成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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百二十三話 こいつらやる気あるのか?

 

 「…時間通りならば例の奴が物資を持って此処を通る筈だ。簡単には行かないだろうが後を追って可能なら、これで全部解決したいが」

 「ま、難しいんじゃね?相手は相当慎重な奴みたいだし、もし出来たとしても自分の不利にならねぇ様に下っ端だけポイだろ」

 

 まぁそうだよな。ただ高望みをしても足元を掬われる事になるだろうし、そこはもう妥協するしかないよな。

 

 「“あ、そうそうリジー…FOX小隊の立場とか心配してぼかしたんだろうけど今は時々ミヤコたちに会いに来てるから、心配しなくて良いと思うよ」

 「マジで?」

 

 何やってんだよと思ったけどそりゃ後輩が公園でサバイバル生活してたら心配になるか。それでもキミらカヤの秘密部隊なんだから慎重に行動してくれ。

 

 「社長、先生…雑談してる所悪いけど来たみたいだよ」

 

 見張りをしていたスピアの部下…えっと、同じヘルメットしてるから分かり辛いけど確か…。

 

 「ミライ、対象はどこだ?」

 「…………」

 「…ん?ミライ?」

 

 あれ、間違ってたか?反応が無いんだが。

 

 「…わお、驚いたな。私の名前を覚えてくれたんだ」

 「そりゃ部下だからな、反応が無かったからてっきり間違ってるかと焦ったぞ」

 「あまり会話をしないから覚えられてないと思ってね。驚きのあまり声を失っていたよ」

 

 そんな驚く事だったのか、確かにあれだけの人数を雇ってたら全員の名前を覚えるのは難しいかもしれないけど、能力を把握してその依頼に適した子を派遣しないといけないからしっかり名前は覚えてるぞ。

 

 「おっと、忘れるところだった。ついさっき大きめの箱を持った目標が駅に入っていったよ」

 「よし、追うぞ、俺が先に行くから後をついて来てくれ」

 

 音を立てないように駅の中に入り、階段の一番下で角に曲がったオートマタを追いかける。

 

 「…随分とまぁ厳重な警備な事で」

 「う〜ん、入り口が二つあるけどどっちの入り口が当たりなのか分からないですね〜」

 「恐らくどちらかが物資の搬入路になってるんだろうが俺たちの目的は催涙弾とダイナマイトを何に使うかを知る事だ。余計な事に時間を割く事は出来ない」

 

 地上と地下の両方から大量のダイナマイトを駅に運び込む、これがただの爆破解体用のダイナマイトだったら俺も気にしなくて済んだんだけどなぁ。会社のロゴの偽造と無断使用、嫌な予感がする。

 

 「“ここは二手に別れようか“」

 「なら先生とRABBIT小隊は左の通路、俺たちは右の通路に進もう、そっちが本命だった時の為にこのボイスレコーダーとカメラを渡しておく」

 「うわ、これ凄い高いやつじゃん」

 

 先生は後方から全体を見渡すのが得意だからバッチリ証拠品や録音を押さえてくれるだろ。それとサキ値段に関しては気にしない方が良いぞ。

 

 「戦闘になった場合は撤退を優先するのですか?」

 「そうだな、相手もダイナマイトがある所で銃火器を使うなんてバカな事はしないと思うがそうなった場合は撤退、合流地点で待機だ」

 

 一般人が手榴弾を持ち歩いてるような場所だから確証はないけど、大量のダイナマイトがある所で銃火器を使うなんてしないと思いたい…いや、待てだからか?

 

 なんとなく使い道の分かったもう一つの物資を思い出して先に進もうとする先生たちを止めた。

 

 「ちょっと待て、これを着けていけ」

 「が、ガスマスク…ですか?」

 「……あ、あ〜そうじゃん!ウサギちゃんたちこのまま行ってたら催涙弾の餌食だったじゃん!」

 

 ミライの隣に居た部下の一人、カノンが、カノンだよな?ヘルメットや制服のどこかになんか特徴でもあれば分かりやすいんだけどなぁ、ヘルメット外したがらないんだよ彼女ら…理由は分からん。

 

 「ちなみに地元じゃかーちゃんって呼ばれてた」

 「急にどうした?」

 「なんだか名前を呼ばれた気がして……」

 

 お前エスパーか?

 

 「“そっか、だから催涙弾だったんだね、向こうは確実に誰かが乗り込む事を想定して動いてる“」

 「その誰かって言うのは俺の部下と俺の事だろうな、更には先生が来る事も前提とした計画だろう。催涙弾の効果があるやつと言えば先生と先生の連れてくる生徒くらいなもんだ」

 

 スピアたちのヘルメットが壊れた時の保険として持ってきたガスマスクがこんなところで役に立つとは。

 

 「でも、これだと一人分足りないね」

 「じゃあじゃあセンセーには私の予備のヘルメット貸してあげる!」

 「ずっと持ち歩いてたのか!?」

 「スピア!静かに!」

 

 背中のバックからヘルメットを取り出した事にスピアが思わずツッコミを入れた。急いで口に手を当てて塞いだがこんな駅の中だともうバレたかも。

 

 「今あっちから声が聞こえなかったか?」

 「こんな真夜中に誰が来るんだよ」

 「いや、でも確かに聞こえたぞ」

 「多分それ俺がやってるソシャゲ」

 「「見張り中に何やってんだよ!?」」

 

 いやほんと何やってんだよ。俺としては助かるけどさ、そんな堂々とサボってる事ある?

 

 「だってよ〜暇なんだぜ?俺らみたいな下っ端はここで突っ立ってるしか仕事ねえしよ。ってかここで何やってんだ?」

 「それこそ俺たちの知る事じゃない。下手に首を突っ込んで消されるなんてゴメンだ。それとスマホを仕舞え、仕事中だ」

 「かぁ〜!!お堅いねぇ、コンクリートみたいにガッチガチだぜ」

 

 う〜ん、なんて言うか…ここで盗み聴きしてても特に情報は手に入りそうにないな。

 

 「どうせ俺たち以外誰もここ居ないんだしよ。ん?星5キャラキタァァアアア!!」

 「うるさいぞ!静かにしろ!それとガチャを引くんじゃない仕舞え!!」

 「このまま次に「フン!!!」グワァァァ!」

 「おい見張り減らしてどうすんだよ!?」

 

 えぇ、盗み聴きしてる間に一人減った。緊張感無さ過ぎないかあいつら。

 

 「……RABBIT4、対象を狙撃してください」

 

 見張りのやり取りを見てられなくなったミヤコが静かに無線を取り出しちょっと離れたゴミ箱の中に居るミユに指示を出した。空気が抜けるような音と同時に残りの見張りが全員倒れ、どう先を進もうかと頭を悩ませる必要がなくなった。

 

 「…私だったら彼らを見張りにしないね」

 「もしかしたらそれが狙いなのかも?ほら、よくポンコツな兵士を敢えて配置して油断させるとかあるでしょ?」

 「…だとしても人選明らかに間違ってるだろ」

 

 なんだか頭が痛くなって来た。これが会社の絡む事じゃなかったら速攻で帰りたいと思うくらいには。

 

 「とにかく、見張りが起きる前に行くぞ」

 「“そうだね。私も出来るだけ証拠を見つけるから、そっちも気を付けてね“」

 

 −−−先生の言葉に軽く頷き、銃にサプレッサーを付けながら扉の先に進んだ

 

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