古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

8 / 94
オーウェンの助言もあり、ステゴサウルスと仲良くなることができたオウガ。
だがそこへジェイソンとイシドーラの2人組が現れる。
彼らの狙いとは一体何なのか…。


後編

「まずは名乗らせていただこう。

おれの名はジェイソン・ホスキンス。

世界(ワールド)】に選ばれた男だ!」

 

 恰幅のよい男…ジェイソンがそう名乗り、腰のベルトを見せつける。そのバックルにはオウガのものとよく似たジュラシック・アンバーが嵌っていた。

 

「…私はイシドーラ・ミルズ。

陥落(フォールン)】のジュラシック・アンバーを持つ者だ」

 

 痩せ型の男…イシドーラはそう名乗りながらさり気なくカフスピンを弄る。そこには、同じくジュラシック・アンバーが嵌っていた。

 

「さて…挨拶はこのくらいにして早速本題に移らせてもらおう。

単刀直入に言う。…おれ達と手を組まないか?」

 

「…何が狙いなんです?」

 

「おいおい、そんなに警戒するこたぁないだろ?

別に取って食ったりするつもりはないんだからよ…」

 

 ジェイソンとかいう男はあくまでフレンドリーな雰囲気を崩していないが、オウガは何か異質な気配を感じ取っていた。

 この男には裏がある…。

 何故そう考えたのかと言えば、すぐ側のステゴサウルスたち…特に紫色の個体が彼らへ明確な敵意を向けているからだった。

 背中の板を怒らせ、尾を小刻みに振り回していつでもサゴマイザーで攻撃できるような体勢を取っている。

 先ほどまであんなにリラックスしていたステゴサウルスがここまで警戒心を露わにしていることからも、この男達が何かを隠していることは明白だ。

 

「おれ達は同じようにジュラシック・アンバーに選ばれた存在…つまりは同志なんだよ。

そして、今世界では色んなところで恐竜が関わる異変が起きてるんだ。お前もここ数日でそれは実感してるはずだ。そうだろ?」

 

 …確かにその通りではある。

 

「おれ達はその原因が、アクト団とかいう連中にあると考えてる。

奴らが1番最初に恐竜を使い始めていたことは既に確認が取れているんだよ。

つまり奴らは恐竜をばら撒き、世界中を混乱に陥れようとしているテロリストなのさ」

 

「おい、お前ら急に何を…」

 

「てめぇには聞いてねぇ! 黙ってろ!」

 

 オーウェンが口を挟もうとすると、ジェイソンは怒声を張り上げた。

 

「…おいホスキンス。あまり相手を威嚇するな」

 

「…おおっとすまねぇ。だが今はそこのガ…坊っちゃんと話をしてんのさ。兄ちゃんは引っ込んでな。

それで…どこまで話したっけな…。

そうだ! おれ達が手を組めば、アクト団に対抗するには十分なはずだろ? 悪い話じゃあないはずだ。どうする?」

 

 オーウェンが心配そうにオウガを見つめる。

 オウガはしばらく考えこむ…ふりをしていた。

 その間に、ディノラウザーの中の【伝説(レジェンド)】に話しかけていたのだ。

 

(…【伝説(レジェンド)】さん。悪しき人間がジュラシック・アンバーを持つことは可能なんですか?)

 

『…可能じゃ。ジュラシック・アンバーが契約者として選ぶのは「強い意志を持つ者」。その意志が良いものか悪しきものかどちらでもないものかの違いはない。

だが…わしの目から言わせてもらうのであれば、彼らは間違いなく悪人じゃ。それも、自分たち以外はどうなろうが構わないという邪悪さを感じるわい』

 

(…そうですか。ありがとうございます。参考になりました)

 

 そこで【伝説(レジェンド)】との会話を終え、オウガは口を開く。

 

「申し訳ないですが、あなた達とは協力できません」

 

 きっぱりと拒絶の意志を伝えた。しかしその声が震えていたかどうかまでを実感できるほど、オウガに余裕はなさそうだ。

 

「…ほう? そいつぁ残念だ…。

なら、そう考えるに至った理由を聞かせてもらおうか」

 

「まず1つ。あなた達は何かを隠している。お隣の方が先ほどから落ち着きなさげにカフスピンを弄り続けているのは、ただの手癖ではなさそうなんですよね」

 

 ジェイソンがギロリとイシドーラを睨む。彼は何処吹く風といった感じで目線を逸らしつつ、両手を上着のポケットに突っ込んだ。

 

「そして…このステゴサウルス達があなた達に並々ならぬ警戒心を見せているからです。

俺は置いておくとしても、オーウェンさんもそこまで意に介していなかった彼らが何故かあなた達に対しては敵対心を露わにしている…。

恐竜は、あなた達が思っているより正直なんですよ。

…さぁ、協力関係を築きたいのなら教えて下さい。

あなた達の狙いは何なんですか!」

 

 オウガがそう問いかけると、ジェイソンは一旦顔を伏せた後、低く笑い始める。

 そして顔を上げた時、彼の顔には醜悪な微笑みが浮かんでいた。

 

「まったく、ガキの癖にカンがいいやつだ…。可愛げがねぇなぁ。

素直におれ達の言う事に従ってりゃあ、アンバーを置いていくという条件付きで命は助けてやったのによ」

 

「元々見逃すつもりはなかっただろうに…。だが、ここまで来たからにはやるんだろう?」

 

「とんでもねぇ。むしろこの時を待ってたんだ。

早速、『実力行使』といこうじゃねぇか…」

 

 そう呟くと、ジェイソンは恐竜カードを取り出した。

 横のイシドーラも同じようにカードを構える。

 

「仕事だ! インドミナス・レックス!」

 

ギュアァァァァア!!

