古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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今回は後編になります。
それでは今回も最後までお楽しみ下さい。


後編

その少し前 坑道内

 

 オウガがジェイソンに質問を持ちかけて時間稼ぎをしている間、ウサラパ達は掘り出したアクトメタル鉱石を運搬していた。

 とは言っても実際に運搬しているのはアクトロイド達で、彼らはその前をのんびり歩いているだけなのだが。

 

「まったく…いつになったら出口に辿り着くんだい?」

 

「サイカのやつ、穴を掘りすぎたザンスねぇ…。まるで迷路みたいザンス」

 

「大分上がってきたッスからねぇ。そろそろのはずなんスけど…」

 

「そもそもの問題として、本当にこの道で間違いないんだろうねぇ? どこかで道を間違えてる可能性はないのかい?」

 

「大丈夫ザンス! 確か最初サイカは上向きに穴を掘ってたザンしょ? それで帰りの今はこうして下り坂になってるから、ここを下りきれば出口ザンス!」

 

「くっ…下る!? ってことはまさか…」

 

 ウサラパの危惧は当たっていた。彼らの後ろで大岩を転がしていたアクトロイド達が遂に登り坂を登り切ったところで、大岩はひとりでに転がり始めたのである。

 

「いやぁぁぁぁぁ!」

 

「「ぎゃあぁぁぁぁ!」」

 

 3人は悲鳴を上げながら逃げ出した。もたもたしていると自分達が掘り出した岩に潰されてしまうからである。彼らは必死に逃げ続けるものの、大岩との距離は一向に離れていかなかったのであった…。

 

 

 戻って鉱山 坑道入り口付近

 

 坑道の奥から聞こえてきたゴロゴロという音に、オウガ達やジェイソンも思わず手を止めて音の出処を探っていた。

 やがて、誰かの…ウサラパ達のものなのだが、彼らは知る由もない…悲鳴が聞こえてくると、オウガ達は互いの顔を見合わせた。

 

「何だろう? あの声…」

 

「なーんかどっかで聞いたことある声だよなー…」

 

 そんなことを話していると、坑道の奥から必死の形相のウサラパ達3人が走ってきた。更に彼らの後ろからは巨大な岩も転がってきている。

 

「「「ええっ!?」」」

 

 咄嗟にオウガ達は回避のため横へとずれた。彼らは出口に近い位置にいたため、簡単に回避することができたのだ。

 

「ぐはぁっ!?」

 

 しかし奥側にいたジェイソンはそうはいかない。彼もウサラパ達の後ろを転がる大岩に気付いた瞬間から回避行動を取ったものの、ウサラパ達に轢かれるような形で突き飛ばされてしまった。

 そして、ウサラパ達も外へ出られたはいいものの、結局大岩に轢き潰されてしまったようだ。

 

「「「ハラホロヒレハレ…」」」

 

 またしてもペチャンコになっているウサラパ達の様子を見に、オウガ達も近寄っていく。

 

「何でこんなところで運動会の練習なんてしてるんだ?」

 

「運動会ぃ…?」

 

「何言ってんだい! アンタ達また泣かされたいみたいだねぇ!?」

 

「あんな大きな岩に轢き潰されたのに、よく生きていられますね…」

 

 リュウタにバカにされたと感じたのか、ウサラパは飛び起きてオウガ達に凄む。

 一方でオウガは、そんな彼らの生命力にお世辞抜きで感心しているようだった。

 そしてウサラパは、怒りの感情の赴くままにアクトホルダーとカードを手に取った。

 

「アクトスラーッシュ! 湧き上がれ! スピノサウルス!」

 

グァギュオォォォッ!!

