古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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 前回の恐竜キング!

 イギリス北部のネス湖へやってきたDキッズ。彼らは三畳TVの特番の特派員として、ネッシーの調査に赴いていたのだ。
 その先で出会ったジョンという少年から、ネッシーは既に死んでおり、今目撃されているのはその幽霊だという話を聞かされる。そんな中オレンジと赤の反応が現れ、その調査と並行してネッシー探しを始めるDキッズだったが、その最中オウガはジョン少年と出会う。
 そこでオウガは、彼がネッシーを守るために嘘をつき、ネッシーの幽霊をでっち上げていたと知った。
 しかしそこへアマルガサウルスとそれを追って現れたアクト団が現れ、オウガはリュウタやレックスと共に戦うことになる。しかしアマルガサウルスが呼び出したモササウルスにオウガ達は手こずる。そしてアマルガサウルスをレクシィが撃破したもののモササウルスはカードに戻らず、それどころか恐竜ではなくオウガ達をターゲットにして襲いかかってきた。
 しかしそこへ駆けつけたマルムが『朋巨大圧』で呼び出したディプロドクス・ハロルムやオウガが『大腕震撃』で呼び出したブラキオサウルスで、モササウルスに大きな隙を作ることに成功した。
 そしてイナズマとアインによる合体技『雷角爆風弾』によって、遂にモササウルスを撃破した。
 結局ネッシーを見つけることは出来なかったものの、Dキッズとジョン少年は互いの秘密を守ることを決意したのだった…。




第23話:開幕!恐竜パリコレクション!
前編


 ここは、フランスの首都であるパリ市。ここには凱旋門やルーブル美術館、エッフェル塔といった歴史ある建造物が多く立ち並んでおり、「花の都」や「芸術の都」としばしば呼ばれてきた都市である。

 そんなパリを流れるセーヌ川を一隻の観光船が通過しているのだが、そのデッキに見覚えのある姿があった。その人物のもとへ、1人のウエイターが歩み寄っていく…。

 

「マドモアゼル…」

 

「オー、ノーノーノー! プロポーズなんてダメだよ〜! あっちお行き〜! しっしっ!

ったくぅ、パリの男ってどうしてこういう女見ると声をかけたがるのかねぇ〜…」

 

 そう。この人物は着飾ってこそいるがウサラパだった。今は注文を取りにやって来たウエイターを、自分を口説きにきた男だと誤解したようである。

 そう思い込んで延々と喋り続けるウサラパを放っておき、ウエイターはその場を後にした。

 

「注文取ろうとしただけなのに…。これだから田舎者は困るんだよ…」

 

 そうボヤきながら厨房へ戻っていくウエイターとすれ違いながら周囲の写真を撮っているのは、ノラッティ〜である。更に彼の隣にはジェラートを貪るエドの姿もあった。

 2人はどうやら船から見える景色に夢中になっていたようだ。しかし、デッキに横たわり感極まっているウサラパに気づき、そちらへと近づいていく。

 

「はぁ~! アタシってなんてなんてなぁ〜んて罪な女なんでしょ〜!

…で、次どこ行く?」

 

「そうザンスねぇ…。ルーブル美術館とか凱旋門とか…あとはちょっと足を伸ばしてヴェルサイユ宮殿なんかも見てみたいザンス!」

 

「おれはやっぱり、本場のフレンチレストランに行きたいッスよ!」

 

 

その夜 パリ市街地

 

 その日の夜、彼らの姿はパリの市街地にあった。

 上機嫌なウサラパとは対照的に、山程荷物を抱えたエドとノラッティ〜の表情は明るいものではなかった。

 

「結局ミー達は荷物持ちザンスか…」

 

「折角パリに来たのにやることがブランド店巡りって虚しいッス…。もっと色々観光したかったッスよ…。

それに、こんなに買っちゃって大丈夫なんスか?」

 

「いいのいいの〜。これくらいどうってことないよ〜!…いつもこき使われてるんだから…」

 

「でもパリに恐竜が出たなんて嘘なんスよね…」

 

「だーっ! 人聞きの悪いこと言わないでよーっ!

