古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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 前回の恐竜キング!

 カードの中のティラノサウルスと話をしたオウガ。その話の中でティラノサウルスをレクシィと名付けることにした。
オウガ以外のDキッズは石版からの声を聞いたものの、助けを求める声しか録音されていなかった。
 その夜エジプトに現れたスピノサウルスを確認したDキッズ達は飛行機が使えず足止めになるかと思われた時、リアスが石版の瞬間移動機能に気づき何とかエジプトへ行く道を見つけることができた。
 アクト団にスピノサウルスは奪われてしまったものの、リュウタ達は無事で帰ることができたのだった。
 一方でもう1頭確認された恐竜を保護すべく単身カンボジアへ向かったオウガは、そこでオーウェンと名乗る青年と出会う。彼の支援者からのアドバイスもありステゴサウルス達と仲良くなることに成功したが、そこへオウガのジュラシック・アンバーを狙うジェイソンとイシドーラ、そして彼らが操る謎の恐竜たちが現れる。
 ステゴサウルス改めアメジストやオーウェンの協力もあり辛くも敵を退けたオウガはリュウタ達と合流し、無事に日本へ戻ることができたのだった…。




第3話:サイカニア争奪戦!大英博物館で大乱闘!
前編


 パートナー紹介後から、早速オウガもリュウタ達と同じようにレクシィとアメジストをチビ恐竜状態のまま一緒に生活をすることにした。

 初めて目にする未知の生物に両親は共に目を点にしていたが、オウガの必死の訴えもあり何とか飼育を認めてもらえたのだった。

 

 しかし、翌日の朝…事件は起きたのである。

 

 オウガが目を覚まし、2匹が寝ていた犬用ベッドを見た時にすぐ違和感に気付いた。

 レクシィがベッドに横たわり、浅い息をしていたのである。

 

「!? ど、どうしたんだ!? レクシィ! 大丈夫か!?」

 

 オウガが慌てて飛び起きて呼びかけても、レクシィは彼をギロリと睨みつけるだけで、状態は変わらない。

 その眼光もいつもより鋭さがなく、すぐ側では熟睡しているアメジストがいたので、レクシィの様子が異常だということにはすぐに気がついたのだ。

 急いでレクシィをカードに戻し、アメジストも一緒に連れてDラボへと向かい、リアスに様子を診てもらうことにした。

 連絡を受けて急行した古代博士もそこへ同席し、診断の結果を待つ。

 

「博士、すみません…。せっかく大英博物館で石版が見つかったかもしれないという知らせを受けて出張の準備を進めていらしたところだったのに…」

 

「なぁに気にすることはない! 確かにその用事も大事だが、それ以上に君達Dキッズが恐竜達とうまくやっていけるかを私は最優先に考えているからな!」

 

「…ありがとうございます」

 

 そう言いつつオウガはリアスの研究室へ心配そうに目をやる。

 

「博士…あれから大分経ちましたがレクシィは大丈夫なんでしょうか…?」

 

「大丈夫! …とは、言い切れないだろうな…。

何せ恐竜の生態についてはまだまだ解明されていないことが多い。その中でも病気という点については、あまり多くの痕跡が出ていないんだ。特に骨に残らないタイプの病気は推測するしかない…」

 

 そこまで言ったところでリアスが戻ってきた。

 

「おおリアス君! 検査結果はどうだったかね?」

 

「それが…レクシィはかなりの特異体質のようです。

オウガ君も聞いてもらえるかしら?」

 

「は、はい! 是非教えて下さい!」

 

「まず、この子の症状はね…リジン欠乏症よ」

 

 リアスの口から告げられたのは、オウガにとって聞き慣れない言葉だった。

 古代博士が首をひねりつつ答える。

 

「リジン…リジンというと、必須アミノ酸のリジンのことかね?」

 

「そうです、博士。

この子、どういう訳かそのリジンを自力で合成することができない体質らしいんです」

 

「じゃあ、レクシィはどうなるんですか…?」

 

「このままの状態が続けば昏睡状態に陥り、最終的には死に至るわ」

 

「そ、そんな…! 何とかならないんですかリアスさん!」

 

「落ち着いて。解決策は簡単。リジンを豊富に含む食物を食べさせればじきに元通り活動できるようになるわ。

該当する食材だと…マメ科の植物や鶏肉、豚肉なんかが挙げられるかしら。

レクシィ…もといティラノサウルスは肉食恐竜だし、鶏肉か豚肉を買って食べさせてあげるといいかもしれないわね」

 

「そうなんですか! 良かったぁ〜…」

 

 リアスからの返答を聞いてオウガは一気に脱力…しかけたところで飛び起きた。

 

「って! ホッとしてる場合じゃない! すぐ鶏肉か豚肉を買ってこないと!