 

 ウサラパにしては珍しい前口上と共にスピノが成体となって召喚され、オウガ達の前に立ちはだかった。

 

「ガキンチョを蹴散らしておしまいっ!」

 

 スピノの再登場を見て、リュウタは俄然やる気になっていた。そしてその手には、もうディノホルダーを構えている。

 

「よっし! 今度は油断しないぞ!」

 

「…えっ? まさかリュウタ、もう戦い始めるつもりなの?」

 

「ちょっと待てよ! パパさんがマルムを連れてくるまで待った方が…」

 

「大丈夫! ガブはダウンしちゃってるけど、こいつだけならイナズマが何とかしてくれる!」

 

『ゴロロッ!』

 

 リュウタの言葉を聞いたイナズマが、任せろと言わんばかりに胸を張る。そしてリュウタはイナズマをカードに戻し、ディノホルダーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ! 轟け! スティラコサウルス!」

 

ギュオォォォォォ!!

 

 イナズマが成体化して降り立ち、すぐさまスピノへと突撃していく。しかしスピノは冷静に尻尾を振るい、イナズマを弾き飛ばした。

 

「さっさと勝負をつけて帰るッス!」

 

「そうだねぇ、エド。あの技カードを貸しな。またフタバサウルスを呼び出せば、あのスティラコもあっという間だよ」

 

「えっ? カードぉ?」

 

「そうだよ! さっき拾った水属性の技カードだよ!」

 

「おれは持ってないッス! ノラちゃんは?」

 

「ミーも持ってないザンス!」

 

「バカ! どこやったんだよーっ!?」

 

「ミーにも分からないザンスよーっ!」

 

 ようやくここで『双葉大砲(フタバメガキャノン)』のカードをなくしたことに気付いた3人であった。

 

「それじゃあ…ねぇジェイソン! アンタがさっき出してたすごい恐竜であのスティラコを倒してよーっ!」

 

 そこでウサラパは、少し離れたところにいるジェイソンに声をかける。振り返った彼の顔面には、玉のような汗が浮いていた。

 

「…悪いが、今すぐは無理だ」

 

「何でよ!? まさかアンタまでカード無くしたって言うのぉ!?」

 

「うるせぇ! さっきてめぇらに突き飛ばされたせいで、ステゴケラトプスのカードがどっか行っちまったんだよ!

今日はあいつしか持ってきてねぇんだ!」

 

「…なーんか段々いつものパターンに戻ってきたッスね…」

 

 先程まで怖いくらい調子が良かったアクト団工作員の3人だったが、ここに来ていつもの調子に戻りつつあったのだった。

 一方でスピノは再び突進してきたイナズマに、また尻尾で攻撃しようと大きく振りかぶる。しかしイナズマは素早くスピノの側面に周ると、角を腹の下へ差し込んで勢いよく放り投げたのである。

 

「やったぁ!」

 

「なんだかアクト団やジェイソンの間で揉めてるみたいだし、本当に勝てるかも…」

 

 と、そこへ古代博士の車が戻ってきた。車が停まると同時に後部座席からマルムが飛び降りてくる。

 

「リュウタ! レックス! オウガ! お待たせ!」

 

「マルム! それでさっき言ってたフタバサウルスってのは…?」

 

「これよ!」

 

 そう言ってマルムは、手に持っていた『双葉大砲(フタバメガキャノン)』技カードを3人に見せた。確かに、先程アクト団が使っていたと思われるカードだった。

 

「ホントだ! それじゃあイナズマだけでも十分だぜ!」

 

 そう言って得意げな顔をするリュウタだったが、彼を押しのけてマルムが前へ出た。どうやら彼女も戦いたくて仕方がないらしい。

 

「パラパラも行くわよ!」

 

『ハワ〜…』

 

 そしてマルムもパラパラをカードへ戻し、ディノホルダーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ! 芽生えよ! パラサウロロフス!」

 

キュオォォォン!!

 

 パラパラが成体の姿で召喚され、イナズマと並び立つようにして降り立った。2体の視線の先には、アクト団のスピノがいる。

 と、そこでノラッティ〜がマルムの手の中にあるカードを目ざとく見つけた。

 

「ウサラパ様っ! あれをっ!」

 

「えーっ?」

 

「水の技カードザンス! あのガキンチョ共が持ってるザンスよ!」

 

「何であいつらが持ってるんスかねぇ…?」

 

「キィーッ! 何でもいいから何としても奪い返すんだよぉーっ!」

 

「そんなこと言われても…。取り敢えず、サイカで代用させるッス!

