古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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第2話(A)の後編です。
それでは、引き続きお楽しみ下さい。


後編

 数十分後 Dラボ

 

 Dラボに集合したDキッズたちは、テレビで目撃したスピノサウルスを回収する為、急ぎエジプトに向かう事にした。

 だがここで、大きな問題が立ちはだかった。

 

「えっ? 明日の夜の便しかない!?

それじゃダメなんだよ! 今すぐエジプトに行きたいんだ! 何とか頼む!」

 

 そう。今はもう夜であるため、移動手段となる飛行機の便が無いと言われたのだ。しかし飛行機が取れなければ、日本から遠く離れたエジプトに向かうことはできない。それで古代博士は空の足を確保しようと各所へ電話をかけて頼み込んでいたのだった。

 一方でリュウタ達は、ディノホルダーに映されたマップをリアスに調べてもらっていた。

 

「このディノホルダーの光の事はマニュアルに書いてないんですか?」

 

「まだ読んでないの?」

 

 リアスが呆れたような顔でリュウタに冷たい眼差しを向ける。

 その威圧感にたじろぐリュウタを横目に、レックスが口を開いた。

 

「僕は読みましたよ」

 

「えっ? こんな分厚い本をもう読んだの!?」

 

 早速マルムがマニュアルを開いてみるが、その分厚さに対して殆どは白紙のままだった。

 

「お姉ちゃん! これ殆ど何も書いてないじゃない!」

 

「当然でしょ? 石版は謎だらけなんだから。機能を一つ一つ解析してその空白に書き込んでいくのよ」

 

「何よそれー…。怖気づいて損したわ…」

 

 マルムがため息をつき、改めてマニュアルに顔を戻す。

 それからリアスは今度はオウガに向き直り、彼に新たなディノホルダーを手渡した。

 形はリュウタ達のそれとは違い、まるで拳銃のような形状をしている。液晶は持ち手のすぐ上に横倒しになって1対付いており、銃口付近にはジュラシック・アンバーに刻まれていた意匠と同じティラノサウルスの骨格のエンブレムが浮き上がっていた。

 

「はい、オウガ君。これがあなたのディノホルダーよ」

 

「リアスさん、ありがとうございます!

ちゃんと俺が頼んだ通りの形にしてくれたんですね!」

 

「最初聞いた時は何かと思ったけど…参考画像も出してくれたお陰でデザインはしやすかったわ。

どのみち中の構造はディノホルダーとほぼ同じだし、かかる手間は大差なかったしね。

それにしても琥珀を埋め込んだところにこのティラノサウルスのエンブレムがひとりでに現れたのは驚いたわ。一体どんな仕組みなのかしら…」

 

 そうブツブツと疑問を口にしながらも、リアスは再びコンソールに向き直る。

 早速自分専用のディノホルダーを確かめているオウガを見て、リュウタが興奮した様子で近寄ってきた。

 

「おっ、それってもしかしてオウガのディノホルダーか!?

カッコいいなー! それにこの形、オレたちが小さい頃にやってた特撮にこんな感じのがあったよな!」

 

「分かってくれるのかリュウタ! 俺もリアスさんに好きなデザインを聞かれた時に「これしかない!」と思ってリクエストしたんだよ!

だからこのディノホルダーは、名付けて…『恐銃ディノラウザー』だ!」

 

「うおーっ! かっけぇーっ!」

 

 大興奮のオウガとリュウタの側で、マルムは苦々しい表情を浮かべていた。

 

「…男の子ってああいうのも好きなんでしょうね」

 

「仕方がないよ。僕もそうだけど、みんなああいうヒーローに憧れるものさ」

 

 マルムとレックスがそんな会話をしていると、いつの間にかディノホルダーの分析を終えたリアスが戻ってきた。

 

「なるほどね…分かったわ。この反応は地図と連動してるのよ」

 

「場所はエジプト…でしたよね?」

 

「そこってスピノサウルスが出た場所じゃない?」

 

「それじゃあディノホルダー…ってより石版が恐竜が出た場所を教えてくれたって事か?」

 

「そういう事ね」

 

「ほう、こいつは便利だなぁ」

 

「でも…恐竜が現れた場所が分かったところで、どうやって行けばいいんだろう?

