古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ 作:バックベアード
リュウタの家でレックスの誕生日パーティーを開催することにしたDキッズ。
パーティーにはレックスの父であるオーエン博士もTV通話で参加していたのだが、突如として彼の研究室に覆面姿の強盗が乱入し、巨大琥珀ディノモンドを奪っていった。
更にアクト団の恐竜の反応も検知したことで、強盗の正体はアクト団であると判断したDキッズは、急ぎニューヨークへとテレポートした。
その先でオーエン博士と合流した彼らは犯人がアクト団ではないことに驚くものの、強盗の行方を追うためにアクト団を追跡することにする。
そしてアクト団を追ってリバティ島にやって来たところで待ち構えていたアクト恐竜達と戦うことになったのだが、その最中オーエン博士がアクト団を追っていってしまう。
実はオーエン博士はウサラパに一目惚れしていたらしく、彼女にプロポーズしてレックスの母親になってもらおうと目論んでいたのである。
意外と悪くない反応を返すウサラパだったが、迎えの飛行機が来たことで話は中断されてしまう。
結局オーエン博士はウサラパもディノモンドも手に入れることができなかったのであった…。
前編
ここは、アメリカ合衆国ジョージア州のとあるゴルフ場。
ここでは今全米女子オープンの試合が行われている最中なのだ。
早朝で霧がかかっているここのゴルフ場で、1人の少年がコース外の草むらを探っていた。どうやらコースアウトしたゴルフボールを手に入れようとしているらしい。
「みーっけ!…ん?」
目的のものを見つけた少年だったが、そのすぐ近くにボールではない何かが落ちているのを確認した。
彼の視線の先にあったものは、あの卵型カプセルであった…。
その頃 三畳市 Dラボ
「みんな!これ見て!」
この日、Dキッズとパートナー恐竜達は揃ってDラボに集まっていたのだが、パソコンに向かい合っていたレックスが突然声を張り上げた。
オウガ達が駆けつけてモニターを覗き込むと、そこにはスーパーサウルスのイラストが描かれたカードが表示されていたのだ。
「あれっ!?スーパーサウルスじゃん!」
「草の紋章もあるわ!」
「これは…技カードかな?何か別の恐竜を投げ上げているように見えるけど…」
「ねぇレックス。これってオークションに出されてるってことなの?」
「いや、ここは『物々交換ネット』っていうサイトだから、金銭のやり取りは送料くらいだね」
「物々交換?」
「うん。出品者が気に入ったものと交換してくれるシステムなんだ。だから『物々交換ネット』なんだよ。
でも…本物のカードだと思うか?」
「違うのか?」
「写真だけじゃ分からないだろ?」
レックスはどうもカードが本物かどうか判断しかねている様子であった。
しかし、そこでオウガが口を挟む。
「俺はそうでもないと思うけどね。俺達が持ってる技カードとレイアウトも同じだし、それを熟知してる人間なんてそういないはずだよ」
「そういや、原宿でお爺さんに譲ってもらったカードも全部本物だったもんなー…」
「いや、そういうことじゃなくて…交渉成立してもコピー品が送られてくる可能性だってあるだろ?」
「えっ?それってマジかよレックス!」
「でも、そういう場合はサイトの運営者に連絡すれば対応してくれるんじゃないかな?」
「うーん…それじゃあ、やるだけやってみようか…」
「でも、何となら交換してくれそうかしら?」
「恐竜が好きみたいだから…恐竜に関係するものがいいかもな!」
そんな時、スーパーサウルスのカードへの交換申請リストを覗き見ていたマルムが素っ頓狂な声を上げてモニターの1箇所を指さした。
「あれっ?それアクト団のマークじゃない?」
その指先にオウガ達も目を向けると、そこにあったのはアクト団のマークがついたオーバーオールだった。
「ぜったいおすすめ」「ファッショナブル」「大流行間違いなし」と書いてあるが、誰がどう見てもダサい以外の感想が出てこないような代物であった。
「なんだこりゃあ?」
「アクト団オーバーオール?」