アクトスラーッシュ! 盛り上がれ! サイカニア!」

 

ウオォォオォォ!!

 

 ひとまず数的不利を解消することにしたのか、エドがサイカのカードをアクトホルダーに通して成体化させた。

 しかしサイカは降り立つなり鉱山の1角に尻尾で穴を空け、その中へと潜り込んでいった。また穴を掘らされると思い込んでいるのだろうか。

 

「あぁっ! どこ行くんだい!? もう穴を掘る必要はないんだよぉ!?」

 

 ウサラパがそう呼びかけたものの、サイカは聞く耳を持たず、そのまま坑道の奥へ進んでいってしまったのだった。

 サイカがどこかへ行ってしまったことで、助けを得られなかったスピノはジリジリとイナズマとパラパラに追い詰められていた。

 このままでは押し切られてしまうだろう。

 

「このままじゃまずいザンスよ! ウサラパ様!」

 

「アクトメタル鉱石だけでも運んでおいた方がいいッス!」

 

「そのようだね…。行くよ!」

 

「「ヘイヘイホー!」」

 

 形勢の不利を悟ったウサラパ達は、どうやら戦闘に勝つことよりもアクトメタル鉱石の運搬を優先することにしたようだ。すぐさまアクトメタル鉱石のもとへ…アクトロイド達があの大岩を押しているところへ向かったのであった。

 

 一方、アクトロイド達が大岩を運んでいるところをマルムも目の当たりにしていた。

 勿論、彼女にはそれがアクトメタル鉱石だということも、何故アクト団がそれを必要としているのかは分からない。

 しかしアクト団の考えることである。間違いなく碌でもないことであると判断したのか、マルムはパラパラにアクトロイドを妨害するよう指示を出した。

 

「パラパラ! あのロボット達を止めて!」

 

 その時だった。マルムのすぐ後ろの岩壁からサイカが飛び出してきたのである。

 そう。サイカは地中を掘り進んでマルムの背後へ回り込んだのである。決して闇雲に穴を掘っていたらたまたまマルムの後ろに出た訳ではない…と思いたい。

 

「きゃあっ!?」

 

 マルムは反射的に顔を手で守ったのだが、その時持っていたフタバサウルスの技カードを落としてしまった。

 

「マルム、大丈夫か?」

 

「う、うん…。あっ、フタバちゃんのカードが…」

 

 古代博士に助け起こされたマルムは、目の前のフタバサウルスのカードを拾い上げようと手を伸ばす。

 しかしそこへマジックハンドが伸びてくると、カードを掴み取っていってしまった。そのマジックハンドを操作していたのは、当然だがアクト団の3人である。

 

「いただき〜♪」

 

「ああっ! フタバちゃん!」

 

 更にDキッズにとっては悪いことに、そこへジェイソンも戻ってきた。その手にはステゴケラトプスのカードがしっかりと握られている。

 

「やーっと見つけたぜ…。余計な手間はかけさせられたが、これでてめぇらクソガキ共を殲滅する準備は出来たってわけだ」

 

「いいねいいねぇ! まだまだ運はアタシ達の味方みたいだねぇ! それじゃあいくよっ! 『双葉大砲(フタバメガキャノン)』!」

 

 まずはウサラパがアクトホルダーに技カードを通し、『双葉大砲(フタバメガキャノン)』を発動させる。するとスピノの轟砲と共に、あのフタバサウルスが姿を現した。

 

「いくぞっ! 仕事だ! ステゴケラトプス!」

 

ゴオォォケエェェッ!!

