古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ 作:バックベアード
福島県いわき市にある双葉層群に化石掘りにやって来ていたDキッズとDラボのスタッフ達。
そんな中近くの鉱山から恐竜出現の反応があり、怪我をしたマルムを除く3人が古代博士の車でそこへと向かった。するとそこでは、アクト団が鉱山を乗っ取り、恐竜達に穴を掘らせていたのだ。やめさせようと恐竜を召喚して戦うオウガ達だったが、スピノが呼び出したフタバサウルスの『双葉大砲』や、ジェイソンが繰り出した、2属性を扱う新恐竜『ステゴケラトプス』に敗北し、撤退を余儀なくされる。
しかしアクト団の動向が気になる彼らは鉱山へと取って返し、こっそり調べることにした。
一方でその頃、歩けるくらいにまで回復したマルムは怪我をしたフタバサウルスと出会い、パラパラの『深緑恵癒』で治してあげたことで絆を結ぶ。
そして鉱山に潜入していたオウガ達はジェイソンに見つかってはしまったものの、アクト団の失態で彼はステゴケラトプスのカードを紛失してしまった。
更にマルムが『双葉大砲』の技カードを持って現れたことで、Dキッズは一時有利な状況に立つ。
だが『双葉大砲』を奪い返され、更にステゴケラトプスも参戦してきたことで再び窮地に追い込まれるが、マルムへの恩義を感じたフタバサウルスが反旗を翻したことと、即興で編み出した合体技により、アクト団とジェイソンを退けることができたのであった…。
前編
この日、ウサラパ達アクト団工作員の3人はとある銀行に来ていた。彼らは自分達の番が来るなり、窓口に2枚のボードを下ろした。
これらは、彼らが以前クイズパックンパックンやネス湖近隣の観光協会から分捕ってきた賞金のボードであった。
これまで何度も言ってきたことではあるが、これ自体には何の価値もない。
「あ、あの〜…お客様? 何ですかこれは…?」
「『何ですか』って、見て分からないの? お金じゃないオ・カ・ネ。両替してほしいのよウフフ…」
そう言ってウサラパ達は得意げに微笑むものの、窓口の銀行員は苦笑いを浮かべるばかりである。
「あのですねぇ、冗談はよし子さんですが…」
「誰がよし子さんよ! アタシはウサラパよ!
さっさと両替して! 大きくて使えないんだからぁ…」
「持ち運びも面倒ザンしょ?」
「大きくて使えないんじゃなくて、お金じゃないから使えないんですが…」
「「「えっ…?」」」
当たり前である。ウサラパ達が持って帰ってきたのはただのボードで、それに100万円や10万ドルの価値はあるはずがないのだから。
結局彼らは、銀行員や他の客にクスクスと笑われながら銀行を後にしたのだった…。
その後 アクト団基地 アジ島
「という訳で…換金できませんでしたわ…。おまけに銀行で笑われちゃいました…」
「ゲラゲラザンした…」
「恥ずかしかったッスよ…」
「当たり前ぞい。お前達があのボードを換金して来ようとか言い出した時は正気を疑ったが、案の定恥をかくだけで終わったようぞいな」
そう言ってソーノイダはわざとらしくため息をついてから大きくかぶりを振る。そんな彼の後ろでは、用済みになった賞金ボードがチビ恐竜達の玩具になっていた。
「それで、どうするのだぞい? 我が泣く子も黙るアクト団の資金が底をついておるのだぞい!」
「アタシらに言われても…」
「困るザンス…」
「困っちゃうッス…」
「ドクターの稼ぎが悪いからこうなってるんです!」
