古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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今回は後編になります。
それでは、今回も最後までお楽しみ下さい。




後編

その頃、Dキッズは宿へと引き返し、古代博士やTVクルー達に自分達の見たことについて説明していた。

 

「何っ!?ネッシーの幽霊を見た!?」

 

「あぁ!突然消えちまったんだ!」

 

「本当に一瞬だったんです!俺達が湖に落ちたガブを助けているほんの僅かな間に、姿を消していたんですよ!」

 

「あのジョンとかいう男の子が言ってたこと、もしかしたら本当なのかも…」

 

「だーからー!森に行かなきゃ良かったんだ〜…。

結局何もいなかったしぃ〜…。折角のチャンスをみすみす見逃すとは、隊長失格だぁ…」

 

どうやらカメラを伴って目撃情報のあった森へ向かったものの、空振りに終わったようだ。

地面に突っ伏して号泣する古代博士をよそに、三畳TVのディレクターがDキッズに問いかけてきた。

 

「まあ、話は分かったんだけど…それで証拠は?

写真とか動画とか撮ってないの?」

 

「それは…一瞬のことだったから…」

 

「ガブを助けるのに精一杯だったから、オレ達にそんな暇なんて無かったよ…」

 

当然ながら、Dキッズは証拠品になるようなものを持っていない。彼らとしてもそんな暇など無かったのだ。

と、そこで古代博士が飛び起きた。先程まで突っ伏して泣いていたというのに、彼の表情はやる気に満ちていたのである。

 

「まあ!肝心なのはこれからだ!幽霊ネッシーを捕獲するぞーっ!」

 

そう高らかに宣言し、古代博士はどこからともなく巨大なたも網を取り出した。どうやらそれでネッシーの幽霊を捕まえるつもりらしい。

これにはDキッズの面々も呆れ気味であった。

 

「幽霊を捕まえるって…」

 

「言ってることが滅茶苦茶だよ…」

 

「そもそも相手は幽霊とは言えネッシーだよ?あんなたも網じゃ歯が立たないんじゃ…?」

 

「出発だーっ!スタッフは私に続けーっ!」

 

「はい!隊長〜ッ!」

 

Dキッズの視線と言葉も気にせず、古代博士はTVクルーを引き連れて、またネッシーの幽霊の捜索に出かけていってしまった…。

そんな1団をため息交じりに見送っていたDキッズだったが、彼らのディノホルダーやディノラウザーから甲高い通知音が鳴り出したのだ。先程のアマルガサウルス出現を感知したのである。

 

「ネス湖だ!」

 

「やっぱりここみたい!」

 

「しかも赤い反応…!これはさっきまでのとは違う恐竜が現れたってことだね!」

 

「じゃあネッシーは幽霊なんじゃなく、カードの恐竜だったってことか…?」

 

「考えてみれば、ガブが幽霊を追いかけるなんておかしいもんな…」

 

「とにかく、皆で手分けして探しに行こうよ。

俺は引き続きオレンジの反応を追ってみる。皆は赤い方の反応をお願いできるかな?」

 

「よっし!分かったぜ!Dキッズ調査隊、出動だーっ!」

 

オウガの提案を受けて、Dキッズは4人それぞれで散らばってネッシーの捜索を始めることにしたのだった…。

 

 

その頃 ネス湖湖畔の洞穴

 

ウサラパ達は小さな洞穴に潜水艦を着岸させ、爆発四散した潜望鏡を修理していた。

エドとノラッティ〜がアクトロイドと共に修理及び改造に当たっている中、ウサラパは潜水艦の上に寝転がって寛いでいる。

本当にいいご身分である。

 

「お前達、まだかぁ〜い?ネッシーがこの近くにいることは間違いないんだよ。

早くしないと、またガキンチョに取られちゃうじゃないかぁ…」

 

と、そこでノラッティ〜がクルクルと回りながらウサラパの視界に現れた。

どうやら修理が終わったようである。

 

「お待たせーしましたザーンス!ザーンス!」

 

「潜水艇の改造、完了ッス!」

 

「どれどれ?…おお〜!いいじゃないかぁ〜!この顔ならきっとネッシーもメロメロ間違いなし…」

 

その時、突然辺りが暗くなった。不思議に思ったウサラパ達が洞穴の出入り口の方を見ると、何か大きなものが洞穴の前を横切っていっているではないか。

先程現れたアマルガサウルスが上陸し、ちょうど洞穴の前を通りかかったのである。

 

「う、ウサラパ様!あれ!」

 

「あーっ!ネッシーみーっけ!さあ頭付けて出発だよーっ!」

 