 

 更にジェイソンがベルトのバックルに嵌められたジュラシック・アンバーにカードを押し当て、ステゴケラトプスを召喚する。

 有利かと思われたのも束の間、Dキッズはまたしても劣勢に追い込まれてしまったのであった。

 

「さあっ! やりなフタバサウルス!」

 

 そしてフタバサウルスがウサラパの指示に従い、口から高圧水流を吐き出してイナズマに命中させた。イナズマの体が吹き飛ばされ、岩壁に叩きつけられる。

 

「フタバちゃん…」

 

「イナズマ! 大丈夫か!?」

 

 すかさずリュウタがイナズマのもとへ駆け寄ろうとするも、彼の前にスピノが立ちはだかった。

 それを見たオウガは、ディノラウザーをその手に構える。

 

「大変だ…! こうなったら俺も加勢する!

頼んだよ! レクシィ!」

 

『いいだろう…。いつでも来い!』

 

 レクシィからの力強い返事を受けたオウガは彼女をカードへ戻し、ディノラウザーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ!

燃え上がれ! ティラノサウルス・レックス!」

 

ゴガアァァァァァッ!!

 

 成体化したレクシィは地面に降り立つと、すぐさま威嚇の咆哮を浴びせてスピノを退かせた。そしてマルムもディノホルダーから1枚の技カードを抜き取り、スキャンする。

 

「パラパラ! イナズマを回復させてあげて! 『深緑恵癒(ネイチャーズブレッシング)』!」

 

 技が発動され、緑色の光と草吹雪に包まれたパラパラがイナズマへ草のブレスを吐き出す。そして草のブレスがイナズマの体を包み込み、傷を癒していく様を、フタバサウルスは目を細めて見ていた。

 彼はそこで気が付いたのである。パラパラは、自分を助けてくれたあの恐竜であると。

 そこへスピノがパラパラの技を中断させようと割って入ろうとする。しかし、そこへフタバサウルスが割り込み、スピノの攻撃をその身を以て受け止めたのである。

 この行動には、Dキッズやアクト団も驚きを隠せない。

 

「何やってんだあいつら…?」

 

「フタバサウルスを呼び出したのはスピノなのに、そのスピノの攻撃を妨害するなんて…」

 

「仲間同士で噛み合ってる…」

 

 フタバサウルスは首に食らいついたスピノを振り解き、サイカへとぶつけたのだ。

 怒ったサイカが尾先のハンマーを振るうが、フタバサウルスはその攻撃を堪え抜いた。そして、お返しと言わんばかりにサイカに向けて『双葉大砲(フタバメガキャノン)』を発射したのである。高圧水流がサイカを直撃し、その体をカードに戻してしまった。

 更に続けてフタバサウルスは周囲を見渡し、レクシィと組み合っているステゴケラトプスに目をつけた。そして、そちらにも『双葉大砲(フタバメガキャノン)』を発射したのである。

 ステゴケラトプスもまた高圧水流をまともに受け、もんどり打ちながら転がっていく。

 

「なっ…何しやがるんだ! あの首長野郎!

おいっ! あれはてめぇらが呼び出したヤツだろ! 指示はどうなってんだ指示は!」

 

「そんなこと言われても…おれ達にも何が何だか…」

 

「お助け恐竜が反逆するなんて初めてのことザンスから…」

 

 ジェイソンが憤慨してエドとノラッティ〜を問い詰めるものの、彼らも何故反逆されたのか心当たりがないようだ。

 まあそれも当然であろう。彼らの預かり知らぬところで、フタバサウルスはマルムとパラパラに情けをかけてもらっていたのだから。

 だが、そこを隙と見たスピノが大きく跳躍し、大口を開けてパラパラのもとへ落下してきた。

 

「危ない! パラパラ!」

 

 しかし、それを見逃すフタバサウルスではない。すぐさま水溜りから飛び出すと、スピノを体当たりで吹き飛ばしたのである。

 普段やらないようなインファイトばかりをしていたせいか、もうフタバサウルスの体は傷だらけになっているというのに、彼の瞳から継戦の意思は消えていなかった。

 

「フタバちゃん! 無理しないで!」

 

