古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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今回は後編になります。
今回は飛行機が絡むということもあり、あの生物も登場させようとずっと考えておりました…。
それでは、最後までお楽しみ下さい。


後編

戻って空港 管制塔前

 

管制塔の真ん前に逆さまになって突き刺さったロケットからは、ウサラパ達が這い出してきたところだった。

コクピットがあったのは根本の方だったため、脱出することができたようである。

 

「トホホ…墜落しても大丈夫なように前をデカくしてたんすね…」

 

「キーッ!酷い目に遭ったよ!このポンコツ!」

 

そう言ってウサラパは足元のマシンを蹴ろうとするが、うっかりノラッティ〜を蹴ってしまった。

危うくノラッティ〜は操縦席から下へ蹴落とされそうになり、必死に手足をバタつかせてしがみつく。

 

「ウサラパ様ぁ!いきなり何するザンスか!」

 

そうノラッティ〜が抗議したものの、ウサラパは何故か上の空であった。

ノラッティ〜とエドが彼女の視線を追うと、そこには管制塔の中の鈴木がいた。

どうやらイケメンということでウサラパが目をつけたらしい。

 

「あらまいい男…!やだわぁ高まるのぉん…今すぐ会いたいこの気持ちぃ…えいっ!」

 

訳の分からないことを呟くが早いか、ウサラパはボタンを押して自分の座席を下げると、地面に降りたではないか。

 

「ウサラパ様ぁ!?」

 

「どこに行くザンス!?」

 

「恐竜はアンタ達に任せたから!」

 

そう言うなりウサラパはエドとノラッティ〜を残してターミナルへと駆け出していった。

そんな彼女の前に、リュウタが立ちはだかる。

 

「おいアクト団!何しに来た!」

 

「お退きーっ!邪魔だよガキンチョーッ!」

 

しかし、鈴木が目的の彼女はリュウタになど構っている余裕はない。そのまま大きく跳躍して彼を飛び越えると、ターミナルへと入っていった。

その場には、呆気にとられた様子のリュウタだけが残されている。

 

「…何だぁ?トイレか?」

 

と、そこで複数人の悲鳴が彼の耳に飛び込んできた。

声のした方を振り向くと、飛行機の格納庫から作業員達が逃げてきているではないか。

そしてその後ろからは、先程出現したメガラプトルが迫ってきていた。

 

「あっ!あれはメガラプトル!」

 

一方で、管制塔にいたマルムもメガラプトルの姿を認めていた。

 

「メガラプトル!恐竜よ!」

 

「きょっ、恐竜ですって!?」

 

マルムの言葉に、すぐ横にいた管制官が驚く。無理もないだろう。突然滑走路上に大型の生物が、それも恐竜が現れたと聞いたのだから。

そして、鈴木はDL715のリアスと無線での連絡を行なっていた。

 

「『リアスさん、すぐに着陸は無理です!滑走路に未確認飛行物体が墜落したんです!恐らくそちらの機体と接触したものでしょう…。

ですから、着陸が可能な状態になるまで上空で待機をお願いします!』」

 

『了解!』

 

一方のリアスも、鈴木からの指示通り上空を旋回して着陸の機会を窺うことにしたようだ。

 

「滑走路が復旧するまで、燃料が保てばいいけど…」

 

燃料が足りるかどうかを瞬時に計算するリアスだが、心配事はそれだけではない。

後ろを振り向くと、レックスは怯えた様子で小刻みに体を震わせていた。その横では、相変わらずエースとアインが彼を心配そうに見つめていたのだった。

 

 

その頃地上では、ノラッティ〜とエドがコクピットからメガラプトルの姿を視認したところだった。

 

「今回もドクターの占い通り恐竜が出たザンス!」

 

「また当たったッスねぇ。今のところ百発百中ッスよ?」

 

「そんじゃあ、ウサラパ様からの指令もあるザンスしちゃっちゃと片付けるザンス!」

 

そう言うとエドとノラッティ〜が連れ立ってロケットの側面を命綱もなしに滑り落ちていく。

悲鳴を上げている辺り、何も考えていなかったのだろう。

そして地面に両足から着地し、またしても全身を走り抜ける痺れるような痛みを味わっていた。

しかし気を取り直したノラッティ〜がスピノのカードを取り出し、アクトホルダーに通した。

 

「ほんじゃあ、行くザンスよー!アクトォースラッシューッ!」

 

グァギュオォォォッ!!!

