古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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前回の恐竜キング!

通っている小学校の遠足で、秋芳洞へ向かうことになったDキッズ1行。
そんな中、転校してきたばかりのクラスメイト・細川フミがヤモリを追って行方不明になってしまい、更には恐竜の出現も重なる。こっそりクラスメイトから分かれて独自に行動し始めたDキッズは、オウガを除く3人がフミとエウオプロケファルスを発見する。
フミに帰ろうと説得をするマルムだったが、寂しさをエウオプロケファルスと共有したフミは意地でも帰ろうとしない。
しかしそこへアクト団が現れ、スピノをけしかけてくる。フミを守ろうと奮闘するエウオプロケファルスだったが、身を挺して彼女を守った隙を突かれ、『激流封印』でダウンしてしまう。
しかしオウガのレクシィやパラパラの『深緑恵癒』に助けられ、そしてスティギモロクの『勇気の一撃』で生じた隙に『放射棘槍』でスピノを撃破することに成功した。
しかし活動限界に達したエウオプロケファルスはカードに戻ってしまい、また孤独になってしまったと泣くフミに、マルムは自分が友達になるからと言い、彼女を慰める。
そしてその日以降、Dキッズの手引によって、フミと彼女のペットになったヤモリ「エウオプロケ」は、時々エウオプロケファルスに会いにDラボを訪れるようになったのであった…。




第21話:メーデー!空港に出現した恐竜の真実と真相
前編


 

太平洋 アクト団基地 アジ島

 

この日、アジ島ではDr.ソーノイダがいつものように科学の風上にも置けないオカルト技「恐竜の骨占い」で今回の恐竜の出現場所を推測していた。

部屋の隅では、召集されたウサラパ達いつもの3人が寛ぎながらその様子を眺めている。

 

「ホネホネホネ〜…恐竜屁をすりゃ西臭し!ホネッ!ん〜…ホネッ!」

 

そう言ってソーノイダが手に握った恐竜の化石の欠片を世界地図の上に散らばせる。

欠片はバラバラに散らばっていくと、そのうちの1つ…爪の化石が日本の首都圏付近を指し示すようにして止まった。

 

「ここじゃ!今度の恐竜はきっとここに現れるぞい!

ウサラパ!ノラッティ〜!エド!今回も捕獲に出撃ぞい!」

 

「「「ヘイヘイホーッ!!!」」」

 

ソーノイダの指令を受けたウサラパ達3人はすぐさま姿勢を正して敬礼を返す。

それを見たソーノイダは満足そうに頷くと、傍らのボタンをポチッと押した。

するとウサラパ達の足元にあったはずの床が消え、彼らは出撃シュートへ吸い込まれていったのだった。

 

「「うわぁぁぁぁぁ!?」」

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!」

 

まるで戦隊ヒーローの出撃シーンのようで、端から見る分にはカッコいいが、落とされたウサラパ達はたまったものではない。

彼らは半泣きで悲鳴を上げながら落下を続け、今回用意された座席に尻から着地した。

ジーンと痺れるような痛みが全身を走り、彼らはその痛みに悶える。

しかし、これはまだ序の口である。

すかさず頭上のハッチが閉まるや否やマシンの拘束具が緩められ、ロケットエンジンが点火された。どうやら今回の移動手段はロケットであるらしい。

そしてロケットは凄まじい勢いでアジ島から飛び立ち、設定された目的地へ一直線に向かっていったのだった。

速度が安定したところで、ようやくウサラパ達は体の自由が効くようになり、ヨロヨロと座席に腰を下ろす。

 

「ったく…あの発進装置、何とかならないのかい?」

 

「それにしても、またあの占いで出動ザンしたねぇ…」

 

「非科学的極まりないのによく当たるッスよね、あの占い…。どういう仕掛けになってるんスかねぇ?」

 

エドがそう呟くと、急にウサラパは神妙な顔つきになってこんなことを言い出した。

 