そこへ現れたタルボーンヌが、ソーノイダに文句を言った。厨房から出てきたようで、手には寸胴鍋を持っている。
「今からお食事です! さあ席に着きなさい!」
タルボーンヌがそう声をかけると、ロトとロアが食卓へ向かっていく。
「はっ、はい…」
そしてソーノイダ達も食卓に着くと、タルボーンヌが鍋から1杯ずつそれぞれの皿へよそい始めた。
「あ〜、お腹空いた〜…えっ…? タルボーンヌ、何これ!?」
ロアが皿を覗き込んだ瞬間、その顔を驚愕に染めた。何故なら、よそわれたのは彼女の握り拳くらいの肉が1つだけ入ったスープだけだったのである。
「お金がなくて、食糧の買い出しもできないのです。我慢しなさい」
「でも、いくら何でもこれだけなんて…。ねぇおにい様…」
ロアが隣の席のロトにそう話しかけると、ロトは無言で肉を頬張り、スープを飲み干してしまったところだった。
「ごちそうさま〜。じゃあロア、ボクは行くところがあるから」
そう言い残してロトは食卓を離れていく。それをロアは寂しそうな様子で見送っていた。
しかし、ソーノイダはそんな孫達の様子にも気づかず、侘しい食事を見つめていた。
「しかし、これじゃ腹が減って戦もできんぞい…うおっ!?」
と、そこへ闖入者が現れた。ティラノ達アクト恐竜である。彼らは食卓へ上がりこむと、ソーノイダ達の皿に盛られたスープを食べ始めてしまったのである。
ちなみにサイカは肉だけ器用にスープから捨て、それをティラノとスピノが奪い合っていた。
「アタシのを取るんじゃないよぉ!」
「腹が減ってるのは、おれ達だけじゃないんスね…」
「メッ! ダメじゃぞティラノ!」
ソーノイダが目の前のティラノにそう注意すると、ティラノは顔を上げて彼を見つめ返し、舌なめずりをした。
その目を見ているうちに、ソーノイダの脳裏にとんでもない、しかしあり得なくもない未来が浮かんでくる。
「そ、そうぞい! この状況が続けば、ワシらが餌にされてしまうかもしれんぞい!」
このように、ネス湖出撃前後から続くアクト団の財政難は、遂に日々の食事にまで悪影響を及ぼし始めていたのだった…。
その頃 日本 三畳市
アクト団が大変な状況にある一方で、Dキッズの4人は夏休みを満喫している最中だった。
今日は街を散策しているようで、そんな中リュウタはおもちゃ屋のショーウィンドウに釘付けになっていた。どうやらその中の電子ゲームに痛く心を惹かれているようである。
「やっぱり欲しいなぁ〜、このゲーム…」
「まったく、諦めが悪いなぁ…」
「ほんと! お小遣いを貯めて買えばいいのに…」
「そもそも俺達と古代博士でクイズパックンパックンの賞金100万円を山分けしたじゃないか。
それがあれば余裕で買えるんじゃない?」
「それが…色んなもの買ってもう使っちゃって…」
「そんなことだろうと思った。いっつも無駄使いばっかりしてるし」
「無駄使いなんてしてないだろ?」
「してるじゃない! 今だって! 何でアイス2本も買ってるのよ?」
そう言ってマルムが指さす先には、リュウタが両手に握るアイスキャンディーがあった。片方はソーダ味、もう片方は抹茶味のようで、しかもどちらも食べかけである。
「これはだな〜…片方はガブとイナズマに、って思って買ったけど、2匹とも食わないから仕方なく…」
「何言ってんだ。自分が違う味が欲しかったんだろ?」
「それに、本当に一緒に食べたいと思ってたなら、同じものを買うはずじゃないのかな?
