成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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百十七話 これが遊び心ってやつかぁ

 

 「おはよ〜」

 「おはよう、モモイ、今日はエリアを移動するから他のメンバーが起きたらそう伝えてくれ」

 「リジーは?…ふぁ」

 「昨日の混み具合を見てたらジュースを買うのも一苦労しそうだなと思ってクーラーボックスとドリンクを用意する。ドリンクはもう用意したからクーラーボックスに保冷剤を突っ込むだけだけどな」

 

 ふと昨日の人混みを思い出しちょっと厳しいかと考え、店に行き色々と準備をしているとモモイが一番最初に起きてきた。なんと言うか意外だ。

 

 「…エリア移動ってどこに行くの?」

 「フェスティバルと言ってこの水族エリアのすぐ隣にある区画だ。ここでは名前の通り祭りに関するアトラクションや店を置いていて、他にもテレビなどでやる笑ってはいけない〇〇みたいなイベント系も体験出来る場所になっている」

 

 まぁイベント系に関しては遊園地でやる事なのかと思ったけど、職員たちに確認がてら遊ばせてみると意外と好評だったんだよなぁ。それに「あれだけ大きな遊園地でテーマが一つだけなのは勿体無い!」と言われたし。

 

 「つまり、優勝したり成功したりすれば豪華賞品も貰えたり?」

 「そうだな、そういうイベント系は賞品を何にするかも決めないといけないから開催期間を設けているが。上手くいけば豪華賞品が手に入るな」

 「そっか〜…ゲーム大会とかだったら優勝出来たのに残念」

 

 それってeスポーツだよな?それこそ遊園地でやるイベントじゃないだろ……いや、VR系の娯楽施設もあるし意外とありか?一考の余地ありだな。

 

 「私、みんなを起こしてくるね!」

 「ありがたいがあまり乱暴に起こ「みんな〜!おきてーー!」遅かったか」

 

 俺が乱暴に起こさないように言おうとした瞬間モモイがベッドにダイブして叩き起こしに行った。モモイの下から叫ぶ声が聞こえてくるのを背に俺は知らん振りして準備を淡々と進めていく。

 

 【 十分後 】

 

 「朝から酷い目にあったぜ…」

 「ごめん!楽しみでつい……」

 「気にしないでくださいモモイ、スピアさんは悪態を吐いていますがこう言う友達同士のやりとりに密かな憧れを抱いていますので!」

 「おい!コン!アタシは別にそんな事思ってない!変な事言ってんじゃねぇ!」

 

 全員が目を覚ますとさっきまで静かだったのが嘘みたいに騒がしくなる。気分はさながら引率の先生だ。まだ学校が出来ないけど俺も先生だから間違ってないんだけども。

 

 「ここがフェスティバルエリア…なんと言うか昨日の場所もそうだったんだけど凄く広いわね」

 「それだけ遊べる場所も多いと言う事だ。どのエリアも一日じゃ遊びきれないぞ」

 「……今でもアビドスにこんな施設が出来たなんて信じられないわ」

 「前なら借金返済だけで精一杯だったもんね〜」

 

 俺も水族館を遊園地にするなんて思ってなかったよ。

 

 「借金と言えば、リジーさんがPMCを辞めましたけどどうなってるんですか?」

 「それならクビになる前に俺が買い取ったから気にしなくて良いぞ。借金相手がカイザーコーポレーションから俺になっただけの違いだけどな」

 「いやサラッと言ってますがそれかなり重要な事ですよね!?」

 「今や本当の意味で俺はアビドスの管理者と言う事だな!ふはははは!」

 

 前も好き勝手に施設を建ててたが、プレジデントから砂漠にある兵器はまだ見つからないのかとかアビドスの生徒はまだ追い出せないのかとせっつかれてマジで苦痛だった。

 

 「俺の中の一番の収穫はカイザーコーポレーションを辞めれた事だな」

 「リジーずっと板挟み状態だったもんねぇ、表では部下を演じて、裏では私たちの支援だし」

 「俺もPMCより傭兵の方が向いてる気はしてた」

 

 記者会見も基本的に傭兵スタイルで済ませてるし。

 

 「ねぇねぇ、リジー、あのお化け屋敷みたいな場所ってなに?」

 「ん?あれは確か……忍者屋敷だった気がするが」

 「忍者屋敷か〜」

 

 お化け屋敷と見た目がそっくりだからどっちか判別付かん。これどっちだ?そんな風に頭を悩ませているとホシノたちに手を引かれてそのまま列に加わった。

 

 「…お〜い?俺まだやるなんて言ってないが?」

 「百聞は一見にしかずって良く言うでしょ?実際にやってみれば分かるって〜」

 「そうですよ!何事もチャレンジですよ☆!」

 

 ノノミもやる気があるようです前も後ろもガッチリ固められ列から抜け出せない状況に、いやだから力強いって!俺これでもかなり馬力上がった方なんだけど!?