アタシはちゃ~んとドクターのお墨付きを貰ってきたんだから…」

 

 そう言いながらウサラパは出撃前のことを思い浮かべる。

 どうやら彼女が出撃の打診をしようとした時、ソーノイダは実験の最中だったようだ。

 

『ぞいぞい音頭でぞぞいのぞ〜い♪ っと。

ぐふふふ! ボクちゃんって天才天才天才ちゃーん!』

 

 よく分からない言葉を口走りながら、ソーノイダは手元の薬品を混ぜ合わせた。すると混ざりあった薬品が溢れ出して爆発を起こし、彼はチリチリ髪になってしまった。

 少なくとも天才とは程遠い光景であった。

 

『…カハッ…また失敗したぞい…』

 

 そして、ウサラパはこの隙を見逃さなかった。すぐさまソーノイダのもとへ駆け寄ると、こう言ったようである。

 

『ドクター! 大変です! パリで恐竜が出現…』

 

『な…なにぃ? す、すぐ…行ってこーい…』

 

 そう指示を与えるや否や、ソーノイダはバッタリと倒れ込んでしまった。

 

『はぁーい!…したかも〜…なーんちゃって…』

 

 そのままウサラパはエドやノラッティ〜を連れ、パリへやって来たようである。出発する時こそ誤魔化したものの、無事に帰れる保証はなさそうだ。

 

「わざわざドクターがチリチリの時を狙って話を持ちかけたんスか…」

 

「ミー達無事に帰れるザンスかねぇ…」

 

「そんなこと今はいいだろぉ? たまには息抜きも必要なのさ〜♪ さっ、今度はこの店に行くよっ!」

 

 どうやらウサラパは嘘をついて出撃してきたことを気にすら留めていないようだ。そして次のブランド店に駆け込んでいったウサラパを見送りながら、エドとノラッティ〜はため息をついたのだった…。

 

 

その頃 三畳市 リュウタ宅

 

 この日、Dキッズはいつものようにリュウタの家に集まっていた。リュウタ・レックス・オウガは庭に出てボールでパス回しをしており、そのボールにチビ恐竜達がちょくちょくちょっかいを出している。

 それをレクシィは縁側から退屈そうに見つめていた。

 そして、リビングではマルムが1人目を輝かせながらテレビに釘付けになっていた。

 

『このように、パリっ子達に大人気! 子供も大人も、恐竜ファッションを楽しんでおります!』

 

「うわぁーっ! 可愛い〜っ!」

 

 どうやら彼女が今回夢中になっているのは、今パリで大流行中の恐竜ファッションのようだ。

 一体誰が広めたのかは分からないが、そのせいか街中が恐竜の仮装に身を包んだ人々で溢れていたのだった。

 そんな様子がテレビに流れていく中、カメラの前を横切るウサラパ達の姿が映し出された。

 勿論マルムはそれを見逃さなかった。すぐさま声を張り上げ、リュウタ達を呼び寄せる。

 

「あっ! あれって…ねぇみんな! ちょっとこれ見て!」

 

「なんだよマルム! 今いいところなのに…あーっ! オバさん!」

 

 リュウタがそう叫んだ瞬間、映像の中のウサラパが反応し、カメラへと張り付いてきた。

 

『今誰かオバさんって言ったね? 言ったね? 言ったねーーーっ!?』

 

 そのあまりの剣幕に、テレビの前に集まっていた全員がつい驚いてしまう。

 

「「「「「えーっ!?」」」」」

 

「アクト団?」

 

「でも何でパリにいるのかな?」

 

「うーん…。あの人達っていつも俺達より早く来ては恐竜を探してることを考えれば…」

 

「まさか、パリに恐竜が!?」

 

「でも、ディノホルダーは全然反応してないし…オウガのディノラウザーにもオレンジの反応は出てないだろ?」

 

「…うん。俺の方にも反応は出てないね…」

 

「う~ん…。ただ買い物に行っているだけなんじゃないか?ほら、何やら沢山買っているようだし」

 

 そう言って古代博士がテレビの画面を指さす。

 確かにウサラパ…というよりエドとノラッティ〜は両手いっぱいに荷物を抱えており、その可能性は高そうだ。

 

「なるほど…。確かに、パパさんの言う通りかも…」

 

「恐竜ファッションが流行ってるから買いに行ったのかもね?」

 

「なるほどー! 確かにゾイじじいとか、あんな感じの服好きそうだもんな!」

 

「…あっ、雨が降り出したみたい。オバさん達もすごい慌てた様子で走り去っていくよ」

 

 オウガがテレビを指さしてそう言うと、走り去ろうとしたウサラパがUターンして戻ってきて、またカメラに掴みかかった。

 

『やっぱり誰かアタシのことオバさんって言ったねーっ!? 確かに聞いたわよゴルルァァァッ!!』

 

『ウサラパ様! そんなことしてる暇ないッス!』

 

