"財団"によるUNACの暴走、そして未確認兵器による襲撃を退けたとある傭兵。
彼はその後、ただ一人ヴァーディクト・ウォーに様々な形で身を投じていた。

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皆さま初めまして。そして御目通しいただきまして、誠にありがとうございます。
こちらの作品は、2024年3月31日にサーバーが閉鎖されたゲーム「アーマードコア・ヴァーディクトデイ」の二次創作となります。原作をプレイされた方向けの内容となっていますので、御容赦ください。
「あの世界」における終戦の形が、こんなものだったら良いなというコンセプトの作品となります。
何分初めての投稿となるので書き方やフォーマットの使い方など至らぬ点は多々ありますが、楽しんでいただけましたら幸いです。


ある日、道のはずれで咲く花は

「タワーを巡る戦いは、もう始まった。それはすべての破滅まで続く。」

 

「だが、もし。君が例外だというのなら。」

 

 

 

「ならば、生き延びるがいい。君にはその権利と義務がある。」

 

 

 

 

 

……"財団"を名乗る男の言葉から、一体どれだけの月日が流れただろうか。

輸送ヘリの振動を体に感じつつ、ひとり物思いに耽る。

記憶の薄闇から、荒れ果てた世界を生き抜くために、必死になって傭兵稼業を始めた頃の自分が浮かび上がる。

金を稼いで、何とか動く中量二脚型のACを調達できたこと。

操縦もそれなりにこなせたこと。

幸運にもある日、元傭兵のオペレーターと、ベテランの運び屋の二人組と、仕事を一緒に始められた事……

時には気楽な無所属の傭兵として、またある時は3大勢力の何れかに属して、長い、永い闘争に明け暮れていた身でも、あの二人との出会いと、共に過ごした日々は不思議と鮮明に覚えているものだった。

だがそれも、戦いの日々の中で死ぬか、あるいは「摩耗」して、思い出せなくなってしまうのかもしれないと、

小さくも確実に身を苛む不安が、心に巣くっていた。

 

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その日は変わらず、依頼を遂行する日だった。

拠点でACを整備・調整し、雇い主の傭兵集団の下へ赴く。

大気の砂塵が装甲をかすかに叩く、いつも通りの薄汚れた曇りの日。

今日も今日とて、他者の争いや暴力を代行する、日常。

輸送されるACのコックピットで、深く息を吐いた後、心持ちを切り替える。

 

3大勢力による果てのない大規模な戦争、『ヴァーディクト・ウォー』。

その戦場での主役は、もっぱらACだった。

勢力専属のパイロットたちも存在したが、ACを駆っていたほとんどは、各勢力によって雇われた傭兵達だった。

そして傭兵同士による争いは、日常を歪に変えて馴染んでいった。

一昨日はヴェニデがEGF領地へと侵攻した。

昨日はEGFによる大規模な反攻作戦が展開し、ヴェニデを退けた。

なら今日はシリウスがそれに乗じて守備が手薄となったEGFを攻めるか、或いは一緒になってヴェニデを叩くだろう。

そしてきっと明日も、戦火は収まらずにヒトとモノが際限なく失われ、傭兵達は食い扶持を確保するのだろう。

それはいつの日も、いつの年になっても変わらない。

……その筈だった。

 

終わりというものは、意外で、そして呆気のないタイミングで訪れた。

 

領地内へと侵入したシリウスのAC戦力に対する迎撃作戦の依頼。

そこに集ったのヴェニデに属する雇い主たちと、数合わせの傭兵たる自分。

なにも珍しくはない、よくある構成だった。

ブリーフィングを開始し、地形や各自の機体構成・戦法、基本的な位置取りなどの情報を簡潔に共有する。

その他の細かいすり合わせは、雇われの自分がアドリブでやればいい話だ。

作戦開始時刻となりヴェニデの輸送ヘリに揺られ、戦場へと向かう。

合図と同時に、ヘリから自機を含めたAC4機が降下する。

作戦目標のシリウスAC戦力も、ほぼ同じタイミングで防衛陣形を展開し始めていた。

各種コンソールを操作し、携行武装とFCSの同期、駆動部のチェックなどを手早く終え、システムを立ち上げる。

「メインシステム 戦闘モードを起動します。」

胎内の赤子へ向ける母の言葉の如く、耳に馴染む音声。

それはACが目覚め、そして眼前の敵へと牙を剥く合図だ。

4対4、合計8機のACが、互いの相手へと飛びかかろうとする、その時だった。

 

