古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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今回は後編となります。
昨日今日と忙しく、投稿が遅れて申し訳ありません。
それでは今回も、最後までお楽しみ下さい。


後編

 その頃、アクト団はアーノイダ達ゴウト団に言われるまま、飛行機を操縦してラスベガスへとやって来ていた。

 

「あらま!」

 

「砂漠の真ん中に街があるザンス!」

 

「あそこに金があるのか?」

 

「そうじゃい。ここラスベガス・ストリップはカジノの都…。欲望に駆られて集まった人間が大金を落としていく街じゃい…。

だから、唸るほど金があるんじゃい!」

 

「なるほど〜。つまり前に行ったモナコにもあったカジノが沢山あるところなんスねぇ〜」

 

「あの時はウサラパ様の負けず嫌いが発動したせいで大変だったザンス…」

 

「余計なこと思い出させるんじゃないよ…」

 

 以前モナコで文無しになり、エドとノラッティ〜がパンツ1丁で過ごさなければならなくなった苦い記憶が、ウサラパ達の脳裏を過った。

 しかしソーノイダはそんな3人にはお構いなしといった様子で飛行機から降りると、辺りを忙しなく見渡す。

 

「どこぞい? 金はどこぞい? この辺りに落っこちておるのかーっ!?」

 

「そこら辺には落ちてないと思いますよドクター…」

 

「あほかぁ、おぜぜは金庫の中や…」

 

 必死に周囲を探し回るソーノイダを嘲笑うようにウソラパがそう口にするが、そこで突っかかっていったのは意外にもウサラパだった。

 

「アホですってぇ!?」

 

「なんや? 妹のクセに文句あんのかぁ?」

 

「大有りよ! アタシはねぇ…」

 

 そして、怒りのままにウサラパが言葉を続けようとしたその時だった。

 

「ウサラパッ!」

 

「ウソラパッ!」

 

 ソーノイダとアーノイダが2人を引き止めると、すぐさまウサラパをエドとノラッティ〜が、ウソラパをオドとナラッティ〜が引き離したのである。

 そしてそれぞれの陣営でヒソヒソと内緒話を始めた。

 

「ダメッスよ。金を手に入れるまでは…」

 

「そうザンス。あいつらを利用しなきゃいけないザンス。それまで大人しくしてろって、ドクターが言ってたザンしょ?」

 

「んんぬぅ〜っ! それにしても癪に障るねぇ〜っ!」

 

 何とかウサラパを宥めたところでゴウト団側での話し合いも終わったようで、アーノイダがその手に服を持って彼らに近づいてきた。

 

「ほれ、これを着るんじゃい」

 

「何ぞい、これは! 女物の服ではないかぞい!」

 

「身元がバレないためのものじゃい。それから…いざという時のために、これも貸してやる」

 

 そう言って更にアーノイダが差し出したのは、黒光りするオートマチック拳銃であった。

 

「ふむう…」

 

「おっと、無闇に撃つなよ。大変なことになるじゃい」

 

「あぁ? 大変なことじゃと?」

 

「そうじゃい。だからワシが合図した時に使うんじゃい。忘れるんじゃないじゃい。

…それで、拳銃を貸す代わりに、さっき見せた恐竜のカードとアクトホルダーとやらを貸すんじゃい」

 

「なぬぅっ!?」

 

 当然ソーノイダは難色を示す。それはそうだろう。彼にとって恐竜は恐竜キングとなるために必要不可欠なものであるからだ。

 しかし今は何が何でも金が欲しいのも事実であり、背に腹は代えられない。そのためソーノイダは泣く泣くティラノの恐竜カードとアクトホルダーをアーノイダに貸したのであった。

 

 その後変装を済ませた彼らは、1番立派な外観のカジノへと入っていった。中はやはり豪華絢爛な様子であり、来店している他の客はいずれも実に羽振りが良さそうな人物ばかりである。

 

「フン! それにしても、何でこんな格好せんといかんのだぞい!」

 

 ゴスロリな服を着込み、カツラに口紅まで付けたソーノイダがそうボヤくと、それにウソラパ達が答えた。

 

「ウチらは国際指名手配されてるねんで?」

 

「だからこうして、正体を隠すために変装してるドンス」

 

「そうみたいザンス!」

 

「…似合うッスか?」

 

「なんかアタシの格好、オスカーみたい…」

 

「う〜ん…それにしても情けない格好ぞい…」

 

