古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

68 / 94
今回は中編となります。
昨日はサイバー攻撃でハーメルンが一時的に停止しており、連載を続けられるか危惧しておりましたが、無事復活できたようで何よりです。
しかし今回も長くなりすぎてしまったために、後編にあたる部分を2つに分割させていただきました。
急な予定変更をしてしまい、申し訳ありません。お詫びと言っては何ですが、後編は明日の5時に投稿とし、その後明々後日に次の第27話前編を投稿することと致します。


中編

 マルムとパラパラがランベオサウルスと会っていた頃、遊園地の中心部は大変なパニックに陥っていた。制御装置が機能を停止したことで、お腹を空かせた恐竜達が好き勝手に歩き始めたのである。

 園内は恐竜達から逃げ惑う人々で溢れており、そんな中オウガとリュウタ、古代博士の3人はチビ恐竜達と共に物陰に身を隠していた。

 

「遊園地で恐竜を暴れさせるなんて…! この前の鉱山の時も思ったけど、アクト団は一体何を考えているんだ…」

 

「亜紀ちゃん…! そうだ! このままだと母さんも危ない!」

 

「とにかく、恐竜達を止めなきゃ…」

 

 そう言ってリュウタはポーチの中へ手を入れた…が、すぐに手を引っ込めた。

 

「そうだった! ディノホルダーはリアスさんに預けたままだったんだ…」

 

 戦う手段がないまま、恐竜達の群れの中に残される形となった3人と4匹。しかしそこで周囲にキョロキョロと目を配っていた古代博士は突然目を見開くと、そちらへと駆け出していった。

 その先には、彼の妻である亜紀と、レックスがいたのである。

 

「な…何? 何が起こってるの…?」

 

「母さん! 良かった、無事で…」

 

「あなた…。でもこれ、一体何の騒ぎなの?」

 

「え?…ハッハッハ! 心配いらない! これはキョウリュウランドのパレードショーさ!」

 

 何とか亜紀の目を誤魔化そうと、古代博士はそんなことを口にしたのだった。そしてリュウタとオウガも、レックスのもとへ駆け寄る。

 

「レックス! お前も大丈夫か?」

 

「あぁ、何とかね。でも、マルムは一緒じゃないのか?」

 

「それが…マルムはパラパラを追いかけて、園内のどこかへ走っていっちゃったんだ…。

俺とリュウタもすぐ声をかけたんだけど、その時にはもう姿が見えなくなってて…」

 

「何だって!?」

 

 

その頃 キョウリュウランド 駐車場

 

 ようやくキョウリュウランドに到着したリアスとミサは、リアスのパソコンで今回恐竜が出現した場所の割り出しを行なっていた。

 

「やっぱり…恐竜達の反応はこの遊園地の中からのようね」

 

「そ、そんな…! オウガ君達はディノラウザーやディノホルダーを持ってないのに…。もしみんなに何かあったら…」

 

「落ち着いて、ミサさん。だから私達はここへ来たのよ。何としても博士達を探し出して、このディノホルダーとディノラウザーを渡さないと…」

 

 その時、車の外を幾人かが走り去っていく光景が目に入ってきた。それに釣られて2人が外を見ると、大勢の人々が入退場口から溢れ出てきているではないか。

 これはただごとではない。そう判断したリアスは車の窓を開け、すぐそばを通った人物に尋ねた。

 

「あの、すみません…」

 

「んんっ!? もしかしてあんた、今ここに来たところなのか? 悪いことは言わねぇ! すぐに逃げた方がいいぞ!」

 

「逃げる…? 一体何があったんですか?」

 

「それが…突然園内の恐竜が動き出して、それで…」

 

 その時、カチリと車のラッチが外れる音を聞いてリアスが振り返ると、ミサがディノラウザーやディノホルダーを持って出ていこうとしていた。

 

「ミサさん、待ちなさい!」

 

「リアスさん…。でも…このままだとオウガ君が…皆さんが…」

 

「それでも1人は危険よ!…私も同行するわ」

 

「あ…あんたら正気か!? あんな恐竜達が徘徊する遊園地に入ろうだなんて…おーい!」

 

 その来場客の静止する声に耳を貸すことなく、リアスとミサは入退場口の柵を乗り越えて園内へと入っていったのであった…。

 

