この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
歌マクロス復活でモチベめっちゃ上がってまァす!!!
例年と異なり学内でのみ開催となった文化祭当日。
それでも例年に劣らない程盛り上がっているみたいだ。A組は10時からだから、それまでに準備を終えていないといけない。
まぁそれ以前に、私はミスコンの最終確認をしなきゃいけないわけだけど、それはもう終えている。
現在の時刻は8時45分過ぎ。
「そろそろだなァ! ソワソワしてきた…!!」
「明鏡止水…落ち着きましょう上鳴さん」
「明鏡止水…」
「つか爆豪、Tシャツ着なよ。せっかく作ったんだから」
今はA組みんなの所へ戻って衣装や楽器などのチェックをしている最中だ。
本番はもう目前故、楽しみにしている人もいれば緊張している人もいる。
「ダンスの衣装もバッチリ! 既製品に手加えただけだけど!」
「くしゃくしゃになっとるよ?」
「エロけりゃいい!!」
おい最後……まぁ逆に平常運転な人がいるからこそ緊張も緩むものだ。
今だけは彼の平常運転に感謝しないと。
そういえば……。
「出久くんいないね?」
「あぁそれなら、ロープを買いにホムセン行ってるぜ?」
「えぇ?」
何故わざわざ当日に?って思ったら、理由を聞いて納得した。
それでもいくら何でも遅すぎる…彼が道草する人ってのはないし……電話もしてみたけど出てくれない。
『――グッドモーニングヘイガイズ!! 準備はここまでいよいよだ!! 今日は一日無礼講! 学年学科忘れてハシャいでいけ!!! そんじゃ皆さんご唱和ください……雄英文化祭!!! 開・催!!!!』
山田先生のアナウンスによる文化祭開催が宣言された。体育館をライブ会場にして待機している私たちにも聞こえる程、学内での歓声が聞こえる。
そうなってもなお出久くんが帰って来てない。
あと一時間しかないのに……皆も出久くんのことで慌て始めてる。
特に爆豪くんは……うん、怖い!!
でも彼は必ず戻って来てくれる…それを信じて今は最後のチューニング確認を――
「――え?」
瞬間、いきなり『
どういう……
「うわっ! ちょ、天堕!?」
私は楽器を外し、響香ちゃんに押し付け、皆の制止を無視して飛び出す。
開催までもう時間はないのに一向に戻ってこない出久くん。
連絡しても出ない…そして『
嫌な予感がする…外に出る前に私は口ずさむ。
『
ドクンッ!!!と心臓が高鳴りながら、私は紫の輝きに包まれた。
肌にピッタリと張り付く紫と白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両腕にはそれぞれ一本ずつの黒色の細長く先端が鏡のようなものが付けられている布が伸びる。
両脚には紫の厳つい機械装甲を、頭部の前面には獣の牙の様なバイザーを装着し、最後に後頭部には円盤の装置が装着された。
『
外出許可を今取ろうとしてもダメだ…だったら一番高い位置から確認すればいい!!
屋上に付いて即行で切り替え!!!
そして『イチイバル』の『聖詠』を口ずさむ。
心臓が再び高鳴りながら赤い輝きに包まれた。
肌にピッタリと張り付く赤と白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両足には白と赤の足首の左右に装備が付いたストッキングを装着。
腰には正面が開いた輪っか型の装甲が装備され、更にその背面には尖ったリボンのような大きなスラスターを装着。
両腕には装甲が薄いガントレットを装備し、頭部には上面に3枚の装甲、左右の耳には真ん中に楕円型、そしてその上下に六角形の筒のようなものを装備した。
『
同時に頭部も変形させてバイザーを開き、ガントレットはスナイパーライフルにした。
位置は『
「……! あそこか!!」
スコープとバイザーを重ねることによる長距離の目視確認。
映し出されたのは【フルカウル】を纏い、一人の老人と一人の少女らしき二人組を抑えようとしている出久くんの姿だ。
今ここで撃てば銃声で文化祭が中止になる……うまくライフルの銃口を変形させてサイレンサーにする。
同時にマガジンをライフルにセットし、排莢を引いて弾丸を込める。
そして狙いを定めて銃爪を引き、サイレンサーであるために音が響くことなく弾丸が出久くんたちの元へと飛んでいく。
大丈夫…念のため弾丸は雄英外に出るまでは【光学迷彩】で見えなくなってるはずだから、周りにはバレないはず…!!