リアスさん! 古代博士! 朝早くからありがとうございました!」

 

 そう言うが早いかオウガはリアスからレクシィのカードを受け取ると肩掛けカバンを引っ掴み、そのままラボを駆け足で出ていった。

 

「あっオウガ君! …行ってしまった…。

しかしリジンを自力合成できない体か…。ガブやエースにはそのような傾向は見られなかったんだが…」

 

「マルムからもそのような話は聞いていません」

 

「となると…レクシィの出身の世界に関係があるのかもしれないな。

次にオーウェン君が来た時に聞いてみようか…」

 

 それから1週間、オウガはレクシィに鶏肉や豚肉を食べさせ、1日おきにDラボで経過を観察してもらっていた。

 レクシィの体調はその間徐々に回復していき、4日目にはいつも通りに戻っていた。

 リアスの分析でもそれ以降体調の悪化は見られず、オウガは胸をなでおろした。

 だが大事を取って、しばらくは経過観察を欠かさないように、ということになったのである。

 

 しかし、一難去ってまた一難という言葉がある。

 新たな問題の火種は、リュウタ宅で起きようとしていた。

 

 その日、レックスはエースと共に自室で過ごしている最中であり、彼はカルノタウルスのページを眺めていた。

 これから一緒に暮らすエースのことについて、少しでも知っておきたいと考えていたのだ。

 だがそんなレックスの気持ちはいざ知らず、エースは彼の部屋で暴れ放題だった。せっかく整頓していたものまで好き放題に散らかし始める。

 

「こら、エース! やめないか!」

 

 そう軽くレックスが注意すると、エースはわざわざ図鑑の上へ上がると、なんとそこへフンをしたのだ。

 

「うわぁっ! え、エース! お前なんてところにウンチするんだよ!?」

 

 思わずレックスが大声を張り上げると、エースはビックリした様子でフンを咥え上げ、食べてしまった。

 

「こらーっ! エースーっ!」

 

『ギュアッ!?』

 

 その時、庭では他のDキッズ達が集まって会話に興じているところだった。

 

「にしてもレクシィ、体調が良くなってよかったよな〜。オレも一安心だったぜ!」

 

「アタシもよ。リジン欠乏症?ってのはよく分かってないけど、あれから鶏肉を食べさせ始めてからはよくなったんでしょ?」

 

「うん、リアスさんのお陰だよ…。

あれから毎日必ず鶏もも肉を食べさせるようにしてからレクシィは大分元気になってくれたよ!

鶏もも肉は俺も大好きだから、レクシィと好きを共有できたことも嬉しいんだよね!

…まあ、レクシィの態度は相変わらずだけどさ」

 

 オウガの膝の上でくつろぐアメジストとは対照的に、レクシィは3人から少し離れたところで骨付きの鶏もも肉に齧り付いていた。

 オウガが呼びかけると少し振り返るものの、すぐ肉に視線を戻してしまう。

 

「そういえばリュウタ。

イギリスの大英博物館に向かった古代博士から何か続報はあった?」

 

「うーん…父さんの予定通りなら、まだ着いたばかりなんじゃないかな? 少なくともまだ父さんから連絡は何も来てないぜ」

 

「石版って言っても写真の端っこに写ってただけだったもの。見間違いの可能性だってあるわよねー」

 

 そんな会話をしていると、レックスの部屋からエースが飛び出し、それに続いてレックスも飛び出してきた。

 エースは素早い動きでリュウタの後ろへ隠れる。

 

「こらーっ!待てエース!」

 

「どうしたのさレックス。そんなに怒って」

 

「オウガ! それにみんなも! 聞いてくれ!

