成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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百二十八話 作戦完了…か?

 

 「さて、まず何処から話したものか…」

 「回りくどい話なんてせず本題に入れ、本題に」

 「ふむ、物事を円滑に進める為には多少回りくどい事も必要だと思うが?」

 「俺とお前にとっては逆にそれは邪魔だと思うが?」

 

 関係としては今も敵対してる間柄だしな、腹の探り合いをする前にさっさと交渉を済ませてしまいたい。

 

 「そうか、では改めて、私から提案する事はこれだ。お前たちが請け負っている仕事の一部をこちらに斡旋してもらう。その一点だ」

 「…なに?それだけだと?」

 「あぁ、寧ろそれにこそ意味があると私は思う」

 

 こいつ、プレジデントからうちの会社を潰せと言われてきたんじゃないのか?それだと命令違反になる上に見方によっては裏切り者だと疑われるんじゃ?

 

 「私はこの作戦に意味はないと考えている。それは何故か?人員が足りない、資金が足りない、何より…権力が足りない。私たちが連邦生徒会の後ろ盾がある頃ならまぁ、多少は効果があっただろう」

 

 うん、だろうな。言っちゃ難だが当時のカヤのままクーデターを成功させて連邦生徒会長の代行になっても、色々問題が起こるだろう。そして精神的に追い詰められたカヤは恐怖政治を完璧にする為にあの爆弾を使う。何となく想像出来てしまう辺り当時の彼女がどれだけ精神的に不安定だったか分かってしまうな。

 

 「しかし、現在この作戦を実行した所で我々には何一つメリットが無い。無駄に社会を混乱させるだけ。なら多少信用を無くそうとも信用と実績のあるお前の会社を存続させ、そこから仕事を斡旋してもらいカイザーグループの信用を少しでも回復させようと言う訳だ。効果は薄いかもしれないがね」

 

 なるほど、目先の利益より後の利益を取ったか。なら分からなくもない。分からなくもないがこいつ今多少信用を無くそうとも言ったか?つまり独断?

 

 「プレジデントからそう言う命令があったとかではなくこれはお前の判断なのか?」

 「あぁ、私としてはこの機を逃すのは勿体無いと思うのでね」

 

 ほらぁこう言う所だよ。こいつ後から莫大な利益があると分かると自分の上司すら騙すからな、目的の為ならどんな相手でも利用するだけ利用してポイするぞこいつ、絶対。

 

 「……お前それバレたらクビだろ。よくまぁそんな提案をする気になったな」

 「バレる前に利益を出せば良いだけの話だとも」

 

 う〜ん、隠れてする分余計に話が拗れる気がするんだが。あれ?ちょっと待てよ。そもそもなんでジェネラルが作戦を実行しているんだ?プレジデントもジェネラルもシャーレ奪還の時に先生の指揮能力や俺の傭兵たちの脅威は知っている筈。尚更この作戦が成功する筈がないと分かってておかしくないんだが……それにジェネラルが主導で動いていたにしては証拠を残していたりと爪が甘いな。完璧に成功させたいんじゃなかったのか?

 

 「…一つ聞きたいんだがこの作戦が失敗した時の対策をプレジデントは考えてたのか?」

 「お前がこうして動く事自体が対策だと言えば?」

 「……マジか、今回の事に関してはプレジデントの掌の上だったか」

 

 あの爺さん、最初からこの計画は成功してもしなくとも良かったモノだったな?成功したら街一つとその周辺を犠牲に俺の会社を潰せて、失敗したらカイザーグループに反抗的な社員を捨てられる。どっちに転んでも美味しい所しかない。

 

 「俺がカイザーグループを潰す事は考えなかったのか?」

 「それをしたらどうなるかを一番理解しているのはお前だと思うが」

 「ッチ、相変わらず頭の回る爺さんだ」

 

 俺の行動を完全に読んでやがる。爺さんらしく無い作戦だと思ったら、上司の時はそれはそれで面倒だったが敵に回すともっと面倒な相手だな。あの時無理矢理でもジェネラルを捕まえて突き出すべきだったか?…無駄か、捕まったら捕まったで何か抜け道を持ってそうだ。

 

 「それで?この話を受けるか、それとも受けないか。是非この場で返答して頂こう」

 「…お前が俺の要求を受け入れるなら俺もその要求を受け入れよう」

 「ふむ、当然の話だな。その要求と言うのは?」

 「仕事を斡旋する代わりにお前とお前の部下、外部の組織を使った妨害を金輪際しない事」

 

 今回の交渉がジェネラル個人を相手にするならカイザーグループに対しても要求は意味を為さない。こいつ自身の目的がはっきりしない以上こうやって行動を制限するしか方法が思い浮かばないんだよなぁ。

 

 「…それはプレジデントからの命令も含めてか?」

 「当然だ。言っておくが妨害したらその時点でこの話は無かった事にしてうちの会社に置いてある証拠を世間に晒しカイザーコーポレーションを潰す。こっちはいつだってそちらを潰す理由と準備があるんだからな」

 

 こいつが証拠の破棄を要求して来なくてよかった。それともこいつからしたらこれも目先の利益って事になるのか?う〜ん、そうだとしたらこいつの基準が分からん。

 

 「……ふむ、良いだろう」

 「ん?随分あっさり決めるんだな。もう一度確認するがプレジデントの命令が来ても俺たちに対しても攻撃を加える事も妨害をする事も駄目なんだぞ」

 「理解している。しかしこれから先の事を考えればその様な問題など些細な事だ」

 「…そうか」

 

 ジェネラルの目的がマジで分からん。これ先生が相手した方がよっぽど情報を引き出せた気がするなぁ。

 

 「それで?私は要求を受け入れたが、お前が私の要求を受け入れてくれるのかな?リジーカンパニー社長、海崎リジーよ」

 「…あぁ、受け入れよう。後日そちらに契約書と職員を送る。電子でのやり取りより信用できるだろう?」

 「さて、紙媒体での信用を裏切られたばかりなのでね」

 

 ジェネラルが肩を竦め、起爆装置を持ってビルの扉に手を掛ける。その際こちらに振り返り言葉を掛けてきた。

 

 「あぁ、そうだ。先ほどサーモバリック弾の起爆装置と言ったこれだが、あれは嘘だ。これは私の車の鍵だよ。私がそんな物を用意する筈がないだろう?」

 

 手を開きその手の中の物を見せ、最後に最初から起爆装置なんて物は存在しないと言われ。俺は固まり、クククと笑い声と共に出て行くジェネラルを見送る。

 

 「……社長?」

 「………やっぱりあいつ嫌いだわ」

 

 俺は壁に背を預け座り込み。顔に手を当ててため息を吐く、今後一切、ジェネラルの妨害を気にしなくて済む様にはなったもののジェネラルに上手いこと利用された感が、実際そうなんだが。

 

 「スピア、会社に戻ったら塩撒いとけあいつは疫病神かなんかに違いない、玄関先を清めて立ち入りを禁止してやろう」

 「落ち着け社長、塩が勿体無いだろ!」

 

 廃ビルに居る必要が無くなり、会社に戻って先生たちを待つ事にした。先生たちが戻る頃に俺のデスクに魔除けグッズが載っていると気付いた先生がそれについて聞いてきたが。スルーして廃ビルで何があったかの話をし、詳しい事はまた後日と言う事で解散した。

 

 −−−最初塩を撒くかどうか本気で悩んだがスピアの言うように勿体無いのでやめた

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