「あの占いに使われてる恐竜の骨が、恐竜の念波を探知するんだよぉ〜…」

 

「きょ、恐竜の念波…!?」

 

「まさか怨念みたいなものザンスか…!?」

 

「「「ひぃぃぃぃぃっ!!!」」」

 

ウサラパの想像からどんどん話が大きくなり、遂にはありもしない恐竜の怨念に怯え始めた3人。

そんな状況で思わず後退りをしたウサラパの背後でバキリと嫌な音がする。

3人が振り返ると、なんとウサラパの肘が操縦桿をへし折っていたのだ。

 

「えっ…?」

 

「「あーっ!」」

 

その直後、ロケットが暴走を始め、無茶苦茶な軌道を取り始めてしまった。

しかも何故か膨らんだり縮んだりしているではないか。これは本当にロケットなのだろうか。

 

「どうなってんのよーっ!?」

 

「ウサラパ様が操縦桿を折るからッスよーっ!」

 

「早く修理するザンスよーっ!」

 

かくして、今回もウサラパ達は踏んだり蹴ったりな出撃をすることになってしまったのだった…。

 

 

その頃 東京都郊外

 

成田国際空港へと続く並木道を、1台の青い乗用車が走っていく。そしてその車内では、Dキッズの3人とリアスが楽しそうに談笑していた。

リアスに関しては鼻歌まで歌っているあたり、よほど上機嫌なようである。

 

「お姉ちゃん、飛行機操縦しに行くの、そんなに嬉しい?」

 

「そりゃあそうよ!月に1度の楽しみなんだもの!」

 

どうやら、リアスは月に1度空港の小型飛行機を借り、空の散歩を楽しんでいるようだ。

そういえばアジ島へDキッズを救出しに来た時も、飛行艇を運転していたのは彼女だった。

リュウタやマルムから話は聞いていたものの、いつになく上機嫌なリアスにレックスは少し困惑しているようである。

 

「本当にいつものリアスさんとは違うね…」

 

「あぁ!けどいいじゃん!オレ達も空の散歩に誘ってくれたんだから!

でも、オウガが来なかったのはちょっと残念だったよなぁ…」

 

「仕方ないよ。話を持ちかけた時から、レクシィが行きたがらなかったみたいだしさ。

「レクシィを置いて俺とアメジストだけ空の旅になんて行けないよ」って言ってたじゃないか」

 

「それはそうだけど…でも変よ。付いてくるだけ来て後は空港のラウンジで待っててもいいんだから…」

 

「そうかぁ?でもずっと待ってるだけっていうのもつまんねぇじゃん?」

 

「…ねぇお姉ちゃん。そういえば今日ミサさんは何してるの?」

 

「ミサさん?彼女なら今日は研究所に搬入する物資の買い出しをお願いしてきたけど…そういえばオウガ君も後からやって来て、彼女と何か話してたわね」

 

「やっぱり!レクシィちゃんが行きたがらなかったのはよしとしても、オウガも来なかったのはそういうことだったのね!ミサさんを手伝ってポイント稼ぎするためにアタシ達Dキッズの活動に加わらなかったってことじゃない!」

 

そう言い、1人で怒るマルムを見て、リュウタとレックスは小声で囁きあった。

 

「マルムのやつ、なんであんなに怒ってるんだ?やることないのに無理に来させる必要ないじゃん」

 

「分からないけど…ほら、仲間の男が年上のお姉さんにうつつを抜かしてると怒るキャラクターって、昔の漫画やアニメとかだとたまに見ただろ?

