古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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今回は後編になります。
少し諸用で忙しかったため、投稿が遅れてしまいました。
誠に申し訳ありません。
では、後編をお楽しみ下さい。




後編

その頃 三畳市 Dラボ

 

ようやくDラボに辿り着いたDキッズと古代博士達は、改めて恐竜の出現場所を確認していた。

 

「やっぱりニューヨークだ!」

 

「早く行こう!」

 

「「「「行ってきまーす!」」」」

 

Dキッズがそう口々に言い、テレポートを実行しようとした時だった。

いつの間にかディノホルダーやディノラウザーの画面が消えてしまっていたのである。

ソーノイダがティラノをしまったので、反応が途絶えてしまったのだ。

だがそんなことなど彼らが知るはずもなく、何故反応が途切れたのか困惑していた。

 

「あれ?どういうことだ?」

 

「さっきまで反応が出ていたはずなのに…」

 

リュウタやオウガが困惑した様子を見せる中、モニターに向き合っていたリアスも驚きの声を上げた。

 

「…消えたわ!恐竜の反応が!」

 

「恐竜が…消えた…?」

 

 

戻ってニューヨーク州 アメリカ自然史博物館

 

古代博士とオーエン博士からの通報を受け、博物館前に集結したパトカーから、警官が拡声器で呼びかけていた。

 

『犯人達に告ぐ!お前達は完全に包囲されている!もう逃げられないぞ!大人しく投降しろ!』

 

しかし、ソーノイダ達は動じない。それどころか、不敵な笑みすら浮かべている始末だった。

何故なら、彼らには警察など容易に蹴散らすことができる手段があるのだから。

 

「へッ、おととい来やがれ」

 

ソーノイダがそう呟くと、ウサラパ達に目配せをする。それに応え、ウサラパ達はアクトホルダーとカードを手に取った。

 

「「「アクトスラッーッシュ!」」」

 

グァギュオォォォッ!!!

 

「スピノサウルスザンス!」

 

ガアァァァァァッ!!!

 

「ティラノサウルスよぉ〜ん!」

 

グオォォォォ…!!!

 

「轟け!カスモサウルス!」

 

そして3体のアクト恐竜達が召喚され、パトカーへと突撃していく。

恐竜相手にはどうしようもない警察官達を追い立て、並べられたパトカーをティラノとスピノは踏み潰し、カスモサウルスは突き飛ばして道を開いていった。

 

「フハハハハ!思う存分そいつらを蹴散らしてやるぞい!」

 

順調に警察を蹴散らしていくアクト恐竜達だったが、調子に乗ったティラノがアクト団の小型飛行機まで踏み潰してしまった。

ティラノの足元で小型飛行機は、哀れコンパクターにかけられたかのようにペシャンコになってしまっている。

 

「ティラノ!それはやめなさい!」

 

「もう遅いよ…」

 

「何をやっとるぞい!」

 

「あれじゃもう飛べないッスよ…。ディノモンド強盗も追いかけられなくなっちゃったッス…」

 

「これじゃ追跡どころじゃないザンス!それにミー達、どうやって帰ればいいザンス?」

 

かくして、警察を退けることには成功したものの、帰りの手段を失って途方に暮れるアクト団なのであった…。

 

 

その頃 Dラボ

 

Dキッズの4人は、恐竜の反応が消失するという思わぬ事態で足止めを食うことになってしまっていた。

そんな中レックスは必死にオーエン博士に電話をかけているものの、応答する気配がない。

 

「…ダメだ!パパが出ない!」

 

「パパさん、酷いことされてないといいんだけど…」

 

「犯人の要求はあくまで琥珀だけだったから、博士が素直に取り引きに応じれば命だけは助かる可能性が高い…と思うよ」

 

「でも、もしレックスの父さんが強気な態度を崩さなかったら…」

 

Dキッズで色々と想像するうちに最悪の事態も浮かんできてしまい、段々と空気が重くなっていく中、リアスが確信に満ちた様子で言葉を発した。

 

「…やっぱり。さっき出現した恐竜は新しい恐竜じゃないわ」

 

「どういうこと?」

 

「この前の定期メンテナンスの時にディノホルダーとディノラウザーを改良したの。

これまでは新しい恐竜にしか反応しなかったけど、再出現した恐竜にも反応するように、ね」

 

「助けた恐竜と同じカードがあるってこと?」

 

「ええ。でももしかすると、アクト団の恐竜かも…」

 

そのリアスの言葉に、Dキッズは息を呑む。

オーエン博士を脅迫した強盗がアクト団だとすれば、ニューヨークに恐竜が出た理由も説明がつくからだ。

 

「だとしたら、パパは…!」

 

「大丈夫だレックス!師匠はアクト団なんかにやられる人じゃない!」

 

「だけど…!」

 

その時、ディノホルダーとディノラウザーが再び恐竜出現の通知音を響かせ始めた。

アクト団が警察を蹴散らすために召喚したアクト恐竜に反応したのだ。

 

「まただ!」

 

「今度は反応が消える前に行かないと!」

 

Dキッズは互いに頷き合うとテレポート台に乗り、ニューヨークへテレポートしていったのだった…。

 

 

ニューヨーク州 アメリカ自然史博物館

 

