古代王者恐竜キング ジュラシック・エイジ   作:バックベアード

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今回は幕間の物語となります。
本当はこれを36話の冒頭、リュウタの夢の代わりに持ってきたかったんですが、思った以上に長くなってしまったため幕間として投稿致します。
36話前編の投稿は、今暫くお時間を頂きたく存じ上げます。


第36話:製鉄所での攻防!アクトメタルの秘密!
幕間:微睡みの中で…


「…あれ? ここは?」

 

 ふとオウガが目を開けると、見知らぬ天井が視界に入ってきた。ゆっくりと体を起こして周囲を見てみると、そこは何かの施設の中のようだった。目の前では干し草の束がベルトコンベアで運ばれていっている。

 先程まで自室のベッドで眠っていたはずなのに、いつの間にこんな見覚えのない施設へ放り込まれたのだろうか。

 

「ここは…? 牧場かどこかかな」

 

 とにかく今の状況を確認するため、オウガは立ち上がると建物の外へと出て…あっと息を呑んだ。

 彼の眼前には、一面の草原が広がっていた。

 しかし彼を驚かせたのはそれではない。その草原のあちこちでは、様々な恐竜達が思い思いに過ごしていたのである。

 

「すごい…! こんなに恐竜が…!

あれはスティラコサウルスだよな。それにあっちはマイアサウラ! それで向こうのはエウオプロケファルス…」

 

 更に彼の目の前を、中型の鳥脚類が飛び跳ねながら移動していく。恐らくヒプシロフォドンの群れだろう。

 

(こんな光景が…もしかするとレクシィの故郷では見られたのかな…。

いいなぁ…。行ってみたいな…)

 

 そんなことを考えていたオウガだったが…突然先程通り過ぎていったはずのヒプシロフォドン達が踵を返して戻ってくるのが目に入ってきた。何かに怯えているようだ。

 それと共に、どこか遠く…空を覆う霧の彼方から重低音が響いてくる。その方向へ目をやると、その中から1機の戦闘機が飛び出してきた。それに続いて更に数機、果てはより大きな飛行機も姿を現す。

 

「なんだ? 何でこんなところに戦闘機が…」

 

 そんな疑問が浮かぶ間もなく、戦闘機が動きを見せる。下部のハッチが開き、そこから何かをバラバラと投下し始めたのだ。

 それらはまっすぐ地面へ落ちていくと…轟音と共に炸裂し、草原の一角を吹き飛ばした。爆弾だ!

 

「はっ…? な、何で爆弾なんか! ここには恐竜達がいるのに…!」

 

 思わずオウガが叫ぶが、その言葉が戦闘機へと届くはずもない。その間にもどんどん爆弾がばら撒かれており、それらが炸裂するたびに恐竜達が混乱の叫びを上げる。中には諸に爆発を食らい、体がズタズタに引きちぎれた個体もいた。

 

「…このままじゃ、俺もどうなるか分からないよな。でも、こんな爆弾の雨霰の中、どこへ逃げれば…」

 

 その時、彼の腰に装備されていたディノラウザー…その中に収められたジュラシック・アンバーが激しく発光し始めた。そしてその光がオウガを包み込むと、どこかへ導くように彼の体を動かす。

 

「アンバーが…こっちに行けってこと? 【伝説】さん、どういうことなんですか?」

 

 そう問いかけてみるものの、アンバーから返答はない。これまで経験したことのない事の連続でどうすればよいのか分からないまま、彼は木立の中へ足を進めたのであった。

 

 

 どれほど移動しただろうか。草原や森を襲う爆撃がますます激しくなる中、オウガは川沿いの道を進まされていた。

 一体この先に何があるのか…そう訝しむ彼の視線の先に、巨大な滝が現れた。どうどうと流れ落ちる水の先には、大きな岩のようなものも見える。

 

(いや、違う。あれは岩じゃない)

 

 しかし、近づくにつれてそれが岩ではなく巨大な生き物だと気がついた。その体表は赤褐色の斑模様で覆われており、大きく開かれた口には鋭い牙がずらりと並んでいる。

 その大きく逞しい体や顎や足に対し、筋肉質ながらもあまりに小さな腕…。

 それは、ティラノサウルスに間違いなかった。しかも、何故かそれは滝に打たれながら眠っていたのである。

 

