Fate/stay alive   作:伊良部修平

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2日目 第3戦 2ndウェーブ②幕間

 

「あれが、昨夜のマスターか」

背中から伸びる異形の尻尾を操り、青黒い炎を纏う男の猛攻を凌ぐジョエルを、ランサーはじっと眺める。

左腕を負傷しているのか、時折庇うような動きを見せつつも、残る身体を使って上手く立ち回っている。

最早、対面しているセイバーへの興味が失せ、戦いの熱も冷めていく。

『貴女の結界は、宝具も防げるのではなかったのかしら?』

『来る者拒まず――戦に、乱入者は付きものであろう』

念話越しでも解る不服そうな自身のマスターの声に、ランサーは然もありなんとばかりに応じる。

『内は強固にしたが、外から見える者のために開けておいただけだ』

戦いに独自の美学を持つランサーへ、玲瓏館美沙夜は小さく溜息を吐いた。

『それより美沙夜。あのマスターと戦っている者は、サーヴァントで相違ないか?』

『――ええ、クラスはバーサーカーで間違いないわ』

ランサーと視覚を共有し、他者を嘲るような笑みを浮かべているサーヴァントのステータスを確認する。

能力値は、中から上程度――『狂化』のスキルによる補正を考えれば、本来の能力はそれほど高くない英霊なのかもしれない。

身に帯びる炎に遮られて細部まで判別できないが、服装はランサーの戦装束とは違い、現代に近い洋装をしている。

神秘が現代へ近づくほどに薄くなるのと同様に、その力を色濃く宿した英雄もまた古い時代に偏る。

このサーヴァントが現代ないしは近代の英霊であるかは分からないが、真名を推測する手がかりの一つになるだろう。

「おい、セイバー」

ランサーは視線をジョエルから外さぬまま、先程まで矛を交えていたセイバーへ声をかける。

「あのマスターをどう思う?」

不意に呼ばれたセイバーは、その意図を察し、如何ともし難い表情でジョエルを見つめた。

「そうだな、死に行く兵士を見ている気分だ」

迫りくる死に抗いながら戦うジョエルに、セイバーは否応なく憐憫の情を抱いてしまう。

その姿が、かつて共に戦場を駆け抜けた兵士たちと、あまりにも重なって映った。

「確かにな。足掻いてはいるが、あれは今回で死ぬ」

如何に異なる時代であろうとも、生死を分かつ戦場を生きた者同士の共感なのだろう――ランサーもまた、その見立てに同意した。

「だが、俺はそう思わない」

セイバーは静かに首を横へ振った。

「ほう、なぜだ?」

「根拠と言えるものはないんだが……」

疑問を呈するランサーに、自身の頬を掻きながら視線を下へと落とすセイバー。

「俺のマスターが、そう思っていなくてね」

視線の先にいるルヴィアゼリッタが、無言でジョエルを見つめていた。

 

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