Fate/stay alive   作:伊良部修平

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1日目 第1戦 1stウェーブ⑤幕間

※オルハンの視点

一方その頃、オルハンとセナは、新たに侵入してきた三人の兵士を倒し終えていた。

リーダーの男の指示で裏口から入った兵士たちは、通路の奥から鳴り響く銃声に向かって進んでいった先で、横からオルハンたちの襲撃に合い壊滅した。

「楽勝だったな」

「うん。これってジョエルが、しっかり釣ってくれたお陰だよね」

セナの言葉にオルハンも激しく同意する。現にジョエルが向こうで今も戦ってくれなければ、こうも簡単に成功しなかっただろう。

どんなに優秀な兵士でも、お互いが一撃必殺たりえる銃を持った状態で、一対多数の戦闘なんてやろうとは思わない。

にも関わらず、ジョエルは進んで自身を囮にし、この状況を作り出してくれた。

――一体、何のために? 

正直なところ、オルハンはジョエルに対して、悪い印象は持っていないが、それ以上に得体の知れない奴という印象が強かった。ここ最近、町に出入りしている連中とは少し毛色が違うようだが、その連中だって決して一枚岩である確証はない。

何か同じ目的のもとに、それぞれが個別で動いているように思えてならない。

そして先程の会話の中で、かすかに聞こえてきた『魔術』という言葉。

数年前まで傭兵として生計を立てていたオルハンも、戦場でまことしやかに囁かれていた、異質な力の存在を耳にしたことがある。それは童話やコミック、映画などでも出てくるようなものと同様に、常識の範疇を超えたものであると言われている。

仮にジョエルがその一派だったとしても、こんなゆきずりの相手二人のために命を張る理由がない。

「それにしても、何でジョエルは『あんな重たい散弾銃(ショットガン)』使ってるんだろ? オルハンの銃借りればよかったのに」

「ん……ああ、そうだな」

オルハンは自身の持っている散弾銃(ショットガン)――レミントンM870を見た。

確かにセナの言う通り、ジョエルの使っているあの銃は、フランキ・スパス12といわれ、オルハンの銃と同じ銃種ながらも重量が約1キロも違い、散弾銃(ショットガン)の中でも重い部類に入る。

身近なもので例えるならば、水の入った2リットルのペットボトル2本分に相当し、それを緊迫した状況下で水平に保ちながら戦うのだ。

使用するのはショットシェルといわれる弾で、基本的に弾薬の中に複数の小さな弾が入っていて、発射直後に飛び散る仕組みとなっている。

なので突撃銃(アサルトライフル)など現代の主力銃と違い、射程距離が短く接近戦に特化しており、こういった屋内での戦闘において有効な銃種と言えよう。

それ故に散弾銃(ショットガン)には、より使いやすさが求められる。簡単な操作、安定した動作もさることながら、重量も軽い方が使い手に好まれる。

そのどれもオルハンのM870に劣っているのが、ジョエルのスパス12なのだが、あの銃には『独特な機構』が組み込まれていて、とてもピーキーな造りとなっている。

「単純に他人の銃を使いたくなかったんじゃないか?」

どちらが優れているかなんて、比較してしまえば簡単に決まってしまうが、オルハンは何より自分が持っている銃であることが一番の理由だと考える。

銃に命を預けてきた兵士ほど、自分で面倒を見ている銃がいかに重要かを知っている。ましてや今日初めて来た店の戸棚の中にあった銃を信用できるわけもない。

「……ジョエル、大丈夫かな?」

どうやらセナはジョエルのことが気掛かりなのか、心ここに在らずといったような様子だった。

英雄(ヒーロー)と呼ばれる言葉が概念事抜け落ちたようなこの町では、ジョエルの行動は不可解であり、魅力的に映っているのかもしれない。

「……助けにいく?」

セナの問いにオルハンは首を横に振った。

「いや……行かない」

今も尚、銃声が鳴る場所へ入る気にはなれなかった。

それはセナも同じ意見のようで、「そうだよね」と歯切れの悪い相槌を打つ。

これが真っ当な選択であることは、この町の人間のみならず、万国共通の認識である。

危ういところ助けてもらった代わりに、自分も一緒にさらなる死地へ飛び込む奴なんていないのだから。

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