古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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 前回の恐竜キング!

恐竜出現の一報を受け、Dラボへと駆けつけたDキッズだったが、肝心のテレポート装置が故障してしまっていた。
しかもこんな時に限ってリアスはメキシコへ出張中であり、連絡を取るにも苦労する有り様であった。
何とか連絡を取ってテレポート装置を修理するための手段を教えてもらうことはできたものの、なんと通話先のリアスのすぐそばにアクト団のノラッティ〜が現れたのである。
復旧したテレポート装置で急ぎ現地へと赴いたDキッズは、サウロロフスがティラノと戦っているところを目の当たりにし、早速ガブとイナズマを加勢させる。
そんな中ノラッティ〜の手から離れたカードからメスのサウロロフスが現れた。そして先程までの個体と仲睦まじく交流を始めたことから、彼らは2体がつがいであると把握した。
その2体にアクト恐竜達が尚も襲いかかったものの、イナズマとガブ、そして最後の力を振り絞ったオスのサウロロフスの『あいこボーナス』によって撃退に成功する。
そして、ノラッティ〜はリアスにサウロロフスのカードを手渡し、ウサラパ達と共に退却していった。
結局リアスは特に危害を与えられなかったようで、Dキッズも一安心することができた。しかしこの日以来、リアスが1人で微笑んでいることが増え、マルムは少し心配なようであった…。




第30話:絶対防御!パウパウサウルスと2つの輝き!
前編


 ここは、南米ペルーに広がる熱帯雨林。通称ジャングルとも呼ばれる地域である。そんなジャングルの中を、いつものアクト団工作員の3人組と、秘密結社『Sin-D』のジェイソンが彷徨い歩いていた。

 どうやら地図を片手に何かを探しているらしい。

 

「一体どこなんだい? 月の神殿の入り口っていうのは…」

 

「これによると、太陽の神殿の真下って…」

 

「だぁーからー! その太陽の神殿ってのはどこなのさーっ!」

 

「ドクターがくれた遺跡の地図なんザンスけど…ものすごくアバウトでさっぱり分からないザンス…」

 

 そう言って3人が見つめる地図は、まるで子供が書いたようなものであった。

 少し離れた木陰で、すっかり温くなったコーラを口にしながらジェイソンが嫌味を言う。

 

「ったく…こんなガキの宝探しゲーム並の地図で、よくてめぇらはジャングルのど真ん中まで来る気になったもんだよなぁ…」

 

「うるさいわねぇ…。

そもそも、何でアンタまでここに来てんのよ…」

 

「飛行機から降りて準備してたらバックパックまで背負って準備万端のジェイソンが話しかけてきたもんだから、ミー達もびっくりしたザンスよ?」

 

「ケッ、おれだって好きでこんな未開拓の地へ来たわけじゃねぇよ。

とあるスジからの情報を聞いたボスの指令で、こんな場所まで宝探しに来ることになっちまったのさ…」

 

「へえー、奇遇ッスね。おれ達もソーノイダ様に言われて、月の神殿に安置されてるっていうアクトメタル製のお宝を…」

 

 そう言いかけたエドの口を、ウサラパがすさかず手で塞いだ。

 

「そこまで言わなくていいのよエド! こいつも宝探ししてるって言ってたじゃないの!」

 

「す、すみませんッス…。うっかり口が滑って…」

 

 そう言いながらしょげた様子を見せるエドだったが、ジェイソンは微笑みながらウサラパ達に話しかけてきた。

 

「なぁに、心配すんな。おれ達はそんな…アクトメタル?とかいう金属には興味はねぇんだ。

むしろおれ達が興味を持ってるのは…琥珀さ」

 

「えっ?」

 

「琥珀…ザンスか?」

 

「そうよ。それもタダの琥珀じゃねぇ。

おれ達『Sin-D』が探してるのは、このジュラシック・アンバーの1つなのさ」

 

 そう言いながら、ジェイソンはベルトのバックルに嵌めた自分のアンバーを3人に見せた。

 

「そういえばそれって、石板みたいに恐竜をカードから召喚できるものだったわね…」

 

「なるほど、そういうことなんスね」

 

「前にディノモンドを盗んだのも、その…ジュラシック・アンバーかもしれないと判断したからって訳だったザンスね…」

 

「ま、そういうこった。だからてめぇらは、安心して任務を遂行すればいいって訳よ。

またあのクソガキ共が出やがった時は、おれも加勢してやるぜ?」

 

「それならいいんだけど…」

 

「それに…聞こえるだろ? どうやら幸運の女神とやらはおれ達に味方してくれたようだぜ」

 

 ジェイソンの言葉を聞いたウサラパ達が耳をそばだてると、何やら大勢の人々の声が聞こえてきたではないか。

 そちらの方…ジャングルの木々が途切れた先を見てみると、巨大な石造りの建造物の前に、大勢の人々が集まっているところが目に入ってきたのだ。

 やがて銅鑼の音と共に、建造物の上に立つ老人が声を張り上げ始めた。服装からして、どうやら神官のような役職であるらしい。

 

「おお、太陽の神よ! 貴方様の神殿は我らが心を込めてお守りしております!