 

 「忍者屋敷か…演習場のような場所なのだろうか?」

 「あ〜まぁ、人によってはそうなのかもしれん。ただここのは遊び場だからな、サオリが想像しているような場所ではないと思うぞ」

 「…そうなのか」

 

 とは言っても俺も内装は知らないからどんな仕掛けがあるのかは中に入るまでのお楽しみと言うわけだ……俺一応社長なんだよな?なんで社長である筈の俺が内装を把握してないんだ?

 

 「お客様、現在こちらのカラクリ屋敷ではイベントが開催されています。本イベントに参加し見事脱出する事が出来れば、豪華賞品が入手出来ます」

 「イベント?」

 「はい、普段のカラクリ屋敷よりも仕掛けが多く、攻略が困難となっております。無事脱出された方はこちらの最新式プライステーションが貰える事となっております」

 「「「最新式プライステーション!?」」」

 

 話を聞いていた俺の腕の間からヌッとゲーム開発部が出てきて反応する。

 

 「こんなの出るしかないじゃん!」

 「予算の都合で中々買えない最新式が、いま、目の前に!」

 「…お前ら銃撃戦は得意だがこう言った搦手が入った場所は苦手だろ?」

 

 偶にモモイたちも演習場で模擬戦をしているのを見た事があり先生の指示が無かったら割とトラップとかに引っ掛かってるのを見かけたのだが、モモイは指を前に持ってきて左右に振り不敵な笑みを浮かべる。

 

 「チッチッチ、甘いよリジー、暑い日に食べるアイスより甘いよ」

 「なんだその微妙な例え」

 

 想像はなんとなく出来るような出来ないようなそんな微妙なラインなんだが。そもそもどのアイスだよ。

 

 「私たちはゲーム開発部だよ?色んなゲームを作るためにそれはもうたっくさんのゲームをプレイしてきたんだから。忍者屋敷だって余裕だよ!」

 「モモイのその自信はどこから出てくるのか」

 「まぁまぁ、もしかしたら簡単かもしれないよ〜?」

 

 ホシノはこう言う体動かす系のアトラクションはあまりやらないタイプだと思ったんだけどな、昨日のケテルアドベンチャーの時も何気に参加してたし案外好きなのか?

 

 「そろそろイベント開催の時間です。参加希望者はそのまま奥へと進んでください」

 

 おっと、そこそこ時間が経ってたみたいだ。参加出来ずに失格なんてことにならないようさっさと行くか。

 

 昨日の様に参加する側としない側に分かれて、最低一人でも大人が生徒達の側に居るようにした。客の中に変な因縁をつける奴も居るからな。特にアリウスの生徒であるスズカ達に不躾な視線を向けてくる輩がな、そう言う奴は彼女らに手を出す前にユスティナ生徒に強制連行されてたけども。用心するに越した事はない。

 

 「………よく来たでござるな。挑戦者諸君、このカラクリ屋敷にはありとあらゆる仕掛けがぁあああ!ある!!でござる」

 「どこからともなく飛び出る手裏剣!唐突に襲い掛かる丸太!燃え盛る業火!!それらを見事突破し、己の肉体と技術を信じ脱出するが良い!……でござる」

 

 いや業火って、それ演出だよな?本当に燃え上がるとかじゃないよな?

 

 「クックックック、果たして諸君らにこのカラクリ屋敷を生き延びられるかな?楽しみにしているでござる」

 

 イベントの司会?がそう言い終わるとスタッフの人からゴムで出来た手裏剣とプラスチックの忍者刀を手渡された。これをどう使えと?

 

 「こちらの支給品は屋敷内の仕掛けを解除、または防御するのに使用します。他の参加者に向かって放ったり斬り掛かったりなどをすれば即座に失格となりますのでご了承を」

 「ふむ、放った手裏剣は回収出来るのか?」

 「はい、回収した手裏剣は再使用が可能となります。回収出来ればの話でございますが」

 

 あ〜なるほど、回収は出来るがそう簡単に回収できないようにしてるのか。

 

 「それでは試練、開始でござる!」

 

 開始の合図と同時に他の参加者がぞろぞろと中に入っていく。

 

 −−−俺は入口が詰まりそうだったので他の参加者が中に入るまでずっと棒立ちだった

 

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