エースが僕の大事な本にウンチをしちゃったんだよ!」

 

「ウンチぃ? それマジかよ…?」

 

「本当だよ! だからちゃんと躾をしなくちゃ!」

 

 3人の視線がエースに注がれる。

 当のエースはその視線から逃れるように身を小さくすくめた。

 

「でも…エースもおチビちゃんなのよ?

そんなに怒ることないんじゃない…?」

 

「ウンチしただけじゃないんだぞ!

こいつ、自分でしたウンチを食べちゃったんだ!」

 

「えっ!? 食べちゃったの…?」

 

 通常、ペットが自分のフンを食べることはそう珍しいことではない。

 ウサギには柔らかいフンを食べて再消化させる習性があり、犬や猫もフンに餌の匂いが残っていれば口にしてしまう場合も少なくないのだ。

 しかし今までそのようなペットを飼ったことのないDキッズ達は、フンを食べてしまったエースを奇異の目で見つめてしまっていた。

 そんな気まずい状況の中、リュウタの母亜紀がおやつとジュースを持ってやって来た。

 

「みんな〜おやつよ〜。

あら? マルムちゃんにオウガ君も犬を飼い始めたの?」

 

「…そ、そうなんですよ!

実はリュウタが見つけた捨て犬は5匹で! リュウタのとこだけだと負担が大きくなるから俺達で分けて飼育することにしたんです!」

 

「そうだったのね〜。

でもオウガ君、マルムちゃん。分かっているとは思うけど一度飼うと決めたからにはちゃんと最期までお世話しないとダメよ?

…それにしても、最近は変わった種類の犬もいるものなのねぇ〜?」

 

「ハハハ…まあ品種改良や雑種の影響もあって、不思議な見た目の犬も多少はいるでしょうし…」

 

 なんとかオウガがその場しのぎの口八丁で誤魔化すことに成功したのだった。

 

「でもこんなにワンちゃんが来てるのにリュウタ達にだけおやつをあげるのは可哀想ね…。

ドッグフードも出しましょうか?」

 

「いらないですよママさん。…とくにこいつには…」

 

 レックスがそう言ってエースを睨みつける。

 厳しい視線を受けたエースは、ますます首をすくめてしょんぼりとしてしまった。

 

 

 その頃 アクト団基地 アジ島

 

「恐竜西向きゃ尾は東ぞい!

アークトゾイゾイゾイゾイ! アークトゾイ!

ホネーッ…」

 

 恐竜の小さな化石を手にソーノイダが意味不明な言葉を呟き、目の前に広げた世界地図へと投げ入れる。

 化石はそのまま転がり、イギリスの首都ロンドンの上で止まった。

 これがDr.ソーノイダの恐竜の骨占い…科学の風上にも置けないオカルトそのものである。

 

「うむ…うむ! 何度やってもイギリスのロンドンを示しておるぞい!

ほれ! 見るが良いほれほれ! やっぱりここで間違いないぞい!」

 

「…これが恐竜の骨占い?」

 

「おじい様ったら科学者なのに、こんなものに頼っちゃって大丈夫?」

 

「行こうロア。こんなのアテにならないよ」

 

「かわいそうねーあの人たち。おじい様の占いなんかに付き合わされてロンドンまで行かされちゃってさ」

 

 ロトとロアが呆れた様子で研究室から出ていき、ソーノイダ1人になってしまった。

 しかしソーノイダは全く意に介さず自信満々で言い捨てる。

 

「フン、なーにが可哀想じゃわい!

恐竜の骨で占っとるんじゃから間違いないぞい!」

 

 

 

 イギリス ロンドン

 

 その頃、ソーノイダの司令で既に大英博物館に潜入していたウサラパ達は、既に消灯後の館内で石版を探していた。

 ノラッティ〜は懐中電灯で辺りを照らし、エドはウサラパが買い漁ったブランド品の紙袋やら箱やらを持たされていた。

 全く成果は挙げられていないようで、ウサラパがため息と共に愚痴を漏らす。

 

「もー何よ! こんな所にホントにあるの?