 

スピノが成体となって降り立つと、すぐさまメガラプトルへと襲いかかった。

メガラプトルは不意討ちにも近い攻撃を察知して素早く躱すと、ターミナルの方へ逃げていく。

それを見たリュウタは、エドとノラッティ〜を睨みつけた。

 

「そうか!お前らメガラプトルが目当てだったのか!」

 

「当たり前ザンス!そうでもなければこんなところまで来ないザンスよ!」

 

「さあさあスピノちゃん!メガラプトルを叩きのめすッス!」

 

その言葉を受けたスピノはメガラプトルを追いかけていくと、体当たりをして諸共にターミナルの中へと突っ込んだ。

突然現れたスピノ達に驚き、客や空港スタッフは我先に逃げ出していく。メガラプトルも逃走を続けようとしたものの、スピノに首根っこを押さえられ、そのまま投げ飛ばされてしまった。

横倒しになって床を滑っていったメガラプトルにスピノが追いつくと、再びその首へと食らいついた。

そこへ、リュウタとガブ、イナズマが駆けつけてくる。

 

「いけない!ガブ!イナズマ!スピノサウルスを止めるんだ!

ディノスラーッシュ!轟け!トリケラトプス!スティラコサウルス!」

 

ゴオォォォォォ!!!

 

ギュオォォォォォ!!!

 

すかさずリュウタがガブとイナズマをカードに戻し、ディノホルダーにスキャンした。

そして2体は成体の姿で降り立ち、目の前のスピノに突進していったのだった…。

 

 

その頃、空港へテレポートしてきたオウガは滑走路に出てきていた。

運悪くメガラプトルやリュウタ達とは行き違いになってしまったのである。

そして今は、アクト団のロケットを眺めているところだった。

 

「なんだ?このロケット…いや、ミサイルかな…?」

 

ひとまずロケットの周りをぐるりと見て回ろうとすると、その先にはエドとノラッティ〜がいた。

彼らはメガラプトルを追っていったスピノが戻ってくるのを待っていたのである。

 

「ああっ!お前はティラノのガキンチョッスね!」

 

「そういうあなた達はアクト団!まさか、空港をこんなにめちゃくちゃにしたのもあなた達なのか!?一体何を考えてるんだ!」

 

「ミー達は恐竜を回収しに来ただけザンス!

このロケットが落ちちゃったのは作ったドクターが悪いザンスよ!」

 

「今はスピノがメガラプトルを倒しに向かったッスからねぇ!

でもお前もここに来たからには…ここで足止めさせてもらうッス!久々に行くッスよ!サイカ!」

 

ウオォォオォォォ!!!

 

エドがアクトホルダーにサイカのカードを通し、オウガの目の前に召喚する。

それを見たオウガもレクシィとアメジストをカードに戻すと、ディノラウザーにスキャンした。

 

「そっちがその気ならこっちだって…!

ディノスラーッシュ!

燃え上がれ!ティラノサウルス・レックス!

揺るがせ!ステゴサウルス!」

 

ゴガアァァァァァッ!!!

 

ケエェェェェ…!!!

 

レクシィとアメジストも成体の姿で召喚されると、サイカと向かい合うのであった…。

 

 

その頃、管制塔にいるマルムは鈴木とこれからの対策について話し合っていた。

 

「滑走路からあのロケットをどけないと、お姉ちゃんの飛行機が着陸できないんですか!?」

 

「ああ。だがあのロケットを排除できたとしても、滑走路に穴も空いている。それを埋めて着陸できるだけの態勢を整えなければ、着陸するのは危険だ!

