古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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 前回の恐竜キング!

 「都会の化石探し」という題目で自由研究をするため、六本木にやって来たDキッズは、ビルの解体現場からテリジノサウルスが出現するところを目の当たりにした。するとそこへやって来たソーノイダが、テリジノに帰ろうと呼びかけるも、何故かテリジノは怯えた様子を見せ、ソーノイダから遠ざかっていってしまった。
 その後三畳テレビの屋上で、Dキッズからの呼びかけもあり、ソーノイダはテリジノが自分を恐れているのだということに気づく。
 しかしテリジノは警察車両や報道陣に追われるように六本木ヒルズを上へと登り始めてしまった。それを追う最中、出現したもう1体のテリジノサウルスについて、Dキッズはオーウェンから話を聞く。なんとそちらの個体は、目が見えない代わりに鋭敏な聴覚を以て、近づくもの全てを攻撃するほど神経質な個体だったのだ。
 その後テリジノと対面したDキッズはそれぞれ恐竜を1体ずつ召喚して戦うものの、圧倒的なまでの実力差で次々に恐竜を撃破されてしまう。しかしそこでソーノイダからの呼びかけにより、テリジノは彼との絆を思い出した。そして両者は抱擁を交わしたものの、バランスを崩して落ちかけてしまった。そこをDキッズの恐竜達に助けられ、ソーノイダとテリジノは一命をとりとめる。
 そしてDキッズから促され、ソーノイダはテリジノに謝るが、それにテリジノは抱擁で返してきた。それが小さい頃からの仲直りの合図だと思い出したソーノイダは、無事にテリジノと和解することができた。
 しかし感動の再会も束の間、そこへ盲目のテリジノサウルスが乱入してくる。いくら超技を受け続けても戦意を失わないそのテリジノサウルスに、Dキッズとソーノイダは苦戦するも、テリジノの自慢の大技『切裂巨爪』によって遂に撃破に成功した。
 最終的にテリジノはソーノイダと共に帰っていったものの、Dキッズの面々は皆、晴れ晴れとした表情を浮かべていたのだった…。




第28話:UMA大集合!エメラ・ントゥカとチペクウェ、そしてカサイ・レックス!
前編


アフリカ ケニア サバンナ

 

 ここは、ケニアのサバンナに設置されている動物保護区。アフリカゾウやキリン、ライオンなどといった様々な生物が息づく、神秘の大地である。

 しかし、そんな大地に土足で踏み入り、彼らの安穏を乱す者達がいるのだ。その者達は今、車でシロサイの子供を追いかけているところだった。ある程度距離を詰めたところで仲間の男がネット弾を発射し、瞬く間に仔シロサイを捕縛してしまう。

 相手が抵抗する手段を失ったところで、彼ら…密猟者集団は包囲するように車を停め、歓声を上げたのだった…。

 

 そして、その夜。

 

「「「カンパーイ! ワーッハッハッハ!」」」

 

 戦利品である動物達の檻をいくつも並べた横に建てたテントで、彼らは酒盛りをしていた。

 

「カーッ、それにしても今回の仕事も上手くいきそうですね、ボス!」

 

「おう。角が薬になるんだか知らねぇが、奴らは金払いのいいお得意様だからな!」

 

 ボスと思われる髭面の男はそう言って高笑いをすると、サングラスの奥の眼をギラリと光らせた。

 

「だがこんなもんで満足するようなオレ達じゃあねぇ。もっとすげぇ奴らを捕まえて売り捌けば、一生遊んで暮らせるくらいの金が手に入るんだぞ!」

 

「今日何度も言ってましたけど…何なんです? そのすげぇのって?」

 

「ククク…実はこの辺りで、あの未確認生物が目撃されたって話があるんだよ。それも…2頭もだ」

 

 そう言ってボスはジョッキを退け、数枚の写真を並べる。片方には3本角のサイのような生き物、もう片方には、鼻先に1本の角を備えた肉食恐竜のような生物が写っていた。

 

「このサイみてぇな奴が、チペクウェ。ほんでこっちの、いかにも恐竜みてぇな奴が、カサイ・レックスだ」

 

「はぁ…。でもこいつらって、未確認生物…いわゆるUMAってやつですよね?