テレポートしてきたDキッズは、オーエン博士の研究室の中に降り立った。

 

「見たところ部屋はあまり荒らされてないみたいだね」

 

「でも…あれ…」

 

マルムが指さす先では、覆面男にど真ん中を撃ち抜かれたモニターがあった。

まだそこからは煙が上がっている。

そして、そのすぐ側にオーエン博士の姿もあった。

 

「おお!レックス!それにお友達も来てくれたのか!」

 

「パパ!パパ大丈夫!?」

 

すぐさまレックスがオーエン博士のもとへ駆け寄っていく。

 

「レックス!わしは大丈夫じゃ!それより…」

 

その間、オウガはレクシィやアメジストと共に周囲の様子を見ていた。

するとレクシィが大きな足跡の前で立ち止まり、じっくりと匂いを嗅ぐ。

 

『…オウガ。この匂いはあの赤い同族のものだ。やはりあのニンゲン共がここに来ていたようだな』

 

「なるほど…やっぱりここに押しかけてきたのはアクト団で間違いなさそうだね」

 

「ちくしょう!レックスの父さんを拳銃だけじゃなく恐竜まで出して脅迫するなんて…アクト団の奴ら許せねぇ!」

 

「…あぁっ!」

 

その時、マルムがディプロドクスの骨格標本に駆け寄ると、その下に落ちていた1枚のカードを拾い上げた。

気になったリュウタが横から覗き込む。

 

「それは?」

 

「ディプロドクスのカードがあるけど、技カードみたい。それに…草の紋章だわ!パラパラ!」

 

『コォーン!』

 

「なぬっ!?ディプロドクスの化石から、その本人のカードが出たのか!

なんという因縁じゃ…」

 

「博士!それでアクト団は!?」

 

「琥珀がないと聞くや否や、すぐに外へ出ていったぞ!しかも恐竜を召喚して、表に来ていた警察を蹴散らしてしまって…」

 

「えっ?オーエン博士、琥珀を盗んだのはアクト団じゃないんですか?」

 

「あ、あぁ。彼らの前にやってきた黒ずくめの覆面男達に奪われてしまったのだ!

…そうだ!こうしてはおれん!早くそいつらの事を警察にも伝えなければ!レックス!そしてお友達のみんなも付いてきてくれ!」

 

そう言って足早に研究室を出ていくオーエン博士を追いかけながら、Dキッズは情報を整理する。

 

「どういうことなんだ…?パパから琥珀を奪っていったのはアクト団じゃなかったのか?」

 

「どうやらそうみたいね。アクト団も狙ってはいたけど、出遅れたって感じなのかも」

 

「でも…じゃあ琥珀を奪っていった、あの覆面連中は一体誰なんだ?」

 

「…もしかすると、今回の件は『Sin-D』の連中も絡んでるのかもしれないね…。

あいつらはジュラシック・アンバーを狙ってるみたいだから、それであの琥珀が何か関係あると見て強奪しようとしたのかも…」

 

 

その少し後 自然史博物館前

 

踏み潰されたり横転したパトカーを前に右往左往している警察官達のところへ、1台の長く黄色いオープンカーが横付けした。

その車にはオーエン博士に加え、Dキッズの4人も乗っている。

 

「ちょっとすみません。恐竜を連れた1団がここにいたと思うのですが、奴らはどこへ行きました?」

 

「は、はい!彼らはパトカーを奪い、このマンハッタン通りを南へ…エンパイア・ステート・ビル方面に向かって逃走中です!」

 

「よーし、逃さんぞーっ!」

 

「「「「うわあぁぁぁぁ!?」」」」

 

警官からアクト団の向かった方面を聞いたオーエン博士は勢いよくアクセルを踏み込み、車を急加速させた。

日本では到底味わうことがないであろうスピードに、Dキッズも驚きっぱなしである。

 

「は、博士ぇ!スピード出し過ぎじゃないんですかぁ!?」

 

「大丈夫じゃ!こう見えても昔はギャルを横に乗せて、スピードを出しまくったもんじゃあ!」

 

「オーエン博士!そんなことしてて今まで切符切られなかったんですか!?」

 

「ハッハッハ!切符なんぞ何回切られたか分からんわい!

わしの博士仲間には速度超過で車を没収された挙げ句、返還の条件として社会奉仕を命じられた奴もおったしのう!」

 

「あう…レックス、あんたのパパ、こんなのだったの…?」

 

「ま、まあね…」

 

そんな話をしながらもオーエン博士は全くスピードを緩めることなく車を走らせ続けたのだった…。

 

 

その頃 マンハッタン通り

 

パトカーを拝借して逃亡したソーノイダ達アクト団は、ティラノ達アクト恐竜と共にディノモンドを盗んだ連中を追っていた。

後部座席ではエドがノートパソコンに向かい合い、その横からロトとソーノイダが覗いていた。

どうやら警察の監視カメラをハッキングし、博物館の前に停まっていたあのリムジンを探し出そうとしているらしい。

 

「どう?エド。監視カメラへのハッキングであのリムジンを探すことはできそう?」

 

「ロトが番号を控えてくれていたお陰で何とか探し出せそうッス!