——◆——
同時刻、雄英外森林。
そこでは文化祭中の雄英に侵入し歴史に名を残すがために来た『ジェントル・クリミナル』とその相方『ラブラバ』。
偶然にも遭遇してしまった緑谷が、それを阻止するため交戦していた。
ホームセンター付近での戦闘は現在に至るまで長引いてしまっている。
「君は――何のためにヒーローを志す!?」
そしてジェントルは本来撤退用としての最終手段であるラブラバの"個性"『愛』にて激的に強化した身体能力・"個性"を駆使しており、緑谷も『OFA』で諦めずもがいていた。
「同じだジェントル! 僕だけの夢じゃない…身の丈に合わない夢を! 心の底で諦めてしまった夢を! 笑わないでくれた! 認めてくれた皆に、応えたい! 辛い思いをしてきた人に――明るい未来を示せる人間になりたい!!」
二人が激しく戦闘を繰り広げる中、ラブラバはパソコンを開き雄英へのハッキングを行おうとしていた。
「(私は…ジェントルの為に、やるべき事を――ッ!? ここじゃ、まだ無線がギリギリ届かない…!!)」
しかし位置がまだ遠い故、完全はハッキングが出来ない。
ラブラバはパソコンを持ち、土を身体に擦り付けながら雄英へと向かおうとした。
その瞬間だ。
「――キャア!?」
「ラブラバッ!?」
ラブラバの進行先に、赤い弾丸が着弾した。
「何、これ…?」
「(あれは…!?)」
二人は困惑する。
雄英からは目から見てもまだ遠い。
加えてここは森林故、それらに特化した"個性"でもない限り目視や確認は森だろう。
しかし今ここに、ピンポイントで着弾した弾がある。そして次の瞬間、更に多くの弾丸が彼らに襲い掛かった。
「…ひょっとして!」
それを見た緑谷は思わず雄英の方へ振り向く。
遠く故見えないが、恐らく自分たちを見ている。
そうじゃないと、こんなことできないから。
だがあの赤い弾丸を使う人物は緑谷自身の知る中では一人しかいない。
故に確信し、思わず笑みを浮かべる。
そして立ち上がった。
それに気づいたジェントルは、ラブラバに木を盾に隠れるよう呼びかけながら、弾丸を避けつつ緑谷へと駆け出す。
緑谷もまた弾丸の動きに合わせながら駆け出した。
一方で突然の乱入である攻撃にラブラバはただ隠れることしかできない。
今いるこの場所でのハッキングはできない故、雄英に少しでも近づかなければならないがそれができない。その状況が彼女を焦らせていく。
それでも動かなければと、動こうとした瞬間――
『殺傷能力は抑えてるけど、痛いのに変わりないから、怪我したくなきゃそこから動かないことをおすすめするよ』
突然声が聞こえた。
ラブラバが咄嗟に振り返れば、そこには着弾した弾丸の一つがあり、スピーカーに変形して、そこから幻神の声が音声として発せられていた。
『いろいろと言いたいけどとりあえず…あなた達が出久くんが戻ってこれない原因、元凶でいいんだよね?』
「嘘…!?」
雄英にバレている。
出久とは十中八九、緑谷出久という名前で今ジェントルと戦っている少年のことであり、ここに降り注ぐ弾丸たちは雄英からの援護。
そう確信させるには十分すぎる程、ラブラバは理解してしまった。
『見た感じ、あなたはあのおじさんに強化バフでも掛けてるって感じかな? 明らかに"個性"が一つって感じの戦闘じゃないもん。なんでわかるかって? 女の子って想い人のために何でもする生き物だからすっごいわかるの……あなたもそんな感じじゃないの? でもだからってやっていいことと悪いことがあるよね。私たちがこれから楽しむ文化祭はこれまでとは訳が違うの。だから絶対に阻止させてもらうよ。それと――あたしらをなめんてんじゃねぇぞ』
スピーカー越しから聞こえる声が『雪音クリス』へと変わっていた。
