古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ 作:バックベアード
パリに恐竜が出現したとの一報を受け、早速Dキッズは現地へと向かう。しかしパリは空前の恐竜ファッションブームであり、そこら中に恐竜ファッションを着た人々や動物が歩き回っていた。
そしてそれらに目を取られたチビ恐竜達をDキッズは追いかけるのだが、途中でリュウタが転倒し、ディノホルダーを故障させてしまう。それによりガブとイナズマをカードに戻すことができずに追い続ける羽目になってしまったのだった。
そして2匹を探している最中、ヴェルサイユ周辺にナーストケラトプスが現れたことをニュースで知ったDキッズは、オウガとマルムがナーストケラトプスを、リュウタとレックスはガブとイナズマを探すことにして一時分かれることにした。
そしてパリコレ会場から逃げたアンキケラトプスが凱旋門に現れたのだが、どこか苛立った様子であり、ナーストケラトプスとも争い始めた。そこでガブとイナズマが彼らの気を引き付けてエッフェル塔近くの林へと誘導し、彼らを落ち着かせることに成功した。
だがそこへアクト団の恐竜達が襲撃してくる。それに対しリュウタは復活したディノホルダーでガブとイナズマを成体化して召喚し、アンキケラトプスやナーストケラトプスと協力してアクト団を撃退することに成功したのだった…。
前編
ある日のアジ島
地下の奇妙かつ巨大なマシンがある大部屋に、Dr.ソーノイダの姿があった。
その装置には以前カロリディーから受け取った巨大琥珀・ディノモンドが嵌っており、そこからマシンへとエネルギーが供給されているのが見て取れる。
しかし、ソーノイダの顔は渋いままだった。
「う〜む…あれから随分時間を置いてみたが、やはりディノモンドだけでは完璧に動かせんか…。
やはり必要なのは動力部への徹底的な補強…となればあの金属を調達せねば…」
そんな感じで独り言を呟いたソーノイダはエレベーターに乗り込み、自身の研究室へと向かったのであった。
その少し後 ソーノイダの研究室
「「「アクトメタルぅ?」」」
突然呼びつけられ、何事かとやって来たウサラパ達アクト団工作員の3人に、ソーノイダはアクトメタルというものを探してくるように告げた。
「そうぞい。大事なマシンの修理のためにどうしても必要な金属なのだぞい」
「でも…何なんスか? その…アクトメタル?っていうのは…」
「アクトメタルはワシが発見して命名した特殊な金属でな、この時代ではまだ無名の物質なのじゃぞい。
おまけにワシらの時代でも埋蔵量は極めて少ない希少な金属で、ワシの持論では隕石に付着して落ちてきたのではないかとも…」
エドからの質問に答えるため、ソーノイダは頼んでもいないのにベラベラと講釈を垂れ始めてしまった。
「あの〜…ドクター? そろそろ今回の任務内容を教えていただきたいのですが〜…」
「ん? おおそうだったぞい! 今回はな、お前達にそのアクトメタルの鉱石を採掘してこさせようと考えておったのだぞい」
「でも希少金属なんザンしょ? どうやって探せばいいんザンスか?」
ノラッティ〜からそう聞かれたソーノイダは、自信満々といった様子で何かの機械を手に取った。その外見は、まるで地雷探知機のようである。
「これはワシが開発した金属探知機『アクトカウンター』ぞい!
アクトメタルを探すようにプログラムしてあるから、これさえあればアクトメタルはすぐに見つかるはずぞい!」
「おぉ…」
「でも世界は広いッスよ? どうやってアクトメタルのある鉱山を見つけるんスか?」
「それに関しても問題ないぞい! ワシが独自に行なった調査の結果、確実にアクトメタルが埋まっている鉱山を見つけたのじゃぞい!」
そう言うとソーノイダはすぐそばのモニターを起動し、とある場所にカーソルを合わせた。
そこは、日本国東北地方の福島県だった。
「ここのどこかにアクトメタルが眠る鉱山があるはずぞい。あとはアクトカウンターが導く先へ進んでいけば、必ずアクトメタルを発見できるはずぞい!