 

「お前も行ってきなさい。インドラプトル」 

 

グルァァァァッ!!

 

 ジェイソンとイシドーラがそれぞれのジュラシック・アンバーにカードを押し当てると、虹色の光が彼らの周囲を渦巻いた。

 そして光の中から出てきたのは、白い大型肉食恐竜と、黒い中型肉食恐竜だった。

 だが、その姿はオウガがこれまで一度も目にしたことがないものだ。そもそも恐竜を召喚した時に聞いた名前も、全く聞き覚えがない…。

 

 混乱した様子のオウガの横に、オーウェンが並び立つ。

 

「ここまで来たんだ。オレも君と一緒に戦わせてもらおう」

 

「で、でもオーウェンさん。相手は恐竜です。あなただけじゃあまりにも危険ですよ!」

 

 オウガがそう訴えるも、オーウェンはニヤリと笑い、首元のロケットを開けた。

 中には…ジュラシック・アンバーが収まっていた。

 

「安心しろ! オレも君と同じように戦う力は持っている!

さぁ、いくぞ! ブルー!」

 

キシャーッ!!

 

 アンバーにカードを押し当て、オーウェンも恐竜を召喚する。

 凄まじい風に包まれ、甲高い鳴き声と共に現れたのは、体に青い1対のラインが走る、とても綺麗なラプトルだった。

 

「こいつはブルー。

生まれた時からオレが世話を見てきた、最も信頼できるヴェロキラプトルさ」

 

「えっ…こ…この恐竜が…ヴェロキラプトル…!?

いくら何でも大きすぎませんか!? このサイズだとデイノニクスはおろか、ユタラプトルくらいはあるじゃないですか!」

 

「そう言われてもな…オレのところではこの種族はみんなヴェロキラプトルなんだよ。

…それで? 君にも頼りになるパートナーがいるんだろ?

オレにも見せてくれよ」

 

「…そうですね。俺も覚悟を決めます! 

レクシィ! 一緒に戦ってくれ!」

 

 オウガはディノラウザーからレクシィのカードを抜き取り、銃身のスキャン機構に通した。

 

「ディノスラーッシュ!

燃え上がれ! ティラノサウルス・レックス!」

 

ゴガアァァァァッ!!

 

 赤い光と豪炎に包まれ、レクシィが姿を現す。

 レクシィは相手の恐竜…特に白い方に目をつけると、血も凍るほどの大音量の咆哮を発した。それと同時に周囲の時空も歪み始め、中生代の風景へ様変わりする。

 

「ほっほーう! あの時のティラノの所有者はお前だったのか! こりゃあドジスンにいい土産話ができたぜ…。

よし! インドミナス! お前はあのティラノサウルスの相手をしてやれ!」

 

 ジェイソンがそう言うと、白い方…インドミナス・レックスがおぞましい雄叫びを上げて戦闘態勢に入った。

 

「迎え撃つぞ! レクシィ!」

 

 オウガがそう言うと、レクシィは低く唸り、インドミナスへと駆け出していく。

 そしてオウガはステゴサウルスへ向き直り、逃げるように告げた。

 

「君たちは早くここから離れるんだ!」

 

 オウガの言葉に従い、2頭のステゴサウルス達は急ぎ足でその場から離れていく。

 

「まったく、これはドジスンから戦闘手当も支払ってもらう必要が出てきましたね…。

インドラプトル。お前もインドミナス・レックスの補佐をしてやりなさい」

 

 それからイシドーラは懐からポインターを取り出し、レクシィの体に当てる。すると黒い方…インドラプトルの目の色が変わり、唸り声と共にレクシィへ飛びかかろうとするが…そこへブルーが割って入った。

 

「おっと! オレとブルーを忘れてもらっちゃあ困るな!」

 

「…小癪な。ならば望み通りにしてあげましょう。

インドラプトル。予定変更です。あちらの小さい方からさっさと片付けてしまいなさい」

 

 今度はブルーへポインターを当てると、すぐさまインドラプトルは狙いをそちらへと移し、尋常ならざる身のこなしで襲いかかっていく。

 こうして、2vs2の恐竜大戦が幕を開けたのであった。

 

 

その頃 アンコール・ワット遺跡

 

 オウガ&オーウェンvsジェイソン&イシドーラのタッグマッチが始まった頃のこと…。

 リアスから事情を聞いたリュウタ達が、ちょうど瞬間移動で現地へと到着していたところだった。

 

「見て! リュウタ! 周りの風景が…!」

 

「もうオウガが戦いを始めているんだ! 僕達も早く行こう!」

 

「そうだな! 待ってろよオウガ! レクシィ!