 

その頃 アジ島 勉強部屋

 

 遊園地が大騒ぎになっている頃、ロトとロアはパソコンに向き合って勉強に取り組んでいた。

 

「あ〜…お腹空いたな〜…」

 

「あたしも…。それにお勉強きら〜い…」

 

 勉強に取り組んでいるとは言え、空腹等の要因により、2人はあまり集中して取り組めていないようだ。

 そんな時、ロトがふと窓の外へ目をやると、遊園地で暴走を始めたスーパーサウルスの姿が見えたのである。

 

「何だろう…? 遊園地が騒がしいな…」

 

「いいなぁ、遊園地…。あたしも行きた〜い…」

 

 そうロアが呟いて口を尖らせると、それを見たロトは意外な提案を持ちかけた。

 

「…なぁ、タルボーンヌさんは買い出しに行ってていないし、ボク達も遊園地に行かないか?」

 

「…えっ? おにい様、いいの?」

 

「たまには息抜きも必要だよ! ほら、こっちこっち」

 

 そう言って手招きをするロトを見たロアは、思わず顔を綻ばせた。ようやく彼女がよく知る優しい兄が…ロトが戻ってきてくれたのだと実感したのである。

 だが、ロトはまっすぐ出口へは向かわずに、ソーノイダ達のいる部屋へと向かっていた。

 

「おにい様、外へ出る道はこっちじゃないわよ…?」

 

「今遊園地にはコントロールから解き放たれた恐竜が跋扈してるんだぞ? それならボク達も、身を守るための手段が必要だろ?」

 

 そしてロトとロアがソーノイダの研究室に忍び込んだ時、ソーノイダとノーピスは暴走する恐竜達を何とかしようと四苦八苦しているところだった。

 どうやら再起動もうまくいかなかったようである。

 

「おお…ノーピス…何とかならんのかぞい?

このままでは、ワシの大事な恐竜達が遊園地の外へ逃げ出してしまうぞい!」

 

「…どうやら、恐竜達に付けた制御装置が誤作動を起こし、却って彼らを興奮させてしまっているようです。

再起動でリフレッシュを試みましたが、ダメですね。もうこちらからの指令は受け付けないようです…」

 

「ぬう…。となると、どうすればよいのだぞい?」

 

「制御装置を直接取り外すしかありません。彼らのエネルギーは空腹と過労で既に活動限界の域にまで達していることは間違いありませんから、それでカードに戻ってくれるはずかと…」

 

 暴走する恐竜達を監視しつつそんな会話をしているソーノイダとノーピスの後ろでは、ロトとロアが机の上に置いてあったアクトホルダーを2つ手に取っていたのだった。

 

「やったわね、おにい様…って、何してるの?」

 

 ロトに声をかけようとしたロアは、彼の行動を訝しんだ。何故なら彼は、アクトホルダーに格納してあったスピノのカードを引き抜いて机に戻していたからである。

 

「ボクにはスピノの力は必要ないからね。ティラノはロアが使うといいよ」

 

「でも、それならおにい様はどの恐竜で…」

 

「大丈夫。ボクには1番頼りになる…こいつがいるからね」

 

 そう言ってロトが見せつけたのは、あのカスモサウルスの恐竜カードであった…。

 

 

 その頃、ウサラパ達はというと…。

 

「「「うわぁあぁあぁあ…」」」

 

「もう手が付けられないザンス!」

 

「早く食料を与えないと…」

 

 恐竜達が暴れている遊園地の真ん中で、動くことができずにいた。すぐ近くでは、大型肉食恐竜のスコミムスとアクロカントサウルスが喧嘩をしており、迂闊に移動することができないのだ。

 そんな時、アクロカントサウルスがスコミムスを引き倒し、アクト団が視界に映らない姿勢になった。

 その好機を、ウサラパは見逃さない。

 

「今だよっ! アタシ達にはもうどうにもできないんだから、収まるまで隠れてるしかないよーっ!」

 

「「ヘイヘイホーッ!」」

 

 そして、ウサラパ達は植え込みの中へと姿を隠し、状況が好転するまでひたすら息を潜めることに決めたようであった…。

 

 

 一方、Dキッズで1人はぐれてしまっていたマルムはどうしていたのかと言うと…。

 

