乙女ゲーの世界は財団(偽)の想定の範囲内 作:とりマヨつくね
原作:乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です
タグ:R-15 オリ主 神様転生 アンチ・ヘイト 転生 憑依 クロスオーバー ACVD 財団 UNAC アンチヘイトは一応 モブせか 乙女ゲー世界はモブには厳しい世界です
人気が出たら続編を出すかも?
ホルファート学園の夏休み初日。
以前より話題となっていた、ラーファン子爵家令嬢マリエを筆頭とする王太子陣営と、レッドグレイブ侯爵家令嬢アンジェリカを筆頭とするリオン陣営による決闘騒ぎ。
決闘の内容は
歴史が長い学園でも中々見られない決闘に、生徒達の間で大規模な賭博が行われている。
そして今日、その結果が分かる。
王太子陣営はユリウス王太子、ブラット、グレッグ、クリス、ジルクと、ユリウスはもちろんのこと他にも上位貴族の子息という錚々たるメンバーだ。
その背後には白、紫、赤、青、緑とカラフルな彩りの全高5メートルほどの鎧が並んでいた。
一方のリオン陣営はリオンしかおらず、『もう一人』はおろか鎧にすらなかった。
アンジェリカは周囲に全く鎧らしき物が無いのを見て、リオンに詰め寄る。
「おい、バルトファルト! 鎧がどこにも無いじゃないか! あれだけ強気なことを言っておきながら、用意出来なかった訳では無いだろうな!」
「━━━━大丈夫、今着きました」
『アロガンツ、来ます』
姿を消しているルクシオンがそう言うと、リオンは空を見上げる。
それに釣られてアンジェリカが見たものは、小さな黒い影だ。
数秒間の間をおいて、影はその大きさを増していきリオン達の前に落下する。
それは全身を黒一色に染まった鎧だ。
見た目は騎士の鎧を思わせるユリウスの物とは異なり、角張っていて無骨な兵器のテイストを感じるデザインだ。
アロガンツの姿を見た観客は━━━盛大に爆笑する。
「……お前、これで戦うつもりか?」
「ま、見ていてくださいよ」
自信満々に言うリオンにアンジェリカは半眼を向けていると、隣にいたオリヴィアがおずおずと聞く。
「あの……っ、何で皆さん笑ってるんでしょうか」
「お前……本当に何も知らないんだな。あの鎧は恐らく、ロストアイテム。現在の技術では確かに再現不可能な代物だが、強さの指針にはならない。加えて、今の鎧は高機動戦闘が重視されており、パワーと装甲に特化しているだろうあの鎧は型落ちだ」
その説明を聞いてもあまり出来なかったのか、オリヴィアは頬に指を当てて首を傾げていた。
「でも、何だか可愛いですよ」
「それはお前の感覚が可笑しいのだ……それと
「ここにいるよ」
アンジェリカの言葉を遮るように、一人の男が姿を現し手を振るっていた。
肌は血色が悪く、目の下には大きなクマを作り、丸メガネをつけた姿は制服こそしっかり着こなしているものの、完全にマッドサイエンティストのそれである。
『おせぇぞ、アイザック!』
「いや、申し訳ない。最終調整に少し手間がかかってね。まだ試合が始まってなくてよかった」
アロガンツの拡声器越しから聞こえる悪友の声に、アイザックと呼ばれた男は、平謝りをする程度でVIP席に腰を下ろした。
そのあまりにも自然な流れに唖然としていたが、すぐに我に返って男に向かって言う。
「お、おい! お前も決闘に参加するんだろう!?」
「ん? いや、僕自身は参加しないよ」
「はぁ!? 貴様、ふざけているのか! それに数は集めるとか言ってといてこれはなんだ!」
アンジェリカは男の襟を掴んで怒りを露わにし、オリヴィアはあわあわとしながら仲裁に入ろうとする。
数秒ほど男は眉を寄せていたが、すぐに理解したのか手のひらをポンと叩く仕草をする。
「ああ、なるほどそう言うことか。それだったら、あと六秒後に来るよ」
男が不敵な笑みを浮かべると、上空からバラバラと言う音が聞こえてくる。
音のした方へと目を向けると、複数の浮遊体がこちらに向かって来ていた。
やがて浮遊体はゆっくりと降下し、その風圧が直にくる。
「クッ……これは!?」
「F21C STORK、私たち『財団』が所有する鎧搬送用ユニットだよ。そして━━━━」
ある程度の高度まで下がったF21C STORKは、一斉に固定を外し懸架していた鉄の塊が降下する。
降下する四つの鎧は地面に着地をする直前で、炎を噴き出して勢いを殺して音もなく着地する。
「UNACさ」
飛来した鎧は、アロガンツよりも無骨で機械的で何よりも生気を感じなかった。
紅いセンサーが妖しく輝き、アロガンツのことを笑っていた観客達はその不気味さにどよめいていた。
ただ一人、男ことアイザック・フォウ・ザイダンを除いて。
「さて、役者も揃ったことだ。さっさと始めよう」
━━━━メインシステム、戦闘モード起動