どうか、我らの村が今年も平和であるようにお導き下さい!」

 

 そしてまた銅鑼の音が響き渡る中、ウサラパ達3人は互いに顔を見合わせていた。

 

「太陽の…神…?」

 

「神殿とも言ってたザンスよ?」

 

「ってことはもしかして…あそこが太陽の神殿なんじゃないのかい!? みーっけ!」

 

 そう言うが早いか、ウサラパはどこからともなくツルハシを手にして神殿へと駆け出した。

 

「このどこかに地下への入り口があるはずだよーっ! とおりゃあぁぁぁぁっ!」

 

 そしてウサラパは素早く神殿へと駆け寄ると、その一角に思い切りツルハシを振り下ろした!

 …が、どうやら外れだったようで、ウサラパはツルハシから伝わってきた振動でビリビリしてしまった。

 そこへ助けに入ろうとしたエドとノラッティ〜も、彼女の体に触れてしまったばかりに一緒にビリビリしてしまっている。

 

「ウサラパさ…ビリビリビリ…」

 

「大丈夫ザン…ビリビリビリ…」

 

「今更な気もするが…てめぇら3人ってのは本当に間抜けなんだな…」

 

 呆れた様子のジェイソンも彼らのもとへ歩いていこうとすると、異変に気付いた神官が4人に問いかけてきた。

 

「なっ、何をする! そもそもお前達は誰だ!」

 

「そ…そんなことよりお宝だよぉおぉ…。月の神殿ってのがこの下にあるんだろぉぉ…?」

 

「つっ、月の神殿…だと…!?」

 

 ウサラパの震え声を聞いた瞬間、神官の顔が恐怖で引き攣った。しかも、何故か集まっていた現地の人々までもが恐れ慄く仕草を見せている。

 

「月の神殿は…地の底にあるという地獄への入り口だ…。そこに入って、生きて帰ってきた者は一人たりともおらぬのだぞ…!」

 

「「えーーっ!?」」

 

 神官の言葉に、今度はエドとノラッティ〜が恐れ慄き、すかさずウサラパの服に縋り付く。

 

「う、ウサラパ様〜! やっぱり帰った方がいいザンスよ〜!」

 

「怖いッスぅ〜!」

 

「何言ってんだいこのアンポンタン! つべこべ言ってないで、お前達も手を貸すんだよぉ!」

 

「「ヘイヘイホ〜…」」

 

 しかしウサラパにその訴えは聞き入れられず、エドとノラッティ〜は彼女と共にあてもなくツルハシを振り始めたのであった…。

 神をも恐れぬ振る舞いに、神官や現地人達はますます恐れ慄いた様子であったが、ジェイソンは呆れた口調で3人に話しかけた。

 

「おいてめぇら…。てめぇらの恐竜は何のために連れてきてるんだ? そいつらに軽くここの遺跡を壊させてやれば済む話じゃねぇか…」

 

「あっ、言われてみればそうだわ!

ほらノラッティ〜! うちの暴れん坊をお出し!」

 

「えっ? でも…」

 

「いいからお出しと言ったらお〜出〜し〜っ!」

 

 遺跡を破壊することに躊躇いがあったのか、ノラッティ〜は尻込みしたものの、ウサラパに恫喝される形でアクトホルダーとティラノのカードを手に取った。

 

「ティラノちゃーん! お仕事ザ〜ンス!」

 

ガアァァァァァッ!!

 

 ノラッティ〜がカードをアクトホルダーに通し、ティラノを成体化させると、周囲の動揺と緊張が更に増す。そんな空気など知ったことではないと言わんばかりにティラノは吼えると、尻尾を振るって神殿の最下段を打ちすえた。

 すると、その部分の壁が崩れ落ち、ぽっかりと穴が現れたのである。なんという偶然であろうか。

 

「やったぁ! これだわ! お前達、行くよ!」

 

「「アラホラーッ!?」」

 

 すぐさまウサラパがエドとノラッティ〜の首根っこを掴んでその穴の中へ入っていき…。

 

「クックック…こいつぁ手間が省けたぜ。

さて、本当にここにアンバーがあるのかどうか、見せてもらおうじゃねぇか…」

 

 そして彼らに続いてジェイソンもその中へと入っていく。

 一方で神官は、ティラノに追い散らされている村人達を前に愕然としていた。

 

「おお…。なんという恐れ知らず共か…。

月の神殿への道が開いてしまったとなれば…我らが神の怒りが…」

 

 そんなことを呟きながら、彼はがくりと項垂れてしまったのであった…。

 

 

その頃 三畳市 Dラボ

 

 今日も今日とてDラボへ遊びに来ていたオウガ達Dキッズは、古代博士の机に見慣れないものが置いてあることに気付いた。

 

「うわっ、何これー?」

 

「ドクロ? でも綺麗ね〜!」

 

「人間の頭蓋骨? いやでも見た感じ骨というよりクリスタルかガラスみたいだけど…」

 

「パパさん。これってもしかして…」

 

「おっ、どうやらレックスは気が付いたようだな。

これは水晶ドクロといってな、水晶で作られた人間の頭蓋骨なんだ! 約1000年前の遺跡で発見されたんだぞ!」

 

「「「「えーっ!? 1000年前ー!?」」」」

 

 オーパーツを前にして興奮を隠せないDキッズであったが、そんな彼らにリアスは静かに真実を教えた。

 

「…の複製。レプリカよ」

 

「…なーんだ、偽物か〜…」

 

「そりゃまあ、いくら古代博士でもそんな貴重なものを素手でベタベタ触れるわけありませんもんね」

 

「ハハハ…。でも、よくできてるだろう?