『早く雨宿りしないと、せっかく買ったものが濡れちゃうザンスよ!』

 

 ウサラパの後ろからエドとノラッティ〜がやって来ると、未だに騒ぎ立てる彼女を引きずっていったのだった…。

 

 

その少し後 パリ市

 

 いつの間にかパリに降り出した雨は本降りとなり、雷まで鳴り始めていた。そんな中、ウサラパ達は橋の下で雨宿りをすることに決めたようだ。

 しかし、ようやく雨から逃れて一息ついたところで、どうやら彼らに新しい問題が発生したようである。

 

「ホテル代まで使っちゃうなんて! ドジ! アホ! マヌケーッ!」

 

 どうやら浪費を続けたせいで今夜宿に泊まれるだけのお金が残っていないようである。

 ひたすらにエドとノラッティ〜を責め続けるウサラパに、2人は落ち着いて反論した。

 

「何言ってるんスか。ケチケチするなって出張経費使いまくってたのはウサラパ様じゃないッスかぁ…」

 

「このブランド物だって半分くらいに抑えておけば、浮いたお金で飛び切り上等な部屋に泊まれたはずザンスのに…」

 

「それを止めるのがお前達の役目だろスカポンターン!」

 

「「そんなぁ…」」

 

 ますますヒートアップしたウサラパからそう怒鳴られ、2人は肩を落とす。どうせ咎めたところで彼女は聞く耳など持つはずがないのに、止めろというのも無理な話だろう。

 そんな時、彼らのアクトホルダーが甲高い通知音を響かせた。しかもそれは恐竜出現を知らせるものではなく、誰かからの着信を知らせるものであった。

 誰からのものなのかは大方分かっているのか、それを見た3人の顔が一瞬にして青褪めた。

 

「「ギクゥッ!」」

 

「そ、そんなものセーヌに沈めておしまい…」

 

お前達!何やっとるぞーーいっ!?

 

 ソーノイダの雷のような怒声がアクトホルダーから轟く。

 それと同時に、パリ郊外の森へ本物の雷が落ちた。落雷地点にあった大木は黒焦げになっていたが、その根本にはあの卵型カプセルが落ちていた。しかも落雷の衝撃で割れており、排出された2枚のカードは僅かに帯電している。

 すると突然カードは眩い光に包まれ、徐々に恐竜の姿へと変化していく…。

 そして光が収まった後、そこに立っていたのは6メートルほどの中型角竜・アンキケラトプスだった!その恐竜…アンキケラトプスは、しばらく戸惑った様子で周囲を見渡していたのであった…。

 

 一方、辺りに光る雷を背景に、アクトホルダーからソーノイダは怒声を浴びせ続けていた。

 

『許さんぞーい! パリに恐竜が出たなどと! 嘘! 八百を! ぞい!』

 

 そして器用にアクトホルダーを操り、3人にげんこつ代わりの一撃をくれてやっている。一体どういう仕組みなのだろうか。

 しかし、ウサラパはこの事も織り込み済みだったのであろうか、こんな言い訳を口にしたのである。

 

「だってぇ…エドとノラッティ〜がど〜してもパリに行きたいって言うものですからぁ…」

 

「「えーっ!?」」

 

 なんと、ここに来て彼女は自分が罰を受けないようにエドとノラッティ〜に責任転嫁したのである。その上で2人が余計なことを口走らないように視線で牽制し、更に買い物袋の1つを探り出す。

 その時、アクトホルダーに更に別の通知が入ったようでまた通知音を鳴らした。しかしソーノイダへの釈明に夢中なウサラパはそれに気づかないまま、袋から取り出した服を2着ソーノイダに見せた。

 

「ほーら、ドクターへのお土産も買ったんですのよ! 今パリで流行りの恐竜ファッション! きっとお似合いですわ〜!

…でー、そろそろ戻ろうと思うんですけど、帰りの経費がすこぉし…」

 

 その言葉を聞いていた画面の向こうにいるソーノイダの顔に青筋が浮かぶ。

 自分に嘘をついて出撃していった上に、今回の経費を使い切ったとなれば更に怒るのも無理はないだろう。

 そしてソーノイダは、そんなウサラパの言葉を遮るように大声で捲し立てた。

 

『歩いて帰って来るがいいぞい! それと当分お前達が使える経費は0ぞい! 分かったなっ!?』

 

「そんなぁ〜…」

 

 がっくりと肩を落とし、ウサラパはアクトホルダーを手放した。それを素早くキャッチしたノラッティ〜が、興奮した様子で彼女にその画面を見せつける。

 