正直UMAなんてどれも眉唾ものだし、探す価値は薄いんじゃ…」

 

「オレもこの前まではそう思ってたさ。だが、この写真を提供してきたのは、先日取引をしたドバイの富豪だ。どうやら観光中にたまたまこいつらの姿を見かけたらしくてな、それでオレ達にこいつらの捕獲を依頼してきたんだよ。

もし捕まえてくれれば報酬は思いのまま、って言い添えてな」

 

「思いのままってのは、向こうも大きく出ましたね。

そうなりゃ、みすみす逃す訳にもいきませんわな」

 

「おうよ! こいつらさえ捕まえてこれれば、オレ達は一生遊んで暮らせるぜ!

…って、お前、さっきから何弄ってやがるんだ」

 

 密猟団リーダーが視線を向けた先には、構成員の1人がいたのだが、彼はあの卵型カプセルをその手で弄んでいたのである。

 

「昼間、シロサイを追い込んでた時に拾ったんスけど…何スかねぇ…?」

 

「何かの鳥の卵なんじゃねぇのか?…ん? 何だこの音は…」

 

 その時、彼らは地響きのような音に気がついた。しかもその音は、段々と大きくなってくるではないか。

 すると、轟音と共にテントが突き破られ、猛烈な勢いで成体のシロサイが突進してきた。どうやら昼間彼らが捕まえた個体の親であるらしい。

 

「「「たっ、助けてぇ〜〜っ!」」」

 

 突然のことに密猟団も驚き、銃も手に取らずに逃げ出していってしまった。その後をシロサイも追いかけようと方向転換をするか、その時あの卵型カプセルを踏み、2つに割ってしまった。

 すると中から2枚の恐竜カードが排出され、更にそこへ電池式のランタンが落ちてくる。その割れたランタンから生じたスパークがカードに当たると、そのカードは黄色い光を発しながらどんどん大きくなっていく…。

 そしてテントの中から光と共に姿を現したのは、トリケラトプスに並ぶ角竜最大級の体格を誇る恐竜・トロサウルスだった!

 シロサイから逃れるために木立の中へ逃げ込んだ密猟団は、そのトロサウルスを見て口々に呟く。

 

「何だありゃ…。サイの化け物か…?」

 

「いや、違う…。サイならあんな姿にはならねぇはずだ。それにこの写真のどれとも合致しねぇ。

となればあいつは…きっと、未確認生物のエメラ・ントゥカだ…」

 

 そう呟き、密猟団リーダーはニタリと笑みを浮かべるのであった…。

 

 

その頃 三畳市 台野小学校 校庭

 

 この日、オウガ達Dキッズが通う台野小学校の校庭では、サッカークラブの活動が行われていた。

 どうやらリュウタとレックスはこのクラブに所属しているようで、今日は練習試合をしているらしい。だが、ゴールポストにはマルムが、そしてディフェンダーにはオウガの姿があった。勿論2人はクラブに所属していない。

 

「何でアタシ達までこんなことさせられてるのよ〜?」

 

「リュウタやレックス曰く、どうしても試合に来れないメンバーがいたから、その穴埋めをしてほしいんだってさ…。

立ってるだけでいいとは言われたけど、ベンチメンバーが1人もいないなんて…こんなの絶対おかしいよ…」

 

 ブツブツと文句を垂れる2人を見かねてか、レックスが威勢よく声をかけてくる。

 

「大丈夫だよ! マルム、オウガ! シュートなんて…僕がさせないから!」

 

 そしてレックスは素早くスライディングをかけ、相手のFWからボールを奪い取った。

 

「すごいわ! レックス!」

 

「あの素早い身の熟し…まさしく『幻舞連爪(カゲロウ)』みたいだね。流石エースとアインをパートナーにしてるだけはあるよ」

 

 そしてレックスは素早くボールを上げ、こちら側のFWであるリュウタに渡した。

 

「よっしゃあ! あ〜らよっと!」

 

 そしてリュウタも相手のDFを躱しながらゴールへと迫り、そこで待機していたチームメイトにボールを渡す。そのチームメイトが再び蹴り上げたボールを、リュウタは渾身のヘディングでゴールに叩き込んだのだった。