もっとも、リアスさんの操縦技術ならば穴を避けて着陸することができるかもしれないが…尾翼が損傷していては…」

 

「難しいんですか!?」

 

マルムの言葉に、鈴木は黙って頷いた。

 

「そ、そんなぁ!」

 

反射的にマルムは空を仰ぎ見る。そこには依然として旋回を続けるリアスの小型飛行機があった。

このまま滑走路の復旧を待っていたのでは、燃料が尽きて墜落してしまうのではないか。しかし、目の前の滑走路の状況では、とても着陸は難しいだろう。

管制室の中に、重い空気が立ち込める。

しかし、そんなところへ…。

 

「見つけたわ!愛しき我が君!うぅ~ん♪近くで見るとますますハンサムぅ♪やっぱり、アタシの目に狂いはなかったわぁ〜♪」

 

ウサラパがやって来たのである。

そして、周囲の訝しげな視線など気にしないような様子で鈴木に擦り寄っていく。

 

「あなたこそ、アタシの理想の男性…うっふ〜ん…」

 

そう囁きながら鈴木の腕に手を伸ばそうとしたウサラパに、マルムが食ってかかった。

 

「何が理想の男性よオバさん!」

 

「何ですってぇ?ガキンチョ!誰がオバさんよ!」

 

「オバさんはオバさんでしょ!?オバさん達が滑走路にあんな邪魔なものを墜落させるから、お姉ちゃんが着陸できなくなってるのよ!?責任持って片付けなさいよ!オバさぁ〜ん!」

 

「ムッキーッ!何度オバさんって言うのよーっ!?次言ったらその口捻り上げて泣かせちゃうよーっ!?」

 

マルムからのオバさん連呼を受け、更にヒートアップしたウサラパは、今にもマルムに殴りかからんばかりの勢いであった。

しかしそんな2人に、鈴木が口を挟む。

 

「マルムちゃんの言う通りですよ。オバさん」

 

「あっ、アンタまで…?」

 

「そもそもどうやってここまで来たんです?ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ。

警備員さん!こちらのオバさんを摘みだして下さい」

 

アプローチをかけようとした相手からオバさん呼びをされ、ウサラパは一瞬呆気にとられた。

が、すぐにまた怒り出すと、拘束しようと近づいてきた警備員を振り払って地団駄を踏んだ。

 

「ムキーッ!アンタこそオジさん一歩手前でしょーっ!?

こうなればティラノ!こいつらを泣かせておやりっ!」

 

ガアァァァァァァッ!!!

 

なんと、逆上したウサラパはアクトホルダーにカードを通し、ティラノを成体化させたのだ。

しかし、狭い管制室で体高5メートル程のティラノを召喚すればどうなるかは目に見えている。

ティラノは天井を突き破り、それによって生じた瓦礫が降り注いだ。

これには召喚したウサラパも慌てたが、安全が確保できたところですぐに調子を取り戻した。

 

「ひゃあっ…オーホホホホ!アタシを怒らせるとこうなるのよーっ!」

 

そして、ティラノに睨まれた管制官や警備員達も悲鳴を上げながら逃げ出していく。

しかし、他の職員がいなくなっても鈴木はその場に残り続けていた。

 

「逃げて!鈴木さん!」

 

「そうする訳にはいかない!官制装置を壊されてしまったら、リアスさんを着陸させることができない!だからここは死守しなければいけないんだ!

マルムちゃんこそ、急いでここから離れるんだ!」

 

鈴木の言葉に応じ、意外にもマルムは素直にその場を離れた…かに思われたが、素早く物陰に身を隠すと、パラパラをカードに戻した。

 

「頼むわよ、パラパラ」

 

そして、ディノホルダーにパラパラのカードをスキャンし、成体の姿で召喚したのだ。

 

キュオォォォン!!!

 

召喚されたパラパラはすぐさまティラノに突進していき、力比べを始める。

しかし流石にティラノ相手に力では敵わないようで、パラパラは徐々に後ろへ…官制装置やウサラパ達のいる方へ押され始めたのである。

 

「あぁぁぁ…ダメ!ティラノちゃん!こっちに来ないでぇ!」

 

ウサラパのその声を聞いたのか、ティラノは向かって左方向にパラパラを押し始め、遂に壁を突き破って諸共に滑走路へと落下していったのである。

 

「パラパラ!」

 

すぐさまマルムが下を見てみると、パラパラはまだ無事なようである。そこではちょうどレクシィとアメジストが2体がかりでサイカに攻撃を加えており、メガラプトルはターミナルから出てきているところだった。

そして、アメジストの体を紫色の光と紫結晶の欠片が取り巻いている…。技を使おうとしているのだ!

