さんの師匠のような人だからな! だから研究の協力を頼んだんだ!」
先程のダメージが無かったかことのように古代博士はそう言った。いつの間に回復したのだろうか。
「でも博士。他にもこのことを誰よりも知っている連中が居ますよ」
「…そうだ! アクト団だ!」
場所は変わってアクト団の基地『アジ島 』
命からがら帰ってきたウサラパ達の報告を受けたソーノイダは激怒していた。
「ぐぬぬぬ… 許さん! 許さんぞい!
なんで見知らぬガキがワシの技カードを持っておったのだぞい!」
「そんなこと言われても、ミー達にも分からないザンス〜…」
ソーノイダの怒りに晒され、ノラッティ〜が弱気な声でそう答える。
だが、意外にもソーノイダはすぐに落ち着きを取り戻した。どうやらそれより気になることがあるらしい。
「…まあそれは置いておくとしよう。恐竜カードと共に技カードも散らばってしまったのじゃからのう。そのガキが偶然拾ってしまったということは無きにしもあらずじゃぞい…。
だがこればかりは納得がいかん! どうしてワシが連れてきた覚えのない恐竜が現れたのじゃぞい!
しかもティラノサウルス! それも体色は灰褐色じゃと!?
そんなティラノサウルスのカードがあった覚えはないぞい!」
「ですからドクター。アタシ達も困惑していたところなんですのよ。ドクターなら何か知っていると思ったのですけど…」
「ひょっとすると…おれ達以外にもマシンでこの時代のこの世界へやってきた連中がいるってことなんスかねぇ?」
エドがポツリと呟いた独り言に、ソーノイダはピタリと動きを止めた。
「そんなことは…! ない…とは言い切れんぞい…。
どこかからマシンの設計図が漏れたりなぞすれば誰かがこの時代へやってくることも可能じゃろう。
…だがそやつらの目的は何ぞい? 何故恐竜を出現させるんじゃぞい?
ワシらがこの時代に恐竜カードをばら撒いてしまったのはあくまで事故…。再現性はないぞい。
もしかするとこの時代で恐竜を使い、何かしらの混乱を引き起こそうとしておるのかぞい…?」
ソーノイダはうんうんと悩み唸りながら研究室の中を行ったり来たりしている。
その間ウサラパ達は黙ってその様子を見つめていたが、しばらくしてからソーノイダが大声を張り上げたのに驚いて後様に倒れてしまった。
「えーい! 分からんことをとやかく考えていても仕方ないぞい!
取り敢えずこの疑問は置いておいて、新技カードの開発に取り掛かるぞい!」
「でもお爺ちゃん…これじゃエネルギーレベルが高すぎるよ」
「こんなありあわせの道具だけじゃ、カードの熟成までもたせられないわよ〜?」
ソーノイダがカードの材料として用意していたのは、虫やら某TCGのカードやら、これで本当に技カードができるのかというラインナップであった。
これにロト・ロア兄妹が呆れた様子を見せるが、当のソーノイダは全く意に介する様子がない。
流石にこれにはウサラパ達も困惑の声を上げる。
「これ、マジでヤバいッスよ…」
「やかましいぞい! 技カードの製作はわしの専売特許だぞい!
まぁ任せておけい! もうすぐ技カードの熟成は完了ぞい。コレさえ完成すれば、ティラノをコケにしてくれたガキ共を泣かせて黙らせることが出来るんじゃぞい!」
「おじい様、私たちお勉強の時間だからもう行くわね〜」
「俺も〜」
ソーノイダが自信満々で豪語するものの、ロトとロアは興味なさげに部屋から出て行ってしまった。
ちなみに先程までこの場にいたはずのノーピスも、いつの間にか姿を消している。
「あーっ! アタシ達も少し用事が…」
「そ、そうそう! すっかり忘れてたザーンス!」
「お、おれもッス…!」
ロト達に便乗し、ウサラパ達も抜き足差し足忍び足で研究室を出ていこうとする。
だが、それを見逃すソーノイダではなかった。
「どこに行くつもりじゃぞい?」
「「「ギクゥッ!?」」」
「持ち場を離れるんじゃないぞい!」
「「「はーい…」」」
が、結局バレて引き止められてしまった。
絶望の面持ちでソーノイダを見ていると、突如として技カード製造マシンが輝きだした。
「!キタキタ…! 北は南の反対ぞい!」
期待の面持ちで技カード製造マシンを見つめるソーノイダ。
技カード製造マシンはどんどん輝きを増していき、そして…!