 ホイッスルが響き、リュウタ達のチームに1点が加算される。彼の得点を祝うためにレックスが駆け寄っていくが…ゴール後の彼の姿を見て呆れたように呟く。

 

「リュウタのヘディングはガブやイナズマの突進みたいだな。でも…はりきり過ぎだろ…」

 

 レックスの目の前では、勢い余ってゴールポストの網に絡まってしまったリュウタがいたのである。実に情けない姿であった。

 そして彼らがそんなことをしている時、彼らの荷物の中ではディノホルダーやディノラウザーが恐竜出現の通知を響かせていた。しかし今は試合中である。そのため彼らは、それに気づくはずもなかったのであった…。

 

 

その頃 アクト団基地 アジ島

 

「急げっ! アクトホルダーが反応しておるぞい!」

 

 一方アジ島では、恐竜出現の通知をアクトホルダーで受け取ったソーノイダが、ウサラパ達アクト団工作員の3人を呼びつけているところだった。その手には、前回連れて帰ってきたテリジノをチビ形態にして大事そうに抱えている。

 そしてそこへ、ようやく身支度を終えたウサラパ達がやって来た。

 

「「「ヘイヘイホーッ!…ん?」」」

 

 ソーノイダのもとへ到着したウサラパ達は、目の前に反り立つものを見て思わず間抜けな声をあげる。

 そこには、巨大なミサイルがそびえ立っていたからであった。

 

「これは何ですかぁ? ドクター?」

 

「フフフ…あのガキンチョ共に先を越されないよう作っておいたミサイルぞい!」

 

「ええっ? まさかこれに乗るんじゃないんスよねぇ?」

 

「? 何を言っとるぞい。お前らが乗るものに決まってるぞい。あっという間に目的地まで運んでくれる優れものぞい!」

 

「で、でも着地に失敗したら…ミー達バラバラの粉々のグチャグチャになって、地上波に流せない姿になっちゃうザンスよね?」

 

「目的地上空でパラシュートが開く仕掛けになっておるから安心そのものぞい!」

 

「「う〜ん…」」

 

 ソーノイダからの説明は聞いたものの、エドとノラッティ〜の顔色は優れない。弾道ミサイルで任務に送られるとあっては無理もないことではあるのだが。

 そんな2人を抱え込むと、ウサラパは彼らの耳元に囁いた。

 

「よぉ〜し。エド、ノラッティ〜、頑張っておいで♡」

 

「「ウサラパ様は…?」」

 

「ウサラパッパとお出かけぞい」

 

「パッパと遠慮しておきますぅ…」

 

「いいから乗るぞいっ! トロイド!」

 

「トロイドッ! トロイドッ!」

 

 ソーノイダの掛け声と共にアクトロイド達がウサラパ達を取り囲むと、担ぎ上げてミサイルのコクピットへ放り込んでしまったのである。

 

「何すんのぉ〜!?」

 

「ドクターどうか〜!」

 

「お助けッスぅ〜!」

 

「「「うひゃあ〜〜っ!」」」

 

 そして彼らが放り込まれるのを確認したソーノイダは、手元のスイッチを威勢よく押した。

 

「発射ぁーっ!」

 

 するとロケットエンジンに点火され、ミサイルはアジ島から打ち上がり、目的地のケニア目指して一直線に飛んでいったのであった。

 それをソーノイダと、横にいたロアが見送った。

 

「いってらっしゃ〜い!」

 

「フフフ…設計通り、きちんと打ち上がったぞい!」

 

「おじい様もやればできるのね!」

 

「このくらい当ったり前ぞい!」

 

 テリジノを抱えたままそう言って胸を張るソーノイダに、ロアは質問をぶつけた。

 

「でもおじい様。ミサイルで出撃するならウサラパ達はどうやって帰ってくるの?」

 

「…ぞい? そう言えば…忘れておったぞい…」

 

「相変わらず詰めが甘いのね、おじい様って」

 

 その言葉と共にロアから呆れの視線を向けられたソーノイダは、何とか話題を変えようと頭を巡らせた。

 

「…あっ、あーっ! そうぞい!