もしかしたら、マルムもそういう感じなんじゃないか?」

 

「それにしちゃあ随分ムキになってる気がするけど…あっ!空港が見えてきたぜ!」

 

その時、リュウタが車の向かう先をまっすぐ指し示した。その先には、目標である成田国際空港!…のすぐ隣にある小規模の飛行場があったのだった。

 

リアス達とリュウタ達4人は駐車場に車を停め、飛行場のロビーへと入っていく。

すると、リアスは目の前を通りかかった男性に声をかけた。

 

「あっ、こんにちは鈴木さん!」

 

「やあ、リアスさん。フライトですか?」

 

「ええ。1ヶ月ぶりにね」

 

「それは良かった。今日はいい天気だから、フライトにはもってこいですよ」

 

そこまで言ったところで、鈴木は目の前で自分をじっと見つめてくるマルムの存在に気づく。

普段からマルムはMC玉木やベッサムなどイケメンに目がないことは周知の事実であるが、彼女が鈴木を見つめる視線はそんなものではなかった。

むしろ、何かを見極めようとしているようにも見える。

 

「ん〜〜〜〜〜…」

 

「あの…前に話してくれてた、妹さん?」

 

「ええ。妹のマルムと、お友達。今日は1人来れなかったんだけど…」

 

「「こんにちはー!」」

 

『ガブッ!』

 

『ゴロロッ!』

 

『ギャウッ!』

 

『ギャッス!』

 

リュウタとレックスに続き、ガブ達も挨拶をするかのように一声発すると、何故か鈴木は表情を引き攣らせ、顔に冷や汗を浮かべた。

 

「あ…そ、その…動物は…?」

 

「あっ、こいつらは…犬!犬ですよ!」

 

「そ、そう!犬!可愛いでしょう?」

 

「う、うわっ!ち、近づけないで!申し訳ないんだが僕は動物が苦手でね!」

 

リュウタとレックスはいつものようにガブ達を犬だと偽ったのだが、鈴木は飛び退いてしまった。

彼が言うには、自分は動物が苦手なのだという。

そんな彼の姿に、マルムはますます疑念を募らせたようだ。

 

「動物が苦手…?」

 

「リアスさん。フライト楽しんで下さい!では、また後で…」

 

そう言うと、鈴木は足早にその場を立ち去っていった。

その姿を見送ったところで、マルムはリアスの方へ振り向き、質問をぶつけた。

 

「お姉ちゃん!あの人とどういう関係なの?」

 

「どういう関係って…パイロットと管制官の関係よ。あの人はここの管制官だからね」

 

「ふ〜〜〜〜〜〜〜ん…」

 

言葉や態度を見ても、マルムはリアスの言葉に納得がいっていないようだ。

さしずめ鈴木のことを、姉に近づく悪い虫だと判断したのかもしれない。

 

「飛行場はあっちよ。さぁ、行きましょう」

 

「…お姉ちゃん!アタシ空港見て回りたいから飛行機はいいわ!」

 

「…あらそう?」

 

なんと、ここに来てマルムは飛行機に乗らないと言い出したのである。

そんな彼女にリュウタが駆け寄り、その訳を尋ねた。

 

「なんだよ、どうしたんだ?さっきは空港に付いて来なかったオウガのことすごい怒ってたくせに」

 

「いいから!リュウタ達はお姉ちゃんと空の散歩楽しんできて!アタシはやることがあるから…」

 

「やること?」

 

「ええ。また後でね…」

 

何か含みがあるように微笑むとマルムは踵を返し、エスカレーターで上の階へと向かっていった。

 

「何だって?」

 

「分かんねぇけど、やることがあるんだってさ…。何のことだろ?」

 

「ふーん…マルムも気まぐれだね」

 

「君たちどうしたの?行くわよー?」

 

「「はーい!」」

 

リアスから呼ばれた2人はそちらへと走っていき、共に飛行機の格納庫へと向かったのであった。

一方でマルムは共にエスカレーターを登っているところだった。そして腕の中のパラパラに、独り言を呟くように話しかける。

 

「お姉ちゃん、あの男が目当てで飛行機に乗りに来てたのね。だからウキウキだったのよ。

けど、絶対別れさせなきゃ!動物が嫌いだなんて、許せないもの!ね?パラパラ?」

 

『クォ!』

 