 そして彼らが一直線に向かっていたのは、カジノのコイン両替を行うボックスの窓口であった。

 

「あそこが、両替所じゃい。金庫はあの下にあるんじゃい…」

 

 ソーノイダにそう囁きながら、アーノイダは窓口に歩み寄ると、係員に恐竜カードとアクトホルダーを突きつけた。

 

「じゃいっ! 金を出すんじゃい!」

 

「はぁ?」

 

 突然金を要求され、係員が困惑した声を発する。

 

「出さんと…こうじゃい!」

 

 そう言うが早いかアーノイダは、ティラノの恐竜カードをアクトホルダーに通した。するとティラノのカードは赤い光に包まれ…チビ恐竜の姿で召喚された。

 

「いーててててて!」

 

 しかも召喚したティラノが頭に食らいつき、アーノイダは痛みで悶える。

 

「何しとるぞい!」

 

 早速しくじったアーノイダにソーノイダが苦言を呈すると、そんな彼にノラッティ〜が声を潜めて尋ねてきた。

 

「そういえばドクター、アクトホルダーで恐竜を召喚する方法は教えたんザンスか?」

 

「ん? 言われてみれば…伝えていなかったかもしれんぞい…」

 

「そんなこったろうと思ったッス…」

 

「あの〜、お客様? 一体何をなさっているんです?」

 

 突然受付に来て金を要求してきたかと思えば、すったもんだしている彼らに再び係員が話しかける。

 するとアーノイダはカツラごとティラノを投げ捨てると、懐に入れていた拳銃を取り出した。

 

「えーい、面倒じゃい! 大人しく金を出すんじゃい!」

 

 それに続いてウソラパやオド、ナラッティ〜も拳銃を構える。それを見た係員は驚きつつも、机の下の警報ボタンを押した。

 カジノということもあり、こういう事態には慣れっこなようである。

 

ジリリリリリリリ…!

 

 するとカジノ館内に警報が鳴り響き、それを聞きつけた警護の黒服達が両替所へと殺到していく。そして、両替所のシャッターも閉められてしまったのだった。

 

「じゃいっ!?」

 

「こ、これは…」

 

「動くな! 手を挙げろ!」

 

 すっかり黒服達に包囲されてしまい、ゴウト団の4人は素直に拳銃を手放して手を挙げる。

 しかしソーノイダは、躊躇いもせずに拳銃を構え、その引き金を引いた!

 

「ぞいっ!…なぬぅっ?」

 

 すると…そこから出てきたのは銃弾ではなく、万国旗だったのである。どうやら冒頭の銀行強盗と同じく、虚仮威しの道具だったようだ。だがそんなことなど知るはずもないソーノイダや、彼らと対峙する黒服達は困惑の色を隠せなかった。

 

「な、何ぞい、これは…」

 

「じゃから、合図をするまでは撃つなと言ったじゃろうが!」

 

「ぐぬぅ…お前らがここまでバカだったとは思わなかったぞい! それを返せっ!」

 

 元々短気な性格のソーノイダである。早くも怒りの臨界点に達した彼はアーノイダからアクトホルダーを奪い返すと、ティラノをカードに戻してもう一度アクトホルダーに通した。

 

「アクトスラーッシュ! 燃え上がれ! ティラノサウルス!」

 

ガアァァァァァッ!!

 

 今度は成体の姿で召喚されたティラノが、地響きと共に着陸する。突如現れた恐竜を目にした黒服達は、蜘蛛の子を散らすように逃げていったのであった…。

 

 

 その時、フロアの1角にあるルーレットテーブルでは、イシドーラが最後のチップを全てベットしているところだった。どうやらスロットで少し勝つことができたようで、その上で一発逆転を狙ってルーレットに挑戦するようである。

 しかし、その賭け方にジェイソンが苦言を呈していた。

 

「おいおい、ミルズよう…。いくら何でも1点賭けってのはリスクが高すぎるんじゃねぇか?