「何なんだこのダサさを極めたような服…」
これにはDキッズも呆れざるを得ない状態であった。
その頃 アクト団基地 アジ島
「フハハハハハハ!」
ソーノイダがあのオーバーオールを来た状態で高笑いを上げているのを、ウサラパ達アクト団工作員の3人は苦々しげな表情で眺めていた。
どうやらあのオーバーオールで交換交渉をすると言い出したのはソーノイダのようである。
「あんな趣味の悪い服で大丈夫ザンスかね?」
「アクト団のマークも地に堕ちたッスね…」
「この泣く子も黙るアクト団オーバーオールならば、絶対に交換に応じてくれるはずぞい!」
ウサラパ達は皆微妙な反応をしているというのに、ソーノイダは全く気にしていない。余程オーバーオールの出来に自信があるようだ。
「う、うふふ…そうですわねぇ…」
「ザーンス…」
「もうあの『
再び高笑いを上げるソーノイダとは対照的に、ウサラパ達の表情は硬いままであった…。
その頃 ジョージア州 ゴルフ場
さて、そのアクト団オーバーオールを『
「ひっでぇ〜…これでも服かよ…。いーらねっ」
受けるはずもなく、交換申請を拒否していた。
残念でもなく当然の対応である。
「まったく…もっとマシなもの出てこないのかよ…」
そうボヤきながら携帯デバイスを弄っていた少年だったが、ふと何かに気づいたのか顔を上げた。
「あっ!スミレちゃんのTショット始まっちゃう〜!」
そう言いながら彼は立ち上がると、人混みの方へと駆け出していったのだった…。
その頃 三畳市 リュウタ宅
『いよいよ決勝ラウンドのスタートです。予選では調子を落としていた、優勝候補の三崎スミレ。どこまで巻き返しなるか…?』
リュウタ宅のリビングにあるテレビではちょうど全米女子オープンの中継が行われており、日本人選手の三崎スミレの決勝ラウンドが始まろうとしていた。
そして、テレビの前では古代博士が何やら妙なゴルフクラブを持っている。
そして、テレビの中の三崎スミレが大きくクラブを振りかぶったのと合わせてその手のクラブを振りかぶった…その時。
「父さん!」
「あっ!」
突然その場にリュウタが現れたことに驚き、古代博士がより高くクラブを振り上げてしまった。
すると鈍い音が響き、古代博士が恐る恐る上を見上げる…。
なんと、クラブの先端が天井に突き刺さってしまっていたのである。
「あぁ…しまった…」
「あーあ…」
何とか引き抜くことはできたものの、天井には決して小さくない穴ができてしまった。
亜紀に見つかれば怒られるどころでは済まないだろう。
「スミレちゃんの調子が悪いから、こっちのスイングまでおかしくなっちゃったよ…」
言い訳のようにそう呟く古代博士を尻目に、リュウタは何かを閃いた様子でクラブに飛びついた。
「ええっ!父さん!これちょうだい!」
「ええ?何でだ?」
「これと恐竜のカードを交換してもらうんだー!」
「はぁー?」
クラブを抱えたリュウタが去り際に言い残したリュウタの言葉の真意が分からず、古代博士は呆然と立ち尽くしていたのだった。
一方 アジ島
こちらでは、パソコンに向かい合っていたエドが、アクト団からの交換申請が却下されたことを確認したところだった。
「完全に拒否されたッスね…」
「何じゃと!?泣く子も黙るアクト団のオーバーオールが拒否されたじゃと!?」
ソーノイダは、彼自身が手掛けたオーバーオールの何が悪かったのか分からない様子である。
まずダサいということは理由にあるだろうが、それだけではないことを近くにいたロトが指摘した。
「お爺ちゃん、出品物の概要をよく読んでよ。
ほら、『交換品はゴルフグッズに限る』って書いてあるでしょ?」
「ゴルフグッズ…命…命ってやつぞいか?」
「…あっ、Dキッズが交換用のゴルフグッズをアップしてきてるッス」
「なぬっ!?」
「ガキンチョ達が?」
エドの言葉にソーノイダが画面を覗き込むと、そこには先程古代博士が使っていたゴルフクラブがあった。
「これって恐竜の化石じゃないザンスか?」
「『恐竜ドライバー』って書いてあるッス。これは難敵ッスねぇ…」
「ぬぐぐ…許さん!許さんぞい!まあーたワシらを邪魔しに現れおったのか!