俺が読んだことのある漫画では船や車を乗り継いでエジプトに行った例もあったけど、それじゃあ時間がかかりすぎるし…」

 

「そうよね…。アタシたちがここに居たって何も出来ないし…」

 

 うんうん唸りながらDキッズと古代博士が知恵を絞っていると…リアスが何かに気づいたようだった。

 

「何かしらコレ……」

 

 その声に釣られるようにその場にいた全員がモニターを見る。

 そこには、日本列島とエジプトにある黄色い点と、そこから伸びる数本の赤い線が映し出されていた。

 

「ディノホルダーと出撃した恐竜を結ぶ線が…! もしかすると…!」

 

 リアスは何かを思いついたようで、カタカタとキーボードを操作し始める。それをDキッズと古代博士は、固唾をのんで見守るのだった。

 

 

その頃 エジプト

 

 食事を済ませてようやく出撃したウサラパ達は、既に到着し水の石版を回収していた。

 

「みーつけ! 水の石版、ゲットよぉ〜ん!」

 

「ウサラパ様〜! やったザンス!」

 

「これで後はスピノの捕獲だけッスね。

乗ってきた小型飛行機で空から探すだけだし楽ちんッス!」

 

「ふふふふーん、ここまでは計画通りだわ!

さぁ〜てティラノちゃん! 頑張ってちょうだいね〜?」

 

 ノラッティ〜とエドも喜び、ウサラパがそう言いながらティラノの頭を撫でると、彼はいらただしげに彼女の頭にかぶりついた。

 

「嫌ああああああ!?」

 

「う、ウサラパ様ァ〜っ!」 

 

 その後何とかティラノを引き離し、気を取り直したところでウサラパ達は小型飛行機を飛ばし、空からの捜索を始めた。

 暫くの捜索の後、下を眺めていたノラッティ〜がまっすぐ指を指す。その先にはピラミッドの周辺を彷徨うスピノサウルスの姿があった。

 

「おっ! あそこにいたザンス!」

 

「ほぉーら! サッサと行ってらっしゃい!」

 

 パラシュートを担がされたティラノをウサラパが蹴り上げると、またしてもお返しと言わんばかりに彼女の頭の上に落ちてまたしてもかぶりつく。

 

「ぎゃあああああ!?」

 

 噛まれた痛みでウサラパが暴れ出し、飛行機はコントロールを失って回転し始める。その回転で振り落とされながらも、ティラノはパラシュートのお陰もあってゆっくりと地上へ降りたった。

 

「さぁティラノちゃん! スピノをやっておしまいなさい!」

 

 そう言いウサラパは右手に持ったアクトホルダーにティラノのカードを通した。

 するとティラノの周りを煮えたぎる溶岩が取り巻き、炎と赤い光に包まれながら成体の姿へと変化していく。

 

ガアァァァァッ!!

 

 咆哮を轟かせながらティラノが大地を踏みしめ、スピノサウルスの前に立ちはだかった。

 すると、前回のガブと戦った時と同じように周囲の時空が歪み始める。

 そして突然現れたティラノの姿を認め、スピノサウルスも頭を下げて攻撃姿勢に入ったのだった。

 

 

その頃 日本からもエジプトからも離れた場所

 

 古い遺跡の中を恰幅の良い男がのしのしと歩いていた。

 以前オウガ達を監視していた、ジェイソン・ホスキンスという男である。彼は周囲をゆっくり見回しながら、心にもないようなことを呟いていた。

 

「さすがは世界遺産アンコール・ワット…。

眺めているだけで、歴史の重みってやつを感じるねぇ…」

 

 しばらく歩いたところで、彼は遺跡の壁に挟まった卵型カプセルを見つけ、にんまりと微笑んだ。

 

「おっ、あったあった。こいつがDr.ソーノイダとやらが世界にばら撒いた恐竜のタマゴって訳だ。

あとはこいつを特定のエレメントに触れさせてやれば元に戻るってのがドジスンの話だったな」

 

 そう呟きながら、彼はそのカプセルを壁から取り外す。そして彼はバックパックから衛星電話を取り出した。

 