ロア、そう言えばロトはどうしたのだぞい? 一緒ではないぞいか?」

 

「おにい様は今日もノーピスと仲良く研究室に籠もってるわ。わたしなんか眼中にもないみたい」

 

「う~む…。しかしロア、それで寂しくないぞいか?

良ければワシやテリジノちゃんと一緒に…」

 

「大丈夫よ。おにい様なんかいなくたって、わたしにもお友達はいるんだから」

 

 そう言ってロアは足早にその場を立ち去っていく。

 それをソーノイダは、何が何だかよく分からない様子で見送ったのだった…。

 

その頃 ケニア 動物保護区

 

 アジ島から打ち上げられたミサイルは、あっという間にアフリカ大陸に到達していた。そしてミサイルは一切勢いを緩めることなく地面に突き刺さり、その直後にパラシュートが開いた。出るのがあまりにも遅すぎである。

 そして地面へ力なく垂れ下がったパラシュートの中から、ウサラパ達3人が脱力した顔で這い出てきた。どうやらバラバラにも粉々にもグチャグチャにもなっていない、五体満足なようである。

 

「何だい、このパラシュートは…役立たずだねぇ…」

 

「無事だったのが不思議なくらいッスよ…」

 

「ぶっ! 無事じゃないザンスーっ!」

 

 ノラッティ〜の声に釣られてウサラパ達が前を見ると、そこにはライオン達が集まってきていた。このままではせっかくバラバラにならずに済んだ体がバラバラにされてしまう。

 そう判断した3人は一目散に駆け出したが、その後をライオン達も追いかけてくるではないか。

 

「何とかしないとお前達とは絶交だよぉ〜っ!」

 

「そりゃないッスよぉ〜っ! ウサラパ様ぁ〜っ!」

 

「とにかくスピノでもティラノでもいいから追い払わせるんだよぉ! ったくそのくらい思いつかないのかいこのオタンコナスーッ!」

 

 そのようにウサラパ達が追いかけっこをする様を、木立の中に設置したテントから見ている者達がいた。冒頭で出てきたあの密猟団である。

 

「何かデカい音がしたと思えば…あいつらも同業者でしょうか?」

 

「そんなの知るかよ。それにしても可哀想になぁ…。ありゃライオンのランチになっちまうぜ…」

 

 このサバンナで人間が丸腰で出歩くことは、文字通り死を意味する。そのため彼らは、ウサラパ達に助かる道はないと分かっていたのである。

 しかし、事態は彼らの思わぬ方向へ動いた。

 

「アクトォースラッシューッ!」

 

グァギュオォォォッ!!

 

 ノラッティ〜が逃げながらもアクトホルダーにスピノのカードを通し、スピノを成体にして召喚したのである。目の前に立ちはだかった巨大な存在に恐れをなしたのか、ライオン達も蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

 それを確認したノラッティ〜は、さっさとスピノをカードに戻して一息ついたのだった。

 

「ふう、助かったザンス…」

 

「まったくもう…今回は碌な目に遭わないよぉ…」

 

「今回「も」ッスよぉ…」

 

 こうして窮地を切り抜けたウサラパ達だったが、そこを部外者に見られていたことを彼らは知らなかった。

 しかもその部外者は、今でもDキッズとたまに連絡を取り合うトゥーイやジョン少年、そしてペットのヤモリと共にエウオプロケファルスに会いに来るフミとは全く異なる、貪欲で邪悪な人間なのである。

 

「みっ、見たこともねぇ…。あの動物は…何だぁ!?」

 

「分からねぇです。しかし、この辺のもんじゃなさそうですね…」

 

「まさか…あいつらが何か関係してるのか?

もしあんなデカい奴がいれば…エメラ・ントゥカだけじゃねぇ…チペクウェやカサイ・レックスも捕まえられるかもしれねぇ…! おい! お前ら!」

 

「「へっ、へい!」」

 

「あいつらをオレ達のキャンプまで案内してやれ!