「両軍戦力に通達する。我々の代表たちの講話により、休戦が決定した。これ以上の戦闘行為は協定違反であり、即ち諸君らシリウスの代表や、我々ヴェニデの最高指導者の意向に反する行為となる。直ちに戦闘を中止せよ。繰り返す。直ちに戦闘を中止せよ。繰り返し両軍戦力に通達する……」

 

広域通信にて、ヴェニデ側の指揮官らしき女の声が聞こえた。

威厳と怜悧(れいり)さを感じさせる声だが、しかしどこか普段の様子とは違うようだった。

各勢力のトップ間の取り決めによる一次休戦。それ自体は決して珍しい事ではない。

しかし和平とは建前で、実際は勢力間の消耗と疲弊を埋め合わせる為というのが現実だ。

だから休戦期間中はただの休みというワケではなく、普段では対処できないような各地の未確認兵器群を調査、もしくは排除するために動く、というのが3大勢力と傭兵達の間での不文律となっていた。

勢力は後顧の憂いを断つための、また傭兵たちは自らの腕を試し大金を得るための機会を、それぞれ得られるのだ。

だから今回もいつもと同じだろう。

また一週間、ともすればたったの数日でいつもの戦争状態に入る。

きっとそうだと、決めつけていた。

だが女の広域通信は、続きの言葉で我々の日常を奪い去った。

「新たに入電があった。今回の休戦により、シリウス・ヴェニデ・EGFによるタワーの調査、その全面中止を決定したとのことだ。詳細は文章にて送るが、今後はもう諸君らが争いあう必要はない。……お互い十分やり合っただろう?」

ヴァーディクト・ウォーの目的、それは世界各地の「タワー」を手中に収める為だ。

その中には旧時代の遺物やロストテクノロジーが眠っており、今の人類にとって進歩の起爆剤であり、また脅威でもある。

その争奪を中止するという事は、戦争の根本の目的が無くなってしまう。

つまりこの休戦とは、事実上の終戦であると、確かにそう言ったのだ。

柄にもなく慌てて、コックピット内の端末に入ってきた詳細に目を通す。

確かにそこには、「他勢力に対する一切の戦闘行為の停止」を取り決める文章と、各勢力の代表者の署名が見受けられた。そして各地に点在する7つのタワーの処遇は、各陣営がそれぞれ2つのタワーを厳重に管理・封鎖の下に置き、残るNEW FRONTIERエリアのタワーを共同で管理し、こちらも同じく一切の干渉と侵攻を禁止する、というものだった。他のページには、代表者たちによる、超長期間の戦争行為によって失われた生命・資源に対する深い反省と謝罪の言葉と、それを踏まえての今後の世界への思索が述べられていた。

どの代表者たちの言葉も形式ばったものでなく、自分の想いをたとえ言葉や文章が崩れたとしても、これを読む全ての人間へと届けたいという、不器用さと直向きさを感じさせる。

そして、いずれも最後には、今まで戦場を駆けてきた全ての兵士・傭兵達への深い感謝と労いの言葉が綴られていた。

 

戦争が、終わる。

 

身体の奥底、その核にまで染み付いていたものが、するりと抜けていく感覚が襲う。

 

何時もの日常が、もうやってこない。

 

 

果ての無い闘争の世界は、遂に終戦という形で、終わってしまったのだ。

 

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シートに背を預け、今の状況を整理しようとする。

しかし、身体に思うように力が入らない。

できる事といえば、情けなくため息を漏らすことだけだ。

それは己が存在を最も輝かせることの出来るプリミティブな舞台を失った事への悲嘆か。

あるいは、これでやっと解放されるという、安堵か。

自分でも、もはやはっきりと区別できない。だが自分の事だから、きっと両方なのだろう。

自分の胸中から湧き出る感情で、全身を満たす。

今までの人生を振り返っても、こんな心持ちは滅多になかった。

 

ひとしきり感傷に浸ったのち、一つの疑問が脳裡を掠める。

 

 

自分たちは、どうなる?