すぐ助けに行くぜ!」

 

 そして、リュウタ達は勢いよく駆け出した!

 

「…ところで、オウガは今どこにいるのかしら?」

 

「…分かんねぇや…」

 

「そうだろうなと思ったよ…」

 

 ひとまず3人は情報収集から始めることにしたのだった…。

 

 

 その頃ブルーとインドラプトルの戦いは、川岸から森の中へとバトルフィールドを移していた。

 ブルーが周囲の木々をたくみに利用し、インドラプトルへ目にも止まらぬ連撃を加えていく。インドラプトルは反撃の準備はしているものの、回避で精一杯のようだ。

 

「…随分あなたのラプトルは戦い慣れているのですね」

 

「あいにくこんなイカれた奴と戦ったのは…1度や2度どころじゃないんでな!」

 

 インドラプトルが素早く振った尻尾をかわしながら、オーウェンがそう言い返す。

 

「何よりオレはブルーを信頼している。だからお前らには負けないさ」

 

「信頼ですか。随分陳腐で曖昧な言葉ですね」

 

「それが本当にくだらないかどうかは…今からきっと分かるぞ」

 

 そう言うと、オーウェンは技カードを取り出してアンバーに押し当てた。

 

双乱気流(ツイスター)

 

 するとブルーの体に力がみなぎり、周囲を風が渦巻き始める。

 そしてブルーは分身し、素早くインドラプトルを取り囲んだ。それから分身それぞれが竜巻を巻き上げると、一斉に中心のインドラプトルに向けて打ち出したのである。

 打ち出した竜巻は合体して巨大な風の渦となり、インドラプトルを揉みくちゃにしていく…。

 やがて風が止むと空からインドラプトルが落下してそのままカードへ戻り、イシドーラの手元へと戻っていった。

 

「やれやれ…これでは手当が貰えるどころか治療費でマイナス収支ですよ…。

ですが覚えておきなさい。この程度で我々を退けられたとは思わないことです」

 

 そう言い捨てると、イシドーラは素早く森の中へ姿を晦ました。

 

「まったく…逃げ足の速いやつだな。

…ありがとう、ブルー」

 

 そう言ってオーウェンが手を伸ばすと、ブルーはその手に鼻面を擦り付けてからカードへと戻っていった。

 …と、その時。近くから子供の声が聞こえてきた。

 

「こっちだ! こっちで技で発動したっぽい風が起こってたぜ!」

 

「本当なのかリュウタ? オウガのレクシィは炎属性だから、風属性の技は使えないはずじゃないのか?」

 

「もしかしたら相手の恐竜の技かもしれないじゃない!」

 

 ガサガサと草を掻き分けてオーウェンの前に姿を現したのは、リュウタ達Dキッズだった。

 

「あっ…おじさん。オレ達、友達を探してるんだけど、知らない?」

 

「おじさん、か…。オレも年を取ったもんだな…。

いいぞ。言ってみてくれ」

 

「背丈は僕達と同じくらいで、肩掛けカバンにティラノサウルスのワッペンをたくさんつけているんです。

あと四角い眼鏡をかけていて…」

 

「もしかすると、それはオウガ君のことか?」

 

「知ってるんですか!? 会わせて下さい!」

 

「まあ落ち着いてくれ。

彼はこの先で戦いの真っ最中のはずだ。だが、相手はあの…まあ、それは今はいいか。どちらにせよ、早く行かないと手遅れになるかもしれん。急ぐからついて来いよ!」

 

 そう言って駆け出したオーウェンの後を、リュウタ達も追いかけていったのだった。

 

 

 一方、オウガとレクシィは予想以上の苦戦を強いられていた。

 いくらレクシィが噛みつき、蹴りつけ、体当たりで攻撃してもインドミナスが痛みで悶えている様子はないからだ。かなりの傷を負い、ダメージが積み重なっているはずなのに、痛みを感じている様子すらないのである。

 それに対し、レクシィも相当なダメージを負っており、パフォーマンスが低下してきている。

 このままの戦況が続けば、追い込まれるのは自明の理だった。

 

「ハーッハッハッハッ!

当たり前だ! いくらティラノであろうとインドミナス・レックスに勝てるわけがないだろうが!