「「ヘイヘイホーッ!」」

 

そして3人は修理が完了した潜水艦に乗り込むと、アマルガサウルスの後を追いかけていったのであった…。

 

 

その頃、Dキッズ達は4人に分かれ、めいめいのディノホルダーやディノラウザーを見ながらネッシーの捜索にあたっていた。

 

「ネッシー!どこー?」

 

「ネッシー!」

 

「どこだー?ネッシー!」

 

「ネッシー!…って、呼びかけても答えてくれるわけないか…」

 

そして、オウガとレクシィ、アメジストが砂浜に打ち捨てられた手漕ぎボートの近くを通りかかった時だった。

その手漕ぎボートの中から声が聞こえてきたのである。

 

「そうさ。幽霊を呼んだって無駄だよ」

 

「え?…あっ!君は!」

 

そしてボートの中から姿を現したのは、先程彼らの前にも現れたジョン少年であった。

 

「へへ〜ん」

 

「君はさっきもそんなこと言っていたけど、ネッシーは生きてるんじゃないか?もし良ければ、本当のことを教えてほしいんだ」

 

そうオウガが問いかけると、ジョン少年はどこか物憂げな表情で足元のレクシィとアメジストに視線を落とした。

 

「…ねぇ、さっきから気になってたんだけど…こいつらトカゲだって言う割には、ティラノサウルスとステゴサウルスにそっくりだよね」

 

「え?あっ、それは…」

 

オウガが答えに詰まっている間に、ジョン少年はレクシィとアメジストの頭を撫でてやる。

レクシィはすぐにその手を躱してオウガの後ろに隠れてしまったが、アメジストは大人しく撫でられていた。時折心地よさそうな声も上げている。

 

「アハハ、けっこう大人しいんだね。そっちの子はごめんね。人見知りだったのかな」

 

しかしジョン少年はレクシィから拒絶されたことはそこまで重く感じてはいないようで、むしろ彼らと触れ合えることを喜んでいるようにすら思える。

 

「よ~しよしよし…」

 

「君、恐竜好きなのかい?」

 

「うん!…なぁ、いいこと教えてやろうか?」

 

「…いいこと?」

 

「ネッシーが死んだっていうの…あれ、ウソなんだ」

 

「やっぱり…。でも、それならどうしてあんな事を?」

 

「…幽霊だって言えば、みんな怖がるだろ?ネッシーを見世物にする連中から、ヤツを守ることができる」

 

『…ほう…』

 

ジョン少年の言葉に、レクシィは感心したような言葉を吐いた。

彼女もかつて見世物にされていた身として、共感できるところがあったのであろう。

 

「それで、あのお爺さんからオオカミ少年のように扱われても、ネッシーの幽霊だって主張してたんだね…」

 

「あいつだけじゃない。この町の大人はみんな同じさ。みんなネッシーを…尊ぶべき神秘の生き物じゃなく、地元にお金を落とす客寄せパンダ位にしか感じてないんだよ。ここに来る大人も同じさ。みんなもしもネッシーが捕まったら、その後どんな酷い目に遭うかなんて考えてすらいないんだ」

 

「…確かに。皆見つけて捕まえることに夢中で、その後ネッシーが受けるであろう待遇については知ったことじゃない、ってスタンスなのかもしれないね。

どうせいないだろうなと思って来たとは言え、そこは俺達も反省しなきゃいけないな」

 

「それに、オイラは何だかネッシーを友達みたいに感じてるんだ!実は一度しか見たことないんだけどね」

 

ジョン少年の口から衝撃の発言が飛び出した。なんと彼はネッシーと遭遇したことがあるのだという。

これにはオウガも驚いた。

 

「!君、ネッシーと会ったことがあるんだ!てっきり本当にいないものだと…。それで、どんな感じだったの?」

 

「それが、よく覚えてないんだ。すっげー小さい頃だったし…もう一度会いたいな…ネッシーに…」

 

思い出に浸るかのようにそう呟くと、ジョン少年はネス湖の沖の方へ目線を移した。

オウガもそれに続き、同じ方を見る。

 

「…きっと、会えるよ」

 

「えっ…?」

 

「君が一心かつ誠実にネッシーのことを想い続ければ、きっと…いや、必ずネッシーは応えてくれるよ。

俺も…そうだったからさ…」

 

「…じゃあ…そいつらってやっぱり…」

 

ジョン少年の言葉を、オウガは肯定も否定もせず、代わりにレクシィとアメジストに手を伸ばして撫で回してやる。アメジストは嬉しそうに、レクシィもオウガにぴったりとくっついたまま大人しく撫でられていたのだった…。

 

と、その時だった。

突然彼らの目の前の水面が騒ぎ出したかと思うと、そこから長い首を持った巨大な生物が現れたのである。

しかし、ネッシーではない…。卵型カプセルから現れた、あのアマルガサウルスだ!