同じものなら、ガブやイナズマとも美味しさを共有できると思うんだけど」
「そんなことないって〜…ほら、ガブ」
疑いを払拭するためか、リュウタが頭の上のガブに抹茶味のアイスキャンディーを差し出す。するとガブは少しの躊躇いもなく食らいついた。
『ガブッ…ガブブブブ!? ガブガブガブ…』
冷たいものは彼にとって未知の感覚だったようで、アイスを咥えたままブルブルと震えたものの、美味しそうに食べ始めた。
「なんだよガブ! お前さっきは食べなかったじゃんかぁ!」
『ゴロッ! ゴロゴロ!』
更にガブの様子に触発されたのか、イナズマもリュウタの足元でピョンピョンと跳ね、自分も欲しいとアピールしている。
「イナズマまで…もーっ! お前ら何なんだよーっ!」
そう絶叫するリュウタを見て3人が笑っていた…その時。
近くの銀行から非常ベルが鳴り始めると共に自動ドアが開くと、中からけったいな格好の4人組が飛び出してきたのである。
そしてそのうちの1人が、リュウタと正面衝突してしまった。
「うわっ!?」
「ぐわーっ!? 何じゃいガキンチョ! 邪魔するんじゃないじゃい!」
そう言いながらカツラを外した男の素顔は、若干色黒ではあるものの、アクト団のボス・ソーノイダにそっくりであった。
「あーっ! ゾイじじい!」
突然のことにDキッズの全員が驚いていると、その場へ1台の小型車が走り込んできた。
そして後部座席から、今度はウサラパそっくりの女性が顔を見せる。
「ミスター! はよ!」
「あれぇ? オバさんじゃないの」
「何やてぇ!? オバはんで悪かったなぁ!」
いつもとは違う関西風の口調に、マルムも当惑する。
「待てーっ!」
「フホホホホ…」
そこへ銀行の警備員達が駆けつけてきた。警備員の姿を認めた4人組は、示し合わせたように頷くと、彼らに拳銃を向けたのである。
「ひいぃっ!?」
拳銃を向けられた警備員は怯えて身を屈める。それで本当に銀行の警備が務まるのだろうか。
そして4人組は躊躇うことなく引き金に手をかけると…銃口から飛び出したのは万国旗だった。どうやらジョークグッズの銃だったらしい。
「「「「えっ…?」」」」
これにはDキッズも呆れ顔だ。しかし警備員をビビらせて隙を作ることには成功したアクト団らしき1団は、車に乗り込んで逃走を試みた。
「オーホホホホホ…」
しかし、目の前で繰り広げられたアクト団の悪事を見逃す訳にはいかない。マルムはゴーグルのカメラ機能を起動して4人の顔を押さえ、リュウタはディノホルダーを手にガブとイナズマに呼びかけた。
「ガブ! 奴らを逃がすな!」
「俺達もやろう! レクシィ!」
そしてリュウタはガブを、オウガはレクシィをカードに戻すと、それぞれのディノホルダーやディノラウザーにスキャンした。
「ディノスラーッシュ! 轟け! トリケラトプス! 」
ゴオォォォォォ!!
「ディノスラーッシュ!
燃え上がれ! ティラノサウルス・レックス!」
ゴガアァァァァァッ!!
雄叫びと共にガブとレクシィが成体化すると、アクト団らしき1団の車を挟み込むように降り立つ。
「おおっ!? あーっ!」
何故か興奮したような声を上げるソーノイダらしき男を気にすることなく、ガブは車の下へ角を挿し込んで思い切り救い投げた。
「「「うわぁぁぁ…」」」
「恐竜じゃーいっ!」
更に着地点ではレクシィが待ち構えており、落ちてきた車に食らいつくと地面に叩きつけた。ボンネットに積まれていた袋が破け、中の金貨が散乱する。しかしレクシィは金貨には目もくれずに裏返しになった車に足をかけてタイヤに食らいついた。
タイヤがパンクする音と、レクシィの体重がかかったことで潰れ始める車の金属音が辺りに響く。
車内ではウサラパ達に似た3人が体を寄せ合って怯えているが、ソーノイダらしき男は突如目の前に現れた恐竜達に大興奮しているようである。
「トリケラトプスにティラノサウルスじゃい!」
そう言って車外に飛び出そうとする男を、仲間の3人が必死に引き止める。
「ミスター! ヤバヤバやん!」
「逃げるドンスよ!」
「でもティラノに車を食われてるのに、どうやって逃げるッツ?」
エドらしき男の言葉でしばらく1団は沈黙したが、ウサラパらしき女が発炎筒を片手に車外へ飛び出した。
「何するッツか!? 危ないッツよ!」
「アホか! どのみちここで逃げられへんかったら…うちらもここでしまいやろ!」
そう言ってウサラパらしき女が発炎筒を振り回すと…。
ゴガアァァァァァッ!!