「おう、おれだ。アンバー保持者のガキを誘き出す餌を見つけたぜ。

いいか? 今からすぐそっちへ戻る。石版のガキ共がアフリカへ飛んだらこのカードを恐竜に戻すぞ」

 

『ハァ…。折角の休日だというのにこんな蒸し暑い森の中へ駆り出されるとはな。

協力を惜しむつもりはないが、当然休日手当は出るんだろうな?』

 

「それはおれの知ったこっちゃねぇ。カネの話はドジスンにでもしてやんな。

とにかくお前はおれの計画に手を貸せばいいんだよ。分かったか? イシドーラ」

 

『名前で呼ぶのはやめろ。ミルズと呼べ。

まあ私は構わんさ。カネさえ払ってくれるならな』

 

 

 

一方 Dラボ

 

 その頃、Dキッズ達は瞬間移動装置の下に並ばされていた。

 彼らの前では説明書(彼女の自作である)片手にリアスがコンソールに向かって作業をしており、古代博士はいそいそと荷造りを進めている。

 

「リアスさん。瞬間移動なんて本当にできるんですか?」

 

「恐竜サーチの機能と移動機能が連動してたの。後は実践するのみよ」

 

「危なくないの?」

 

「大丈夫よ。…多分ね」

 

「多分って…失敗しませんよね…?」

 

「恐竜を実体化させる機能があるんだから瞬間移動くらいできるわ。後はボタンを押すだけよ」

 

 自信満々なリアスに対し、Dキッズは不安を隠せない様子だ。そんな彼らの前に、荷物で満杯のバックパックを携えた古代博士が割り込んできた。

 

「ちょっと待った! 父さんも行くぞ! お前達子供だけじゃ危険だ!」

 

「わ、分かったよ父さん。じゃあ…行くよ?」

 

「よしっ! いつでも来い!」

 

 ウキウキした様子で古代博士も瞬間移動装置の中に入る。

 そしてリュウタがディノホルダーを操作すると…彼とガブの姿が一瞬で掻き消えた。テレポートが成功したのだ。

 

「えっ?」

 

「凄い…消えた…!」

 

「まさか本当に瞬間移動できるなんて…」

 

「でも、どうやら移動できるのは石版を持っている人間と恐竜だけみたいですね」

 

「ってことは…」

 

 自然と3人の視線が古代博士に向く。当の博士は依然としてワクワクした態度を隠そうともしていなかった。

 

「つまりパパさんは僕達と一緒に行けませんね」

 

「まあ仕方ないわよね。そういう仕組みみたいだし」

 

「…ごめんなさい博士。お土産くらいは買ってきますね」

 

「そ…そんなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 オウガ達から無慈悲な現実を突きつけられ、古代博士はがっくりと膝をついて泣き出してしまったのだった。

 

 

エジプト ギザ付近

 

 一足先にエジプトへと飛んだリュウタとガブ。

 彼らがエジプトの地へ降り立つと、目の前では今まさにティラノとスピノが戦いを繰り広げていた。

 

「いたぞ! スピノだ!

それにあのティラノはまさか…もうアクト団がここに…?」

 

 そこで、間髪入れずにティラノがスピノサウルスに渾身の体当たりをぶちかます。大きく吹き飛ばされたスピノサウルスの体は大きく宙を舞い…そのままリュウタのいる場所へと落下してきた! このままでは押し潰されてしまう!

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 思わずリュウタはガブを抱いて身をかがめる。だがスピノサウルスはリュウタを押し潰すよりも前にカードに戻り、事無きを得ることができた。

 

「あ、あっぶねー…あっ! スピノがカードに…」

 

 目の前のスピノサウルスのカードにリュウタが手を伸ばそうとすると、どこからともなくマジックハンドが伸びてきてそのカードを掴み取ってしまった。

 その直後に小型飛行機が低空飛行でリュウタの頭上を通過していく…アクト団だ!

 

「いただきザ〜ンス!」

 

「ウサラパ様! 回収成功ッス!」

 

「よぉ〜し! これで目的は達成だわ!