 

「まさかあれが…ネッシーの正体か…?」

 

「で、でも…あんなトゲトゲ…」

 

「あの鬣のような背骨を持つ恐竜は…アルゼンチンで見つかった小型竜脚類・アマルガサウルスしかいない!バジャダサウルスなら首の棘突起は前向きに伸びているはずだからね!」

 

そして、アマルガサウルスを追いかけるようにもう1つの影が水中から現れた。

 

「な…何だあれは…!」

 

「オウガ!あれは!?」

 

「今すげぇ水飛沫が上がってたけど、ネッシーが出たのか!?」

 

そこへリュウタとレックスも駆けつけてくる。そして彼らの視線の先に現れたのは…アクト団の首長竜型潜水艦だった!

しかし、頭部は何故かウサラパを模したものになっており、更に両目は魚眼のようになっているため、控えめに言って気持ち悪い。

 

「「「「えっ…?」」」」

 

「何あれ…気持ち悪っ…」

 

「あっ!あれを見ろ!」

 

そう叫んでリュウタが指さした先には、ハッチを開けて顔を見せたウサラパ達の姿があった。

 

「オーッホッホッホッホ!どうだい?これがアタシ達の新兵器!名付けて!」

 

「「「レディーネッシーよぉ〜ん!うっふ~ん♡」」」

 

ウサラパ達の紹介と共に潜水艦・レディーネッシーはクネクネと首を動かしてからウインクをした。

動くと更に気持ち悪さが際立っている。

 

「…レディーネッシー…?」

 

「気色わりぃ〜…」

 

「あれじゃネッシーも気味悪がって近寄らないよ…」

 

「ねぇ!誰なの?何なのあの人達!?」

 

「あいつらはアクト団っていう悪の秘密結社で…」

 

「オウガ!今はこの子を安全なところへ避難させないと!

ここは危険だ!早く向こうへ!」

 

オウガ達がそんなことを話している間に、レディーネッシーをひと目見たアマルガサウルスはギョッとした様子で逃げ出した。

 

「あらま!ネッシーが逃げていくじゃないかぁ!」

 

「おかしいザンスねぇ…。せっかくチャーミングなレディーに改造したザンスのに…」

 

「追うよっ!」

 

どうやらレディーネッシーのデザインに余程自信があるようで、ウサラパ達は首を傾げていた。

しかし、目の前の恐竜を見逃すほど彼らも愚かではない。すぐさま潜水艦の中へ引っ込むと、アマルガサウルスを追いかけ始めたのであった。

そしてその後を、オウガとリュウタも岸から追いかけていく。

 

「あいつら〜!」

 

「どこまで恐竜を馬鹿にすれば気が済むんだ!」

 

一方でアマルガサウルスは、潜水艦が水上を追いかけてくることに勘づいたのか陸へと上がっていた。

これで追跡を振り切りたいと考えていたようだが、そう簡単に事は運ばなさそうだ。

 

「いくよ!捕獲作戦開始っ!」

 

「了解!メカ魚雷1号発射ッス!…ポチッとな」

 

ウサラパの指示を受け、エドが目の前のドクロマークのボタンを押す。すると潜水艦の後部に連結されていた砲台から魚雷が発射され、アマルガサウルスの目の前で爆裂した。すると中からイカのような見た目のアクトロイド達が現れ、アマルガサウルスに飛びついたのである。

アマルガサウルスは突然現れたアクトロイドに戸惑ったものの、あっさりと振り払ってしまった。

思った以上に非力である。

 

「いくぞガブ!イナズマ!アマルガサウルスを助けるんだ!」

 

『ガァブッ!』

 

『ゴロロロッ!』

 

「俺達も行こう!レクシィ!アメジスト!」

 

『…いいだろう』

 

『キュッキューッ!』

 

その隙にオウガとリュウタはそれぞれのチビ恐竜をカードへ戻し、ディノラウザーやディノホルダーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ!轟け!トリケラトプス!スティラコサウルス!」

 

ゴオォォォォォ!!!

 

ギュオォォォォォ!!!

 

「ディノスラーッシュ!

燃え上がれ!ティラノサウルス・レックス!

揺るがせ!ステゴサウルス!」

 

ゴガアァァァァァッ!!!

 

ケエェェェェ…!!!