せっかくそこまで増やしたんだから、もう少し無難な賭け方ってのをだな…」

 

「ホスキンス。お前は口を出すな。ここでこう賭けなければ、私は全ての金を取り戻すことができない。

なに、心配することはない。私の計算によれば、ここで赤の1が必ず出るはずなのだ…」

 

「ハッキリ言わしてもらうが…正気じゃねぇよ、お前…」

 

 そう言って呆れたようにかぶりをふるジェイソンを無視したまま、イシドーラは手持ちのチップを全てディーラーに差し出した。それを受け取ったところでチップを赤の1に全て置き、ルーレットが回される…。

 次第にルーレットの勢いが弱まっていき、ボールは小さく跳ねながら赤の1に近づいていく…。

 

「いいぞ…。私の読み通りだ…!」

 

「おいおい…マジで入りそうじゃねぇか…」

 

 そして、遂にボールの動きが止まった。ボールは、しっかりと赤の1のポケットに入っていたのである。

 

「こいつ、マジで当てやがった…」

 

「やった…やったぞ…! これで私の金が戻ってくる…!」

 

 イシドーラが興奮気味にそう口にした、その時だった。下のフロアで、咆哮と共に大きな震動が走る。ソーノイダがティラノを召喚した時のものであった。

 そしてその衝撃でルーレット台も跳ね、ポケットインしたボールが飛び上がってしまったのだ!

 

「「あーーーーっ!」」

 

 

その頃 Dラボ

 

 恐竜の反応が出たということで、念の為Dラボに滞在していたDキッズは、再び恐竜出現の反応を確認した。

 ソーノイダが召喚したティラノを検知したのである。

 

「出た!」

 

「リアスさん、場所は?」

 

「アメリカ合衆国ネバダ州の都市、ラスベガスよ」

 

「おおっ! カジノの街か!」

 

「とにかく、反応が消える前に早く行かないと!」

 

「そうだな! 行ってきまーす!」

 

 そしてDキッズはテレポートを起動し、慌ただしく出撃していったのだった。

 

 

アメリカ合衆国 ラスベガス

 

 Dキッズが現地へとテレポートすると、そこはアクト団とゴウト団が押し入ったカジノのすぐ前であった。

 カジノからは黒煙が立ち昇っており、周囲には通報を受けた警察車両が多数駆けつけていた。かなりものものしい雰囲気である。

 

「ええっ!? 何これー?」

 

「すげぇ…映画みたーい!」

 

 彼らが現場を前にそんなことを話していると、女性警官が走り寄ってきた。

 

「君達! ここは危険だ! すぐにここから離れなさい!」

 

「何があったんですか?」

 

「カジノに強盗が入った。しかも恐竜を連れているとかいう目撃情報もあったんだ。

一笑に付すような話だが、最近ニューヨークやジョージアでも恐竜が出現して暴れ回ったという事例があるから、嘘だとは思えなくてね…」

 

 そこまで言ったところで、女性警官は同僚に呼ばれてその場を去っていった。一方でDキッズは、今の話を4人で精査している。

 

「恐竜ってことは…」

 

「やっぱりアクト団の仕業で間違いなさそうだ!」

 

「ディノサーチでも、この建物の中から反応があるみたいだね。ひとまず俺達も様子を見ながら…」

 

 その時、オウガのディノラウザーに映っていた恐竜の反応が消えた。

 

「あれ…? 恐竜の反応が…故障かな?」

 

「いいえ、アタシ達のディノホルダーでも反応を捉えられなくなっちゃったわ!」

 

 リュウタ達のディノホルダーからも反応が消えている辺り、故障ではなさそうだ。恐らく、アクト団が恐竜をしまったのだろう。

 

 

カジノ地下 大金庫

 

 両替所を壊して地下への道を強引にこじ開けたアクト団とゴウト団は、地下の大金庫へと入り込んでいた。無謀にも立ち向かってきた警備員は簀巻きにされており、更に見張りにチビ形態のティラノも立てている徹底ぶりである。

 

「…よし! 金はあらかた手に入ったぞい!」

 

「ソーノイダ! お前はまさにワシの弟じゃい!

ティラノサウルスをここまで飼いならしておるとは、恐竜好きの血がお前にも流れていったのじゃなぁ…」

 

 その言葉と共に親しげに背中へ回された手を…ソーノイダは苛立たしげに振り払った。

 

「フン! ワシはお前なんかの弟じゃないぞい!」

 

「…じゃい?」

 

「もっと頭のいいヤツかと思っておったが、こんなアンポンタンだったとは思わなかったぞい。

これだったら、最初からワシらだけでやっておっても同じだったぞい!」

 

「そっ、ソーノイダ…何を言い出すんじゃ…」

 

「やかましいわい! 気安くワシの名前を呼ぶんじゃないぞい!」

 