 

依頼を出す原因がなくなってしまった以上、もうどこかに侵攻したり、どこかを防衛したりということもなくなってしまう。

ACを動かす必要がなくなるのは、即ち収入がなくなる。

所謂「商売あがったり」、というヤツだ。

代表者たちの声明文には、軍備縮小と保有兵器の順次廃棄のほか、全ての傭兵達へ、各地域の自警団の仕事や、戦闘に関わらない別方面の仕事の斡旋をサインズを通じて行うことを発表していたが、おそらく今までの仕事とは比べるべくもない、安全なものだろう。

 

本当はそれを喜ぶべきなのだ。

命を張る必要は、もうない。

 

だが、それでも。

心に大きな穴を穿たれてしまった。

 

自分は、戦いも無しにどうやって生きていけばいいのだろう。

荒事の類でしか生きる糧を得られなかった者に、今更何ができるのだろう。

……コックピットで考え耽っても、答えは得られそうにない。

それにいつまでも動かずに交戦の意思ありと判断され袋叩きに遭う、などは御免被りたい。

脱力した体と脳に鞭を入れ、この場を後にすることにした。

今後を考えるのには、どこかは分からないが、きっとコックピットよりは適した場所があるのだろうから。

ACの武装を解除し、システムを通常モードへと移行させる。

今生の別れになるかもしれないと、愛機の操縦桿を握る力が強くなる。

目的地へのルートを簡潔に設定し、ブースターを起動する。

雇い主のヴェニデ勢力面々に別れを告げようとした、その時だった。

 

「そこの傭兵の方!聞こえますか?貴方に"お迎え"が来ていますよ!」

溌剌(はつらつ)とした、真面目そうな若い男の声だ。

こちらの回線チャンネルを知っているという事は、恐らくヴェニデの者だろう。

しかし、迎えのヘリを依頼した記憶はない。

ならば、一体誰が……

 

「よう、おつかれさん。しっかり生き残ってたようで何よりだ。最後くらい、お前を載せてもいいだろう?」

 

その後程なくして機体周辺に現れた、一機の大型輸送ヘリ。

陽気で、こんな荒れ果てた世界の中でもユーモアを忘れない、芯の強さを持った声。

自分はその声の主を、よく知っている。

機体に大きく描かれた、彼の人柄を象徴する太ったコウノトリのエンブレム。

ベテランの運び屋(ストーカー)。『幸運を呼ぶ男』。

そして、かつて共に様々な戦線をくぐり抜けてきた戦友。

 

ファットマンだった。

 

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ファットマンのヘリにACを固定してもらい、そのまま彼の操縦で機体が空へと飛び立った。

揺れこそするが、行きのヘリとは比べ物にならない安心感が心身を満たす。

 

「いやいやお前さんが生きてて何よりだ。じゃなきゃ、俺も寝覚めが悪いってもんだよ。」

 

彼はあの頃と同じように、朗らかに話している。

自然と口角が緩み、自分も口が軽くなってしまう。

何故、終戦を迎えたのに自分のもとへ来てくれたのかと尋ねた。

 

「お前さんがあのイカレ野郎をぶっ飛ばした後、独立して仕事を始めただろう?自立はいいことだが、どうもオレはお前さんがずっと気がかりでな。もしお前が傭兵を辞めたか、戦う必要がなくなった時が来たら、とっておきの場所に連れて行こうって決めてたんだ。まぁ、ジジイなりの心配ってやつだよ。」

 

彼の温かい人間性に、冷えて凝り固まった心がひたすらに解きほぐされる。

 

「それに、今日はまだ曇りだ。いつだかアイツにも言っただろ?辞めるのは晴れた日って決めてるんだ。」

 

ユーモアのセンスも相変わらずだ。

すっかり"あの頃"に戻ってしまった自分は、久方ぶりの彼との会話を楽しむ。

そういえば、彼の言うとっておきの場所、というのはどこだろうか。

 

「あぁ、それはな、野暮用で立ち寄ったFAR EASTエリアで見つけたんだ。まぁ、実際見てのお楽しみだ。」

 

……FAR EASTか。

今の拠点とは離れた地域だが、それを気にするのはこの際、野暮というものだろう。

余計なことは考えず、彼とのフライトを満喫することにしようと決めた。

他愛もない世間話、別れてから経験した各々の土壇場の話、過去の思い出話。

彼との会話は弾み、留まるところを知らない。

しかしふと、ファットマンは少しトーンを落とした語り口で話し出した。

 