こうなれば負けてはならんぞい!今すぐアジ島中からゴルフグッズをかき集めてくるのだぞい!」
相手がDキッズとなれば余計負けるわけにはいかない。
意地でも交換を成立させようとソーノイダが声高々にそう宣言したところで、ロアが至極冷静な口調で助言をしてきた。
「おじい様、そんなことをするより出品者と直接交渉したらどう?」
「直接ッスか?でも相手がどこにいるのかも分からないのにどうすれば…」
「ハッキング完了、っと」
「うっし!」
なんと、ロトがハッキングを行い、サイトに登録されていた出品者の個人情報を入手したようである。
子供ながらなんと恐ろしいことをやってのけるのだろうか。
「登録情報によると…出品者は、アメリカ合衆国ジョージア州のオーガスタ在住のトゥーイ。10歳の男の子だね」
「でかしたぞい!ロト!
となれば話は早いぞい!『
「「「ヘイヘイホー!!!」」」
ソーノイダからの指令を受け、ウサラパ達が出撃の準備に取り掛かる。なんと子供1人に対して大人3人で押しかけ、直談判をする心づもりのようだ。
あまりにも大人げない連中である。
そして上機嫌のソーノイダが部屋を出ていくのを見送ってから、ロトは席を立った。
「あら?お兄さま、どこへ行くの?」
「うん、
「そうなの…。分かったわ、お兄さま」
その頃 ジョージア州オーガスタのゴルフ場
『三崎スミレ選手の、第3打…』
この時、全米女子オープンの会場であるゴルフ場では、三崎スミレが第3打に入ろうとしていた。
彼女が思い切りゴルフクラブを振りかぶり、力強くショットする。
しかしゴルフボールは大きく弧を描きながらペナルティエリアである池に落下してしまった。
それと共に観客席から落胆の声が上がる。
『池に捕まってしまいました。スコアを伸ばすことができません』
その観客の中には、先程の少年…トゥーイもいた。
スミレが活躍できず、彼も悲しそうな表情を浮かべている。
「スミレちゃん…」
その時、彼が持っていた携帯型デバイスから着信音が鳴った。『物々交換サイト』の彼のアカウントにDMが届いたのだ。
「ん?なになに…。
『泣く子も黙る悪の秘密結社アクト団があなたのカードを狙っています。せこい手や汚い手を使う悪い奴らなので気をつけて』…何のこっちゃ?」
突然送られてきたDMだったが、内容の意味が分からず、トゥーイは首を傾げるのであった。
その頃 三畳市 リュウタ宅
「トゥーイから返信が来たぞ!」
この時、Dキッズはリュウタの家に集まり、4人の中では唯一専用のパソコンを持つレックスの力を借りてトゥーイとコンタクトを取ろうとしていた。
また、先ほどのメールは、リュウタからの強い要望のもと送られたものである。
そして今、トゥーイからの返信か来たのだった。
「向こうは何て!?」
「えっと…『泣く子も黙る秘密結社アクト団なんてこっちが泣かしてやるってーの』…だってさ」
「何だよ、生意気な奴だな…。こっちは心配してやってんのに!」
憤慨するリュウタに、オウガはため息をつきながら話しかけた。
「だから俺は反対だったんだよ。事情を知らない第三者にアクト団の話をして注意を促しても混乱させるだけだって。
もしこれで相手がこっちを妄想癖とかと勘違いして取り引きに支障が生じたらどうするのさ」
「うるせぇなぁ…。アクト団に先を越されちゃうかもしれないし、うまくいくかもしれなかったからやってみたんじゃんか!」
「でも、結局うまくいかなかったじゃない…。