何故かレクシィの注意がそちらへと向いた。それにウサラパらしき女も少し驚くものの、今度はゆっくりと左右に振ってみる。するとレクシィもそれを追うように顔を向けた。
最後にウサラパらしき女が大きく振りかぶって発炎筒をレクシィの後ろへ投げ込むと、レクシィはそれを追っていってしまったのである。
「今ドンス! 車を起こして逃げるドンス!」
「金は諦めるしかないッツよ!」
「おお…! 夢にまで見た恐竜じゃい…!」
「ミスター! はよ引き上げるで!」
そして1団は車に乗り込み、走り去っていってしまったのだった。
それを見送ったところで、リュウタはディノホルダーを操作してガブをカードへと戻す。
「ガブ! もういいよ!」
「アクト団の奴ら、強盗まで…!」
「でも、なんか変だったわよね…。
ところで、オウガはどこまで行ったのかしら?」
「発炎筒に釣られたレクシィを追いかけていっちゃったからなぁ…」
と、そこへオウガが戻ってきた。その手にはレクシィのカードがしっかりと握られている。
「あっ、オウガおかえり! レクシィは…ちゃんと回収できたみたいだな! 良かったぜ!」
「そうみたいだね。でも、何で突然レクシィは発炎筒を追いかけていったんだろう…」
「…一応、俺に心当たりはあるんだよね…」
レックスがレクシィの奇行について問いかけたが、オウガはそう短く答えると、レクシィのカードをじっと見つめていたのだった…。
その後 アジ島
結局アクト恐竜達に食事を奪われてしまったソーノイダ達は、何とか空腹を紛らわせようとテレビを見ていたところ、ちょうど入ってきた速報を目にしていた。
『ここで臨時ニュースをお知らせ致します。
先程の正午過ぎ、三畳市の銀行で強盗未遂事件が発生しました。銀行で保管されていた金貨は奪われずに済んだものの、現在も犯行グループは逃走中です』
「まあ、銀行強盗ですって」
「怖いザンスねぇ〜」
『これが、女装した犯人の1人の顔写真です』
「なんじゃとーっ!?」
アナウンサーの声と共に画面が切り替わり、あのソーノイダそっくりの男の顔写真が画面に表示される。
これにはソーノイダのみならず、ウサラパ達工作員の3人も驚きを隠せなかった。
『目撃した少年達の提供した情報によると、この男は『アクト団』という秘密結社のボスで、『ソーノイダ』と呼ばれているそうです』
「ワシは強盗なんぞしとらんぞい! 誰ぞい! いい加減なこと言いふらしとるヤツは!」
『そしてこれらが、その部下の3人組とのことです』
続けてウサラパ達にそっくりな3人の顔が画面に映し出され、今度は彼女達が驚いた。
「あら! アタシ!」
「ミーがいるザンス!」
「おれもッス!」
『恐竜が現れて犯人グループの逃走を阻止しようとしたとの情報もありますが、確証はありません。
更に情報提供をした少年達の話では、このアクト団という組織は、今後も悪事を続ける可能性が高いということです。以上ニュース速報でした』
そこで画面が切り替わり、元のバラエティ番組が流れ出した。
「…ん? 恐竜が現れた? どういうことぞい?」
「そんなことよりドクター! あの顔写真、どれもアタシ達にそっくりでしたわよ?」
「ミーに双子の兄弟なんていたザンしょか?」
「ノラちゃんはひとりっ子だったっしょ?」
「生き別れた双子の兄ちゃんかもしれないザンしょ?」
「世の中には3人似た人がいるっていうけど、その1人なのかしらねぇ?」
「…そういえば…」
そこでソーノイダは徐ろに顔を上げると、何か心当たりがあるかのような顔をしたのだった…。
その頃 三畳市 Dラボ
アクト団がニュース速報を見て困惑している頃、Dキッズはマルムが撮影した写真をもとに、リアスに照合を行なってもらっていた。
そして、今はその結果を見ているところであるようだ。
「ええっ!? 別人だったのか!」
「ええ。以前アジ島に行った時に撮ってもらった、ソーノイダの顔写真から作成した頭蓋骨のモデルと今回の頭蓋骨モデルを重ねてみれば…ほら、各所のズレが分かるでしょう?」