どうやらマルムは、リアスが月に1度ここへ来るのは飛行機に乗るためではなく鈴木と密会するためなのだと思い込んでしまっているようだ。

その上で、別れさせようとまでしているのである。

なんと独り善がりな考えであろうか。

しかし、彼女に考え直すよう引き止めてくれる存在は今周りにいない。つまり、どんなに愚かな考えに基づく行動であろうと、彼女は止まらないのである。

そしてエスカレーターを登り切ったマルムとパラパラは、レストランで食事をしている鈴木を見つけたのだった。

 

「いた!…よし!」

 

すぐさまマルムもレストランへ入っていくと、ドリンクを1つ注文し、わざわざ鈴木の座るテーブルに座ったのだった。

 

「鈴木さん、こんにちは!ご一緒してもいい?」

 

「え?け、けど…」

 

顔を引き攣らせながら鈴木が答える。何故なら、彼のすぐ横にパラパラが座ったからであった。

動物が苦手だという彼には耐え難い状況だろう。

 

「大丈夫ですよ。別に噛みませんから!」

 

「あ…あぁ…そう…」

 

マルムからその言葉を聞いた鈴木は少し安心したような様子を見せたものの、依然としてパラパラを警戒していた。

 

「それで…突然すみませんが鈴木さん。アタシと「おはなし」しませんか?」

 

「…おはなし…?」

 

急に真面目な顔になったマルムに、鈴木は事態を飲み込めず困惑した表情を浮かべたのだった…。

 

 

その頃 三畳市 Dラボ

 

「オウガ君、今日は手伝ってくれてありがとう。お陰で本当に助かったわ」

 

「気にしなくて大丈夫ですよ。俺もやることなくて暇してましたから」

 

マルムが鈴木と「おはなし」をしている頃、Dラボにはちょうどオウガとミサが買い出しから戻ってきたところだった。

購入した物資を整理して倉庫に収納し、椅子に座ったところで、2人はようやく一息つく。

 

「あー…でも疲れましたねー…」

 

「ほんとね。それじゃあオウガ君はここで休んでて。

わたしはお菓子とお茶の準備をしてくるわ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

流し場へ向かうミサを見送ったオウガは、ディノラウザーを取り出すとボタンを押し、レクシィとアメジストをチビ形態で召喚した。

 

「レクシィ、アメジスト。2人とも買い物の時はしまっちゃっててごめんね。今からミサさんがおやつ持ってきてくれるらしいから、一緒に食べようか」

 

『キュッキュ〜♪』

 

『私はいらない。いかんせん甘味はあまり好きになれなくてな…。私の分はアメジストにくれてやってくれ。

…それより、オウガ。あの女についてだが…』

 

「ミサさんのこと?…そういえばレクシィは彼女を警戒した方がいいって言ってたよね。

俺もある程度は見てるつもりだけど…レクシィからはどう?」

 

『それなのだが…近頃はあの女から発されていた欲深い匂いが随分と薄くなったように感じる。

もしその要因が記憶喪失にあるのだとすれば…今はそういった野望や意思が失われたのだと考えてもいいのかもしれないな』

 

「なるほど…。でも、だとしたらミサさんは記憶を失う前はどんなことをしていたのかな?」

 

『それは推測するしかないだろうが…もしかすればこのまま忘れたままの方が、オマエやあの女には都合がいいかもしれないな』

 

「それは…確かにそうかもしれないけど…」

 

オウガがレクシィとそんな会話をしていると、ミサがお盆を手に戻ってきた。

 

「はい、オウガ君。飲み物はレモンティーで大丈夫だったかしら?」

 

「は、はい!大丈夫です!」

 

「良かった。それじゃあレクシィちゃんとアメジストちゃんにもおやつをあげないとね」

 

そう言ってミサはかがみ込むと、レクシィにはサラダチキンを半分、アメジストにはブルーベリージャムをかけたヨーグルトを、それぞれ皿に入れて差し出した。

アメジストは夢中になって食べ始め、レクシィも意外そうな顔でミサを見てからサラダチキンにかぶりついた。

それを微笑みながら見ていたミサは椅子に座り直すと、オウガにレモンティーと茶請けのお菓子を差し出した。

そのお菓子を見たオウガが、驚きの声を上げる。

 