なんせこいつは、ティラノサウルスのゲノムを中心に大型恐竜も複数種類、あと…詳しくは忘れたがあれやらこれやらのゲノムをブレンドしまくったとかいう最強の恐竜なんだからなぁ!」

 

「何だって!? それじゃあその恐竜は、キメラだってことなのか! 命を何だと思ってるんだ!」

 

「キメラとは人聞きが悪ぃな! せめてハイブリッドとでも呼んでほしいもんだ…。

だが、これで分かっただろ? おれのインドミナスは、お前のティラノの完全な上位互換ってわけだ! ハナからお前は勝てるわけがねぇんだよ!」

 

「ぐっ…!」

 

 まだレクシィの瞳から継戦の意志は消えていないものの、いずれ押し切られてしまうだろう。ならばどこかで隙を見つけて、技カードを使わないと逆転は難しいか…。

 

 そう考え込んでしまったのが、いけなかった。

 その隙にインドミナスはレクシィを体当たりで大きく吹き飛ばしたのだ。レクシィは何とか立ち上がったものの、頭を木に強打して脳震盪を起こしたらしく足取りがフラフラとしている。

 

「今だ! インドミナス! とどめを刺せ!」

 

 インドミナスが口を大きく開き、レクシィへ向けて突進していく。だがレクシィはまだ脳震盪から立ち直れていないままだ!

 

「避けろ!避けてくれ!レクシィーーッ!」

 

 その時だった。

 脇の茂みから大きな影が飛び出すとインドミナスの土手っ腹にぶつかり、突き飛ばしたのだ。

 

「な、何ぃ…!? てめぇはさっきの…!」

 

 そこに乱入してきたのは、さっきのステゴサウルスの片方…紫の個体だった。ステゴサウルスは突き飛ばしたインドミナスに吠えかかり、それからオウガの目をじっと見つめてくる…。

 

「もしかして…俺と一緒に戦ってくれるのか…?」

 

 オウガからの問いかけに、ステゴサウルスは大きく頷いた。

 

「…ありがとう!

レクシィは脳震盪が収まるまで少し休んでいてくれ!

それまで俺とステゴサウルスで戦う!」

 

 ステゴサウルスは低く雄叫びを上げ、インドミナスへと立ち向かっていく。

 

「ふざけやがって…! 軟弱な草食ごときがインドミナスに敵うと思ってんのか! 格の違いってやつを見せつけてやる!

やれ!やっちまえインドミナス!」

 

 ジェイソンの言葉でインドミナスは素早く体勢を立て直し、ステゴサウルスを迎え撃った。

 体に牙を突き立てようとするインドミナスを背中の突起でいなしつつ、尻尾を振り回してサゴマイザーを突き刺そうと奮闘するステゴサウルス。

 懸命に戦ってはいるものの、それでも決定打を加えるには至れていない。

 

(やはり…技カードがないとダメなのか…?

でも…まだレクシィは回復できていないし…)

 

 そう考えつつ悩んでいると、いきなりステゴサウルスがインドミナスを大きく掬い投げた。インドミナスの巨体が大きく宙を舞い、少し離れた木立の中へ墜落する。

 対戦相手がしばし戦いの場から姿を消した隙に、ステゴサウルスが何かを咥えてオウガに差し出した。

 それは、紫色の紋章が描かれた技カードだった。

 

「これを…使ってほしいってことなのかい?」

 

 オウガの問いかけに、ステゴサウルスは大きく頷く。

 

「分かった! やってみるよ!」

 

 そこへ、木々を薙ぎ倒しながらインドミナスが戻ってきた。相当ご立腹なようで、主のジェイソンには目もくれずに真っ直ぐオウガたちのところへ向かってくる。

 

「いこうステゴサウルス! 君の力を見せてくれ!」

 

 そう叫び、オウガは技カードをディノラウザーでスキャンした。

 

土竜聖剣(クエイクセイバー)

 

 その瞬間、ステゴサウルスの体に力がみなぎり、全身を紫色のオーラが取り巻いた。そのオーラは次第に尻尾へ収束すると結晶化していき、やがて巨大な剣のような形になっていく。

 

「ま、待て! インドミナス! それ以上突っ込むな! 止まれ!」

 

 ジェイソンが焦った様子でインドミナスに呼びかけるも、もう遅い。既にインドミナスは、ステゴサウルスの間合いに入っていたのだ。

 力の限りステゴサウルスが尻尾を振り抜くと、インドミナスはその斬撃を胴体に諸に受けて膝をつき、初めて隙を見せた。

 

「今なら…! いけるか! レクシィ!」

 

 オウガの呼びかけにレクシィが力強く立ち上がる。どうやら脳震盪からある程度回復できたようだ。

 

「とどめは任せたぞ! 『狙大爆砕(クリティカルエクスプロード)』!」

 

 オウガがもう一度技カードをスキャンすると、レクシィの体が赤い光に包まれる。それからレクシィは力の限りインドミナスの首筋へ噛みつき、地面に引き倒した。そしてそのまま口に業火を溜め込み、思い切り炸裂させた。

 やがて煙が晴れると、ついにインドミナスは力尽きてカードへと戻っていく。そのカードはそのままジェイソンの手元へ自動的に帰っていった。

 

「く、クソッ! ここは戦略的撤退だ!