「心配、って言ったがな。あれは冗談なんかじゃない。お前さんの独立には、あのイカレ野郎の言葉が悪く影響しちまったんじゃねぇかって、思っちまったんだ。あの時、俺は一丁前にアイツに吠え返してやったが、実際にアイツの人形どもを相手取ってたお前さんはどうだったか、ってな。」

 

"財団"の残した言葉。『全ての破滅まで続く争い』。『例外』。『生き延びる権利と義務』。

世界への憎悪で狂った男の成れの果て、その捨て台詞に過ぎないと、あの時は頭で割り切った。

しかし、心にはその言葉が棲み付き、暗い影を落とし続けていた。

確かに自分は、あの男の信念と執念を否定してみせた。

しかしその過程で、自分は、ファットマンと同じく共に駆け抜けた戦友たる、"彼女"を。

 

マギーを、討ってしまった。

 

彼女も戦いの中に果てる事を望んでいた。一度、負傷で傭兵からオペレーターへと転身した彼女からすれば、あの時の事は、己の輝ける魂を誇示するまたとない舞台だったのだろう。

だがしかし、結局自分は、"財団"の事も、マギーのことも、背負う事もできず、忘れ捨てることもできず、只々、引きずることしか出来ていなかった。

…ファットマンは、とうに見抜いていたのだ。

しかし、それを責めるでもなく、彼はまた優しく朗らかに語り出した。

 

「でも、お前さんは生き延びて見せた。それも終戦まで戦い続けて、だ。尤も終戦理由が致命的な消耗ってのが、アイツの喜びそうな所なのが気に食わないがな。それでも俺たちは、破滅なんかしちゃいない。好きなように生きて、とにかく生きて、戦い続けて、この時を迎えたんだ。そんでもって穏やかに、好きなように死ぬ。これが叶う世界になったんだ。それが、俺たちがあのイカレ野郎に叩きつける回答だろう。」

 

その言葉で、全てが赦されたような感覚を覚える。

目頭が熱くなり、目尻に湿りを感じる。

長い戦いに投じていた本当の理由が、やっと今になって見つけ出せたようだった。

喉が震え、うまく調整できない声で、ありがとう、とファットマンに伝える。

コックピット越しの通信で、情けない顔を見られないのが救いだ。

 

「へっ、ともかく、あまり気に病むなってことだ。……ッ!」

 

突如、機体が大きく揺れる。予想外の出来事に、脳が混乱し、一瞬、動きが止まってしまう

しかし即座に思考を巡らせ、状況を整理する。

敵の奇襲か?……否、近辺にそれらしき反応はない。

今の機体で対処できるか?……否、あの戦場で武装を解除し、丸腰の状態だ。

ともかく最悪の事態を回避するべく、ACの操縦桿を握りしめたとき、ファットマンから通信が入った。

 

「悪い!驚かせちまったな。コイツも久しぶりにお前に会えたもんだから、ちょいと興奮しちまったみたいだ。」

 

軽快に笑い飛ばしているようだったが、ノイズに紛れる彼の苦しそうな息遣いを聞いてしまった。

彼のユーモアセンスは好きだが、今回ばかりは笑って返してやれなかった。

だがそれも気にせず、続けて通信が入る。

「そろそろ目的地だ。シートベルトを確認しろよ?ははっ。」

 

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コックピットのモニターを注視すると、眼前に起伏の激しい地形が見えてきた。

見たところ山岳地帯のようだが、普段目にしているものとは確かに違う。

決して多いとは言えないが、緑が、植物が自生している。

この荒れ果てた世界の片隅に、このような場所があったのかと驚く。

 

「おいおい、まさかこれで満足なんかしちゃいないな?ここから降下した先にはもっといい物があるぜ。下のチビ達を吹き飛ばしてやらないよう、優しく降りてやりな。」

 

ファットマンは嬉しそうに語り、ACの投下準備を始めていた。

ヘリ下部の固定具が解除され、自分の乗るACが重力に(したが)って降下する。

眼下には、小さくも生きている植物たちが集まっている。

彼のアドバイス通り投下から間もなくブースターを起動し、機体の降下速度を可能な限り下げる。

そして地面に足が着く頃合いにブースターを切ると、緑を無暗に散らすことなく、静かに着地することができた。

 