 

 

「アメジスト!この技で一気に決めるよ!『土竜聖剣(クエイクセイバー)』!」

 

オウガがカードをディノラウザーにスキャンし、『土竜聖剣(クエイクセイバー)』を発動させていた。

するとアメジストの尾先に紫結晶の剣が形成され、それがサイカに向けて大きく振り抜かれる。

斬撃を諸に受けたサイカは腹を上にしてひっくり返ると、その身をカードに戻していった。

 

「うーん…やっぱり病み上がりにはキツかったッスかねぇ…?」

 

「でも足止めはこれで十分ザンス!あとはスピノがメガラプトルを倒して戻ってくればそれで…あっ!来たザンス!」

 

そこへメガラプトルがやって来るが、肝心のスピノの姿がない。

すると、ややあってからスピノがガブとイナズマに突き転がされながら姿を現した。流石に2対1では分が悪かったようだ。

 

「わ、わっ!スピノが大変ッス!」

 

「こうなったら技を使って逆転を狙うしかないザンスね!食らうザンス!『暫流(ウォーター)』…」

 

その時、レクシィが高らかに雄叫びを上げると、スピノに向かって突撃していった。その進路上には彼らエドとノラッティ〜もいるのである!

 

「「うひゃぁぁぁぁぁっ!?」」

 

2人が慌てて飛び退くと、レクシィはついさっきまで2人がいた部分を踏みしめながらスピノに食らいつき、大きく振り回してから地面に叩きつけた。

 

「オウガ!それにレクシィ達もいつの間に…。でもナイスだぜレクシィ!

いっけーっ!ガブ!イナズマ!スピノにトドメを刺すんだ!」

 

その言葉を受けたガブとイナズマがスピノにトドメの溜め突進をお見舞いしようとした時だった。

それまで状況を静観していたメガラプトルが高らかに咆哮を発したのだ。

その体を、灰色の光が包みこんでいた…。

 

 

その頃、上空を旋回していたリアスは、妙に燃料の減りが早いことに頭を悩ませていた。

 

「おかしいわね…。こんなにすぐに減るはずがないんだけど…まさか!」

 

嫌な考えが頭を過り、リアスが窓から飛行機の羽部分を見ると、そこから何かの液体が漏れ出ていくのが見えた…。

どうやら、アクト団のロケットと衝突した時に燃料タンクも破損してしまっていたようである。

 

「大変だわ!急いで管制塔に知らせないと…!」

 

そう言って無線を手に取り、もう一度燃料漏れの部分を見ようとしたリアスだったが、そんな彼女の視界にとんでもないものが入ってきた。

翼開長10メートルはあろうかという巨大な鳥が飛行機の方へ近づいてくるのである。

いや、あれは鳥ではない。あれは…!

 

「まさか…ケツァルコアトルス…!?どうしてここへ…?」

 

そう。その正体は、史上最大級の翼竜・ケツァルコアトルスだったのである。

ケツァルコアトルスは空港に近づくと急激に降下を始め、飛行機の真下を掠めるように通り過ぎていったのだった…。

 

 

その光景は、滑走路にいたオウガ達やアクト団の目にも入ってきた。

 

「あれは…ケツァルコアトルス!」

 

「一体どうしてここに来たザンスか!?」

 

「もしかして、さっきメガラプトルが使った技って…」

 

そしてケツァルコアトルスは急降下してくるとスピノの尻尾に噛みつき、空中へ連れ去ったのである。

そして空港の周囲の木々や掘り出された大岩にスピノの体をぶち当てながら飛行を続け、最後にアクト団のロケットに投げつけたのであった。

スピノの体がロケットを弾き飛ばし、その場でカードへと戻っていく。

そしてそれが終わると、ケツァルコアトルスはメガラプトルの側に控えるように降り立った。

 

「やっぱり!『スカイダイブ』ッスよ!」

 

「でも…これでスピノもやられちゃったザンス…」

 