「よ〜しよ〜し…あなたってけっこう大人しい子なのね〜…」

 

プオォ…♪

 

 園内で出会ったランベオサウルスの世話をしてやっていた。存外そのランベオサウルスは大人しい性格のようで、マルムに撫でられても気持ちよさそうにするだけで暴れる様子はない。

 すると、ランベオサウルスはマルムの体の匂いをゆっくりと嗅ぐと、ポケットの1つを小突いてきたのである。

 

「どうしたの? もしかして…これが欲しいの?」

 

 マルムがそのポケットから取り出したのは、グミの袋だった。どうやらここに来る途中の車内で食べていたものの残りらしい。

 そしてランベオサウルスはそれを見て、激しく首を縦にふる。やはりお腹が空いているようだ。

 

「いいわよ。ほら、どうぞ」

 

 そう言ってマルムがグミをいくつか取り出して差し出すと、ランベオサウルスは凄まじい勢いで食らいついた。それを見たマルムも、思わず笑ってしまう。

 

「そんなにがっつかなくていいわよ。まだいっぱいあるから…」

 

『クォーン! クォーン!』

 

「あっ、ごめんねパラパラ。ほら、ちゃんとあなたの分もあるわよ…」

 

 この大混乱に陥っている園内でも彼女達の周囲には暴れている恐竜が少ないようで、その後もしばらく彼女達は安寧の時間を過ごしていたのだった…。

 

 

 その頃、オウガやリュウタにレックス、そして古代夫妻はそのマルムを探して園内を走り回っているところだった。

 

「ゼェ…ハァ…一体、マルムはどこまで行っちゃったんだ…」

 

「恐竜があちこちを歩き回ってるから、迂回せざるを得ないのももどかしいな…」

 

「くそっ…ディノホルダーさえあれば…」

 

「それにしても、すごいパレードねぇ~」

 

 必死にマルムを探すオウガ達とは対照的に、どこか気楽な様子を見せていた亜紀だったが、突然彼女の悲鳴が轟いた。

 なんと、彼らのもとへ1体のスティラコサウルスが近づいてこようとしていたのだ。

 

「怖いっ!」

 

「危ないっ!」

 

 怯える様子を見せた亜紀を守るため、古代博士がカメレオン鞭を振るおうとした…その時だった。

 

『ゴロロッ! ゴロッ! ゴロゴロゴロ…』

 

 イナズマがスティラコサウルスの前へ躍り出て、何かを喋り始めたのである。同族の出現に驚いたのか、相手のスティラコサウルスも足を止める。

 

「ナイスだぜ! イナズマ!」

 

「でも…何をしているんだろう?」

 

「同じスティラコサウルスだし、言葉が通じるのかもしれないね…」

 

 すると相手のスティラコサウルスは、何かを指し示すように嘴を腹の方へ向けた。それで何かしら事情を察したのだろうか、イナズマがその腹の下へと入っていくと、突然スティラコサウルスの体が黄色い光に包まれ、カードに戻ってしまったではないか。そしてどこからともなくやって来たアクトロイドが、そのカードを拾い上げて走り去ってしまった。

 

「あら? 恐竜は?

でも驚いたわぁ〜、本当によくできてるのねぇ。本物かと思ってついびっくりしちゃったわぁ〜」

 

「ハッハッハ…母さんは怖がりだなぁ…」

 

 そしてリュウタは駆け戻ってきたイナズマを抱きしめて労う。

 

「ありがとう、イナズマ! 母さんを守ってくれたんだろ?…あれ? お前何持ってんだ?」

 

 その時リュウタは、イナズマが咥えていたアクト団のマークのようなパッチに気がついた。実はこれこそが、アクト団が恐竜達に付けた制御装置なのである。

 

「リュウタ!」

 

「父さん! 何でかは分からないけど、イナズマがこれを持ってたんだ!」

 

「うむ。恐らくそれを外せば、恐竜をカードに戻すことができるんだ」

 

「分かった! オレ達で手分けしてやってみる!

父さんはその間に母さんを安全なところに誘導して!」

 

 リュウタの言葉に古代博士は頷くと、亜紀の手を取って近くのアトラクションへと誘導していった。

 一方でリュウタも、オウガとレックスにパッチのことを説明していた。

 

「よし、やるぞ! オウガ! レックス!