 そしてフタバサウルスはまた大きく息を吸い込むと、『双葉大砲(フタバメガキャノン)』をスピノに撃ち込んだ。またしても水流がスピノの体を打ち据え、カードに戻してしまう。

 そしてそこで、フタバサウルスの体が青い光に包みこまれ始めた。スピノが倒れたことで、彼もカードに戻ろうとしているのである。

 

「フタバちゃーん!」

 

 マルムに呼び掛けられたフタバサウルスは、彼女とパラパラに微笑みかけると、カードに戻っていってしまったのであった。そしてマルムはゆっくりとそのカードを拾い上げ、小さく呟いた。

 

「フタバちゃん…また傷つけちゃって本当にごめんね。

そして…助けてくれて、ありがとう…」

 

 だが、アクト団にとってはたまったものではない。お助け恐竜として召喚したフタバサウルスが自分達の恐竜を全滅させたのだから当然だろう。

 

「あぁぁぁぁ…! 何倒す相手を間違えてるんだい!?

味方を狙うだなんて、ドジだねぇまったく…」

 

 訳が分からず、ウサラパはヒステリックに喚き散らしていた。そして、エドとノラッティ〜がすぐさまスピノとサイカのカードを回収したのだが、そんな彼らの目の前にステゴケラトプスが横倒しになって投げ出された。こちらの戦闘はまだ続いているのである。

 

「ジェイソン! アンタの恐竜はまだ戦えるみたいだし、ここは任せたよぉ!」

 

「は? てめぇら何言って…おいこらーっ! 待ちやがれーっ!」

 

「「「スタコラーッ!」」」

 

 なんと、ウサラパ達は殿をジェイソンに任せて、その場から逃げ出してしまったのだ。もう戦力がないのでいるだけ邪魔ではあるのだが、薄情が過ぎないだろうか。

 ジェイソンも、一方的に殿を任されたことに怒り心頭の様子である。

 

「あのバカ共…どこまでも舐め腐りやがって…!

こうなったのも全部てめぇらのせいだ! おれから折檻を加えてやるよ! 『来電棘槍(エレクトロニックスパイン)』!」

 

 ジェイソンは怒りに任せてそう叫ぶと、技カードをアンバーに押し当てた。すると黄色と紫色の光に包まれたステゴケラトプスの全身から電撃を纏った無数の光の槍が、イナズマに向かって降り注ぐ!

 

「イナズマ! 避けろ!」

 

 リュウタの指示に従い、イナズマは素早い動きで降り注ぐ光を躱していく。何とか倒されることは避けられたようだ。

 

「チッ、外したか…。だが次は逃さねぇぞ…」

 

 そう呟き、またジェイソンは技カードをアンバーに押し当てようとする。

 

 一方、Dキッズもステゴケラトプスにどう対処するべきかを話し合っていた。

 

「どうすんだよ! さっきはイナズマの反応が早かったから避けられたけど、このままじゃいずれやられちゃうぜ!」

 

「そうは言っても…あいつはトリケラとステゴのキメラのせいか、雷と土の攻撃両方が使えるみたいだし…俺達の持ってる技カードじゃ、多分どれを使っても打ち負けちゃうよな…」

 

 その時、フタバサウルスの技カードをじっと見つめていたマルムが何か閃いたような声を出した。

 

「…そうだわ! アタシ達も2つの属性で同時に攻撃すればいいのよ!」

 

「「「えっ?」」」

 

「ほら、この前イナズマの『雷角回弾(サンダーバズーカ)』とアインの『爆風大渦(ソニックブラスト)』が混ざり合って、あの大きなモササウルスを撃破できるくらい強力になったじゃない?