しかし倒れたのはスピノだけではなかった。

メガラプトルも今の技で力を使い果たしたのか、力なく項垂れるとカードへ戻っていったのである。

そしてそれに合わせてケツァルコアトルスもカードへ戻っていく。

 

「メガラプトルがカードに戻ったザンス!ガキンチョに先を越される前に回収するザンスよぉ!」

 

そう言ってノラッティ〜が走り出していくものの、そう上手くいくはずもない。

彼の行く手にレクシィが立ちはだかると、カードを踏むようにして隠したのである。これでアクト団は、レクシィを倒さなければカードを回収することすらできなくなってしまった。

そしてレクシィが近づこうとしてきたノラッティ〜に咆哮を浴びせると、彼はびっくりしたのか尻餅をつき、一目散に逃げ出していく。

 

「ヒエ~ッ!怖いザンスぅ〜っ!」

 

「うちのティラノちゃーん!助けてほしいッスよーっ!」

 

驚いた2人はそう口々に言いながら、ティラノの方へ逃げていったのだった。

 

 

その頃、マルムは管制塔から未だティラノと押し合いを続けているパラパラを心配そうに見つめていた。

 

「パラパラ…頑張って…!

鈴木さん!お姉ちゃんは!?お姉ちゃんの飛行機は!?」

 

「…ダメだ!さっきの騒ぎで完全に破壊されてしまった…。

これでは管制作業など不可能だ…」

 

「そんな…!」

 

悔しそうに拳を握りしめた鈴木だったが、そんな彼のインカムから声が聞こえてきた。

 

『こちらDL715…管制塔…応答して下さい…応答して下さい!…』

 

音質は極めて悪いものの、リアスの無線を拾うことができたのである。すぐさま鈴木は通話ボタンを押し、リアスとの会話を試みる。

 

「『リアスさん!こちら管制塔の鈴木!聞こえますか?』」

 

『…聞こえます!…すぐに…着陸許可をお願いします…!』

 

「『僕もすぐにそうしたいところなのですが、今滑走路はそれができる状態ではありません。今しばらく上空で待機を…』」

 

『…でも、燃料が漏れているみたいで…これ以上飛行を続けられそうにないんです!…』

 

「何だって!?」

 

「ええっ!?」

 

これにはマルムと鈴木も驚いた。燃料漏れを起こしているとなれば、今すぐにでも着陸しなければ行けないからである。

 

 

その頃、上空ではリアスが無線で鈴木とやり取りをしていたのだが、彼女の後ろから心配そうな声が聞こえてきた。

 

「燃料が漏れてるんですか…?」

 

「!?…レックス!大丈夫?」

 

「ええ…何だか悪い夢を見ていたようで…気分も最悪です…」

 

「すぐに地上に降りられるよう努力するから、もう少し頑張って!」

 

「でも、地上ではガブ達が戦ってるんですよね…?」

 

「それは分かってるわ。でも、このまま燃料がなくれば、どっちにしても強行着陸しなくちゃ…」

 

リアスの言葉を聞いたレックスは、不安そうに俯くのだった…。

 

 

戻って地上の滑走路では、遂にパラパラが押し負けてティラノに踏みつけられていた。

それを見たリュウタは、1枚の技カードを取り出してディノホルダーにスキャンした。

 

「ガブ!イナズマ!パラパラを助けるんだ!『雷撃一閃(バスタードスピア)』!」

 

するとガブとイナズマが黄色い光と電撃に包まれ、自慢の大角に電撃を纏わせていく。

そしてその角を高く掲げると、ティラノに向かって突進し、その雷槍で貫いた。しかしこれだけでは終わらない。その勢いのままに突進を続け、アクト団のロケットへ諸共に突っ込んだのだ。

ティラノの体とロケットを凄まじい電撃が包み込み、機体のあちこちで小規模の爆発が起こる。致命的なショートが発生したのだ。

そしてティラノがカードへ戻っていくのと同時に、ボロボロになったロケットから操縦室がポロリと転がり落ちた。どうやらここが緊急脱出用のポッドにもなっていたらしい。だがこうなってしまっては使えるはずもないだろう。

 

「あぁ…いつもこうザンス…」

 