「ホントだ〜…」
「そして、この3人組も…微妙に違うわよね?」
「本人かと思うくらい同じでしたけど、こうして見ると完全一致してはいないんですね。殆ど誤差レベルみたいですけど」
「確かに。完全一致していないとは言え、ここまで同じとなると…まさか…」
「「「「双子…?」」」」
Dキッズ全員の言葉が、ここで綺麗にハモった。そこで、古代博士とミサがそれぞれリアスに質問をする。
「こいつら全員、双子だって言うのか?」
「ここまで類似点が多いと、その可能性が高いです」
「でも、こんなに双子ばかりなことってあるんでしょうか?」
「インドには双子村なんていう異名がある集落もある位だし、彼らもその様な特殊な集団なんじゃないかしら?」
リアスからの返答はあったものの、古代博士もミサも完全に納得はできていないようだった。
そして、その横でDキッズは、大人達とは違う話題を話をしていた。
「そういや、オウガはさっき、レクシィが発炎筒に引き寄せられた理由が分かるかも、って言ってたよな。
あれって結局何なんだ?」
「…うん。俺、アジ島でジュラシック・アンバーの力でレクシィの記憶を見せてもらっていたんだけど…」
「そうだったの!?」
「うん。それでその中で見たことなんだけど…レクシィが1番長く人間達に生活を管理されていた時、発炎筒の光が食事の合図だったみたいなんだよね。だから、ほぼ反射的に後を追っちゃったんだと思う」
「そうだったんだ…。でも、それならその詳しい話は、今度オーウェンさんが来た時に聞いてみないとだね」
「…そうだね」
オウガはそう答えつつ、足元のレクシィに目を落とす。何故ならレクシィは、どこか落ち込んだような、沈んた表情をしていたからであった…。
その後 三畳市内のとある古ビル
ここら一帯に真新しいビルが立ち並ぶ中、1つだけ異彩を放つ、古臭いビルがある。
そのビルの最上階に、先程銀行強盗を試みようとしていた1団の姿があった。
「ふぅーっ! 夢にまで見たティラノサウルスやトリケラトプスに会えたじゃい!」
両手にティラノサウルスとトリケラトプスのフィギュアを抱え、瞳を煌めかせながらソーノイダらしき男性…Mr.アーノイダが感慨深げに呟く。
そんな彼に、ウサラパらしき女…ウソラパが呆れ顔で話しかけた。
「ミスター、いつまでそないな事言うてはるの?
恐竜のお陰で失敗したのに…」
「あほたれ! 恐竜をこの目で見たんじゃい! それを感動せんとどうするんじゃい!
…子供の頃からの夢なんじゃい! 銀行強盗くらいまたやればいいんじゃい!」
そう男が呟いた時、部屋全体を地響きのような震動が襲ったかと思うと、窓の外が光に包まれたのである。
「なんじゃい…?」
外を見て、4人は驚いた。何故なら光の中から現れた4人は、自分達にそっくりな姿をしていたからである。
「何をビックリしておるんぞい。…お兄さん」
「おっ…お兄さん…?」
そして光が止んだ後、そこに立っていたのは、Dr.ソーノイダと彼の部下であるウサラパ達アクト団工作員の3人であった。
「フフフフフ…」
「じゃじゃじゃいっ!?」
「うそやん!」
「オラ達がいるッツ!」
「ドンスーッ!?」
自分達と瓜二つの存在が現れたことに、アーノイダやウソラパ、そしてエドとノラッティ〜のそっくりさんであるオドとナラッティ〜も驚きを隠せない様子だった。
そこでウサラパ達が前へ進み出ると、彼らに話しかける。
「ミー達は生まれた時に生き別れになった…」
「兄弟ッス!」
その言葉で、更にアーノイダ達は驚く。全く身に覚えのない話である割に、目の前の3人は自分達に似すぎているからであった。
「じょいなっ!?」
「こんなにそっくりやもん!」
「今まで知らなかったドンスけど…」
「オラ達には…」
そこまで言ったところで、4人は窓から外へと出て、ソーノイダ達の元へ駆け出した。
「「「「双子の…!」」」」
そして、ソーノイダ達も同じタイミングで駆け出していく。
「「「「兄弟が…!」」」」