「ウサラパ様!」

 

「うるさいねぇ! 今大事なところ…え?」

 

『ん?』

 

 そこでアクトホルダーの画面が切り替わり、フランスの地図が表れる。そしてそのパリの辺りで赤く点滅しているポイントがあった。

 先程のアンキケラトプスの出現を検知したようである。これにはソーノイダも驚かずにはいられなかった。

 

『ぱっ、パリに恐竜出現じゃとぉ!? そんなバカな…』

 

 そして、ソーノイダが弱気を晒したところを見逃すウサラパではない。すぐさま先程とは打って変わった強気な態度で彼に詰め寄り始めたのだ。

 アクト団は弱った相手に強いようである。

 

「どうやらアタシが予期した通りになったようですわぁ〜…」

 

『むっ…ぐっ…』

 

「お詫びとして三つ星ホテルのスイートルームと、帰りの経費をいただいてもよろしいかしらぁ…?」

 

 すっかり形勢を逆転されてしまったソーノイダであったが、彼もアクト団のボスである。すぐにその場を切り抜ける名案を思いついたようだ。

 

『おーっ? どうしたぞい!? 急に通信が乱れたぞい!

とにかく! 何としても恐竜を捕らえて戻ってくるのだぞい! ピーーーーーーッ!』

 

 なんと、通信状況が悪いふりをして逃げることにしたようだ。最後にはテレビの放送休止時間の画面も用意するほどの徹底ぶりである。というかいつの間にそんなものを用意していたのだろうか。

 

「あーっ! 逃げよったー! コノヤローッ!」

 

 しかし、通信を打ち切られたウサラパはたまったものではない。すぐさまアクトホルダーに向かって怒鳴り始めたのだった…。

 

 

その頃 三畳市 リュウタ宅

 

 アクト団の目的は恐竜ではないと判断したDキッズは一度解散し、それぞれの家へと戻っていった。

 そしてリュウタも自室のベッドでガブやイナズマと共に昼寝をしていたのだが、そこで彼のディノホルダーが恐竜出現を知らせる通知音を鳴らす。こちらでもアンキケラトプスの出現を検知したようだが、彼らは眠りこけたままであった。

 そんな彼のもとへレックスが駆けつけ、恐竜出現の一報を知らせた。

 

「おいリュウタ! 恐竜が現れたぞ!」

 

 その言葉でリュウタは飛び起きたもののまだ夢見心地のようで、何がなんだか分からないうわ言を呟いてからまた寝てしまった。

 結局レックスがリュウタを叩き起こしてDラボへ連れて来るまでに、数十分近くを浪費することになってしまったのである…。

 

数十分後 Dラボ

 

 ようやくリュウタを連れてDラボに到着したレックスはオウガやマルムとも合流し、テレポートルームへと入っていった。

 

「リアスさん! 今回恐竜が出たのはどこ!?」

 

「ここはフランスの首都、パリ市ね」

 

「パリ!?」

 

「嫌だ〜、パリならもうオバさん達が先に行ってるじゃなーい…」

 

「まさか本当にパリに現れるなんて…やっぱりアクト団はこのことが分かっていたのかな…?」

 

「多分偶然だと思うわ。出現してからあまり時間が経ってないし、出現する前に分かるはずないもの」

 

「でもリアスさん。オウガ君から聞かせてもらっている話では、彼らは殆どの場合先に来てるってことでしたよ。

オウガ君達みたいにテレポートじゃなくていつも何かしらの乗り物に乗ってくるみたいだし…偶然にしては出来すぎじゃないでしょうか…?」

 

「うーむ…確かにミサ君の懸念も分かるが…今はパリに出現した恐竜の保護が最優先だ! みんな急げ!」

 

 古代博士の言葉にDキッズは頷き、テレポート台へ向かおうとした…。

 

「あーっ!ちょっと待った!」

 

 突然マルムがオウガ達を引き止めたのである。

 

「なんだよマルム!」

 

「何か忘れ物か?」

 

「その〜…せっかくパリに行くんだもん。お洒落な服に着替えた方が…」

 

 そのあまりに気が抜けた言葉に、リュウタは思わずずっこけてしまった。

 

「そんなことしてる暇ないだろ!?」

 

「ケチぃ…」

 

 何とかオウガ達はマルムを宥めると、共にフランスのパリへテレポートしていったのだった…。

 

 

フランス パリ市 サクレ・クール寺院前

 