「何やってんだい!とっととカードを拾ってくるんだよぉ!」

 

いつの間にか背後にいたウサラパに叱咤され、エドとノラッティ〜はティラノとスピノのカードを回収しに走った。

しかし回収したカードの中にメガラプトルのカードがないことに、ウサラパが不思議そうな顔をする。

 

「あらぁ?アンタ達、メガラプトルのカードは?」

 

「それが…」

 

「そのッスね…」

 

そんな彼らの後方では、レクシィがどけた足の下からリュウタがメガラプトルを、オウガが『スカイダイブ』のカードを拾い上げていた。

 

「カーバ!メガラプトルのカードならこっちだよーっ!」

 

「ケツァルコアトルスの『スカイダイブ』も俺達がいただきましたよ!」

 

「えーっ!?何やってんだいアンタ達!」

 

「う…うるさいッスよ!あの怖いティラノからカードを掠め取れる訳ないじゃないッスか!」

 

「そもそもウサラパ様も何やってたザンスか!」

 

「そうッスよ!『今すぐ会いたいこの気持ち〜』…な〜んて言ってたッスけどぉ?」

 

痛いところを突かれたウサラパは顔中から冷や汗を流したが、すぐにそれを振り払い、逆ギレし始めた。

 

「お黙りーっ!アタシだってたまには乙女になることもあるんだわさーっ!…アタシ…だってぇ…」

 

そこまで言ったところでウサラパは瞳を潤ませ、涙を流し始めた。よほど悔しかったのだろうか。

そんな彼女に聞こえないように、ノラッティ〜とエドが囁やき合う。

 

「フラれたザンスね?」

 

「みたいッスねぇ…」

 

「あのさぁ、そんな話してる場合〜?」

 

リュウタの声にウサラパ達が振り向くと、そこにはDキッズの恐竜達が並び立っていた。

皆ウサラパ達へ厳しい視線を送っており、特にレクシィが牙を剥き出しにして唸った時、3人は飛び上がって逃げ始めた。

 

「「「ぎゃあああぁぁぁぁ!!!」」」

 

「覚えてらっしゃい!次は必ずビビらせてあげるからーっ!」

 

そう言って彼らは壊れかけの脱出ポッドに乗り込むと、あちこちから煙を吹き出すポッドを何とか操りながら空の彼方へ消えていったのであった。

そしてそことは反対の方角の空からは、リアスの飛行機が今まさに着陸しようと降りてきている光景が目に入ってきた。

 

「あっ!あれは!」

 

「リュウタ!あの飛行機は?」

 

「リアスさんとレックスが乗ってる飛行機なんだ!」

 

「何だって!?こんな酷い状態の滑走路へ降りてこようとしてるの!?」

 

その様子を、管制塔からマルムと鈴木も心配そうに見守っている。

そして機内では、リアスが慎重に操縦桿を操作していた。横目で燃料を確認するが、もう殆ど残っていないようだ。

進路を確認したレックスが、心配そうに声をかける。

 

「リアスさん!このまま着陸したら…あの穴に…!」

 

「分かってるわ。でも、もう他の飛行場へ行く燃料がないの…。やるしかないわ…」

 

絞り出すようにそう言うと、リアスは目の前のボタンを操作し、ランディングギアを下ろした。

そして、そのまま穴だらけの滑走路に向かって降下していく。

 

その様子を、管制塔で見ていた鈴木が絶望した様子で口にした。

 

「…ダメだ。突入速度が速すぎる…。このままじゃ助からないぞ!せめて…パラシュートのようなスピードを弱められるものがあれば…」

 

その言葉を聞いたマルムは、何かを思いついたかのようにディノホルダーを弄り、1枚のカードを取り出した。

 

「そうだわ!…あった!『朋鋼翼撃(メタルウィング)』!」

 

声を潜めながらマルムがディノホルダーにカードをスキャンすると、パラパラの嘶きと共に3体のプテラノドンが姿を現す。そしてリアスの飛行機の方へ向かっていくではないか。

そして、それを見たオウガもマルムの考えを察したのか、先程拾ったカードをディノラウザーにスキャンした。

 

「そうか!マルムはプテラノドンで…!なら俺達もやるぞ!レクシィ!『スカイダイブ』!」

 