覚えておけよこのクソガキ! 次は必ずお前のアンバーを差し出してもらうからな!」

 

 ジェイソンはそう言い残すと、やはり森の中へと姿を消していった…。

 

 一方でオウガは大きく息をつきながらも、その心は安堵感に包まれていた。そんな彼のそばへ、ステゴサウルスが近寄ってくる。

 

「な、何とか勝てた…。

助けてくれてありがとう。ステゴサウルス」

 

 オウガがそう言うと、ステゴサウルスは顔を綻ばせた…ように見えた。

 

「それから、君が頑張ってくれたお陰で勝てたよ。

ありがとう、レクシィ」

 

 今度はレクシィの方を見てそう言ったものの、当人はギロリとオウガと、何故か隣のステゴサウルスも睨みつけてからひとりでにカードへ戻っていってしまった。

 

「レクシィ…。やっぱりすぐに心を開いてはくれないよな…」

 

 オウガがそう呟いて肩を落としていると、オーウェンが戻ってきた。手にはカードを1枚持っている。

 

「どうやらそっちも終わったみたいだな。

子供ながらあのティラノサウルスを使役するとはなかなかの命知らずだな、君は」

 

 そう言って彼は笑った。

 

「へ、平気です。なんせ俺はティラノサウルスが1番好きなんですから…こんなの屁でもないですよ。

それよりオーウェンさん、そのカードは…?」

 

「これか? あのステゴサウルスの…地味な色合いの方がカードに戻ったんで拾ってきたのさ。

オレはこいつらを元の場所に戻すために、この世界にやって来たんだからな」

 

「?それって、どういうことなんです…?」

 

「勿論それは今から話すが…その前にお友達を安心させてやるのが先じゃないのか?」

 

 そう言って指さした方には…リュウタ達Dキッズの面々がやって来ていた。

 

「リュウタ…! それにレックス! マルムも…!

3人とも安心して。オーウェンさんとステゴサウルスに手伝ってもらったけど何とか敵を撃退して…」

 

 そう言いかけたところでマルムがつかつかとオウガに迫ったかと思うと…思い切り平手打ちをした。

 

「オウガ…! あなた何やってるか分かってるの…?

あんな怖い恐竜と大人を相手に1人で立ち向かって…もしかしたら殺されてたのかもしれないのよ…?」

 

「…それは…」

 

「ねぇ…お姉ちゃんにはアタシ達に迷惑かけたくないからとか言ってたみたいだけど…そんなにアタシ達って頼りない…?

アタシ達なんか、当てにするには物足りないって思ってるの…?」

 

「!そんなことない! 引っ越してきたばかりで友達もいない俺を仲間に入れてくれたみんなのことを、本当に信頼してるし大切に思ってるんだよ! だから…」

 

「だったら!」

 

 オウガが言いかけたところでマルムが大声で被せてくる。その顔は涙で濡れていた。

 

「だったら…もっとアタシ達を頼ってよ…」

 

 マルムが泣き崩れて言葉が続けられなくなったところで、レックスとリュウタが前に進み出た。

 

「僕達だって、あの時レクシィに襲われそうになった時は正直怖かったさ。

でも…僕達はみんな、君もレクシィのことも迷惑だなんて思ってない。それに…頼られないのはやっぱり悲しいよ」

 

「オレだってさ、Dキッズのリーダーなんだぜ?

リーダーならメンバーの思いもどーんと受け止めてやるのが役目だってオレは思ってる!

だからオウガも1人で考えないでさ、オレ達と一緒に頑張って解決方法を探していこうぜ!」

 

 リュウタ達からぶつけられた、温かい叱責をその身に受けているうちに、オウガの目にも涙が滲んできた。

 何でも1人で何とかしようとした自分への情けなさと…仲間の温かみに触れた喜びの涙だった。

 

「ごめん…みんな…本当にごめん…」

 

「お、おいおい泣くなよオウガ…。

お前も泣いちゃったら…オレまで、泣けてくるじゃんかぁ…」

 

「…やっと、君と本当の意味で分かり合えた気がするよ。オウガ…」

 

「もう…レックスったら、泣くのを我慢してるせいですごい顔になってるわよ?

…さっきは殴っちゃってごめんね、オウガ」

 

「いや、むしろいい活になったよ。

ありがとう、マルム」

 

「あ、ありがとうって…。ちょっと照れちゃうわね…」

 

 マルムが目も頬も赤く染めて手で扇ぐのを見て、思わずオウガ達からも笑いが漏れる。

 

「それはそうと! オウガの側にいるのってステゴサウルスじゃんか!

すっごいなぁ…仲良くなったのか?」

 

「うん。このステゴサウルスがいなければ俺もあいつらに勝てなかったから本当に助けられたよ」

 

 オウガがそう言いつつステゴサウルスの額を撫でると、嬉しそうに目を細めた。

 

「ねぇ…もしかしてこのステゴサウルス、これからもオウガと一緒にいたいんじゃないのかしら?」

 

「そ、そうなのか?」

 

 オウガがそう聞くと、ステゴサウルスが何度も首を縦に振って肯定の姿勢を示した。

 

「…よし!それじゃあ今日から君も、俺たちDキッズの仲間だ!