 

計4体の恐竜達が成体となって降り立つと、周囲がバトルフィールドに変わっていく。

 

「えっ?どこ!?」

 

唯一アマルガサウルスを見つけることができていないマルムは、突如展開されたバトルフィールドに困惑していたのだった。

 

戻ってアマルガサウルスが出現した地点では、並び立つレクシィ達を見て、ジョン少年が興奮していた。

 

「すっげぇ!何だありゃあ!?」

 

「このことは内緒だよ!」

 

大興奮のジョン少年にレックスがそう釘を刺す。そしてまずはガブとイナズマが、アクトロイド達に取り囲まれたアマルガサウルスのもとへ駆け出していった。

そしてアクトロイドを蹴散らし、アマルガサウルスを守るように立ち止まる。

しかしそんな2体を、アマルガサウルスは首で薙ぎ払った。

 

「ガブ!イナズマ!」

 

「そうか!アマルガサウルスはアクト団にちょっかいをかけられたせいで苛立っているんだ!

レクシィ達を出した瞬間にバトルフィールドが展開された時点で気づくべきだった…」

 

そう。アマルガサウルスはアクト団の潜水艦に追い回されていたせいで気が立っていたのである。

そのため自分に近づくものに無差別に攻撃する状態になってしまっているのだ。

そして、ガブ達が乱入してきたことをアクト団も把握していた。

 

「あーっ!また邪魔が入ったッス!」

 

「むしろ好都合じゃないか!こうなったらトリケラトプスとスティラコサウルス諸共捕まえるんだよ!

メカ魚雷2号発射ぁ!」

 

「了解ザンス!…ポチッとな」

 

今度はノラッティ〜がボタンを押し、砲台から2つ目の魚雷を撃ち出した。魚雷はまた空中へ躍り出ると爆裂し、中から赤い網が飛び出すとガブとイナズマ、アマルガサウルスを包み込んだ。

まるで投網のようである。

 

「あぁっ!ガブ!イナズマ!」

 

「「やったあ!」」

 

「かかったよ!引っ張れーっ!」

 

「「わっせ…わっせ…わっせ…」」

 

そして、ウサラパ達はレディーネッシーの出力を全開にし、投網を引っ張り出したのである。

ガブ達も必死に藻掻いているものの、このままでは水中に引き込まれるのは時間の問題だ。

 

「まずい!レクシィ!投網を噛み千切ってくれ!」

 

『容易いことだ!』

 

オウガの頼みを受けたレクシィは力強く駆け出していくと投網に食らいつき、力の限り引っ張り返した。

 

「「「あら〜?あららららら…」」」

 

恐竜3体分の重さがかかっても破けない網である。レクシィの咬合力を持ってしても噛み破くことはできなかったが、引っ張り返したことで網がレディーネッシーとの接続部から引き抜かれたのだ。

更にその衝撃でレディーネッシーの艦体に亀裂が走り、粉々に砕け散ってしまった。

これによってレディーネッシーは骨組みを外に晒すことになってしまったのであった。

 

「「「いや~ん♡恥ずかし〜い♡」」」

 

ウサラパ達がバカをやっている間にガブとイナズマも網から脱出することはできたものの、そんな2体に尚もアマルガサウルスは攻撃を加えた。まずはイナズマを首の一撃で森の方へ飛ばし、更に返す首でガブを湖の方へ跳ね飛ばしたのである。

 

「ガブ!イナズマ!」

 

ガブの体は湖に着水し、大きな水飛沫を上げる。

そして横倒しになったガブのもとへ、アマルガサウルスが追撃を加えようとした…が、レクシィがその場に乱入するとアマルガサウルスの尾に食らいついた。

そして大きく振り回すと、また陸地の方へ放り投げたのである。

 

「いいぞ!レクシィ!アメジストは森の方に飛ばされたイナズマのカバーを頼む!」

 

オウガの指示を受けたアメジストは頷くと、森の中へと入っていく。

そしてアメジストと入れ違いになる形でレックスが躍り出ると、ディノホルダーを構えた。

 

「エース!アイン!行くぞ!」

 

『ギャッス!』

 

『グゥ?ギャウギャウギャウ…』

 

アインはレックスの言葉に頷いたものの、エースは首を横に振った。

どうやら超アクトアクロカントサウルスの1件で水嫌いを克服できたのかと思いきや、まだできていなかったようである。

そしてエースはアメジストの後を追うように森の中へ走り去っていってしまった。

 

「おい!水を嫌がってる場合じゃ…エース!

…仕方がない!アイン!いくぞ!

ディノスラーッシュ!吹き抜けろ!アロサウルス!」

 

グゥガアァァァァァ!!!