…あっ!見つけたッス!」

 

エドがハッキングした監視カメラからニューヨーク中のありとあらゆる場所を観察していると、ロトのメモに一致するリムジンが見つかった。

拡大すると、後部座席の男がディノモンドの入ったケースを抱えているところまで確認できる。

 

「よくやったぞいエド!それで、そいつらは今どこにおるのだぞい?」

 

「あいつらはマンハッタン通りの…おれ達のずっと前を走ってるッス!」

 

「場所さえ分かればこっちのもんぞい!ノーピスにも迎えを寄越すよう連絡したからのう…。

あとはディノモンドをその連中から奪い、さっさと帰ってしまえば万事解決ぞい!」

 

そして順調にパトカーを走らせていたアクト団だったが、そんな彼らの前に立ちはだかったのは…渋滞だった。

 

「ん?どうしたぞいノラッティ〜?早く先を急がんか」

 

「渋滞ザンスよ。このままじゃ動けないザンス」

 

「渋滞じゃと?なんじゃそんなことで…」

 

そう呟くとソーノイダは窓を開け、ティラノへ呼びかけた。

 

「ティラノー!止まっとらんと前へ進まんかーっ!」

 

ソーノイダからそう檄を飛ばされたティラノ達は、躊躇わずに前へと進むと、渋滞で立ち往生している車を踏み潰しながら先へと進んでいくではないか。

これでは恐竜は先へ行けてもパトカーを動かすことはできない。

 

「こりゃダメザンス!」

 

「えぇーい、こうなれば…」

 

結局ソーノイダ達はパトカーを乗り捨て、駆け足で車の間を縫うように先へ進んでいくのだった。

そしてそこへ、Dキッズを乗せたオーエン博士の車も追いついてくる。

 

「いたぞ!あそこだ!」

 

「でもこれじゃあ進めないわ…」

 

「恐竜に車を踏み潰させて強行突破するなんて…」

 

「心配いらん!」

 

そう断言するとオーエン博士はボタンを押した。

すると車輪部分を残して車体が高く持ち上げられたではないか。とんでもない技術である。

そしてそのまま車は、踏み潰された車の間をうまくすり抜けながら先へ進んでいく。

 

「うわあっ!なっ、何だぁっ!?」

 

「どうだ!参ったか!」

 

誰に言うでもなくそう言うと、オーエン博士は高らかに笑ったのであった…。

 

 

一方ソーノイダ達アクト団は、大型トレーラーに乗り換えてアクト恐竜達を荷台に載せると、引き続き件のリムジンを追いかけていた。

 

「ええいエド!連中は今どこにいるのだぞい!」

 

「えーっと…あっ!あいつら車を乗り捨てて…船に乗り込んでいくッス!多分リバティ島に向かう気なんスよ!」

 

「リバティ島…?リバティ島ってどこなのよエド〜?」

 

「あの自由の女神像が立ってるところッスよ。

ほら、ここからでも見えるッスよね?」

 

エドのその声にソーノイダ達が窓の外を見ると、なるほど少し離れた島に巨大な女性の像がそそり立っているのが見える。

 

「へぇ~、あれが自由の女神なんだ。教科書で何度も見たことはあったけど、実物は初めてだなぁ」

 

「よし!ノラッティ〜!ワシらは今からそのリバティ島とやらに向かうぞい!

目印は、あのソフトクリームを持った女の像じゃぞい!そうじゃ、ノーピスにもそこを目印に迎えに来るように言っておかねば…」

 

「だから自由の女神像ッスのに…」

 

呆れたようにそう呟くエドの言葉に、苦笑いを浮かべながらノラッティ〜も応対した。

 

「まあ、その方がノーピスも分かりやすいザンしょ…。

あーっ!ガキンチョ共が来たザンス!」

 

そしてサイドミラーを覗き込んだ彼が、後ろから迫ってくるオーエン博士の車を見て大声を張り上げる。やはり大型トレーラーではスピードで勝てなかったらしい。

 

「待てーっ!逃さんぞーっ!」

 

「あいつら何をする気だ!」

 

「この先は海のはずなのに…どういうつもりなんだ?」

 

そう。この道の先には海しかないのだ。

このまま進んだら海の底へ真っ逆さまだというのに、アクト団の乗るトレーラーはスピードを緩める気配がない。

そのままトレーラーは勢いよく空中へ飛び出すと…波止場に停まっていたリバティ島行きの連絡船に着地した。

それと共に船も出港していく。

 

「ハハハーッ!見たか!お尻ペンペンポンピリプーッ!」

 

すっかり勝ち誇った様子のソーノイダは、窓から尻を突き出してDキッズを挑発している。

その誂い方はまさしく幼児のそれであり、とても齢を重ねた人間の振る舞いには見えない。

当然ながら、その姿に他のアクト団は呆れ気味である。

 

「お爺ちゃん…そんなことしてないでディノモンドの窃盗犯を探そうよ。さっきエドが見てた映像によれば、連中はこの船に乗ってるみたいなんだからさ」

 

「な、何っ!?それを早く言わんか!