説明は以上ぞい! 分かったなっ!?」
「「「ヘイヘイホーッ!」」」
「よし! では行って来い!」
ソーノイダからの指令を受け、3人は一斉に走り出していった。ソーノイダはその後ろ姿を満足そうに見送ると椅子に腰掛け、どこからともなく取り出した書類を開いた。
彼にとっての悩みのタネは、アクトメタルだけではないのである。
(う~む…まずい…非常にまずいぞい。このままでは間もなく我が泣く子も黙るアクト団の資金が底をつくぞい。
カロリディーから受け取った金の殆どはマシンの修理費に回してしまったし…ウサラパ達がアルティリヌスを持ち帰ってきた時にご馳走を出して散財してしまったのも良くなかったぞい。
どうする…? 一体どうするぞい…)
「…おじい様…?」
「ん?…おおロアか! どうしたのじゃぞい?」
「なんだか難しい顔をしてらしたから…どうしたのかと思って…」
「だ、大丈夫ぞい! ロアは気にしなくてもよいことぞい!」
いつの間にか研究室に入ってきていたロアに驚きつつ、ソーノイダは白衣のポケットに書類をねじ込んだ。
しかし、ロアはどこか浮かない顔をしている。
「どうしたのじゃぞい? そんなに浮かない顔をして…何かあったのかぞい?」
「あのね、おじい様…。最近おにい様がわたしと遊んでくれないの」
「ロトが…ぞいか? どうしたのだぞい。喧嘩でもしたぞいか?」
「違うわ。でも…おにい様、最近ずっとノーピスの研究室に通い詰めてるの」
「ノーピスのところとな? それはいかんぞい。お勉強はちゃんとやらんとワシのように立派な…」
「お勉強はちゃんとしてるのよ。でもお勉強が終わるなりすぐノーピスのところに行ってて…。
マシンの修理を手伝ってるみたいなんだけど…」
「何? マシンの…? う~む…ノーピスのやつ、何を考えておるのだぞい…?」
ロトの妙な行動を聞き、ソーノイダは首を傾げたのだった…。
その後 日本国福島県 いわき市上空
そんな経緯があり、今ウサラパ達はいわき市の上空を飛行船で飛んでいるところだった。
その最中も、アクトカウンターを任されたノラッティ〜は反応を確認するのを忘れていない。
「ジイさんが言ってた鉱山ってのは…あれのことなのかねぇ?」
「みたいザンスねぇ。アクトカウンターが僅かに反応してるみたいザンスから…」
「にしても何を修理するつもりなんスかね?」
「さぁ〜ねぇ〜。ジイさんったら、いっつもすぐ壊れるものばかり作ってるからねぇ…」
そんなことを話していると、彼らの目の前の無線がガリッと鳴り、何者かの声が聞こえてくる。
『…ようやく目的地か? まったく長い旅路だったな…。てめぇらの飛行船はトロくていけねぇぜ』
無線の相手は、なんと『Sin-D』のジェイソンだった。よく見るとウサラパ達の飛行船に追従する形で彼が乗るジェットヘリが付いていっている。
「うるさいねぇ…。呼んでもないのに勝手にしゃしゃり出てきて…。一体何が目的なんだい?」
『てめぇらが不甲斐ないからおれが手伝ってやるって言っただろ? おれとしても新戦力を登用したところでな、そいつの使用感を確かめたいんだよ』
「はいはい、分かったよ…。それじゃあ着陸準備を始めるから、アンタのとこも準備しときなよ〜」
『へッ、言われるまでもねぇよ』
そこまで言ったところで、ジェイソンからの無線は途切れた。ようやく会話が終わったところで、ウサラパは大きくため息をつく。
「ハァ…。にしても、何であいつを連れてくることになったんだろうねぇ…」
「出撃準備をしているところで出待ちされてたザンスし、ミー達あいつに弱みを握られてるから断れなかったザンしょ?」
「そもそも何でアジ島に来てたんスかねぇ? 特に用事もないはずだと思うんスけど…」
その時、飛行船が大きく揺らいだ。それにより、ウサラパ達の思考はジェイソンから飛行船の状態へと移る。
「な、何だい! 何事だい!?」
「燃料不足ザンス! このままじゃ、辿り着く前に落ちるザンス!」