「何でこんなところでティラノサウルスが眠ってるんだ? それに…何だろう、この感覚…」

 

 寝ている場所が場所なだけにオウガはそんな疑問を抱くが、それ以上に彼には気になることがあった。

 いかにも恐ろしい風貌のティラノサウルスが目の前にいるというのに、何故か愛おしく感じてしまうのである。

 もしここにDキッズのメンバーがいれば『元々オウガはそんなもんだろ』と思ったかもしれないが、今オウガが感じているのはそんな憧れや羨望の感情ではない。

 むしろ、このティラノサウルスのことがとても身近な存在だったように感じられてならないのである。

 やがて浮かび上がってきた直感のままに、オウガは呟いた。

 

「レクシィ…?」

 

 そう口に出してから、そんなはずはないと思い直す。レクシィの体色は灰褐色で、あんな斑模様はついていない。何よりその体格はオウガの世界でもよく知られているティラノサウルスのそれであり、レクシィの特異な形質(厚めの鼻面や地面と平行な手の甲など)が確認できないのだ。

 

(でも、この気配は間違いなくレクシィだ。なのに姿は全然違う…。どういうことなんだろう)

 

 目の前の状況と自分の中での認識の乖離を理解できず、オウガはしばらくその場で立ち尽くしていた。

 すると、ティラノサウルスがにわかに身動ぎをした。眠りから覚めようとしているようだ。しかしまだ強い眠気が残っているのか、立ち上がろうとした足がふらついている。その動きを注視していた…その時だった。

 轟音と共にオウガとティラノサウルスの上空を戦闘機が通過したのち、再び戻ってくると…その両翼から2発のミサイルを発射した。ミサイルは推進剤の軌跡を描きながら空を舞い…こちらを目掛けて殺到してくる!

 ティラノサウルスを撃滅するつもりなのだ!

 

「まずい! レクシィ! こっちにミサイルが…」

 

 思わずオウガはそう叫びかけ…言葉を詰まらせた。彼の叫びを聞いたティラノサウルスがこちらを振り返ったのだが、その鈍く輝く琥珀色の瞳はまさしくレクシィのそれだったのだ。

 そこでようやくオウガは、目の前のティラノサウルスがレクシィだと確信を得られた。

 だがその直後、遂にミサイルが着弾し、その姿が激しい光の中へ飲み込まれていく。

 

「レクシィ! レクシィーーーーッ!」

 

 そしてオウガの意識も、同じ光の中へ溶けていったのであった…。

 

 

 

「…はっ!」

 

 その直後、オウガは飛び起きた。肩で大きく息をしながら周囲を見渡すと、そこはいつもの自室だった。どうやら先程までの出来事は全て夢だったらしい。

 大きく深呼吸してから息を落ち着け、それからそっとベッドからレクシィの様子を伺ってみると、彼女はいつも通り専用のペットハウスの中で眠りこけていた。体の色もこれまたいつも通りで、特に変わった様子はない。

 

(何だったんだろう…。変な夢だったな…)

 

 夢の内容を思い返しながら時計へと目線を移す。時刻はまだ6時を回ったところだった。いつもと比べれば大分早い目覚めである。

 

(もうちょっと寝ていたいけど、今日は学校あるし二度寝はまずいよな…。仕方ない。水でも飲んでこよう)

 

 そしてオウガはベッドから起き上がると、眠い目を擦りながら自室を後にする。

 それ故、彼は気づかなかった。

 机に置かれたディノラウザー…その内部のジュラシック・アンバーが仄かに光を放っていたことを…。

 

 




幕間はここまでとなります。
オウガの夢に出てきた見知らぬ世界…これがどこの世界であるかは、ジュラシック・パークファンの方ならすぐピンと来た方がいらっしゃるかもしれません。
それでは、36話前編の投稿まで今暫くお待ち下さい。

第37話の原作「恐竜!荒野の決闘!」に出演する恐竜について、皆様からのご意見を伺いたいと思います。以下の選択肢から1つを選んで回答して下さい。(選択肢3を選ばれた方は、具体的な恐竜を提案して下さると助かります)

  • 原作通りサウロファガナクスを出す
  • アロサウルス・A(風属性)を出す
  • 別の超大型肉食恐竜を出す
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