「いたぞい!」 「いたじゃい!」
「いたザンス!」 「いたドンス!」
「いたッス!」 「いたッツ!」
「いたのねぇ〜ん…」 「いたんねぇ〜…」
そしてソーノイダやエド、ノラッティ〜は自分のそっくりさん達と熱いハグを交わした。しかしウサラパとウソラパはどこか照れくさかったのか、軽く互いの頬を撫でる程度であった。
「しかし…何でいきなり生き別れた兄弟がこんなにゾロゾロと現れたんじゃい?」
「実はな…兄さん…」
そこでソーノイダは、ここへ来た目的を正直に口にした。それを聞いたアーノイダ達は、更に驚いた。
「「「「金を借りに来たぁ〜!?」」」」
なんと、感動の再会の直後に金をせびって来たのである。これは驚いて当然だろう。
しかし、そんな中でもアーノイダはごく冷徹に返答した。
「金ならないじゃい!」
「なぬぅっ?」
その時、アーノイダに何かが飛びかかった。それはアクト恐竜の主砲・ティラノであった。その上ティラノは、いつもソーノイダにやっているように顎髭に食らいつき、引っ張り始めたのである。
「いたっ! あたっ! いたっ…何じゃいこいつらは〜っ!
こらっ! 大事なフィギュアを壊すんじゃないじゃーいっ!」
アーノイダは何とかティラノを引き剥がし、飾っていたフィギュアを倒していったスピノに注意しようと振り返った。するとスピノはサイカと共にウソラパ達を包囲して攻め立てていたのである。
「「「こっちも何とかしてぇ〜…」」」
何とか包囲網から逃れようと右往左往するウソラパ達を尻目に、ソーノイダは棚から落ちたフィギュアを手に取った。
「あんたもやっぱり、恐竜好きぞい…」
「じゃい? じゃあこいつはまさか…ティラノサウルスのミニチュア版…?」
「さすが! よく気付いたぞい! じゃが、こいつらはただのミニチュアじゃあないぞい!
ウサラパ! エド! ノラッティ〜!」
「はいな! いくよっ!」
「はいッス!」
「はいザンス!」
「「「アクトスラーッシュ!」」」
ソーノイダの指示に応じ、ウサラパ達3人はすぐさまアクトホルダーを手に取り、それにティラノ達のカードを通した。
すると、溢れ出した赤・青・紫の3色の光が狭い最上階の部屋を覆ったかと思うと、一瞬にして部屋を内側から弾け飛ばしてしまった。
そして、頭を低くして自分を覗き込んでくるティラノの姿を目にし、アーノイダは更に驚いた。
「じゃっ! じゃいっと驚く為五郎〜!
しかしこいつは、ワシがさっき見たティラノサウルスとは色も形も違うじゃい…」
「フハハハ…なぬっ!? それはどういうことぞい?」
「言葉の通りじゃい。さっき銀行強盗を阻止された時に、それとは違う…灰褐色のティラノサウルスとトリケラトプスを見たんじゃい」
その特徴に心当たりがあるのか、ウサラパ達は円くなってヒソヒソと話し始めた。
「灰褐色のティラノって…」
「あのガキンチョの1人が使ってる、こわ〜いティラノのことだと思うザンス…」
「トリケラも見たみたいだし、やっぱりこいつらを通報したのはガキンチョだったんスね…」
そこで、ティラノをジロジロと見ながらアーノイダがソーノイダに問いかける。
「しかし、こんなデカい恐竜をどうやって連れて歩いておるのじゃい?」
「ん? おおそうぞい! ウサラパ!」
「はいな!」
そしてウサラパ達がアクトホルダーを操作すると、ティラノ達はカードとなって彼らの手元へと戻っていった。
「あら? 恐竜は?」
「そうよ。恐竜達はカードになるのよ。それで簡単に持ち運べるってワケ♪」
「「「カードにぃ?」」」
「すっ、素晴らしいじゃい! 弟よ! お前は本物の恐竜をカードにして飼っておるのか?」
「そうぞい。金を貸してくれなんだら…」
そこでソーノイダは再びウサラパ達に指示を送る。それを見た3人はまたティラノ達のカードをアクトホルダーに通して召喚した。
「こいつらに兄さん達を…!」
「バカモン! さっきの話を聞いておらんかったのか! ワシらも仕事をしくじって、今金に困っとるんじゃい!