 Dキッズがテレポートしてきたのは、サクレ・クール寺院の前であった。

 しかし、化石の発掘現場以外であまり海外に行ったことがないDキッズには、ここがどこなのか分からない様子である。

 

「どこだ? ここ…」

 

「キリスト教の教会かな? そこの前に出たみたいだけど…」

 

「うわーっ! これがパリ! すごぉーい!」

 

 マルムが眼下に広がるパリの街を見て驚嘆の声を上げる。

 そう。このサクレ・クール寺院はパリのモンマントルの丘というところに建っており、ここからはパリの街を一望できるのである。

 

「広いな…。これじゃあどこから探したらいいのか…」

 

「片っ端から探してたんじゃキリがないよね…」

 

「うーん…あっ! すみません! パリのどこかで恐竜が現れたとか騒ぎになってませんか?」

 

 そこでリュウタが石段のところにいたカメラマンを見つけ、恐竜の目撃情報を聞き出そうと試みる。これまでもそうだったが、恐竜が現れたとなれば必ず騒ぎになっているはずなのだ。

 そのリュウタの質問に、カメラマンはニッコリと笑って答えた。

 

「恐竜? 恐竜なら至るところにいるよ。ほら…」

 

 そう言ってカメラマンが顎をしゃくる。その方向へリュウタが目を向けると、そこら中に恐竜ファッションで身を包んだパリっ子達が大勢いるではないか。

 

「えーっ!?」

 

 そして、恐竜ファッションは人間だけのものではない。ペットの犬や猫達に恐竜ファッションを着こなしているのだ。ちょうどガブの目の前を通り過ぎていく猫もまた、鎧竜のような服を身に纏っていた。

 その猫を見たガブが後を追いかけていき、更にガブを追ってイナズマも駆け出していく。

 

「あっ! ガブ! イナズマ! 待てって…いてっ!」

 

 それを見たリュウタも2匹を引き留めようと駆け出したが、途中何かに躓いたのか転んでしまう。そして投げ出されたディノホルダーも石畳の上を転がっていき、ビリビリとスパークを上げた。

 どうやらどこかが壊れてしまったようである。

 

「あっ! やっべー…」

 

 そして、事はそれだけに収まらなかった。ガブとイナズマが猫を追いかけていくのを見て、エースやアインにパラパラ、そしてアメジストもそれに続いていってしまったのである。

 

「エース! アイン!」

 

「パラパラ!」

 

「アメジスト! 君までどこに行くんだ!」

 

『…やれやれ。手のかかる子供らだな…』

 

 オウガの横でそれを見ていたレクシィは、そう呟いてため息を吐くのだった。

 

 

 その頃アンキケラトプスは、自分をDキッズやアクト団が探していることなど知るはずもない様子で横になっていた。どうやら出現した森から一歩も出ていないようで、静寂が支配する中気持ちよさそうに眠っているようだ。

 しかしパチリと目を覚ますと、その体を起こしたのだった…。

 

 

 その頃、ウサラパ達3人はあてもなくパリの街を彷徨いていた。結局昨日は宿に泊まる金が無かったため、橋の下で野宿したようである。

 そしてエドとノラッティ〜は荷物を抱えているのがキツくなったのか、風呂敷に包んで背に担いでいる。

 

「まったく、やられたよ。あのジイさんには…」

 

「ドクターの方が一枚上手みたいザンスねぇ…」

 

「うるさいっ! 無駄口叩いてる暇があったら、とっとと恐竜を探しなっ!」

 

 そう言ってウサラパはノラッティ〜の脳天にげんこつをくれてやった。

 

「痛いザンスぅ!」

 

「でも、パリは広いッスねぇ…。これじゃ人の足だといくら頑張っても…あーっ! あそこ!」

 

 そこでエドがとある曲がり角を指さした。ウサラパとノラッティ〜もそちらを見てみると、そこへ消えていく恐竜の尻尾があるではないか。

 

「あれはまさか!」

 

「何て恐竜だい!?」

 

 慌てて3人が曲がり角の先を確認してみると、そこにいたのは恐竜ファッションを身に纏ったパリっ子だった。

 

「「「ギャッフン!」」」

 

「違ったッス…」

 

「恐竜ファッション流行りでとんだ迷惑ザンス…」

 

「まあ、でも結構面白いじゃない!」

 

「そうッスかぁ?」

 

「そうザンスかねぇ?」

 

 ウサラパも恐竜ファッションは気に入っているようだが、これでは恐竜探しにならない状況であった…。

 

 

その頃 パリロンシャン競馬場

 

