成り変わりカイザー理事の奮闘物語   作:CoCoチキ

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百五十四話 後で謝らないとな

 

 「そこを退けぇ!!!」

 「“リジー!!“」

 

 シールドで怪異を殴り飛ばしSGで乱雑に薙ぎ払い、手榴弾で吹き飛ばす。俺が決めたからなのか周りの怪異が唐突に俺に襲い掛かって来た。フランシスが何か仕掛けを施した結果なんだろうがお陰で少しの間考える時間が出来たのは良かったな。

 

 「愚かな、お前は「主人公」を選んだか、お前の存在は今、定義付けされた。世界によって主人公と認められ、主人公であるが故に…お前はここで死ぬ!」

 「五月蝿いぞ!何が「主人公を選んだか」だ!何度も言ってやるぞ俺は主人公なんて柄じゃあない!」

 

 あの野郎、一人だけ襲われずに高みの見物決め込みやがって。絶対なんか遺物とかの類使ってるだろ。

 

 「“っ!みんな、どうにか彼を助けにいけないかい?“」

 「流石に無理かも……」

 「怪物たちがあの人に近づかせないよう道を塞いで思うように進めません!」

 

 チラリと後ろを見ると意図的に俺と先生たちが分断されているのが分かった。それに、先生の近くに見慣れない生徒が一人居る?…あれが花鳥風月部だったりして。

 

 「ってあっちを気にしてる場合じゃないか!そこのお前、無事か!」

 

 爆発を受けた衝撃か木材の落下の衝撃のどっちかは分からないが。気絶をしている。軽く見た感じ細かい擦り傷はあるが大きな怪我はなさそうだ。

 

 「これなる怪異は「百物語」遥か昔より存在するうわさが具現化し、形取った存在、お前が対峙してきた異形たちと同じだと考えているのなら、それは実に浅はかだ」

 「…つまり、奴らは物語そのもので、俺たちはその登場人物に組み込まれた…と?」

 「その通り、海崎リジー…お前はそこの生徒を助けると言う選択をした時点で「猫鬼クロカゲに引き裂かれる役」に選ばれたのだ」

 

 ほほ〜う?物語か、そいつは良いことを聞いた。どこまで時間に余裕があるか分からんがしばらく時間稼ぎ徹するか。

 

 「その割にはそのクロカゲとか言うやつ。あそこから動けないように見えるがな」

 「運命を覆すことは出来ない。お前がどう言おうとお前は獣に引き裂かれ、その生に別れを告げる」

 

 その余裕顔がどう崩れるのか楽しみだよ。いや、こいつ余裕顔か?ゴルコンダと違って正面向いてるから顔は見えるんだがどんな表情浮かべてんのかさっぽり分からん。

 

 「ッチ、それはそれとして鬱陶しいなこいつら!この子が俺を誘き寄せる為だけの役回りって言うならもう攻撃する必要はないだろうが!」

 「認識が甘いな、攻撃が終わればお前はその生徒を連れ、この場から離れるだろう?」

 「ッハ!随分とまぁ警戒されてるな。怪異をそこまでビビらせる事が出来たのなら嬉しい限りだ」

 

 怪異たちは執念に俺の後ろに居る生徒を攻撃しようと絶えず撃ち続ける。フランシスと意味のない会話をしてる間にSGの弾も尽き、残りはHGの弾が数発程度、俺はもう守りに徹するしか無くなった。

 

 シールドに弾が当たる音が響く中で、僅かに足音が聞こえてきた。

 

 「見つけた!ミライ、敵の間を縫う様に跳弾させられる?」

 「…やってみよう」

 「スピアとカノンはリジーの所までの道を作ってほしい、つまり一点突破」

 「「了解!」」

 

 どうやら、スピアたちがプレナパテスを連れて来たらしい。全員が焦った表情で俺の居る場所へと来ようとする。

 

 「あの大きな怪異には普通の攻撃が効かないから無視して、攻撃が来た時だけ注意を払ってほしい。コンはショウと一緒にスピアたちを攻撃しようとする怪異を倒して」

 「「はい!」」

 

 フランシスのやつ、プレナパテスが来てもなんの反応もしないのあ。あれか?誰が来ようと予定調和でしかないっていう余裕の現れか?

 

 「……役者は揃った」

 「プレナパテスもその役者の一人か?」

 「奴は本来、あまねく奇跡の始発点で退場する役者、どれほど足掻こうと役割を終えた存在が、物語に影響を与える事はない」

 

 なるほど?つまり居ようが居なかろうが変わらないモブと言いたいのか…ないだろ。あいつは死んでもクロコの為に生き続けた男だぞ。そんな奴がモブである訳がない。

 

 繧ェ繧ゥ繧ェ繧ェ繧ゥ繧ゥ繧ゥ

 

 流石にシールドも限界か?と思った時、この世のものとは思えない悍ましい鳴き声を上げ奴は襲い掛かってきた。

 

 「終幕の時だ。海崎リジー…百花繚乱編はお前という主人公の犠牲を以って在るべき結末と戻るのだ」

 

 フランシスの声に呼応するようにクロカゲは前に進み始め、その前足を振り上げた。

 

 「リジー!スピアさん!急いでください!」

 「分かってんだよ!クソ!!」

 「…不味い、この速度じゃ間に合わない!」

 

 銃弾の音が激しく響く中でコンたちの声がやけに聞こえてくる。

 

 「リジー様……!」

 「やだ……やだやだやだ!」

 

 あいつらには申し訳ないことをしたなぁ。だけど、コンたちがプレナパテスを連れてきてくれたお陰で。

 

 「ふふ……」

 「…?」

 

 「ふはははははははは!」

 

 「「「「!?」」」」

 

 俺が唐突に笑い声を上げたことで全員の動きが止まった。

 

 「…自棄になったか?海崎リジー」

 「自棄?ふはは!違うな。あぁ、そんな事は断じてないとも」

 「…どちらにせよ。お前は自身が選んだ選択により死ぬのだ。何を言おう–––」

 「残念ながら…」

 

 今まで散々言いたい放題言ってきたフランシスの言葉を遮るように言葉を重ねる。

 

 「お前の言う選択肢は既に破綻した!」

 

 振り上げられた前足に対してシールドを斜めに掲げた瞬間、クロカゲの爪が。

 

 −−−俺のシールドだけを引き裂いた

 

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