ウサラパ!エド!ノラッティ〜!お前達はこの船の中を徹底的に捜索しろ!怪しい奴らを見かけたらすぐにとっ捕まえるのじゃぞい!」

 

「分かりましたわ!…でも、ドクターとロトは?」

 

「ワシらはここでティラノ達の様子を見ておるぞい。さあっ!早く行ってこんか!」

 

「「「ヘイヘイホーッ!」」」

 

 

一方、陸地に取り残されたDキッズは悔しさを顕にしていた。

 

「まさか連絡船に飛び乗るなんて…。

流石にオーエン博士の車は水上までは走れませんよね?」

 

「そりゃそうじゃ。そんなことを想定しておらんからのう」

 

「くそっ!ここまでかよ…」

 

「いや!悔しがるのはまだ早い!とうっ!」

 

そう言うとオーエン博士は車を降り、Dキッズの静止の声も聞かずに海へと飛び込んでしまった。

しかし水音が聞こえなかったことを訝しんだ4人が飛び込んだ先を覗き込むと、そこには1艘のクルーザーが停まっており、そこにオーエン博士の姿があった。

どうやらこれもオーエン博士の所有物であるらしい。

 

「何をしとる!早く降りてこんか!」

 

オーエン博士から船に飛び乗るように促され、Dキッズの4人も次々と飛び降りていく。

そして全員乗ったことを確認したオーエン博士は、クルーザーを発進させた。

みるみるうちにクルーザーはリバティ島へと近づいていき、そこの桟橋には先程の連絡船も停まっているのが見える。

 

「よーし、追いついたぞ!」

 

「レックスのパパって…モーレツ…」

 

「何それ?」

 

「俺もそんな言葉聞いたことないよ…」

 

そしてリバティ島へ上陸したオーエン博士とDキッズであったが、そんな彼らの前に立ちはだかったのはティラノをはじめとしたアクト恐竜達であった。

ティラノサウルスに加え、スピノサウルスとカスモサウルスが並び立つ様を至近距離で見たオーエン博士は大興奮してきる様子である。

 

「おおおおっ!ビューティフルぅ!」

 

しかし、Dキッズは既に臨戦態勢に入っていた。

すぐさま各々のパートナー恐竜に呼びかけ、カードへと戻した。

 

「ガブ!イナズマ!」

 

「エース!アイン!」

 

「パラパラ!」

 

「レクシィ!アメジスト!」

 

「「「「頼んだぞ!」」」」

 

一斉に4人はそう叫ぶと、各々のディノホルダーやディノラウザーに恐竜カードをスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ!轟け!トリケラトプス!スティラコサウルス!」

 

ゴオォォォォォ!!!

 

ギュオォォォォォ!!!

 

「ディノスラーッシュ!吹き抜けろ!カルノタウルス!アロサウルス!」

 

グォォォォォォン!!!

 

グゥガアァァァァ!!!

 

「ディノスラーッシュ!芽生えよ!パラサウロロフス!」

 

キュオォォォン!!!

 

「ディノスラーッシュ!

燃え上がれ!ティラノサウルス・レックス!

揺るがせ!ステゴサウルス!」

 

ゴガアァァァァァッ!!!

 

ケエェェェェ…!!!

 

Dキッズのパートナー恐竜達が成体化して降り立ち、アクト恐竜達と向かい合うと、周囲の風景もバトルフィールドに変化していく。

 

「うおぉぉぉぉ!トレビーック!ワンダフォーッ!」

 

計10体もの恐竜が揃い踏みの光景を見たオーエン博士は、歓喜の雄叫びを上げたのだった…。

 

 

その頃、リバティ島の別の地点に停められた1台のジェットヘリの中では、ジェイソンと数人の部下が待機していた。

 

「そろそろ予定時刻のはずだが…まだ来ねぇのか」

 

その時、彼の通信端末が着信を知らせた。すぐさま彼は端末を手に取り、通話ボタンを押す。

 

「おれだ。手筈はどうなってる?」

 

『ジェイソン様。只今無事琥珀を回収し、合流地点であるリバティー島に到着しました。

しかし…どうやらアクト団の連中もこの琥珀を狙っていたようです。奴ら、ここまで追いかけてきました』

 

「ほう、それはそれは…随分めんどくせぇことになってるじゃねぇか」

 

その時、周囲がバトルフィールドに変わっていくのをジェイソンも目撃した。

 

『おまけにあのDキッズとかいう子供が恐竜を召喚し、アクト団の恐竜と交戦しているためこの場から動くことができません。

つきましてはあの恐竜を放ってもよろしいでしょうか?』

 

「まあ、作戦遂行のためならやむなしといったところだろうな。いいぞ。おれが許可する。

だが覚えておけ。そのカードは特定のエレメントに触れさせないと実体化させることができない。

だからその周辺なら…噴水にでも投げ込んでおけば丁度いいだろう」

 

『了解致しました。それでは早速…』

 

そこで通信が切れた端末をしまい込むと、ジェイソンは窓の外へと目を向けた。

窓に反射した彼の表情は、どこか愉悦を感じさせるものであった…。

 

 

戻ってDキッズ達の恐竜は、2、3体ほどに分かれてアクト恐竜と戦っていた。

ティラノとエース&アインが互いの噛みつきを躱しあい、ガブ&イナズマはカスモサウルスと角を突き合わせ、スピノはレクシィとアメジスト、パラパラの3体から追い回されている。