同時にスピーカー越しでも伝わる謎の圧に、ラブラバは息が出来なくなっていた。
一方で緑谷は森林内に入ってから姿を現す複数の弾丸に合わせて動き、ジェントルも必死に喰らいついていく。
だがいくらラブラバの"個性"強化しようにも、純粋にして受け継がれてきた力の結晶には届き得ない。
速度で勝っていたさっきと違い、降り注ぐ弾丸のせいでジェントルは思う通りに動けずにいた。
「(このままでは…!!)」
すると弾丸の一発が足に命中し、貫通まではせずとも激痛が走る。
「ぐっ! しまっ――!?」
更に空中での着弾であったがため、体勢が崩れた。
その隙を緑谷は見逃さず一気に飛び上がり距離を詰めながら足を構える。
「(【シュートスタイル・セントルイス スマッシュ!!!!】)」
そしてジェントルの顔に綺麗に【セントルイス】を蹴り込んだ。
ジェントルは地に蹴り落とされ、同時に強化状態も解けていく。
そのまま抵抗も出来ず緑谷に再び抑えられた。
「そ、そんな…ジェントル……!」
目の前でジェントルが倒された。
それを目の当たりにしたラブラバの表情は絶望に染まり大粒の涙を漏らしていく。
同時に緑谷の勝利であることを知らしめるように、弾丸もまた止んでいた。
「嫌…やめてよ、放して…ジェントルを放して! 放して!! 嫌よ!!! ジェントルが心に決めた企画なの!! 大好きなティーブレイクも忘れて準備してきたの!!!! 放せ!! 何が明るい未来よ!? 私の光はジェントルだけ、ジェントルが私の全てよ!!!! ジェントルを奪わないでよォ!!!!!」
「……ッ」
涙ながらに叫び、緑谷をひたすら殴る。
しかしひ弱なその拳では、彼を怯ませることもできない。
だが緑谷は、とても困った表情を露にしていた。
「(ラブラバ………)」
——◆——
雄英高校屋上。
「………ッ」
スコープとバイザー越しで出久くんの状況を確認してるけど、もう抵抗する気配がない。
赤髪の子はひたすらに出久くんを叩いてるけど、出久くん自身が反撃しないのと、彼女が泣いてるのを見て私は引き金を引けなかった。
周辺を確認すれば、先生方の姿が微かに見える…念のため着弾した弾は全部消しておいたけど、このまま遭遇すれば最悪文化祭は……。
「なっ!?」
するとおじさんが出久くんを抑えられていながらも吹き飛ばして、仲間である彼女を抱き寄せた。
そしてその数秒後、先生方がおじさんたちの元に現れた。
ハウンドドッグ先生がおじさんに尋問し始めるけど、会話までは聞こえない。
だけどすぐに出久くんが戻って来て、何か話し始めた。会話が聞けないからいったい何を話しているのか分からない……出来れば中止にならないで欲しい。そう願いながら見届けるしかできない。
そうしていると、ハウンドドッグ先生とエクトプラズム先生ら数人がおじさんたちを連行していった。
出久くんは残っているエクトプラズム先生と一緒に雄英とは逆方向に走っていったけど……何で?
でも警報と中止の放送が流れないってことは…つまり、そういうことなんだよね?
「……はぁ…よかった」
バイザーを解いて立ち上がり、そのままライフルを離して腰を抜かしながら息を吐く。
文化祭は何とか継続されるみたいだ……一安心だ。
本当に力を抜いて"個性"を解除すると、スマホから着信音が鳴り出しているのに気づいた。
『どこにいんの天堕!!! もう始まるからすぐに戻って来て!!!!!』
だけど応答して耳に当てた瞬間、響香ちゃんの声が脳にまで響いた。
「あぁごめん! すぐに戻るからァ~!!!」
私は謝罪しながら急いで体育館へと走り出した。
ライブは次回だぜェ!!!!!
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