「ミサさん、これって…」

 

「気づいてくれた?これ、けっこう前に君が買ってきてくれた、あの洋菓子店のプリンなのよ。

とても美味しかったからまた食べたいなって思って何度か行ってみたんだけど、なかなか買えなくて…昨日やっと2つ買えたの」

 

「やっぱりそうでしたか…。すみません、ミサさんのプリンを1つ貰う形になってしまって」

 

「いいのよ、気にしないで。むしろ、オウガ君と一緒に食べられたらいいな、って思って買ってきたものだから…」

 

「…えっ…?」

 

「確かにあの時オウガ君から貰ったプリンは美味しかったけど…オウガ君は食べられなかったままだったでしょう?

1人で食べるよりも、わたしと君の2人で食べた方がもっと美味しく食べられるんじゃないかなって思って…」

 

そこまで言いかけたところで、ミサは頬を紅潮させて口を噤んだ。

 

「あっ、ごめんなさい!わたしったらオウガ君に何を…。

さ、さあオウガ君!早く食べましょ!」

 

「はっ、はい!いただきます!」

 

取り敢えずレモンティーを口に含んでから、オウガとミサはプリンを食べ始める。

プリンもレモンティーもよく冷えているというのに、2人の頬から熱はなかなか引かないままなのであった…。

 

 

その頃 飛行場 滑走路

 

その頃、リアス達が乗り込んだ小型ジェット機は格納庫から出ると、待機線へと向かって進んでいくところだった。

管制塔からGOサインが出たのか、リアスが機器を操作してジェットエンジンを全開にする。

 

「さあ、飛ぶわよー!」

 

「ガブ、イナズマ!いよいよだな…」

 

『ガァブ…』

 

『ゴロロ…』

 

そして、機体は更にスピードを増しながら滑走路の上を走り、遂に空中へと舞い上がった。

機内のリュウタ達にも凄まじいGがかかり、彼らは必死に耐えている。

しかし遂にガブが我慢できなくなったのか、暴れ出してしまった。

 

「ああっ!ガブ!」

 

更にガブが我慢できなくなったのを見て、イナズマも暴れ出してしまう。どうやら2匹と飛行機はあまり相性が良くなかったようだ。

 

「ガブ!イナズマも大人しくしてろよ!」

 

レックスがそう叱りつけるもガブとイナズマは暴れるのをやめず、止めようとしたリュウタの腕に2匹して噛みついてしまった。

 

「いてっ!…リアスさん!ダメだ!戻って!」

 

「分かったわ。こちらDL715!搭乗者の体調不良により緊急着陸を希望します!どうぞ!」

 

こうして、飛び立ったばかりだと言うのにリアスの小型飛行機は空港へ引き返すことになったのだった。

機体が停止すると昇降口が開き、そこからリュウタとガブ、イナズマが出てくる。

 

「リュウタ。悪いけど僕とエース、アインはこのまま乗せてもらうよ」

 

「うん、分かった。まあ仕方ないよな…。

ガブもイナズマも…お前達が空が苦手だなんて知らなかったよ…」

 

ガブとイナズマを抱え、リュウタが飛行機から降りると、昇降口が閉じ、再び飛行機は空へ舞い上がっていった。

それをリュウタはガブとイナズマと共に見送る。

 

「しょうがない。マルムを探して合流するか…」

 

そう呟くと、リュウタは空港のターミナルの方へとぼとぼと歩いていったのだった…。

 

 

その頃、リアスの操縦する飛行機は遂に雲海の上へと舞い上がっていた。

その圧巻の光景を、レックスやエース、アインも瞳を輝かせながら眺めている。

 

「どう?素晴らしい眺めでしょう?」

 

「ええ、感動ですよ!な?エース、アイン?」

 

『グエッ!』

 