 

アインも成体となって召喚されると、アマルガサウルスのもとへ向かっていく。

そして、その様子を静観できるほどアクト団も寛容ではなかったようで、ノラッティ〜がアクトホルダーを手にハッチから姿を現す。

 

「さぁーっ!スピノちゃんの出番ザンスよぉーっ!

アクトーッスラッシューッ!」

 

グァギュオォォォッ!!!

 

アクトホルダーにカードを通されたことでスピノも成体の姿で召喚された。

…レディーネッシーの上に、であるのだが。

 

「うわーっ!沈むーっ!」

 

「このおバカ!早く降りさせるんだよぉ!」

 

そのウサラパの指示を聞いたせいなのか、スピノは弾みをつけてから大きく跳躍し、一気に波打ち際へ上陸した。そして一気にアインとアマルガサウルスが争っていく現場に向かおうとしたのだが…。

 

ゴガアァァァァァッ!!!

 

その行く手をレクシィが塞ぎ、咆哮を浴びせる。

すると、やはりと言うべきかスピノは立ち止まって後退り始め、レディーネッシーの方へと逃げ出してしまった。

 

「スピノが逃げてるッス!」

 

「何やってんだい!早く向かわせるんだよーっ!」

 

「あのティラノに居座られてたら行けないザンスーッ!」

 

その時、次々に新手の恐竜が現れたことに危機感を覚えたのか、アマルガサウルスが高く嘶きを上げた。

するとその体を青い光と水流が包み込み始める…。技を使うつもりなのだ。

しかし、この場にいる全員は知らないが、卵型カプセルに入っていたのはアマルガサウルスのカード1枚だったのである。

それなのに何をしようとしているのだろうか…。

 

「!?オレンジの反応が…!」

 

そこで、オウガはディノラウザーの画面を見て驚いた。オレンジの反応…レクシィと同じ世界からやってきた恐竜、もしくは生物が急速にこの場へ近づいていることが分かったのである。

そして弾けるように湖の方へ彼が目を向けると、水面をかき分けながら巨大な影が一直線にスピノ目掛けて迫っているのが見えたのだった。

 

一方、レディーネッシーの方へ逃げ帰ろうとしていたスピノは、途中ではたと足を止めた。

何故かウサラパ達がこっちに来るなと必死にジェスチャーをしているのである。

だが陸地にはあの恐ろしい方のティラノが待ち構えている。とてもあそこへは行きたくない。

まさに二進も三進もいかない状況でどうしていいのか分からずにその場に突っ立っていると、突如として彼の体が巨大な何かに突き上げられた。

何が起こったのか分からず手足をばたつかせるスピノ。そして彼が最後に見たのは、自分に食らいつこうと大口を開けて水面から飛び出した…巨大な海棲爬虫類の姿であった。

 

突如として水中から姿を現した巨大な体躯に、オウガ達は圧倒されていた。

 

「なんだ…あれ…!?でっけぇ…!」

 

「間違いない!あれはモササウルス!白亜紀後期の海の王者だ!」

 

彼らが見つめる中でモササウルスはスピノを突き上げて空中で食らいつき、そのまま諸共に湖の中へと沈んでいった。

そしてしばらく静寂な時間が流れた後、水面にプカリと浮かんできたものがある。

それは、スピノの恐竜カードであった。

 

『やはり、私の予感は的中していた…。

私と青い略奪者ですら倒し切ることができなかったあのインドミナス・レックスを…突如現れたかと思えば水中へと引きずり込んだ…あの生き物…。

ここに現れたのは、やはりヤツだったのか…!』

 

レクシィがそう呟き、ゆっくりと後退って水の中から陸へと上がる。

その顔には、冷や汗すら浮かんでいるように見えた。珍しくレクシィが恐怖しているのである。

 

一方、モササウルスの巨躯に圧倒されていたウサラパだったが、気を取り直したかと思うとすぐさまノラッティ〜とエドに指示を飛ばす。

 

「あぁぁ、スピノちゃ~ん!…ほらっ!早くスピノちゃんのカードを回収してくるんだよ!」

 

「えーっ!?あんなバカでかいのが潜んでる水中になんか入りたくないザンスよ〜!」

 

そのようにしてアクト団が揉めている間も、アマルガサウルスは手を緩めない。

再び高く嘶いて技を発動させると、再びモササウルスが現れ、今度はガブのもとへと迫っていったのだ。

 

「危ない!ガブ!避けろ!」

 

リュウタが声を張り上げて指示を出したが、もう手遅れだった。

モササウルスに下から突き上げられて宙を舞ったガブは、そのまま咥えられて諸共に水中へ連れ込まれたのである。

しかし、この時モササウルスはDキッズにとって好都合な行為に出た。

水中へ戻る際に、たまたまアクト団のレディーネッシーに倒れ込んだのだ。

 

