【 ベアトリーチェ視点 】
「………」
落ち着きを取り戻した後、私はスズカにジッと見つめられていました。リジーとコンはいつの間にか二人で墓の掃除と雑草処理を始め、離れた所で二人きりと言う状況に。
「…あの、スズカ?そんなに見つめても答えられないものは答えられませんので…」
「……………………」
「……わ、分かりました!分かりましたのでその目をやめてください!」
一体どこでそんな上目遣いを覚えてきたのですか。
「そのですね。ただ、私がアリウスの子たちと墓参りをする勇気が無かっただけなのです」
「…?私たちと行く事がですか?それでも、これだけ大きな墓地を二人だけで掃除なんて大変過ぎますよ!」
もちろんそのことは理解していますとも、ですがどうしても、彼女たちとここに来る勇気が出なかったのです。
「マダムはしっかりと反省しました、謝罪もしてくれました。ならそれをここに居る仲間たちに伝えてあげるのが一番安心させられる筈ですよ!」
「…私はそうは思いません」
本当に純粋な子ですね。私のしてきた事が謝罪の一つ二つで済ませられる筈がないでしょう?
「私は許されざる行いをしました。より高位の存在へと至る為に、多くの子の思想を歪め、傷つけて来ました。彼に止められた後ですら反省することなく憤りを感じていたのです」
あの時の彼の言葉が無ければ、私は御門違いな復讐の為に色彩を呼び寄せ、キヴォトスに混乱を齎していたでしょう。
「えぇ、えぇ!私はそんな人間なのです!自尊心だけが高く、他人を食い物とし、子供のように癇癪を起こし、気に入らない事があれば理不尽に怒り、失敗した理由すらも他人に擦りつける!そんな自分勝手な人間なのですよ!私は私の為にアリウスを利用し、私の為に教義を歪め、私の為にあなたを捨てた!!そんな私が、今更どのような顔で、どのよう言葉で彼女たちと向き合えと言うのですか!?」
思わず彼に相談した時は「私は何をしているんだ!?」と自問自答しましたよ。私はここに来るべきではない、そんな資格はないと。それでも私はここに来た。来てしまった。
深くため息を吐き、近くの岩に腰を下ろす私をスズカは無言で見つめている。一分、二分、ただお互いに無言でいる状況が続き、気不味く感じていると彼女が近付き、ポーチの中から何かを取り出して私の手に乗せ、隣に座り込む。
「……これは、空き瓶?」
「はい、空になった薬瓶です」
「これが一体なんだと?あぁ、中身が空っぽなので意味はない、空しいと言う事ですか」
「いいえ、違います」
彼女の意図がが分からず、ただ瓶を手の中で転がし、翳して眺めてみる。けれどどこからどう見てもただの空き瓶でしかありませんでした。
「これはマダムが昔、私にくれたモノです。覚えていませんか?」
「…これを?」
この中にはきっと何か、当時の私にとって役にたつ物が入っていたのだろうと予測は付く、でもそれが何なのかまでは見当も付かなかった。
「………駄目ですね。思い出せません」
「そう…ですか、この中にはですね。風邪薬が入っていたんですよ」
少し顔を伏せながらそう言った。なぜ風邪薬をと一瞬疑問に思ったものの、彼女の話の続きを聞くことにした。
「でしたら、少しだけ昔の話をしたら思い出すかもしれませんね!」
−−−彼女はそう笑顔で言い、話出しました。私が忘れてしまった。昔の行動を