「また燃料ケチったんスね…?」
「いいから重いものを捨てて、何としてもあの鉱山まで保たせるんだよぉ!」
ウサラパからの指示を受けて、エドとノラッティ〜は格納庫に積んでいたアクトロイドを次々と外へ投げ出していく。
その様子は、後方を飛行するジェイソンからも見えていた。
「ん?何やってんだあいつら…」
「分かりません。突如高度を落とした上、格納庫から何かを落としているようですが…」
ウサラパ達の行動の真意を計りかねた様子のジェイソンは、首から下げていた双眼鏡で落としているものを見てみたようだ。すると、ますます彼は困惑した表情を浮かべる。
「あいつら、アクトロイドとかいうロボット共を捨ててやがるぞ…。何考えてんだ?」
「さぁ…。我々にも分かりかねます…」
そして、アクトロイドを捨て切ったところで再びアクト団の飛行船は再上昇を始めた。
「少し持ち直したザンス!」
「でも良かったんスか? あんなことして」
「飛行船がここで墜落するよりはマシだろ? あいつらには自力で山を越えてもらうんだよ!」
こうして、ウサラパ達は引き続き飛行船を操り、目標の鉱山へ向かっていったのであった…。
その後、飛行船は何とか鉱山まで辿り着いたものの、コントロール不能状態になっていた。
「また落ちてるよぉぉぉぉぉ!?」
「もう燃料はカラッポザンスぅ〜!」
そして飛行船は地面にその機体を擦り付けながら坑道の中へと滑り込んでいく。更に飛行船が坑道の途中でつっかえたところで、慣性の法則に従ってウサラパ達はコクピットから投げ出された。そのまま彼らはエレベーターの中へと放り込まれ、自動的に坑道の下へと送られていった。
「また落ちるのかぁぁぁい!?」
「ミー達落ちるところまで落ちるザンス〜!」
やがて到着を知らせる電子音と共にエレベーターの扉が開き、3人はまた坑道の中へ放り出された。
痛みに悶えながらもノラッティ〜が体を起こすと、アクトカウンターの画面が目に入ってくる。画面では、メーターが激しく反応していた。
「あーっ! ウサラパ様! アクトカウンターが激しく反応しているザンス!」
「じゃあ、すぐ近くにアクトメタルがあるってコトッスね?」
「ラッキぃー! 今回の仕事はスムーズにいきそうだねぇ〜! フッフッフッフ…」
ウサラパが笑みを浮かべたその時、坑道内を小さな地鳴りが走り抜ける。その衝撃のせいか、廃土の山が崩れ、土と共に何かが転がり落ちた。
それは、あの卵型カプセルだったのである。しかも落ちた時の衝撃で割れ、中のカードが排出されていた。
「ん? これは…水の技カードだよ?」
「ほんと! ラッキーっすねウサラパ様!」
「今のミー達には運も味方してるザンス!」
「ンフフフ、偶にはこんなこともないとねぇ…。
早速サイカに穴掘って掘って掘りまくらせて、スピノに砂利を運び出させるんだよ!」
「その前に坑道を乗っ取るザンス…!」
「それならジェイソンも力になってくれそうッスね!
早速連絡するッス!」
そう言うと、エドはアクトホルダーを手にジェイソンへ連絡を入れたのであった…。
その頃 いわき市双葉層群
アクト団とジェイソンが坑道乗っ取りを計画している時、DキッズとDラボのスタッフ達は、同じく福島県のいわき市にある双葉層群に来ていた。
ここは、かの首長竜フタバサウルス・スズキィの化石が見つかった場所なのだ。Dキッズは、夏休みを利用してやって来たここで、化石の発掘をしているのである。
そんな中リュウタは早速化石を見つけたようで、ハケとエアスプレーで慎重に周囲の土を取り除いている。
「これは三葉虫の欠片かな?」
「うむ。ここは1968年に新種のフタバサウルスの背骨の化石が発掘されたところなんだ。
フタバサウルスがいたということは、他にも新種の海棲爬虫類もいるかもしれないんだぞ!」
「確かフタバサウルスって、昔の図鑑ではフタバスズキリュウって名前でしたよね?