「「「ギャーーーーッ!!!」」」

 

骨組みだけになったレディーネッシー号はあっさりと潰され、小規模な爆発と共に水中へと沈められる。

それからようやく浮かび上がってきた3人は、イカ型アクトロイドで作られた即席イカダに乗っていた。

その手にはスピノのカードを握っているあたり、彼らの決死の努力が窺える。

 

「はぁ〜っ…死ぬかと思ったザンスぅ…」

 

「今日のところはひとまず引き上げるんだよぉ〜…」

 

「ッスぅ〜…」

 

そう言い残すとウサラパ達はイカダに運ばれ、どこかへと消えていったのであった…。

 

しかし、オウガ達はそうもいかない。

彼らはアマルガサウルスに加え、モササウルスまで相手取らなければいけなくなってしまったのである。

 

「とにかく、アマルガサウルスを倒さないと…!レクシィ!いけるか?」

 

『…アマルガサウルスならば、私の力でも倒せる。だがあのデカブツは無理だぞ?』

 

「問題ない!これまで通りならアマルガサウルスを倒せばカードに戻ってくれるはずだよ!

いくぞ!『大炎爆発(ビッグファイアボム)』!」

 

オウガが技カードをディノラウザーにスキャンすると、レクシィの体を赤い光と炎が包み込み始める。そしてレクシィは口に炎を溜め込んでから高く跳躍すると、アマルガサウルスに向けて真っ逆さまに落下していく。

そしてアマルガサウルスに食らいつくと、口に溜めた炎を思い切り爆発させたのだ。

爆発によって燃え広がる炎の中でアマルガサウルスはゆっくりと倒れ、カードへと戻っていった。

 

「よし、やったぞ!」

 

「やったなオウガ!これで…えっ!?」

 

オウガに駆け寄り、労おうとしたリュウタが驚いた様子を見せる。なんとモササウルスは、カードに戻っていなかったのだ。

それどころかレクシィ達には目もくれず、一直線にオウガ達がいる岸辺へ進んでいっているのだ。

 

「まずいぞ!あいつカードに戻らない!」

 

「それどころか、狙いを僕達に切り替えたみたいだぞ!」

 

「どうしよう…。このままじゃ俺達…!」

 

状況を見たレクシィとアインが走り寄ってこようとしているものの、このままでは間に合いそうにない。

このままオウガ達は、モササウルスに丸呑みにされてしまうのだろうか…?

否、そうなるはずがない。まだDキッズはもう1人いるのだから。

 

「待たせたわね!みんな!」

 

その言葉にオウガ達が振り向くと、そこにはマルムとパラパラがいた。そして彼女の周りにはアメジストとイナズマ、そしてどこかへと姿を消したエースが一緒にいた。

どうやらエースがマルムを先導し、ここまで連れてきたようである。

 

「マルム!」

 

「危ないよ!マルム!このままじゃ君も…」

 

「大丈夫!アタシにいい考えがあるの!」

 

そう宣言すると、マルムはパラパラをカードに戻し、ディノホルダーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ!芽生えよ!パラサウロロフス!」

 

キュオォォォン!!!

 

パラパラが成体となって降り立ち、オウガ達を守るように立ちはだかる。

しかしモササウルスは突っ込んでくる勢いを緩めなかった。諸共に食らってしまおうという考えなのだろう。

 

「やっぱり突っ込んでくるわね!それならこれよ!『朋巨大圧(ビッグフットアサルト)』!」

 

そこでマルムが技カードをディノホルダーにスキャンする。するとパラパラが高く嘶きを上げ、それと共にディプロドクス・ハロルムの巨大な足が迫り来ていたモササウルスの頭を踏みつけた。

体の自由を奪われたモササウルスは必死に体をくねらせるものの、踏みつけられた頭を振りほどくことができないようだ。

 

「今よオウガ!あなたも!」

 

「分かった!いくぞアメジスト!『大腕震撃(ブラキオクラッシャー)』!」

 

今度はオウガがディノラウザーに技カードをスキャンする。するとアメジストの足元からブラキオサウルスが姿を現し、両前脚で地面を激しく揺さぶったのだ。

巻き起こった衝撃波がモササウルスの体を襲い、その巨大な体を空中へと跳ね上げる。

 

「トドメは任せたよ!リュウタ!レックス!」

 

「おっしゃー!いくぜイナズマ!『雷角回弾(サンダーバズーカ)』!」

 

「後は任せてくれ!『爆風大渦(ソニックブラスト)』!」

 