「ほな、あんたらも…」

 

 そこまでの話を聞いていたウソラパ達がそう尋ねると、ウサラパ達は至極当然といった顔で答えた。

 

「あったりまえでしょ?」

 

「ミー達はお前らの」

 

「兄弟なんかじゃないッス」

 

「えーーっ!?」

 

「そんなぁーっ!?」

 

 ウサラパ達のカミングアウトに、オドとナラッティ〜は露骨にショックを受けた様子を見せるが、ウソラパは案の定といった様子であった。

 

「そうやったんか。まあ、アンタみたいなオバはんが妹なんて、怪しいと思っとったんや」

 

「キィーッ! 誰がオバさんよ! 少なくともアンタの方がずーっとオバさんじゃないのーっ!」

 

「オバはんで悪かったなぁーっ! けどアンタの方がよっぽどオバはんやーん!」

 

「アンタの方よーっ!」

 

 そう言って口論を始めようとしたウサラパとウソラパの間に、ソーノイダが割って入った。

 

「こらーっ! オバさん同士で揉めるんじゃないぞい!」

 

「「オバさん/オバはん言うなーっ!!」」

 

「ぞいーっ!?」

 

 しかし、ウサラパとウソラパから息の合った怒鳴り声を受けて、ソーノイダは驚きひっくり返ってしまう。

 

「…あら、失礼」

 

「バカモン! 揉めてる暇があったら、さっさと金を運び出すんじゃぞい!」

 

「「「ヘイヘイホー!」」」

 

 ソーノイダの指示を受けたウサラパ達が集めた金を回収しようとすると、その前にゴウト団の4人が立ち塞がった。

 

「この金はワシらのじゃーい!」

 

「やかましいわ! お前らのようなアンポンタンは…ワシのティラノに食べられてしまえばいいんぞーい!」

 

 そう叫ぶとソーノイダはティラノをカードに戻し、アクトホルダーに通したのであった。

 

 

 その頃、カジノフロアでは…

 

「ここに両替所があったはずだが…跡形もねぇな。

ダイナマイトで吹き飛ばされでもしたのか?」

 

「誰でも構わん。私の金を無きものにした奴らを、私は許さない…」

 

 アクト団が掘り返した元・両替所には、ジェイソンとイシドーラが集まってきていた。どうやら先程の震動を起こした犯人を探しに来たらしい。

 

「もし犯人がいるとすりゃあ…この下の大金庫だろうな」

 

 そう呟きながらジェイソンが穴の中を覗き込もうとした時、凄まじい轟音と共に中からゴウト団の4人が飛び出してきたのである。

 

「うおっ!? あ、あいつらは…アクト団の連中か?」

 

 そして更にそれに続いて穴からティラノが這い出すと、ゴウト団を追いかけて行く。

 

「何やってんだあいつら…。ティラノに追いかけられるなんて、相変わらず恐竜の扱いがなってねぇなぁ…」

 

「…いや、あの連中はアクト団ではない」

 

「はぁ? どこからどう見ても、連中そのものだったろうが」

 

 最後に穴から出てきたのは、金を大量に詰め込んだ袋を抱えるソーノイダ達だった。

 

「ぬおっ!? お主ら、どうしてこんなところにおるのじゃぞい!?」

 

「よう、Dr.ソーノイダ。おれ等はせっかくの休暇だったんでベガスまで遊びに来てたんだがな…」

 

「単刀直入に申し上げましょうDr.ソーノイダ。ここを破壊したのはあなたですか?」

 

「そうぞい! これも我が泣く子も黙るアクト団の資金集めの一環ぞい!

ほれほれ、ワシらは忙しいんじゃ! 先を急がせてもらうぞい!」

 

 そう言って立ち去ろうとするソーノイダ達の前に、イシドーラは尚も立ち塞がった。

 

「なっ、何をしておるんだぞい!」

 

「…Dr.ソーノイダ。私はあなたのティラノが起こした震動のせいで、私の金を取り戻す絶好の機会を失ってしまったのですよ。

それがいかに罪深いことか…その身に刻みつけて差し上げましょう!」

 

 その言葉と共にイシドーラは1枚のカードを取り出し、カフスピンのジュラシック・アンバーに押し当てた。

 

「いでよ…スピノラプトル!」

 

 

 

 一方、カジノの前で待機していたDキッズ達も、建物の中から聞こえてきた轟音を耳にしていた。

 そして、彼らのディノホルダーやディノラウザーからも再び恐竜出現の通知音が響く。

 