赤い光に包まれたレクシィが咆哮を上げると、その背後からケツァルコアトルスが姿を現した。

しかしこちらは先程メガラプトルが呼び出したものとは違い、青いトサカに灰色の体と異なる色の上に、体格もかなり大きい個体だった。

そしてケツァルコアトルスも翼をはためかせて飛び立つと、プテラノドン達と共にリアスの飛行機へ向かっていく。

そして、プテラノドン達は両翼と尾翼を、ケツァルコアトルスは飛行機の胴体を足でしっかりと掴むと、翼を大きく広げたのである。

すると、飛行機はまるでパラシュートを付けられたかのように急速に減速していき、手前の穴を超えたところで地上へと降り立った。

ケツァルコアトルスが加わっていたこともあり、前方に広がっていたもう1つの穴からはかなり間を空けて降り立つことができたようである。

 

「やったぁ!」

 

「よし!やったぞ!」

 

「イエーイ!」

 

「はぁ…助かった…」

 

「良かったぁ…」

 

役目を終えた翼竜達をオウガとマルムがカードへと戻したところで、リュウタと共に無事にリアスとレックスが地上へ戻れたことを喜びあったのであった…。

 

 

その後、ようやく落ち着いたリアスとレックスが飛行機から降りてくるところを、オウガとリュウタが出迎えた。

 

「リアスさん!レックス!」

 

「2人とも、大丈夫だった?」

 

「はぁ…もう2度と地面に立てないかと思ったよ…」

 

「でも、無事だったみたいだし…どうしたんだよお前、顔色悪いぞ…?」

 

「ちょっと酔ったのよね?」

 

「あ…はい、ええ…」

 

そう答えるレックスの脳裏には、先程過った光景が再び映し出されていた。それが何だったのかは全く分からないが、とにかく恐怖を覚えたことだけは確かだったようだ。

 

「…なぁ、本当にどうしたんだ?レックス…?」

 

「何か考えていたように、俺には見えたけど…」

 

「…いや、何でもない…」

 

「なぁんだ!お前もガブやイナズマと一緒で、飛行機が苦手だったんだな!」

 

「そういう問題なのかな…?」

 

そう言って豪快に笑うリュウタや呆れ顔のオウガとは対照的に、レックスはまだ何かが引っかかるような表情を浮かべていたのだった。

と、そこへ管制塔から下りてきたマルムと鈴木も駆けつけてくる。

 

「お姉ちゃーん!」

 

「リアスさん!」

 

「マルム!それに鈴木さん!ご心配おかけしました。ありがとうございます」

 

「何にせよ、助かって良かったですよ」

 

リアスと向かい合ってそう労いの言葉をかける鈴木を、マルムは見上げながら言葉を続けた。

 

「アタシ、鈴木さんのこと誤解してた!」

 

「えっ?」

 

「動物が嫌いなのに、恐竜がいる前であんなにお姉ちゃんのために頑張ってくれるとは思わなかったもの!」

 

「いやぁ…管制官としての任務を全うしたまでだよ」

 

「だからアタシ、応援するわ!お姉ちゃんと鈴木さんのお付き合い!」

 

「「えーっ!?」」

 

マルムの言葉に、何故かリアスと鈴木は驚いた。それを不思議そうに見つめるマルムに、リアスは静かに告げる。

 

「…マルム何言ってるの?鈴木さんにはもう奥さんがいるのよ?」

 

「えーっ!?お姉ちゃん、鈴木さんに会いたくて飛行機に乗りに来てるんじゃなかったの!?」

 

「私は飛行機が楽しみなだけっていつも言ってたでしょう?」

 

「…あれ、マジだったんだ…」

 

「当たり前じゃない。何勝手に気を回してるのよ…」

 

「なーんだ!マルムの勘違いかよ!だから言っただろ?そんなムキになることないって!こうなった時恥ずかしいのはマルムなんだぜ?」

 

「そうだな。そういうことなら、オウガが今日ミサさんの買い出しを手伝いに行ってたってこともきっと誤解で…」

 

「え?俺は今日ミサさんの買い出しのお手伝いをさせてもらってきたけど…」

 