 ここでは、今競馬のレースが行われている真っ最中であった。

次々と馬達がゴールしていく中、そこにアンキケラトプスもまじってゴールを走り抜けていく。これにはスタッフも驚いたようだ。

 

「「えあっ!?」」

 

「あんな馬いたか…?」

 

「さぁ…なにせ今は空前の恐竜ブームだからな…」

 

 とは言え今のパリは恐竜ブームの真っ只中であるため、馬主の誰かが馬に恐竜ファッションを付けて出走させたのだろうとスタッフは判断したのだった…。

 

 一方、競馬場を走り抜けたアンキケラトプスは公道へと出た。どこへ向かうべきか迷っている様子で首を傾げていると、そこへ車がやってきてクラクションを鳴らす。

 それに驚いたアンキケラトプスは、すぐ近くにあった大型トラックの荷台へと逃げ込んだ。すると間もなくして荷台の扉が閉じられ、アンキケラトプスを乗せたままトラックは発進してしまったのであった…。

 

 

 戻ってDキッズ達は、猫の後を追うチビ恐竜達を追いかけているところだった。するとチビ恐竜達は、猫が向かっていった先へ…恐竜ファッションに身を包んだペット達が集まる1角へと入っていってしまったではないか。

 これでは探すにも一苦労だ。

 

「えー…? あいつらどこに行った?」

 

「こんなにチビ恐竜みたいな見た目のペット達が入り交じってるんじゃ、俺達でも探しようがないよ…」

 

 そんなことを話しながらDキッズはあちこちを見渡すが、彼らの恐竜の姿はどこにあるのかも分からない。

 と、そこでレックスがディノホルダーを手に声を張り上げた。

 

「…! そうだ! ディノホルダーやディノラウザーでエース達を呼び戻すんだ!」

 

「そうか! その手があったんだ!」

 

「ナイスよ、レックス! 戻ってきて! パラパラ!」

 

 それを聞いたオウガ達はそれぞれのディノホルダーやディノラウザーを使い、エースやアイン、パラパラ、アメジストを手元に戻した。

 

「よっし、それじゃあオレも…」

 

 リュウタもそれに続いてディノホルダーを操作し、ガブとイナズマを戻そうとした。しかし、いくらやっても2匹は戻ってこない。やはり先程落とした時の衝撃で壊れてしまったようだ。

 

「くそっ、マジで壊れちゃったのかよ! ぬうううっ! ガブーッ! イナズマーッ!」

 

 このままでは埒が明かない。そう判断したリュウタは恐竜の格好をしたペット達の中へ飛び込んでいく。

 しかし、リュウタやオウガ達で手分けして探したものの、2匹の姿はもうそこからなくなっていたのであった…。

 

 

 その頃、Dキッズやアクト団がいる場所とは異なるパリの1角では、大変な騒ぎが起こっていた。

 突如恐竜が現れ、車や屋台を薙ぎ倒しながら猛進しているのである。既に警察が出動して対処にあたろうとしているものの、なすすべもないようだ。

 その恐竜は、一見するとガブに似たシルエットだった。しかし額から伸びる2本の角は大きく湾曲していて、まるで牛のようではないか。そして、大きく出っ張った鼻の部分からは角が伸びていない。

 そんな猛牛のごとき恐竜は、車を次々に蹴散らしながら公道を突き進んでいったのであった…。

 

 




今回はここまでです。
今回を投稿する前に、第1話前編の方で誤字報告を初めていただきました。今はもう「トリケラトプス・セラトゥス」は「トリケラトプス・ホリドゥス」に統合されてしまっているんですね…。小説版ジュラシック・パークに登場するトリケラトプスの種小名はセラトゥスだと見ていたので、確認することなくそのまま使ってしまっておりました。
不勉強の至りであり、心から反省しております。これからも誤字等を発見されましたら、遠慮なくどんどん誤字報告をしていただけると嬉しいです。少しでも皆様により良い小説をお届けしたいと考えておりますので…。
それでは、明後日の後編をお楽しみにお待ち下さい。

第26話の原作「恐竜遊園地で大儲け!」にあたるエピソードでマルムの第2のパートナー恐竜を登場させたいと考えております。つきましては、私が選出した候補からどれが相応しいか皆様からご意見を伺いたいのです。もしよろしければ、以下のうちから1つを選んでご回答下さい。

  • ランベオサウルス
  • エドモントサウルス
  • カロノサウルス
  • コリトサウルス
  • オウラノサウルス
  • ディプロドクス・ハロルム(小)
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