…てかじーさんのあんないい加減な占いなんか信じちゃって…全くお前達には呆れるよ!」

 

「そう言うウサラパ様だって、ロンドンのブランド店で買い物ができるって喜んでたじゃないッスか…」

 

「うるさいね! つべこべ言ってないでとっとと探して帰るんだよ!」

 

 図星を突かれたウサラパがエドの頭に拳を落とした。

 エドが痛がる様子を見てノラッティ〜がへらへらと笑いながら口を開く。

 

「ま、占いが当たればの話ザンスけどね〜…うひゃあっ!?」

 

 ノラッティ〜が突然驚いて飛び退り、それに対応できなかったウサラパとエドを巻き込む形で倒れ込んでしまった。

 

「痛たた…っておバカ! 泣く子も黙るアクト団がこんなものに驚いててどうするんだい!」

 

 ウサラパの人差し指の先には恐竜の復元骨格がある。ノラッティ〜はそれに驚いてしまったのだ。

 

「そうッスよノラッティ〜! ここは博物館なんッスからわざわざ驚かないでほしいッス!」

 

「そ、そんなこと言われても…骸骨は見慣れてないザンス〜…!」

 

「もう、とにかく早くおどきよ…って、あら?」

 

 いつの間にかウサラパの手の中に土の塊がある。

 いつ握りしめたのかも分からないが、その中に確かな硬い感触があった。

 恐る恐る手を開いてみると…土の中から姿を現したのは一欠片の石版だった!

 表面にはアメジストのカードと同じ土の紋章が施されている…土の石版だ!。

 

「み、見つけたー!コイツだよ!」

 

「こ…これは間違いないっス! 念願の石版を手に入れたッス!」

 

「ソーノイダ様の占いも捨てたもんじゃなかったザンスね!」 

 

 遂に目的の石版を手に入れ、歓喜に震えるウサラパ達。

 しかし、それがいけなかった。

 

 ジリリリリリリリリ!!!

 

 けたたましくサイレンが鳴り響く。防犯装置が発動したのだ。

 むしろここまで発動させずに館内を歩き回れていたのが奇跡である。 

 

「まずい! 早く逃げるんだよー!

…って何してんだいエド! 私が買ったブランド物を忘れるんじゃないよ!」

 

「えーッ!? 石版は回収できたんだしさっさと逃げた方がいいッスよー!」

 

「お黙りっ! 高い買い物だったんだから持ち帰らないと勿体ないでしょうが!」

 

 荷物を放置したまま逃げようとするエドを叱りつけ、取りに戻らせたことで退散が遅れ、大勢の警備員が駆け込んで来てしまった。

 警備員たちが円形に包囲陣を組みながらジリジリと迫ってくる。

 

「ほらアンタ達! 早く警備員を何とかするんだよ!」

 

「そんなウサラパ様ぁ!? 無茶言わないでほしいッスよ!」

 

「ミーは主に頭脳労働担当ザンス! 力仕事は向いてないザンスよぉ!」

 

 そう言ってるうちに警備員達が一斉に襲いかかり、ノラッティ〜とエドは何とか逃げ回る。

 

「ほらソコ! 何してんのさ! テキパキ逃げるんだよ!」

 

 ウサラパはちゃっかり物陰に隠れ、警備員に追いかけ回される2人に指示を飛ばしている。

 とんだいいご身分である。

 するとノラッティ〜が何かを踏みつけ、それを後ろに蹴り飛ばしてしまった。

 それはあの卵型カプセルだった。カプセルが衝撃で割れ、中のカードが排出される。そのカードに植木鉢の土が覆いかぶさったことでカードが実体化した。

 紫色の硬い装甲に黄色のトゲがずらりと並び、尾先には大きなハンマーを携えた恐竜…モンゴル原産の鎧竜・サイカニアだ!