それで正式に学名が与えられて、フタバサウルス・スズキィになったとか…」
「その通りだ、オウガ君。他にも同じようにして通名が学名に採用されたものだと…旧フクイリュウのフクイサウルスが有名だな!」
「それって、発見者の名前が付くんだよね?」
「いや、必ずしもそういう訳ではないが…フタバサウルスの他には、ギガノトサウルス・カロリニィも種小名は発見者の名前から取られているな」
「あとは発見者の名前ではないですけど、人名が付けられた場合だと、名作恐竜SF小説を世に出した小説家マイケル・クライトンにあやかった、クリトンサウルスやクライトンペルタがいましたよね。
その小説やスピノバーグ監督が手掛けた実写映画をオウガ君に見せてもらいましたけど、とても面白かったからよく覚えていたんです。調べたところだと、恐竜文化の発展に大きく寄与したことが認められ、そのリスペクトとして恐竜に名前をつけてもらえたんだとか…」
「あー…ミサ君、その2種なんだが…肝心の化石が断片的過ぎて、どちらも今は疑問名に分類されてしまったんだよ」
「あら、それは…残念ですね…」
「でも、もしオレの名前がついたとしたらリュウタサウルスか…。悪くないな!」
「俺の名前が採用された恐竜なら…ティラノサウルス・オウガって感じかな? いや、ティラノサウルス・ハゴウってのもあるか…」
『…ティラノサウルスに自分の名前を付けたいということは変わらないのだな』
「当たり前さ。憧れのティラノサウルスに自分の名前を付けられるなんて恐れ多くもあるけど、その反面もし実現できたら感無量だよ!」
リュウタとオウガがそんなことを想像しながら悦に入っていると、突然マルムが発掘していた地層を登り始めたのだ。
流石に危ないと思ったのか、リュウタが彼女に声を掛ける。
「マルムー! 足場崩れやすいから気をつけろよ!」
「平気よ。…うわあっ!」
しかし、平気ではなかった。突然マルムが足を乗せていた部分が崩れ、彼女は下まで滑り落ちてきてしまった。
リアスと古代博士が慌てて駆け寄っていく。
「マルム!」
「おいおい、大丈夫か?」
「だから言っただろ?」
マルムは皆を安心させるためか立ち上がろうとするが、小さく悲鳴を上げてまた座り込んでしまう。
どうやら滑り落ちた時に足を怪我してしまったらしい。
「ちょっと捻ったみたいね…」
その時、Dキッズが持つディノホルダーやディノラウザーから甲高い通知音が鳴り出した。4人が揃って画面を見ると、福島県沿岸部に赤い点滅が現れている。
恐竜の出現を感知したのだ。
「何か現れた…?」
「リアス君。研究所にアクセスしてくれ」
「はい。ミサさん、手伝ってもらえる?」
「は、はい!」
古代博士の言葉を受けてリアスとミサはリアスのマイカーへ駆けていくと機材を下ろし、手早く接続していく。
そしてリアスのパソコンがルーターと接続され、研究所との接続を開始した。ややあってからパソコンにマップが映し出され、赤い点滅が発生した場所が拡大される。
「この近くの鉱山からの反応のようです!」
「よし、そうと決まれば早速出動だ!」
古代博士の言葉を受け、オウガ達は車へ駆け出していく。
「あ、アタシも行きたーい!」
「それは構わないけど…無理するなよ?」
「平気よ。このくらい…痛っ!」
強がってみせるマルムだったが、やはり痛みには抗えないのかすぐにまた座り込んでしまった。
「マルムは病院で足を診てもらいなさい!」
「オレ達に任せとけって!」
そう言い残し、オウガ達は古代博士の車で走り去っていく。
「…さ、マルムちゃん。行きましょう?」
その車を悔しそうに見送っていたマルムだったが、ミサに促され、シュンとした顔で立ち上がった。
そしてリアスのマイカーで病院に着くまでの間、彼女はずっとしょぼくれた表情をしていたのだった…。
それから間もなく、古代博士の車は鉱山の坑道入り口前に到着した。坑道からは次々に作業員達が逃げ出していっており、更に坑道入り口付近には奇怪な見た目の飛行船も停まっている。
「この中か! いくぞガブ! イナズマ!」
車から飛び降りたリュウタがガブとイナズマを伴って駆け出していき、それにレックスとエース&アイン、そしてオウガとレクシィ&アメジストが続く。
しかし突然近くの岩壁が炸裂し、土煙の中からサイカニアが姿を現したのである。
更にその後ろから、巨大な岩石を大玉転がしのように転がしながらスピノサウルスも現れる。
言うまでもないが、この2体はアクト団のサイカとスピノであった。
「サイカニアだ!」
「スピノサウルスまで…」
「あの2体がいるってことは…まさか!」
しかし2体はオウガ達には目もくれない様子で、サイカは岩盤を尾のハンマーで叩いて壊し、スピノはゴロゴロと音を立てながら岩石を転がしていった。
その奇妙な行動に、古代博士も首を傾げる。
「ありゃりゃ?」
「玉転がしなんかして…運動会の練習かぁ?」
「いや、秘密基地でも作ってるんじゃないのか?」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ! みんな!
