成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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百十八話 安心安全……なのか?

 

 「よし、俺も行くとするか」

 「脱出すれば貰えるらしいし、のんびりやっていこ〜」

 「仕掛けがのんびり出来るモノだと良いんだどな」

 

 いつもシールドで防御していた分、このプラスチックの忍者刀は物凄く頼りなく感じる。

 

 「わぁ〜中はザ・お屋敷って感じだね。当たり前だけど」

 「気を付けろよモモイ、中に入った瞬間の油断を狙った仕掛けがあるかもしれないからな」

 「平気平気!こう言うパターンだったら何度も見た事ある「プチッ」…ありゃ?」

 「言った側から「バインッ!」いて!」

 

 モモイが一歩進んだ瞬間糸が切れる様な音がして注意しようとしたら何故か俺の頭の上にタライが降ってきた。

 

 「…り、リジー大丈夫?」

 「………こうなるから慎重に行動するんだぞモモイ」

 「流石リジー…大人だね。でも今のは怒っても良いと思う」

 「良いかミドリ、こんな事で怒っていたら俺は毎日シロコを怒らないといけなくなるぞ」

 

 毎日強盗に勧誘してくるのはやめてほしい。

 

 「そしてこう言う場合、タライだけかと思わせた後に」

 「こ、今度はゆ〜っくり、慎重に」

 

 モモイがゆっくりと足を踏み出した場所がカチっと言う音と同時に沈み、前に置いてある壁掛けが捲れて手裏剣が飛んできた。

 

 「うわー!?」

 「下がれモモイ!」

 

 やっぱりか!最初の仕掛けがタライである意味良かったかもしれないな!

 

 落ちてるタライを拾い飛んでくる手裏剣を防ぐとその次は左右から丸太が飛んできたのでモモイを抱えて後ろに飛ぶ。

 

 「危ねぇ!?最初の段階でこれって避けさせる気あるか!?」

 「あ、リジー、これよく見たらスポンジで出来てるよ?」

 「ん?……本当だ。丸太にしては音が軽いと思ったら、まぁ確かにこれなら怪我はしないが」

 

 見た目がリアル過ぎるんだよ。俺もこうしてじっくり見ないといけないぐらいリアルな塗装がされてるぞこのスポンジ、これはプロの仕事だな。

 

 「おっと、塗装技術に感心してる場合じゃないな。早速飛んできた手裏剣を回収してって…あ、おいおい、マジか」

 「お姉ちゃんを抱えてくれなかったら絶対落ちてたよねこれ」

 

 丸太がぶつかったら動く仕掛けになっていたのか落とし穴が空いていて手裏剣が殆ど落ちて行った。それと落ちた手裏剣が先に挑んで落下したであろう参加者の頭に直撃してるがあれは大丈夫なのだろうか。幾らゴム製の手裏剣でもそこそこ痛いと思うけど。

 

 「…これは端っこを歩くべきか、それともこの穴を飛び越えるべきか」

 「う〜ん、流石にこれだけ仕掛けが置いてあったら他にも置いてるなんて事は無いと思うけど」

 「なんでそう思った?」

 「ゲームでの経験則!」

 

 うんゲームの話はちょっと置いておこうかモモイ、お前は次々と罠を踏み抜きそうでちょっと不安だから。

 

 「……俺がタライを構えて先を歩くからモモイは上、ミドリは左、ユズは右、アリスは後ろを注意しといてくれ、前と足元は俺が気にしとくから」

 「おぉ〜!今回の冒険…パーティリーダーはリジーなんですね!分かりました!縦に一列で並びましょう!」

 「アリス、ここは縦一列に並ぶと逆に危険だぞ?」

 

 この人数で並んだら一番後ろがカバー出来なくなる。後ろからクナイやらなんやらが飛んできたら間に合わん。それにあのイベントの司会者が言っていた業火が気掛かりだ。

 

 「そう言えば私たちって参加者が移動してから入ったんだよね?どうして他の人が見当たらないんだろう?」

 「…言われてみれば確かに、ちょっと遅れて入っただけでそこまでの差が出る筈ないと思うけど…」

 

 見当たらないわけじゃないがな。

 

 落とし穴を避けて通っても特に仕掛けは発動しなかったから現状はそこまで意地の悪い仕掛けはなさそうだ。いや、四段構えの罠の時点で相当意地悪だが。

 

 「喰らえ!火遁!」

 「うぉおおお!?」

 「ぐへっ!」

 「あ、やっちまった」

 

 ちょっと歩くと床が回転し忍者風の奴が現れ口から火の球を吹いてきたのでつい反射で火の球ごとタライで殴りつけてしまった。

 