ネットオークションでやっとこさ手に入れることができたんだ〜…」

 

 そう言って大切そうに水晶ドクロを撫でる古代博士に、ミサが質問をぶつけた。

 

「でも博士。ちょっとわたしには理解できないことがあるんですけど…」

 

「ん? どうしたんだね。言ってみなさい」

 

「本物の水晶ドクロは、1000年前に作られたって言ってましたよね? 今の技術ならともかく、当時ではそんな精巧なもの作れるはずがないと思うんですけど…」

 

「う~む…。まさにミサ君の言う通りでな、本当にこの水晶ドクロが当時作られたものなのかどうかを疑問視している研究者は沢山いるんだよ。

それに、例え作ることができたとしても、何の目的で作ったのか…それも分からないのだ。世界にはそんな不思議な物や場所が、沢山ある…」

 

「ナスカの地上絵とか、ストーンヘンジもそういう不思議な要素を含むものですよね!」

 

「そうとも、レックス!

そして、この水晶ドクロはかなり精巧なレプリカでな、こんなところもオリジナルを完全に再現しているんだ…」

 

 そう言うと古代博士は部屋の明かりを消し、モニターの上へ水晶ドクロを置いた。すると、ドクロ全体が光を反射してまばゆく光り輝き始めたのだ。

 

「「「「うわぁぁぁ…!」」」」

 

「どうだ! すごいだろう! ハッハッハッハ!」

 

 Dキッズが目を輝かせる様を見て、古代博士も鼻高々といった様子である。リアスもそれを微笑ましげに見ていたのだが、ふと横のミサへ視線を移した時、彼女は違和感を覚えた。

 特に取り乱していたという訳ではないのだが、光り輝く水晶ドクロを呆然と見つめていたのである。

 

「ミサさん…?」

 

 リアスが試しに声をかけてみたものの、彼女からの応答はなかった。よほど水晶ドクロに見入ってしまっているようだ。

 しかし、それも長くは続かなかった。

 

『ガブッ!』

 

『ゴロロッ!』

 

 なんと、突如としてガブとイナズマがモニターによじ登ると水晶ドクロを角で突き上げ、宙に浮かせたのである。

 

「あーっ!?」

 

「何してるんだよガブ! イナズマ!」

 

 リュウタの静止も虚しく、2匹は跳ね上げた水晶ドクロをエースとアインに渡し、サッカーボールのようにパス回しを始めたのである。そして更にアメジストもそこへ加わると、尻尾の1振りでドクロをかっ飛ばしてしまった。

 

「エース! アイン! サッカーボールじゃないんだぞ!」

 

「やめるんだアメジスト! それは博士が苦労して手に入れたものなんだから、そんな雑に扱ったら…」

 

 下へ落ちたドクロを追って5匹は降りていき、そこで更に水晶ドクロを奪い合うように入り乱れる。

 そんな彼らの中から水晶ドクロが転がり落ちていった先には…パラパラとランランの姿があった。

 

『クォ〜?』

 

 片足を水晶ドクロにかけていたパラパラはしばらくそれを不思議そうに見つめていたが…やがてその足に力を入れ、あっさりと踏み砕いてしまった。

 

「えぇぇぇぇーーーーっ!?」

 

「パラパラぁ…」

 

 そして踏み潰した時の音が気に入ったのか、パラパラとランランは水晶ドクロの欠片の上で飛んだり跳ねたりしており、そこへ先程の5匹も加わって大騒ぎになったのだった。

 そんな光景を見ていたレクシィも、ディノラウザーを介して呆れ気味の口調でオウガに語りかけてくる。

 

『…まあ、奴らにあの水晶細工の価値は分かるまい。

奴らにあれを奪われた時点で、こうなることは大体目に見えていたからな』

 

「それはそうだけど…でも、古代博士もちょっと可哀想だよ…」

 

 オウガもそう言葉を返した時だった。

 4人の持つディノホルダーやディノラウザーから通知音が響き始めたのである。それと同時に、テレポート室のモニターにも南米ペルーの地図と、そこの真ん中に赤い点滅が現れた。

 冒頭でアクト団が召喚したティラノを感知したのである。

 

「ディノホルダーに反応が…?」

 

「ミサさん! 場所の特定お願いできますか?」

 

 オウガからの呼びかけで、ミサはハッとした表情になる。どうやら、ようやく我に返ったようだ。

 

「わ、分かったわ、オウガ君。今特定するから待ってて!」

 

 そしてミサは自分のコンソールに向かうと、素早い手つきでタイピングを始める…。ややあってから、ミサはオウガ達に向き直った。

 

「特定できたわ! 場所は南米ペルーのジャングルの中…だと思うんだけど…」

 

「なるほど…。そこはインカ帝国時代の遺跡がある場所ね」

 

「よーっし! ガブ! イナズマ! 戻って来い!」

 

「パラパラ! ランラン!」

 

「エース! アイン! 行くぞ!」

 

「レクシィ! アメジスト! 出動だ!」

 