スピノとサイカなら、その使い手にも俺達は心当たりがあるじゃないか!」
「…あっ!」
「そうか! あいつらが…」
彼らの推測は正しかった。サイカがぶち開けた坑道の奥を、ウサラパ達が通り過ぎようとしていたのである。
「あーっ! やっぱりオバさん!」
「だぁーれがオバさんだいっ!?」
ウサラパが得意の地獄耳でオバさん呼びを聞きつける。そこでウサラパ達は初めてオウガ達の存在に気がついたようだ。
「お前達! こんなところに何しに来たんだ!」
「また邪魔しに来たのね! スピノ! やっておしまい!
それからティラノ使いのガキンチョの相手はアンタに任せたよ!」
「おう、任されたぜ」
その言葉と共に、ウサラパ達の後ろからジェイソンが姿を現した。
「ジェイソン…! 最近現れないと思っていたら…!」
「おう、久しぶりだなクソガキ共! しばらく邪魔をしてやれなかったのは、研究期間というやつだ!
今度のおれ様は一味も二味も違うぜぇ?」
更に彼だけではない。ウサラパの指示を受けたスピノもその辺に大岩を転がしておき、オウガ達ににじり寄って来たのである。
「やばい! レックス! オウガ! 行くぞ!」
「うん!」
「勿論!」
リュウタの掛け声でレックスとオウガもそれぞれディノホルダーとディノラウザーを取り出し、それぞれ恐竜を1体ずつカードに戻してスキャンした。
「ディノスラーッシュ! 轟け! トリケラトプス!」
ゴオォォォォォ!!
「ディノスラーッシュ! 吹き抜けろ! カルノタウルス!」
グォォォォォォン!!
「ディノスラーッシュ! 揺るがせ! ステゴサウルス!」
ケエェェェェ…!!
計3体の恐竜が成体の姿で降り立ち、スピノとアクト団、ジェイソンの前に立ちはだかった。それと共に、周囲にバトルフィールドが広がっていく。
だが、ジェイソンは怖気づくどころか不敵な笑みすら浮かべている。
「ほう、トリケラトプスにステゴサウルスか…。
てめぇらがそう来るのなら…おれもこいつを出さなきゃ無作法ってもんだよなぁ!?」
そう言いながらジェイソンは懐から1枚のカードを取り出し、ベルトのバックルに付けられたアンバーに押し当てた。
すると彼の周囲を黄色と紫の光が包み込み、そこから巨大な影が現れる。そして光の中から出てきたのは、異形の恐竜であった。
頭部や脚はトリケラトプスのそれであるものの、体に並ぶ菱形の板や尾先のサゴマイザーは、ステゴサウルスの特徴である。
まるでトリケラトプスとステゴサウルスが融合したかのような生き物は、オウガ達の恐竜を睨みつけておぞましい雄叫びを上げたのだった。
「な…何だよこいつ…? トリケラなのか? それともステゴなのか…?」
「いや、違う! これはもしかすると、インドミナス・レックスやインドラプトルと同じ…」
「その通りよ! こいつは『ステゴケラトプス』!
おれ達の協力者に製作してもらった、トリケラトプスとステゴサウルスのハイブリッド恐竜だ!