戦局は明らかにDキッズ側が有利であった。

 

「一度にこんなに恐竜が見られるなんて…生きてて良かった…!」

 

恐竜だらけの光景を目にして感極まり、涙まで流すオーエン博士だったが、ふとその視線が別のところに止まる。

彼の視線の先には、急ぎ足で自由の女神像の方へ走っていくアクト団の姿があった。

 

「あやつら…!待てーっ!」

 

そして、彼らを追って駆け出していってしまった。

これに慌てたのはレックスである。

 

「あっ、パパ!…悪いリュウタ!ここは頼む!」

 

「あっ…おい!」

 

そしてレックスもまたオーエン博士を追ってその場を後にしてしまった。

 

「リュウタ!どうしたの?」

 

「レックスがオーエン博士を追って行っちゃったんだ!エースとアインへの指示はどうするつもりなんだよ…」

 

「取り敢えず、エースとアインにはアメジストをカバーに向かわせるよ。

幸い指示ができないのは向こうも一緒みたいだから、早い内に技カードでとどめを…」

 

その時、近くの広場から悲鳴が響いてきた。オウガとリュウタがそちらを見ると、広場からこちらの方へ1体の肉食恐竜が駆けてくるではないか。

そしてその肉食恐竜はDキッズの恐竜とアクト恐竜の戦闘の中へと飛び込んでいった。

 

「な、何だあいつら!?」

 

「ワニのような大顎に前腕部の鋭い鉤爪…あれはモナコでも見たスコミムスだ!

でも、微妙に姿が違うし、そもそもどうしてこんなところに…?」

 

そこへ現れたのは、スコミムス・テネレンシス。

彼らは知る由もないが、『Sin-D』の構成員が放った恐竜がこれなのである。

 

 

一方、自由の女神像に登っていたアクト団達は、行き止まりで立ち往生していた。

 

「ありゃー?ソフトクリームはもっと上だったぞいかー?」

 

「ドクター…もうここでいいじゃないですか…。

ここからでも周りを見渡すには十分ですよぉ…」

 

「ボクももうクタクタだよ…」

 

「そうザンスよ…」

 

「ワシはあの上に行きたいのだぞい!」

 

「上に行くのは疲れるッスよ…」

 

どうやら船内で強盗犯を押さえることができなかったようで、高いところから探す作戦に切り替えたようだ。

しかしいつの間にやら高いところから探すのではなく高いところに登ることが目的になってしまっていた。

バカと煙は高いところが好きとはよく言ったものである。

そして、そんなことをしている内にオーエン博士も追いついてきてしまった。

 

「ようやく追いついたぞ!」

 

「お前は!」

 

「パパ!」

 

「む、レックス!来てくれたのか!」

 

更にそこへレックスも到着する。

この言葉にはソーノイダ達も驚く。目の前のオーエン博士がレックスの父親だということは彼らには初耳のことだったからだ。

 

「パパぁ?」

 

「アンタ、そのガキンチョの父親だったの?」

 

「…そうじゃ。レックス。今からお前にママを与えてやるぞ」

 

「はあ?」

 

何が何やらさっぱり理解できていなさそうなウサラパに、オーエン博士が歩み寄っていく。

 

「な、何よ一体…」

 

慌てた様子を見せるウサラパにオーエン博士は傅き、リングケースに収まった指輪を差し出した。

 

「わしと結婚してくれ!」

 

「えぇーーーっ!?」

 

「「「「何ぃーーっ!?」」」」

 

「パパ!?もしかして…それが目的で?」

 

なんと、ここまでオーエン博士が必死にアクト団を追ってきたのはディノモンドの行方を探るためではなく、一目惚れしたウサラパに求婚するためだったのだという。

とんでもない行動力の化身であった。

そして、結婚…結婚…とうわ言のように呟くウサラパに、オーエン博士はまた向き直った。

 

「そうじゃ。あんたに求婚するために、こうしてここまで追ってきたんじゃ!」

 

「そそそ…そんなこと言われても…」

 

「ダメザンス!そもそもウサラパ様はお前みたいなジイさんと結婚するわけないザンス!」

 

「それには同意だね。いっつもイケメンから求婚されないかなーとか戯言呟いてるし、お爺さんなんか眼中にないでしょ」

 

「そうッスよ。ウサラパ様には似合わないッス」

 

オーエンなどという初老近くもいいところの男などウサラパは相手にしないというように、ノラッティ〜達は確信しているようだ。

しかし、ウサラパの口からは思いがけない言葉が飛び出した。

 

「…アンタ達。アタシの意思を無視するんじゃないよ」

 

「「えっ!?ウサラパ様!?」」

 

「仮にも直接プロポーズしてくれたんだよ。邪険にしちゃ、悪いじゃないか…」

 

意外にもウサラパはこの求婚に乗り気なようだった。

実はオーエン博士のような男性が好みだったりするのだろうか。

 

「ウサラパったら相手の雰囲気に飲み込まれて我を見失っちゃってるんじゃない?」

 

「そ、そうぞい!そうに決まっとるぞい!