それならもう一度、そういうのをやってみればいいのよ!」

 

「なるほどぉ!…でも、そんなの本当にできるのかな?」

 

「時間がない! ぶっつけ本番でやってみるしかないよ!」

 

 レックスの言葉に、Dキッズは一斉に頷いた。

 

「クソガキ共がいくら小細工しようと無駄だ! てめぇらはここで! おれのステゴケラトプスに踏み潰されるんだよぉっ! トドメの『来電棘槍(エレクトロニックスパイン)』を食らってみろぉぉぉっ!」

 

 ジェイソンの嘲笑うような言葉と共に技が発動され、ステゴケラトプスの全身が黄色と紫色の光に包まれる。

 それに対し、マルムとオウガが同時に技カードをスキャンした。

 

「お願い! スーパーサウルス! 『超竜衝撃(スーパーインパクト)』!」

 

「頼んだよレクシィ! 『爆炎大砲(ビッグファイアキャノン)』!」

 

 技カードが読み込まれ、レクシィは赤い光と炎に、パラパラは緑色の光と草吹雪に包まれる。そしてパラパラの嘶きと共に現れたスーパーサウルスは、早速パラパラに頭を差し出して乗るように促した。

 パラパラがそれに跨り、スーパーサウルスに投げ出された瞬間に、レクシィが口に溜めた炎をパラパラに向けて撃ち出す。するとパラパラは炎の勢いもあって更に空高くまで舞い上がり、そこから炎を纏ったままステゴケラトプスへと落下していった。

 ステゴケラトプスはパラパラへ向けて棘槍を集中砲火して迎撃しようとするものの、その尽くが炎の壁で弾かれてしまう。そして、遂にパラパラがステゴケラトプスに激突すると、着弾点から凄まじい衝撃波が巻き起こった。まさに、恐竜時代に終焉をもたらした隕石のごとき威力であった。

 そして、地面に埋め込まれたステゴケラトプスはしばらく痙攣していたものの、遂に力尽き、カードへと戻っていってしまった。

 それをジェイソンは素早く拾い上げると、Dキッズに向けてこう吐き捨てた。

 

「くそっ、ここは戦略的撤退だ! 覚えてろよクソガキ共! 次はこうはいかねぇからな!」

 

 負け惜しみを言いながら鉱山の1角へ逃げていったジェイソンの姿が消えたかと思うと、そこから1機のジェットヘリが現れた。『Sin-D』のヘリだ!

 ヘリは勢いよく舞い上がると、東の空の彼方へ消えていく。それを、Dキッズと古代博士は厳しい表情で見送ったのであった…。

 

 

その頃

 

 ジェイソンに戦いの場を任せて逃げ出したウサラパ達は、今まさに山下りをしているところだった。

 

「でも…良かったんスかねぇ? フタバサウルスのカードも奪われた上に、ジェイソンも残してきちゃって…」

 

「フフン、今回は取り敢えず、こいつさえ持って帰ればいいのさ…♪」

 

 そう呟いてウサラパが後ろを振り返った…その時、またしても大岩がアクトロイド達の手を離れて転がり始める。どうやら彼らが今いるここも下り坂だったようだ。山下りの途中なのだから当たり前なのだが。

 

「ってまた下り坂ザンス!」

 

「えぇぇぇ!?」

 

「逃げるッス〜!」

 

 彼らは慌てて逃げ始めるものの、大岩は彼らとの距離をみるみるうちに縮めていく。

 

「どうもスムーズに行き過ぎてると思ったんだよぉぉぉ!」

 

「ザーンスねぇぇぇ!」

 

「追いつかれるッス〜!」

 

「「「いやぁぁぁ…ズビズバーッ!?」」」

 

 そして彼らは、ボウリングのピンのように跳ね飛ばされてしまったのであった…。

 

 

 一方、アクト団もジェイソンもいなくなったので、Dキッズは古代博士の車で宿泊場所のコテージへと向かっていた。

 車内でとりとめのない話をしている中、古代博士が思い出したかのようにこう口にする。

 

「それにしても…あいつらあんな大きな岩を持っていって…どうするつもりだったんだろうな…?」

 

「やっぱり運動会の練習だよ!」

 

「いや、秘密基地だね!」

 

「わざわざ岩で持って帰ってたくらいですし、やっぱり何かしらの鉱物が目的だったんじゃないですか?」

 