絶対に取り逃すんじゃねぇぞ!」

 

「「へい!」」

 

 ボスの声に素直に応じ、部下の2人が駆け出していく。そんな彼らを見送りつつ、彼は小さく口にする。

 

「あのデカいのも間違いなく珍獣だ…。高く売れるぜ…」

 

 

その後 密猟団キャンプ

 

 あの後、地面にへたり込んだウサラパ達は、密猟団団員達に彼らのキャンプへと連れ込まれていた。

 

「ボス! 連れてきました!」

 

「おう、ご苦労だったな。

…いやぁ~! ようこそ! オレは国際野生生物秘密狩猟・販売促進団体のウンガロ・ウィートリーという者だ!」

 

「秘密…?」

 

「狩猟?」

 

「団体? それってつまり…」

 

「「「密猟団!?」」」

 

 それを聞き、理解した瞬間ウサラパ達は震え上がった。目の前にいるのは本物の犯罪者だということに気付いたのである。

 

「まあ早い話がそういうこった…」

 

 余裕のある態度を見せるウンガロに対し、エドとノラッティ〜は声を潜めてウサラパに話しかける。

 

「ウサラパ様、こいつら悪い奴らッスよ」

 

「気をつけた方がいいザンス…」

 

 しかしそんな彼らの内心を知ってか知らずか、ウンガロは話を続ける。

 

「まあそんな身構えるなよ。お前らも同業者なんだろ?」

 

「アタシ達も密猟団に見えるって言うのかぁい?」

 

「うーん…。ウサラパ様、おれ達が追いかけてるのは動物じゃないッスけど、そう言われてみればやってることは似てるかもしれないッスねぇ」

 

「フン。でもね、アタシ達はそんじょそこらのケチな密猟団とは訳が違うのよ。ねぇ、ノラッティ〜?」

 

「さいザンス!」

 

 さり気なくノラッティ〜がそう答えると、何故かウンガロがヒートアップしてきた。

 

「やはり! サイザンスか! そうだと思ったぜぇ!」

 

「何言ってるザンス?」

 

「実はオレ達もそのサイみたいな奴を追いかけてるのさ。それもとびきりデカくて獰猛な…エメラ・ントゥカとチペクウェってやつさ!」

 

「サイザンス…?」

 

「エメラ…うんたらに、チペ…なんとかってのは何のことなの?」

 

「おっと、そこも知らねぇクチか? それじゃあこの写真を見てみな」

 

 そう言ってウンガロが差し出した写真を、ウサラパ達は覗き込む。

 

「この左のやつがオレのお得意様から依頼として送られてきた『チペクウェ』、そして右が昨晩オレ達が撮影した『エメラ・ントゥカ』の写真だ!

どうだ? まるで恐竜みてぇな見た目だろ? グァッハッハッハ!」

 

 それを見たエドが目を輝かせ、ウサラパに耳打ちした。

 

「ウサラパ様! これトロサウルスとトリケラトプスッス! 2体も出てたんスね!」

 

「でも…アクトホルダーには1体分の反応しかないじゃないか。トリケラトプスもガキンチョが握ってるんだし、多分左の写真はでっち上げだよ」

 

「でもそれなら、トロサウルスの写真は限りなく本物の可能性が高いザンスね!」

 

「こいつらを捕まえられれば、オレ達は間違いなく一生遊んで暮らせるだけの金が手に入るって訳さ。

そこで! お前達が操っていた珍獣を使えば捕らえられると思ってな、こうしてここまで案内させてもらったって訳さ」

 

「珍獣…?」

 

「さっきライオン共を追い払った、あいつだよ…。

何も知らねぇとは言わせねぇぞ…?」

 

 そこでウサラパはハッとした顔になる。自分達が恐竜を召喚するところを見られていたと、ようやくこの時分かったのだ。そしてウンガロに素早く背を向けると、ウサラパはエドやノラッティ〜と共に秘密の相談を始めた。

 

「どうする? ここはこいつらと組んでおいた方がいいんじゃないのかい?」

 

「この辺りのことも詳しそうザンスし、その方がいいかもしれないザンス…」

 

「でも…やっぱり怪しいッスよ。もしスピノを奪われたりなんてしたら大変ッスし…やめておいた方が…」

 

「バァカ!…あそこの見張りが見えないのかい?」

 

 そう囁いてウサラパが視線で見張りの団員を指し示す。その男の肩には、自動小銃がかかっていた。

 

「どっちみちアイツ等はハナから断る選択肢なんて用意してないんだよ!