大型植物食恐竜のゲノムを混ぜたからかは知らねぇが、どちらよりも強靭かつ凶暴になったって話だぜ!」
そう言って豪快に笑うジェイソンに、オウガ達は怒りの言葉をぶつけた。
「お前ら…! 恐竜を何だと思ってんだ!」
「こんなの恐竜に対する侮辱じゃないか!」
「あなた達に恐竜を好き勝手する権利なんてないはずだ!」
「へっ、何を言ってやがる。こいつら恐竜には、何の権利もありゃしねぇよ。こうして作り出したおれ達人間に…全ての権利があるってもんだろ!
さあ、やれっ! ステゴケラトプス! あのクソガキ共を踏み潰せ!」
ゴオォケエェェェェ!!
ジェイソンの指示を受けたステゴケラトプスが勢いよく突撃し、それにスピノが続いてくる。
それをガブやエース、アメジストの3体が迎え撃つために駆け出していった。
まずはエースがスピノに突撃していくが、スピノの尻尾攻撃で弾き飛ばされてしまう。しかしそこへガブが助太刀に入り、スピノを掬い投げた。横倒しになったスピノの腹へエースが飛び乗り、その上で跳ね始めた。
それを眺めていたガブだったが、突然彼の体が宙に浮く。ステゴケラトプスがガブをも上回る長大な角でガブを持ち上げたのだ。
逃れようと必死にもがくガブを冷たい視線で見つめるステゴケラトプスだったが、そこでアメジストのサゴマイザーによる一撃を受け、体勢を崩してガブを取り落としてしまった。しかし素早く身を起こすと、続けて突進していくアメジストを真正面から迎え撃った。その上ズルズルとアメジストを押し返し始めたのだ。そこへガブが加勢してアメジストの手助けをするものの、それでもステゴケラトプスの勢いを殺し切ることはできないようだ。
一方、未だにエースに踏みつけられているスピノを見るウサラパ達は呆れた表情を浮かべている。
「まずいねぇ…。ジェイソンのステゴとトリケラの間の子みたいな奴はあんなに活躍してるのに…」
「ウサラパ様! さっき見つけた技カードを…」
「あぁ! そうだった!」
思い出したようにウサラパが言うと、取り出した技カードをアクトホルダーに通した。
「泣く子も黙るアクト団の恐ろしさを、思い知らせてあげる! 『
カードが読み込まれるや否や、スピノの体を青い光と水流が包み込む。それに怯んだエースを振り落とすとスピノは立ち上がり、高く雄叫びを上げた。
するとスピノの目の前に水溜りが展開され、そこから1頭の首長竜が姿を現したではないか。
「地面が…!」
「ムッ!? あれはフタバサウルス!」
古代博士がその首長竜をフタバサウルスだと断定した。このいわき市で見つかったフタバサウルスがここで現れるとは、なんという巡り合わせなのだろうか。
しかしその間にも展開された水溜りは広がっていき、水が苦手なエースの方へと伸びていく。エースの注意が足元の水溜りに向いたその時だった。
フタバサウルスが口から高圧水流を発射したのである。水流はエースを直撃して押し流し、その体をカードに戻してしまった。
「あぁっ! エース!」
「やったッス!」
更にその間にスピノは高く跳躍するとガブの近くに降り立ち、尻尾でガブを弾き飛ばしたのである。
これによって力の均衡は崩れ、アメジストはあっさりとステゴケラトプスに薙ぎ払われてしまった。
「アメジスト!…こうなったら技カードを使うしかない! 頼んだよ! 『
オウガがディノラウザーに技カードをスキャンすると、アメジストの体は紫色の光と紫水晶の欠片に包まれる。そしてその紫色の光が体に宿り、包みこまんばかりになったところで、アメジストは思い切り踏ん張った。
すると彼の全身から土エネルギーを凝縮した棘槍が撃ち出され、次々にステゴケラトプスに降り注いでいく。
「あれを全部食らったら、ひとたまりもないザンスよ!」
「…! 貸せっ!」
すると、突然ジェイソンはエドのアクトホルダーを奪い取ると技カードを物色し、1枚のカードを取り出した。そしてそれを自分のアンバーに押し当てて技を発動させたのである。
「簡単な話だよ! そんなもん全部受けきっちまえばいいのさ! 『
ステゴケラトプスの周囲を紫色の光と土塊が渦巻き始めたところで、ステゴケラトプスが力強く大地を踏みしめて数多の土塊を巻き上げた。土塊は紫結晶の防護壁へ変化すると周囲にバリアとして展開され、そこへ『
しかし棘槍はどれもバリアを貫通することができないまま、いなされてしまったのだ。勿論ステゴケラトプスは無傷なままである。
「さぁて、ステゴケラトプスよ。今の攻撃のお返しといこうじゃねぇか…。
喰らいな! 『
またジェイソンが1枚のカードを取り出してアンバーに押し当てると、ステゴケラトプスの周囲を黄色と紫の2色の光が包みこんだ。
するとにわかに空が曇り始め、そこから一筋の雷が落ちる。その雷を受けたステゴケラトプスは全身に力を漲らせ、力強く踏ん張った。
するとその全身から無数の棘槍が撃ち出されたのである。だがそれはアメジストの『
「アメジスト!…そんな…!」
「へっ、口ほどにもねぇな」
「すごいじゃないかジェイソン! これでアタシ達の圧倒的有利な状況になったよぉ!