 「さっさと火を消さないと不味いな……待て、これもよく見たら擬似炎じゃないか!あ〜そもそも殴った時に火の球が形を保ったままなのに疑問を持つべきだった」

 「擬似炎?擬似炎って、あの擬似炎?」

 「それよりさっき床が回転したのが気になるんだけど。もしかしてそこら辺中の床が今みたいに回転するの?」

 

 流石に同じ手は使ってこないとは思うがどうだろうな、そう言った同じ手は使わないだろうと言う心理を逆手に取るかもしれん。

 

 今度は畳にも注意しながら歩くと歩いた場所が沈み込んだ。

 

 「ちょ!リジー足元!」

 「言われなくても分かっている!落ち着け!」

 「後ろからは何も来てないよ!」

 「上からもありません!」

 

 −し〜ん

 

 何も起きないな。フェイクか?

 

 「どうやら何も無いようだ。少し過剰反応だったか「ぼよよ〜ん」またか!?」

 「リジーが上に吹き飛んだ!」

 「リジーっていつも頼りになるけどこう言う所じゃ運がないよね」

 

 間抜けな効果音と共に床が跳ね上がり天井近くまで飛んだ。ただ飛ぶのはこのキヴォトスで三度目だから今更そこまで慌てるほどじゃ無いと言う慣れが……正直慣れてほしくない所だったんだけど。このままじゃ本当に危機感を感じなくなるのでは?

 

 「よっと」

 「軽々と着地してるけど普通はそんな事出来ないよ!?落ち着きすぎじゃない!?」

 「俺も正直慣れたくは無かったが…これ以上の危機を何度も体験してたら、『あぁ、この程度か』以上の感想が出てこない」

 「まぁ、そうだよね。余りにも元気そうだから忘れがちだけどリジーって腕が吹き飛んで足なんて取り替え寸前までボロボロになってた事あったよね」

 

 あったなそんな事も、と言うか今のは上に飛ばすだけだったのか?

 

 「あ、あそこなんだか怪しい……」

 「ほんとか?なら一度手裏剣投げてみるか」

 

 ユズに指定された場所に投げると手裏剣が落ちた場所を囲むように吹き矢が大量に飛び交い更に水がそこにだけに降り注いだ。あのまま歩いてたら昨日みたいにまたびしょ濡れになっていた。

 

 「喰らうが良い!風魔手裏あらぁ!?」

 「流れ作業みたいに回避した…」

 「すまん、さっきから気配がダダ漏れだったからつい」

 

 イベントが始まって壁裏に待機していたであろうスタッフには申し訳ないが回転する壁をそのまま回転させて壁裏に戻させてもらった。

 

 「そう言えばサオリはどうしているんだろうな?どこまで通用するか試してみたいと言って先に行ったけど」

 「アビドスの人たちも先に行っちゃったしね」

 「私たちには最強無敵のチートキャラ、リジーが居るから大丈夫!」

 

 チートキャラて、俺としてはゲヘナの風紀委員長の方がチートだと思うんだけど。どれだけ戦っても勝てるビジョンが浮かばない。

 

 「このままドンドン進んで行こう!」

 「待って!お姉ちゃん!そんな何も考えずに進んだらまた仕掛けを踏んじゃうでしょ!」

 「大丈夫だって!あんな大掛かりな仕掛けがあった後の周辺とかは他には何も無いって相場が決まってるんだから!」

 

 どこで覚えたそんな当たり前、なんでこうモモイはフラグを立てるのか……いや俺も大概フラグ立ててたな。

 

 「貴様に恨みは無いがこの刀の錆となるが良い!」

 「モモイ避けろ!」

 「ちょ、どこから出てきたの!?」

 「こう言う大がかりな仕掛けの後は忍者が忍んでいると相場が決まっているのだぁああ!」

 

 どっちも偏見じゃねえか!そんな決まり聞いた事ないぞ!

 

 「貰ったぁ!」

 「リジー!タライ貸してください!」

 「え、待てまさかアリス、お前の筋力でタライを投げるつもりじゃ」

 

 天井から降ってきた忍者に向かってアリスがタライをブォン!と音が聞こえてくる程の勢いで投げ、空中でカーブして忍者を飛ばした。

 

 「アバー!?」

 「あれ大丈夫か?凄い痛そうな音が聞こえてきたんだが」

 「はい!非殺傷武器なので気絶しただけです!他の方が来る前にターゲットの所まで行きましょう!」

 

 おいそれ絶対にゲームだよな?俺の頭の中にスキンヘッドでスーツ着た暗殺者が思い浮かんだんだが。

 

 俺は意気揚々と進もうとしているアリスとモモイを見て逆にこっちがスタッフを怪我させないかと心配になってきた。

 

 −−−その後は、思い出すのも嫌になる程の仕掛けを潜り抜けてどうにか全員、脱出することが出来た

 

 

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