「よし、上手くいったな。じゃあコックピットから降りてみろ。生身で見るに越したことはないからな。」

うきうきと話すファットマンの言葉を聞き届け、コアのハッチを開く。

備え付けの降下用ロープリフトを用いて、地面へと降りる。

今まで踏みしめたことの無い、固くも、ぬかるみも、渇きもない、柔らかな感触。

植物と土によって覆われた大地とは、かくも優しいものかと感心する。

機体の降下地点から歩を進めると、ファットマンの言う"とっておきの場所"が姿を現した。

そこでは木々がたくましく育ち、多様な花弁をその身に纏っていたのだ。

白、薄紅、赤紫。

とりどりの色をもって、来訪者を出迎えてくれている様だった。

初めて見る光景に目を奪われながらも、ここで咲き誇っている花々は、どこかで見たことがあると記憶に引っかかりを感じる。

すると、パイロットスーツのヘッドセット越しにファットマンの声が聞こえた。

 

「そいつらは、アイツがエンブレムにしてた花みたいでな。こんな時代じゃ、そうそう実物はお目にかかれないそうだ。だからしっかり、目に焼き付けてくれ。」

 

その言葉で合点がいった。マギ―のACのエンブレム、そのモチーフとなった花だったのだ。

美しく咲く花弁は、凛と上を向いている。

いかにも、彼女らしい花だ。

マギーに見せたら、どのような反応を返してくれるだろうか。

風景と鼻をくすぐる優しい香りに、心が自然と穏やかになっていく。

そんな中ふと目をやると、一際目立つものを見つけた。

 

周りが赤紫で咲き誇る中の、青い一輪。

 

生き抜くためか、或いは自然のもたらした奇跡か、その木蓮は、周りとは異なる、深く、美しい蒼を(たた)えていた。

それを視認し、自分は深い安堵に身を包まれた。

 

嗚呼、良かった。彼女は、ここに居たのだ。

 

世界の破滅まで続くと言われた戦争は、しかし終わりを迎えた。

 

闘いの中に魂の輝きを見出していた彼女は、きっと一足先に、この場所へと辿り着いたのだろう。

 

……ふと頭上に温かさと光を感じる。どうやら空を覆う雲が散っていったようだ。

 

ならば、このような日に雨が降るのは似つかわしくない。

 

目元の"雨"を降らさぬよう、顔を上げる。

 

見上げた先には、太陽が輝き、青空が広がっている。

 

 

 

そして透き通った空と陽射しの下、青い木蓮(マグノリア)は一層、美しくそこに在った。

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただきまして誠にありがとうございます。
書いているうちに7000文字越えとなってしまい、長編としても短編としても余す長さとなってしまいましたが、読むのに費やしていただいたお手間に見合う、内容を提供することができたのなら幸いです。
私がACVDをやっていた期間そのものは誇れるほどの長さではありませんでしたが、ソロプレイで傭兵としての出撃やミッションのSランク取得をねらったり、チームに所属してワイワイと楽しんでいた時間は、今でも鮮烈に覚えています。
サーバー閉鎖日付近のお祭り騒ぎには自身の都合でいまいち乗り切れませんでしたが、
それでも界隈の中にあり、ACVIの発売からも可能な限りあの遊び場を提供していただいたフロム・ソフトウェア様には感謝の念でいっぱいです。
どうも対戦部屋は生きているらしいので完全な断絶、というワケではないらしいのですが、かつての面影を見ることはもうできなくなると思うと、一抹の寂しさを感じます。
ただストーリーも面白い作品だと思いますので、VIからシリーズにハマった方や未プレイの方は、ひとまず動画だけでも見てみるのはいかがでしょうか。
(今になってPS3本体とソフトを揃えろ、というのも難儀ですから……)
一体どれだけ先になるかもわかりませんが、どこかのタイミングでVシリーズをふくむ過去作の移植やリメイクがなされるといいなぁと思っています。
長々と語ってしまったので、これで締めとしたいと思います。
改めまして閲覧していただき、まことにありがとうございました!

蛇足
あんまり更新してませんがX(旧Twitter)もやっておりますので、
皆さまの輪に入れていただけると嬉しく存じます。
→ @66_zkman

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