『アギャッ!』

 

エースとアインも初めての光景に圧倒されているようである。

その風景を一緒に眺めていたレックスだったのだが、その雲海の中に奇妙な影を見つけた。

飛行機というには翼が見当たらず、ヘリコプターというにはプロペラが見当たらない、とにかく奇妙なシルエットだったのである。

 

「リアスさん、あの影は何なんです?」

 

 

その影は、アクト団のロケットのものだった。

彼らはその機体を見られないよう、雲の中に隠れてここまでやって来たのである。

 

「ずーっと思ってたザンスけど、何でこのメカは前の方がこんなに大きいんザンしょ?」

 

「さーあ?何かは分からないけど、多分何かの役に立つんでしょ?」

 

「そろそろ目的地の上空ッスよ。着陸準備の方を始めて大丈夫ッスか?」

 

「そうね。じゃあ降ろしてちょうだい」

 

「了解ッス!」

 

ウサラパの指令を受けたエドが操縦桿を握って動かすと、なんとそれがへし折れてしまった。

先程ウサラパが壊したのはノラッティ〜の操縦桿だったため、こちらが壊れたのはウサラパのせいではない。元々の設計者であるソーノイダの問題である。

 

「げっ!?こっちも折れたッス!」

 

「「えーっ!?」」

 

操縦桿が折れたことで再びコントロール不能に陥ったロケット機体は、急速に上昇を始め、雲海の上へ姿を現したのだった。

しかも悪いことに、リアスとレックスが乗った小型飛行機にどんどん接近していくではないか。

そして遂に小型飛行機はロケットの機体と接触し、激しく錐揉み回転をしながら落下を始めた。

 

「くうううううっ…」

 

リアスは必死に操縦桿を握り、機体の立て直しを図っている。

一方でレックスは、エースとアインを抱きしめたまま身動きが取れない状態だった。

その目はどこか上の空であり、彼の脳裏には見覚えのない風景が現れている。その中に赤ん坊のレックスがいることを考えると、彼の古い記憶が呼び起こされたようであった。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「レックス大丈夫よ!墜落はさせないから…!」

 

そして遂に飛行機は雲を突き破り、下へ下へと落下していったが、すんでのところで機体が立て直され、元通り飛行できるようになった。

 

「ふぅ~…。レックス。一応助かったわ。

さっきの衝突で尾翼が損傷したせいでバランスが取りづらかったけど…」

 

そう言いながらリアスが後ろを振り返ると、レックスは体育座りの姿勢で体を縮こませながら、小刻みに震えていた。

そんな彼を慰めるように、エースとアインが彼の頬を舐めていたのだった…。

 

「レックス?どうしたの?レックス!?」

 

 

その頃 空港 レストランエリア

 

ここでは、まだマルムと鈴木の「おはなし」が続いていた。

 

「へーぇ、リアスさんって家だとそうなの?」

 

「ええ!お姉ちゃんったら歯は磨かないし、お風呂は1週間くらい平気で入らないし…本っ当不潔なのぉ!」

 

「うーん…そんな風には見えないけどなぁ…」

 

「人は見かけによらないの!」

 

なんと、鈴木とリアスが交際していると思いこんでいるマルムは、2人を別れさせるために鈴木にリアスのあることないことを吹き込んでいるようであった。

彼女としては別れさせるために必死なのだろうが、わざわざリアスの評判を下げるようなことをして大丈夫なのだろうか。

と、そこで突然鈴木の携帯電話が着信を告げた。

鈴木はすぐさま電話を手に取り、通話ボタンを押す。

 

「はい、鈴木です。…えっ?本当ですか!?…分かりました!すぐ戻ります!