「あっ! また反応が…」

 

「ということは、アクト団の連中がまた恐竜を出したってことで間違いなさそうだね」

 

「あっ、出てくるぞ!」

 

 そしてカジノのエントランスからまず姿を見せたのは、ゴウト団の4人であった。彼らの姿を認めた警察官達は、すぐさま拳銃を手に包囲する。

 

「動くな!」

 

「あっ! ゾイじじい!」

 

「いや違う! あれはそっくりさんの方だ!」

 

 更に、エントランスを突き破るようにしてティラノも姿を現す。これには警察官達も驚き戸惑うばかりであった。

 

「なっ、何だぁっ!?」

 

 そして最後に、ソーノイダ達が何かに追われるかのようにエントランスから走り出てきた。

 その更に後ろからは、ラプトルのような恐竜・スピノラプトルと、ジェイソンとイシドーラが姿を現したのだ。

 

「ホントだ。あっちにもゾイじじいが…」

 

「それにあれって!」

 

「ジェイソンとイシドーラ…! 『Sin-D』の連中もグルだったのか!」

 

「…いや、そうでもなさそうだぞ」

 

 そう言ってレックスが指さす先では、スピノラプトルがアクト団を追い回していた。

 

「何やってんだあいつら…」

 

「仲間割れかな…? 報酬の分前で揉めたのかもしれないね」

 

 そして彼らの目の前では、ウサラパとノラッティ〜が走りながらもアクトホルダーを構え、追加の恐竜を呼び出そうとしていた。

 

 

「ひぃっ…ひぃっ…何でワシらにイシドーラのヤツが攻撃を加えてくるんだぞーい!?」

 

「多分さっきの震動で、あいつのギャンブルを邪魔しちゃったんスよ!」

 

「もーう、こうなったらサイカとスピノも加えて撃退するんだよぉ!」

 

「了解ザンス!」

 

「「アクトスラーッシュ!」」

 

ウオォォオォォォ!!

 

グァギュオォォォッ!!

 

 スピノとサイカが召喚されてスピノラプトルに向かい合うと、周囲の風景もバトルフィールドへと変化していく。そしてそれを確認したところでソーノイダは立ち止まり、アクトホルダーに技カードを通した。

 

「やるぞい! ティラノ! 『爆炎壁攻(ボルケーノバースト)』!」

 

 技カードが読み込まれ、ティラノが赤い光と炎に包まれる。そして口に炎を溜めたティラノは、それをスピノラプトルに向けて吐きかけた。

 しかしスピノラプトルは驚くべき敏捷性でその炎を躱してしまった。標的を外れた炎はカジノ前に並んだ警察車両を直撃し、爆発炎上させる。

 

「ぬぅ…なんという素早さぞい…」

 

「サイカーっ! 自慢の尻尾でやっちまうのよーッ!」

 

「スピノも後に続くザンスーッ!」

 

 続けてサイカとスピノも突撃していくものの、どちらの攻撃もあっさりと躱されてしまい、有効打にはならない。

 その光景を見て軽く笑ったイシドーラは、手に取った技カードをアンバーに押し当てた。

 

「では、これで幕引きといきましょう。『龍河投撃(トルネードパンプ)』」

 

 技カードが発動し、スピノラプトルの体が青色の光と灰色の光に包まれる。するとスピノラプトルは口いっぱいに水を溜め込み、それをティラノ達へ投げつけたのだ。たちまち3体の恐竜達が水の球に包まれ、身動きが取れなくなってしまう。

 そして更に、スピノラプトルは全速力でその周囲をグルグルと回り始めたのだ。その勢いによって竜巻が巻き起こり、水球をティラノ達ごと上空高くへ巻き上げてしまったのだ。

 しばらくしてからティラノ達は下へと落下し、3体ともカードへと戻ってしまう。そして、それに続いてアクト団の4人もそこへ落ちてきた。どうやら竜巻に巻き込まれてしまったらしい。

 

 更には、アクト団が持ってきていた金の袋の1つがジェイソンとイシドーラのもとへ降ってくる。

 

「おっと! こいつぁ全部金塊じゃねぇか。こんだけ盗んでよく袋が破けねぇもんだな…」

 

「取り敢えず、今回は迷惑料としてこの金塊は貰っていきますよ…」

 