おいウサラパッチリ目を覚ませ!」

 

「ハッ!?」

 

そこでウサラパが我に返ったかのように飛び上がった。

どうやら半分ムードに飲まれていたようである。

 

「じいさん、ふざけるんじゃないわよ。こんな時に何言ってんのよ…その気になっちゃったじゃない…」

 

「「「えーっ!?」」」

 

「そ、その気になったぁ!?」

 

「へ〜ぇ。これはちょっと面白くなってきたかも」

 

いや、そういう訳でもなさそうだ。オーエン博士の熱烈なプロポーズに、ウサラパはすっかり絆されてしまったのだろうか。

 

「パパ!巨大琥珀はどうするの!?」

 

「う…うん。まあそれは後で追跡してもらうとして…もし彼らが欲しいなら正規の手続きを介してからならばさしあげてもいいと思っとってな…」

 

「こいつ、相当なおとぼけ野郎ぞい!」

 

「似たようなとこあるッスけどね…」

 

「誰がぞい!?」

 

うっかり口を滑らせたエドにソーノイダが掴みかかって追及しようとした…その時。

バラバラバラとローターが回転する音が聞こえたかと思うと、少し離れたところから飛び立つジェットヘリの姿が見えたのである。

 

「あのジェットヘリ…確か『Sin-D』の!」

 

「ど、どういうことぞい!?まさかワシらより先にディノモンドを盗んだのは奴らだったのかぞい!?」

 

「…やっぱり、どこか一物抱えてるなと思ってたよ」

 

各々が驚く中、ジェットヘリは素早くその場を去っていったのだった…。

 

「おのれカロリディー!よくもワシらを裏切りおったな!」

 

「どうなんスかねぇ?もしかしたらこっちの事情を知らない可能性も…」

 

エドが言いかけたその時、今度は下から恐竜達の悲鳴が聞こえてきた。

それを聞きつけたアクト団達が下を覗き込んでみると、その悲鳴は横倒しにされたアクト恐竜やスコミムスが発しているものだということに気がついた。

そして、彼らが対応できないうちにオウガ達は手に技カードを握り、ディノホルダーやディノラウザーにスキャンしていた。

 

「うおおお!『激力雷電(ギガライディーン)』!」

 

まずはリュウタが『激力雷電(ギガライディーン)』を発動すると、ガブとイナズマがそれぞれの角先へ電気エネルギーを収束させ、それを電撃として思い切り放つ。

合体した電撃は威力と範囲を拡大してアクト恐竜とスコミムスを包み込み、彼らを感電させてしまった。

 

「行くわよパラパラ!『朋巨大圧(ビッグフットアサルト)』!」

 

次はマルムが『朋巨大圧(ビッグフットアサルト)』を発動させると、パラパラが高く嘶きを上げる。

すると天上より雷と共に巨大な足が下りてきたかと思うと、ティラノ達アクト恐竜を纏めて踏み潰し、あっさりとカードへ戻してしまった。

そう。パラパラは全長30メートル強にもなる巨大竜脚類『ディプロドクス・ハロルム』を呼び出したのである。

 

「俺達も行くぞアメジスト!『大腕震撃(ブラキオクラッシャー)』!」

 

最後にオウガが『大腕震撃(ブラキオクラッシャー)』を発動させると、アメジストも高く嘶きを上げた。

するとアメジストの足元からブラキオサウルスが出現し、アメジストを背に乗せて全身を現す。

そしてブラキオサウルスは地面を踏み鳴らし、巻き起こした衝撃波でスコミムスを弾き飛ばしてしまった。

更にこの技はこれで終わりではない。

アメジストがブラキオサウルスの首を助走台にして宙へ飛び出すと、『土竜突撃(ビッグモールアタック)』のように回転しながらスコミムスに落下していったのだ。

そして思い切り激突して地面へと叩き埋めて、カードに戻してしまった。

アメジストとパラパラ、そして2体の巨大竜脚類が咆哮を轟かせる中、バトルフィールドも解除されていった。

すかさずオウガが駆け出していき、スコミムス・テネレンシスの恐竜カードを拾い上げた。

 

「よし、スコミムス保護完了!」

 

「やったな!オウガ!」

 

 

一方、アクト団はアクト恐竜達が全滅したことに大慌てのようである。

 

「いかん!ティラノ達が!」

 

「ありゃヤバいですねぇ…」

 

「いやーっ、こっちも来たザンス!」

 

そう言ってノラッティ〜が空を指さした先からは、彼らが呼んだ迎えの飛行機がやって来ていた。

飛行機は空中でホバリングするとハッチから5本のマジックハンドを伸ばし、ソーノイダ達を掴んで引き上げる。

更に伸びてきたもう1本は、地面に落ちたアクト恐竜達のカードを掴み取っていった。

しかし、これに黙っていられないのがオーエン博士である。彼は慌ててウサラパに呼びかけた。

 

「ま、待ってくれーっ!せめて指輪だけでもーっ!」

 

「いけませんわ。道ならぬ恋ですもの…いつか別の時代でお会いしたかったです…わ…」

 

どこの恋愛ドラマで見たのかというようなやり取りをした後、ソーノイダ達とカードを回収した飛行機は、あっという間に空の彼方へ消えていってしまった。

 

「ウサラパ…」

 

