「なるほど、やっぱり今夜何かが起こるのは確定ですか。それに、怪談。う〜ん、モモイさんたちとお泊まり会をした時にやったことはありますけど、その怪談とは別ですかね?」
「いや、同じだろう」
ただ、具現化する程の怪談って言われたら。七不思議とか、都市伝説しか思い浮かばないけどな。
「それに、リジーが選ばなければ死ぬというのも意味が分かりません!何ですかその選択肢!」
「社長が保身を選べばキヴォトスがぶっ壊れる原因の一つになって、生徒を選べば社長は死ぬ。クソみてえな問題だな」
「い、いや、大丈夫っしょ!要するにシャチョーが生徒を庇うからヤバいってだけで、シャチョーが庇う必要がないくらい徹底して私たちが頑張れば良いんだよ!………だよね?」
そうだな、情報はある程度抜き取った。なら後は今夜やってくる社員たちに連絡を入れて警戒してもらうだけだ。サオリやスズカも居るんだ、何も問題はない。
「奴の言ってたことは所詮戯言だ。気にするな、それで?話し合いはどうなったんだ」
「“うん、結論だけを言うならキキョウは引き受けてくれたよ。立会人、ただナグサを見つけないと継承戦が出来ないから、それは祭りが終わった後に探すことにしたよ“」
「それは、つまりユカリは巫女の舞を引き受けたってことか?」
「“そうだね“」
ほうほう、上手くいったようで何より、ただ次会う時の反応が恐ろしいが。そこは先生たちがフォローしてくれたと信じるぞ!
「“それで、フランシスの言ってた出来事の対処は、「リジーに行動をさせない」で決まり?“」
「もち!」
「ですが、カノン、社長が動かなければ社長はこの世界を滅ぼす要因となってしまいますが…」
「うっ、た、確かにそうかもしれないけど……でもでもシャチョーが動くとシャチョーが死んじゃうんでしょ!?だったらこれしか方法はないじゃん!」
う〜ん、みんな心配そうにしてるが。なんだろうな、俺の危機感の無さ。この世界に来て初日には俺の人生が危ねぇ!?って大慌てしてたのに、なんか今回は俺が危ない?ふ〜ん?くらいにしか思わないんだよな。
「なんで一番危機感ないんですか!?リジーが生きるか死ぬかの瀬戸際なんですよ!?」
「え?あぁ、う〜ん、大丈夫だろ」
「大丈夫って、おいおい、いつもより適当じゃねえか。今までの念入りっぷりはどうしたんだよ」
「“…もしかして何か対処する方法があるの?“」
先生の質問には首を竦めて誤魔化しておく。変に変えようとして状況を悪化させるのも良くないから何も言わないのが正解だろう。
「もどかしいね。この先どうなるか分かっているのに手が出せない現状が」
「ほらほら、どうにもならないものはどうにもならない。俺は社員たちに連絡を入れておくから。コンはスズカたちにも警戒しておいてくれと伝えて欲しい」
「……わかり、ました」
コンは納得がいかない表情で返事をする、スピアも何かを言おうとして口を開くが、押し黙った。
「さて、祭りまではまだまだ時間がある。先生、お前はナグサという生徒をギリギリまで探していてほしい」
「“分かった。どっちみち探すつもりだったからね“」
「それと、コンには俺のSMGを預けておく。炎に包まれるとフランシスが言ってたから暁ちゃんじゃ戦えないと思う」
「…預かるだけですよ?」
だからそう言ってるだろ!?そんな信用ないか俺!?これでも安全第一を守ってやってきたつもりなんだけど。
「…EMP手榴弾」ボソッ
「待て、俺が悪かったから止めなさい」
それ言われると俺は何の反論出来ないからマジで勘弁してくれ。
「“ここはリジーに策があるって信じるしかないね“」
「はぁ、下手に先のこと知ったから焦るけどよ。今までも社長はどうにかしてたし、今日もそうなることを前提させてもらうぜ?」
スピアは諦めたようにため息を付いて俺の肩をどついた。何を言ったところで俺が生徒を庇うのが分かったんだろう。ま、俺も大人しく裂かれるつもりはないがな。
こうして方針が決まり、俺たちは祭りに向けて準備を進める。違和感がないよう各地点に待機してもらい。花火が上がった時は最大限警戒するよう伝えた。怪我人が出た時の為の医療チームにも来てもらった。他に出来そうなことはある気がしたけど時間がないので断念。
−−−こうして、祭りが始まった