 そう言い残してジェイソンとイシドーラは金を持って去ろうとするが、そこに立ち塞がったのはDキッズの4人であった。

 

「待て! ここまでしておいて逃げようなんて、そうはさせないぞ!」

 

「まったく…どこまでも目障りな子供達ですね。

そんなに命が惜しくないのであれば、望み通りにしてあげましょう! スピノラプトル!」

 

 イシドーラの掛け声に合わせ、スピノラプトルがDキッズの前へと降り立つ。

 それを見たDキッズのうち、今回はレックスとオウガがカードを手に取ってディノホルダーとディノラウザーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ! 吹き抜けろ! カルノタウルス!」

 

グォォォォォォン!!

 

「ディノスラーッシュ!

燃え上がれ! ティラノサウルス・レックス!」

 

ゴガアァァァァァッ!!

 

 エースとレクシィが成体化して降り立ち、スピノラプトルと対峙する形となった。

 それを見たスピノラプトルは口角を上げてからレクシィに飛びかかっていく。レクシィは何とか振り落とそうとしているが、背中に乗られたのではどうしようとなさそうだ。

 しかしそこは敏捷性の高いエースの役目である。すぐさま地面を蹴って跳躍すると、頭突きを加えようと突っ込んだのだ。スピノラプトルは躱したもののバランスを崩して背中から転げ落ちてしまい、そこをレクシィに踏みつけられた。

 これでスピノラプトルは、自慢の敏捷性を失ってしまったのである。

 

「今だレックス! 合体技で行こう!」

 

「了解! オウガもしっかり息を合わせろよ!」

 

 スピノラプトルが動けなくなったのを見たオウガとレックスは、技カードを手に取ってそれぞれのディノホルダーとディノラウザーにスキャンした。

 

「行くぞエース! 『疾風無敵(サイクロン)』!」

 

「レクシィ、頼んだよ! 『爆炎突撃(バーニングダッシュ)』!」

 

 まずはエースが全身に竜巻を纏い、それをレクシィに向けて放つ。口に炎を溜めて準備していたレクシィがその風を受けると、彼女の口の炎は更に勢いを増して燃え上がった。そして足元のスピノラプトルを咥え上げると、風の勢いも借りて加速しながら走り続け…アクト団の飛行機にぶつかったところで一気にその炎を解放した。

 これが、レクシィとエースの合体技『爆熱風突撃(ブラストダッシュ)』であった。

 想像を絶する爆炎が巻き起こった後、そこには横倒しになったまま動かないスピノラプトルと、その前で勝ち誇るレクシィの姿が現れた。そしてスピノラプトルはカードへと戻ると…そのまま上へ、既にジェットヘリで逃げる準備を済ませたイシドーラのもとへ戻っていった。

 

「まあ、時間稼ぎとしては十分でしょう。

ジェイソン。アジトに戻りましょう」

 

「おうよ。にしても今日は災難だったな…」

 

 そして『Sin-D』の2人を乗せたヘリは、どこかへと飛び去っていったのであった…。

 

 一方、飛行機が『爆熱風突撃(ブラストダッシュ)』によって爆砕されたアクト団は、その前で愕然としていた。

 

「ああ…なんてことぞい…」

 

「帰りの飛行機が…」

 

「金の袋も1つ無くしちゃったザンス…」

 

 そんな彼らの目の前に、あのゴウト団の4人が現れた。やはり彼らも弱った相手には強いようである。

 

「やい! 金を渡すんじゃい!」

 

「フン! 誰が渡すかぞい!」

 

「そうか…。ではこうしてやるじゃい!」

 

 その声と共に、ゴウト団はアクト団に飛びかかった。それにアクト団も応戦したことで、激しい乱闘騒ぎへと発展したが、突然彼らははたと手を止めた。

 

「そこまでです! 手を頭の後ろに回してその場に座りなさい! あなた達を逮捕します!」

 

 そう。アクト恐竜達がいなくなって戻ってきた警察官達に包囲されてしまっていたのだ。抵抗しようにも、彼らには戦える恐竜も、武器もない。八方塞がりの状態であった。

 

「ぬぅぅぅ…」

 

「ドクター、とってもまずいですわね…」

 

「そんなのワシが1番分かっとるぞい…むっ!」

 

 その時、彼の手に何やら冷たいものが触れた。見ると、それはマンホールの蓋だった。しばらく下水に飛び込むことを躊躇っていたソーノイダだったが、背に腹は代えられないと判断したのだろう。その蓋を開けると、そこへ飛び込んだのである。