そう呟きながらがっくりと肩を落とすオーエン博士だったが、ウサラパに手を伸ばそうとするあまり展望デッキの手すりに乗っていたことに気が付かなかったようだ。

それを実感した瞬間慌ててしまったのが仇となり、オーエンはそこから落下してしまった…。

 

「おわーっ!?」

 

「パパ!」

 

が、すんでのところでレックスがオーエン博士の腕を掴み、落下を食い止めることに成功した。

しかし子供の力で大人を引き上げることはできない。次第に腕の痛みから、オーエン博士の体はずり落ち始めていた。

 

「れ、レックス!すまん…。誕生日にママをプレゼントしてやるつもりだったんじゃが…また失敗してしもうた…」

 

「何言ってんだよ…それよりも…」

 

しかし、遂にレックスの腕が限界を迎え、手を離してしまった。哀れオーエン博士はこのまま本懐を果たすことなく地面の染みになってしまうのだろうか…。

 

「レックス…ぅおわーっ!…ん?」

 

しかし、そうはならなかった。

パラパラが召喚したディプロドクス・ハロルムがオーエン博士を受け止めてくれたのである。

父親が無事だったことに、レックスも胸を撫で下ろす。

そして何とかオーエン博士の窮地を救うことができたオウガ達は、互いに微笑み合うのだった。

 

 

その後 アメリカ自然史博物館 エントランスホール

 

そして、それからアメリカ自然史博物館へと戻ってきたDキッズは、オーエン博士からレックスを見つけたという場所を見せてもらっていた。

そこは、あのバロサウルスの復元骨格の足元であった。

 

「そう…ここにレックスがいたのね…」

 

「そうじゃ。12年前の今日のことじゃ。

以来わしが父親代わりになってきたが、わしはずっと独身じゃったからレックスは母親を知らん。そのせいで寂しい思いをさせてしもうた…。

じゃからお前には家庭の温かさを知ってもらおうと、古代君のところへホームステイさせたんじゃ…」

 

「分かってるよ、パパ」

 

「なるほど、レックスはここでオーエン博士と会ったときから恐竜と一緒だったんだね」

 

「そうだよレックス!お前恐竜に守られてたんだな!」

 

「あぁ。だから今度は、僕が恐竜達を守ってあげなきゃって…あの石版の声を聞いた時に思ったんだよな」

 

そう言ってレックスは側にいたエースとアインの頭を撫でてやった。

2匹が気持ち良さげに目を細め、喜びの声を上げる。

と、そこでオーエン博士が思い出したかのように口を開いた。

 

「それにしても…お前に渡した『恐竜化石を発見しながら女の子にモテる100の方法』のChapter100には、恐竜の骨で作ったこの指輪でプロポーズすれば、成功確実だと書いてあったはずなんじゃがなぁ…」

 

その言葉に、Dキッズはがっくりと肩を落とす。

どうやら先程ウサラパを口説くのに使った方法は全てレックスに誕生日プレゼントとして送った恋愛指南本をもとにしていたようだった。

 

「まあいっか!それより、レックスの誕生日パーティーの続きをやろーっ!」

 

「えっ!?」

 

「そうだよ!まだ誕生日パーティーの途中だっただろ?早く帰ろうぜ!」

 

「そうねー。アタシ達のプレゼントへの反応もまだ貰ってないし!」

 

「料理もまだ一口も食べてなかったしね。俺もローストチキンを食べずに帰れないよ」

 

「…そうだな。じゃあパパ。また会いに来るよ」

 

「うむ。いつでも待っとるぞい」

 

その言葉と共にDキッズはテレポート機能を起動させ、オーエン博士に見送られながら帰路についたのであった…。

 

 

その後 アジ島

 

何とかアジ島へと帰り着いたソーノイダは、怒り心頭の様子であった。

 

「まったく、カロリディーの奴め!ワシらのマシン復活に必要不可欠なディノモンドを盗んでいくとは、なんたる連中ぞい!」

 

「だから多分向こうは知らなかったんだと思うんスけど…」

 

「うるさいぞい!どちらにせよ、奴らに問い合わせなければ気が収まらん!えーっと奴らの連絡先は…」

 

その時、タルボーンヌがソーノイダのもとへとやって来た。

 

「ドクター。お客様がいらしてますよ」

 

「客じゃと?今はそんなもんに取り合っとる暇はない!さっさと帰って…」

 

「それが私でもですか?Dr.ソーノイダ」

 

その声と共にタルボーンヌの背後から姿を現したのは、今話に上がっていたあのカロリディーであった。

 

「な…なななな…!お主!よくもぬけぬけとワシらの前に姿を現せたぞいな!?お主らのせいでワシは…!」

 

「そのことについて、この度は謝罪のためにこちらへ来た次第なのです」

 

そう言うと、カロリディーは深々と頭を下げた。

 

「ぞ…ぞい?」

 

「この度は私共の部下が命令を取り違え、あの琥珀を盗んできてしまったようなのです。

私が直接関与したことではないにせよ、これはトップである私の責任です。つきましては…」

 

そう言うとカロリディーはジュラルミンケースを取り出し、ソーノイダへと中身を見せた。

そこにはあのディノモンドが入っている。

 

「これを貴方がたに譲渡することで帳消しといたしたいのですが…いかがですか?」

 