リュウタとレックスが同時に技を発動させると、イナズマは黄色の光と電撃に、アインは灰色の光と風に包まれる。

イナズマはその電撃を全身に纏い、アインは大きく息を吸い込んだ。そしてイナズマは空中へ飛び上がると錐揉み回転しながらモササウルスへ突っ込んでいき、そのイナズマへ向けてアインが風の渦を吐き出す。

するとその風がイナズマの『雷角回弾(サンダーバズーカ)』に更なる勢いと回転を加え、飛躍的に威力の上がった一撃がモササウルスの体を撃ち抜いた。

 

「すげぇ…!」

 

大迫力の一撃を目の当たりにしたジョン少年が、感嘆の声を上げる。

そして、諸に『雷角回弾(サンダーバズーカ)』を受けたモササウルスは大きく宙を舞いながら砂浜に落下し、凄まじい地響きを上げた。

そして苦しげに一声鳴いたかと思うと、その体をカードへと戻していき、バトルフィールドも解除されていった。

ようやくモササウルスを討伐できたのである。

 

「やったぁ!みんな最高だぜ!」

 

そう叫びながらリュウタがモササウルスのカードが落ちたところへ向かうと、そこにはガブのカードも一緒に落ちていた。

 

「あれ?何でこいつガブのカードも…」

 

「多分さっきの攻撃でガブのカードを飲み込んじゃってたんじゃないのかな。はい、リュウタ」

 

オウガが彼なりの考察を述べながらリュウタにアマルガサウルスのカードを手渡す。

 

「おっ、サンキュー!へへっ、イヤッホー!感激!」

 

「一時はどうなるかと思ったけど…マルムのお陰で助かったよ。ありがとう」

 

「いいのよ!それよりレックスはエースを労ってあげて!アタシをここまで連れてきてくれたのはあの子なんだから!」

 

「そうだったのか…。ありがとう、エース!」

 

『ギャウ!』

 

こうして戦いの後のひと時を過ごしていたDキッズだったが、そんな彼らのもとへジョン少年が興奮冷めやらぬ様子で駆け寄ってきた。

 

「みんなカッコよかったよ!すっげービックリ!」

 

「ありがとう。俺達の恐竜のすごいところ、見ててくれたよね?」

 

「もっちろん!」

 

と、そこへ不機嫌な様子の声が聞こえてくる。

Dキッズとジョン少年がそちらへ目を向けると、足音荒く歩いてくる古代博士や三畳TVのクルー達、そしてその後ろをオドオドとした様子でついていく宿屋の主人がいたのである。

 

「どこがネッシーなんですかぁ!?お猿さんしかいなかったじゃないですか!」

 

「ウソじゃないって!本当に幽霊ネッシーをこの目で見たんだぁ!…おぉっ?これぞ幽霊ネッシーの痕跡!」

 

そう言うが早いか主人は岸辺の1角に駆け寄っていく。そこには、あのレディーネッシーの頭部が落ちていたのだ。

 

「我が恐竜博物館に、また新しいグッズが増えるぞぉ!これで更に大儲け間違いなしだ!ヘッヘッヘ…」

 

主人はウサラパ顔のレディーネッシーの頭部を撫で回し、その金欲を隠そうともしていない。その姿にDキッズが苦笑いを浮かべていると、そこへ古代博士が近寄っていく。どうやら体力も気力も限界のようである。

 

「結局収穫なしかぁ…トホホホ…」

 

「父さん、これ!」

 

「ん?おおっ!これはアマルガサウルスにモサ…」

 

「「「「しーっ!」」」」

 

思わず恐竜の名前を口走りそうになった古代博士の言葉を4人がかりで遮ると、古代博士も理解したのか口を噤んだ。

そんな彼らの中の…オウガの横へジョン少年が歩み寄っていく。

 

「オイラ達だけの秘密…だよね?」

 

「…勿論さ。それにネッシーも幽霊、なんだもんね?」

 

そう言ってオウガが小さくサムズアップを送ると、ジョン少年はしばらく呆気に取られたものの、すぐにサムズアップを返したのだった…。

 

 

その後、Dキッズ調査隊が当初の宿泊予定先へと向かった頃…ネス湖のすぐ近くの町は恐怖と混乱に包まれていた。

なんとその場には、アクト団のティラノが現れていたのである。しかしティラノは逃げ惑う人々には目もくれず、町の中心へまっすぐに歩いていく。

そこには、賞金のボードを前に腰を抜かした観光協会会長がいた。

 

「ひゃあぁぁぁ…な、何だこれは…!?」

 