ドガーーーーーン!!
大爆発を起こした。
技カード製造実験は失敗に終わり、研究室に居た四人は下着姿の黒焦げとなり、バッタリと倒れ込んでしまった。
そこへ爆発音を聞きつけやってきたのは…よりにもよってあのタルボーンヌであった。
「ドクター! 何ですかこの騒ぎは!」
「ゲッ!?」
「全く…お夕飯までに片付けてください! じゃないと今日のお夕飯は抜きにしますわよ!」
「トホホ…」
「ミー達まで貧乏くじ引かされたザンス…」
実験を失敗したばかりかその後始末までさせられることになり、がっくりと肩を落とすソーノイダ達なのだった。
一方その頃 エジプト 砂漠地帯
ここはエジプトのギザの大ピラミッド近く。その1つ、クフ王のピラミッドの足元に、卵型カプセルと水の紋章が刻まれた石版が落ちていた。
するとカプセルが割れ、中から出てきたスピノサウルスの恐竜カードが風に乗って近くの観光地へと流されていく。
そのままカードはファーストフード店に置かれてある屋外のテーブルの下に落ちた。
そして先程利用していた客がテーブルから立ち上がろうとした際、置かれていた紙コップにぶつかり、落としてしまった。
片付けもせずにその場を去る客だったが、紙コップからこぼれた水がカードにかかった…その瞬間!
カードは突如として青色の光を放ち、その中からスピノサウルスが現れたのだ!
突然現れた巨大恐竜を目の当たりにし、町の人々はパニックに陥ったのであった。
場所を戻して アクト団基地「アジ島」
何とか夕食の時間までに研究室の片付けを済ませることができたソーノイダ達は、他の団員達と共に夕食を食べていた。そのすぐ横では、ティラノも与えられたドライフードをボリボリと貪っている。
そんな時、ソーノイダのアクトホルダーが甲高い音を上げた。アクトサーチ機能に恐竜が引っかかったのだ。
「おっ! アクトサーチが反応したぞい!」
「ドクター! お行儀が悪いですよ!」
タルボーンヌが咎めるものの、ソーノイダはアクトサーチの画面に夢中である。
「何を言っとる! アクトサーチが反応したんじゃぞい! 飯など食っとる場合ではないぞい!
ウサラパ! ノラッティ〜! エド! 今すぐ捕獲に出撃ぞい!」
「「「は、はいーっ!」」」
「いけません!!」
すぐさまウサラパ達アクト団工作員を出撃させようとしたソーノイダだったが、タルボーンヌが雷のように轟く怒声で引き止めた。
「お食事を済ませなければ席を立つことは許しません!」
「は、はい…」
「それとドクター。お皿の下に隠したピーマンとシイタケも残さず食べて下さい」
「ゲゲッ! 気付かれておったのかぞい!
そ、それだけは勘弁してほしいぞい!」
「ダメです! さあ口をお開けなさい!」
「い、い、いやじゃーー!!」
ソーノイダがこの有り様であったので、結局アクト団工作員が出撃できたのはソーノイダが夕食を完食してからであった。
その頃 日本三畳市 古代家
アクト団と同じく、古代家もまた夕ごはんの最中であった。
そんな中レックスが隣の席の古代博士に声を潜めて話しかける。
「パパさん。あの2枚のカードは何時届くんですか?」
「師匠は海外特急便で送ったと言っていたから今夜中には届くと思うぞ。楽しみかい?」
「それはもちろんですよ!僕のパートナーになってくれるかもしれないんですから!」
レックスはカルノタウルスのカードが届くのを今か今かと待ち遠しくて仕方がないようである。
その話を聞いていた亜紀が首を傾げて聞く。
「あら、パートナーって?」
「あ…それはだな…いや〜、レックスも犬を飼うかもしれないんだ! なぁ、レックス!?」
「え、ええ…実は、そうなんです。はははは…」
「あら、犬が2匹になるの?