「じゃあその鉱物って何なんだよ?」

 

「それは…俺にも分からないけど…」

 

 このようにリュウタとレックス、オウガはアクト団が岩を持って帰った理由について激論を交わしていた。そんな彼らとは裏腹に、マルムはパラパラと一緒に手元の『双葉大砲(フタバメガキャノン)』の技カードを見て感傷に浸っていたのであった…。

 

 

その後 アクト団基地 アジ島

 

 あれから大怪我を負いながらもあの大岩をアジ島に持ち帰ってきたウサラパ達は、治療を受けて安静にしていた。

 しかしそんな状況でソーノイダに呼び出され、今回の成果について褒めてもらえるかと思って彼の研究室に向かったところ、彼はたいそう不機嫌な様子だったのである。

 

「…ったく! お前達が持って帰ってきた鉱石から採れたアクトメタルは、これっぽっちぞい!」

 

 そう言ってソーノイダは2本の指を見せつける。それを3人が虫眼鏡で覗き込んでみると、彼の指の間にとても小さな金属球があった。どうやらあれだけ大きな岩から、それだけしかアクトメタルが採れなかったらしい。

 

「あんなに苦労したのに…」

 

「お前達の苦労など、屁の突っ張りにもならんぞい。

マシンを修理するには、これの何百倍も必要になるんだぞい…」

 

「それじゃあ鉱山ごと掘ってくるしかないですよ、ドクター…」

 

「そうッスよ。折角見つけた技カードもガキンチョ達に取られちゃったし…」

 

 そこで、エドがつい口を滑らせた。黙っておけばいいものを、わざわざ自分達の失態を口にしてしまったのである。

 慌ててウサラパとノラッティ〜がエドの口を塞いだものの、ソーノイダが聞き逃すはずもなかった。

 

「技カード?…何のことぞい?」

 

「な…何でもないです! ドクタ〜…」

 

「ムッ!? 技カードって何のことぞーいっ!?」

 

「えっ? わざかーどぉ?」

 

「なんのことザンス?」

 

「…逃げるッスぅ!」

 

 エドがそう言うが早いか、すかさず3人はソーノイダに背を向け、痛む体に鞭を打って逃げ出した。

 しかし、ソーノイダも今の発言を聞き流す訳にはいかない。

 

「こらっ! アクト団3つの約束を忘れたのかぞい!

ひとつ! 人には嘘をつかない! エドぉっ!」

 

「ふたつ…太ってもご飯は残さないぃ…」

 

 結局その後彼らは、タルボーンヌに注意されるまで追いかけっこを続けたのであった…。

 

 

その頃 ノーピスの研究室

 

「す…すごい…! これが…ボクが進化させたカスモサウルス…!」

 

「あぁ、これでβテストは終了といったところだろうな」

 

 上でソーノイダとウサラパ達が追いかけっこをしている間、ロトとノーピスはノーピスの研究室で何やら実験をしていた。

 彼らの目の前には、あの深い緑色はどこに行ったのか、全身を毒々しい紫色に染め上げたカスモサウルスの姿がある。その周囲では、あのスーパーアクトボールが周回していた。

 

「すごいよノーピス! これならどんな恐竜も敵じゃないよ!」

 

「俺は少し手助けをしただけさ。この恐竜に新しい進化の道を示したのは、君なんだよロト。

これは君の功績なんだ」

 

「そっか…へへっ! なんか照れちゃうな。

でも…この姿はどのくらい維持できるのかな?」

 

「ここまでの実験結果を踏まえると…この姿を維持できるのは約15分程といったところだな。

それ以上この姿でいれば、アクトチップから流れる毒素にカスモサウルスが耐えきれなくなる上、膨大な属性エネルギーをスーパーアクトボールMark IIが処理し切れなくなって不具合を起こしてしまう。

だからこの姿は、ここぞというところでこそ使うべきだろうな」

 

「なるほど…。確かにそれなら何とかなりそうだね。

後は最適化や省エネを繰り返して少しずつ活動時間を伸ばしていけばいいもんね」

 

 カードに戻ったカスモサウルスを拾い上げ、ロトがそう言う。それにノーピスは頷きで返すと、彼に2枚の技カードを差し出した。

 

「…ノーピス。これは?」

 

「せっかく属性の力が強まったというのに、技カードがないのでは勿体ないだろう?