スピノだって、奪われるようなドジをするもんかい!」

 

「うう…わ、分かったッス…」

 

 ようやくエドを説得したところで、ウサラパは再びウンガロに向き直った。

 

「どうやら受ける気になってくれたみてぇだなぁ…?」

 

「いいわよ。ここは協力し合うことにしましょう?」

 

「おおーっ! それは良かった!」

 

 そして、ウサラパとウンガロは固い握手を交わす。

 

「それで、さっきの珍獣はどこへ行ったのか教えてもらおうか…?」

 

「いやぁ、何のことだか…? オホホホホ…」

 

 そんな会話をする両者の頭に浮かんでいた考えは、いかに相手を利用するかいうところだけであった…。

 

 

その頃 三畳市 台野小学校 校庭

 

 その頃Dキッズの4人は、いまだにサッカーを続けていた。今はリュウタがコーナーキックをしようとしているところらしい。

 

「いくぞーっ!」

 

 そして彼が大きく足を上げ、力を込めてボールを蹴ろうとした時だった。

 

「リュウターッ!」

 

 その場に古代博士がやって来て声をかけてきたことで、リュウタは盛大にキックを外してしまったのである。

 

「父さん…?」

 

「パパさん?」

 

「博士だわ…」

 

「どうしてここまで来たんだろう…」

 

「…やはり、気づいてなかったみたいだな」

 

 その言葉を聞き、Dキッズメンバーの全員に電流が走る。そしてオウガは、急ぎベンチへと駆けつけると、そこに置いていたディノラウザーを起動した。

 そこでは、アフリカのケニアで赤い点が1つ、オレンジの点が2つ点滅していたのだった。

 

「リュウタ! レックス! マルム! 一大事だ!

すぐにDラボに行こう!」

 

「わ、分かった! みんな悪い! オレ達、すぐ行かなきゃいけない用事ができちゃったんだー!」

 

 Dキッズはサッカークラブのメンバー達にそう告げると、それぞれ荷物を手にまずは各々の自宅へと走ったのであった…。

 

 その後、着替えを済ませた4人はDラボへとやって来ていた。早速レックスがリアスに今回の出現場所を聞く。

 

「恐竜が現れたのはどこですか?」

 

「ここは、アフリカの…ケニアね」

 

「ケニアって…動物の王国よね!」

 

「ケニアかぁ…! アフリカゾウにも会えるのかな?」

 

「きっと会えるぜ! なんせアフリカだし! 急ごう!」

 

 そしてDキッズは、さっさとテレポートしていってしまう。その横で、古代博士はずっと何か考え込んでいた。

 

「ケニアといえば、知り合いがいたような…誰だったかなぁ…?」

 

「古代博士のお知り合いというと…同じ古生物学者の方なんですか?」

 

「いや、確かその人は古生物学者ではなかったはずだ。確か…アフリカの野生動物の…」

 

「アフリカの野生動物なら、カバとかじゃないですか?」

 

「あっそうか! カバかぁ!」

 

「えぇ…」

 

 適当に答えたリアスの言葉ですっかり納得してしまった古代博士に、さすがのミサも呆れる他なかったのであった…。

 

 

 一方、ケニアにテレポートで降り立ったDキッズは、早速周囲の状況を確認していた。

 周囲は意外と緑が多く、イメージしていたアフリカの風景とは異なることに彼らは興奮を隠せないようだ。

 

「へぇ〜…ガブやイナズマが喜びそうなところだなぁ…!」

 

「本当だ。もっと乾燥してるところかと思ってたけど…」

 

「サバンナとは一言に言っても、草原ばかりじゃないからな。

さ、早く探しに行こう」

 

 レックスの声にオウガ達も頷き、歩き出そうとした時だった。

 

「そこを動かないで!」

 

 その言葉と共に、Dキッズの周囲からカーキ色の服の集団が現れ、取り囲んできたのだ。

 