大変だ!リアスさんの飛行機が未確認飛行物体(UFO)と接触したそうだ!」

 

「ええっ!?お姉ちゃんが!?」

 

先程アクト団のロケットとリアスの飛行機が接触したことが、鈴木のもとにも届けられたのである。

これにはマルムも驚き、彼について管制室へと向かったのであった。

 

それから間もなく、管制室に辿り着いた鈴木はインカムを手に取ると、横の席の管制官から状況を聞いた。

 

「状況は?」

 

「尾翼が破損しているとの報告がありましたが、今は安定して飛行できているようです」

 

「分かった。『こちら管制塔。DL715、応答願います。どうぞ!』」

 

『…こちらDL715。尾翼の破損のため、真っ直ぐな飛行が困難な状況にあるわ。それと…同乗しているレックスの様子がおかしいの』

 

「えっ!?レックスが!?」

 

「『とにかく、慎重に操縦して下さい。滑走路に到着するまで、我々が誘導を行います』」

 

その時、警報と共に隣の管制官が鈴木に報告を入れる。

 

「大変です!DL715と接触した未確認飛行物体(UFO)がこちらへ接近しています!」

 

「何っ?」

 

その報告を受けた鈴木が航空レーダーへ視線を移すと、そこには未確認飛行物体…アクト団のロケットの軌道が表示されていた。

しかしコントロール不能のようで、レーダーの右へ左へ、上へ下へと無茶苦茶な軌道を取っている。

 

「なんだ…この軌道は…?」

 

 

その頃、リュウタはマルムを探してターミナル内を歩き回っている最中だった。

 

「マルムのやつ、どこ行っちゃったんだ…」

 

そんなことを呟きながらエスカレーターを上がりきったところ、外から聞き慣れない音が聞こえてきた。

 

「なっ、なんだ!?」

 

慌ててリュウタが窓の方へ駆けつけると、空港の上空をアクト団のロケットがまるで空気が抜けていく風船のように無茶苦茶な軌道で飛び回っているのが目に入ってきたのだった。

そのままロケットはゆっくりと墜落すると、先端で滑走路を抉りながら飛び上がり、管制塔の真ん前に突き刺さった。

 

「「うわぁぁぁぁあ!」」

 

管制塔の中にいるマルムや鈴木にもその衝撃が襲いかかってくる。

窓ガラスが割れなかったのは不幸中の幸いといったところだろう。

このように大混乱に包まれた空港で、ロケットによって抉られた地面の中から露出していたのは、いつもの卵型カプセルである。しかも衝撃でカプセルは既に割れていた。

衝撃で巻き起こった風によって、カプセルから排出された2枚のカードが乗せられて流れていき、実体化する。

灰色の光に包まれて姿を現したのは、白亜紀の南米に生息していた大型の肉食恐竜・メガラプトルだった!

メガラプトルは目覚めの咆哮を轟かせると、素早く飛行機の格納庫へ入り込んでいったのだった…。

 

 

その頃 三畳市 Dラボ

 

プリンを食べ終え、ミサと談笑していたオウガは、ディノラウザーに恐竜出現の通知が入ったことを確認し、テレポートルームへと急いだ。

 

「ミサさん!今回の場所は?」

 

「ちょっと待ってね。いつもはリアスさんがやってる作業だからうまくやれるかしら…出たわ!場所は千葉県成田市!成田国際空港の近くに小さな飛行場があるんだけど、そこに恐竜が出たみたいよ!」

 

「分かりました!じゃあ、行ってきます!」

 

「気をつけてね、オウガ君!」

 

ミサからの声援を受けたオウガは片手を挙げると、レクシィやアメジストと共にテレポートしていったのだった…。




今回はここまでです。
それでは明後日更新予定の後編でまたお会いしましょう。

第26話の原作「恐竜遊園地で大儲け!」にあたるエピソードでマルムの第2のパートナー恐竜を登場させたいと考えております。つきましては、私が選出した候補からどれが相応しいか皆様からご意見を伺いたいのです。もしよろしければ、以下のうちから1つを選んでご回答下さい。

  • ランベオサウルス
  • エドモントサウルス
  • カロノサウルス
  • コリトサウルス
  • オウラノサウルス
  • ディプロドクス・ハロルム(小)
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