後はこの前の借りをたっぷり返しておあげなさい! ティラノちゃ〜ん!」

 

 ウサラパがそう命ずるとティラノはリュウタを見据え、咆哮を轟かせる。

 

「そっちが来るってんならオレ達もやってやる! いくぞ! ガブ!」

 

リュウタはガブをカードへ戻し、ディノホルダーを構え恐竜カードを勢いよくスキャンした。

 

「ディノスラッーシュ! 轟け! トリケラトプス!」

 

ゴオォォォォォォ!!

 

 体から雷を迸らせながらガブが成体へと変化する。

 スピノが倒れたことで戻った時空が再び歪み始めた。

 

「いっけー! ガブ!」

 

 リュウタのかけ声と共にガブはまっすぐティラノに向かって突進していく。ティラノも真正面から突撃していき、互いの頭同士が衝突した。

 一旦距離をとってガブがもう一度攻撃をしかける…が、ティラノも体を翻してガブの一撃を避け、首筋へ噛みついて放り投げる。

 ガブはもんどりうって転がっていき、スフィンクスに激突して止まった。痛みに呻くガブをティラノが押さえ付け、何度もスフィンクスへ叩きつける。

 

「ガブ! 頑張れ! …そうだ! この前みたいに技カードを使えば…」

 

 そう呟き、技カードを取り出そうとしたリュウタを何者かが突き倒した。さらにそのはずみでカードも落としてしまう。

 後ろを振り返ると、そこにはさっきティラノに倒されたはずのスピノが立っていた。

 恐らく…いや、ほぼ間違いなくアクト団が召喚したものだろう。

 …ダメだ。もうどうにもならない。

 ガブはティラノに痛めつけられており、抜け出すことができない。

 もし自分があの『来電蓄電(エレクトリックチャージ)』を発動させればガブでティラノを倒すことができるかもしれない。

 だがその前に自分はこのスピノに食べられてしまうだろう。

 

 そう考えているうちに、スピノは大きく口を開けてリュウタに迫ってくる。

 

「うわあぁぁぁぁ! やめろぉぉぉぉ!」

 

 哀れここまでの運命かと思い、リュウタが固く目を瞑ったその時だった。

 彼のすぐ側に青と緑の光が現れ、あまりの眩しさにスピノが後退する。

 やがて光が止み、そこからレックスとマルムが現れた。

 

「いくよマルム!」

 

「ええ! いつでもいいわよ!」

 

 2人は片手にディノホルダーを構え、もう片方にはそれぞれ1枚カードを握っていた。

 レックスはカルノタウルス、マルムはパラサウロロフスのカードである。

 

「「ディノスラッーシュ!」」

 

「吹き抜けろ! カルノタウルス!」

 

「芽生えよ! パラサウロロフス!」

 

 2人がそう叫びカードをスキャンすると、風に包まれてカルノタウルスが、草吹雪に包まれてパラサウロロフスが姿を現した!

 

グォォォォォン!!

 

キュオォォォォォン!!

 

 カルノタウルスとパラサウロロフスは地面に降り立つなり2体がかりでスピノに突進した。意表をつかれたスピノが砂丘の上に倒れたのを見て、リュウタは落とした技カードを拾ってガブの元へと急ぐ。

 

「大丈夫か!? ガブ!」

 

 リュウタの呼びかけにガブは何とか頭を向けたものの、もう力は殆ど残っていないようだった。

 ティラノがリュウタに気づいて行く手を塞ごうとしたが、カルノタウルスに体当たりで後退させられ、そのままその場から離される。

 お陰でリュウタはガブのそばにたどり着くことはできたが、ガブは一向に立ち上がれそうになかった。

 

「どうしよう…。これじゃもうガブは戦えない…」

 

「安心してリュウタ! 私とこの子に任せて!」

 

 するとマルムはディノホルダーから技カードを取り出し、勢いよくスキャンした。

 

深緑恵癒(ネイチャーズブレッシング)!』

 

 するとパラサウロロフスの体が緑色の光に包まれた。

 そしてパラサウロロフスがガブへ葉のブレスを吐き出すと、みるみるうちにガブの傷が癒えていくではないか。

 やがてガブは元通り立ち上がることができるようになった。

 

「す…すげぇ…! マルム!今の技は?」

 