「「「「えぇっ!?」」」」

 

 驚く彼らの前に、1人の若い女性が姿を現し、厳しい口調で話しかけてくる。

 

「私達は、野生動物保護団体のレンジャーです。

あなた達のような子供が、こんなところで何をしているの?」

 

「あ…あの…えーっと…」

 

「これには…こちらとしても深い事情がありまして…」

 

 リュウタとオウガが何とか弁解をしようとしていると、彼女の視線はDキッズの足元…そこにいるチビ恐竜達に向けられた。

 

「その動物達は?」

 

「あの…この子達は…犬です!」

 

「そ、そうです! それで俺のレクシィとアメジストはトカゲで…」

 

「そーそー!」

 

「犬ぅ? それにトカゲですって?

どう見てもそうは見えないわねぇ…」

 

「そうですよね…」

 

 相手はここで動物と触れ合う人間である。そんな人間相手に、チビ恐竜達を犬だのトカゲだのと誤魔化すことはできなかった。むしろ、相手からの心情を悪くしてしまったようである。

 

「誤魔化そうとしても無駄よ! 正直に言いなさい!」

 

「正直にって言われても…」

 

「何の事情も知らない人に話すわけにもいかないわよね…」

 

 とは言え、正直にこの子達は恐竜だと話したところで信じてもらえるとも思えない。そのためDキッズもどう答えるべきか考えあぐねていると、突然女性がこんなことを言い出した。

 

「そこまで秘匿したいなんて、相当な事情がありそうね。まさかあなた達、密猟団…ウンガロの手の者かしら?」

 

「密猟団!?」

 

「ち、違います! 僕達は、その…」

 

 レックスが答えようとした時、リュウタのディノホルダーに着信が入ってきた。

 

『おお、リュウタ! 恐竜は見つかったか?』

 

「父さん!…今それどころじゃないんだよ。ちょっと聞いて…」

 

 しかし、今の状況でそれが許されるはずもない。すぐさまディノホルダーは女性に取り上げられてしまったのだった。

 だが、女性がそのディノホルダーの画面を見た瞬間、素っ頓狂な声を上げた。

 

「あぁーーっ!」

 

『ん? おおっ! メアリー君じゃないか!』

 

「古代博士! お久しぶりです! 去年の世界投げ縄大会以来ですね!」

 

 突然画面の向こうの古代博士と女性…メアリーは、親密そうに会話を始めた。どうやら2人は知り合いらしい。

 

『あぁ…あの時の…君に優勝を攫われた…』

 

「博士は鞭の方が向いているようですし…。

…ん? ってことは、この子はまさか博士の…!?」

 

『う、うん。そうだ。息子だ。それで、何かあったのか? リュウタ?』

 

「父さん、聞いてくれよ! この人がオレ達のこと、密猟団の一味じゃないかって決めつけてきたんだぜ!」

 

『密猟団のぉ?』

 

「す、すみません。この子達、変わった動物を連れていたものですから…」

 

 メアリーが申し訳なさげにそう言うと、古代博士も口籠ってしまう。ガブ達の正体について伝えるべきか悩んでいるのだろう。

 

『あぁ…それは…だな…。ちょっと、2人だけで話がしたいんだが、いいかな?』

 

「え? あ、はい」

 

 ということでメアリーはDキッズを他の職員達に任せ、その場から離れていった。

 ようやく疑惑が解消されそうだということで、4人も胸をなでおろす。

 

「パパさんの知り合いだったのか…」

 

「みたいだな」

 

「良かったわ〜。何とか疑いを晴らせそうで」

 

「うん…」

 

 しかし、何故かオウガは浮かない顔である。

 

「どうしたんだよ、オウガ? 父さんに任せとけば大丈夫だって!」

 

「いや、別に古代博士を信用してない訳じゃないよ。

でも…今回はたまたま相手が博士の知り合いだったから良かったものの、もしこれからまた同じ状況になった時、頼れる人もいなかったらどうすればいいかな、って思ってさ…」

 

「そういえば、モナコでも拘束されたことがあったもんな…」

 

「言われてみれば…そうだよな…。帰ってから父さん達と話し合って、対策を変えることも必要かもな…」

 

