「な……に?…何故だ?何故、お前は生きている!?怨念を込められた爪に引き裂かれずにいる!?」
「何故?何故かって?まだ分からないのかフランシス。貴様は端っから前提を間違えていた。それだけの事だろう?」
引っ掛かる事があった。フランシスは俺のことを主人公と呼んでるが。それはやっぱ違くないか?
「俺はどっちかって言うと「主人公」の「友人」枠だろうが」
「友人枠だと!?お前が、先生の友人だとでも言うのか!悪を自称しているお前が!」
「あぁ」
いや確かにおかしな話ではあるけどさ。
「今の俺ってお前の解釈だと俺は世界にとっての悪なんだろう?じゃあ別に先生にとっての敵ではないよな。俺…」
主人公を選んだら死ぬ。悪役を選んだら世界は滅ぶ。だったら俺はそのどっちも選ばず別の役割を選ばせてもらうことにした。その為のプレナパテス。
「いや〜エンジニア君にいざと言うときはコンたちにプレナパテス連れて来てくれって頼んどいて良かった」
コンたちに言えば良かったのだろうけど、呼んだら呼んだですぐに飛んで来そうだったからエンジニア君を経由させてもらった。この子を守りに行くってなるとコンたちは力尽くで止めにくるに決まってるからな。
「え、えっと?シャチョーがセンセーの友達だとなんで生き残れるの?」
「う〜ん、お前ら、小説か漫画とか読むよな?」
「そりゃあな…」
「今回の事件はその小説や漫画のような出来事の中に居るって想像してほしい」
想像ってかそうなんだけど。うわさが広がり怪談となり、怪談は具現化する。フランシスの話を聞いてて思ったんだがこれ多分、百物語だよな?100本の蝋燭を一話怪談を終えるごとに消して最後の怪談を語り終えると妖怪は幽霊が現れるっていう。蝋燭はないけどそれに近しいモノだと俺は考えてるが。
「ふむ?それで?」
「俺がやったことは怪談という物語の概念に対して新しい概念で上書きしただけだ」
「概念を概念で上書きって、いつの間にそんなことは出来るようになったんだい?」
「いや、俺は出来ないぞ?」
「「「「???」」」」
こいつ何言ってんだ?って気持ちはよく分かる。俺も自分で言っててアホな事やってるって自覚あるから。
「今回、先生はこの物語に最初から組み込まれた登場人物だったから概念の上書きは出来なかったが。プレナパテス、お前は違う。俺の予想なんだが此処とは異なる世界のお前は多分…アトラ・ハシースの時に死んでいるだろう」
最終編のこと知ってたらそもそも先生誘拐の時どうにか出来てたんだけどな。俺の中途半端な原作知識は恨めしい。
「で、お前は先生なわけだ」
「…うん、そうだね?」
「………お前はこの世界の先生と同一人物なんだ」
「…………えっと、だから?」
まだ分からないのか!?これだけ言ってるのに!?これでもかなりヒント出してるはずなんだが!
「つまり!この事件に関わってないお前を後から登場させることで!お前の保有する神秘の力でお前を「主人公」とした物語を新しく構築したってこと!そんで俺はそんな主人公の友人枠、または仲間枠として物語の登場人物に組み込まれたってこと!」
大分と無茶苦茶な屁理屈だが、プレナパテスにはヘイローがある。嚮導者の頃の肉体を劣化版とは言え複製したのならそれ相応の神秘がプレナパテスに宿ってるはずだ。手榴弾に耐えられるってカンパニー建てた時言ってたし。もしかしたらクロコと同じで色彩の力も宿ってたりと考えるがそこは証明しようがないので無視!
「馬鹿な!この世界の先生ではない嚮導者が主人公になれるだと!?」
「お前もこの世界のフランシスじゃないだろうが…この世界からしたらお前、こっちのフランシスの役割を奪ったやつだぞ」
「それはお前がゲマトリアを救ったからだ!」
「いやぁ、世界に強制力あるんだったらお前が来なけりゃこっちのフランシス出て来れたんじゃね?」
「!?!?」
え?まさか気付いてなかったのか?あれだけ世界に役割を定められている!とかなんとか言ってたのに?
「ゲマトリアを救ってもクロコによるゲマトリア襲撃イベントはあったんだから。遅かれ早かれゴルコンダはクロコに襲われてたよな?お前風に言うなら。世界は“そう“出来ているのだから…じゃあお前がこっち来た時点でフランシスは存在するわけだからゴルコンダが襲われる必要ないよな?」
なんだかんだでお前が一番原作改変してんじゃねえか!本来こっちのフランシスが言うセリフを全部お前が言ってんだからさ!
「それで、なんで友人枠か仲間枠だったら生き残れたの?」
「え?あぁ、そりゃ単純な話だ。先生が主人公ならその物語の方向性は決まってる。先生が味方になった方が勝つからだ」
「「「「……あ〜」」」」
ほら、納得できるだろう?コンなんて俺と一緒に先生と何回も戦って負けてるし。道中でどれだけ負けようと最終的に先生側が勝つし…どうやら俺も先生の生徒の一人としてカウントされてるらしいからシッテムの箱でEXスキル撃てるし。先生と仲間としての「生徒」であるという条件は満たしてるはずだ。
「例えどんな手を使おうと俺は俺の望む結末を手にしてみせる。それがこの俺!強欲なる悪党海崎リジーだ!ふはははははは!」
「うんあなたが悪党なのは誰も認めてないからね?」
「なぜだ!?」
–−−おかしい、概念すら味方にしたと言うのに。悪党という概念だけは俺の味方にならないのか!?