「パラパラの技よ! 傷を癒やしてあげたの!」

 

「パラパラ?」

 

「このパラサウロロフスの名前よ!」

 

 ガブが回復したのを見計らい、レックスも2人のもとへ駆け寄ってくる。

 

「リュウタ! 技カードを使って一気に決めるぞ!」

 

「ってことは…レックスも?」

 

「もちろん! 持ってるさ!」

 

 そう言うとレックスもディノホルダーから技カードを取り出し、スキャンした。

 

「頼んだぞエース! 『疾風無敵(サイクロン)』!」

 

 するとエースの頭上に赤黒い雲が現れ、そこから彼のもとへ巨大な竜巻が降りてくる。エースはそれを身に纏うとまっすぐスピノサウルスへと突進した。

 逃げようと背を向けたスピノだったが、それを見逃すエースではない。すぐさまその尻尾に噛みつくと、大きく振り回して投げ飛ばした。

 スピノはそのまま宙を舞い、ピラミッドに激突するとカードに戻っていった。

 

「よっし、オレ達もやるぞ! ガブ!

来電蓄電(エレクトリックチャージ)』!」

 

 雷雲から落ちた雷を受けて体に電気を滾らせ、ガブがティラノへと突進していく。更にその角の間に溜めた電気エネルギーを炸裂させ、大きく跳ね飛ばした。

 飛ばされたティラノはそのままスフィンクスに激突し、そのまま力尽きてカードへと戻っていった。

 

「やったぁ! オレ達の勝ちだぜ!」

 

 リュウタ達が喜びを爆発させると、それに呼応するようにガブ達も高らかに雄叫びをあげた。

 

「さて、スピノとティラノのカードを回収して帰ろうぜ」

 

 そう言いつつリュウタがティラノのカードに近づこうとすると、いつの間にかラクダに乗り換えたウサラパ達が素早い身のこなしでカードを回収していた。

 見ればノラッティ〜の手にもスピノのカードが収まっている。どうやらこれでも動くのが遅すぎたようだ。

 

「ホーッホッホッホ! そうやすやすと奪われてたまるもんですか!」

 

「出たわね! この前の変なオバさん達!」

 

「オっ…オバさん…!?」

 

「プッ…プププ…」

 

「ダ…ダメなのは分かってるのに…堪えきれないッス…!」

 

「ムッキーーーーッ!」 ゴッ!

 

 またしてもマルムから直球火の玉ストレートなオバさん呼びをされ、ウサラパは顔を怒りで染め上げ、ノラッティ〜とエドは堪えきれずに吹き出してしまった。

 そんな2人にウサラパは容赦のないげんこつを落とし、マルムに吠えかかる。

 

「こ…このガキっ! 泣く子も黙るアクト団のウサラパ様を、よくもまたオバさんなんて呼んでくれたわね!」

 

「えーっ? オバさんをオバさん呼びして何がダメなのぉ〜?」

 

 マルムが更に挑発すると、ますますウサラパの怒りのボルテージが上がっていき、ついにラクダから降りようとする。

 

「それはダメッスよ! ウサラパ様!」

 

「いくらムカついたからって、そのくらいで子供相手に手を挙げるのは流石に大人げないザンス!」

 

 何とかノラッティ〜とエドが2人がかりでウサラパを鎮めようとするが、あっさり振り払われてしまう。

 

「ぐぬぬぬぬぬぬぬ…もう絶対に許さないわ…! 覚悟なさい…!」

 

 肩を怒らせ拳を振りかぶるウサラパであったが、マルム達を守るように立ちはだかるガブ達を見て怖気づく。

 どうやらそれと同時に頭も多少は冷えたようだ。

 

「…フン! 今日はこのくらいにしといてあげるわよ!