 ミサとリアスからの情報を受け取ったDキッズは、すぐさま彼らのパートナー恐竜達をカードへと戻し、テレポート台へと向かい、すぐさまテレポートを起動して現地へと旅立っていった。

 

「父さん! 行ってくるぜ!」

 

「トホホ…せっかくの水晶ドクロが…」

 

 しかし、今回ばかりは古代博士に笑顔で見送れるだけの余裕はない。彼はガブ達が踏み荒らした水晶ドクロだったものをちりとりでかき集めていたのだった。

 そんな彼に、リアスがあまりに無慈悲な言葉を投げかけてくる。

 

「偽物で良かったですね。もし本物を壊していたら、博士もどうなっていたか…」

 

「うん…って! 偽物って言うなーっ! うっうっう…」

 

 そして古代博士は、水晶ドクロの残骸を前に男泣きをするのであった…。

 

 

ペルー 古代遺跡前

 

 テレポートも完了し、古代遺跡の前に辿り着いたDキッズの4人は、何やら物々しい雰囲気を感じ取ったようだ。見ると、遺跡にぽっかりと空いた穴の前に人だかりがあるではないか。

 

「何やってんだ? あの人達…」

 

「さぁ…? とにかく、話を聞いてみましょ」

 

「そうだな! すみませーん!」

 

 すかさずリュウタが呼びかけると、その中の1人…神官のような服装の老人が腰を上げて応対した。

 

「…む? 異国の子供がこの村に何の用じゃ?」

 

「オレ達、恐竜を探しに来たんだ!」

 

「…恐竜…?」

 

「どんな些細なことでもいいんです。何か知っていることがあったら、どうか俺達に教えてくれませんか?」

 

「恐竜ではないっ! あれは神の怒りそのものじゃ!」

 

 突如老人の口から出てきたスピリチュアルな言葉に、思わずDキッズは唖然としてしまった。

 

「神の怒り…?」

 

「どういう意味なんだろう…」

 

「お前さん達も神の怒りを買い、この村に災いをもたらそうというのであれば…帰ってくれ!」

 

 そう言い残し、村人達と共に歩き去ろうとする老人を、リュウタは引き止めようと声をかけた。まだ漠然としたことしか聞けていないのだから、当然とも言える。

 

「待ってよお爺さん! ってことは誰か恐竜…じゃない、神様を怒らせた奴がいたの?」

 

「あぁ。ふざけた4人組がな。

太っちょとのっぽの男が1人ずつに、緑髪の女、それと…底意地の悪そうな軍服の男がな」

 

「またあのオバさん達だわ!」

 

 

その頃 月の神殿への通路

 

「なぁにぃーっ!? オバさぁーん!?」

 

「またいつもの幻聴か? 苦労してんなぁ、てめぇらも…」

 

「ハハハ…それは…否定できないッス」

 

「ウサラパ様ぁ〜、そんな幻聴に踊らされてる場合じゃないザンス!」

 

 マルムのオバさん発言を聞きつけ、またしても暴れるウサラパ。そんな彼女を何とか引きずりながら、エドとノラッティ〜、そしてジェイソンは神殿へと続く道を探して進んでいっているところであった。

 

「それにしても…こう入り組んでちゃあ、どこが神殿に通じているのか分かりゃしないよ…」

 

「急に冷静になりやがったな…」

 

 さっきまでオバさん呼びに発狂していたというのに突然冷静さを取り戻したウサラパにジェイソンが内心呆れていると、ノラッティ〜が素っ頓狂な声を上げながら部屋に立てられた岩に縋り付いていく。

 実はこの岩、先程からここと似たような場所にずっと安置されていたものだったのである。

 つまり、進んでいるかと思われた彼らは、ぐるっと回って何度も同じところへ戻ってきてしまっていたのだ。

 

「あーっ! またこの岩! ずーっと同じところをグルグル回ってるザンス…」

 

「ヒントみてぇなのも無かったしな…。

やはりあそこにいた連中の1人をとっ捕まえて、道案内でもさせるべきだったか…」

 

「はぁ〜…。もう限界、一歩も動けないッス…」

 

 そんな弱音を吐きながら地面にへたり込んだエドを、ウサラパが叱責する。

 

「おバカ! 月の神殿にあるっていうアクトメタル製のお宝を見つけ出すまで帰って来るなっていうのがドクターの命令だよ?」

 

「でもあの長老みたいなじいさんは、ここが地獄の入り口だって言ってたザンスよ?

月の神殿だとは言ってなかったザンス」

 

 何とか理屈をこねくり回して帰る口実を見つけようとするエドとノラッティ〜に、ウサラパは苛立ちを抑え切れず、ヒステリーを起こしてしまった。

 

「あーーっもう! つべこべ言ってないでさっさと神殿への入り口を…探せーっ!」

 

「「うわーっ!?」」

 

 そしてウサラパは2人に飛び蹴りを浴びせようとした…のだが、すんでのところで2人が避け、蹴りは彼らの背後にあった柱の一部を砕いてしまった。

 これにはジェイソンも驚愕の表情を隠せないようだ。

 

「マジかよこいつ…。生身で石の柱に穴を空けやがった…」

 

「いいかい? つべこべ言う奴はこうなるんだよ…」

 

 ウサラパがそのように2人に凄んでみせた…が、2人はウサラパなど眼中にない様子で穴の空いた柱へと殺到していくではないか。

 

