E月◯日
魔女裁判が行われた。もちろん聖園ミカは裁判の現場にいた。そして私もだ。
シスターフッドが進行を務めた魔女裁判はスムーズに進み、午前中に終わった。
この裁判は魔女を罰する裁判ではなく、魔女の汚名を払拭する裁判。少し前に聖園ミカに庇われた場面が決定的な証拠となって、聖園ミカを虐めていたトリニティ生はひとまず謹慎処分にされ、処罰は追って伝えられる模様。
それで聖園ミカの罪は消えていないがイメージはよくなった。
虐めから人を守るような人が悪意だけでナギサ様やセイア様を傷つけるわけがないと思われたのだろう。聖園ミカに話しかける人も増えたほどだ。
裁判後に私はナギサ様やセイア様、サクラコ様、ミネ様、先生から頭を下げられた。訳がわからない。私じゃなくて聖園ミカに下げるべきだ。虐められていたのは彼女だ。本当に意味がわからない。……いや、もう知らないふりをするのはやめよう。日記の中の私は今ここで死んだ。
聖園ミカからのありがとうという言葉を聞いた瞬間に目頭が熱くなって、膝から崩れ落ちてしまった。本当に嬉しかった。助けた人から初めて感謝の言葉を伝えられて胸が暖かくなった。
ナギサ様やミネ様に褒められて嬉しかった。セイア様や先生に撫でられて嬉しかった。サクラコ様は……少し怖かったけど。
あと緊張というか吐き気や目眩を抑える薬は返してほしい。たしかに副作用で後から辛くなるけどアレが無いと人と話せないから。
E月×日
ミネ様やミカさんのおかげで対人恐怖症を克服しつつある。
ミネ様に無理矢理精神科に連れられて検査したらPTSDを発症していることがわかった。精神病って自分では気づきにくいものだなと再確認した。
そして毎日2人と会話の時間を設けて、たまにセリナちゃんなどにも協力してもらって対人恐怖症を克服する訓練をしていた。
今日はその実戦も兼ねてサクラコ様とお話をした。サクラコ様は話に聞いていたような人じゃなくて優しい人だった。なんとなく抜けている人という印象もあったほどだ。でもすごく笑顔が怖い。なんだろう、中学生の頃に私を虐めていた人を思い出すような笑顔だから、無意識のうちに恐怖しているのかもしれない。
N月△日
今日からティーパーティーの膝下で何でも屋のようなことをすることになった。事の発端は私を目の届く範囲に置いておきたいかららしい。目を離した隙に虐められていないか心配されているようだ。だから仕事を報告する必要を作るように役職を設けたらしい。
ティーパーティーの膝下と言っても政治に参加することはせずに今まで集めてきた資格や検定を活かして生徒のちょっとした困り事を解決すればいい。今日は牽引式榴弾砲のメンテナンスと壊れそうな部品の取り替えを行った。
少しは役に立てているだろうか?
N月⬜︎日
今日はミカさんと銃を買いに行った。私専用の銃だ。
正直言うと専用銃を持つのが怖かった。また壊されるかもしれない。燃やされるかもしれない。そんなことを考えてしまっていた。
しかしミカさんが背中を押してくれたのでオーダーメイドで私だけの銃を作ってもらった。
中学生の頃に燃やされたウィンチェスターライフル『オルレアン』の鉄製部分も使って作ってもらった新しいウィンチェスターライフル『オルレアンの乙女』。
そしてなんだかんだ高校生になってから使い続けてきたハンドガンもオーダーメイドで頼んだ。青い銃身に翼のマークがついたハンドガン『ブルーバード』。
私がミカさんから言われた言葉、『青い鳥』を参考にした。
屋内ではブルーバード、屋外ではオルレアンの乙女、市街地では両方を使用していくことにする。
N月☆日
今日は髪と翼を青色に染めた。昔の私に戻ったみたいだ。私は青い鳥ですから白いままだと青い鳥じゃなくなりますから。
それにシャーレに所属するために証明写真などが必要だったこともあり、染めてから撮りに行った。
そして帰りにナギサ様からお茶会に誘われたのだが、みんな私を子供扱いしすぎる。確かに私は130㎝ほどの身長だけど、膝に乗せられるのは恥ずかしくてたまらない。これでもミカさんやナギサ様と同じ年齢なんだけどな……小学校の時からほとんど伸びてこなかった影響がこんな形で現れるとは。
D月◯日
学園内でブラウニーやキキーモラ、シルキーと言われていることをおっちゃんから聞いた。
私は妖精じゃなくて鳥なんだけどな…。
D月×日
虐められそうな子がいたから守ろうとしたらミカに怒られた。守りに行く前にミカに相談する約束を破ったかららしい。
でも虐めっていうのはタイミングを逃すと永遠に虐められることになるから相談する暇もなく割り込まないと下級生が虐められてしまう。
D月△日
今日は聖園ミカを虐めてやったぜ。黒くて苦い粘液に白い粉を混ぜた物を白い泡に粉で作られた包に入った物を口に入れてやった。
なんて懐かしい書き方をしてみる。
今日はミカと2人でクレープを食べに行った。ミカはチョコストロベリーバナナ。私はエビとツナ、そしてアボカドが入ったおかずクレープを食べた。
同年代と休みの日に2人きりでお出かけをして、スイーツを食べるなんて久しぶりだ。
それに今日は私の部屋にミカが泊まりに来ている。すごく嬉しい。
D月⬜︎日
ミカと一緒にいると落ち着いて眠れた。睡眠薬を使用することも、悪夢を見ることもなかった。なんというか自分を守ってくれるという安心感があったからかもしれない。
D月☆日
今日から新しいノートに日記を書く。
今日はミカがシャーレの当番をしている間にナギサ様とお茶会をしたよ。ナギサ様が淹れてくれた紅茶や作ってくれたロールケーキはとても美味しかった。
それとセイア様のシマエナガ君?ちゃん?どっちかはわからないけど懐いてくれた。私の指に乗ってくれたよ。
D月α日
いいな!私もお茶会したかった!次に空いてる日を書いてほしいな。お茶会したいから。
昨日はいつも通りシャーレでお手伝いをしてたら、ちょっとした事件に巻き込まれたけど一瞬で解決できたよ。
今日は午後から授業がないから一緒に遊ぼうね☆
D月☆日
今日は聖園ミカを虐めてやったぜ。
私が書いた日記を読ませて、明日にはアイツに起きた出来事を書かせるようにノートを用意してやった。お互いに日記に使っているノートを交換するという作業をさせる。
せいぜいノート1冊分をすぐに使い切るようにするんだな!
あとがき
読者の皆様、ご愛読ありがとうございました。
これにて【聖園ミカを虐めている生徒の日記】を終了とさせていただきます。
最初考えていたものよりも90度ほど曲がってしまいましたが作品を完結できたことが喜ばしいかぎりです。
最初は主人公ちゃん……皆様から貰った名前、通称「やったぜちゃん」をポンコツっ子にする予定だったのですが感想欄で
二重人格か?過去に何かありそうですね(ニヤリ)
のような感想をいただいて
まずい、何も考えていなかった。となった結果辻褄を合わせまくりました。
つまりこの作品の設定の9割はその場のノリと勢いで作り出された作品だったのです!
そんな作品にも関わらず、多くの人が高評価をしてくださり恐悦至極でございます。
それではここまでのご愛読ありがとうございました。
もし次を書くとしたらミレニアムになるかもです。