【 カノン視点 】
いつものように今日もゲヘナのどこかは爆発している。正直、こう言うのが多いからあんまり寄りたくはないけど、偶に可愛いグッズとかが売られてるからつい見に来てしまう。
そして私はいま!ゲヘナの露店で可愛い物を見つけてしまった!
「て、店員のお姉さん、この可愛いのはいったい!?」
「あぁ、これかい?これはね。ゲヘナ学園の誰かをモチーフにしたぬいぐるみでゲヘナシロモップって言うんだよ。知る人が見れば「これは!?」ってなる商品らしいよ。主にゲヘナの生徒さんに人気でね〜仕入れるのが大変なんだよ」
ゲヘナシロモップ、愛嬌のある無表情にフカフカとしてそうな白い髪、それがデフォルメ化されていても誰だか分かる一品!でもほんと、どこかで見たことある顔してる。
「一つください!」
「は〜い、毎度あり!」
ふふふ、シャチョーの所に来てからは私物が爆発される事もない上にカツアゲされる心配もない。ほんとサイッコー!部屋に戻ったら早速このぬいぐるみの絵を描かなくちゃ!
−ドカーン!
「ひょわ!?」
いま住んでいる寮まで早歩き気味に帰っていると突然前の飲食店が爆発した。飲食店が爆発するなんてこんな事するのゲヘナじゃあの人たち以外いない!
「ふぅ、最近新しく出来たという飲食店に来てみましたが。接客も味も質が悪かったですわね」
「ひぇぇ、あっちから帰ろっと」
あのまま通ろうとしたら風紀委員とのドンパチに巻き込まれちゃう。せっかく買ったぬいぐるみを絶対に死守せねば。可愛いは命なのだ。
こそこそひそひそと騒ぎが起きてる場所を避けつつ帰り道を歩いてると路地裏に入ったみたいで不良に絡まれた。
「よぉ、久しぶりだな。うちらのこと覚えてるか?久しぶりついでにまた金を貸してほしいんだけどさ、良いだろ?友達だし」
いや誰だよあなたたち、初対面だよ。
「いやです」
「あ?うちらが金を貸してほしいって言ってんだから大人しく寄越せよ」
「面倒くさいし手っ取り早くボコそうよ。金になりそうなの持ってるし」
「なぬ?」
金になりそうと言うのはこのシロモップちゃんの事を言ってるのかな?誰があなたたちにあげるか!私から可愛いを奪おうなんて神様が許しても私が許さない!
背中に背負ってたMGを引き抜いて一人の不良を叩いて転ばせる。
「うわ!?」
「こいつ!大人しくしろ!」
「えい!」
ポケットから閃光弾を投げて距離を取った。後はいつものようにやるだけ!
「私のキューティクルイラストレーターが火を噴くぜー!食らえーー!」
「こんな狭い路地で乱射なんてするなよ!?バカなのか!?」
「可愛いは正義!可愛いこそ正義!カツアゲとか可愛くない事するのあなたたちには私が可愛いがなんたるかを教えてやるぅ!」
「マシンガン路地裏ブッパは可愛いのか!?」
銃を可愛くデコってるので良し!
「くっそ、うちらに手を出してタダで済むと思うなよ!」
「そっちこそザラザラヘルメット団を舐めちゃいけないよ!アビドスじゃちょっとは名の知れた傭兵なんだから!」
前進しながら乱射してるとゴミ箱とかに隠れてる不良の動きがピタって止まった。何かしてくるのか!?って思って私も思わず動きを止めちゃったけどなんだか様子が変?
「い、いまなんつった?」
「?…アビドスじゃちょっとは名の知れた傭兵なんだから?」
「その前!」
「えっと、そっちこそザラザラヘルメット団を舐めちゃいけないよ?」
構成員こそ少ないけど優秀な子たちが多いんだから!じゃなくて、どうして私たちの名前聞いたら止まっちゃったの?
「おい、どうしたんだよ?そいつの所属がどうかしたのか?」
「どどど、どうかしたのかも何もねぇよ!こいつは例の「ラブリーハンター」だ!」
「ん?」
金髪でサラシを巻いた子が指をズビシッ!と私に向けて指す。その表情はさっきのニヤニヤした顔じゃなくてどこか怯えた表情になっていた。
「なんだ?そのラブリーハンターって」
「っば!知らねえのか!?あの「ヒナ狂い」が率いるザラザラヘルメット団の幹部の一人だ。うちも噂しか知らないけど。なんでも、可愛いモノを見つけたらそれが誰のモノであろうと容赦無く狩り、それを邪魔する奴は容赦なくマシンガンで蹴散らすとか」
「つ、つまり私らは……あいつのぬいぐるみを取ろうとしたから…」
「ちょっと!?私そんな事しないよ!?」
ポニーテールの子はなんなのか知らなかったみたいで金髪の子に聞き返すと三人でズイッと集まって説明し出すから思わずツッコミを入れちゃった。しかもヒナ狂いってそれタイチョーだよね?
あまり酷い噂に私が訂正しようと近付くとさっきまでの様子が嘘みたいに不良たちが後ずさる。
「「「ひぃぃ!?狩られる!!」」」
「狩らないよぉ!」
「「に、逃げろぉ!」」
「あ!ちょ、ちょっと待って!腰が抜けて」
必死になってて気付いてないみたいでポニテの子だけが残されて残り二人はあっという間に路地から見えなくなった。足速いな!?
「とりあえず、大丈夫?」
「ひっ!?た、助けて…!」
「だから狩らないって!どこの噂なのそれ!」
むしろ被害に遭ってるの私の方なんだけど!いつもいつも私の描いたイラストとか漫画とか燃やされちゃってさ!
「とにかく、あなたには私がそんな可愛くない事はしてないって事を証明してもらうために私が考える可愛いとは何かをきっちり覚えてから帰ってもらうからね!」
「だ、誰かーーーー!」
……………………………
【 その頃一方 】
先ほど逃げ出した不良たちは逃げている最中に一人逃げ遅れた事に気付き戻ってきていた。
「な、なぁ、助けに行ったほうが良いんじゃ?」
「っし!分かってんだよそんなこと、ただうちらが無策で挑んで勝てるような相手じゃねぇ!せめてなんか気を逸らせるような道具がありゃ…」
「逸らせるような何かって言っても、私ら金欠でそんなもん買えないし」
二人でカノンから仲間を取り返そうと策を練っているが、カノンから解放された不良が何か紙袋を持って歩いて来てる事に気が付いて居なかった。
「…やっぱり急いだ方が良いんじゃ」
「バカ!あいつに捕まったら最後、捕まった奴は所持品を根こそぎ奪われるって言う話なんだぞ!?何も考えないまま突撃してもうちらも身ぐるみ剥がれて仕舞いだ!」
「で、 でも……あ!」
心配そうにしていた不良の片割れが戻ってきた仲間に気付き近寄る。
「お、おい、大丈夫か?なんか取られたりしてないか?」
「………た」
「ん?なんだって?」
「…私の好きな同人誌の絵師だった」
「「……は?」」
「サイン貰っちゃった…」
「「嘘だろお前!?」」
−−−こうして描記カノンの新たな噂が不良の間に流れるのだった