 警備員たちは突如現れたサイカニアに一瞬たじろいだものの、警棒を片手に追いかけ始めた。

 それに対しサイカニアは、うるさい虫でも追い払おうとするかのように尻尾を振り回す。

 直撃すれば人の身なら命を落としかねない攻撃を見た警備員たちは恐れ慄き、我先に逃げ出してしまった。

 

 陰からこの様子を見ていたウサラパ達は、今度は静かに歓喜の声を上げる。

 

「オ、オーホッホッホ! これはじいさんにいい手土産ができたわー!」

 

「そうザンス! このサイカニアも持って帰れば更に褒めてもらえるザンス!」

 

 ウサラパ達が喜んでいるところへ駆けつけてきたのは、つい先ほど大英博物館に到着した古代博士だった。

 

「ぬおおっ! あれはサイカニア! …どおわぁぁっ!?」

 

 人間の新手が現れたことに危機感を覚えたのか、サイカニアは尻尾を振り回して壁を破壊し、その先へと逃げていった。

 

「あっ逃げるよ! ほらほら何をボケっとしてるんだい!早く追いかけるんだよ!」

 

「「ヘイヘイホー!」」

 

「あっ、だから私の荷物を置いていくんじゃないよ!

さっさと持ってついて来るんだよ!」

 

 エドとノラッティ〜に買った物を持ってくるよう指示を出し、我先にサイカニアを追いかけるウサラパ。

 2人が袋や箱を持って戻ってきた時には、もうどこかへ姿を消してしまっていた。

 

「やはり私の推測通りだ! 石版の近くにはカードもあったということだ!

…こうしてはおれん! 私も追いかけなくては!」

 

 そして、古代博士もサイカニアの空けた穴を通り抜けて追跡を開始したのだった…。

 

 

その頃 日本 三畳市 リュウタ宅

 

 おやつを食べ終わりエースがウンチを食べてしまったことについて話していたDキッズ達の耳に、ディノホルダーとディノラウザーからの発信音が聞こえてきた。

 

「ディノホルダーが反応した!」

 

「恐竜が現れたんだわ!」

 

「場所は…イギリスのロンドンだ!」

 

「ロンドン!? 父さんがいるところじゃないか!」

 

 各々のディノホルダーやディノラウザーを確認し、口々にそう言う。

 

「アクト団もこれには気づいているはずだ!

こうしちゃいられない! 俺達も行こう!」

 

 そう言いオウガはレクシィとアメジストを抱えていの1番に駆け出した。(レクシィは抱え上げられる寸前に残った骨を落とさないようしっかりと咥え上げた)

 

 「オレ達も行くぞ!ガブ!」

 

 「アタシ達も行きましょう!おいでパラパラ!」

 

 続いてオウガに遅れまいとリュウタとマルムもそれぞれのパートナーを抱えてDラボへと駆け出す。

 

『…ギャウッ!』

 

「こらエース!どこに行くんだ!」

 

 突然飛び出していったエースを追いかけ、レックスもリュウタ宅をあとにした。

 

 

Dラボ

 

 揃って現れたDキッズ達を見て、リアスも事情を察したようだった。

 

「どうやらその様子だと、恐竜が現れたようね。

こちらでも確認ができたわ。場所はイギリス…その首都のロンドンね。

それじゃあ早速テレポートの用意をするわ。みんな用意はいいかしら?」

 

 リアスの言葉にその場の全員が頷き、瞬間移動装置の上へ乗ろうとしたのだが…。

 

『ギャアッ!ギャウ!』

 

「エース!大人しくしてろ!」

 

 何故か暴れ出すエースと、そんなエースを抑えつけながら刺々しい態度で当たるレックス。

 そんな様子を見て心配するオウガ達と、それとは正反対に意にも介していない様子でバリボリと骨を齧るレクシィ。

 それでも何とか準備を整え、Dキッズと恐竜達はロンドンの大英博物館へとテレポートしたのだった。

 

 

イギリス首都ロンドン 大英博物館内

 

 大英博物館に到着したDキッズ達は、早速古代博士と合流することができた。

 

「おおっ、リュウタ!それに他のみんなも来てくれたんだな!」

 

「父さん!ここに恐竜が出たの?」

 

「あぁ、サイカニアだ!この博物館のどこかに隠れたはずだから、君たちも探すのを手伝ってくれ!」

 

「サイカニア、ですか…?

これまでサイカニアの全身骨格とされていたもののうち頭蓋骨以外は別の恐竜だということが判明しましたから、本来はどんな姿をしているのか一目見てみたかったんです!