それに弟なら、金を持ってそっちから挨拶に来るのが常識じゃい!」
「なっ…なぬーっ!?」
ここでソーノイダも怒り始める。金をせびりに来たというのに、向こうは金がないばかりか、逆に自分達に金をせびってきたからである。
「ちょっとドクター!」
「話が違うザンス!」
「…ん? あれはお前らの乗り物か?」
すると、アーノイダがアクト団の飛行機を指さしてそう質問してきた。
「それがどうしたぞい!」
「そうか…。フハハハ…いいことを思いついたじゃい!」
そう呟き、アーノイダはニヤリと笑みを浮かべたのであった…。
その頃 三畳市 リュウタ宅
「リュウター! レックスー!」
「恐竜の反応が出たんだ! マルムの方にも出たみたいなんだけど、2人の方でも確認できた?」
ソーノイダとアーノイダが話し合いをしていた頃、恐竜出現の反応をディノホルダーやディノラウザーで確認したマルムとオウガは、リュウタの家へと来ていた。
「あぁ、オレ達も気づいたよ! でも、一瞬だけですぐ消えちゃったんだよな…」
「前にもこんな反応があったな…。確か、ニューヨークのパパの博物館に、アクト団が押しかけてきた時もそうだったよな?」
「となると、この反応はアクト団の恐竜達か…。
何か悪さをしなきゃいいけど…」
そう呟き、リュウタは手元のディノホルダーに目線を落としたのであった…。
その頃 アメリカ合衆国 ネバダ州 ラスベガス
ここは、アメリカ合衆国ネバダ州にある欲望渦巻く街・ラスベガス。ここは世界有数のカジノリゾートであり、多くの金持ちにとっての娯楽の場所となっている。
そんな街に建つカジノの1つに、あのジェイソンとイシドーラの姿があった。どうやらブラックジャックに興じているらしい。
そして配られたカードを見たジェイソンが、ニヤリと笑う。
「来たぜ…! ブラックジャック! これでおれはアガリだ。
ミルズ? てめぇはどんなもんよ?」
「…まだだ。このヒットでカードを引けば…」
そう言ってカードを引いたイシドーラの顔が露骨に曇る。そして投げ出されたカードの合計は、25。つまり…。
「バーストか。ククク…これで今日130万ドルは負けたじゃねぇか! そろそろ諦めた方が身のためじゃねぇのかあ?」
「まだだ。私の金を取り返すまではやめられん」
「おー、おー、必死だねぇ…。せっかく新恐竜のカードも貰ったってのに、このままじゃそれも質に入れないと出れなくなっちまうぞ?」
そう言って笑いながらバーの方へ向かっていくジェイソンとは反対に、イシドーラは今度はポーカーの区画へと向かった。
そんなカジノリゾートに…1機の奇怪な飛行機が近づいてきていたのであった…。
今回はここまでです。
原作でもこの話はなかなか難しい話だったので、拙作でもどこまでできるかは分かりません。
しかし少しでもよいものをお届けしたいと考えて執筆しておりますので、明後日の後編もお楽しみにお待ち下さい。
第26話の原作「恐竜遊園地で大儲け!」にあたるエピソードでマルムの第2のパートナー恐竜を登場させたいと考えております。つきましては、私が選出した候補からどれが相応しいか皆様からご意見を伺いたいのです。もしよろしければ、以下のうちから1つを選んでご回答下さい。
-
ランベオサウルス
-
エドモントサウルス
-
カロノサウルス
-
コリトサウルス
-
オウラノサウルス
-
ディプロドクス・ハロルム(小)