「う…うむ。そ、そういうことなら…仕方ないぞい。

それじゃあ、これは貰っておくぞい」

 

「勿論どうぞ。これは貴方がたが持っておくべきものですから」

 

丁寧にディノモンドを受け取ったソーノイダは、飛び上がるように喜びながらその場を走り去っていったのだった。

 

「あぁっ!ドクター!お待ちになって!」

 

「待ってほしいザンス〜!」

 

その後に続いてその場を去っていくウサラパ達3人を、ロトはどこか冷めた目で見送っていたのだった…。

 

 

その後 ノーピスの研究室

 

「それで、君はあのカロリディーの態度をどう見た?」

 

「嘘つきだと断言できるね」

 

カロリディーが帰った後、ロトはノーピスの研究室で先程のやり取りについて話をしていた。

 

「だっておかしいじゃないか。トップのあいつが何も知らないなんて。

あいつらはディノモンドを間違えて盗んだんじゃない。盗んでみたはいいものの目的のものではなかったから捨てるついでにこっちに渡しただけなんだ」

 

「ほう…なかなかよく見ているな」

 

「なのにお爺ちゃんったらあっさり騙されて…ロアまであの人はいい人なのねーって言ってたよ。

みんなあいつに騙されてるんだ」

 

「だが君はそうじゃない。そうだろう?」

 

そう言うと、ノーピスはロトの前でしゃがみ込み、彼に視線を合わせた。

 

「君だけは、あのカロリディー率いる組織の真の顔について知っている。

つまり、ここの皆を助けることができるのは君だけなんだよ。勿論ドクターや…ロアも…」

 

「…ボクが…ボクだけが…?」

 

「そうだ。そうとなれば、君には更に恐竜を強くするための手段が必要だ。それも分かるだろう?」

 

「でもノーピス。今日はカスモサウルスを連れて行ったけど、ディプロドクスに踏み潰されてあっさり負けちゃったよ…」

 

「それはまだあのカスモサウルスが()()()を発揮できていないからだ。

その力を発揮するためには…この前君が持ち込んだあのスーパーアクトコントローラーの設計図や、この前バリバリ島で捕獲されたディロフォサウルスが必ず役に立つだろう」

 

ノーピスからそう聞いたロトは、しばらく考え込んだ後、力強く立ち上がる。

その目は、決意に満ちていた。

 

「…分かった。じゃあノーピス。君も協力してよ」

 

「勿論だ。共にアクト団の危機に立ち向かおうじゃないか」

 

そう言いながら、ノーピスはニヤリと笑みを浮かべるのであった…。

 

 




今回の恐竜解説!

「今回の担当は、俺、覇轟オウガだよ。
今回解説するのは、メガトンモンスター『ディプロドクス・ハロルム』。昔はセイスモサウルスと呼ばれていた巨大竜脚類だね。
名前の由来は、「2重の梁を持つ者」。ちなみにセイスモサウルスは「地震トカゲ」だよ。こっちは歩くだけで地震が起こりそうなほどの巨体からそう名付けられたらしいね。
本種の化石が発見されたのは、北アメリカのジュラ紀の地層から。この時代の地層からは他にもアロサウルスやステゴサウルスも見つかっているから、恐らくこういった恐竜と共に生活していたということなんじゃないのかな。
かつて世界最大の恐竜とされていただけあって、その全長は驚異の33メートル!でもその割に予測されている体重は重くても20トンほどではないかと考えられているんだ。それほど少しでも体にかかる負担を軽減するための軽量化が進んでいたということだね。
本種に限らずアパトサウルスやスーパーサウルスみたいな異様に長い首と尻尾を持つ竜脚類は、どうしてこんな姿に進化したんだと思う?
有力な説としては、その場から動かなくても広範囲の植物を食べられるように首を長く進化させて、その首とバランスを取るために尻尾も長く進化させたというものがあるんだ。橋と同じような原理だと言えるよね。
さて、前述のようにディプロドクス・ハロルムは元々セイスモサウルスという恐竜だったんだけど、元々ディプロドクスとはよく似ているとされていたんだ。
でも骨盤の形が微妙に違うということでそれが種の独立を保証する特徴だったんだけど…ただ同じ色の石がくっついていただけだったということでディプロドクスとの差別点を見いだせなくなり、統合されてしまった…ということなんだよね。
悲しいことではあるけど…恐竜の研究史ではこのようなことは決して珍しいことじゃないんだよ」


ということで、今回はここまでです。
前回の後書きで書いた通り、今作の『朋巨大圧』で呼び出される恐竜は、セイスモサウルスではなく、ディプロドクス・ハロルムでやっていきたいと考えております。
ロトはこれからしばらく研究のため出番が減ることになりそうですが、原作でも出演した『恐竜遊園地で大儲け!』にあたるエピソードには必ず出演します。
では、また次回第19話『地震!超絶!大腕!巨大恐竜大決戦!』でお会いしましょう!

※追記:今回の恐竜解説を追記しました。

※追記2:今作に登場したバリオニクス3体(グリム・リンボ・カオス)を、スコミムス1体に置き換えました。ここでこの3体を使ってしまうのは今後のことを考えても勿体ないと判断したためです。
このバリオニクス達には、ナイアガラで改めて登場してもらいたいと考えております。
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