俺が作った技カードで良ければ、是非使ってくれ」

 

「ノーピス…! 何から何まで、本当にありがとう!

じゃあ、また来るね!」

 

 そう言ってロトは技カードを受け取ると、エレベーターに乗り込んでいく。そしてノーピスへと手を振りながら、上の階へと向かったのである。

 それを確認すると、ノーピスは再びデスクに座り、モニターに恐竜のモデルを表示する。

 

「さて…また奴らから注文が来ているな。

それなら…今度はこれと、奴らの恐竜から採取したこのデータで、新たな恐竜を作り上げるとするか…」

 

 そう言ってノーピスは低く笑う。その視線の先にあるモニターには、スピノサウルスとヴェロキラプトルの恐竜モデルが回転していたのであった…。

 

 

 




 今回の恐竜解説!

「今回の担当は俺、覇轟オウガだよ。
今回解説するのは、ご存知双葉鈴木竜『フタバサウルス・スズキィ』! あの国民的アニメの初の大長編作品で物語の中核となった生物だね。
名前の意味は、「双葉のトカゲ」。発見されたのが日本の福島県いわき市にある双葉層群であったことと、発見者が鈴木さんっていう人だったことから、そう名付けられたんだね。また、本種の発見によって、それまで狭い日本じゃ大型の爬虫類や海棲爬虫類は見つからないだろうという定説が覆されたんだ。そのくらい偉大な発見だったんだよ。
全身の70%近くの化石が見つかっているんだけど、首の部分の化石は殆ど無くなっていたんだ。だから全長は7メートルくらいだと推定されてはいるけど、正確な値はまだ分かってないんだよ。こればかりは仕方ないよね。
更にフタバサウルスは数多くのサメの歯と共に発見はれたんだ。その理由については、サメとの戦いの末息絶えたのか、死んだ後サメが群がってきたのか…その2つが提唱されているよ。
言うまでもないことではあるけど、フタバサウルスは厳密には恐竜じゃなく、海棲爬虫類なんだ。でも近縁種の研究によると、海棲爬虫類は卵生じゃなく胎生だったみたいで、子供を直接産む形だったみたいなんだよね。
だから、最初に持ち出した某国民的アニメの大長編作品にあったようなフタバサウルスの卵は存在しないってことになるんだけど…そんなところにまで目くじらを立てる必要はないよね」


ということで、今回はここまでです。
インドミナスシリーズよりもステゴケラトプスの方が強そうなことに皆さん違和感を抱いていらっしゃるかもしれません。しかし、ここは恐竜キング世界ということもあり、複数の属性を扱えるステゴケラトプスがその点でアドバンテージを得ているという風に考えております。
また、今回から原作よりもかなり早いタイミングで合体超技を登場させました。今後も強敵相手に色々と使っていく予定なので、ぜひお楽しみにお待ち下さい。
それでは次回第25話『アクト団と瓜二つ!?恐竜強盗団を捕まえろ!』ぜひお楽しみにお待ち下さい。

追記:設定集に合体技の項目を追加しました。
また、合体技『雷角爆風弾』『超爆炎衝撃』の説明を追記しました。

追記2:「ステゴケラトプス」の設定と、合体技『来電棘槍』の説明を追記しました。

第26話の原作「恐竜遊園地で大儲け!」にあたるエピソードでマルムの第2のパートナー恐竜を登場させたいと考えております。つきましては、私が選出した候補からどれが相応しいか皆様からご意見を伺いたいのです。もしよろしければ、以下のうちから1つを選んでご回答下さい。

  • ランベオサウルス
  • エドモントサウルス
  • カロノサウルス
  • コリトサウルス
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