それで、これからどうするの?アクト団に先を越されないようにするって言っても、アメリカまでは行けないし…」
「…このまま地道に物々交換していくしかないのかな…」
「そうするしかないかもしれないね。
取り敢えずあと1時間頑張ってみて、ダメだったら今日は解散にしようか。俺やマルムは家に帰らなくちゃいけないし」
「そうね…」
取り敢えずオウガの提案で、あと1時間はパソコンの前で待機することに決めたDキッズなのであった…。
その頃、地底深くを1台のキャタピラ車が進んでいた。
まるでジェットモ◯ラやモグ◯ンを彷彿とさせるような巨大ドリルを具えた車である。
そしてボディにはアクト団のマークもついている。
そう、これはアクト団の地底戦車なのであった。
「土の中は落ちたり沈んだりする心配がなくて快適ザンス〜!」
「そろそろオーガスタの街に到着ッス!」
「よぉーっし!張り切って上昇よ!」
ウサラパの号令と共に地底戦車は上昇し、地中から脱出した。
しかしそこは地上ではなくどこかの水中なのだが、車内にいるウサラパ達は気づいていないようで降りる準備を進めている。
「着いたッス!」
「ハッチ、オープン!」
「ザーンス!」
再び放たれたウサラパの号令と共にノラッティ〜がハンドルを操作してハッチを開くと、当然ながら車内へと水が流れ込んできた。
「「ぎょえぇぇぇぇっ!?」」
「何なのさーっ!?」
「洪水ザーンス!…ゴボボボボ…」
あっという間に車内が水で満たされ、溺れそうになった3人は急いで開いたハッチへと殺到した。
幸い掘ってきた穴から水は抜け切ったようで、溺死は避けられたようだ。
「ゴルフ場の池に出ちゃったみたいッスね…」
「海とかじゃなくてまだ良かったザンス…」
そう。彼らが出てきた場所はちょうど今トゥーイが来ているゴルフ場だったのである。
そしてゴルフ場の別の場所では、三崎スミレがパットに挑戦しているところだった。
慎重にボールを打ったものの、ボールは思い描いたような軌道を取らず、ホールインを逃してしまった。
観客達からまたしても落胆の声が上がる。
その客の中でもトゥーイはやはり一際悲しそうな顔をしている。
彼は周りの観客が移動した後も、しばらくそこに留まっていた。スミレの調子を改善する方法を何とか考えようとしていたのだ。
「あぁ…スミレちゃん…何とかしてあげないと…」
「こんにちはぁ♡トゥーイ君でしょ?」
その1人の彼に、声をかける者達がいた。『
「そうだけど…誰だよお前ら?」
「アタシ達は!」
「「泣く子も黙ーる!」」
「アクト団!?」
思わずトゥーイは彼らの名乗りの前に発言していた。リュウタが送ったDMの内容を思い出したのである。
しかし、自分達の組織を言い当てられたことにウサラパ達は歓喜していた。自分達の名が知れ渡ってきたと勘違いしたらしい。
「うわぁーっ!ミー達も有名になってきたザンスね!」
「時代がようやくアタシの美しさに追いついてきたのねぇ〜ん!フッフフフフフ…」
DMの返信では大口を叩いたトゥーイは何とか彼らから逃れようと後退りをするが、背後に素早くエドとノラッティ〜が回り込んだ。
やはりここから逃がすつもりはないようである。
「怖がらなくてもいいッスよ!」
「別に捕って食うわけじゃないザンス!」
「フフフ…アタシ達は君の持ってる恐竜カードを譲ってほしいだけなのよ〜…」
「だったらネットで交渉してよ!」
「それが、終了まで待てないのよぉ…」