あの恐竜達の腹に付いてるこのパッチを外せば、恐竜はカードに戻るみたいなんだ!

オレ達で恐竜達をカードに戻してやろう!」

 

「おう! やるぞ! エース! アイン!」

 

『ギャウッ!』

 

『ギャッス!』

 

「了解! 俺達も頑張ろう! レクシィ! アメジスト!」

 

『グルル…』

 

『キュッキュー!』

 

 そしてオウガ達はチビ恐竜達と共に、事態の鎮圧に乗り出したのであった…。

 

 

 一方、亜紀を連れてアトラクションの中へと入っていった古代博士は、彼女をコースターのシートに座らせた。ここまでなら恐竜は入ってくる可能性は低いと考えたようである。

 

「さぁ〜、こっちこっち! ハッハー、外はうるさいから、しばらくこれに乗って落ち着いているといい」

 

「まあ、嬉しい! せっかくだし一緒に乗りましょう?」

 

「ええ…あぁ…」

 

 しかし亜紀に手を引かれ、古代博士もコースターへ乗り込むこととなってしまった。妻が相手な上結婚記念日を忘れていたという負い目もあるため、古代博士は抵抗することもできなかったのである。

 

「2人だけ、貸し切りね♪」

 

「ハハハハ…まあ、こういうのも悪くないな…」

 

 そして出発のブザーと共に、2人だけを乗せたコースターは発車していったのだった…。

 

 

 その頃、オウガはレクシィとアメジストを伴った上でリュウタ達とは分かれて、暴走する恐竜の鎮圧に乗り出していた。主に2匹が、時には彼自身の手で恐竜の腹からパッチを取り外し、次々とカードに戻していく。その度にどこからともなくアクトロイドが現れてカードを回収していくものの、それを妨害する力も余裕も今の彼らにはなかった。

 

「いいぞ! レクシィ! アメジスト! 俺もできる範囲で頑張るから、どんどんパッチを外すんだ!」

 

 そして、ようやく十数体ほどの恐竜が片付いたというところであった。オウガやレクシィ、アメジストは疲れて座り込んでしまったのである。

 

「ゼェ…ゼェ…大分片付けた気がしてたけど…まだまだ結構残ってるな…」

 

『グル…』

 

『キュウス…』

 

「レクシィとアメジストも疲れちゃってるし、無理をさせるわけにはいかないな。仕方ない。一度休憩しよう…」

 

 そしてオウガがレクシィやアメジストを伴って、どこか座れるところを探していた時だった。

 

「オウガ君! オウガくーん!」

 

 自分の名前を呼ばれたオウガがそちらを振り向くと、なんとミサが彼のもとへ走り寄ってきたのである。

 

「えっ…み、ミサさん!? どうしてここへ…って、ここは危ないですよ! 早く離れて…」

 

「大丈夫よ! 君やリュウタ君達が頑張って園内の恐竜をカードに戻してたから、わたしとリアスさんもここまで来れたの。

それと…はい! 君のディノラウザーよ。しっかりアップグレードして持ってきたんだから!」

 

 そう言うと、ミサはその手に抱えていたディノラウザーを差し出した。オウガはそれを受け取り、しげしげと眺める。

 外観にそこまでさしたる違いはなさそうだ。しかし、カードホルダーの役割を果たしていた部分に、赤いボタンと紫のボタンが1つずつ新設されていた。

 

「ミサさん、この赤と紫のボタンは?」

 

「フフフ、きっと驚くわよ。さ、押してみて」

 

 ミサに促されるままにオウガが赤いボタンを押すと、ホルダー内の技カードが扇子を広げたような形で展開されたのである。しかも、その技カードは全て炎属性の技カードであった。

 

「す、すごい…! これなら技カードも選びやすくなります!」

 

「そうでしょう? じゃあ今度は…そっちの紫の方も押してみて!」

 

 続けてオウガが紫のボタンを押すと、一瞬でホルダーが格納されたかと思うと、再び再展開された。そして予想通り、こちらは全て土属性の技カードだった。

 

「オウガ君はリュウタ君やレックス君とは違って、異なる属性の恐竜を同時に使うことが多いんでしょ? 前にオウガ君がそう話していたもの」

 

「確かに…レクシィとアメジストを同時に召喚して指示を与えることも少なくないです…」

 

「それならきっとこの機能が役に立つと思って、わたしからリアスさんに提案してみたの!