俺もレクシィとアメジストに協力してもらって探しに行きます!」

 

 そう言ってオウガが2匹に目を向けると、アメジストは気合を入れるかのように一声鳴いた。

 一方レクシィはようやく骨を食べ終わったところだった。

 

「勿論ですよパパさん! 僕達にも協力させて下さい!

…あっこら!エース!」

 

 突然エースがレックスの腕の中から抜け出し、チョロチョロとどこかへと逃げ出していってしまった。

 

「まったくもう、本当にあいつは…。

悪いみんな! 僕はエースを捕まえてから探しに行くよ!」

 

 そう言いながらレックスはエースを追って博物館の奥へ向かっていった。

 

「どちらにせよリュウタ! 急いだほうがいい!

さっき例のアクト団らしき3人組を見かけた!グズグズしていると奴らに奪われてしまうかもしれん!」

 

「えっ? オバさん達も来てるの?」

 

 

その頃 大英博物館内の別の場所

 

「…あぁっ!? 誰よ今オバさんって言ったのは!?

確かに聞こえたわよゴラァッ!」

 

「何も聞こえなかったッスよ…?」

 

「いくら何でも被害妄想が過ぎるザンス〜…」

 

 

戻ってDキッズ達のいる場所

 

「とにかく、落ち着こう。

博士の話によると、サイカニアはあの壁に穴を空けてそこを通っていったらしい。

まず分かれ道までは3人で行くとして…そこから先は分担して探そう!俺は右の方へ向かう!」

 

「分かったぜ! それならオレは左を探しに行くぜ!」

 

「アタシは真っ直ぐ、もし道が2つだったらオウガと一緒に右を探すわ!」

 

「よっし決まりだな! Dキッズ、出動だー!

…あ、父さんはサイカニアを誘き出す方法を考えておいてよ!」

 

「うーむ…サイカニアを誘き出す方法か…。

サイカニアといえば発掘されたのはネメグト湖の近く…つまり生息地は水辺…水辺が生息地といえばカバ…。

! そうだ! カバだ! この辺りにカバの餌になりそうなものはあったか!?」

 

「…カバ?」

 

 何はともあれ、Dキッズはサイカニアの追跡に、古代博士はカバの餌探しに向かうことになった。

 

 

 一方でアクト団達も、サイカニアの行方を追っている最中だった。

 

「サイカニアちゃーん、どこッスかー?」

 

「大人しくカードに戻ってほしいザンスよ〜」

 

「もう、このまま固まって探してても埒が明かないね…。ここは手分けして探すよ!

エド! ノラッティ〜! あんた達は引き続きこの階を探しな!アタシは上の階に行く!

サイカニアを見つけたらそのスピノで倒すんだよ!」

 

「「ヘイヘイホー!」」

 

 ウサラパの提案で、アクト団側も手分けして探すことにしたようだ。

 

 

 一方打ち合わせ通り左のルートを辿っていたリュウタは、ガブと共にサイカニアを探し回っている真っ最中だった。

 

「サイカニアがどこに行ったのか分かるか?ガブ?」

 

『!ガブッ!』

 

 突如ガブが左へと方向転換し、リュウタもそれに続く。

 

「もう見つけたのか!早いなガブ!」

 

 ガブが入っていった部屋へリュウタも足を踏み入れると、そこはどうやら恐竜の復元模型が飾られている場所のようだった。

 あちらこちらに実物大の恐竜模型が並べられている。

 

「なぁ、ガブ…。本当にここにいるのかー?

それにしてもすっげー…おっ!いたっ!」

 

 リュウタのサンバイザーに付けられた角型ライトが、模型の中に紛れ込んでいたサイカニアの姿を映し出した!

 しかし…。

 

「ってなんだよもー…これも偽物かぁ…」

 

 危険を感じたサイカニアが凍りついたようにその動きを止めたことで、リュウタはそれを模型の1つだと勘違いしてしまったようだった。

 ガブの姿を探してみると、ガブはトリケラトプスの模型に頬擦りをしているところだった。

 

「ガブ、もしかして仲間に会いたいのか?