「だから直接持ってきたザンスよ!」
そう言うとノラッティ〜はゴルフクラブを取り出した。マゼンタと紫といういかにもアクト団らしい配色である。まず欲しがる人間は限られる代物であった。
「これは今人気のアクト団ゴルフクラブ!傘にもなるザンス!」
「今ならアクト団手拭いも付けちゃうッス!」
「いらないよ。そんなダサいもの」
「…やっぱし?」
ノラッティ〜とエドのプレゼンを、トゥーイはあっさりと一蹴した。だがアクト団の2人もデザインがダサいということは同感のようである。
そこで、ウサラパ達は攻め手を変えることにした。
「じゃあ、一体どんなものが欲しいの?坊や?」
「遠慮せずに言ってみるッス!」
「ザーンス!」
「カードのためなら、何でも手に入れてきてあげるわよ?」
「ん?何でも…?そんなにあのカードが欲しいのか?」
「そぉよぉ〜!アタシ達にとって、とってもとっても大切なものなの!」
「ふ〜ん…じゃあ、スミレちゃんのキッスが欲しい!」
「「「えーーーっ!?」」」
トゥーイの口から飛び出した要望に、ウサラパ達は思わず赤面した。どうやらウサラパだけでなくノラッティ〜とエドも意外と初心なようである。
「もう…まったく、マセたガキだねぇ…。分かったわ」
ウサラパはその要望を了承し、そして…。
「チュ〜〜〜〜〜〜ッ…」
何故かウサラパが彼にキスをしようと迫っていった。
一体何を勘違いしたのだろうか。
しかしオーエン博士ならばまだしも、相手は子供のトゥーイである。
当然彼は激しく抵抗した。
「違うって!スミレちゃんのキッスだってばぁ!」
「えっ?」
その言葉で我に返ったウサラパはすぐさま飛び退き、何故か逆ギレしだした。
「ぬわーんですってぇ!?アタシのファーストキッスを断るなんて、そんな失礼ぶっこいちゃう奴はお仕置きよぉっ!イーッ!」
そう言ってトゥーイに殴りかかろうとするウサラパを、エドとノラッティ〜はすぐさま取り押さえた。
「ウサラパ様、ファーストキスまだだったんスか?」
「えっ…?アタシそんなこと言った?」
「自分で言ったザンスよ。それに相手はまだガキンチョザンス。きっとウサラパ様のオトナな魅力が分からないザンスよ」
「そっ…そうよね…?」
「じゃ、じゃあオレ行かなきゃ…」
顔色が赤くなったり青くなったりと忙しいウサラパを放置し、トゥーイは戻ろうとしたのだが…そんな彼を、ウサラパが呼び止めた。
「お待ち!…君にいいもの見せてあげる!」
「え?」
「本物の恐竜、見たくなぁい?」
「本物の…恐竜?」
「見せてあげるから、君のカードをちょうだ〜い?
…この恐竜よ!」
そしてウサラパは、アルティリヌスの恐竜カードを見せつけた。
しかしトゥーイの反応は冷ややかであった。
「なんだよ、ただのカードじゃないか。子供だからってバカにすんなよ!」
「バカになんかしてないわよ。しっかり見てな…さいっ!」
そう言うが早いか、ウサラパはアクトホルダーにアルティリヌスのカードを通した。すると…。
ンモォーーーーッ!モーッ!
独特な嘶きを上げながらアルティリヌスが姿を現し、ウサラパ達の背後に控えるように立ちはだかる。
「うっ、うわぁぁぁぁっ…すげぇ…!」
その雄々しい立ち姿に、トゥーイも声を上げて驚かざるを得なかったのだった。
その頃 三畳市 リュウタ宅
リビングでは、古代博士が引き続き全米女子オープンの中継を見ていた。
すると選手の後ろに広がる木立の向こうに、恐竜の姿が現れたではないか!