「おい! 聞いてんのかい…」

 

「ウサラパ様! これを!」

 

 もう一度2人に怒声を浴びせようとしたウサラパの前に、ノラッティ〜が何かを差し出した。よく見ると、それは恐竜カードが詰められている卵型カプセルだったのである。

 

「ん?…あっ! カードじゃないか!」

 

「何っ!? 今の流れでカードを手に入れたってのか!?」

 

 これにはジェイソンも驚き、ウサラパ達と一緒になってカードを覗き込む。どうやら技カードのようで、イラストにはティラノサウルスを守るように立ちはだかる小型の鎧竜の姿が描かれていた。

 

「しかもこれは相当強力な技カードだよ?」

 

「す、スゴいッス! ウサラパ様!」

 

「なんて運がいいザンしょ!」

 

「ふ〜ん…技カードだけとはな…。

だが…本当に強い技カードなのかぁ? 『パウパウパワー』って技名らしいが、何とも間抜けな響きだぜ…。

加えてこの鎧竜…何がそんなに強い恐竜なんだぁ?」

 

「あ〜ら、ジェイソン・ホスキンスともあろう人がパウパウサウルスを見た目で判断するのぉ?

この子ったらナリは小さいけど、かなり頼りになるのよ?」

 

「ケッ、そこまで言うんなら精々弾除けにでもなってくれるように、神に祈っておくさ」

 

 そう言い捨て、ジェイソンはそっぽを向いてしまったのだった…。

 

 

 戻って遺跡の外では、Dキッズの4人が村人達からウサラパ達の動向について聞いているところだった。

 

「じゃあ、あの4人組がこの中に?」

 

「はい。何かを探しているようで…お宝がどうとか」

 

「お宝ぁ?」

 

「それを奪って、何か悪いことに使うつもりなんじゃないかしら…?」

 

「可能性はあるな…」

 

「教えて下さい。この太陽の神殿と月の神殿に、何かそういった宝物が安置されているんですか?」

 

「そんなことを聞いてどうするのだ?」

 

 オウガの質問に、長老の老人は冷たく答えた。

 

「月の神殿には月の神が眠っておられるのだ。もしあの者達が月の神の眠りを妨げるようなことがあれば、恐ろしいことに…」

 

 長老がそう呟き、周りの村人達も物憂げな顔で項垂れる。そんな様子を見たDキッズは互いに見合わせて頷くと、リュウタが彼らに向かって高らかに宣言した。

 

「よーしっ! オレ達があいつらを止めてみせる!

絶対に月の神?の眠りは妨げさせないぜ!」

 

 リュウタの言葉に、村人達の中から小さなどよめきが起きる。しかし、長老を含む大勢の表情は固いままだった。

 

「お前達のような異国の子供に頼らずとも、我々には我々のやり方がある!

神の怒りを鎮めるためには、生贄を捧げひたすらに祈るより方法はないと伝わっているのだ」

 

「「「「生贄ーッ!?」」」」

 

「そのための人形だったの!?」

 

「そうじゃ。伝承に従うのであれば本来は生身の人間なのじゃが…流石にそんなことはもう誰も望まないからな…」

 

「だったら、オレがその生贄になるよ!」

 

「「「えっ!?」」」

 

「なんじゃと…」

 

 今度はオウガ達が驚く番だった。そして彼らだけでなく、村人達…特に長老も驚愕しているようだ。

 

「正気なのリュウタ! まさか生贄って何のことか分かってないんじゃないでしょうね!?」

 

「そんなの知らないわけないだろ? 大丈夫だよ。オレにも考えがあるからさ…」

 

 そう言い、リュウタはオウガ達にウィンクを返したのであった…。

 

 

その後 月の神殿へと続く通路

 

 暗い通路の中を、村人達とDキッズの一行がまっすぐに進んでいた。先頭には松明を持った長老と白い民族衣装を着せられたリュウタが歩いており、その後ろを村人達が、そして最後尾にオウガ達3人がついて歩く形であった。

 

「リュウタのやつ、何も生贄の身代わりなんて…」

 

「でも、お陰でこうして神殿まで行けそうじゃない?」

 

「長老さんも危害を加えるつもりはない、って言ってくれてたし、俺達は見守っていようよ」

 

『ガブ! ガブ!』

 

『ゴロロロロ!』

 

 そんな会話をしている内に、一行は生贄の祭壇へと辿り着いたようだ。まずは長老が、儀式の手順をリュウタに説明する。

 

「それでは生贄役の者はこの祭壇で横になるのだ。

我々が祈りを捧げている間、決して動いてはならんぞ。よいな?」

 

「はっ、はい! でも、いつまで横になってればいいの?」

 

「あの神の怒りの化身たる赤い魔獣が姿を消すまでだ。神の怒りが鎮まれば魔獣も消える。だから、それまではいかなる理由があろうとここから動くことは許されんのだ」

 

「わ、分かった…」

 

 そしてリュウタが祭壇に横になると、長老の掛け声と共に村人達は祈りを捧げ始めた。

 

「おお、月の神よ! ここに貴方様への生贄をご用意致しました。どうかその怒りをお鎮め下され…」

 