…それを形にしたのは、他でもないリアスさんだけど…」

 

「ありがとうございます! ミサさん! 

よし、レクシィ! アメジスト! ディノラウザーで成体になれば、もう少し戦えそうかな?」

 

『キュ…キュッ! キューッ!』

 

『…どうやらアメジストもやる気のようだな。

無論私も手を抜くつもりはない。オマエが私の力を欲するのであれば、いつでも応えてやる』

 

 ディノラウザーも戻ってきたということで、またレクシィの声がそこからオウガの耳へと聞こえてくる。

 

「よし! それじゃあ2匹とも、頼んだよ!」

 

 2匹からの承諾も得たところで、オウガは彼らをカードへ戻し、ディノラウザーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ!

燃え上がれ! ティラノサウルス・レックス!

揺るがせ! ステゴサウルス!」

 

ゴガアァァァァァッ!!

 

ケエェェェェ…!!

 

 赤い光と業火の中からレクシィが、紫色の光と紫結晶の欠片の中からはアメジストが成体の姿となって現れ、目の前で暴れている恐竜達を見据える。

 

「レクシィ! 君は向こうのアベリサウルスを!

アメジストはそっちのエドモントニアを頼んだよ!」

 

 レクシィとアメジストにそう指示を出しつつ、オウガはミサの方へ向き直った。

 

「ミサさんは俺から離れないで下さい。絶対にあなたに怪我はさせませんから」

 

 その言葉に、ミサは心なしか顔を赤く染めた。

 

「お、オウガ君…わたしの方がお姉さんなのに、ちょっとナマイキかもね…。

…でも、何でかしら。不思議と悪い気持ちはしない…かもね」

 

 ミサはオウガに聞こえないようにそう呟くと、更に顔を赤くして俯いたのだった…。

 

 

 その頃、恐竜をカードに戻しながら園内を駆け回っていたリュウタとガブ、イナズマ達は、ようやくマルムを発見した。

 マルムは、担当恐竜達が逃げ出してがらんどうになったメリーゴーランドに腰掛け、パラパラやランベオサウルスと戯れていたのだ。

 

「いたっ! おーいマルム! 心配したんだぞー…ってうわっ! ランベオサウルス!?」

 

 ランベオサウルスに驚いたリュウタが声を張り上げると、そのランベオサウルスもリュウタに対して敵意を滲ませる。しかし、すぐにマルムが宥めたことで、ランベオサウルスは落ち着きを取り戻したようだった。

 

「待ってリュウタ!…大丈夫よ。この人はアタシの仲間。あなたの敵じゃないわ…。

…それで、リュウタ達こそ大丈夫だったの?」

 

「あ、あぁ。オレ達は何とかな…。それより、まさかマルムはそのランベオサウルスと仲良くなったのか?」

 

「そうよ! この子、とてもお腹が空いてるみたいだったからグミをあげてみたらすっかり懐かれちゃって…パラパラとも仲良くなったのよ!」

 

『クォーン!』

 

「そうだったんだ…。あ、そうだ! 暴れてる恐竜達をカードに戻す方法が分かったんだよ! あいつらの腹に…こんなパッチが付いてるから、パラパラにお願いして取ってやってくれ!」

 

「パッチ…? もしかしてこれのこと?」

 

 そう言うとマルムは傍らに置いてあったものを手に取った。それは紛れもなく、イナズマが別のスティラコサウルスから剥がしてきたものと同じであったのだ。

 

「ランベオサウルスのお腹に付いてたみたいなんだけど、パラパラが剥がしちゃったの。でもこの子はカードに戻らなかったのよね…。どうしてなのかしら?」

 

「そうなのか…? 何でなんだろ…」

 

 何故ランベオサウルスがカードに戻らなかったのかリュウタが思案していると、そこへリアスがやって来た。彼女の手には、2つのディノホルダーが握られていた。

 

「マルム! リュウタ君! 良かった。ここにいたのね」

 

「お姉ちゃん!」

 

「リアスさん! そのディノホルダー…もしかして、アップグレードが終わったの!?」

 