「そうね…」

 

 一方、1人離れた場所に移動したメアリーは、古代博士から事情を聞かされていた。

 

『実は、込み入った話があって、子供達をそっちへ行かせたんだ』

 

「込み入った話? それって…あの不思議な動物達と関係することなんですか?」

 

『そうだな…。どう説明するべきか…。

メアリー君。もし君が、今から言うことを口外しないと約束してくれるなら、特別に教えたいと思うんだが…どうかな?』

 

 急に深刻な口調になった古代博士の様子を見て、メアリーも不安になってきたようであった。

 

 その後相談も終わったようで、メアリーがディノホルダーをリュウタへ差し出す。

 

「はい、返すわ」

 

「ありがとう!」

 

 そして、メアリーは困惑した様子の隊員に向かって、高らかに告げた。

 

「皆さん! ここにいる動物達は…犬とトカゲです!」

 

 先程とは全く違う展開に隊員達は更に困惑するが、メアリーが言うのであれば、と無理やり受け入れることにしたようだ。

 

「そしてこの子達も一緒に、密猟団の捕縛を手伝ってくれるそうです!」

 

 そしてそう宣言してから、メアリーは声を潜めてDキッズの4人に囁いてきた。

 

「恐竜は管轄外なんだけど、一緒に探してあげる。

最近ここだと妙な生き物を見たっていう情報が多いから、もしかしたら何か関係があるのかもしれないし…」

 

「妙な生き物…? どういう情報なんですか?」

 

 オウガがそう尋ねると、メアリーが少し眉を潜めてからまた囁いてきた。

 

「それこそ、恐竜かどうかは分からないけど…異形の生物がサバンナに現れてるって話があったのよ。

だから、それについての情報も教えておくわ。着いてきて」

 

 そしてDキッズは、メアリーに連れられてレンジャー達の車に乗り込んだのであった…。

 

 

 その頃、ウンガロ率いる密猟団のキャンプには、様々な動物達が檻に入れられた状態で並べられていた。どうやら、アクト団のスピノの協力を得て捕まえたものであるらしい。

 

「あっという間にこんなに捕まえちまうなんて、すげぇ珍獣だなぁ…」

 

「でも、アンタ達が見たっていうエメラなんとかはまだ見つかってないみたいだよぉ?」

 

「いるのは間違いねぇからそのうち向こうから顔を出してくれるさ…。

ところで…お前らが連れてるその珍獣って、まさか恐竜なんじゃねぇのかぁ?」

 

「えっ!? あぁ、あれは…ワニよ! 巨大なワニ…」

 

 と、そこへウサラパの頭の上へワニの亜成体が投げ落とされてきた。どうやら今しがたスピノが捕まえてきたものであるらしい。

 

「わっ、ワニっ!?」

 

「お助けザ〜ンスっ!」

 

 そしてワニを振り払おうと駆け出すウサラパと、ワニに噛まれたくないエドとノラッティ〜はパニックに陥り、辺りを走り回るのだった。

 

「「「オッペケペーッ!?」」」

 

 そんな彼らを呆れ半分で見送りつつ、ウンガロは椅子に腰掛け、水筒の水を口に含もうとした…が、彼はその手を止めた。

 何故なら、彼のすぐ近くに小さなトカゲのような生き物がやって来ていたからである。しかしトカゲにしては、随分と奇妙な姿で、しかもこちらを恐れていないようだった。

 

「何だコイツ…? チビにしちゃ態度がデカいな…。気に入らねぇ…」

 

 何が癪に障ったのかは分からないが、彼は懐からスタンガンを取り出すと、その先を謎のトカゲに向け…引き金を引いた。

 するとスタンガンの先端に電流が走り、トカゲは悲鳴を上げながら茂みの中へと逃げ込んでいってしまった。

 

「フン、これで自分の身の程ってのが分かっただろ」

 

 そう言い、ウンガロは鼻で笑ったのだった…。




今回はここまでです。
また今回も少し遅くなって申し訳ありません。忙しさを理由に執筆を疎かにしてはいけませんね。
それでは明後日の後編でまたお会いしましょう。
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