 オウガ達3人も見様見真似で祈りを捧げるものの、情報収集も欠かさない。彼らはすぐ隣にいた村人に話しかけ始めたのだ。

 

「ちょっとすみません。この生贄の祭壇は、月の神殿のどこにあるんですか?」

 

「いや、月の神殿はここより更に奥だよ。でも、我々がここから先へ進むことは禁じられているんだ…」

 

「…となると、ここから先はどうするべきかな…」

 

「何とか隙を見つけて、奥へ進むしかないだろうけど…来た道しか行けるところがないのよね…」

 

 オウガ達3人が声を潜めながらそんなことを話している時だった。どこからか地響きが聞こえてきたのである。しかもその地響きは、次第に大きくなっていくではないか。

 

「何だ? この地響き…?」

 

「…! まさか!」

 

 やがて、暗闇の中から地響きと共にゆっくりと現れたのは、アクト団のティラノだった。そのティラノに追い散らされ、村人達とリュウタは次々に逃げていくものの、祭壇にいた長老だけが取り残されてしまった。

 

「うわぁぁぁ…」

 

 しかし長老は腰が抜けてしまったようで、その場から立ち上がれなくなってしまった。そんな彼を嘲るかのようにティラノは至近距離で吼えると、大口を開けて迫っていく…。

 

『ガァブッ!』

 

 だが、あわや一飲みにされてしまいそうになった時、ガブが飛び出してティラノの鼻先に噛みついたのだ。それに驚いたティラノは思わず後退し、長老は食べられずに済んだようだ。

 

「長老! 今のうちに…」

 

 更に引き返してきた村人が長老に肩を貸し、その場から離脱させることにも成功した。

 その間にもティラノは鼻先に噛みついたガブを何とか振り落とそうと頭を振るっており、ようやく振るい落とすことができたようだ。

 しかしガブも初めてティラノと相対した時とは違い、経験も相当積んでいる。そのため振り落とされはしたものの、今回はうまく着地することができたようで、そこへ駆けつけてきたDキッズとイナズマ相手にも、健在であることのアピールまでしていた。

 だが、依然として危機が去ったわけではない。彼らの目の前には、まだティラノが立ちはだかっているのだ。

 

「オーッホッホッホッ…」

 

 と、そこで聞き覚えのある高笑いが聞こえてきた。Dキッズが咄嗟にその声の方へ目を向けると、そこにはいつものアクト団工作員の3人組と、『Sin-D』のジェイソンがいたのである。

 

「どうだいガキンチョ? 泣く子も黙るアクト団の手にかかれば、神様の怒りだって思いのままさ!」

 

「出たなアクト団!」

 

「ククク…おれ様も忘れてもらっちゃあ困るぜ?

せっかくこんなジャングルのど真ん中まで来たんだからよぉ?」

 

「ジェイソン…! またこの組み合わせか…!」

 

「あんた達! 月の神殿へ何を奪いに来たのよ!」

 

「村の人達に聞いたぞ! お前達、お宝を探してるんだってな!」

 

「あ〜らよく知ってるザンスね、アクトメタルのことまで」

 

「…アクトメタル?」

 

 何のことか分からず、リュウタが素っ頓狂な声を上げる。またしても彼らは口を滑らせたことに気がついてないようだ。

 

「あぁ! ソーノイダ様が見つけて命名した超希少金属で、おれ達のマシンのコーティングに必要不可欠なんスよ! 何でもそれはここ月の神殿の…」

 

「おい、クソガキ共にそこまで話して大丈夫なのかよ?」

 

 呆れた表情でジェイソンがそう呟くと、ようやく事の重大さに気付いたウサラパが2人を殴り倒した。

 

「余計なことまで言わなくていいんだよ…!

さぁ〜て、ティラノ! ガキンチョ共をコテンパンにしておしまい!」

 

 ウサラパの声に応じ、ティラノは再び咆哮を上げてDキッズへと突っ込んでいく!

 だが4人はバラバラに散開してその突進を切り抜け、更にレックスは儀式前にリュウタから預かっていたディノホルダーを投げ渡した。

 

「リュウタ! これを!」

 

「おう! サンキュー! 今回はお前から行くぞ! ガブ!」

 

 そしてリュウタはまずガブをカードへ戻し、ディノホルダーにスキャンした。

 

「ディノスラーッシュ! 轟け! トリケラトプス!」

 

ゴオォォォォォ!!

 

 成体の姿になったガブが降り立ち、ティラノを見据えると、周囲の風景もいつも通りのバトルフィールドへと変化していく。

 まず先手を仕掛けたのはガブだった。ガブが角を掲げて突進…するかと思いきや、ティラノの足に噛みついたのである。鋭い嘴で噛まれ、ティラノも苦悶の声を上げたものの、そのガブの顔をもう片足で蹴りつけ、無理やり引き剥がしてしまった。

 

「ガブ! 負けるな!」

 

 そしてそこを好機と見たティラノがガブに食らいつこうと向かっていくものの、ガブもこの程度ではへこたれない。すかさず体を起こすと、ティラノの体の下に角を差し入れ、思い切り掬い投げたのである。

 

「「やった!」」

 

「まるでカブトムシみたいな技ありな一撃だね!」

 

「さぁ! 行くぞガブ!」

 