名前は…その宝石のように美しい紫色に敬意を表して、『アメジスト』っていうのはどうかな?」

 

 オウガが名前の提案をすると、ステゴサウルスは体を震わせて全身で喜びを表現した。

 どうやら気に入ってくれたらしい。

 

「よし! じゃあカードに戻ってくれ!」

 

 オウガが手を差し出すと、ステゴサウルス…改めアメジストは静かに顎を乗せた。

 するとアメジストの全身が眩い紫色の光に包まれ、カードへと戻っていく。そのカードをディノラウザーへと格納したところで、ようやくオーウェンが口火を切った。

 

「さて、話は一段落したみたいだな。

それじゃあ少し手間を取らせるかもしれないが、君たちのパトロンに会わせてもらうことはできるかな?

オレの目的について、話しておく必要があると思うんだ」

 

「…パトロンって、何のことなんだ…?」

 

「支援者、または支持者のことだよ。

つまり古代博士やリアスさんに会わせてほしいってことだと思う」

 

「でもオーウェンさん。

あなたの目的っていうのは、一体何なんですか…?」

 

 オウガが問いかけると、オーウェンは少し悩んでからこう言った。

 

「…そうだな、君たちには先に説明しておいた方が良さそうだ。

実はこの世界に、アクト団がばら撒いたものとは別に恐竜たちのカードが散らばってしまったんだ。

君たちには、その恐竜たちをオレの世界へ連れ戻す手伝いをしてほしい」

 

 

その頃 エジプト サハラ砂漠のど真ん中

 

 未だにウサラパ達は帰路を見つけられず、ラクダに振り回されていた。

 

「ねぇノラッティ〜。まだドクターに通信は繋がらないの〜?」

 

「なんかこのあたり電波が悪いみたいで全然繋がらないザンス…。

でも繋がりさえすればソーノイダ様が迎えをよこしてくれるはずザンス! それ相応の成果は出したはずザンスからねぇ!」

 

「あぁ…早く帰っておやつのアイスバーが食べたいッス…」

 

 そんな話をしていると、アクトホルダーが着信を告げた。相手は勿論Dr.ソーノイダである。

 

「来た来た! 来たザンス! ソーノイダ様から連絡をしてくれたザンス!」

 

 すぐに通話ボタンを押すノラッティ〜。

 

『…お前達、今まで何をしておったのだぞい?』

 

「ドクター! アタシ達はスピノサウルスを見事確保しましたのよ!」

 

「水の石版も手に入れたからアクトホルダーをもう1機作ることもできるザンス!」

 

「でも今ラクダに引き回されて帰り道が分からないッス。できれば迎えをよこしてほしいッスよ〜」

 

 今回の成果と今の状況を伝えるウサラパ達。

 だが彼らの期待とは裏腹に、ソーノイダの声色は憤怒に満ちていた。

 

『一体ワシが何回お前達に連絡を入れたと思っているのじゃぞい…?』

 

「連絡…? どういうことなのよノラッティ〜?」

 

「ん? あららら…着信履歴にソーノイダ様から鬼電が来てたことが記録されてるザンス…。

電波が悪くて全部届いてなかったみたいザンスね…」

 

『お前達がいつになっても応答しないせいで、カンボジアに出ていた恐竜の反応がなくなってしまったのじゃぞい!

恐らく…いや! ほぼ間違いなくガキ共に奪われたと見てよいぞい!

成果はともかくとしてガキ共に出し抜かれたのは我慢ならん! だから罰として、お前達は自力で帰って来るがいいぞい!』

 

 そこまで一方的に告げると通話は途切れてしまった。

 

「「「そ…そんなぁ〜〜〜」」」

 

 絶望してがっくりと肩を落とす3人組を引きずりながら、ラクダは夜の砂漠を駆けていくのであった…。

 

 

 翌日朝 三畳市 Dラボ

 

 その後Dキッズと客人のオーウェンは、Dラボへと戻ってきた。

 しかし時間も遅いということでその日は解散となり、各々の家へと帰らされた。(オーウェンはDラボの仮眠室に泊まったらしい)

 翌日朝、再びラボに集合したオウガ達Dキッズを含め、オーウェンと古代博士・リアスとの会談が始まった。

 オーウェンが話した内容は以下のようなものであった。

 彼の世界はオウガ達の暮らすそれとは違う次元にあるらしいということ。

 ある時彼の世界にいた恐竜たちが突如としてカードになってしまったこと。

 そしてそのカードが異空間へと吸い込まれ、この世界へと流れ着いたことが確認できたこと。

 

「…なるほど。そちらの事情は分かりました。

しかし…こう言ってしまうのは何ですが…にわかには信じ難い話ですなぁ…。

まさか我々が住む世界の他にも別の世界があるなどとは…。1種のオカルト話だと思っていたのですが…」

 

「それはオレ達の世界でも同じさ。

オレ自身そんな話はただの妄想だと思っていた…。この間まではな。

しかし目の前で恐竜がカードになったのを確認したことや、実際に異次元へ繋がるトンネルを通ってここまで来れば信じざるを得なくなってしまうさ。

…というわけで、オレの話を信じてくれるのなら話は早い。これからも世界の様々なところでこのステゴサウルスのようにオレの世界の恐竜が出現するだろう。

その時はぜひ君たちの手で回収してほしい。」

 

「ち、ちょっと待ってくれよ!