レックス君もちゃんとお世話しなきゃダメよ〜?」
「は、はい!」
古代博士は焦りながらもレックスも犬を飼うかもしれない、と誤魔化した。
家に犬がもう1匹増えるかもしれないというのに、世話さえするなら何も咎めるつもりはない亜紀であった。
そこで、ふとリュウタの皿に視線を移した亜紀は驚く。何故ならリュウタは、いつも残しているピーマンやニンジンを綺麗に平らげた様子だったからだ。
「ん? あらリュウタ。今日はピーマンもニンジンも残してないのね!」
「あ…ああ! 当然だろ? これからはどんどん出してよ! 全部食べるからさ!」
「まぁ、凄い!」
一見食べたように見せかけているが、実のところはそうではない。リュウタはただピーマンやニンジンをバレないように机の下へ落とし、ガブに食べさせただけだった。
その上で調子のいいことを言ってのけているのである。
その時、リュウタの持つケータイ電話に着信が入った。
「リュウタ、食事中よ?」
「うん、向こうで出てくるよ」
他のみんなに断りを入れ、リュウタは1度席から離れてから画面を確認すると、着信はオウガからだった。
こんな遅くにオウガが電話をかけてくるなんて珍しいな…そう思いつつ通話ボタンを押す。
「どうしたんだよオウガ。珍しいじゃん。こんな夜に電話かけてくるなんて」
『そんなこと言ってる場合じゃない!
リュウタ! 今すぐテレビをつけるんだ! チャンネルは6番、ニュース番組だ! 早く!』
ただならぬ気配に気圧されたリュウタはすぐに居間に戻り、テレビをつける。
すると画面には、スフィンクスを背景に吼えるスピノサウルスが映っていた!
「どうしたんだリュウタ!
そんなに慌てて…ってコレは! スピノサウルス!?」
『こちらは本日、エジプトのピラミッドで有名なギザに現れたという恐竜の映像です』
「なにィーッ!?」
「エジプトにスピノサウルスが!?」
エジプトにスピノサウルスが現れたというとんでもないニュースにリュウタやレックス、古代博士は驚愕した。
するとディノホルダーからも信号音が響き出す。確認すると、液晶画面にエジプト付近のマップが映し出されており、そこの1箇所が赤く点滅していた。
『皆さんもう一度ご覧下さい! これは本物の恐竜です!』
ニュースキャスターの声に合わせて映像が流れるが、スピノがカメラマンに気づいたのか大口を開けて襲いかかり、そこで映像は途切れた。
『い、一旦CMに入ります』
一度ニュース番組がCMに入ったところで、また電話からはオウガの声が聞こえてきた。
『見たか、リュウタ?』
「あ、あぁ。バッチリ見たぜ!
それじゃあ夕食が終わったらすぐDラボに集合だ!
レックスと父さんにもそう伝えとくぜ!」
『了解! それじゃあマルムには俺から連絡しておくよ!
じゃあまたDラボで!』
今回はここまでです。
感想・批評・アドバイスなど順次受け付けております。
第6話に登場させるJP・JW恐竜について考えています。以下の恐竜ならどれを登場させるのがよいか、または登場させてほしいか、是非皆様のお考えをお聞かせ下さい。
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ディロフォサウルス
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パラサウロロフス・ワルケリ
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スティギモロク(お助け恐竜)
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ディメトロドン(お助け恐竜)
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メトリアカントサウルス