そりゃそうだよな…。父さんが前に言ってたけど、角竜は集団で生活したり移動したりする生態があったと考えられてるって言われてたし…。独りぼっちはさみしいよな…。

でもさガブ。今はサイカニアを見つけてくれよ?

しっかし本物そっくりだなぁ…」

 

 こうしてリュウタとガブの視線がトリケラトプスの模型に釘付けになっている隙に、サイカニアはこっそりとその部屋を抜け出していったのだった。

 

 

 一方その頃、ウサラパの指示で上の階の探索を続けていたエドとノラッティ〜は、前方をエースが走り抜けていくところを目撃したところだった。

 

「おっ! 見たッスかノラッティ〜! あれはあのガキンチョ共のチビ恐竜ッス!」

 

「確かに見たザンス! これは今日は運つきまくりザンスね! ひとまずあいつからいただくとするザーンス!」

 

 早速エースが走り去っていった先へ向かおうとする2人だったが、同じくエースを追っていたレックスと出会い頭に激突してしまった。

 

「うわっ! いてて…あっ! お前らは泣く子をイジメる大人たちだな!」

 

「違うザンス! ミー達は泣く子も黙るアクト団ザンス!」

 

「お前もここにいるってことは、サイカニアを見つけに来たんスね!?」

 

「くっ!今はお前達に構ってる暇なんてないんだ!

失礼!…待て! 待てったら! エースーっ!」

 

 レックスは2人のことなどほぼ気に留めていない様子でエースが逃げていった方へと走り去ってしまった。

 

「…なんか、オレ達のことなんか眼中にないみたいッスね…」

 

「まあ今は見逃してやるザンス!

でもいつか必ずあのキザったらしい顔を泣かせてやるz…」

 

 ノラッティ〜がそう言いかけた時、すぐ傍の壁が勢いよく突き破られた。土埃の中姿を見せたのは、あのサイカニアだ!

 サイカニアは2人の目の前に躍り出ると素早く周囲を確認し、どこかへと走り去っていった。

 その場に残された2人は、突然の出来事に思わず腰を抜かしてしまっている。

 

「危なかったッス…。それに今のは…」

 

「サイカニアに間違いないザンス…」

 

 

一方その頃…

 

 1階に上がったウサラパは、サイカニアに呼びかけながら捜索を続けていた。

 そのまま古代エジプトのエリアに入っていく。そしてそこに展示されていた装飾品の放つ輝きに魅せられたようで、ガラスケースに貼り付いた。

 

「あら〜! なんて綺麗な装飾品!

私が付ければより輝きを増すはずよ〜!」

 

 こんな様子だったので、後ろを通り過ぎていくサイカニアに気づけるはずもなかったのである。

 だがそんな彼女でも、さすがにレックスの声を聞き逃すことはなかった。

 

「エース待てよ! おい! エースってば!」

 

「ムッ、あの声はもしや…」

 

 ここで見つかっては良くないと判断し、すぐさまウサラパは周囲を見渡すと、古代エジプトの棺が安置されているのを見つけた。すかさずそこへ潜り込もうと蓋を開けると、中には先客のミイラが入っている。

 何とか気持ち悪さを堪えながらウサラパが棺の中へ身を隠すのと、エースを追ってレックスが展示室へ入ってきたのはほぼ同時だった。

 

「おいエース! いい加減にしないと僕も怒るぞ!」

 

 レックスが大声を浴びせると、エースは怯えた様子で大きなツボの後ろへ隠れてしまう。

 何故エースが自分から逃げるのか、何故言うことを聞いてくれないのか分からず、レックスは途方に暮れてしまっていた。

 

 




今回はここまでです。
引き続き感想・批評・アドバイス等お待ちしております。
それでは後編でまたお会いしましょう。

第6話に登場させるJP・JW恐竜について考えています。以下の恐竜ならどれを登場させるのがよいか、または登場させてほしいか、是非皆様のお考えをお聞かせ下さい。

  • ディロフォサウルス
  • パラサウロロフス・ワルケリ
  • スティギモロク(お助け恐竜)
  • ディメトロドン(お助け恐竜)
  • メトリアカントサウルス
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