つまりその…オーウェンさんのとこの恐竜ってオレ達のディノホルダーじゃダメで、オウガやオーウェンさんの持ってるその琥珀でしか召喚できないってことなのか?」

 

「そうだ。これはジュラシック・アンバーっていう特別な琥珀のようでな。

オレの持っているやつは【喪失(ロスト)】って銘がついてるらしい。

なんだか親近感と頼もしさを感じるワイルドな男のような声だったんだが…オウガ君はどうなんだい?」

 

「お、俺の持ってるアンバーの銘は【伝説(レジェンド)】です。

声を聞いたところだと、けっこうお年を召されたおじいさんのようでしたよ。

そういえば、今の話を踏まえるなら俺のレクシィもこの世界の恐竜ではないっていうことなんですか?」

 

「それもその通りだ。

レクシィは、その…とある手段によってオレ達の世界で生み出された存在でな。よく見てみれば君達の世界のティラノサウルスとは違う点がいくつか見えてくるはずだぞ」

 

「い、言われてみれば確かに…。鼻先が立体視をするには太すぎたり、胴体部が細めだったり…。

色々俺の知ってるティラノサウルスとは違っていて少し違和感を感じてはいたけど…」

 

「…なるほど。そのアンバーにはそんな存在意義があったのか…。

しかし驚いたぞ! お前達、いつの間に英語を喋れるようになったんだ?

特にリュウタはあまり英語の成績もよくなかったはずだろう?」

 

「あれ? オーウェンさんが日本語を話してくれてたんじゃないの?」

 

「それは私がディノホルダーやディノラウザーに取り付けたバイリンガルのお陰かしらね。

聞く言葉を自動で日本語に翻訳するだけじゃなく、あなたたちが口にした言葉を相手に通じる言語に自動翻訳してくれるのよ。

これから恐竜を探しに色々な場所へ行くとなると大変だと思って付けた機能なんだけど…その様子だと、リュウタ君はまだマニュアルを読んでないのかしら…?」

 

 リアスにジットリとした目線で睨まれ、思わずリュウタが姿勢を正す。

 

「ま、まあまあリアス君…。

とにかくオーウェンさん。ここからは私達で今後の対策を考えませんか?

私達もあなたの支援者の方と話だけでもしたいですし…」

 

「…そうだな。じゃあどこか場所を移してもらうことはできるだろうか?」

 

「ミーティングルームがあるのでそちらへ案内します。ではこちらへ」

 

 リアスの先導のもとオーウェンと古代博士が歩き出したが、Dキッズ達は付いていこうとしたところで古代博士に止められた。

 

「おっと! すまないがリュウタ達はここで待っていてくれないか?ここからは父さん達だけで話をしたいんだ」

 

「「「「えぇー…」」」」

 

「どうしてもダメなんですか?」

 

「すまないな…。どんな事が話されたかは後で話せる範囲で話すから…」

 

 というわけで置いていかれ、暇になったDキッズ達であった。

 

「あーあ…まだ昼ご飯には早い時間だし、どうしよう…」

 

「…そうだわ! アタシ達まだそれぞれのパートナーの恐竜を紹介してなかったわよね?

せっかくだし今ここで紹介していかない?」

 

「いいね。僕もそれに賛成だよ。オウガはどう?」

 

「俺もいいと思う。それじゃあ、まずは俺から…出てこい! レクシィ! アメジスト!」

 

 オウガがそう言ってディノラウザーにカードを通すと、2体がチビ恐竜の姿となって現れた。

 アメジストはガブと同じく全体的にデフォルメされた印象で、背中の板状突起や尾先のサゴマイザーからは角が取れて丸くなっており、目も丸くくりくりとしていて可愛らしい印象を受ける。

 一方レクシィは全体的に小さくはなったもののその瞳の鋭さは変わっておらず、右首筋の一際大きな古傷が残ったままになっていた。

 

「まずは俺から紹介していくよ。

こっちが…みんなもう知っているとは思うけど、ティラノサウルス・レックスのレクシィ。

まだ彼女のことを深く理解はできていないけれど、早く仲良くなれるといいなって思ってるよ」

 

 そう言ってオウガがレクシィを見つめると、当のレクシィは興味なさげにそっぽを向いた。

 

「…それで、こっちはステゴサウルスのアメジスト。

背中や板状突起の紫色が煌めいていてとても綺麗だろ?それが宝石のアメジストみたいに見えたからそう名付けたんだ。

あとこの子は…」

 

 そこまでオウガが言いかけたところで、アメジストが自身のズボンの裾を引っ張っていることに気がついた。

 

『キュー、キュー』

 

「ん?どうしたんだい、アメジスト?」

 

 様子を見るために屈むと、今度はオウガの肩掛けカバンを咥えて引っ張り始める。

 

「もしかして…これが欲しいのか?」

 

 オウガがカバンからブルーベリージャムの瓶を取り出すと、アメジストは首が取れそうな勢いで頷いた。

 

「よし、じゃああげようか。ちょっと待っててね…」

 

 そう言いつつオウガがジャムを手のひらに出し、アメジストに差し出すと美味しそうに食べ始めた。

 

「美味しいかい? アメジスト?」

 

『キュー!』

 

 オウガからそう聞かれ、アメジストは満面の笑みを浮かべた。リュウタ達も微笑ましげにその様子を眺めていたが、唯一レクシィだけは面白くなさそうに顔を背けてしまった。

 

「アメジストちゃん、よっぽどジャムとオウガが好きになったのね!」

 

「昨日会ったばかりなのに、そんなに仲良くなれるんだな〜…。

オレ達も負けてられないな!ガブ!