 彼に続いてウサラパとエドが飛び込み、最後にナラッティ〜が…。

 

「お前じゃなーい!」

 

 飛び込もうとしたが、すぐさまウサラパに蹴り出されてしまった。そして代わりにノラッティ〜が飛び込んでいった。

 

「あーっ! ワシも…」

 

 そこへアーノイダも飛び込もうとするものの、直前で蓋が閉まってしまった。そして彼らゴウト団は、敢え無く御用となったのである。

 

 

その後 ラスベガス 地下下水道

 

 その後、ソーノイダ達の姿は下水道にあった。勿論金の袋を持って逃げる余裕など無かったので、あれだけの労力を費やしながらも手ぶらのままである。

 

「くそっ! ガキンチョとイシドーラのせいで金が手に入らなかったぞい!」

 

「お腹空いたッス…」

 

「とんだくたびれ儲けだったザンス…」

 

「どうやって帰るんですぅ?」

 

「知るかぁっ!」

 

 怒りのあまりソーノイダが大声を張り上げると、それは下水道中に共鳴し、彼らを更に悩ませることとなったのであった…。

 

 

その頃 三畳市 リュウタ宅

 

 あの後、現地の警察に感謝されながら帰ってきたDキッズはそれぞれの家に帰り、夕食の席に着いていた。

 そこで、今日のラスベガスでの騒動を伝えるニュース番組が流れたのである。

 

『ラスベガスでの大騒動の結果、現地警察に逮捕されたのは、「アーノイダ」「ウソラパ」「ナラッティ〜」「オド」の4人組の強盗団「ゴウト団」です。

カジノから奪われかかった金貨は、3分の2が見つかりましたが、残りの3分の1の行方は依然として知れません』

 

「ゴウト団とアクト団の関係って何だったんだろ…。

本当に双子だったのかなぁ…?」

 

「さぁ? でもあの喧嘩を見た限りじゃ、仲は悪そうだったけどな…」

 

「何だったんだろうなぁ。ガブ、イナズマ?」

 

 一応リュウタが足元のガブとイナズマに問いかけてみたものの、2匹は首を傾げるだけであった…。

 

 

 

その頃 アクト団基地 アジ島

 

 ノーピスの研究室では、ロトとノーピスが今日の夕方に出た各種メディアの記事を閲覧していた。

 

「…やっぱり、過去に起きた事実は変えられないんだね…。結局お爺ちゃん達のご先祖様は刑務所行きか…」

 

「歴史の修正力、というやつだろうな。例え歴史のどこかで歪みが起きたとしても、行き着く先が変わることはないということだ。

まあ、そう悲観することでもない。今から見れば未来の記事では、彼らは何度か脱獄と収監を繰り返しているようだからな」

 

「…それにしても、お爺ちゃんにウサラパ達も遅いなぁ…。どこをほっつき歩いてるんだろう…」

 

 その頃ソーノイダ達は、まだラスベガスの地下下水道を彷徨っていたのだが、それをロトやノーピスが知るのは彼らが戻ってきてからになるのであった…。

 

 




ということで、今回はここまでです。
今回は申し訳ありませんが、恐竜解説はお休みにさせていただきます。原作側での新恐竜が登場しなかったもので…。
それでは次回第26話『嗚呼我が想い出の恐竜遊園地!』アンケート1位になったあの恐竜がマルムの新パートナーとして登場します!
それでは明後日の更新をお楽しみにお待ち下さい!

追記:次回予告の内容を1つ後のものを書いていましたので、直ちに修正しました。混乱させてしまい申し訳ありませんでした。

追記2:設定集に、「スピノラプトル」、合体技の『龍河投撃』と『爆熱風突撃』の説明を追記しました。
また、ステゴケラトプスのバトルタイプを変更しました。

第26話の原作「恐竜遊園地で大儲け!」にあたるエピソードでマルムの第2のパートナー恐竜を登場させたいと考えております。つきましては、私が選出した候補からどれが相応しいか皆様からご意見を伺いたいのです。もしよろしければ、以下のうちから1つを選んでご回答下さい。

  • ランベオサウルス
  • エドモントサウルス
  • カロノサウルス
  • コリトサウルス
  • オウラノサウルス
  • ディプロドクス・ハロルム(小)
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