 早々に決着を決めることにしたのか、リュウタはディノホルダーのボタンを押し、技カードを射出した。そしてそのカードをディノホルダーにスキャンしたのである。

 

「これでトドメだ! 『激力雷電(ギガライディーン)』!」

 

 するとガブの体を黄色い光と電撃が包み込み、その電撃がガブの両角の間に収束していく…。

 明らかにいつも通り負け確定の場面であったのだが、何故かウサラパ達は余裕な態度を崩していなかった。

 

「そ〜んな攻撃、この子の前では効かないのさ!」

 

「本当に役に立つんだろうな…?」

 

「まあ見てなさい! アンタのすごい恐竜達の力なんて借りなくても大丈夫だからさっ! アクトスラーッシュ!」

 

 そしてガブが『激力雷電(ギガライディーン)』を放つのとほぼ同時に、ウサラパは先程拾った技カードをアクトホルダーに通した。

 すると、アクトホルダーから飛び出した赤い光がティラノの前に立ちはだかり、そこから出てきた小型の鎧竜が電撃を代わりに受け切ったのである。

 

「あれは…!?」

 

「頭部の形状や大きさを見るに…あれはパウパウサウルスで間違いないと思う!」

 

「でも…どういうことなんだ? あいつ、ガブの『激力雷電(ギガライディーン)』を食らったのにピンピンしてるぞ!」

 

 困惑するDキッズ(ついでにジェイソンも)のためなのか、ウサラパが得意げな様子で口を開く。

 

「教えておあげ! ノラッティ〜!」

 

「説明しよう! ザンス!

この技の名前は『パウパウパワー』! 敵の攻撃を代わりに受けてくれる身代わり恐竜・パウパウサウルスを召喚するザンス!

しかも相当なタフネスザンスから、簡単にはくたばらないザンスよ〜!」

 

「身代わり恐竜!?」

 

「マジで弾除けだったのかよ…」

 

 ウサラパ達とパウパウサウルスを見比べながら、ジェイソンがいつもより随分と間抜けな表情でそう口にする。きっと今の顔をイシドーラが見ていれば、末代まで笑いの種にされていたことだろう。

 しかし、これによりガブは一気に旗色が悪くなってしまった。これからどんな攻撃をしても、簡単にはティラノに届かないということが確定したからである。

 それでもガブは、再び角を掲げてから今度はパウパウサウルスに突進を仕掛けようとする…が、いつの間にか前へと回り込んだティラノに蹴り飛ばされてしまった。

 

「あぁっ! ガブ!」

 

 リュウタの心配そうな声に反応し、再びガブが起き上がる。そしてティラノへ突進しようとしたのだが、またしてもその前にパウパウサウルスが割り込んできたのであった。

 

「くそっ! またかよ!」

 

「アハハのハーッ! お前達がいくらティラノを攻撃しても、全部パウパウサウルスが身代わりになってくれるのさ!」

 

「それなら…俺も加勢する! いけるか? レクシィ!」

 

『…無論だ。何より、我が身可愛さに恐竜を身代わりに立てるなど…今度ばかりは許すわけにはいかん!』

 

 レクシィからの了承を得たオウガは彼女をカードへ戻し、ディノラウザーにスキャンした。

 

「頼んだよ! レクシィ! ガブを助けるんだ!

ディノスラーッシュ! 燃え上がれ! ティラノサウルス・レックス!」

 

ゴガアァァァァッ!!

 

 今度はレクシィが成体化して降り立ち、目の前のティラノとパウパウサウルスを力強い視線で見据えた。

 そして、すぐさまオウガは技カードをディノラウザーにスキャンする。

 

「これならティラノも逃げられないはずだ! 『灼熱大車輪(フライトブレイズスピン)』!」

 

 するとレクシィの体が赤い光と業火に包まれ、その業火が彼女の口へ宿っていく。そしてレクシィがその炎をティラノに向かって吐き出すと、案の定パウパウサウルスがそのガードに入った。

 

「またパウパウサウルスが…!」

 

「ダメだ…。あれじゃ技が通じない…」

 

 諦めた様子でレックスとマルムがそう口にするものの、オウガとレクシィはまだ諦めていない。むしろ、ここからなのだ。

 

『…許せ、小さき鎧竜よ』

 

 すると炎を浴びて燃え上がったパウパウサウルスにレクシィは食らいついたかと思うと、自身を中心としてグルグルと回って勢いをつけ…それをティラノへと投げつけたのだ。これにはティラノも反応しきれず、パウパウサウルス諸共壁に叩きつけられてしまったのである。

 

「あらま…」

 

「守るどころか飛び道具にされちゃったザンス…」

 

「格ゲーでも相手がガン守りの時は掴みが鉄則ッスからねぇ…」

 

「やっぱり頼りにならなかったな…。あれじゃ相手に武器を与えたようなもんだぜ…」

 

 その後もレクシィとガブの共同戦線により、パウパウサウルスのガードは完全に無力化してしまった。いくら鉄壁の防御を誇るパウパウサウルスであっても、2体の恐竜を同時に相手取るということは物理的に難しかったのだ。

 ガブの攻撃を止めてもレクシィが、レクシィの攻撃を止めてもガブがティラノへと攻撃を加え、保護対象のティラノは着実に弱っていったのである。

 やがてレクシィはパウパウサウルスのガードをすり抜け、ティラノの首根っこを捕まえた。

 

『私と同じ種族でありながら、このような小さな鎧竜を盾に生き長らえようなど…恥を知れ!』

 

 その言葉と共にレクシィはティラノの体を投げ飛ばした。ティラノの体は落下地点にあった生贄の祭壇を粉々にし、それを取り巻いていた岩の1つに当たってようやく止まった。しかしもう体力が残っていないようで、グッタリとしたままである。

 

「あぁっ! ティラノちゃ〜ん!」

 

「今だリュウタ! 今度こそアクト団のティラノにトドメを!」

 

「ありがとな! オウガにレクシィ!