さぁ、残ったトリケラトプスもやっておしまい! フタバサウルス!」
その指示に応じてフタバサウルスが再び口に水を貯め始める。だがそこへ間が悪いことにサイカがやって来て、フタバサウルスの射線を塞いでしまった。
身の危険を感じたサイカは尻尾のハンマーを振るい、フタバサウルスの首へ一撃を加えてしまう。それによってフタバサウルスは狙いを外してしまい、ガブに『
痛々しげな声をあげながら水溜りの中へ引っ込んでいくフタバサウルスだったが、サイカはどこ吹く風といった様子でまた坑道の中へ戻っていった。
「もーっ! 何余計なことしてくれてるんだよーっ!」
「スピノー! 代わりにあのトリケラをやっつけるザンスー!」
「ステゴケラトプス! てめぇも行けっ!」
ノラッティ〜とジェイソンの指示を受け、スピノとステゴケラトプスが2体がかりでガブに突撃しようとしてくる!
…と、そこへ古代博士が車を運転し、オウガ達のすぐ前につけてきた。
「リュウタ! レックス! オウガ君!
ここは一旦引いて体勢を立て直すんだ!」
「…分かりました」
「くっ…仕方ないな…」
古代博士から退却を指示された3人は、アメジストとエースのカードを拾い、ガブをカードに戻すと古代博士の車に乗り込んだ。
3人が乗ったのを確認した古代博士はすぐさまアクセルを踏み込み、鉱山から遠ざかっていく。スピノとステゴケラトプスもその後を追ったが、車が鉱山から完全に出ていったところで踵を返して戻っていった。
「あいつら逃げていくッス…!」
「久々の快勝は気持ちがいいザンスねぇ…」
「異なる属性を扱えるハイブリッド恐竜の強さがこれほどとはな…。正直期待以上だぜ。
クククク…こいつは戦場を変える発明になりそうだな…」
「フフフ…あいつら泣いてたねぇ…」
「いやいやぁ、泣いてはいなかったッスよ?」
「これで誰にも邪魔されずにアクトメタルを探せるザンス!」
そして彼らはまた坑道へと潜り、アクトメタル探しを続けたのであった…。
今回はここまでです。
今回はステゴケラトプスが出演した関係上少し話が長くなりましたので、久々に前中後編に分けて投稿したいと考えております。
また、現在募集しているアンケートは、第25話後編を投稿した段階で締め切りたいと考えております。
それでは、明後日に投稿される中編をお待ち下さい。
第26話の原作「恐竜遊園地で大儲け!」にあたるエピソードでマルムの第2のパートナー恐竜を登場させたいと考えております。つきましては、私が選出した候補からどれが相応しいか皆様からご意見を伺いたいのです。もしよろしければ、以下のうちから1つを選んでご回答下さい。
-
ランベオサウルス
-
エドモントサウルス
-
カロノサウルス
-
コリトサウルス
-
オウラノサウルス
-
ディプロドクス・ハロルム(小)