「やっぱりそっちはそうだったんじゃない!フケツよフケツ!」

 

「そっちはホントなのかよ…」

 

凄まじい剣幕でオウガに詰め寄るマルムを見て、リュウタが呆れたようにそう口にした。

と、そこで鈴木が思い出したかのようにリアスに話しかける。

 

「そうそう、リアスさん。僕と付き合わなくても、毎日歯を磨いて、お風呂にも入った方がいいですよ?」

 

「え?私毎日歯は磨いてるし、お風呂だって…」

 

そう言いかけたところで、リアスはそんな風説を口にした犯人に気がついた。

 

「…マルム?」

 

しかし、その場にマルムの姿はなかった。

さっきまでオウガに掴みかからんばかりの勢いだったというのに、いつの間にかいなくなっていたのである。

そしてターミナルの方へ逃げていくマルムを見つけ、声を張り上げた。

 

「マルム!待ちなさい!…もう、あの子ったら…後で覚えてなさい…」

 

「何が何だか分かりませんけど…いいじゃないですかリアスさん。マルムのお陰で、僕達も助かったんですし」

 

「そうだよ!おまけにこのメガラプトルのカードと…」

 

「ケツァルコアトルスの技カード『スカイダイブ』も手に入ったしね。それと…これ!」

 

「…ん?何だそれ?」

 

「『暫流剣(ウォーターソード)』っていう水属性の技カードみたい。あいつらが落としていったのを拾ったんだ!」

 

「本当か!?やったなリュウタ!オウガ!」

 

「んもう…」

 

マルムも貢献したとなっては強く責められないのか、リアスが仏頂面を浮かべる。

だが、そんな彼らとは対照的に、鈴木は訝しげな表情で管制塔を見つめていた。

 

(…それにしても…突然現れて突然消えていった、あの恐竜達は何だったんだろう…?)

 

その疑問だけは、いつまでも彼の心に残り続けていたのであった。

しかしその真実と真相を、彼が知ることはないのだろう…。

 

 




今回の恐竜解説!

「今回の担当は私!古代博士だ!
今回紹介するのは、史上最大の略奪者『メガラプトル』!かつては最大級のラプトルとしてその名が知られていた恐竜だな!
名前の意味は、「巨大な略奪者」!これは説明する必要もない、そのままの意味だな!
この恐竜の化石が見つかったのは南米のアルゼンチンでな、その時に発見された35センチもの巨大な鉤爪から、それがドロマエオサウルス類の特徴である足の鉤爪・シックルクローだと推測されてこう名付けられたのだ。
しかし最近発見された本種の前足にこのシックルクローをあてがったところ、これがドンピシャ!ピッタリ嵌ったのだ!つまりラプトル特有の後ろ足ではなく、前足にシックルクローを備えていたということだな!
それに従って分類も見直され、現在はカルカロドントサウルス、もしくはティラノサウルスの仲間ではないかと考えられているぞ!
こうして新しい化石の発見により、恐竜の姿は時に全く変わってしまう!だから恐竜研究はやめられないのだ!」


ということで、今回はここまでです。
飛行機回ということで、どうしてもケツァルコアトルスは出したかったので、それを考えてプロットを組んでみました。
そして、強さ2000と最上級の風属性恐竜にも関わらず終始ボコられっぱなしのメガラプトルもあまりに不憫に感じたので、少しでも見せ場を作ってあげようと頑張ってみました。お楽しみいただけましたら幸いです。
それでは次回第22話『ネス湖の怪物!幽霊恐竜ネッシー浮上!』水の中から迫ってくるのは、ネッシーだけではないかもしれません…。では、次回をお楽しみに!

第26話の原作「恐竜遊園地で大儲け!」にあたるエピソードでマルムの第2のパートナー恐竜を登場させたいと考えております。つきましては、私が選出した候補からどれが相応しいか皆様からご意見を伺いたいのです。もしよろしければ、以下のうちから1つを選んでご回答下さい。

  • ランベオサウルス
  • エドモントサウルス
  • カロノサウルス
  • コリトサウルス
  • オウラノサウルス
  • ディプロドクス・ハロルム(小)
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