 

『ガァブッ!』

 

「さて、それじゃあレックスとマルムも紹介の方、いいかな?」

 

「よし、それなら次は僕だ」

 

 そう言うとレックスもディノホルダーにカードを通し、カルノタウルスのエースを召喚した。

 ガブやアメジストとは違って少し切れ長の目で、頭には小さい1対の角を備えている。そして体は藍色に近い青色で、横向きに黄色いラインが複数本走っていた。

 

「こいつは僕のパートナーのエース。読んで字の如く、No.1っていう意味だよ」

 

 レックスがそう紹介すると、エースはクァァ、と小さく鳴いた。

 

「次はアタシね! 出てきてパラパラ!」

 

 そう言ってマルムがディノホルダーにカードを通すと、パラサウロロフスのパラパラが現れた。

 まるで草原を思わせるような鮮やかな緑色のコントラストな体色とつぶらな瞳、そしてプレスリーのような派手な頭部が目を引く。

 パラサウロロフスが属する鳥脚類には、このようなユニークな頭部構造を持つ恐竜たちが数多く存在するのだ。

 

「この子はパラパラ! 大きなとさかがとってもキュートでしょ?

それからこの子ね、音楽に合わせて踊るのよ!

ほらっ!」

 

 マルムがディノホルダーを操作し、音楽を流すとそれに合わせてパラパラが…踊ると言っていい動きなのかは分からないが、踊り始めた。

 

「へぇー、みんな色々な個性があるんだな〜。

みんな!オレはリュウタでこいつはガブ! これからよろしくな!」

 

 こうして、互いに恐竜達の紹介を終えたDキッズなのであった。

 

 




 今回の恐竜解説!

「今回の恐竜解説も、俺、オウガが担当するよ。
今回解説するのは、森の守護神『ステゴサウルス』!
装盾亜目の中でも通称剣竜類と呼ばれるグループに属する恐竜で、俺のパートナー恐竜の1頭、アメジストの種族がこれだね。
ジュラ紀後期の北アメリカ大陸に生息していて、同時代同地域には、アロサウルスやアパトサウルスなどがいたと考えられているよ。
名前の意味は「屋根トカゲ」。発見当初、ステゴサウルスは背中の板状突起が寝かせた状態で復元されていたから、こんな名前が付けられたんだ。
全長は最大で9メートルほどになったと考えられていて、剣竜の中では最大種かつ1番の知名度を誇る恐竜だよ。
背中の板状突起は全部で16枚確認されていて、その表面内面共に血管の溝が沢山確認されているんだ。少なくとも防衛機能としては役立ちそうにない強度だったらしくて、体温調節か異性へのディスプレイに使われたと考えられているよ。
むしろ最大の武器は尻尾の先に付いている2対の長く大きなスパイク…サゴマイザーと呼ばれている部分だね。この破壊力は相当なものだったようで、これによって骨にまで傷を付けられた肉食恐竜の化石が複数見つかっているんだよ。
さらにステゴサウルスは、首下に小さな骨の塊がたくさんついていたことが確認されているよ。これによって多くの生物にとって弱点になる首を守っていたんだね。
大きな体格とは裏腹にとても頭は小さくて、頭蓋骨の分析の結果脳はクルミ程度しかないとされているよ。だからステゴサウルスは愚鈍だというイメージが昔からあったけど、脳の大きさと知能の高さの間に相関関係はないと今では言われているから、実際にステゴサウルスは頭が悪かったと決めつけるのは時期尚早だと思うよ。
最近、ステゴサウルスは雄と雌で背中の板状突起の形が違ったんじゃないかという新説が発表されたけど…雄だとされている個体はヘスペロサウルスという別の恐竜だとする見方もあるし、今後の追加研究が待たれるところだね」

今回はここまでです。
ちなみにディノホルダーやディノラウザーにバイリンガル機能があるとしたのは個人的な解釈です。
だってリュウタ達ったら世界のどこに行っても現地人と当然のように会話できているから…。
もし間違った解釈でしたら、ぜひコメント等でご指摘いただければ幸いです。
今回もありがとうございました。

第6話に登場させるJP・JW恐竜について考えています。以下の恐竜ならどれを登場させるのがよいか、または登場させてほしいか、是非皆様のお考えをお聞かせ下さい。

  • ディロフォサウルス
  • パラサウロロフス・ワルケリ
  • スティギモロク(お助け恐竜)
  • ディメトロドン(お助け恐竜)
  • メトリアカントサウルス
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。