「ええ。バッチリよ。さっきレックス君にもこのディノホルダーを届けて…オウガ君にはミサさんが届けに行っているから、これであなた達もガブちゃん達を成体にして戦えるはずよ!」

 

「やったぜーっ! ガブ! イナズマ! 大きくなれば、もうちょっと頑張れるよな!」

 

『ガァブ…ガブッ!』

 

『ゴロロッ! ゴーロ!』

 

「パラパラも準備は大丈夫?」

 

『クォッ! クォーン!』

 

 それぞれのパートナー達の反応を見たリュウタとマルムは早速彼らをカードに戻すと、ディノホルダーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ! 轟け! トリケラトプス! スティラコサウルス!」

 

ゴオォォォォォ!!

 

ギュオォォォォォ!!

 

「ディノスラーッシュ! 芽生えよ! パラサウロロフス!」

 

キュオォォォン!!

 

 ガブ達計3体の恐竜達が成体の姿となって降り立ち、更にそこへランベオサウルスが並び立った。

 

「ランベオサウルス! もしかして、アタシ達と一緒に戦ってくれるの?」

 

プオォォオォォオ!!

 

 マルムがそう問いかけると、ランベオサウルスは力強い嘶きで答えた。どうやらやる気十分といった様子である。

 

「よーっし! 頼んだぜ! みんなーっ!」

 

 リュウタの掛け声と共にガブ達は、こちらへ向かってくるアクロカントサウルスやアルティリヌス、スコミムスやエドモントサウルスとぶつかり合った。

 ガブは向かってきたアルティリヌスを掬い投げると、剥き出しになった腹から制御パッチを払い取ってカードに戻してやる。

 イナズマはアクロカントサウルスの噛みつきを素早い横ステップで躱すと体の側面に回って押し倒し、制御パッチを咥え取ってカードに戻していた。

 そしてパラパラは自慢のトサカを震わせて超音波を発生させ、スコミムスが後退した隙を見逃さずに押し倒して制御パッチを剥ぎ取った。

 最後にエドモントサウルスと組み合ったランベオサウルスは暫し押し合っていたものの、素早く身を引いてからその太い尻尾を薙ぎ払い…腹を見せたエドモントサウルスから制御パッチを除去した。

 4体の恐竜達が次々とカードへ戻ると、アクトロイドがそれを1枚残らず回収していった。

 それと同時に周囲に展開されていたバトルフィールドも元の風景に戻っていく。どうやらオウガやレックスのところでも恐竜を全て鎮圧することができたようである。

 

「やったぁ! これで全部か!」

 

「何だよ、もう終わりかぁい?」

 

 すると、そこへ聞き覚えのある声が響いてきた。リュウタとマルムがそちらを見ると、そこにはロトとロアの2人がいたのである。

 

「お前は…ゾイじじいの孫のロト!」

 

「あなたはロアね!」

 

「楽しそうだったから折角来てみたのに、そりゃないよ」

 

「せっかく勉強をサボって、久々におにい様と遊びに来たんだから、あなた達にも遊んでもらうわよ!」

 

 2人はそう宣戦布告とも取れる言葉を口にすると、アクトホルダーに恐竜カードを通した。

 

「いくぞ! ロア!」

 

「ええ! おにい様!」

 

「「アクトスラーッシュ!」」

 

「轟け! カスモサウルス!」

 

ゴォォォォ…!!

 

「燃え上がれ! ティラノサウルス!」

 

ガアァァァァァッ!!

 

 ロトとロアが成体化させたカスモサウルスとティラノサウルスが降り立ち、ガブ達と向かい合うと、再び周囲はバトルフィールドに変化していった。

 しかし、リュウタとマルムは目の前のカスモサウルスに、どこか違和感を感じているようだった。

 

「何かしら、あのカスモサウルス…。目が血走ってるし、すごい殺気を感じるわ…」

 

「確かに、オレも感じる。でも…何があったんだ? 少なくともアジ島で戦った時はあんなにピリピリしてなかったはずなんだけど…」

 

 彼らに話題にされている当のカスモサウルスは、荒々しく地面を踏み鳴らしながら威嚇の咆哮を響かせていたのだった…。

 

 




今回はここまでです。
それでは明日の後編をお楽しみにお待ち下さい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。