ガブ! 今度こそ決めるぜーっ! 『来電(エレクトリック)』…」

 

 リュウタがその言葉と共に技カードをディノホルダーにスキャンしようとした…その時であった。

 突如として部屋全体が揺れ始めたのである。見ると、先程ティラノが頭をぶつけた岩が、次々と地面へ沈み込んでいくではないか。

 そして岩が全て地面へ沈み込んだところで、アクト団とジェイソンの背後にあった壁が2つに割れていく…。

 

「なっ、何だい!?」

 

「あ…あれは…!」

 

 壁が開いて現れたのは、新しい通路…月の神殿への入り口だったのである。

 

「まあ…! こんなところにあったよ! 月の神殿への入り口が!」

 

「まさか岩が鍵になっていたとはな…。いくら探しても見つからない訳だぜ…」

 

「アクトメタルはきっとこの中ッスね!」

 

「で…でも…中は地獄だって…」

 

「つべこべ言わずに行くんだよーっ!」

 

 そしてウサラパはエドとノラッティ〜を通路の先へ蹴り入れると、すかさずアクトホルダーを操作してティラノとパウパウサウルスをカードに戻した。

 

「じゃあね〜、ガキンチョ共〜! やられる前に引っ込めたんだから、これは逃げじゃなくて戦略的撤退だよ〜!」

 

「ケガしたくなきゃ、そこで大人しくしておくんだな!」

 

 そのままウサラパはジェイソンと共に通路の先に広がる暗闇の中へと消えていってしまった。

 

「あっ! 待てーっ!」

 

「皆! すぐに追いかけよう!」

 

 オウガの言葉にリュウタ達も頷き、神殿へと通じる通路へ駆け出そうとした…その時だった。

 

「おお…! 月の神殿の扉が開くとは…もうワシらの村はおしまいだ…!」

 

 村人に付き添われながら、長老が様子を見に来たのである。そんな彼に、Dキッズは口々に質問した。

 

「お爺さん! 一体月の神殿には何があるの!?」

 

「あいつら…アクト団や『Sin-D』が狙う宝物っていうのは、どんなものがあるんですか!?」

 

「あいつらの悪事を止めるためにも…どうか教えて下さい!」

 

「頼むよお爺さん! オレ達が何とかしてくるから!」

 

 Dキッズの4人からそう言われた長老は、ついに口を開いた。

 

「…分かった。お前達を信じ、この神殿に祀られている2つの秘宝について教えよう…」

 

「長老!」

 

「よいのだ。それより今は何よりも、あの悪漢共の野望を阻止しなければならん。そうではないか?」

 

 長老の言葉を聞いた村人が大人しく引き下がったところで、長老はDキッズに向き直った。

 

「まず1つ目の秘宝は…月の神への捧げ物として、我々のご先祖様が作り上げたという水晶のドクロじゃ。

そのドクロの中は、この世のものとは思えぬ輝きの金属で満たされていると言い伝えられておる…」

 

「その金属が、アクトメタルとかいうものなのかしら…」

 

「僕もそう思う。それにしても…ここにも水晶のドクロがあったんだね…」

 

「そしてもう1つ…それは『太陽の瞳』じゃ」

 

「太陽の…瞳?」

 

「さよう。かつて太陽の神と月の神が邪悪なるものを討ち滅ぼした際、片目を失った月の神に太陽の神が自身の第三の目をくり抜き、分け与えたという伝説がある。『太陽の瞳』はその目であるとされ、古くから奉られてきたのだ。

とは言え、数世紀も前からその存在は確認できなくなっておるのだが…」

 

「それは…どんな見た目なんですか?」

 

「伝承によると…それはまるで太陽の如く橙色に光り輝く宝石で…その外側には鰐の頭を持つ魔獣を模した刻印がほどこされているのだということじゃ…」

 

「橙色の宝石で…」

 

「生物の刻印…?」

 

「まさかそれって…ジュラシック・アンバーなのかな…?」

 

 長老の言葉を聞いたDキッズ達は、思わず互いの顔を見合わせたのであった…。

 

 




今回はここまでです。
また続きが遅くなってしまって申し訳ありません。今週はどうしても忙しく、執筆に時間がかかってしまいました。
また、前回の投稿で3回目の誤字報告をいただきました。自分はJP・JW恐竜の情報はFANDOMを参考にさせていただいていたのですが、どうやらそちらでのコンピーの種小名が間違っていたようで…複数のサイトで情報を確認しなかった自分の落ち度です。
これからも誤字報告は積極的に対応してまいりますので、明らかな誤字や違和感のある表現がありましたら、遠慮なく誤字報告をしていただけるとありがたいです。
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