次こそあんた達を泣かせてあげるから覚えてらっしゃい! ほら、行けーっ!」

 

 小悪党(実際そうなのだが)のような台詞を吐き捨て、ウサラパはラクダに飛び乗ると、思い切りラクダの尻を蹴りつけた。

 しかし蹴られたラクダはなんと後ろ歩きで走り出していく。

 

「ちょっとー! どこに行くのよー!」

 

「そっちじゃないザンスゥ〜…!」

 

 次第に遠ざかっていくラクダとアクト団を眺めながら、リュウタ達は苦笑いを浮かべた。

 

「スピノサウルスはあいつらに取られちゃったけど、リュウタにも怪我がなくて良かったよ」

 

「そうね! Dキッズはやっぱり全員揃ってなくちゃ!」

 

 …と、そこでリュウタがキョロキョロと周りを見渡して2人に尋ねた。

 

「あれ? オウガは?」

 

 リュウタの言葉にレックスとマルムもハッとした顔をする。

 

「! そういえばオウガはどこに!?」

 

「アタシ達が出発する時、まだオウガはDラボにいたはずだったんだけど…」

 

 その時、ディノホルダーに着信が入った。

 Dラボのリアスからである。

 

『3人とも大丈夫? 無事かしら?』

 

「は、はいリアスさん。スピノサウルスのカードはアクト団に奪われてしまいましたが、僕たちは全員無事です!」

 

『そう…。良かったわ。

それなら急いでこっちへ戻ってきてちょうだい!

オウガ君が危ないかもしれないの!』

 

「危ないって…どういうこと? お姉ちゃん?」

 

『実はあなた達が瞬間移動した後に、もう1箇所で恐竜が出現したの!

オウガ君はそれを聞いたら自分だけで対応するって言って1人で出ていってしまって…』

 

「そ…そんな! 何でオレ達に言ってくれなかったんだよ!」

 

『オウガ君がそう言ったのよ。

もしかしたらレクシィがあなた達の恐竜にも襲いかかってしまうかもしれないから、自分1人の方がレクシィも多少安定するかも、ということで…』

 

「だからって! 1人じゃ危険だわ! アタシ達もこれから行く!」

 

「リアスさん! 教えて下さい! オウガはどこに行ったんですか!」

 

『瞬間移動装置を使わないといけないから一度Dラボには戻ってきてもらわないといけないんだけど…そうね、それは伝えておかないと』

 

 そこで一度言葉を切ると、リアスは続けた。

 

『彼が向かったのは東南アジアのカンボジア王国。

そこのアンコール・ワット遺跡近くに瞬間移動したとデータに記録されているわ』

 

 




 今回の恐竜解説!

「今回担当させてもらうのは私!古生物学者の古代剣竜だ!
今回解説するのは、伝説の狩猟者『スピノサウルス』!現在のアフリカ大陸に生息していた大型肉食恐竜だ!
名前の意味は「トゲのあるトカゲ」。この背中にある長く伸びた背骨からそう名付けられたそうだ。
特に目を引くのはこの背中の帆だな!これは近い地域に生息していたオウラノサウルスやコンカヴェナトルなどに似ている構造なんだが、その使い道は未だによく分かっていないんだ。
体温調節のため、水中で方向転換するため、異性へのアピールのため…色々な説はあるが、いずれも確たる証拠はないし反論も少なくない。だが、恐竜研究とはそういった推論と化石証拠の繰り返しで進んでいくものだからな!それがこの世界の面白い所なんだ!
それから、口がガビアル系のワニのように細長く伸びているのが分かるだろう?これはバリオニクスやスコミムスといったスピノサウルスと近縁の種族が共通して持っている特徴で、これは彼らの主食が魚である証拠にもなっているんだ。
実際スピノサウルスの化石の周りからは、オンコプリスティス(古代のノコギリザメの1種)の化石も見つかっている例もあるからね。
まあ結論を言えば、スピノサウルスはとても変わり者な肉食恐竜ということだな!」


(…あれ?スピノサウルスは最近の発見で姿がかなり変わったはずなのに、どうしてアクト団のスピノサウルスは昔のままなんだろう?)
オウガは訝しんだ。

第6話に登場させるJP・JW恐竜について考えています。以下の恐竜ならどれを登場させるのがよいか、または登場させてほしいか、是非皆様のお考えをお聞かせ下さい。

  • ディロフォサウルス
  • パラサウロロフス・ワルケリ
  • スティギモロク(お助け恐竜)
  • ディメトロドン(お助け恐竜)
  • メトリアカントサウルス
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