「…つまり今回の出来事は貴方の会社を狙っていたプレジデントを利用したジェネラル将軍による貴方個人を狙った傍迷惑な犯行だったと?」
「そうなる…な」
改めて聞くとこれは酷い、俺恨み買い過ぎ。言ってみればこれカイザーコーポレーションの内部争いモドキにカヤたちは巻き込まれた事になるんだよな。
「…私、あの日にリジーさんの手を取って心底良かったと思います。自分で言うのも難ですが、当時は本当に恐怖政治が一番良い手だと思っていたので、私ならやりそうで怖いです」
「自己分析が出来てるようで何よりだが、確保した爆弾はどうする?爆破処理が難しくて今まで保管していたんだろう?」
「あぁ、しかし前まで使っていた施設は場所が知られてしまったのでもう使えない」
ユキノの言うように昨日みたいな事があったら都市の中で保管するのも怖くて出来ないよなぁ。かと言って都市の外となると今も元気になんやかんやしてるビナーとかその他大勢の預言者とかが活動してるから安全圏を探すのにも手間だし。今の時期に爆弾を保管する場所を探すのは人手が足りん。
「…ウトナピシュテムの本船が発見された地下施設に保管出来ないか?あそこなら程々に遠くて万が一爆発しても被害はあの施設だけだ」
「そうなったらあの船の収納場所はどうするつもりですか社長、現在我が社にあの様な船を収納する為のスペースは存在しません。ただでさえ戦闘ヘリや戦車、パワーローダーなどの兵器で格納庫を圧迫していると言うのに」
だよな。うちの大事な商品であると同時に武器だから数を減らす訳にもいかないし……まぁ結構良いお値段するから買い手が中々見つからなんだけどね?
「あ、今の話と関係ないんだけどシロコが買ったパワードスーツって今どうしてるんだ?あれうちで預かってたよな」
「それでしたらアビドス高校専用格納庫に今も格納しています。私としてはあの格納庫にパワードスーツ一台と言うのは物寂しいと感じていますが…」
それは本当にそう。なんと言うか…ぽつんと一つだけ置かれているパワードスーツが何処となく寂しげな雰囲気と言うか…AI積んでない筈なんだけどな。
「…やはり暫く元の施設で保管するしかないのだろうか?」
「うちの会社からも派遣して守りを固めるか」
「あの爆弾が盗まれたと言う事も幸い世間には気付かれていません。警備を固めるのは逆効果ではないでしょうか?」
「確かに…そこに爆弾を隠したと明言してるようなものか」
今の所はカイザーコーポレーションしか爆弾を保管してた場所を知らないから例の軍事施設とやらに隠すのが一番安全っぽいな。
「じゃあ場所が見つかるまでの間はあの施設で保管して過度に警戒せずにの方向で行くか」
「そうですね……なんだかどっと疲れました。リジーさん、貴方はいつもこんな事件を解決してるんですか?」
「そうだな…今回のを含めると大体4回ぐらいか」
「4回?3回の事件は分かりますが残りの一つは一体?」
ん?もしかして俺が成り変わった瞬間の時も下手したらホシノがそのまま帰らぬ者になってキヴォトス滅んでたのでは?…………マジで綱渡りだったんだな当時の俺。
「俺が傭兵業をやってたのは知ってるみたいだがどんな事件に関わっていたのかまでは全部知らなかったみたいだな」
「それはまぁ、連邦生徒会に悟られず情報を集めるのには限度がありますし」
「う〜ん、相変わらずゴタゴタしてる。今はどうなってるんだ?それとも聞いたらマズイか?」
どこの場所でもトップが消えたら混乱するけども、キヴォトスだとそれが都市全体に広がるから困ったものだよ。
「いえ、特に重要な事ではありませんので構いません。リン行政官とは良く話をする仲になったくらいですかね?余裕がある今なら分かるのですけど、行政官も行政官で余裕が無かったみたいですねぇ。はぁ…連邦生徒会長にどれだけ依存していたのか思い知らされます」
幸いと言っていいのか、不幸にもと言った方がいいのか。俺は連邦生徒会長についてはプレイヤー視点でしか知らない。後は人伝に聞いてどれだけ優秀だったかと言うくらいか、だからなのかそんな意識をする事が無かった。関わりがあれば、『もし彼女みたいな』とか『彼女のように』みたいな事を意識していただろう。どうにもキヴォトスの住民は大なり小なり“連邦生徒会長“と言う存在を意識してるみたいだし。
「リン行政官と仲良く出来ているなら幸先は良い方だろ。先生ほど気安くしろとは言わないけど、それでも同じ組織で管理職なんだ。歪み合うより断然良い」
「確かに…流石に私も行政官の事をリンちゃんだなんて気軽に言えませんが」
「あいつは生徒に対する距離感が最初からおかしいんだよ」
懐に入れた相手にはとことん甘い、ほんと主人公のような寛容さと言うか甘さを持ち合わせていると言える。
「それは貴方もでは?貴方も大概距離感おかしいですよ?普通依頼されたからと言ってアリウスの生徒全員を丸々引き取りますか?そのまま元凶まで片付けてしまうのですから先生以上に無茶苦茶では?」
「言わないでくれ、それは十分に理解してるから」
うん、率直に言ってバカだろ。黒服もマエストロも言ってたように本来なら俺ヒエロニムスに勝てる筈がなかったのに勝ったんだからなこれを無茶苦茶と言わずなんと言う。
「しかし、その無茶苦茶で様々な問題が解決してるのは事実だ。カヤ、こうして爆弾を取り戻せたのも彼が協力してくれたからこそ」
「分かっています。分かっていますが。それでも感情は追いつかないのですよ。貴方が連邦生徒会長が居る頃に出会っていれば、もっと良くなっていたのではないかと」
「…それはどうだろうな。ハッキリ言ってその頃の俺は決して良い大人とは言えない事をしていた。会っていたら会っていたで状況が悪化していた可能性もある」
いや、理事ならどっちかって言うと触らぬ神に祟りなし的な感じで目に付かない様にしてたか。結構小心者だし。
「まぁ、ですね。社長は小悪党と言う言葉が物凄く似合っていた大人ですから…何を思ったのか性格が変わったように社内改善を徹底し始めましたし、正直社長の姿をした別人と言われた方が納得出来るレベルです」
ンン!鋭い!どうしてこの世界の住民はそんな所で鋭いんだ!
「…とても信じられませんが……おっと、爆弾をどうするかの相談でしたのに駄弁り過ぎましたね」
「方針自体はもう決まってたし別にいいんじゃないか?今はお互い無事に終わった事を喜んでゆっくり休もう…働き過ぎだ」
「ですね。ここ二ヶ月の復興作業に加え今回の事件…本当は事件の事を行政官に相談出来れば良かったのですが事が事だったので、隠し通すのに胃が…」
「本当にゆっくりしようか!?このままだと胃に穴が空くぞ!?」
俺が調査とかしてる間に苦労してんなぁ!
−−−今回はコーヒーの代わりに胃の調子を整えるハーブティーを淹れカヤの愚痴に適度に相槌を打ちながら聞きに徹した。いやほんと。お疲れさん