「あーっ!?あれはアルティリヌス!?」
そして、アルティリヌス出現の知らせはDキッズのディノホルダーやディノラウザーにも届けられた。
待ち疲れて眠りかけていた彼らの目が一気に冴える。
「恐竜が出た!」
「今度は…」
「アメリカ!?」
「ジョージア州沿岸近くの地域だ!」
彼らはすぐさま各々のパートナー恐竜を伴い、Dラボへの道を急いだのであった…。
戻ってジョージア州オーガスタのゴルフ場
アルティリヌスを召喚したウサラパだったが、すぐにまたアクトホルダーを操作してカードに戻した。
本当に顔見せに留めておくつもりだったらしい。
「…で、こうやったらカードに戻るのよ?」
「ねぇ!オレにもやらせてよ!やらせてくれたら、カードあげてもいいからさ!」
「ほんとかい!?」
が、そんな彼女をエドとノラッティ〜が引き止めた。
それからヒソヒソ声で相談を始める。
「ウサラパ様!」
「恐竜出させるのは流石にマズいッス!」
「スカタンは黙っといで!心配しなくても、相手は所詮ガキンチョだよ?アタシにいい考えがあるのさ…」
2人を説得したウサラパは、トゥーイにアクトホルダーだけを手渡した。
「ほぉ~ら。貸してあげるから、自分のカードでやってみれば?」
トゥーイはワクワクした様子でアクトホルダーを受け取ると、手に持った『
「あれ?出ないよ?」
だが、何も反応はない。技カードなのだから当たり前である。
しかし、トゥーイにはこれが技カードであることなど分かるはずがなかった。
「当然よ…。技カードはそれを使う恐竜がいないと、意味ないのよ〜ん」
トゥーイに聞こえないようにそう言い、ウサラパ達は彼の姿を嘲笑う。
しかし遂にトゥーイも痺れを切らしたのか、ウサラパ達に問いただした。
「恐竜出ないぞ!何でだよ?」
「あっらぁ〜、おかしいわねぇ…。カードが曲がってるのかも…。どれ、ちょっと貸してみて…」
そう言いながらさり気なくトゥーイの手から『
「いただき!逃げるよっ!」
そしてそう言うが早いか、トゥーイが呼び止めようとする声も聞かずにウサラパ達は踵を返して逃げ出した。
ここまではただ一点を除けばほぼ完璧であった。
「見たかい?ガキンチョなんでチョロいもんだよーっ!」
「ウサラパ様!アクトホルダーは?」
「あっ」
エドの言及を受けてウサラパは急停止する。
そう。彼女は『
そしてクルリと後ろを振り返るものの、既にトゥーイの姿は影も形もなくなっている。
最後の最後で詰めが甘いウサラパであった。
「あー…逃げられちゃった…」
「ヤバいッスよ。あの中にはアルティリヌスのカードも入ってるんスよ?」
「あんなガキンチョに出し抜かれちゃ恥そのものザンス!」
口々にウサラパを糾弾する2人に、彼女は拳をお見舞いして黙らせた。どうやらぐうの音も出なかったらしい。
「うるさーい!さっさと探すんだよーっ!」
かくして、カード探しの次はアクトホルダーとトゥーイ探しをすることになったウサラパ達なのであった…。
その頃、当のトゥーイは女子オープンのスコアボードを見に来ていた。
彼の推しである三崎スミレは更に順位を落としていて、今は6位という状況であるようだ。
「スミレちゃん…また順位下げてる…」
と、そこで彼は何かを閃いたかのように顔を綻ばせた。
「そうだ!こいつを使って…」
そう呟きながら、彼は手元のアルティリヌスの恐竜カードに視線を落とし、仄暗い笑みを浮かべたのだった…。
今回はここまでです。
巨大恐竜同士の決戦は、後半部分に入ることになります。
では、また明後日の後編でお会いしましょう。