「だからネッシーだってばあ…。本当よぉ?アタシ達が捕まえたの!」

 

ティラノに続いてその場に姿を現したのは、ウサラパであった。どうやらティラノをネッシーだと偽って連れてきて、懸賞金だけでも持ち帰ろうとしたようである。

 

「ってことで賞金は〜っ!」

 

「いただいていくッス〜!」

 

そしてティラノをカードに戻すと、素早くエドとノラッティ〜が走り寄って懸賞金のボードを取り外す。

そしてウサラパと共に脱兎のごとく逃げていったのだった。

まるで嵐のように去っていく彼らを見送りながら、会長がポツリと口にする。

 

「あれだけ持っていって…どうするんだろう…?」

 

そう。彼らはクイズ大会に引き続いて、またしても賞金のボードだけを持ち帰ってしまったのである。一度失敗したというのに、全く学んでいないようだ。

これでまた、ソーノイダに怒られることが確定したのであった…。

 

 

その後

 

夜のネス湖を、ウサラパ達を乗せたアクトロイドのイカダが流れていく。

自分達が重大な間違いを犯したということにも気づかず、彼らは上機嫌であった。

 

「やったっ!やったっ!賞金ゲットォ〜♪」

 

「チョロいもんザンしたねぇ〜!」

 

「これでドクターも大喜びさぁ〜!」

 

「「「アーッハッハッハッハッ…」」」

 

そのように高笑いをする3人を、何かの巨大な影が月光を遮る。それに気付いた彼らがそちらを仰ぎ見ると、そこには巨大な体を持つ何かがすれ違っていくところだった。

大きな体、そして上へ伸びた長い首に比較的小さな頭…いずれもネッシーの特徴に当てはまるものである。

彼らが呆気に取られた様子で見送る中、その巨大な何かは霧の中へと姿を消していった…。

 

「…い、今の…」

 

「まさか…ネッシーの…」

 

「「「ユーレイ!?ひぃええええええっ!!!」」」

 

今見たものがネッシーの幽霊だと信じ切り、絶叫を轟かせるウサラパ達アクト団工作員。

しかし、アジ島に戻ってからもう一度絶叫を轟かせることになることを、この時の彼らはまだ知る由もなかったのであった…。

 

 




今回の恐竜解説!

「今回の担当は俺、覇轟オウガだよ。
今回紹介するのは、勇壮なる鬣『アマルガサウルス』!竜脚類の中では比較的小柄な種族だよ。
名前の意味は「アマルガのトカゲ」。発掘地である南米アルゼンチンのラ・アマールガ渓谷に因んで付けられたみたいだね。
竜脚類というとブラキオサウルスやアルゼンチノサウルスのような巨大な種を思い浮かべる人も多いかもしれないけど、このアマルガサウルスは全長12メートルほどしかないんだ。とは言っても他の種族…例えば獣脚類や装盾亜目などと比べれば大きい方ではあるんだけどね。
本種の最大の特徴は、首から背中にかけての椎骨から伸びている長い棘突起だね。近縁種のバジャダサウルスにも見られるこの特徴はどんな役割を果たしていたのか全く分かっていないんだけど…棘突起の間に膜が張っていて体温調節に使ったとは、膜を張らずに棘として捕食者を退けるのに使ったとか、棘突起同士を擦り合わせて音を出し、同種のオス同士での闘争や捕食者への威嚇に使ったという説があるみたいだね。
正直これに関しては…俺もどれが正しいのかはさっぱり分からないよ…。タイムマシンでもないと分からないかもしれないね…」


ということで、今回はここまでです。ようやくモササウルスを登場させることができました。また、本編で不十分だった要素(バトル中に突然いなくなったエースなど)の補完も試みてみました。
加えて、ここで擬似的にではありますが、「サンダーストームバズーカ」のようなものも出してみました。そこまで出し切らないとモササウルスを倒すことはできない、ということを強調するためでしたが、少しモササウルスを贔屓することになってしまったかもしれません。
それでは次回第23話『開幕!恐竜パリコレクション!』是非明後日の更新をお楽しみにお待ち下さい。

※追記:水属性の超技『深淵潜航』の技説明を設定集に追記しました。

第26話の原作「恐竜遊園地で大儲け!」にあたるエピソードでマルムの第2のパートナー恐竜を登場させたいと考えております。つきましては、私が選出した候補からどれが相応しいか皆様からご意見を伺いたいのです。もしよろしければ、以下のうちから1つを選んでご回答下さい。

  • ランベオサウルス
  • エドモントサウルス
  • カロノサウルス
  • コリトサウルス
  • オウラノサウルス
  • ディプロドクス・ハロルム(小)
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